マンションの一括査定を申し込んだあと、「断るのが気まずい」「そもそも断っていいのか分からない」と手が止まっていませんか。
この記事は、住み替えを考えていて、いくらで売れるかを知るために一括査定を使った、あるいはこれから使おうとしているマンション所有者の方に向けて書いています。
断ってよい理由、連絡を入れるタイミング、角が立たない伝え方、そのまま使えるメール例文、断っても営業が続くときの対処まで、この記事だけで一通り済むようにまとめました。
マンションの一括査定を断っても問題ない理由
この章では、一括査定を断るときに多くの人が感じる後ろめたさを、不動産会社側の仕組みから解きほぐします。
- 査定依頼と媒介契約は別で断る義務は生じない
- 不動産会社は断られる前提で一括査定に参加している
- 放置するより断る連絡を入れる方が相手の負担が軽い
査定依頼と媒介契約は別で断る義務は生じない
先に結論を言います。一括査定を断っても、あなたが払うお金は0円です。
一括査定で頼んだのは「査定」です。売却を任せる約束は「媒介契約」という別の手続きで、書面にサインして初めて成立します。査定を頼んだ段階のあなたは、どの会社とも契約前の状態にいます。
だから査定額を見て「この会社は見送ろう」と決めても、違約金もキャンセル料も0円です。会社側から「査定したのだから契約を」と言われる筋合いも、そこにはゼロです。
引っ越し業者やリフォーム会社に見積もりを3社頼んで、1社を選ぶ。一括査定はそれとまったく同じ仕組みです。査定は会社が自社を売り込むための無料サービスで、選ぶ権利はあなたの側にあります。
不動産会社は断られる前提で一括査定に参加している
不動産会社は、あなたの物件情報を受け取るたびにサイト運営会社へ紹介料を払っています。相場は1件あたり1万円から1万5千円ほどです。
査定を出して契約に至らなければ、この紹介料は会社の持ち出しです。それでも会社が参加を続けるのは、10件のうち1〜2件の契約が取れれば元が取れる商売だからです。つまり最初から「8〜9件は断られる」という計算のうえで動いています。
複数の会社に同時に査定を頼むのが当たり前になった今、担当者にとって断られるのは日常です。あなたが1社を選べば、残りの会社は自動的に断られます。それは会社側が織り込み済みの結果で、あなたが気に病む場面はどこにもありません。
放置するより断る連絡を入れる方が相手の負担が軽い
断りにくいからと連絡を先延ばしにすると、担当者はあなたを「まだ見込みのあるお客さん」として扱い続けます。
電話やメールが続くだけでは済みません。担当者はあなたの部屋を売るための資料づくりや、買い手探しまで始めてしまう場合があります。その手間が無駄だと分かったときの落胆は、早めに断られたときの何倍にもなります。
【よくある流れ】
査定を頼んだAさんは、断りづらくて3週間放置しました。その間、担当者は近隣の成約事例を調べ、販売図面の下書きまで用意していました。Aさんが「他社に決めました」と伝えたとき、担当者は「早く言ってくれれば」と本音を漏らしたそうです。
「今回は依頼を見送ります」の一言で、担当者は次のお客さんに気持ちを切り替えられます。あなたも連絡が止まって気が楽になります。早く伝えるのが、お互いにいちばん負担の軽い選択です。
断りの連絡を入れるタイミング
断るタイミングは3つあります。先に全体を見てから、それぞれを説明します。
| タイミング | 相手がかけた手間 | 断りやすさ |
|---|---|---|
| 机上査定の結果が出た直後 | データ入力のみ | いちばん楽 |
| 訪問査定を受けたあと | 現地訪問+説明 | 早めなら問題なし |
| 売却時期が決まらないとき | 状況による | 断るより「保留」 |
机上査定の結果が出そろった段階で断る
いちばん気楽に断れるのは、この段階です。
一括査定を申し込むと、まず各社から「机上査定」の結果が届きます。物件情報と過去の取引データから出した概算で、担当者はまだあなたの部屋を見る前です。相手がかけた手間はデータ入力だけなので、断る側の負担も相手の負担も最小で済みます。
査定額を見て「この会社だけ極端に高い」「返信が雑」と感じたら、ここで候補から外して構いません。全社に訪問査定をしてもらってから断るより、この段階で2〜3社に絞る方が、あなたの休日も相手の時間も節約できます。
マンションは同じ建物の取引事例が多いので、机上査定でもある程度の精度が出ます。結果が出そろったら残す会社を決め、それ以外にはすぐ連絡を入れましょう。
訪問査定を受けたあとに断る
訪問査定を受けたあとに断るのも、まったく問題ありません。担当者は時間をかけていますが、訪問査定も契約前の営業活動の一部で、会社側は織り込み済みです。
違うのは、担当者と顔を合わせている分、放置したときの気まずさが増す点です。査定額の説明を受けて「他社にする」「今回は見送る」と決めたら、その日のうちか翌日には伝えましょう。
訪問査定の場で「持ち帰って検討します」と言うのは自然な流れです。そのあと3日以内に連絡すれば、担当者も「検討した結果だな」と受け止めます。決めたあとに1週間以上空けるのが、いちばん避けたい形です。
売却時期が決まらないときは保留を伝える
住み替えを考えているマンション所有者の多くは、「いくらで売れるか知りたかっただけで、売るかどうかはこれから」という状態です。この場合の正解は「断る」でも「依頼する」でもなく、「保留」です。
伝え方はこうです。「住み替え先が決まってから売却時期を判断します。時期が決まったら改めて連絡します」。担当者はこれで「いま追いかけても意味がない」と分かり、しつこい連絡は止まります。
保留にした会社とは、住み替え先が決まったときに査定をやり直さず相談を再開できます。断って関係を切るより、住み替え検討者には保留の方が使い勝手のよい選択です。具体的な文面は例文の章に用意しました。
角を立てずに断る理由の伝え方
この章では、断りの文面に何を入れ、何を入れずにおくかを、担当者側の受け取り方から決めていきます。
- 他社に依頼すると伝えれば引き止められにくい
- 売却を見送るときは時期未定と添える
- 今後の連絡を止めてほしいと明記する
- 将来また相談する可能性を残す
他社に依頼すると伝えれば引き止められにくい
断る理由でいちばん引き止められにくいのは「他の会社に依頼すると決めました」です。
担当者がどれだけ頑張っても覆せない理由なので、相手もすぐに諦めがつきます。逆に「査定額がもう少し高ければ」「もう少し考えたい」という言い方は、担当者に「まだ交渉の余地がある」と受け取られます。追加の提案や電話が続く原因は、たいていここです。
どの会社に決めたのか、なぜその会社なのかは伏せて構いません。「他社様にお願いすることになりました」の一文で十分です。理由を細かく話すほど、それに対する反論が返ってきて、やり取りが長引きます。断ると決めたなら、余地を残さない言い方を選びましょう。
売却を見送るときは時期未定と添える
住み替え先が決まっていない。査定額を見て売却そのものを考え直した。そういうときは、正直に「売却を見送ります」で通ります。本当の理由を伝える方が、あとで顔を合わせたときも楽です。
ただし「見送る」だけだと、担当者は「いつなら売るのか」と聞きたくなり、定期的な連絡が続きます。そこで「時期は未定で、当面は動きません」と添えてください。追いかけても仕方ないと伝わり、連絡は自然に減ります。
避けたいのは「いい買い手がいれば」「相場が上がれば」のような条件付きの言い方です。担当者にとっては「その条件を満たせば売ってくれる」という宿題になり、かえって連絡が増えます。見送るなら、条件抜きで見送ると伝えるのがいちばん静かです。
今後の連絡を止めてほしいと明記する
断りの文面は、次の3つがそろって完成します。
- 査定への感謝
- 依頼を見送るという結論
- 今後の連絡停止のお願い
忘れやすいのが3つ目です。これを書かずに送ると、担当者本人は諦めても、会社のシステムから相場情報のメールや「その後いかがですか」の確認電話が自動で届き続けます。
不動産会社の多くは、査定を頼んだ人を「見込み客リスト」に登録し、一定の間隔で連絡する仕組みを持っています。担当者が個人的にやめても、リストから外れるまで連絡は続きます。「メール配信と電話の両方を停止してほしい」と具体的に書くのがいちばんです。この一文を足すだけで、その後のわずらわしさがほぼ消えます。
将来また相談する可能性を残す
マンションは、同じ建物の他の部屋がこれからも売りに出ます。一括査定で連絡してきた会社は、あなたのマンションを扱っている会社です。将来あなたが売るときや、隣の部屋の売却情報を知りたいとき、また顔を合わせる可能性は十分にあります。
だから断るときも、つながりを残す一文を添えたいところです。「今回は見送りますが、また売却を考えるときにはご相談させてください」。これだけで、相手の受け止め方が変わります。
社交辞令で構いません。実際に相談するかどうかは、そのときに決めればよい話です。ただ、この一文があるかどうかで、断られた側が「丁寧な人だった」と記憶するか「切られた」と記憶するかが分かれます。同じマンションを10年扱う会社なら、その記憶は10年残ります。
電話とメールでの断り方と例文
この章では、手段の選び方と、状況に合わせてそのまま使える例文を3つ用意しました。
- 訪問前はメール、訪問後は電話で伝える
- 他社に依頼すると決めたときの例文
- 売却を見送るときの例文
- 住み替え先が決まってから再依頼したいときの例文
訪問前はメール、訪問後は電話で伝える
手段は、担当者との関係の深さで決めます。
- 机上査定のみで、まだ会う前 → メール
- 訪問査定を受けて、顔を合わせたあと → 電話
まだ会う前なら、メール一本で十分です。相手も顔を知らない人からの断りをメールで受け取るのは日常で、失礼にはあたりません。
訪問査定を受けたあとなら、電話の方が誠実に受け取られます。とはいえ「電話だと引き止められそうで怖い」と感じるなら、メールで構いません。手段より、早く伝える方がずっと大事です。
一括査定サイトによっては、サイトのマイページや運営会社への連絡で、複数社への断りをまとめて済ませられます。何社にも同じメールを送るのが面倒なら、申し込んだサイトのマイページを先に確認してみてください。
他社に依頼すると決めたときの例文
件名:査定のお礼とご連絡(〇〇マンション〇〇号室)
〇〇不動産 〇〇様
先日は査定をいただき、ありがとうございました。
家族で検討した結果、今回は他社様にお願いすることにいたしました。せっかくご対応いただいたにもかかわらず、申し訳ございません。
つきましては、今後のご連絡(メール配信・お電話)は停止していただけますようお願いいたします。
このたびはありがとうございました。
〇〇(氏名)
このまま使えます。「他社様に」だけで、どの会社かは伏せたままで通ります。感謝・結論・連絡停止の3つがそろっているか確認してから送ってください。この分量で十分で、長く書くほど返信の余地が増えます。
売却を見送るときの例文
件名:査定のお礼とご連絡(〇〇マンション〇〇号室)
〇〇不動産 〇〇様
先日は査定をいただき、ありがとうございました。
検討の結果、今回は売却を見送ることにいたしました。時期は未定で、当面は動く予定もございません。
つきましては、今後のご連絡(メール配信・お電話)は停止していただけますようお願いいたします。
また売却を考える際には、改めてご相談させていただければ幸いです。
〇〇(氏名)
ポイントは「時期は未定」「当面は動く予定もない」の2つを入れる点です。この2つがあると、担当者は「いつ頃ですか」と確認する理由を失います。最後の一文は将来のためのつなぎで、書いておいて損はゼロです。
住み替え先が決まってから再依頼したいときの例文
件名:査定のお礼とご連絡(〇〇マンション〇〇号室)
〇〇不動産 〇〇様
先日は査定をいただき、ありがとうございました。
現在、住み替え先を探している段階で、売却の時期は購入先が決まってから判断する予定です。そのため、ご依頼は購入先が決まった時点で改めて検討させていただきます。
購入先が決まりましたら、こちらからご連絡いたします。それまでの定期的なご連絡はお控えいただければ幸いです。
引き続きよろしくお願いいたします。
〇〇(氏名)
これは断りではなく保留の文面です。「こちらから連絡する」と書くことで、担当者からの追いかけを止めつつ、査定をやり直さずに再開できる関係を残せます。住み替え検討者には、この形がいちばん使いやすいはずです。
断っても営業が続くときの対処法
対処は、弱い手段から順に4段階あります。ほとんどの場合、1段目か2段目で止まります。
| 段階 | 連絡先 | 効き方 |
|---|---|---|
| 1 | 一括査定サイトの運営会社 | 参加会社への注意 |
| 2 | 断り代行サービス | 代わりに断ってもらう |
| 3 | 不動産会社の本社窓口 | 店舗への指導 |
| 4 | 都道府県の担当窓口・宅建協会 | 法律に基づく相談 |
一括査定サイトの運営会社に連絡停止を依頼する
不動産会社に断りを入れたのに連絡が続くなら、最初に頼るのは一括査定サイトの運営会社です。
運営会社は参加している不動産会社に対して立場が強く、「この人への連絡をやめてください」と伝えれば、担当者個人に言うより早く止まります。運営会社にとって、しつこい営業をする参加会社は評判を落とす存在です。あなたからの連絡は苦情というより、運営会社が知りたい情報でもあります。
送り先は、サイトの問い合わせフォームか、申し込み時に届いた確認メールの連絡先です。「〇〇不動産から断ったあとも連絡が続いている。停止してほしい」に加えて、日時と回数を書き添えると、運営会社も動きやすくなります。遠慮は不要で、事実だけ書けば十分です。
断り代行サービスを使う
一括査定サイトの中には、あなたの代わりに不動産会社へ断りの連絡を入れてくれる「お断り代行」を用意しているところがあります。申し込むときにこのサービスの有無を確認しておくと、あとで楽です。
ただ、正直に言うと、断り代行は保険です。「営業トークに押し切られそうで、自分から連絡する自信がない」という人のためのもので、自分でメールを一本送れる人には、それがいちばん早くて間違いがありません。サイト側が便利さを強調するのは、申し込みのハードルを下げたい事情もあります。
使いどころは2つです。電話に出るのが苦痛で仕方ないとき。断ったのに止まらないとき。この2つに当てはまるなら、遠慮なく使ってください。
不動産会社の本社窓口に連絡する
担当者に断っても止まらないとき、その担当者の上に直接伝える方法があります。
会社の公式サイトにある「お客様相談窓口」や本社の代表番号に、「〇〇店の〇〇さんから、断ったあとも連絡が続いている」と伝えます。不動産会社にとって、しつこい営業は苦情の対象で、会社として避けたい行為です。本社に伝われば店舗に指導が入り、あなたの連絡先は見込み客リストから外れます。担当者本人に3回言うより、本社への1本の方が早く止まります。
伝える前に、断りを入れた日と、その後に連絡があった日時を控えておいてください。感情的に訴えるより、「いつ断って、いつ連絡が来たか」を事実として並べる方が、相手は動きやすくなります。
宅建業法で禁止された勧誘として行政に相談する
不動産会社の営業は「宅地建物取引業法」という法律で縛られています。この法律と施行規則で禁止されている勧誘は、主に次の3つです。
- 契約しない、勧誘を受けたくないと伝えた相手への勧誘の継続
- 迷惑を感じさせる時間帯の電話や訪問
- 相手を困らせるようなしつこい勧誘
つまり、あなたが「依頼を見送ります」と伝えたあとの勧誘は、法律に反する可能性があります。本社に伝えても止まらないなら、その会社の免許を出している都道府県の担当窓口、または各地の宅地建物取引業協会の相談窓口に相談できます。
ここまで来るのは本当に例外的な場面です。ほとんどの会社は、断りの連絡か本社への一報で止まります。ただ「法律で禁止されている」と知っているだけで、しつこい電話に向き合う気持ちの余裕が変わります。
出典: 国土交通省 宅地建物取引業法施行規則の一部改正について
まとめ:一括査定の断りは早く短く、迷うなら保留を伝える
一括査定を断っても、あなたに費用も義務も生じません。不動産会社は断られる前提で参加しており、放置される方がよほど困ります。
次の一歩は、断ると決めた会社にその日のうちにメールを送ることです。感謝・見送りの結論・連絡停止の3つを入れれば、文面は5行で足ります。これを先延ばしにすると、担当者は準備を進め、電話は増え、断るときの気まずさだけが膨らみます。
住み替え先がまだ決まっていないなら、断るのではなく保留を伝えてください。住み替えのトビラでは、一括査定を断るタイミングや伝え方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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