住み替え(買い替え)の資金計画を立てようと課税明細書を開いたものの、どの数字が評価額なのか分からずに困っている人もいるでしょう。
分かりにくいのは、マンションでは土地と家屋で欄が分かれ、土地の欄にほかの住人の分も含めた敷地(マンションが建つ土地)全体の額が載ることもあるからです。
この記事を読めば、手元の課税明細書から自分のマンションの評価額を迷わずに出せるようになります。
固定資産税評価額は、課税明細書の「価格」欄を見れば分かる
固定資産税評価額は、毎年届く課税明細書の「価格」欄に載っています。
住所を入れるだけで評価額が分かるネットのサービスはないため、正確な数字は課税明細書で確かめることになります。
課税明細書が見つからないときは、役所で「評価証明書」(正式名は固定資産評価証明書)を取れば、同じ評価額が分かります。
調べ方ごとの違いは、次の表のとおりです。
| 調べ方 | 分かること | 費用と時間 | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 課税明細書(毎年届く) | 土地と家屋それぞれの評価額と税額 | ・無料 ・届いたらすぐ見られる | ・最初に見る ・マンションは土地と家屋の欄を両方読む |
| 評価証明書(役所の窓口) | その年度の評価額(前の年度の分も取れる) | ・1件300〜400円ほど ・その日のうちに受け取れる | 課税明細書をなくしたとき |
| 評価証明書(電子申請・郵送・コンビニ) | 窓口で取るものと同じ | ・1件300〜400円ほど ・コンビニはその場で受け取れる ・電子申請と郵送は数日かかる | 役所へ行く時間がないとき |
| 名寄帳(なよせちょう) | 同じ市区町村にある自分の土地と家屋の一覧と評価額 | 自治体によって異なる | 敷地がいくつかの区画に分かれていて、土地の額を漏れなく確かめたいとき |
| 全国地価マップ | 土地1㎡あたりの価格の目安 | ・無料 ・ネットですぐ見られる | 土地の価格の目安を知りたいとき(家屋の額は分からない) |
課税明細書の「価格」欄が評価額
課税明細書の「価格」と書かれた欄の金額が、固定資産税評価額です。
自治体によっては、この欄が「評価額」という名前になっています。どちらの名前でも、載っている金額は同じです。この記事では、この金額を「評価額」と呼びます。
課税明細書は、固定資産税の納税通知書と同じ封筒で届きます。届くのは4〜6月ごろ(東京23区は6月)で、あて先はその年の1月1日に持ち主だった人です。
課税明細書には「課税標準額」と「税額」も並んでいますが、どちらも評価額とは別の数字です。課税標準額は、税率を掛けるもとになる額を指します。
税額を1.4%(多くの市区町村の税率)で割って評価額を出す方法も見かけますが、この方法では土地の額が大きく外れます。
住宅が建つ土地は、課税標準額が評価額の6分の1以下に下げられているからです(地方税法第349条の3の2)。そのため、税額から計算し直した土地の額も、本当の評価額の6分の1以下になってしまいます。
課税明細書は再発行しない自治体が多いので、住み替えが終わるまで取っておきましょう。家の売却を仲介会社(家の売り買いをなかだちする不動産会社)に頼むと、相談を始めたころに課税明細書の写しを求められます。
仲介会社はこの写しを、固定資産税を売主と買主で分ける計算や、登記(家や土地の持ち主を国の記録に載せる手続き)にかかる費用の見積もりに使います。
去年の課税明細書しか見つからないときも、たいていは同じ評価額を使えます。評価額は3年に1度の「評価替え」で見直され、その間の年はふつう同じ額が使われるためです(地方税法第349条)。
今の額は、令和6年度から令和8年度(2024〜2026年度)まで使われます。次の評価替えは2027年度なので、2027年に届く課税明細書からは新しい額に変わります。
また、地価が下がった地域では、評価替えのない年でも土地の額が下がることがあります。
マンションは、土地と家屋の評価額を足す
マンションの評価額は、課税明細書の土地の欄と家屋の欄にある額を足すと分かります。
片方の欄だけを見ると、評価額を実際より少なく見積もってしまいます。土地の欄が敷地全体の額になっているときは、足す前に自分の分に直す必要があります。
家屋の欄の額には、自分の部屋(専有部分)の分と、廊下やエレベーターなど住人みんなで使う部分(共用部分)のうちの自分の分が、両方含まれています。共用部分の額を別に探さなくても、家屋の欄の額をそのまま使えます。
登記の記録では、敷地が「筆(ひつ)」という単位でいくつかの区画に分かれていることがあります。そのときは土地の欄も何行かに分かれ、すべての行の額を合わせた額が土地の欄の合計になります。
鉄筋コンクリート造のマンションは、木造の戸建てより家屋の評価額がゆっくり下がります。建ってから年数がたっていても家屋の額が合計の大きな部分を占めることがあるので、家屋の欄を見落とさないようにしましょう。
土地の欄が敷地全体の額なら、敷地権の割合を掛ける
土地の欄に敷地全体の額が載っているときは、その額に「敷地権の割合」を掛けると、自分の分の土地の額が出ます。
敷地権とは、マンションの部屋の持ち主が敷地を使うために持っている権利のことです。敷地権の割合は、敷地のうち自分が持っている分の割合で、「1万分の250」のような分数で表されます。
この割合は、買ったときの売買契約書や重要事項説明書(契約の前に仲介会社から説明を受けた書類)に書かれています。
書類が手元に見当たらなければ、法務局(登記を扱う国の役所)で登記事項証明書を取ると、「敷地権の表示」という欄で確かめられます。
土地の欄に載る額は、自治体によって次の2通りがあります。
- 敷地全体の額が載る(東京23区など)
- 自分の分に直した額が載る
手元の課税明細書がどちらなのかは、土地の欄の面積(地積)で見分けられます。数百〜数千㎡のように敷地全体の広さが書かれていれば、額も敷地全体の分とみてよいでしょう。
東京23区の課税明細書では、家屋の欄にも建物1棟全体の額と自分の部屋の額が並びます。このうち評価額にあたるのは、自分の部屋の額のほうです。
次の例で計算してみましょう(数字は説明のための仮の値です)。
| 課税明細書の欄 | 載っている額 | 自分の分の計算 |
|---|---|---|
| 土地(敷地全体の額) | 3億円 | 3億円×1万分の250(2.5%)=750万円 |
| 家屋(自分の部屋の額) | 1,200万円 | そのまま1,200万円 |
| 評価額の合計 | ― | 750万円+1,200万円=1,950万円 |
この計算で起こりやすい間違いは、次の2つです。
- 敷地全体の額をそのまま足す(上の例なら合計3億1,200万円になり、本当の額の約16倍になる)
- 自分の分に直してある額に、もう一度割合を掛ける(上の例なら土地の額が約19万円になる)
土地の欄の額が敷地全体の分なのか自分の分なのか迷ったときは、市区町村の固定資産税の窓口(東京23区は都税事務所)に電話などで聞けば、どちらなのかを教えてもらえます。
課税明細書がないときは、評価証明書を取る
課税明細書が見つからないときは、マンションのある市区町村の役所(東京23区は都税事務所)で評価証明書を取ると、評価額が分かります。
家を売るときの登記に使う評価証明書は、司法書士(登記の手続きを代わりに行う専門家)が代わりに取るのが普通です。売主が自分で取りに行くのは、課税明細書をなくしていて、資金計画のために評価額を早く知りたいときに限られます。
役所の窓口なら、評価証明書をその日のうちに受け取れる
評価証明書は、役所の窓口で請求すれば、その日のうちに受け取れます。
手数料は1件300〜400円ほどです。マンションは土地と家屋で2件以上になることがあり、何を1件と数えるかは自治体によって異なります。
請求できるのは、持ち主本人、本人と同じ世帯の家族、本人の委任状(手続きを頼んだことを示す書面)を持った代理人です(地方税法第382条の3)。窓口では本人確認書類が必要で、代理人の場合は委任状も出すことになります。
役所では、名寄帳(なよせちょう)も請求できます。名寄帳は、その市区町村にある自分の土地と家屋を一覧にしたもので、評価額も載っています。
敷地が何筆にも分かれているマンションでは、名寄帳を見れば土地の行を漏れなく確かめられます。
東京23区では、都が評価額のデータを法務局へ送っているため、登記には評価証明書の代わりに課税明細書の写しを使えることになっています。
ただし、新しい年度の課税明細書がまだ届いていない4月と5月の登記では、評価証明書が必要です。
ネットでは土地の価格の目安が見られ、評価証明書も請求できる
ネットでできるのは、地図で土地の価格の目安を見ることと、評価証明書を請求することの2つです。
土地の価格の目安は、一般財団法人資産評価システム研究センターの全国地価マップで見られます。地図に出る「固定資産税路線価」は、道路に面した土地1㎡あたりの価格で、固定資産税の評価額を決めるもとになります。
ただ、マンションで路線価から自分の土地の額を出すには、路線価に敷地全体の面積と敷地権の割合を掛け、さらに土地の形に合わせて額を直す必要があります。
家屋の額も地図では分からないので、評価額を知りたいなら、課税明細書か評価証明書を見るほうが早く、数字も正確です。
評価証明書は、自治体によってはネットの電子申請で請求できます。郵送で請求できる自治体や、マイナンバーカードを使ってコンビニで受け取れる自治体もあります。
ただし、熊本市のように、コンビニで取れる証明書を最新の年度の分や、1人の名義で持っている物件の分に限っている自治体も見られます。
夫婦の共有名義(2人以上で持っていること)のマンションなら、電子申請や郵送、窓口で請求するのがおすすめです。
請求の方法は、マンションのある市区町村のホームページに載っています。検索サイトで「市区町村名 固定資産 評価証明 電子申請」と調べると、案内のページにたどり着けます。
出典: 熊本市「市税に関する証明の申請 固定資産関係証明書」
住み替えで評価額を使う場面と、使わない場面
住み替えで評価額が必要になるのは、主に買う家の登記費用と税金を見積もるときです。
売る家の値段を考えるときに目安になるのは、評価額ではなく、実際に売れた例や査定の額です。
自分の家の課税明細書を読めるようになっておくと、買う家の課税明細書の写しを見せてもらったときも、同じ読み方で評価額を確かめられます。
売る家と買う家では、使う数字が違う
評価額が直接かかわるのは、売る家よりも買う家のほうです。
| 場面 | 使う数字 | 用意する人・役所 |
|---|---|---|
| 売る家の固定資産税を売主と買主で分ける(精算) | 売る家の課税明細書の税額 | 売主(課税明細書を仲介会社へ渡す) |
| 買う家の登記にかかる税金(登録免許税) | 買う家の土地と家屋の評価額 | 司法書士 |
| 買う家を手に入れたときの税金(不動産取得税) | 買う家の土地と家屋の評価額 | 都道府県(税額を計算して通知する) |
| 買う家で毎年かかる固定資産税の見込み | 買う家の課税明細書の税額 | 仲介会社(売主から課税明細書の写しをもらう) |
売る家では、その年の固定資産税と都市計画税(街づくりに使われる税金で、固定資産税と一緒に納める)を、引き渡しの日を境に日割りして売主と買主で分けるのが一般的です。これを「精算」といいます。
精算に使うのは評価額ではなく税額なので、売主は課税明細書を仲介会社に渡しておけば準備は済みます。
買う家の評価額は、仲介会社が売主から課税明細書の写しを取り寄せて確かめ、登記費用の見積もりに使います。買主が自分で役所へ調べに行く必要はなく、仲介会社に写しを見せてもらえば数字が分かります。
新築マンションの多くは、評価額が決まる前に引き渡しを迎えます。その場合、建物の分の登録免許税は、法務局が新築の建物用に定めた1㎡あたりの価格をもとに計算されます。
不動産取得税の納税通知書は、引き渡しの数か月〜1年ほど後に、都道府県から届きます。忘れたころに届くので、資金計画に最初から入れておきましょう。
登録免許税の税率や、税金が軽くなる条件は、登記費用の記事に計算例とあわせてまとめています。
売れる値段は、成約事例と査定で確かめる
マンションがいくらで売れるかは、評価額から計算せずに、同じマンションの成約事例(実際に売れた値段の記録)と仲介会社の査定で確かめましょう。
土地の評価額は、国が毎年公表する土地の価格(公示地価)の7割ほどを目安に決められています。
ただ、部屋の階数や眺めは売り値を大きく左右する一方で、評価額にはほとんど反映されていないのが実情です。そのため、評価額に決まった数を掛けて売り値を出すと、実際の売り値から大きく外れることがあります。
評価額から売り値を出す方法が外れる理由と、売れる値段の確かめ方は、次の2つの記事で詳しく取り上げています。
まとめ:マンションの評価額は、土地の欄を自分の分にしてから家屋と足す
マンションの固定資産税評価額は、課税明細書の土地の欄が敷地全体の額なら敷地権の割合を掛けて自分の分に直し、その額と家屋の額を足すと分かります。
住み替えで評価額が必要になるのは、主に買う家の登記費用と不動産取得税です。買う家の課税明細書の写しを早めに仲介会社から見せてもらっておくと、資金計画で税金の額を見誤らずに済みます。
まずは手元の課税明細書を開き、土地と家屋の欄を確かめておきましょう。住み替えのトビラでは、マンションの固定資産税評価額の読み方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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