マンションを売り出して1〜3か月。反響が少ない、値下げを勧められた、担当者の説明に納得できない。いまの会社とは別の目で、売り方と価格を見直したくなる時期です。
先に答えを言います。専任媒介契約中でも、他の不動産会社や専門家に意見を聞けます。他社への媒介依頼と意見を聞く相談は別です。ただし、専属専任では自己発見取引にも制約があるなど、契約上の義務はほかにもあります。ただし人に聞く前に、レインズの登録証明書と業務報告の数字で売主が自分で確かめられる項目があり、相談の材料にできます。
この記事では、セカンドオピニオンで見てもらう項目、頼む前に自分で確かめる手順、相談先の種類、聞く質問、そして意見をもらった後の選択肢を順に説明します。
専任媒介契約中でも、別の意見を聞くことはできる
セカンドオピニオンは、いま依頼している会社以外に、価格や販売活動について意見を聞くことです。相談と、他社に売却の仲介を依頼することは分けて考えます。
国土交通省の標準約款では、専任・専属専任媒介契約中に、他社へ重ねて媒介や代理を依頼することはできません。意見を聞く相談自体を、重ねての媒介依頼と同じに扱っているわけではありません。
ただし、専属専任では自分で見つけた買い手との直接契約にも制約があります。「他社への依頼だけ気をつければよい」とは考えず、契約書と特約を確認してください。
相談先には、最初にこう伝えます。
「現在は他社と専任媒介契約中です。新しく媒介を頼むのではなく、査定や売り方の意見を聞きたいです」
まだ売却会社と契約しておらず、もう一社の査定を足したい段階とは相談内容が異なります。この記事では、契約中の価格・活動・契約条件を見直す手順に絞ります。
相談前に、レインズ・活動報告・契約書を確認する
相談資料がそろうと、「何となく売れない」から具体的な質問に変えられます。全部そろっていなくても、手元の資料と、会社に求めても届いていない資料を分ければ相談できます。
売主専用画面で登録状況を見る
専任媒介では契約から7日以内、専属専任媒介では5日以内にレインズへの登録が必要です。いずれも不動産会社の休業日は数えません。登録後は、会社から登録証明書を受け取ります。
専任・専属専任の売主は、登録証明書の案内に従って売主専用画面を確認できます。2025年1月からは二次元コードによるアクセスも案内されています。証明書にある確認用の情報を使ってください。
| 取引状況の表示 | 確認すること |
|---|---|
| 公開中 | 物件情報が自分の依頼内容と合っているか |
| 書面による購入申込みあり | 自分が報告を受けている申込みか |
| 売主都合で一時紹介停止中 | 自分が紹介停止を依頼した事実があるか |
自分が頼んでいない紹介停止があれば、画面を保存し、会社に理由を聞きます。一方、「公開中」の表示だけで、他社からの問い合わせへの実際の対応まで確認できるわけではありません。
出典:国土交通省・指定流通機構「レインズのステータス管理機能」、宅地建物取引業法施行規則
活動報告は同じ期間で比較する
業務報告の法定頻度は、専任媒介が2週間に1回以上、専属専任媒介が1週間に1回以上です。閲覧数などを毎回この形式で報告することまで、一律に法律で定められているわけではありません。取得できる数字と報告方法を会社に聞きます。
| 報告期間 | 閲覧数 | 問合せ数 | 内見数 | 申込み・具体的な意見 |
|---|---|---|---|---|
| 日付を記入 | 取得できる範囲で記入 | 件数を記入 | 件数を記入 | 金額・時期・気になった点など |
サイトごとに数え方が違うため、閲覧数をそのまま合計しないようにします。期間や掲載先をそろえた記録があると、変化を相談しやすくなります。
問合せが少ないことだけで価格が高いとは断定できません。掲載状況、写真、競合、地域の需要なども一緒に確認します。
持参する資料をまとめる
- 媒介契約書:種類・満了日・特約・解除条件
- 査定書:査定額と比較事例
- 販売図面・掲載ページ:写真、説明、価格
- 業務報告:報告期間と反応の記録
- レインズの登録証明書:登録状況の確認用
- 自分の希望:売却代金が必要な日、引き渡せる日
相談時には不要な個人情報を伏せ、登録証明書のID・パスワードなどは安易に渡さず、自分で確認した画面を示す方法も取れます。
相談先は、確かめたい内容で選ぶ
資格名や有料・無料だけで、中立性や相談範囲は決まりません。所属、紹介料などの報酬関係、対応できる内容を聞いて選びます。
| 相談先 | 向いている相談 | 申し込む前に聞くこと |
|---|---|---|
| 別の不動産会社 | 現在の査定、近隣の事例、販売方法 | 契約中でも意見を聞けるか、費用、新たな媒介依頼との区別 |
| 不動産鑑定士 | 価格の考え方、評価の根拠 | 簡易な相談か鑑定評価か、成果物と費用 |
| ファイナンシャルプランナー等 | 売却額が変わる場合の資金計画 | 不動産売却の相談経験、料金、紹介関係 |
| 弁護士・不動産取引の相談窓口 | 解除や費用請求などの契約上の問題 | 個別案件の相談範囲、予約・費用 |
| 買取会社 | 買取にした場合の金額と日程 | 価格の有効期限、調査条件、手取り、決済日 |
無料相談と正式な鑑定は別
日本不動産鑑定士協会連合会は、各地の相談所で無料相談会を案内しています。マンション売却の目安や、業者の提示価格への不安も相談例に含まれています。
無料相談で鑑定評価書まで作ってもらえるとは限りません。開催日・予約方法と、資料を見てもらえる範囲は各窓口に確認してください。
別の不動産会社に依頼する場合も、通常の売却査定と、独立した有料コンサルティングは区別します。「査定の根拠を説明する義務がある」ことから、あらゆる相談が無料とはいえません。
買取の提示額は、仲介査定の保証下限ではありません。現地確認後に条件が変わる場合もあるため、確約された条件と未確定の条件を分けて確認します。
セカンドオピニオンで聞く5つの質問
意見を聞くだけで終わらせず、いまの会社に確認したり、次の提案を比較したりできる答えを求めます。
| 質問 | 回答で確認したいこと |
|---|---|
| 「現在の価格は、どの事例と比べてどう見えますか」 | 事例の時期・条件と自宅との違い |
| 「この反応から、次に何を確認すべきですか」 | 原因の断定ではなく、追加確認の手順 |
| 「掲載や物件情報に、改善できる点はありますか」 | 写真・説明・案内方法など具体的な変更案 |
| 「御社の査定では、どの条件をどう評価しますか」 | 現在の査定と異なる理由、想定期間 |
| 「期限までの間に、いつ何を見直しますか」 | 売却期間だけでなく、契約・決済までの日程 |
「うちなら売れます」だけでは比較できません。一方で、違う査定額が出たこと自体を営業目的と決めつける必要もありません。高い提案なら、根拠と販売方法を確かめましょう。
意見を聞いた後は、継続・会社変更・売り方変更を比べる
まず、確認できた事実と提案をいまの会社へ伝えます。「写真を追加できますか」「この比較事例との差を説明してください」と具体的に聞くと、改善できるかを判断しやすくなります。
続ける場合は、改善内容と確認日を決める
会社を変えなくても、情報の追加や販売方法の変更で対応できる場合があります。何をいつまでに変え、どの報告で確認するかを決めます。
価格を下げる提案が出たときは、値下げ幅の理由と、変更後の反応を確認する時期を聞きます。別の会社の査定があると、この提案も比較できます。
会社を変える場合は、契約終了と費用を確認する
専任・専属専任媒介の期間は3か月が上限で、更新には売主の申し出が必要です。満了日は見直しの区切りにできます。途中解除を考える場合は、理由と契約条項を確認します。
標準約款には、売主側の事情による途中解除などで費用の償還を求められる場合や、会社が紹介した相手と媒介契約終了後に直接取引した場合の条項があります。「満了したら、どのような取引をしても費用が一切かからない」とは考えないでください。
特別に依頼した広告などの費用も契約によって確認が必要です。争いがある場合は、契約書・報告・やり取りの記録をまとめて弁護士等へ相談します。
売り方を変える場合も、条件を比較する
一般媒介なら複数社に依頼できますが、会社数が増えれば広告や問合せが必ず増えるわけではありません。報告方法や販売活動を各社と相談します。
買取も検討するなら、金額だけでなく決済日や調査条件を確かめます。掲載を止めて出し直すだけで新着扱いになり、有利に売れるとは限りません。
値下げを決める前に、別の査定と販売提案を聞く。今の価格に納得するためにも、見直すためにも使える一歩です。
まとめ:セカンドオピニオンは会社を変えるためではなく満了日までに決めるために使う
専任媒介契約中でも、他の不動産会社や専門家に意見を聞けます。標準約款では他社への重ねての媒介依頼に制約がありますが、意見を聞く相談とは区別されます。個別の契約書や特約も確認してください。そのうえで、聞いた意見をそのまま乗り換えの理由にせず、いまの会社に確かめる材料として使います。相談先の所属や報酬関係によって提案の立場が異なるためです。
次の一歩は、誰かに聞く前に、登録証明書の二次元コードから売主専用画面に入り、取引状況が自分の把握する事実と合っているかを見ることです。身に覚えのない紹介停止などがあれば理由を聞きます。「公開中」の表示だけで実際の問い合わせ対応まで分かるわけではありません。
そのうえで、媒介契約書の満了日をカレンダーに書き込み、その2週間ほど前に続けるか変えるかを決めます。住み替えのトビラでは、セカンドオピニオンの相談先の使い分けや、意見をもらった後の選択肢も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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