一括査定を出した翌日から知らない番号の着信が続いて、どう止めればいいのか分からない。この記事は、そんな状態にある方へ向けたものです。
先に結論を言うと、電話は「売らない」「連絡は不要」とはっきり伝えるだけで止められます。この記事では、電話が止まらない仕組み、今日できる止め方、断っても続くときの相談先、そして住み替えを続けるために残す会社の選び方まで、順に説明します。
マンション一括査定の電話が止まらない理由
一括査定を出した直後から、複数の不動産会社の電話が重なって鳴る。これは担当者の性格ではなく、一括査定という仕組みそのものが生む現象です。仕組みを知っておくと、次の章で断るときに迷いが消えます。
一括査定サイトが不動産会社から紹介料を受け取る仕組み
一括査定サイトは、利用者からは無料です。その代わり、査定依頼を1件受け取るごとに、不動産会社がサイトへ紹介料を払っています。
つまり、あなたが査定フォームを送った瞬間に、複数の会社がそれぞれお金を払って、あなたの連絡先を受け取っています。
会社にとって、この紹介料は媒介契約(売却を任せてもらう契約)を取れてはじめて回収できます。だから担当者は、払った分を取り返すために、できるだけ早く接触しようとします。
電話がしつこいのは、先にお金を払っている会社側の事情です。ここを知っておくと、断るときの後ろめたさが消えます。
先に接触した不動産会社が媒介契約を取りやすい競争
不動産会社の間では、同じ売主に複数社が連絡する場合、最初に話ができた会社が有利という考え方が広く共有されています。売主は最初に丁寧な説明を受けた会社に安心感を持ちやすく、その後に他社を比べる基準も、最初の会社の説明になりがちだからです。
一括査定サイトは、あなたの依頼を各社へ同時に送ります。各社は「他社も同じ依頼を受け取っている」と分かっているので、1分でも早く電話をかけようとします。依頼を送った直後に着信が重なるのはこのためです。
つながらないときは、時間を変えてかけ直します。留守電やSMS、メールが続くのも、他社に先を越されたくない競争の裏返しです。
机上査定でも売却時期や残債を確認したい電話
電話の目的には、営業のほかに確認があります。机上査定(現地を見ずに出す査定)でも、フォームの入力だけでは足りない条件があり、担当者はそれを聞きたがります。
たとえば、次のような内容です。
- いつごろ売りたいか
- 住宅ローンの残債はいくらか
- 室内のリフォーム歴や傷み具合
- 住み替え先は決まっているか
これらで査定額や提案の中身が変わるため、「一度お電話で」と連絡してきます。
ただし、この確認は一度で済むはずです。同じ内容を何度も聞いてくる、査定額を伝えた後も「その後いかがですか」と続く。そうなったら、確認から追客に変わったと考えてください。区別しておくと、どの電話を切っていいか判断しやすくなります。
断らない限り電話が減らない期間
正直に言うと、放置しても電話は減りにくいです。「そのうち諦めるだろう」は、多くの場合、外れます。
多くの会社は、査定依頼をした相手を見込み客として名簿に登録し、担当者が定期的に連絡するルールを持っています。1週間後、1か月後、3か月後といった節目で「その後いかがですか」と連絡が来る仕組みです。
着信が集中するのは依頼から数日間です。ただ、その後も月に数回の連絡がだらだら続くケースはよくあります。会社側は「まだ売っていない=まだ見込みがある」と判断するからです。
電話を減らす一番の近道は、「売らない」または「連絡は不要」と伝えて、名簿から外してもらうことです。次の章で、その伝え方を順に説明します。
一括査定の営業電話をしつこいと感じる場面については、電話の本数の内訳や、申し込んでいない会社からの勧誘電話との見分け方を別の記事にまとめています。
一括査定の電話を止める方法
止め方は4段階です。上から順に試すのがおすすめです。多くの場合、最初の1つか2つで止まります。
| 段階 | 方法 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 1 | 電話に出て断る | 一番早く止めたい |
| 2 | メールで断る | 電話に出るのが負担 |
| 3 | サイトの運営に依頼する | 会社ごとに断るのが面倒 |
| 4 | 着信拒否にする | 断った後も続く |
電話に出て売却の予定がないと伝える断り方
一番早いのは、電話に一度出て、はっきり断ることです。
ポイントは、「検討中です」を避けること。検討中と答えると、会社側は見込み客として名簿に残し、定期的に連絡を続けます。
使える言い方は3つです。
- 「今回は売却しないことにしました」
- 「他社にお願いすることに決めました」
- 「今後のご連絡は不要です」
理由は短くて大丈夫です。相手が「差し支えなければ理由を」と聞いてきても、「決めたことなので」で十分です。
断った日付と会社名、担当者名はメモしておきましょう。後で説明する宅建業法では、断った相手への再勧誘が禁止されています。「いつ誰に断ったか」が残っていれば、それ以降の電話に強い立場で対応できます。
査定後の営業電話を断るときの言い回しは、場面ごとの文例を別の記事にまとめています。
電話に出ずにメールで断る文面
電話に出るのが負担なら、メールで断る方法があります。査定依頼をすると、多くの会社からメールも届いているはずです。そのメールに返信する形で送れば、担当者に直接届きます。
文面は短くて大丈夫です。そのまま使える例を置いておきます。
〇〇と申します。先日は一括査定でご連絡をいただき、ありがとうございました。
検討の結果、今回は売却を見送ることにしました。
つきましては、今後のお電話・メール等のご連絡は不要です。よろしくお願いいたします。
大事なのは「連絡は不要」と書くことです。「またご相談するかもしれません」といった気遣いの一言を入れると、会社側はそこを拾って連絡を続けます。書くのは、断りだけで十分です。
送ったメールは残しておきましょう。断った証拠として、後で運営や行政に相談するときに使えます。
一括査定サイトの運営に連絡停止を依頼する手順
会社ごとに断るのが面倒なら、一括査定サイトの運営へまとめて依頼する方法があります。
多くのサイトには問い合わせフォームや利用者向けの相談窓口があり、「連絡を止めてほしい会社」を伝えると、運営から会社へ連絡してくれます。サイトによっては、利用者の代わりに断りを入れる代行サービスを用意しているところもあります。
手順は次の3つです。上から順に進めます。
- サイトのマイページか問い合わせフォームを開く
- 査定依頼の日付と、止めたい会社名(分かれば担当者名)を書く
- 「今後の連絡を停止してほしい」と書いて送る
運営からの連絡は、会社にとって重みが違います。しつこい勧誘の苦情が重なると、その会社はサイトから登録を外される可能性があるためです。個人の断りより効きやすいと考えてください。
着信拒否に切り替える判断
着信拒否は、最後の手段です。順番を間違えると、逆に長引きます。
断りを伝える前に着信拒否をすると、会社側は「つながらない」としか記録できず、時間や番号を変えてかけ続けます。会社によっては、担当者を替えて別の番号からかけてくることもあります。
使うタイミングは、電話かメールで「連絡不要」と伝えた後です。断った記録が残っていれば、その後の着信は会社側の再勧誘にあたるので、安心して拒否できます。スマートフォンの設定で番号ごとに拒否するか、迷惑電話対策のアプリを使えば、代表番号と担当者の携帯番号をまとめて止められます。
ひとつだけ注意があります。残すと決めた会社の番号は、拒否から外しておきましょう。番号を登録するときに会社名を入れておくと、間違いを防げます。
断っても電話が続くときの対処法
はっきり断ったのに電話が続くなら、対応の段階を一つ上げます。順番は、記録、会社の責任者、行政です。
着信の日時と担当者名を記録する
断った後も電話が続くなら、まず記録を始めてください。
残すのは、次の4つです。
- 着信の日時
- 会社名と担当者名
- 話した内容(出た場合)
- 着信履歴のスクリーンショット
記録が大事なのは、この後の対応がすべて「断った後に何回来たか」を根拠に進むからです。会社の責任者に伝えるときも、サイトの運営や行政に相談するときも、「〇月〇日に断ったのに、その後〇回電話があった」と具体的に言えるかどうかで、相手の動きが変わります。
記録は簡単なもので大丈夫です。日付と会社名だけでも、口頭の「しつこい」よりはるかに強い材料になります。
担当者ではなく会社の責任者へ再勧誘の停止を求める
担当者本人に何度断っても止まらない場合は、会社の代表番号に電話して、責任者(店長や営業責任者)に伝えます。
担当者個人は自分の成績がかかっているため、断りを「まだ脈がある」と都合よく解釈しがちです。責任者は会社全体の処分リスクを考えるので、対応が変わります。
伝えるのは事実だけで十分です。
〇月〇日に担当の〇〇さんへ、売却しないと伝えました。その後も〇回お電話をいただいています。今後一切のご連絡を止めてください。
落ち着いて、事実を並べるだけで伝わります。
このとき「宅建業法で禁止されている再勧誘にあたると認識しています」と一言添えると、ほとんどの会社はその場で止まります。法律の中身は次の項で説明します。
宅地建物取引業法で禁止されている勧誘
不動産会社には、宅地建物取引業法(宅建業法)という守るべき法律があります。その第47条の2と施行規則第16条の11で、次の勧誘が禁止されています。
- 売らない、または勧誘を受けたくないと伝えた相手に勧誘を続けること
- 迷惑を覚えさせるような時間に電話や訪問をすること
- 深夜や長時間の勧誘など、私生活の平穏を害する方法で困惑させること
- 会社名・担当者名・勧誘が目的であることを告げずに勧誘すること
条文には、こう書かれています。
宅地建物取引業者の相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続すること。
(宅地建物取引業法施行規則 第16条の11 第1号ニ)
つまり、あなたが一度「売らない」「連絡不要」と伝えた時点で、それ以降の電話は法律違反にあたる可能性があります。違反した会社は、免許を出した行政から指示や業務停止などの処分を受けることがあります。
止める権利は法律で守られている、と知っておいてください。
免許行政庁と消費生活センターへの相談
会社に言っても止まらないときは、行政に相談します。
不動産会社の免許は、国土交通大臣か都道府県知事のどちらかが出しています。会社のホームページや名刺にある免許番号を見れば分かります。
| 免許番号の表記 | 相談先 |
|---|---|
| 国土交通大臣(〇)第〇〇号 | 本店を管轄する地方整備局 |
| 〇〇県知事(〇)第〇〇号 | その都道府県の宅建業担当課(建築住宅課など) |
記録した日時と会社名を伝えると、行政から会社へ事情を確認してくれます。
相談先に迷ったら、消費者ホットライン「188(いやや)」に電話しましょう。最寄りの消費生活センターにつながります。行政への相談は最終手段ですが、ここまでの記録があれば、会社はほとんどの場合、連絡を止めます。
出典: 消費者庁「消費者ホットライン」
電話を止める会社と残す会社の見分け方
住み替えを続けるなら、全部の会社を切ると売却のときに振り出しに戻ります。電話を止める作業は、任せる会社を2〜3社に絞る作業でもあります。見分ける軸は3つです。
連絡方法の希望を守るかで判断する
最初に見るのは、あなたが伝えた連絡方法の希望を守っているかです。
「メールでお願いします」「平日の夜だけでお願いします」と伝えたのに、翌日の昼間に電話が来る。そういう会社は、この先の売却活動でも同じことをします。
売却が始まると、内覧の日程調整、買主からの質問、価格交渉の連絡など、担当者とのやり取りは何十回にもなります。最初の段階で希望を守れるかどうかが、その後のやり取り全部の予告編です。
逆に、希望どおりメールで査定結果を送り、電話が必要なときは事前にメールで都合を聞いてくる会社は、残す候補です。売主の話を聞く姿勢は、買主との交渉でも同じように表れます。
査定額の根拠を同じマンションの成約事例で示せるか
複数社の査定額を並べたとき、1社だけ突出して高い会社があれば注意が必要です。
売主は高い金額に目が向きます。ただ、業界には「高預かり」と呼ばれるやり方があります。
- 他社より高い査定額を出して、媒介契約を取る
- 高い価格で売り出す
- 数週間して「反応が少ないので」と値下げを勧める
- 結局、他社の査定額あたりで成約する
見分け方は、査定額の根拠を聞くことです。マンションは同じ建物の中に似た部屋があるため、「同じマンションで最近いくらで売れたか」「近隣で築年数や広さの近い部屋の成約事例」を示せるかどうかで、根拠のある査定かが分かります。
「相場より高く売れます」と言うだけで事例を出せない会社は、切って大丈夫です。事例を並べて「この部屋なら、この範囲」と説明できる会社を残しましょう。
売却時期を急かさず住み替えの段取りを聞くか
住み替えには、売却の先に購入と引っ越しがあります。売却と購入のどちらを先にするか、売却代金でローンを完済できるか、引き渡しまでの仮住まいは要るか。こうした段取りを組む必要があります。
電話の中身で、会社の見ている範囲が分かります。
| 電話でよく言われること | 会社が見ているもの |
|---|---|
| 「いつ売り出しますか」「早く出したほうがいいですよ」 | 媒介契約 |
| 「住み替え先は決まっていますか」「ローンの残債はどのくらいですか」「売り先行と買い先行のどちらをお考えですか」 | あなたの住み替え全体 |
売却を急がせるだけの会社は、契約を取りたいだけの可能性があります。段取りを聞いてくる会社は、あなたの住み替え全体を見ています。
残すなら、この段取りを一緒に考えてくれる会社です。電話を止める作業は、こうした会社を選ぶ作業でもあります。
まとめ:一括査定の電話は、はっきり断れば止められる
一括査定の電話は、会社が先に紹介料を払い、他社と競争している仕組みから生まれています。原因が仕組みにある以上、我慢して待っても減りません。「売らない」「連絡は不要」と会社にはっきり伝える。これが、電話を止める一番の近道です。
次の一歩は、今日、断った日付と会社名を書き留めたうえで、電話かメールで断りを伝えることです。この記録を飛ばすと、その後も電話が続いたときに「いつ誰に断ったか」を示せません。会社の責任者に伝えても、免許行政庁や消費生活センターに相談しても、話が動きにくくなります。
そのうえで確かめてほしいのは、残した2〜3社が、売却のあとの購入や引っ越しの段取りまで一緒に考えてくれるかどうかです。住み替えのトビラでは、一括査定の電話の止め方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
住み替えのトビラ 