子どもが独立して部屋が余り、老後を考えると今のうちに住み替えたほうがいいのか、みんな何歳くらいで住み替えているのかが気になる方は多いと思います。
国土交通省の調査では、マンションへ住み替えた人の平均年齢は57〜58歳で、初めて家を買う人より15歳以上上です。
この記事では、住み替える人の年齢の実態から、その年齢に多い理由、年代別の住まいの選び方、年齢が上がるほど厳しくなる条件までを、公的なデータで順に見ていきます。
住み替える人の平均年齢
住み替える人の年齢は、国土交通省の「住宅市場動向調査」で確かめられます。この調査は、初めて家を手に入れた世帯と、2回目以上の世帯を分けて集計しています。
今回が初めての世帯を一次取得者、2 回目以上の世帯を二次取得者という。
(国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」より)
今の家から住み替えた人の多くは、二次取得者にあたります。この記事では、二次取得者を住み替え世帯として見ていきます。
住み替え世帯の平均年齢は50代後半
「令和6年度住宅市場動向調査」によると、二次取得者の世帯主の平均年齢は次のとおりです。
| 住み替え先 | 平均年齢 |
|---|---|
| 新築の分譲マンション | 57.9歳 |
| 中古マンション | 57.1歳 |
| 中古の戸建て | 55.9歳 |
| 新築の分譲戸建て | 46.1歳 |
| 注文住宅(建て替えを除く) | 60.2歳 |
(注文住宅は全国、それ以外は三大都市圏の調査。2023年度に住宅を手に入れた世帯)
マンションへ住み替えた世帯の平均は、57〜58歳です。
住み替え先で年齢が分かれるのも特徴です。新築の分譲戸建ては46.1歳で、マンションより10歳ほど若くなっています。住み替え先にマンションを選ぶ人ほど、年齢が高い傾向があります。
出典: 国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」(一次取得・二次取得別の世帯主の年齢)
初めて家を買う世帯との年齢の差
同じ調査で、初めて家を買った世帯(一次取得者)と比べると、差がはっきり出ます。
| 住宅の種類 | 初めて買う世帯 | 住み替え世帯 | 差 |
|---|---|---|---|
| 新築の分譲マンション | 40.5歳 | 57.9歳 | 17.4歳 |
| 中古マンション | 42.0歳 | 57.1歳 | 15.1歳 |
マンションでは、住み替える人のほうが15〜17歳ほど上です。
ネットでは「家を買う人の平均年齢は40代前半」という数字をよく見かけます。これは家を買う人全体や、初めて家を買う人の数字です。住み替えの年齢を知りたいなら、住み替え世帯(二次取得者)の数字を見るのが正しい比べ方です。
50代で住み替えを考えている人は、平均よりむしろ少し早いくらいです。
出典: 国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」(一次取得・二次取得別の世帯主の年齢)
住み替え世帯の年齢の分布
住み替え世帯の年齢の分布を見ると、マンションへの住み替えは60歳以上が最も多くなっています。
| 年齢 | 新築の分譲マンション | 中古マンション |
|---|---|---|
| 30代 | 9.8% | 11.3% |
| 40代 | 19.6% | 14.1% |
| 50代 | 7.8% | 25.4% |
| 60歳以上 | 60.8% | 42.3% |
(報告書のグラフの値。30歳未満と無回答は省略)
新築の分譲マンションでは6割、中古マンションでも4割が60歳以上です。平均は50代後半でも、人数で見ると60歳以上がいちばん厚い層です。
一方で、30〜40代も新築の分譲マンションで約3割、中古マンションで約25%います。子どもが生まれた、学区を変えたいといった理由で、若いうちに住み替える世帯も多くいます。
住み替えの年齢は、30代から60代以上まで幅があります。そのなかで、いちばん多いのが60歳前後という形です。
出典: 国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」(一次取得・二次取得別の世帯主の年齢)
住み替えが50代後半から60代に多い理由
住み替えが50代後半から60代に多いのは、この年齢で家族とお金の変化が重なるからです。理由は次の4つです。
- 子どもの独立で部屋が余る
- 定年や退職金で資金のめどが立つ
- 住宅ローンの返済が終わりに近づく
- 老後の暮らしやすさを考え始める
子どもの独立で部屋が余る
50代後半になると、子どもが就職や結婚で家を出ていく家庭が増えます。
子どもが独立すると、夫婦2人では部屋が余ります。3LDKや4LDKのマンションでも、使うのはリビングと寝室だけ、という暮らしになりがちです。
使わない部屋があっても、管理費や修繕積立金、固定資産税は広さに応じてかかり続けます。掃除や片付けの手間もそのままです。
そこで、今の家を売って、夫婦2人に合った広さの家へ移る人が増えます。今の家より小さく安い家なら、売ったお金で購入資金の多くをまかなえることもあります。
子どもの独立は、住み替えを考え始めるいちばん分かりやすいきっかけです。
定年や退職金で資金のめどが立つ
50代後半から60代は、定年や退職金で、老後のお金の見通しが立つ時期です。
住み替える人は、購入資金のうち自己資金の割合が高いことが分かっています。
| 住宅の種類 | 初めて買う世帯 | 住み替え世帯 |
|---|---|---|
| 新築の分譲マンション | 32.7% | 78.3% |
| 中古マンション | 34.6% | 68.1% |
(購入資金に占める自己資金の割合)
新築の分譲マンションへ住み替えた世帯は、購入資金の約8割を自己資金でまかなっています。金額で見ると、購入資金の平均5,859万円のうち、自己資金が4,588万円です。
この自己資金には、今の家を売ったお金や、貯金、退職金が含まれます。借入を少なくできるからこそ、年齢が上がってからでも住み替えが成り立っています。
出典: 国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査報告書」(一次取得・二次取得別の購入資金)
住宅ローンの返済が終わりに近づく
住宅ローンを30代で35年返済で組んだ人は、60代で返し終わる計算です。繰り上げ返済をしていれば、50代のうちに終わる人もいます。
ローンの残りが少なくなると、今の家を売ったお金の多くが手元に残ります。ローンが多く残っていると、売ったお金をまず返済に回すことになり、次の家に使えるお金は減ります。
ローンを返し終えれば、毎月の住居費は管理費や修繕積立金などだけになります。お金の面で身軽になった状態で、次の家をじっくり選べます。
ローンの残りが少なくなる時期と、子どもの独立の時期は重なりやすいものです。この重なりも、50代後半から60代に住み替えが多い理由の1つです。
老後の暮らしやすさを考え始める
60代が近づくと、今の家で老後まで暮らせるかを考える人が増えます。
例えば、次のような不便が気になり始めます。
- 駅やスーパーまでの坂道や距離
- マンションの入口や共用部の段差
- 車で通う必要がある病院
- 広い部屋の掃除や管理の手間
若いころは気にならなかった不便も、年齢を重ねると大きな負担になります。
体力があるうちに、駅や病院に近い家、段差の少ない家へ移っておきたい。そう考えるのは自然なことです。家探しや引越しには体力が要るので、元気なうちに動いておくと、住み替えそのものの負担も軽くなります。
年代別の住み替えの目的と住まいの選び方
住み替えの目的は、年代で大きく変わります。若い世代は「広くする」住み替え、年を重ねた世代は「小さく、便利にする」住み替えが中心です。
| 年代 | 主な目的 | 選ぶ住まいの条件 |
|---|---|---|
| 30〜40代 | 子育て | 広さ・学区・通勤 |
| 50代 | 子どもの独立後と老後への備え | 夫婦に合う広さ・駅近・管理のしやすさ |
| 60代以上 | 老後の暮らしやすさ | 駅や病院に近い・段差が少ない |
30〜40代は子育てに合わせた広さと学区
30〜40代の住み替えは、子育てが目的の中心です。
子どもが生まれた、2人目ができた、小学校に上がる。こうした変化で今の家が手狭になり、部屋数の多いマンションや戸建てへ移る人が多くなります。
選ぶときに大事なのは、次の3つです。
- 子ども部屋を用意できる広さ
- 通わせたい学校の学区
- 通勤時間
注意したいのは、この年代は今の家のローンが多く残っている時期だということです。今の家の売却額でローンを返しきれるかを、先に確かめておきましょう。
もう1つ、広い家は子どもが独立した後に部屋が余ります。20年後にもう一度住み替えることも考え、売りやすい立地を選んでおくと安心です。
50代は子どもの独立後と老後を見すえた住まい
50代の住み替えは、子どもの独立後の暮らしと、老後への備えを両方考える時期です。
子どもが独立した後は、夫婦2人に合った広さの家で十分です。今より小さい家へ移れば、管理費や固定資産税も下げられます。
ここで気をつけたいのが、50代でもう一度広い家へ移ると、老後にまた住み替えが必要になりやすい点です。住み替えにはそのたびに仲介手数料や引越し代がかかり、年齢が上がるほどローンも組みにくくなります。
50代で住み替えるなら、「この家で老後まで暮らせるか」を基準に選ぶのがおすすめです。
- 駅やスーパー、病院までの距離
- エレベーターや段差の少なさ
- 夫婦2人で管理しやすい広さ
この3つを満たす家なら、70代以降も住み続けやすくなります。住み替えを1回で済ませられれば、費用も手間も1回分で収まります。
60代以上は駅に近く段差の少ない住まい
60代以上の住み替えは、老後の暮らしやすさが目的の中心です。
選ぶときは、次の条件を優先します。
- 駅や病院、スーパーまで歩いて行ける
- 道に坂や段差が少ない
- 建物の入口や共用部に段差が少なく、エレベーターがある
- 掃除や管理がしやすい広さ
マンションなら、共用部の掃除や建物の修繕を管理組合に任せられます。庭の手入れや外壁の塗り替えを自分で手配する手間がかからず、高齢になってからの負担が軽くなります。
車を使わずに暮らせる立地を選べば、将来運転をやめた後も、買い物や通院を続けられます。
一方で、60代以上は住宅ローンの借入期間が短くなります。購入資金の多くを自己資金でまかなえるかが大事になるので、次の章の条件もあわせて確かめておきましょう。
年齢が上がるほど厳しくなる住み替えの条件
住み替えは60歳前後が最も多い一方で、年齢が上がるほど条件は厳しくなります。平均年齢に合わせて待つと、かえって条件が悪くなる人もいます。主な条件は次の4つです。
- 住宅ローンを借りられる期間
- 団体信用生命保険への加入
- 年金生活での返済の負担
- 仮住まいの賃貸の入居審査
住宅ローンを借りられる期間が短くなる
住宅ローンは、返し終える年齢に上限があります。例えば【フラット35】の借入期間の上限は、「80歳 − 申込時の年齢」と「35年」の短いほうです。
申込時の年齢によって、借りられる期間と毎月の返済は次のように変わります。
| 申込時の年齢 | 借入期間の上限 | 毎月の返済 |
|---|---|---|
| 55歳 | 25年 | 約11.3万円 |
| 60歳 | 20年 | 約13.8万円 |
| 65歳 | 15年 | 約18.0万円 |
(3,000万円を金利1.0%・元利均等返済で借り、金利が変わらない場合の仮定の計算)
同じ3,000万円を借りても、65歳では55歳より毎月6万円以上多く返すことになります。
自分の借入期間の上限は、「80 − 今の年齢」で出せます。借りたい金額をその年数で返せるかを、住み替えを決める前に確かめておきましょう。
団体信用生命保険に入りにくくなる
住宅ローンを借りるときは、多くの場合、団体信用生命保険(団信)に入ります。団信は、借りた人が亡くなったときなどに、保険でローンの残りを返してくれる仕組みです。
団信に入るときは、健康状態を申告します。年齢が上がると持病のある人が増えるため、団信の審査で断られ、ローンの申込みそのものが難しくなることもあります。
持病のある人向けに、加入の条件をゆるめた「ワイド団信」もあります。ただし、例えば三菱UFJ銀行のワイド団信は、借入時の年齢が50歳の誕生日までの人が対象です。50代以降は、この選択肢も対象外になることがあります。
健康に不安がある人は、住み替えを決める前に、金融機関で団信に入れるかを確かめておきましょう。
年金生活に入ると返済の負担が重くなる
定年後は、収入が年金中心になります。厚生労働省によると、令和8年度の夫婦2人の標準的な年金額は月23万7,279円です。年金額は毎年度見直され、令和7年度は月23万2,784円でした。
住宅ローンには、年収に対する返済額の割合にも上限があります。【フラット35】では、年収400万円未満の人は、年間の返済額が年収の30%以下です。
年金だけで返す場合の目安(仮定の計算)
- 前提:収入は令和8年度の標準的な年金額(夫婦2人で月23万7,279円)だけ
- 年金の年額:23万7,279円 × 12か月 = 約285万円
- 返済額の上限:約285万円 × 30% = 約85万円(月約7万円)
働いているうちに組んだローンでも、退職後は年金から返すことになります。
自分の年金の見込み額は「ねんきんネット」で確かめられます。上の式の23万7,279円を自分の見込み額に置き換えて、退職後の返済額が年金で払える範囲に収まるかを計算しておきましょう。
出典: 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」 出典: 住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」
仮住まいの賃貸で入居審査が厳しくなる
住み替えで先に今の家を売ると、次の家に入るまで、賃貸の仮住まいが必要になることがあります。ここで壁になりやすいのが、高齢者の入居審査です。
国土交通省の資料によると、賃貸住宅の大家などの約7割が、高齢者の入居に拒否感を持っています(令和3年度国土交通省調査)。入居を制限する理由で最も多いのは「居室内での死亡事故等に対する不安」で、90.9%でした。
60代以上の人は、仮住まいが見つかるまで時間がかかることがあります。対策は次の3つです。
- 今の家の引渡しを、新しい家に入る日に合わせる
- 家族に連帯保証人になってもらう
- 自治体の居住支援の窓口や、居住支援法人に相談する
売り出す前に、仮住まいが必要になるかどうかと、その探し方を決めておくと、売却から引越しまでを落ち着いて進められます。
出典: 国土交通省住宅局「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等の一部を改正する法律等について」(令和6年9月)
まとめ:住み替えの平均年齢は57〜58歳、ただし年齢が上がるほど条件は厳しくなる
マンションへ住み替えた人の平均年齢は57〜58歳で、60歳以上が最も多い層です。ただし、この年齢で住み替えが成り立っているのは、購入資金の7〜8割を自己資金でまかなえているからです。
次の一歩は、「80 − 今の年齢」で自分が借りられる期間を出し、今の家の売却額と自己資金で次の家をどこまで買えるかを確かめることです。ここを飛ばして平均年齢に合わせて待つと、借入期間が短くなって毎月の返済が増えたり、仮住まいが見つかりにくくなったりします。
まずは今の家の相場と、ねんきんネットで年金の見込み額を確かめてみましょう。住み替えのトビラでは、住み替える年齢と年齢で変わるローンや仮住まいの条件も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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