AI査定に出たマンションの価格が、実際に売れる金額にどのくらい近いのか気になっていませんか。
精度は使われるデータや計算方法、部屋の条件によって変わるため、築年数や総戸数だけで「この家の誤差は何%」と決めることはできません。
この記事では、AIの価格がずれる理由と、自宅の条件を踏まえた査定へ進む手順、売却後に残るお金の確かめ方を説明します。
マンションのAI査定は、物件ごとに誤差が違う
AI査定は、物件情報や過去の取引データなどから価格を推定します。相場を調べ始めるときに役立ちますが、すべてのマンションに共通する誤差率はありません。
たとえばIESHILは、東京23区の1980年以降築のマンションについて、誤差率の中央値を12.73%と公表しています。2026年8月31日時点の数値で、誤差は「推定価格と成約価格の差額の大きさ÷成約価格」で計算されています。
中央値は、誤差を小さい順に並べたときの中央の値です。個々の部屋が同じ割合でずれるわけではなく、他社のAI査定にも当てはめられません。公表された数字を見るときは、対象地域・物件・時期と計算方法を確認しましょう。
AI査定の価格がずれる主な理由
AIが使う情報と、自分の部屋の状態がどの程度合っているかで、推定には差が生じます。自宅で追加確認が必要な条件を見ていきましょう。
比べられる取引事例が少ない
自宅と似た物件の取引が少ない場合は、価格の比較に使える材料が限られます。HowMaも、取引事例が少ない物件を、AIだけでは判断しにくい例として挙げています。
ただし、「築10年以上なら正確」「100戸以上なら安心」といった区切りで、個別の精度は判断できません。築年数や総戸数よりも、どんな物件の、いつの取引が参考になるかを調べる必要があります。
事例が表示されるサービスなら、地域・時期・面積・築年を確認しましょう。表示されない場合は、公的データや不動産会社の査定で比較材料を補えます。
出典: HowMaマガジン「HowMaの口コミ・評判とAI査定の注意点」
室内の状態や部屋固有の条件が反映されにくい
リフォームの内容や設備の傷みは、AI査定に十分反映されない場合があります。たとえばIESHILは、参考相場価格に室内の設備情報やリフォームの有無を考慮していないと説明しています。
これはIESHILの説明であり、すべてのAI査定が同じ項目を使うわけではありません。自分が使ったサービスで、どの条件を入力でき、何が考慮されるのかを確認しましょう。
自宅の良さが、AIの数字に入りきっていない可能性があります。 角部屋・眺望・リフォームなどの特徴は、写真や工事記録と一緒に伝えましょう。査定額への反映を聞くことで、価格の理由が分かります。
出典: IESHIL「イエシル査定とは」
元の価格や取引時期が違う
価格を比較するときは、広告の「売り出し価格」と、実際に取引が決まった「成約価格」を区別します。広告価格が高いというだけでは、その金額で売れたとは判断できません。
取引時期も確認が必要です。過去の価格を現在の相場に合わせて調整するサービスもあり、HowMaはこの調整を自動で行うと説明しています。そのため、「過去のデータだから必ず安く出る」とも決められません。
画面の更新日と、参考にした取引の時期は別の情報です。比較に使った価格の種類と時期が分かると、金額が違う理由を検討できます。
自分のマンションの査定額を確かめる手順
自分でできるのは、入力した条件や周辺の取引と照らし合わせて、価格に違和感がないかを見ることです。実際にいくらで売れるかは、買主と条件が決まるまで確定しません。
入力条件と算出日を揃えて比べる
複数のAI査定を比べる場合は、面積・階・向きなどの入力条件と、査定した日を揃えます。条件が違うままでは、金額の差が計算方法によるものか判断できないためです。
複数のAIが近い価格を出しても、正確だと証明されたことにはなりません。 似たデータや計算方法を使っていれば、同じ方向にずれる可能性もあります。
差が大きい場合も、差の割合だけで精度を採点せず、入力間違いや対象条件、価格の更新時期から確かめましょう。
近い成約事例を平米単価で比べる
面積が違う物件は、価格を面積で割った「平米単価」で比べると、総額だけでは分からない違いを確認できます。
平米単価 = 価格 ÷ 専有面積
仮にAI査定が4,200万円、専有面積が70平方メートルなら、4,200万円÷70=1平方メートルあたり60万円です。実際の事例ではなく、計算方法を示す例です。自分で使う際は、査定額と、間取り図などで確認した専有面積に置き換えます。
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、地域・取引時期・築年・面積が近い事例を探せます。公開データは個別の物件を特定できないよう加工されているため、同じ棟の事例数を正確に数える用途には使えません。
平米単価が近くても、階・向き・室内の状態などは異なります。周辺から大きく離れた価格なら、その理由を査定担当者に聞く材料にしましょう。
不動産会社に価格の根拠を聞く
今の自宅はいくらで売れそうか、AIの次は不動産会社に確かめましょう。 資料から見積もる机上査定に加え、訪問査定なら室内を見てもらえます。自宅の良さや気になる点を伝え、次の3点を質問すると比較しやすくなります。
- どの物件の、いつの成約価格を参考にしたか
- 自宅との条件の違いを、価格にどう反映したか
- 希望する期限までに売るなら、どんな価格設定を提案するか
会社が出す査定額も、売却価格の保証ではありません。AIより高い・低いという結果だけで選ばず、この質問への説明と、売り方の提案を比べましょう。
売却価格が下がった場合の資金を試算する
資金計画では、価格をいくつか仮定し、売却後に残るお金がどう変わるかを計算します。これは「この価格までしか下がらない」と予測する作業ではなく、価格が下がった場合に必要になる現金を調べる作業です。
売却後に残るお金 = 売却代金 − ローンの返済額 − 売却費用
次は、当サイトで条件を仮定した計算例です。AI査定額を4,000万円、売却時のローン返済額を3,000万円、売却費用を150万円とし、売却価格だけを変えています。売却費用150万円は相場や標準額ではなく、比較のために仮定した金額です。譲渡所得税は含めていません。
| 仮定する売却価格 | 計算 | 返済・費用を引いた残額 |
|---|---|---|
| 4,000万円 | 4,000−3,000−150 | 850万円 |
| 3,600万円 | 3,600−3,000−150 | 450万円 |
下の行は、AI査定額より10%安く売れた場合を仮定しています。10%はAIの精度から求めた数字ではなく、実際にはそれ以上安くなる可能性もあります。また、実際の仲介手数料などは売却価格や契約によって変わるため、費用もその条件で計算し直します。
自分で計算するときは、返済額を金融機関へ、売却費用を不動産会社へ確認して置き換えましょう。税金が生じる場合は、その支払いを含めた残額を税理士などに確認します。
ローンを返せても、次の家の頭金・購入費用・引っ越し代が足りるとは限りません。売却代金が入る前の支払いもあるため、残る金額と、お金が必要になる時期の両方を確認します。新たな住宅ローンを利用する場合は、借入可能額と融資の時期も金融機関へ相談しましょう。
まとめ:査定額の根拠と、価格が下がった場合の資金を確かめる
マンションのAI査定は、物件の条件と計算に使う情報によって誤差が変わります。築年や戸数、複数サービスの価格差だけでは、個別の精度や売却下限を決められません。
AIの結果が気になったら、自宅の条件を伝えて査定を受けるのがおすすめです。 複数社に依頼すれば、価格だけでなく、どの特徴を評価したかも比べられます。
査定で売却価格の見込みが分かったら、ローン返済と費用を引いて、残るお金も確かめましょう。自宅をいくらと評価する会社があるのかを知ることが、売却を判断する第一歩です。
住み替えのトビラ 
