マンションの評価額の調べ方|一物五価の違いと目的別(売却・相続・保有税)の見方

不動産の評価額とは?一物五価の違いと目的別の調べ方

自分のマンションの値段を調べると、いくつもの価格が並び、どれが本当の値段なのかで頭を抱えます。

価格が分かれるのは、どこが何のために定めた値かが違うからで、売りたいのか、相続を見積もりたいのかなど、目的を先に決めると調べる先が絞れます。

必要な評価額を、課税明細書や公的サイトで調べる手順を説明します。

知りたい金額に合わせて、調べる書類・サイトを選ぶ

評価額の意味を広く調べるより、必要な数字をどこで確認するかを先に決めると進めやすくなります。

知りたいこと最初に見るもの確認する点
固定資産税の評価額課税明細書土地・家屋の価格または評価額欄
書類として評価額を証明したい自治体の固定資産評価証明書対象年度、申請資格、必要書類、手数料
相続・贈与の評価に必要な資料国税庁の路線価図・評価倍率表、課税明細書、登記資料年分、土地と建物、補正の対象か
近隣の取引価格不動産情報ライブラリなど成約時期と物件条件
自宅が今売れる価格不動産会社の査定自宅の特徴、想定期間、根拠

評価額の種類や意味はマンションの評価額とは、数字を横に並べた比較は査定額・相場・評価額の違いで説明しています。ここからは、必要な数字を実際に調べる手順を見ます。

マンションの評価額の調べ方【公的サイト・書類別】

公開サイトで調べられる情報と、所有者等が書類で確認する情報があります。証明書の取得には手数料がかかる場合があります。

この章では、値ごとに「どこで・何を見れば分かるか」を出所つきで案内します。実勢価格と公示地価・基準地価は同じ不動産情報ライブラリで調べられるため、続けて見ていきます。

実勢価格の調べ方|不動産情報ライブラリ(マンションの取引価格)+レインズ

実勢価格に近い値は、国土交通省「不動産情報ライブラリ」で、実際に取引された価格を検索して把握できます。マンションの中古取引もこのサイトで調べられます。

このサイトでは、実際に行われた不動産取引の価格情報が地域ごとに公開されています。手順は次のとおりです。

  • 不動産情報ライブラリのトップから「不動産価格(取引価格・成約価格)情報」を選ぶ
  • 地図から地域を絞り込むか、都道府県・市区町村・地区を指定する
  • 種類で「マンション(中古マンション等)」を選び、取引時期で条件をしぼる
  • 表示された取引事例で、面積あたりの価格や取引時期を確認する

成約ベースの事例をさらに見たいときは、指定流通機構が運営する「不動産取引情報提供サイト(通称レインズ・マーケット・インフォメーション)」も使えます。指定流通機構は国土交通大臣から指定を受けた法人で、全国に4つあり、「レインズ」はこれらの機構が運営する不動産情報交換システムです。ここではマンションの成約価格を、面積帯・築年・成約時期といった条件で無料で検索でき、条件の近い事例を確認できます。

いずれのサイトで分かるのも、あくまで似た条件の物件がいくらで取引されたかという事例です。あなたの部屋そのものの金額ではありません。階や向き、室内の状態、管理状況で価格は動くため、事例で相場観をつかんだうえで、実際に売れる金額は最後に査定で確かめましょう。

出典: 不動産情報ライブラリ(国土交通省)

公示地価・基準地価の調べ方|不動産情報ライブラリ

公示地価と基準地価は、同じ不動産情報ライブラリの地価公示・地価調査の検索で調べられます。地図上で調べたい場所を表示し、標準地(公示地価)・基準地(基準地価)の地点をクリックすると、その地点の価格や1平方メートルあたりの単価、過去の推移を確認できます。

ただし、公示地価・基準地価は土地取引の指標で、マンションの売却相場を直接表す値ではありません。土地の指標だけでは、住戸の条件や管理状態を含む売却価格は分かりません。売却相場は、前述の取引事例(実勢価格)で見るのが近道です。

出典: 不動産情報ライブラリ 地価公示・都道府県地価調査(国土交通省)

相続税路線価の調べ方|国税庁 路線価図・評価倍率表

相続税路線価は、国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、対象地の前面道路の路線価を調べられます。手順は次のとおりです。

  • 国税庁「路線価図・評価倍率表」のページを開く
  • 調べたい年分と都道府県を選ぶ
  • 「路線価図」を選び、市区町村・地区を絞り込んで地図を表示する
  • 対象の土地が面する道路に書かれた数字(1平方メートルあたり千円単位)を読む

路線価が設定されていない地域では、路線価図の代わりに「評価倍率表」を使います。路線価を調べる手順そのものは、令和6年以降も変わりません。

ただし、令和6年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得したマンション(居住用の区分所有財産)には、区分所有補正率という調整が入ります。そのため、従来どおり路線価に持分を掛けて単純計算した額は、実際の相続税評価とずれることがあります。

対象になるかと補正率は、国税庁の「区分所有補正率の計算明細書」と説明資料で確認します。これは相続・贈与の評価のための計算で、自宅の売却価格を求める計算ではありません。

実際の乖離率の計算には物件ごとの数値が要り、適用の可否にも例外があります。具体的な補正率は国税庁の「区分所有補正率の計算明細書」で計算でき、正確な評価額と計算は税理士に相談してください。

出典: 国税庁 No.4667 居住用の区分所有財産の評価

出典: 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表(国税庁)

路線価の調べ方と見方|国税庁サイトで自分の土地を読む 路線価の調べ方と見方|国税庁サイトで自分の土地を読む

固定資産税評価額の調べ方|課税明細書・評価証明書・縦覧

固定資産税評価額は、毎年の納税通知書に付く「課税明細書」で最も手軽に確認でき、手元にない場合は市区町村の窓口で分かります。入手のルートは、大きく次の3つです。

  • 課税明細書:固定資産税・都市計画税の納税通知書に同封され、土地・家屋別に評価額が記載されている
  • 固定資産評価証明書:市区町村(東京23区は都税事務所)の窓口で申請すると発行され、手数料がかかる
  • 縦覧・課税台帳の閲覧:自分の評価額を市区町村内の他の物件と比べられる制度など

いちばん手軽なのは、手元に届く課税明細書です。明細のなかの「価格」または「評価額」の欄が、固定資産税評価額にあたります。納税通知書の送付時期や縦覧の期間は例年おおむね春ごろですが、自治体によって異なるため、詳しくは自分の市区町村で確認してください。

マンションで見るときの注意点は、課税明細書に土地と家屋(共用部分の配分を含む場合があります)が分かれて載ることです。戸建てのように土地を1筆まるごと持つのと違い、所有権の敷地の場合、マンションの敷地は区分所有者の共有で、自分は持分(敷地権割合)に応じた分を負担します。

そのため、土地欄の面積や評価額が、敷地全体の値なのか持分で按分したあとの値なのかは、自治体の様式によって異なります。自分の持分(敷地権割合)は、不動産登記簿(登記事項証明書)の「敷地権の割合」で確認するのが確実です。

出典: 固定資産税の概要(総務省)

固定資産税評価額の調べ方|書類・役所・ネットで確認する方法 固定資産税評価額の調べ方|書類・役所・ネットで確認する方法

マンションの評価額を調べるときの注意点

ここまで見てきた評価額は、どれも目的別に置かれた値です。混同したまま使うと、判断を誤ることがあります。

この章では、調べた値を実際に使うときに間違えやすい点を整理します。

税務用の値と売却相場は水準がずれる

相続税路線価や固定資産税評価額は課税のための値であり、実際に売れる価格(実勢価格)とは水準が異なります。マンションでも同じです。

課税用の値は、取引で成立する価格よりも控えめに置かれる傾向があります。そのため、届いた課税明細書の評価額や、調べた路線価をそのまま「これがうちのマンションの売値」と受け取ると、相場を実際より低く見積もってしまいます。逆に、その値だけを頼りに強気の値付けをしても、市場の実勢とかみ合わないことがあります。

マンションの売却相場を知りたいときは、課税用の値ではなく、実際の取引事例(実勢価格)を出発点にし、最後は査定で見込み額を確かめるのが基本です。税務用の値は、あくまでその税金を考えるための値だと切り分けて使いましょう。

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割合の目安(8割・7割)はどこまで根拠があるか|宅地と家屋で話が違う

「路線価は公示価格の約8割」「固定資産税評価額は約7割」といった割合は、目安として広く使われます。このうち固定資産税評価額の7割は、宅地について「地価公示価格等の7割を目途に評価する」という総務省の説明があり、根拠のある数字です(平成6年度の評価替えから導入されました)。ただし、これは地価公示価格に対する目途であって、実際の売買価格に対する比率ではありません。

さらに、マンションの専有部分(家屋)は考え方そのものが違います。家屋の評価は「再建築価格及び経年減点補正率等に応じて」行うもので、同じ家屋をその場所に新築する場合の建築費を出発点にします。取引価格を基礎にしていないため、「売買価格の何割」という関係が成り立ちません。

固定資産税評価額が売買価格の何割になるかを集計・公表している統計は、総務省・国土交通省のいずれにも見当たりません。割合から逆算して自分の評価額を見積もるのではなく、課税明細書か固定資産評価証明書で実額を確かめてください。

出典: 総務省「地方税制度|固定資産税の概要」

たとえば「固定資産税評価額を0.7で割れば時価が分かる」といった計算は、マンションの相場や税額を求める方法としては使えません。マンションの売却相場を知りたいなら実勢価格と査定を、相続や贈与の評価額なら土地・建物の資料と必要な補正を確認する、というように、目的に対応した値を直接調べるのが確かです。

まとめ:マンションの評価額を目的別に読むなら、住み替えのトビラ

マンションの評価額は、目的に合った書類やサイトで確認します。読む値は、何のためにその額を知りたいかで決まります。

どの値を読むかを決めるには、売るための額なのか、税を見積もるための額なのかを先に分けます。ここを混ぜたまま調べると、課税のための額を売値と取り違えます。

調べ始める前に、自分がどちらの目的で額を知りたいのかをはっきり決めましょう。住み替えのトビラでは、マンションの評価額の見分け方も含めて、住み替え(買い替え)で悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。