「マンションは買った時より高く売れるらしい」と聞いて同じ棟の売り出し価格を見たら、自分が買った額より高かった。住み替え(買い替え)を考える際、今の自宅の価格は気になるところです。
先に答えを言います。国土交通省の不動産価格指数では、全国のマンションは2010年の平均を100として2025年12月時点で225.1まで上がっており、買った時より高く売れる可能性を確かめるきっかけになります。ただし、指数は個別住戸の値上がり率ではありません。ただし税金の利益は購入価格ではなく減価償却後の取得費から計算するので、購入・売却の費用も含めて計算すると、買った時と同じ額で売れても税務上の利益が出る場合があります。
この記事では、買った時より高く売れる理由、上回るマンションの条件、自分の部屋で確かめる手順、高く売れたときの税金、住み替えで含み益を残す注意点を順に説明します。
マンションは、築年数が増えても買った時より高く売れることがある
建物が古くなっても、市場の変化や立地、管理・室内の状態によっては、購入価格を上回る売却を目指せます。買った時の価格だけで、今の価値を決める必要はありません。
市場の上昇は、自宅の価格を見直すきっかけになる
国土交通省の不動産価格指数では、全国のマンション(区分所有)は2010年平均を100として、2025年12月に225.1となっています。長期的な価格上昇を示す資料です。
ただし、これは同じマンションを追いかけた査定結果ではありません。「指数が2倍だから、自宅も購入価格の2倍」とは計算できません。購入後の築年の変化や個別の条件は、自宅の事例と査定で確認します。
2026年9月10日に確認した公式案内では、算出プログラムの不具合により2026年1月分以降の公表が延期されています。掲載している指数は2025年12月分であり、現在の売却額を示すものではありません。
新築の価格や地域の需要も、売却の追い風になり得る
新築が予算に合わなければ、中古を検討する買主もいます。駅や生活施設の使いやすさ、管理の状態などは、中古マンションを選ぶ際の比較材料になります。
ただし、新築の値上がりがすべての中古に同じ割合で波及するわけではありません。金利や周辺の供給も変わるため、現在の地域の成約事例と競合を合わせて見ます。
東日本レインズの2026年7月度では、首都圏の中古マンションの成約㎡単価は84.17万円、東京都区部は135.77万円、多摩は58.44万円でした。広域の平均だけでは、自宅の価格を判断しにくいことが分かります。
高く売れる可能性を確かめる5つの条件
「何年に買ったか」や「駅から何分か」だけで、購入価格を上回るかは決まりません。次の表は、自宅の評価を確認するために編集部が整理したものです。
| 条件 | 査定で確かめたいこと |
|---|---|
| 購入時の価格 | 今の近隣・同じ建物の成約と、どれくらい違うか |
| 立地・周辺環境 | 駅や買い物施設、再開発などの変化をどう評価するか |
| 管理・修繕 | 修繕履歴、積立金、長期修繕計画が評価に反映されるか |
| 部屋の特徴 | 階・向き・眺望・間取り・設備に評価できる強みがあるか |
| 現在の競合・売却条件 | 同じ価格帯の物件と比べ、どこで選ばれるか |
管理の資料やリフォームの記録があれば、査定時に渡します。費用がそのまま上乗せされるわけではありませんが、確認できる強みを伝えずに評価を受けるのはもったいないことです。
買った時より高く売れるか、自分の部屋で確かめる手順
購入価格とローン残高を別々に確認する
購入時の売買契約書で価格を確認し、仲介手数料などの費用資料も探します。ローン残高は金融機関の最新情報で確認してください。購入価格と残債は別の数字です。
周辺の成約を参考に、複数社の査定を比べる
公開されている成約情報は参考になりますが、匿名化や丸め処理があるため、自宅の売却額は確定しません。調査を終えるのを待たずに、査定を依頼してかまいません。
確認するのは次の3点です。
- 同じマンションや近隣の、どの事例を参考にしたか。
- 自宅のどの特徴が価格に反映されているか。
- 提示額を目指す販売方法と、想定する期間は何か。
高い査定を最初から除外せず、低い査定を必ず売れる下限とも考えません。評価理由を比較することで、自宅の価格の可能性を確かめます。
購入価格より高く売れる余地があるか。まずは現在の査定額を知るところから始めましょう。
「高く売れた」と「お金が残った」を分ける
売却価格が購入価格を上回っても、その差が全部手元に残るわけではありません。混同しやすい3つの数字を整理します。
| 知りたいこと | 計算の考え方 |
|---|---|
| 購入価格を上回ったか | 売却価格−購入価格 |
| 売却後に使えるお金 | 売却代金−売却関連費用−ローン返済額−売却に伴う税金 |
| 税金計算上の利益 | 売却収入−取得費−譲渡費用。特例を使う場合はさらに控除等を適用 |
「取得費」は税金計算の言葉です。購入代金や認められる購入費用などを含み、建物については減価償却費相当額を差し引きます。ローンの返済額を、税金計算上の利益から引くことはできません。
手元に残るお金の計算例
購入価格4,000万円のマンションを5,000万円で売り、売却関連費用200万円、ローン返済額2,500万円と仮定します。これは編集部の説明用計算で、実際の売却事例ではありません。
- 購入価格との差:5,000万円−4,000万円=1,000万円。
- 売却後の資金:5,000万円−200万円−2,500万円=2,300万円。ここから売却に伴う税金を別に差し引く。
2,300万円は売却益ではありません。これまで返済してきた元本なども含むためです。また、例の200万円は仮定であり、費用の相場や税務上の譲渡費用と同じ意味ではありません。
仲介手数料、登記・ローン返済の手数料、引っ越しなど、実際に必要な支出を見積もり、税金は別に確認します。
高く売れたときの税金は、取得費と特例で確認する
買った時と同額でも、税金計算上の利益が出る場合がある
建物の取得費は、購入時の金額から減価償却費相当額を引いて求めます。たとえば事業に使っていない鉄筋コンクリート造で、建物の取得価額2,000万円・経過年数15年なら、2,000万円×0.9×0.015×15年=405万円が減価償却費相当額となる計算例です。
ただし、405万円がそのまま売却益になるわけではありません。土地の取得費、認められる購入費用、譲渡費用も入れて計算します。取得費が分からない場合に売却額の5%を使える方法はありますが、契約書を失くしただけで自動的に5%に決まるわけではありません。ほかの資料で確認できるかも相談してください。
出典:国税庁「建物の取得費の計算」/「取得費が分からないとき」
自宅売却の3,000万円特別控除を確認する
一定の条件を満たすマイホームの売却では、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。所有期間の長短だけで決まる制度ではなく、居住の実態、売却相手、ほかの特例の利用などの条件があります。適用を受けるには確定申告が必要です。
売った年の1月1日時点で所有期間が10年を超えるなどの条件を満たせば、軽減税率の特例も検討できます。適用できる場合は3,000万円特別控除と併用できます。
「高く売れたら、その差に必ず高額な税金がかかる」と決めつけず、取得費と適用条件を確認しましょう。
出典:国税庁「マイホームを売ったときの特例」/「軽減税率の特例」
買い替えも考える場合は、住宅ローン控除との関係を確認する
3,000万円特別控除などの売却特例と、新居の住宅ローン控除は、一定期間内の利用で併用できない条件があります。中古住宅の住宅ローン控除も、入居年や住宅の性能等で借入限度額・控除期間が異なります。
旧年の最大控除額をそのまま使わず、新居に入居する年の制度と実際の借入れ・税額で比較してください。買換えによる課税の繰延べは、非課税とは異なります。複数の特例を検討する場合は、申告前に税務署や税理士に条件を確認します。
出典:国税庁「中古住宅の住宅ローン控除」/「特定のマイホームを買い換えたときの特例」
売るかどうかは、今の価格を知ってから考えられる
査定は、売却の契約ではありません。価格を知ったうえで、売る・住み続ける・時期を待つという判断ができます。
売り出す場合も、安い査定に合わせれば早く高く売れるとは限りません。自宅の強みを伝える販売方法と、反響を見て価格を見直す時期を会社と相談します。
将来買い替えるなら、次の家の価格や費用も別に確認します。自宅と新居が同じ割合で値上がりしているとは限らず、「売る価格−次に買う価格」は含み益そのものではありません。今はまず、自宅の現在価格と売却後に残るお金を把握しましょう。
買ったときの価格で、今の価値を止めない。複数社の査定で、自宅がどう評価されるかを確かめてください。
まとめ:購入価格との比較は自宅の査定で、税金は取得費も含めて確認する
マンションが買った時より高く売れるかには、購入時の価格や立地、部屋の条件などが関わります。南関東圏の不動産価格指数は2013年の年平均103.6から2025年12月の219.8まで上がっており、これは市場動向の指標であり、自宅が買った時の2倍で売れるという意味ではありません。一方で2026年に入ってからは首都圏の中古マンションの成約㎡単価が3か月続けて前年を下回り、集計の動きも地域で異なります。
次の一歩は、買った時の売買契約書を出して、売買価格と払った諸費用を書き出すことです。この総額を出さないまま売り出し価格や査定額とだけ比べると、手取りでは買った時の総額に届かないのに上回ったと思い込んだまま、次の住まいの予算を組むことになります。
そのうえで、不動産価格指数は市場動向の参考にし、取引事例と複数社の査定の根拠を比べます。最も低い査定も、必ず売れる下限ではありません。税金は、3,000万円特別控除を使うか、次の住まいの住宅ローン控除を取るかを、売る前に両方の額で比べます。住み替えのトビラでは、買った時より高く売れるかの確かめ方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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