マンションの資産価値の調べ方|今の価格と管理の書類・国の制度で先を確かめる

マンションの資産価値の調べ方|今の価格と管理の書類・国の制度で先を確かめる

自分のマンションの資産価値を調べようとすると、多くの人は不動産会社の査定額か、固定資産税の課税明細書に載る評価額を見て終わります。査定額は現在の売却見込み、固定資産税評価額は税金の計算用です。将来の負担を考えるには別の材料も必要です。

先に答えを言います。資産価値には「今いくらで売れるか」と「その価格がこの先も保たれるか」の2つの面があり、後者を考える材料が、管理と修繕の書類、そして国と業界が用意した「管理の見える化」の制度です。将来の価格を確定できるものではありません。国の令和5年度調査では、長期修繕計画を定めて積み立てている回答対象の管理組合のうち、残高が計画に対して不足する割合は36.6%でした。

この記事では、資産価値と評価額の違い、今の価値を金額で調べる方法、価値に関わる要因、管理と修繕を書類で確かめる手順、国と業界の制度の見方を順に説明します。

資産価値は「今の価格」と「管理・修繕の状態」を分けて調べる

今の自宅がいくらで売れそうかは、近い条件の成約事例と不動産会社の査定で確かめます。一方、管理書類から分かるのは、修繕の進み具合や今後の負担です。将来の売却価格を確定できるわけではありませんが、売るか保有を続けるかを考える材料になります。

確かめたいこと使う情報読み取れる範囲
今の売却価格近隣の成約事例・複数社の査定条件に応じた売却見込み。成約の保証ではない
今後の管理・修繕重要事項調査報告書・長期修繕計画・総会議事録積立状況、工事や増額の予定、運営上の課題
外部からの管理評価管理計画認定・マンション管理適正評価各制度の基準による管理の評価

固定資産税評価額や相続税路線価は税務のための数字です。土地の評価水準に使われる「7割」「8割」をマンション全体に当てても、売れる価格にはなりません。

出典:国土交通省「主な公的土地評価一覧」

今の価格は、事例の条件と査定の根拠を比べる

レインズ・マーケット・インフォメーションや不動産情報ライブラリでは、地域・築年・面積などが近い成約事例を探せます。ただし匿名化・丸め処理があり、同じマンションの取引とは特定できません。単価の中央値に自宅の面積を掛けても、自宅の価格が確定するわけではありません。

査定では、参考にした事例と自宅の違いを聞きます。同じ建物でも、階数・向き・室内の状態・取引時期で評価は変わります。売り出し中の物件は買主の比較対象として役立ちますが、価格の上限や成約額ではありません。

管理の良さも含めて、今の自宅はいくらと評価されるのか。複数社の査定で、価格とその理由を比べてみましょう。 公開データの調査や書類の取り寄せを、すべて済ませてから申し込む必要はありません。

不動産売却の一括査定サイトおすすめ7選|選び方と組み合わせ方 不動産一括査定サイトのおすすめを「元・査定サイトの中の人」が徹底比較してみた

管理以外に確認したい、立地と建物の条件

駅までの距離や生活施設、築年数、眺望などは、買主が比較する条件です。周辺の人口動向や再開発計画も参考になりますが、人口が増えるから自宅の価格も上がるとは限りません。将来推計人口は予測であり、購入希望者数そのものではありません。

耐震性は、築年だけで判断しないことも大切です。1981年6月の基準改正前後に建てられたマンションは、建築確認の時期や適用基準を資料で確認します。完成年だけでは区別できず、耐震診断・改修の記録も評価の材料になります。分からなければ管理会社や査定を依頼する不動産会社に確認しましょう。

出典:国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」

マンション相場の調べ方|無料で成約価格を自分で調べる手順 マンション相場の調べ方|無料で成約価格を自分で調べる手順

管理と修繕は3種類の書類で確かめる

見る書類は、重要事項調査報告書・長期修繕計画・総会議事録です。手元の総会資料から始め、足りない資料は管理会社や不動産会社に相談すれば進められます。

重要事項調査報告書で残高・滞納・工事履歴を見る

重要事項調査報告書は、マンションの管理状況を不動産取引のためにまとめた資料です。売却時には不動産会社が管理会社へ取得を依頼するのが一般的です。発行方法・手数料・記載の範囲は管理会社によって違うため、先に相談して重複した取り寄せを避けます。

マンション管理業協会の様式には、次の項目があります。

様式の区分主な記載項目
管理計画認定の有無認定の有無・認定を行った都道府県知事等・認定取得日
管理体制関係管理組合名称・役員数・通常総会の開催月・理事会の年間開催回数・管理規約原本
売主が負担する管理費等管理費・修繕積立金・修繕一時金の月額と滞納額
管理組合収支関係管理費会計と修繕積立金会計の繰越額・資産総額、管理費と修繕積立金の滞納額、借入金残高、修繕積立金の積立方式
計画修繕・改良関係長期修繕計画の有無と総会承認の年月・修繕工事の実施状況・修繕工事の実施予定
アスベスト・耐震診断調査結果の記録の有無・耐震診断の有無とその内容

出典:マンション管理業協会「管理に係る重要事項調査報告書作成に関するガイドライン」をもとに当サイト整理。

残高は、工事の直後には減ります。少ないという理由だけで管理不良とは判断せず、計画上の残高と比べます。滞納があれば金額・期間・回収状況も確認します。

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、長期修繕計画に基づき積み立てている回答者のうち、現在の残高が計画に対して不足しているとの回答は36.6%でした。これは調査対象の集計であり、自宅の不足は個別の資料で確認する必要があります。

出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」

長期修繕計画で、これからの収入と工事費を比べる

国のガイドラインでは、計画期間は30年以上で、大規模修繕工事を2回含む期間以上が基本です。期間だけでなく、見直した時期、工事費の前提、増額や借入の予定を見ます。

次は残高を読むために当サイトが設定した計算例です。実在のマンションの事例ではありません。

仮定する条件金額
現在の積立残高9,800万円
これから3年間の積立収入1,400万円×3年=4,200万円
3年後に予定する工事費1億6,000万円
この収入と工事だけを比べた不足額2,000万円

実際には、途中の工事・他の収入・工事費の変更もあります。差額があれば、増額・工事内容の見直し・借入などをどう計画しているか確認します。この計算だけで一時金の徴収が決まるわけではありません。

出典:国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」

修繕積立金の目安は「計画期間全体の平均」で比べる

国の目安は、現在の毎月の請求額ではなく、計画期間全体での修繕積立金の平均額です。現在の月額だけで「安すぎる」「十分」と判定すると、積立残高や段階的な増額を見落とします。

地上階数と建築延床面積事例の3分の2が包含される幅平均値
20階未満・5,000㎡未満235〜430円/㎡・月335円/㎡・月
20階未満・5,000㎡以上10,000㎡未満170〜320円/㎡・月252円/㎡・月
20階未満・10,000㎡以上20,000㎡未満200〜330円/㎡・月271円/㎡・月
20階未満・20,000㎡以上190〜325円/㎡・月255円/㎡・月
20階以上240〜410円/㎡・月338円/㎡・月

出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」をもとに当サイト整理。

たとえば月額9,000円・70㎡なら約129円/㎡・月ですが、これは現在の負担を面積で割っただけです。上の表と比べるには、計画開始時の残高、計画期間内の積立総額や専用使用料等の繰入額を含め、ガイドラインの方法で平均を算出します。管理会社に「計画期間全体の平均額はいくらか」と聞くと確認しやすくなります。

機械式駐車場の修繕費や、その費用を使用料で賄う会計かどうかにも注意が必要です。目安の範囲外でも直ちに不適切とは限らず、実際の計画と収支を合わせて判断します。

総会議事録で、決まったことと検討中のことを分ける

増額や一時金の話は、検討中なのか、総会で決まったのかで意味が違います。直近の議事録で、実施時期・金額・決議の有無を確認します。閲覧方法は管理規約や管理会社の案内に従います。

確認事項査定時に伝える内容
工事が完了している実施時期と内容、今後の工事予定
積立金の増額が決まっている新しい月額と開始時期
借入・一時金を検討している検討段階と、決定済みの事項
計画どおり積み立てられている残高と計画の対応が分かる資料

工事や資金計画が整っていることは、買主への説明材料になります。負担の予定がある場合も隠さず伝え、査定でどう評価したかを確認しましょう。

管理の質を示す2つの制度を確認する

管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度は、管理の状態を外部から確認する手がかりです。どちらも、自宅の売却価格を保証する制度ではありません。

項目管理計画認定制度マンション管理適正評価制度
主体地方公共団体の長(マンション管理適正化法)一般社団法人マンション管理業協会
判定基準を満たすか(認定の有無)5分野30項目を点数化して6段階
有効期間5年(更新制)1年(毎年更新)
公開先マンション管理センターの閲覧サイト協会の評価サイト

管理計画認定は、認定の有無と有効期間を見る

管理計画認定制度は、管理計画が基準を満たすと地方公共団体の長が認定する制度です。管理規約・経理・修繕計画・名簿管理など複数の基準があり、自治体独自の基準が加わる場合もあります。

認定を受けたマンションは、公開に同意している場合にマンション管理センターの一覧で確認できます。掲載がない場合は管理組合等へ確認します。認定の有効期間は5年です。住宅ローンの金利引下げや税の軽減などは、認定以外にもそれぞれの適用条件があります。

出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」

管理適正評価は、総合点に加えて分野別の点を見る

マンション管理業協会の制度は、5分野30項目を評価し、合計点で6段階に表示します。総合の星だけでなく、どの分野が評価されたかも確認すると、説明材料を整理できます。

分野配点
管理体制20点
建築・設備20点
管理組合収支40点
耐震診断関係10点
生活関連10点
段階点数協会の表現
星5つ90〜100点特に優れている
星4つ70〜89点優れている
星3つ50〜69点良好
星2つ20〜49点一部改善が必要
星1つ1〜19点管理に問題があるが、情報開示あり
星なし0点以下管理不全の疑いあり

出典:マンション管理業協会「マンション管理適正評価制度」をもとに当サイト整理。有効期間は1年で、更新状況も確認します。

未認定・未登録だけで管理が悪いとは言えません。書類で実態を確認し、簡単な自己チェックを正式な認定の代わりにしないことが大切です。

立地や築年だけで、自宅の価値を決めつけない。管理や修繕の実績を伝えたうえで、今の査定価格を確かめましょう。

まとめ:資産価値は成約データと管理の書類の両方で調べる

いちばん重いのは、将来の負担を考える材料が、管理と修繕の書類にもあるという点です。固定資産税評価額は宅地なら地価公示の7割を目途にした税金用の評価で、売れる価格とは目的も水準も違います。一方で、調査で長期修繕計画を定めて積み立てている回答対象の管理組合の36.6%は残高が不足していました。自宅も重要事項調査報告書や長期修繕計画、収支の資料で確認します。

次の一歩は、管理会社に重要事項調査報告書を依頼して、修繕積立金の残高・滞納額・長期修繕計画の期間を自分の目で読むことです。値上げや一時金の予定は、買主への説明や交渉にも関わる情報です。書類が手元になくても査定の相談は始められます。

書類を読んだら、計画期間全体の修繕積立金を国のガイドラインの目安と比べ、管理計画認定マンション一覧とマンション管理適正評価サイトで自分のマンションを検索してみます。住み替えのトビラでは、マンションの資産価値の調べ方や管理の質の確かめ方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。