一括査定と個別査定の違いは?自分に合う選び方を解説

一括査定と個別査定の違いは?自分に合う選び方を解説

マンションの査定を受けようと調べると、一括査定と個別査定という2つの頼み方が出てきます。

どちらを選べばよいのか、営業の連絡が増えないかと、申し込みの手前で決めかねていませんか。決めかねている間は、売り出し価格を判断する材料が手元に1つも増えません。

この記事では、一括査定と個別査定の違いを5つに整理し、迷ったときの選び方と、連絡の負担を抑えながら比較する方法まで解説します。

一括査定と個別査定の違いは5つ

一括査定と個別査定の違いは、次の5つに整理できます。

違い一括査定個別査定
依頼方法サイトに一度入力して申し込む会社へ1社ずつ直接連絡する
会社数一度の入力でまとめて依頼できる頼む数だけ申し込みを繰り返す
会社探しの手間対応できる会社が自動で候補に挙がる自分で調べて選ぶ
比較のしやすさ複数の査定額を並べて比べられる1社の査定額だけでは比べにくい
連絡の負担依頼した社数ぶん連絡が来る連絡相手は1社だけ

どれも頼み方の違いであり、査定の中身の違いではありません。

違い1:依頼方法|サイトを介するか、会社へ直接か

違いの1つ目は、一括査定サイトを介するか、不動産会社へ直接連絡するかです。

一括査定は、サイトのフォームにマンションの所在地・専有面積・築年数などを一度入力して申し込みます。個別査定は、自分で選んだ会社へ電話やWebサイトから直接依頼します。

間にサイトが入るかどうかで、依頼できる会社の数も、連絡が来る相手の数も変わります。サイトを介すと、入力した物件情報と連絡先は依頼先の各社へ渡ります。個別査定なら、伝える相手は選んだ1社だけです。

査定の始まり方だけでなく、個人情報を渡す範囲もここで決まります。

違い2:会社数|一度の入力でまとめて依頼できるか

違いの2つ目は、「複数社か1社か」ではなく、一度の入力でまとめて依頼できるかどうかです。

個別査定でも、1社ずつ連絡すれば複数の会社に頼めます。ただし会社ごとに申し込みをやり直し、同じ物件情報を毎回伝え直すことになります。一括査定なら、一度の入力で複数社へ同時に依頼が届きます。

この差が生まれるのは、一括査定サイトが、入力された内容を提携先の不動産会社へまとめて取り次ぐためです。

売却への影響は、比較の材料になる査定額を、どれだけ少ない手間と時間で集められるかに表れます。個別査定を1社ずつ繰り返すと、申し込む会社の数だけ物件情報の入力、担当者とのやり取り、訪問の日程調整が重なり、比較を始めるまでが遅れがちです。住み替え先の入居時期が決まっているときほど、この差は大きくなります。

違い3:会社探しの手間|候補を自分で探すか、自動で挙がるか

違いの3つ目は、依頼先の候補を自分で探すか、自動で挙がるかです。

一括査定では、入力した物件に対応できる会社が、サイトの提携先の中から自動で候補に挙がります。個別査定では、自分で会社を調べ、実績や評判を確かめて選びます。

サイトは提携先の対応エリアや得意な物件種別を把握しているため、条件に合う会社を機械的に選び出せます。この仕組みが手間の差を生んでいます。

依頼先を決めていない人は、一括査定なら会社探しをゼロから始めずに済みます。頼みたい会社がすでにある人には、この手間はそもそも発生しません。なお、一括査定で挙がる候補は提携先に限られるため、頼みたい会社が提携していなければ直接連絡することになります。

違い4:比較のしやすさ|複数の査定額と根拠を並べられるか

違いの4つ目は、複数の査定額とその根拠を並べて見られるかどうかです。

一括査定では、各社の査定額が手元に集まります。査定額は会社の得意分野や販売方針によって差が出ますが、個別査定で分かるのは1社の額だけで、その額が高いのか安いのか比べる相手がいません。

マンションで比較がしやすいのには理由があります。マンションの査定は、同じ棟の別住戸や近隣の似た物件が実際にいくらで売れたかという成約事例をもとに価格を出す「取引事例比較法」が基本です。一戸ごとの個別性が戸建てより小さく、比較の相手になる住戸も見つけやすいため、各社に「どの成約事例をもとにその額を出したのか」を尋ねて、説明を突き合わせられます。

複数の額を並べると、1社だけ大きく高い数字、または安い数字は目立ちます。媒介契約を取るために高い額を出す会社があっても、他社の提示と並べれば疑問を持てます。

比較しないまま進めた場合の不利益は具体的です。1社の額だけで売り出し価格を決めると、その額が相場より低くても気づく手がかりがありません。売り出した後でも他社の査定は受けられますが、その段階では価格を変える理由を買い手や担当者へ説明する必要が出てきます。売り出し価格を決める前なら、価格変更の説明も買い手の反応も気にせずに、各社の額と根拠だけを比べられます。

相場は自分でも調べられます。周辺の中古マンションの成約価格はレインズ マーケットインフォメーションで、実際の取引価格は国土交通省の不動産情報ライブラリで、いずれも無料で確認できます。自分で調べた相場があれば、各社の査定額を読むときの基準がもう1つ増えます。

出典: レインズ マーケットインフォメーション / 国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産価格・取引価格)

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違い5:連絡の負担|連絡相手が社数ぶんか、1社か

違いの5つ目は、連絡を取り合う相手が依頼した社数ぶんになるか、1社で済むかです。

一括査定では、申し込みの直後から各社の電話やメールが届きます。依頼した会社の数だけ対応が必要です。個別査定なら、連絡相手は依頼した1社だけです。

連絡が集中するのには背景があります。一括査定サイトでは、不動産会社が査定の依頼を受け取るたびにサイトへ費用を払う仕組みが一般的です。売却の依頼につながらなければその費用は回収できないため、各社は他社より早く連絡を取ろうとします。申し込んだ直後に電話が重なるのは、担当者の性格ではなく、この反響課金と呼ばれる仕組みによるものです。

連絡対応の負担は、個別査定より重くなります。ただし、連絡の煩わしさを理由に比較そのものをやめると、そのつけは売り出し価格の側に残ります。依頼する会社の数と連絡の方法は、申し込むときに自分で指定できます。

勘違いしがちな、「実は違いではない」ポイント

一括査定と個別査定の違いとしてよく挙げられるものの、実は依頼方法とは関係のないことが4つあります。この4つを誤解したまま片方を除外すると、比べる機会を自分でなくすことになります。

査定の精度|査定額を出すのは不動産会社

「一括査定はまとめて出すからおおざっぱで、個別査定のほうが正確」という誤解があります。

実際には、査定の精度は一括か個別かでは決まりません。

一括査定サイトが担うのは依頼の取り次ぎまでで、査定額を出すのは依頼を受け取った不動産会社の担当者だからです。サイト経由でも直接依頼でも、会社が査定に使うのは物件情報と周辺の成約事例です。精度を左右するのは、次に説明する机上査定か訪問査定かという調べ方の違いです。

机上査定か訪問査定か|頼み方とは別の区分

「一括査定は机上査定で、個別査定は訪問査定」という思い込みもあります。

実際には、机上査定・訪問査定は一括・個別とは別の区分で、どちらの頼み方でも机上査定と訪問査定のどちらも選べます。

机上査定は物件データと周辺の成約事例から概算を出す方法、訪問査定は担当者が室内や共用部まで確認して精度を高める方法です。これは調べ方の区分であり、一括か個別かという頼み方の区分とは層が違います。まず机上査定で概算だけ受け取り、売り出し価格を決める段階で訪問査定へ進むという使い方も、どちらの頼み方でもできます。

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査定料金|どちらも基本無料

「複数社に頼む一括査定は費用がかさむのでは」「そもそも査定は有料では」と心配する方がいます。

実際には、どちらの方法でも売主が査定に料金を払わないのが一般的です。一括査定サイトも、売主は無料で利用できるのが通常です。

不動産会社にとって査定は、売却の仲介を任せてもらうための入口だからです。会社の収入は売買が成立したときの仲介手数料で、査定の段階で売主から料金を受け取る形にはなっていません。費用を負担しているのは不動産会社の側です。料金を気にして比較を控える理由はありません。

売却を依頼する義務|査定を受けても売る義務はない

「査定を受けたら、その会社に売却を頼まないと悪い気がする」という遠慮もよくあります。

実際には、どちらの方法でも、査定を受けた会社に売却を依頼する義務はありません。査定だけ受けて断ってもよく、結果を見て「今は売らない」と決めても構いません。

売却の依頼は、査定の後に媒介契約を結んで初めて成立します。査定を受けただけでは契約は成立せず、断ることに引け目を感じる必要はありません。断りにくさを避けて査定を先延ばしにすると、売る決断より先に、判断材料を持たない期間だけが延びていきます。

一括査定と個別査定で迷うときどうすれば良い?

違いが分かっても決めきれないときは、依頼先が決まっているかどうかを基準にすると選びやすくなります。どちらを選んでも、決めないまま置いておくよりは前に進みます。

依頼先が決まっていない・相場や担当者を比較したいなら一括査定

依頼先をまだ決めていないなら、一括査定から始めます。相場と担当者を見比べて決めたい場合も同じです。

会社探しから始めずに済み、一度の入力で複数の査定額が集まります。数字だけでなく、返信の速さや説明の丁寧さといった担当者の対応も並べて比べられるため、売却を任せる相手を選ぶ材料がそろいます。

他社と大きく異なる提示があったときに疑問を持ち、その根拠を確認できることも利点です。会社を探すところから1社ずつ申し込むと、そのたびに入力とやり取りが増え、比べられる材料がそろうまで時間がかかります。

信頼できる会社がすでにある・連絡相手を増やしたくないなら個別査定

信頼できる会社がすでにあるなら、その1社への個別査定を選びます。連絡を取る相手を増やしたくない場合も同じです。

過去に取引した会社や、知人から紹介された会社があるなら、直接頼むのが自然です。連絡も個人情報を渡す先も1社で済み、自分のペースで相談を進められます。

ただし、分かるのはその1社の額だけです。信頼している会社であっても、その額が相場に対して高いのか低いのかは、1社の資料だけでは判断できません。自分でも周辺の成約価格を調べておくと、提示された額を落ち着いて受け止められます。

なお、名前や電話番号を伝えずに概算だけ知りたい場合は、匿名査定・AI査定という第三の選択肢もあります。

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それでも迷うなら個別査定と一括査定を組み合わせて使う

どちらか一方に決めきれないなら、両方を組み合わせる方法があります。使う順番によって2つの型に分かれます。

信頼できる1社の査定を一括査定で確かめる

信頼できる会社はあるものの、その査定額が妥当か確かめたいときは、個別査定を先に受けて一括査定を重ねます。

まず信頼する1社に個別査定を依頼し、その額と説明を控えておきます。次に一括査定で他社の査定額を集め、額そのものではなく、各社が何をもとにその額を出したのかを見比べます。

尋ねるのは、参考にした成約事例、その事例からどう補正したか、どんな販売方針で売り出すつもりかの3点です。同じ事例を使っていても、補正の考え方や販売方針が違えば額は変わります。他社の額と近いか離れているかは、その額が妥当かどうかの根拠になりません。信頼する1社の説明が他社より薄いと感じたら、その点を確認する材料になります。

確かめるなら、媒介契約を結ぶ前です。売り出しが始まってから他社の額を知っても、価格の見直しには手間も時間もかかります。信頼できる相手との関係を保ったまま、額の妥当性だけを確かめられる進め方です。

一括査定で候補を集めて1社に絞る

依頼先を決めていないなら、一括査定で候補を集めてから1社に絞ります。

まず一括査定で複数社の査定額と対応を見比べます。絞り込みの基準は、査定額の高さではなく根拠の説明です。なぜその金額になるのかを、同じ棟や近隣の成約事例を挙げて筋道立てて説明できる会社なら、売却を任せる相手として信頼できます。

1社に絞った後は、個別査定と同じようにじっくり相談しながら進められます。比較の安心と相談のしやすさを、順番の工夫で両方得られます。

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一括査定の連絡負担を抑えながら比較する方法

一括査定を使うと決めたら、残る心配は連絡の多さです。申し込むときのひと手間で、負担は抑えられます。

依頼する会社数を絞る

まず、依頼する会社の数を絞ります。

連絡の量は、依頼した会社の数だけ増えるからです。自分で査定書を読み比べられる範囲に収めて申し込み、比較の材料が足りなければ後から追加します。

数を管理できる範囲にとどめれば、1社ごとの査定額と根拠をきちんと読む余裕も生まれます。連絡を恐れて1社に絞りきってしまうと、比較の材料はゼロに戻ります。

備考欄で連絡方法と時間帯を指定する

次に、申込フォームに備考欄や要望欄があれば、連絡方法と時間帯の希望を書いておきます。

担当者は依頼内容とあわせてその記入を見ます。必ず希望どおりの連絡になるとは限りませんが、何も書かない場合よりは希望が伝わります。そのまま使える例が次の文です。

ご連絡はメールでお願いします。電話でのご連絡はお控えください。査定額のほか、その根拠となる近隣の成約事例もあわせてお知らせいただけると助かります。

備考欄のないサービスもあります。その場合は、最初に連絡が来たときに希望を伝えます。メールなら履歴が残るため、各社の査定内容と対応の質を後から見比べられます。希望を伝えても電話が続くときの断り方は、次の記事で確認できます。

一括査定の営業電話の断り方と止め方|文例つき 一括査定の営業電話の断り方と止め方|文例つき

依頼する会社の数を絞り、連絡方法を指定する。この2つで、連絡の多さを理由に比較を先延ばしにする必要はなくなります。どの一括査定サイトを使うかは、次の比較記事で確認できます。

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まとめ:一括査定と個別査定は依頼先の有無で選ぶ

一括査定と個別査定の違いは、依頼方法・会社数・会社探しの手間・比較のしやすさ・連絡の負担の5つで、いずれも査定の中身ではなく頼み方の違いです。選ぶ基準はシンプルで、依頼先を決めていなければ一括査定、信頼できる会社がすでにあるなら個別査定です。

次の一歩は、自分がどちらに当てはまるかを決めて、査定を申し込むことです。ここを曖昧にしたまま1社の額だけで売り出すと、その額が相場より安くても気づけません。売り出した後に気づいても、価格を上げ直すのは難しく、住み替え先の資金計画もそのぶん動かしにくくなります。

迷いが残るなら、個別査定と一括査定を組み合わせる方法もあります。まずは今のマンションがいくらで売れそうか、確かめるところから始めてください。住み替えのトビラでは、一括査定と個別査定の選び方も含めて、住み替え(買い替え)で悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。