住み替えは頭金なしでもできる?必要な現金と条件

住み替えは頭金なしでもできる?必要な現金と条件

現在の家を売って住み替えたいけれど、新居の頭金に回せる預貯金がない。頭金がなければ住み替えは無理だと考えて、そこで検討を止めていませんか。

頭金なしでも住み替えはできます。ただし、頭金をゼロにしても現金がまったく不要になるわけではなく、進められるかどうかは頭金の有無とは別のところで決まります。

頭金がなくても現金が必要になる場面、頭金を出せない状況ごとの条件、金利と審査への影響を確かめれば、そのまま進めてよいのか、条件を整えてからにするのかを判断できます。

住み替えは頭金なしでもできる

頭金を用意できなくても、住み替えはできます。進められるかどうかを決めているのは頭金の有無ではなく、現在の家の残債、これからの返済、手続きで動かす現金の3つです。

一方で、頭金がゼロだからといって、手元の現金がゼロで済むわけではありません。頭金という言葉が何を指すのかと、進められるかを決める3つの条件を確かめます。

頭金なしとは新居の代金を全額借りること

頭金なしとは、新居の代金に手元の現金を充てず、代金の全額を住宅ローンで払うことを指します。手元の現金がゼロという意味ではありません。

頭金と混ざりやすい言葉が2つあります。一つは手付金です。売買契約を結ぶときに買主が売主へ払い、引き渡しのときに代金の一部として扱われるお金です。もう一つは自己資金です。頭金に手付金、諸費用、引っ越し代、予備費まで含めた、手元の現金の全体を指します。

言葉指すもの頭金なしのときの扱い
頭金新居の代金のうち、借入ではなく現金で払う部分ゼロにできる
手付金売買契約を結ぶ時点で先に払い、引き渡し時に代金へ充てられるお金住宅ローンの実行前に払うため、自己資金で用意するのが原則
自己資金頭金、手付金、諸費用、予備費を含む手元の現金の全体ゼロにはならない

住宅金融支援機構のフラット35では、借入額は住宅の建設費または購入価額以内と定められています。新居の代金と同じ額まで借りる形は、制度のうえで取れます。民間の金融機関にも借入額が物件価格に並ぶ商品はありますが、扱いは金融機関ごとに異なります。

ただし、住宅ローンのお金が実際に出るのは引き渡しのときです。これを融資の実行と呼びます。手付金の支払いはそれより前に来るため、頭金をゼロにしても自己資金がゼロにはなりません。

「頭金がないなら住み替えは無理」でもなく、「頭金なしなら現金は不要」でもありません。この2つを分けて考えるところから始まります。

出典: 住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」

進められるかを決める3つの条件

頭金なしで住み替えが成り立つかは、残債、返済、現金の3つで決まります。

  • 現在の家の残債を、売却の手取りか別の手当てで返しきれるか
  • 新しい借入の返済を、続けられるか
  • 手続きで動かす現金を、用意できるか

どれが欠けているかで、止まる場所が変わります。残債を返しきれないと、現在の家の売却そのものが止まります。返済を続けられないと、住宅ローンの審査で止まります。現金が足りないと、売買契約や引き渡しの場で止まります。止まる場所が違うので、対処も違います。

3つは同時に欠けることがあります。購入から年数が浅く元金が減っていない場合は、預貯金がなく、売却の手取りも残債に届かない、という重なりが起こります。扱いは金融機関によって異なるため、この3つは合否の基準ではなく、確かめる順番として使います。

頭金をいくら入れ、手元にいくら残すかという配分の考え方は、頭金の決め方をまとめた記事で扱っています。

住み替えの頭金はいくら必要?自己資金をいくら残すかで決める 住み替えの頭金はいくら必要?自己資金をいくら残すかで決める

頭金なしでも現金が必要な場面

頭金をゼロにしても、売買契約時、引き渡し時、入居時の3つの場面で現金が必要になります。最初に来る手付金は、住宅ローンが実行される前に払うため、借入で埋めにくいお金です。

場面主な費目金額の目安住宅ローンに含められるか
売買契約時手付金売買価格の1割以内で決まることが多く、額は売主との合意による含めにくい。ローンの実行前に払うため
引き渡し時登記費用、ローンの事務手数料、火災保険料、印紙代、固定資産税の精算金、仲介手数料(中古)、修繕積立基金と管理準備金(新築マンション)中古は物件価格の6〜9%程度、新築は3〜5%程度。費目と額は物件と借入先で変わる含められる場合がある
入居時引っ越し代、家具や家電の買い替え、当面の予備費世帯と移動距離により異なる含めにくい

引き渡し時の諸費用は、フラット35では借入の対象にできます。民間の金融機関にも諸費用ローンがあります。ただし、借入に含めた分だけ借入額が増え、金利の区分と毎月の返済額が変わります。

現在の家を売るときにかかる費用は、手元から先に出ていくのではなく、売却代金から差し引かれて手取りを減らします。そのため、用意する現金ではなく、手取りの計算に入れます。

契約時に現金で払う手付金

手付金は、売買契約を結ぶときに売主へ払い、引き渡しのときに代金の一部として扱われます。住宅ローンが実行されるのは引き渡しのときなので、頭金をゼロにしても、手付金は自己資金で用意するのが原則です。

手付金は最後には代金の一部になるため、払う総額が増えるわけではありません。早まるのは払う時点です。そのため、契約日までに現金を用意しておく必要があります。

金額に決まった率はなく、売主と買主の合意で決まります。一般には売買価格の1割以内で設定され、新築では売主があらかじめ額を定めている例が多く、中古では話し合いで決めます。売主が不動産会社の場合は、売買代金の2割を超える手付金を受け取ってはならないと宅地建物取引業法で定められています。実際にいくら必要かは物件と契約で変わるため、購入を申し込む前に、不動産会社を通じて売主側の条件を確かめます。

買主の都合で契約をやめるときは、払った手付金を放棄して解除する形になります。解除できるのは相手方が契約の履行に着手するまでで、それ以降は手付金を放棄しても解除できません。期限や違約金の扱いは売買契約書の条項によって異なるため、契約前に条項を読んで確かめます。売却より先に新居を買う進め方では、現在の家の売却代金が入る前にこの支払いが来ます。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」

引き渡し時にまとめてかかる購入諸費用

引き渡しのときには、登記費用、住宅ローンの事務手数料、火災保険料、印紙代、固定資産税の精算金などがまとまって出ます。中古は仲介手数料が加わるぶん高く、物件価格の6〜9%程度、新築は3〜5%程度が目安として使われますが、費目と額は物件と借入先によって変わります。

4,000万円の中古物件で6〜9%なら、240万〜360万円です。資金計画では物件価格の1割程度を見込んでおき、正確な額は、不動産会社が出す諸費用の概算と、金融機関の費用明細で確かめます。

中古と新築で水準が違うのは、費目が違うからです。中古では不動産会社へ仲介手数料を払います。新築では仲介手数料がかからないことが多い一方、マンションでは修繕積立基金や管理準備金がまとまって加わります。マンションの管理費と修繕積立金は、引き渡し日を境に日割りで精算します。

これらの多くは、フラット35で借入の対象にできます。住宅金融支援機構は、購入の場合の借入対象として、仲介手数料、マンション修繕積立基金、マンション管理準備金、融資手数料、印紙代、火災・地震保険料、登記費用、固定資産税の精算金などを挙げています。

ただし、借入に含めた分だけ借入額が増えます。頭金をゼロにしても、引き渡しのときには百万円単位のお金が動きます。費目ごとの内訳は、購入諸費用をまとめた記事で扱っています。

出典: 住宅金融支援機構「借入対象となる諸費用とはどのようなものですか?」

入居時にかかる引っ越し代と予備費

引っ越し代と、入居後しばらくの生活を支える予備費は、住宅ローンでまかないにくい現金として残ります。

住み替えの直後は出費が重なります。引っ越し代のほかに、間取りが変わって家具や家電を買い替えることがあります。現在の家の引き渡しと新居への入居がずれれば、住まいが二重になる期間の家賃や管理費、荷物の一時保管の費用もかかります。これらは新居の代金ではないので、住宅ローンの対象にはなりにくいお金です。

頭金をゼロにするという判断は、この予備費を守るために選ぶ場合もあります。手元の現金を頭金に使い切ってしまうと、入居後の出費や急な支出に対応できません。借入を増やす代わりに現金を残す、という選び方です。頭金なしは一方的に不利な選択ではなく、手元の現金をどう配分するかの一つの答えでもあります。

手元にどれだけ残すかは、収入の安定度と、退職や車の買い替えなど当面の予定支出で決まります。

頭金なしになる3つの状況と成り立つ条件

頭金を用意できない状況は3つあり、どれか一つを選ぶものではありません。当てはまるものをすべて挙げたうえで、条件の重い順に確かめます。

  • 預貯金がなく、頭金に回せない
  • 現在の家を売っても、手取りが残債に届かない
  • 売却より先に買うため、売却代金がまだ手元にない

3つは同時に成り立ちます。購入から年数が浅く元金が減っていない場合は、預貯金がなく、手取りも残債に届かず、しかも先に買いたい、という重なりが起こります。

確かめる順序は、手取りと残債の関係、支払いの時点、手元の預貯金の順です。手取りが残債に届かなければ現在の家の売却そのものが進まず、支払いの時点を組めなければ契約と決済の場が成り立ちません。預貯金は、先に売ってから買う進め方へ切り替えられる場合には売却の手取りで補えるため、最後に確かめます。

見分ける材料は2つです。現在の家の残債と売却の手取り見込みを比べること。そして、新居の支払いと売却代金が入る時点の前後を見ることです。

預貯金がなく頭金に回せない

預貯金がなく頭金に回せない場合、頭金の原資になるのは現在の家の売却の手取りです。売却で残債を返した後に手取りが残るなら、その手取りを頭金に充てられます。

見分け方は、残債が売却の手取り見込みを下回っているかどうかです。下回っているなら、先に売ってから買う進め方を取れば、手取りを頭金に回せます。そもそも頭金なしにしなくて済む場合があり、「預貯金がない」と「頭金を用意できない」は同じではありません。

頭金なしのまま進めるなら、手付金と諸費用の払い方を決めます。手付金は自己資金で用意します。引き渡し時の諸費用は、現金で払うか、借入に含めるかを選びます。借入に含めれば借入額が増え、金利の区分と毎月の返済額が上がります。

なお、手取りは査定額そのままではありません。仲介手数料や、抵当権を外す登記の費用を引いた後の額です。

売却の手取りが残債に届かない

売却の手取りが残債に届かない場合は、頭金を作れないことに加えて、差額を埋めないと売却そのものが進みません。3つの状況のうち条件が最も重く、最初に確かめる状況です。

住宅ローンを組んだ家には、金融機関の抵当権が付いています。売って買主へ引き渡すには、原則として残債を完済して抵当権を外す必要があります。手取りで返しきれない差額は、現金か、別の借入で埋めることになります。

埋める手段の一つが住み替えローンです。返しきれなかった残債を、新居の住宅ローンに上乗せして借ります。上乗せ分は新居の担保価値を超える借入になるため、金利や借入条件が通常の住宅ローンと異なる場合があり、審査では収入と返済の余力を細かく見られます。取り扱いの有無、金利、上限額はいずれも金融機関によって違うので、まず借入先の金融機関へ確かめます。

差額を埋める手当てがなければ、売却を進められません。そのため、早い段階で残債と手取り見込みを確かめ、借入先の金融機関へ相談する順序になります。手取りが残債に届かない家の売り方と、住み替えローンの条件と限界は、次の記事にまとめています。

オーバーローンでも売却はできる|差額の埋め方と方法4つ オーバーローンでも売却はできる|差額の埋め方と方法4つ 住み替えローンは使えるか・使うべきか|売却額と残債で自分で判断する 住み替えローンは使えるか・使うべきか|売却額と残債で自分で判断する

売却より先に買うため手元に原資がない

売却の手取りが出る見込みでも、先に新居を買うと、契約時の手付金も引き渡し時の代金も、売却代金が入る前に来ます。頭金がないのではなく、まだ手元に届いていないだけなので、支払いの時点をそろえれば進められます。

先に買う理由はあります。住みたい物件が先に出た、仮住まいと二度の引っ越しを避けたい、といった事情です。ただし、お金が入る時点と出ていく時点が逆になります。最初に来るのは売買契約時の手付金です。売却代金が入るまでを立て替えるつなぎ融資も、実行されるのは手付金より後になることが多く、手付金まで含めてまかなえるかは金融機関によって異なります。

支払いの時点をそろえる方法は4つです。

  • つなぎ融資
  • ダブルローン
  • 買い替え特約
  • 引き渡し猶予による同時決済

つなぎ融資は、現在の家が売れて代金が入るまで新居の支払いを立て替える借入で、金利と手数料がかかります。ダブルローンは、現在の家のローンを残したまま新居のローンを組む形で、二重の返済を続けられる収入と、その前提での審査が条件になります。買い替え特約は、現在の家が期限までに売れなければ新居の購入契約を解除できる特約で、売主が応じない場合もあります。引き渡し猶予による同時決済は、現在の家の売却と新居の購入を同じ日に決済し、引き渡しだけ数日ずらす方法で、買主と売主の双方の合意が前提です。

いずれも費用か制約を伴います。頭金なしで借りると借入額が物件価格と同じ水準になり、フラット35では融資率が9割を超える区分に入ります。買い先行を続けるか、売り先行や同時決済へ切り替えるかは、この費用と制約を比べて決めます。つなぎ融資と買い替え特約の詳しい仕組みは、次の記事にまとめています。

住み替えのつなぎ融資とは?仕組みと費用、売り先行との選び方 住み替えのつなぎ融資とは?仕組みと費用、売り先行との選び方

頭金なしが金利と審査に与える影響

頭金なしを選ぶと、借入の条件は2つの側面で変わります。借りた後に払う金利と、借りる前に受ける審査です。

どの状況から進めても、この2つは共通して付いてきます。借入額が増えれば、その分だけ払う利息も増え、毎月の返済額も上がります。

フラット35は融資率が9割を超えると金利の区分が変わる

フラット35では、借入額が住宅の建設費または購入価額の9割以下か、9割を超えるかで借入金利の区分が分かれます。頭金なしは借入額が購入価額と同じ水準になるため、9割を超える区分に入ります。

この割合は融資率と呼ばれ、借入額を建設費または購入価額で割って求めます。分母になる購入価額は、売買契約書に記載された購入価額です。諸費用を含めた総額ではありません。4,000万円の物件なら、借入が3,600万円までは9割以下、それを超えると9割超の区分になります。

9割以下と9割超では借入金利が異なりますが、取扱金融機関によっては同じ金利になる場合もあります。金利の差そのものも時期と金融機関で変わるため、申し込み先の金利表で確かめます。

購入時の諸費用も借入の対象にできますが、含めた分は分子の借入額に加わり、分母の購入価額は変わりません。諸費用を借入でまかなうほど、融資率は上がります。手元の現金を減らさない選択は、金利の区分という形で返済側の条件に表れます。

民間の住宅ローンにも、借入額と物件価格の関係で金利や条件を分ける商品があります。扱いは金融機関ごとに異なるため、申し込み先の条件で確かめます。

出典: 住宅金融支援機構「融資率とは」

審査で多くの金融機関が確認するのは年齢と年収と返済負担率

国土交通省の調査では、融資の際に考慮する項目として、完済時年齢を挙げた金融機関が98.4%、借入時年齢が96.2%、健康状態が96.1%でした。購入の場合の融資率を挙げた金融機関は69.1%です。

考慮する項目その項目を挙げた金融機関の割合
完済時年齢98.4%
借入時年齢96.2%
健康状態96.1%
年収94.2%
勤続年数93.9%
担保評価91.0%
返済負担率90.9%
融資可能額(購入の場合の融資率)69.1%

この割合は、各項目を考慮していると答えた金融機関の多さです。審査でどの項目が重く見られるかや、否決の理由の順位を示すものではありません。融資率を考慮する金融機関も7割近くあり、頭金の有無が審査に関わらないわけではありません。読み取れるのは、年齢、年収、返済負担率のように、ほぼすべての金融機関が確認している項目があることです。

頭金なしは、借入額が増えることで返済負担率にも関わります。返済負担率は、年間の返済額を年収で割った割合です。フラット35では、総返済負担率の基準が年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下と定められています。この総返済負担率には、住宅ローンのほか、自動車ローン、教育ローン、カードローンなど、すべての借入れの返済が含まれます。民間の住宅ローンの基準は、金融機関ごとに異なります。

50代、60代の住み替えでは、完済時年齢の上限から返済期間を長く取りにくくなります。期間が短いほど毎月の返済額は上がり、返済負担率に収まりにくくなります。頭金なしで借入額が増えると、この影響は強まります。確かめる方向は、頭金の有無ではなく、返済負担率が基準に収まるか、完済時年齢の範囲で返済期間を組めるかです。

出典: 国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」

出典: 住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」

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頭金なしで進めてよいかを判断する

進めてよいかは、4つの数字を確かめてから決めます。数字がそろえば、頭金なしのまま進めてよい状態か、条件を整えてから進む状態かを判断できます。

数字がないまま条件だけを読んでも、自分の答えは出ません。残債、売却の手取り見込み、新居で必要な現金、返済負担率の順にそろえます。

先に確かめる4つの数字

確かめるのは、住宅ローンの残債、現在の家の売却の手取り見込み、新居で必要な現金、返済負担率の4つです。

  • 住宅ローンの残債
  • 現在の家の売却の手取り見込み
  • 新居で必要な現金
  • 返済負担率

残債は、返済予定表、残高証明書、または借入先のインターネットバンキングで確かめます。売却の手取り見込みは、査定額から、仲介手数料、抵当権を外す登記の費用、印紙代など、売却でかかる費用を引いて出します。新居で必要な現金は、契約時の手付金、引き渡し時の諸費用、入居時の引っ越し代と予備費の合計です。返済負担率は、新しい借入の年間返済額を年収で割って求め、諸費用を借入に含めるなら、その分も借入額に入れて計算します。自動車ローンなど他の借入れがあれば、その年間返済額も合わせます。

手取り見込みは、査定額そのままではありません。査定額は成約価格を約束するものではなく、そこから売却の費用が引かれます。1社の査定額だけで決めず、複数社の査定と近隣の成約事例を突き合わせて、幅のある見込みとして持ちます。

新居で必要な現金の合計に、手付金を入れ忘れないでください。手付金を抜いた合計で動き出すと、契約の場で最初に足りなくなります。

そろった数字の使い方は次のとおりです。残債と手取り見込みを比べると、手取りが残債に届かない状況に当てはまるかが分かります。新居の支払いと売却代金が入る時点の前後を見ると、先に買うため手元に原資がない状況に当てはまるかが分かります。どれか一つに絞らず、当てはまるものをすべて挙げます。売却価格の見込みの取り方と、手取りと費用の試算は、次の記事で扱っています。

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頭金なしのまま進めてよい条件

売却の手取りで残債を返しきれること、契約時と引き渡し時の現金を用意できること、頭金なしで借りた場合の返済負担率が基準に収まること、完済時年齢の範囲で返済期間を組めること。この4つがそろえば、頭金なしのまま進めてよい状態です。

そろえた数字とは、次のように対応します。

  • 残債と手取り見込みを比べ、手取りのほうが大きい。届かない場合は、差額を現金か住み替えローンで埋められる
  • 新居で必要な現金の合計を、預貯金か、売却代金が入る時点までに用意できる
  • 新しい借入と他の借入れを合わせた年間返済額を年収で割った割合が、フラット35なら年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下に収まる(民間の基準は金融機関により異なります)
  • 退職の時期や完済時年齢の上限までに返し終える返済期間を組める

複数の状況が重なっている場合は、条件の重い順に満たします。手取りと残債の関係を最初に、次に支払いの時点を組めるかを、最後に手元の現金を確かめます。

条件どうしはつながっています。諸費用を借入に含めて手元の現金を減らさずに済ませると、その分は借入額に加わり、融資率が上がって金利の区分が変わり、年間の返済額も増えます。返済負担率は、その増えた返済額で計算します。現金の負担を減らすほど、返済負担率は上がります。

4つがそろっていても、融資を決めるのは金融機関の審査です。この条件は進める判断の目安であり、審査の結果を約束するものではありません。返済計画を自分の年収と年齢で組めるかは、借入先の金融機関やファイナンシャルプランナーへ相談して確かめます。

出典: 住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」

頭金を作るか時期を見直す条件

手取りで残債を返しきれず差額も埋められない、契約時の現金を用意できない、返済負担率が基準を超える、退職までの期間が短く返済期間を組めない。この状態なら、頭金なしのまま進めず、時期や条件を見直します。

取れる選択肢は4つです。

  • 残債を減らしてから売る
  • 購入の価格帯を下げる
  • 売却を先に済ませる
  • 住み替えの時期をずらす

繰り上げ返済で残債を手取り見込みの内側に入れれば、売却代金で抵当権を外せます。購入の価格帯を下げれば、借入額が減って返済負担率も融資率も下がります。売却を先に済ませれば、手取りが確定してから買えるため、その手取りを頭金と手続きの現金に回せます。時期をずらす選択は、現金を作る期間を取るためのものです。

数字を確かめないまま進めると、契約の場で手付金が足りない、売り急いで手取りが減り残債を返しきれない、二重の返済が長引く、返済負担率を超えて審査で止まる、といった形で行き詰まります。いずれも、進める前に4つの数字を確かめていれば避けられます。

先に売ってから買う進め方へ切り替えるだけで、頭金なしにしなくて済む場合もあります。売り先行と買い先行のどちらを選ぶかの判断は、次の記事にまとめています。

売り先行・買い先行はどちら?住み替えで損しない選び方と実践テクニック 売り先行・買い先行はどちら?住み替えで損しない選び方と実践テクニック

まとめ:進められるかを決めるのは頭金の有無ではない

頭金なしでも住み替えはできます。進められるかを決めているのは頭金の有無ではなく、現在の家の残債を返しきれるか、新しい借入の返済を続けられるか、手続きで動かす現金を用意できるかの3つです。

次の一歩は、住宅ローンの残債と、現在の家の売却の手取り見込みを確かめることです。この2つを比べないまま物件を探し始めると、契約の場で手付金が足りない、残債を返しきれず売却が進まない、という形で止まります。

残債は返済予定表で確かめられ、手取り見込みは査定額から売却の費用を引いて出せます。まずこの2つから始めてください。住み替えのトビラでは、頭金なしで住み替える条件と必要な現金も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。