住み替えで使える買換えの特例は、売って出た利益への税金をなくすのではなく、払う時期を先へ動かす仕組みです。
使うかどうかは、売って出る利益が自宅の控除で消える大きさかどうかを調べたうえで、将来の負担まで比べてから選びます。
売る家と買う家それぞれに付いた条件と、もう一つの控除との比べ方を、2つの段階に分けて説明します。
特定居住用財産の買換え特例は「税金が消える」のではなく「先送り」
特定居住用財産の買換え特例は、税金をなくす制度ではなく、支払う時期を将来へ動かす仕組みです。性質としては非課税ではなく、課税の繰り延べ(先送り)にあたります。
この記事は2段階で判定します。まず使えるかを要件で確かめ、次に3,000万円の特別控除と比べてどちらが得かを決めます。全体像と自分の現在地をつかんでいきましょう。
特定居住用財産の買換え特例の繰り延べとは何か(いつ・いくら払う)
繰り延べとは課税の免除ではなく、買い換えた家を将来売る時まで支払いを後ろへずらす仕組みです。
この特例を使うと、今回の売却で出た利益への税金を、新居を将来手放す時まで先送りできます。利益そのものが消えるわけではなく、納めるタイミングだけが将来へ移ります。住み替え時にまとまった税金を用意せずに済むのが、この特例の利点です。
国税庁が示す例で考えてみましょう。1,000万円で買った家を5,000万円で売り、7,000万円の家へ住み替えると、通常は差額の4,000万円が課税対象です。この特例を使えば、この4,000万円分を今は納めず、将来へ繰り越せます。
繰り越した利益は、新居を売る時に計算へ戻ってきます。仮に新居を8,000万円で売れば、その時の利益1,000万円に先送り分の4,000万円が加わり、合計5,000万円が課税対象です。税金が消えたのではなく、払う時期が将来へ動いただけだと分かります。
出典: 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
判定は2ステップ|要件と損得(3,000万円控除と比較)
進め方は、使えるか(要件)と、使うべきか(損得)の2段階に分かれます。
まず確かめるのは、売る家と買う家が決められた要件を満たすかどうかです。所有期間や売却代金など複数の条件があり、ひとつでも外れるとこの特例は使えません。
要件を満たしても、そこで選択は終わりません。特定居住用財産の買換え特例と3,000万円の特別控除は同時に使えず、二者択一だからです。自分にはどちらが得かを比べて選ぶことになります。今この2段階のどこにいるかを意識すると、判断に迷わずに済みます。
特定居住用財産の買換え特例を使えるか30秒セルフチェック
いくつかの要件をざっと当てはめると、先へ進めるか対象外かがすぐにわかります。
細かい確認に入る前に、大きく外れていないかをここで見極めましょう。次の項目に当てはまるほど、この特例を使える見込みは高まります。
- [ ] 売る家の所有期間が10年を超えている
- [ ] その家に通算で10年以上住んでいた
- [ ] 売却代金が1億円以下に収まりそう
- [ ] 売却の相手が親子や夫婦などの特別な関係者ではない
- [ ] 住み替え先となる家を取得する予定がある
ほぼ当てはまるなら、使える見込みがあり、次は損得の比較へ進めます。当てはまらない項目が多いなら、この特例より別の制度が向いているかもしれません。いずれの結果でも、次に取れる一手は残っています。
ここで挙げた項目は目安です。正確な要件・税額は、国税庁または税理士(税務署)で確認してください。
出典: 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
【ステップ①:使えるか】「売る家」は特定居住用財産の買換え特例の条件を満たしているか
売る家が所有期間や居住期間、売却代金などの条件を満たすかどうかが、最初の関門です。
ここからは売る側の家の要件を自分のケースに当てはめます。ひとつでも外れると使えないため、満たさないときの手当ても一緒に見ていきます。
あなたの所有期間は10年超か、居住期間は通算10年以上か
売る家は、所有期間が10年を超え、住んだ期間が通算10年以上であることが最初の条件です。
所有期間は売った年の1月1日時点で、10年を超えている必要があります。マンションの場合は、建物(専有部分)と敷地権をともに10年超で所有していることが判断の軸です。取得した日を確かめる書類が登記事項証明書で、相続で引き継いだ家なら前の所有者が持っていた期間も通算できます。
居住期間は通算で10年以上あれば足り、連続して住み続ける必要はありません。単身赴任や建て替えで一時的に離れた期間があっても、戻って住んだ年数と合算できます。住んでいた履歴は住民票や除票からたどれます。
転勤で数年家を空けたケースを考えてみましょう。前後の居住を合わせて10年に届けば、条件を満たせます。合算で9年など一歩手前なら、もう一度住んで通算を伸ばす手も残ります。
注意したいのは、所有期間を売った年の1月1日で測る点です。売る時期を一年ずらすだけで、満たすかどうかが変わる場合があります。条件にあと少し届かないなら、急いで売らずに期間が伸びるのを待つ選び方もあります。
出典: 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
あなたの売却代金は1億円以下か|使える上限ライン
売却代金が1億円を超えると、特定居住用財産の買換え特例は使えません。
判定の対象になるのは、マンションであれば専有部分と敷地権を合わせた売却代金そのものです。手数料や税金を差し引く前の総額で見るため、想定より大きく出やすい点に注意が必要です。
ひとつの物件を複数年に分けて売ると、前後の年の代金も合算して判定される場合があります。1億円を超えるなら、この特例ではなく別の控除や特例を選ぶことになります。
特別な関係者への売却でないか・転居後3年以内に売るか
親子や夫婦など特別な関係者への売却ではなく、転居後は決められた期限までに売ることが条件です。
売る相手が配偶者や親子、生計をともにする親族だと、この特例の対象になりません。売った家にそのまま同居する親族や、内縁関係の相手なども同じ扱いです。
今は住んでいない家を売るなら、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までが売却の期限です。「3年以内」でも「3年目の年末」でもなく、3年が過ぎる日が入る年の年末まで、という2段構えの数え方です。引っ越し後に空き家を長く放置すると、この期限に間に合わなくなります。マンションは戸建てと違い取り壊しの論点が生じにくいので、売却の段取りを早めに固めておくと安心です。
出典: 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
【ステップ①:使えるか】「買う家」は特定居住用財産の買換え特例の条件を満たしているか
買う家にも床面積や築年数、耐震や取得時期などの条件があり、売る家とそろって初めて使えます。
ここで確かめるのは買う側の家の要件です。マンションを買う人に関係する条件と、土地付き戸建て向けの条件を仕分けながら見ていきます。
あなたの新居(マンション)は専有部分の床面積50㎡以上か
買う家がマンションなら、確かめる面積は専有部分の床面積が50㎡以上かどうかだけです。
この特例の面積要件には「建物の床面積50㎡以上」と「土地500㎡以下」の2つがありますが、後者の『土地500㎡以下』は土地付き戸建てに向けた要件です。マンションから住み替えて別のマンションを買う人は、敷地は共有の敷地権なので土地面積の上限が問題になる場面はほとんどなく、専有部分の床面積50㎡以上のみを確認すれば足ります。
専有部分の面積は登記事項証明書の記載値で確かめます。マンションは販売図面(壁芯)より狭い内法面積で登記されるため、50㎡前後の住戸は特に注意が必要です。図面上は50㎡を超えていても、登記面積では届かないことがあります。
売る家の要件をすべて満たしていても、新居がこの面積から外れると特例は使えません。ワンルームなど専有面積が小さい住戸は、この時点で対象から外れます。
あなたの新居は築25年以内か、新耐震基準を満たすか
中古を買うなら築25年以内か耐震基準への適合、新築なら省エネ基準への適合が条件です。
買う家が新築か中古かで、確かめる条件が変わります。新築なら築年数は問われませんが、中古は建てられた時期や耐震性が判定の軸になります。中古マンションを検討する人が多いので、まず中古の条件を押さえておきましょう。
中古のマンションを新居にする場合、まず見るのは取得の日以前25年以内に建築されたものかどうかです。25年を超えていても、一定の耐震基準を満たすものであれば要件を満たします(耐震基準適合証明書などで示します)。あわせて、買い換える建物の床面積が50㎡以上であることも要件です(土地を取得する場合は面積500㎡以下)。建築の時期は登記事項証明書の建築日付で確認でき、構造の安全性は検査済証などからもたどれます。
築25年を超えていても、あきらめる必要はありません。耐震基準適合証明書を取得できれば対象になり、基準に届かない家でも耐震改修で満たせる場合があります。古い物件を選ぶときは、契約前に適合の見込みを確かめておくと安心です。
新築には別の条件が加わります。2024年1月以降に入居する新築は、断熱と一次エネルギー消費量の等級がそれぞれ4以上の省エネ基準を満たす必要があります。この性能を示すのが、住宅省エネルギー性能証明書や建設住宅性能評価書です。
出典: 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
買い替え時期や災害レッドゾーンなど最新条件をクリアするか
新居の取得や入居の時期に加え、売却が令和9年(2027年)末までという期限も満たす必要があります。
新居は売った年の前年から翌年までの間に取得しなければなりません。住み始める期限も決まっていて、売った年かその前年に取得したなら、翌年の年末までに入居します。
この特例には適用の期限があります。令和9年(2027年)12月31日までの譲渡が対象です。以前は令和7年(2025年)12月31日までとされていましたが、令和8年度の税制改正で2年延長されました。改正法(令和8年法律第12号)は令和8年3月31日に公布されており、延長は決まっています。国土交通省の改正概要では「2年間(令和8年1月1日〜令和9年12月31日)延長する」と期間で明記されています。
ひとつ注意があります。国税庁のタックスアンサーNo.3355 は、2026年8月時点でも改正前の「令和7年12月31日」の表示のままです(同ページは「令和7年4月1日現在法令等」を基準に作られているためです)。国税庁のページと本記事で期限が食い違って見えたときは、財務省「令和8年度 税制改正の解説」を確認してください。
出典: 財務省「令和8年度 税制改正の解説」租税特別措置法等(所得税関係)の改正
令和8年度の改正で、買う家の側に要件が加わりました。買換資産が「建築後使用されたことのない家屋」(つまり新築)で、令和10年(2028年)1月1日以後に居住の用に供する(またはその見込みの)場合は、災害危険区域等の内に建築された家屋は対象外になります。この要件は、令和8年1月1日以後に譲渡資産を譲渡する場合の買換資産から適用されます。該当しそうな立地なら、購入前に区域指定の有無を確認しておくと安心です。
出典: 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」 / 国土交通省「住宅:居住用財産の譲渡に関する特例措置」
要件をクリアした人へ:特定居住用財産の買換え特例を使うと「いくら」効くのか
使えると確かめられたら、今いくら先送りできて、将来いくら払うのかを数字で見ます。
ここで使うのは、自分の売却額や取得費などの手元の数値です。繰り延べられる税額から、将来の負担の膨らみまでをたどります。以下の金額はあくまで目安で、実際の税額は国税庁または税理士で確認してください。
特定居住用財産の買換え特例で今「先送りできる」税額はいくらか
売却額が買換額に収まるなら、譲渡益にかかるはずの税金を全額そのまま先送りできます。
全額を先送りできるのは、売った金額が新居の取得額以下に収まるときです。その年の譲渡益はなかったものとして扱われ、今回は税金を納めずに済みます。
譲渡益は、売却額から取得費と譲渡費用を差し引いた金額です。これに税率を掛けると、先送りできる税額が見えてきます。
税率は、所得税15%・住民税5%に、所得税額の2.1%が復興特別所得税として加わる形で、合わせて20.315%が基本です(所有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合)。所有期間は売った年の1月1日時点で数えます。
出典: 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」 / 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
たとえば、取得費2,000万円の家を6,000万円で売り、6,500万円の家へ買い換えたとします。売却額が買換額に収まるので、譲渡益はそのまま先送りされます。譲渡費用を200万円とすると、先送り額は3,800万円、税額にしておよそ772万円です。
出典: 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
売却額が買換額より大きいと、差額にいくら課税されるか
売却額が買換額を上回ると、その差額が今回の課税対象になります。
課税の対象は差額そのものではありません。取得費や譲渡費用のうち、差額に対応する分を差し引いた残りが課税されます。
たとえば1億円で売って7,000万円の家へ買い換え、取得費と譲渡費用が合わせて1,500万円だったとします。差額3,000万円から対応する経費450万円を引いた2,550万円が課税対象になり、税額はおよそ518万円です。
出典: 国税庁「No.3358 売った金額より少ない金額でマイホームを買い換えたとき」
その税金は将来いつ・いくらに膨らむか、新居の売却や相続で変わる
先送りした税金は消えず、新居を売る時や相続の時に形を変えて現れます。
鍵になるのは、新居に引き継がれる取得費です。この特例を使うと、新居の取得費は実際の購入額ではなく、旧居から引き継いだ低い金額になります。この低い取得費こそが、繰り延べた利益の正体です。
その新居を将来売ると、低い取得費をもとに利益が計算されます。実際の値上がりが小さくても、引き継いだ取得費との差で大きな利益が出て、繰り延べた分がここで課税されます。売却が10年後でも20年後でも、先送りした利益が消えることはありません。
売らずに相続へ回すと、その時点で譲渡所得税はかかりません。ただし相続した人も低い取得費を引き継ぐため、繰り延べた利益はそのまま次の世代へ移ります。加えて、その不動産は相続税の対象にもなります。
こうして見ると、繰り延べは「いつか精算される」前提の仕組みです。この先も住み続けるか、いずれ売るか遺すかで、税金の現れ方は変わります。目先の繰延額に加えて、将来の負担まで見比べておくことが欠かせません。
出典: 国税庁「No.3362 居住用財産の買換えの特例を受けて買い換えた資産の取得価額とされる金額の計算」
【ステップ②:使うべきか】特定居住用財産の買換え特例と3,000万円控除のどちらを選ぶべきか
特定居住用財産の買換え特例と3,000万円控除は同時には使えず、選ぶのはどちらか一方です。
有利なほうは、売却益の大きさや将来の負担をどう考えるかで変わります。代表的な3つの場面で、選ぶ方向を比べていきます。
| 比較項目 | 特定居住用財産の買換え特例 | 3,000万円控除 |
|---|---|---|
| 効果 | 課税を将来へ繰り延べ | 売却益から最大3,000万円を控除 |
| 税金 | なくならず先送り | 控除内なら非課税 |
| 売る家の要件 | 所有・居住10年などやや厳しい | 比較的ゆるい |
| 10年超軽減税率との併用 | 不可 | 可 |
| 新居の住宅ローン控除 | 併用不可 | 併用不可 |
| 向く人 | 買換額が大きく資金を残したい | 売却益が3,000万円に収まる |
特定居住用財産の買換え特例は、3,000万円の特別控除だけでなく、10年超所有の軽減税率とも併用できません。新居の住宅ローン控除ともあわせて使えないため、これらのどれかと二者択一になると押さえておきましょう。
出典: 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
どちらが向くかは状況で分かれるので、自分に近い場面から見ていきましょう。
売却益が3,000万円に収まりそうなら、どちらが得か
売却益が3,000万円に収まりそうなら、非課税にできる3,000万円控除が向きやすいといえます。
3,000万円控除は、売却益から最大3,000万円を直接差し引ける特例です。益がこの枠に収まれば税金はかからず、将来へ持ち越す負担も残りません。
一方の特定居住用財産の買換え特例は税金を先送りするだけなので、いずれ支払いが戻ってきます。売却益が小さいうちは、繰り延べるより今すっきり非課税にするほうが分かりやすく、手元の計画も立てやすくなります。
売却益が3,000万円を大きく超えるなら、どちらが得か
売却益が3,000万円を大きく超えるほど、控除しきれない部分が出て、繰り延べる特定居住用財産の買換え特例の効果が増します。
控除できる額の上限は3,000万円です。それを超えた益にはそのまま課税され、たとえば益が6,000万円なら半分の3,000万円が残ります。
この特例の強みは、買換額が売却額以上なら益の全額を先送りできる点です。当面の納税を抑えられるので、住み替えで手元資金を厚く残したい人に向きます。
ただし、先送りした分は将来その家を売る時に戻ってくるお金です。長く住み続けるのか近いうちに手放すのかを見据えて、目先の節税と将来の負担を比べます。
新居で住宅ローン控除を使いたいならどちらを選ぶか
新居で住宅ローン控除を使いたいなら、特定居住用財産の買換え特例も3,000万円控除も併用できない点が分かれ目です。
住宅ローン控除の対象は新居、これらの譲渡特例の対象は売る旧居です。新居でローン控除を使う年とその前後の一定期間にこれらの特例を受けると、ローン控除は受けられません。特定居住用財産の買換え特例でも3,000万円控除でも、新居側のこの扱いは変わりません。
つまり、新居でローン控除を取るか、売却益に譲渡の特例を使うかの二者択一になります。どちらを選ぶかは、ローン控除の戻りと、特例で減らせる税額や繰り延べ額を比べて決めます。
目安になるのは、住宅ローンの借入額の大きさです。借入が大きいほどローン控除の戻りが効き、特例を見送る判断もあり得ます。逆に売却益が大きいほど特例の節税が上回りやすく、ローン控除をあきらめる選択も出てきます。どちらが有利かは条件で変わるため、税理士に確認しながら決めると安心です。
出典: 国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
特定居住用財産の買換え特例が使えない・選ばない人の出口と、次に取るべき一手
この特例を使えない人も、使うと損になる人も、それぞれ別の道へ進めます。
判定の結果がどうであっても、行き止まりにはなりません。代わりになる特例と、損得を固めるための売却額の確かめ方を案内します。
特定居住用財産の買換え特例の要件を満たさなかった人が検討できる他の特例・代替ルート
この特例の要件を満たさなくても、3,000万円控除など別の特例を検討できます。
売却益が出ているなら、まず3,000万円控除が候補になります。この控除は所有期間や居住期間を問わないので、10年の要件で外れた人にも開かれた選択肢です。
所有期間が10年を超えていれば、3,000万円控除に軽減税率を重ねて残りの益の税率も下げられます。売って損失が出たときの受け皿は、譲渡損失の損益通算や繰越控除の特例です。この2つの特例も、令和8年度の改正で同じ令和9年(2027年)12月31日までの譲渡へ2年延長されています。
この損失の特例は住宅ローン控除と併用できるため、買い替え後のローン控除も生かせます。どの特例が向くかは状況で変わるので、当てはまりそうなものから確かめていきます。
出典: 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」 / 国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき」
使えるが損になる人が選ぶべき特例(3,000万円控除・軽減税率など)
比べた結果3,000万円控除を選ぶなら、次の一手は軽減税率の併用です。
控除しきれず残った益があっても、所有10年超のマイホームなら軽減税率を重ねられます。3,000万円控除と軽減税率は同じ年に使えるので、残った部分にかかる税率を下げられます。
これらの特例は、申告しなければ適用されません。売った翌年の申告期間に、控除や軽減税率を使う旨を申告して初めて受けられます。
出典: 国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
最終判断の前に必要な「正確な売却額」を査定で確かめる
どの道を選ぶにも、まず必要なのは正確な売却額です。
ここまでの判断は、すべて売却額と取得費の見込みが土台です。売却額があいまいなままだと、控除に収まるか繰り延べが得かの線引きもぶれてしまいます。
相場感をつかむには、複数の会社に査定を頼んで見比べる方法があります。複数社の見立てをまとめて比べられるのが、住み替えのトビラの一括査定です。
査定額はあくまで目安で、最終的な売却額や税額は条件によって変わります。特例の適用や有利不利の最終判断は、国税庁または税理士(税務署)に確認すると安心です。正確な売却額を手に、自分に合う一手を選んでいきましょう。
まとめ:居住用財産の買換え特例を見定めるなら、住み替えのトビラ
買換えの特例は、税金を消す仕組みではありません。今回払わずに済んだ分は、次の住まいを手放すときにまとめて課されます。
先送りを選ぶ前に、自分の利益が控除で消える大きさかどうかを先に計算します。消える側なのに先送りを選ぶと、払わずに済んだはずの税を将来抱えることになります。
どちらを使うかを決める前に、自分の利益がどれくらいになるのかを確かめておきましょう。住み替えのトビラでは、住み替えで使える税の特例の選び分けも含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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