自分のマンションの他の部屋がいくらで売れたのか、いま売り出し中の部屋はいくらなのか。住み替え(買い替え)を考え始めると、地域の相場より先に気になるのがこの数字だと思います。
先に答えを言います。同じマンションの売却価格は、立地や築年などをそろえて比較しやすい事例です。ただし、部屋の条件や取引時期によって価格は異なります。調べる経路は4つあり、成約価格・売り出し価格・登記の情報など、分かることが違います。登記には売買価格は載りません。
集めた事例の㎡単価・時期・部屋の条件を比べれば、査定の根拠を確かめる材料になります。この記事では、同じマンションの売却価格が自分の部屋の基準になる理由、過去の売却価格を調べる方法、部屋ごとに差が出る要因、自分の部屋に当てはめる手順、売り出し中の部屋があるときの値付けのコツを順に説明します。
同じマンションの成約事例は、査定を確かめる手がかり
同じマンションなら、駅からの距離や築年数、共用施設などをそろえて比較できます。近隣の別の建物より、部屋ごとの違いを確認しやすいのが利点です。
不動産流通推進センターの価格査定マニュアルも、同一または類似するマンションの取引事例と条件を比べる方法を説明しています。ただし、同じ建物の事例なら何でも参考になるわけではありません。何年も前の取引や、広さ・売却事情が大きく違う部屋は、その差の確認が必要です。
出典:不動産流通推進センター「価格査定マニュアルによる査定方法」
過去の売却価格を調べる4つの経路
| 調べる経路 | 分かること | 使うときの注意 |
|---|---|---|
| 不動産会社に査定を依頼 | 同じ建物や近隣の成約事例、査定の評価理由 | 事例の有無や開示できる項目は異なる |
| RMI・不動産情報ライブラリ | 周辺で成立した取引の価格や条件 | 匿名化されており、建物・号室は特定できない |
| ポータルサイト・マンション名で検索 | 現在や過去の売り出し価格 | 実際に売れた価格とは区別する |
| 登記情報 | 所有権移転の原因や時期など | 売買価格は載らない。借入額からも価格は決まらない |
同じ建物の事例は、不動産会社に確認する
査定を頼むときに、次のように伝えると目的が明確になります。
「同じマンションの成約事例はありますか。開示できる範囲で、売れた時期・面積・階・向きと価格を知りたいです」
同じ建物に事例がなければ、近隣のどのマンションを参考にしたか、その理由を聞きます。事例が少ないことだけで、自宅の価値が低いとは決まりません。
自分で調べるなら、成立した価格と売り出し価格を分ける
一般向けのレインズ・マーケット・インフォメーション(RMI)と国土交通省の不動産情報ライブラリは、周辺の成約・取引価格を無料で調べる入口です。地域・築年・面積などを選び、似た条件の事例を探します。
条件が一致しても、同じマンションとは断定できません。「周辺の参考事例」として保存し、建物を確認できた事例と分けて扱います。
ポータルサイトではマンション名を検索します。こちらは競合の価格や売り出し状況を知るために使います。掲載が消えても、売れたとは限らず、最後の掲載額が成約価格とも限りません。
出典:RMI「よくあるご質問」/国土交通省「不動産情報ライブラリ」
登記の借入額を売却価格の下限にしない
登記の抵当権に記録された債権額は、売買代金そのものではありません。頭金や諸費用を含む借入れなどで関係が変わり、借り換え等の確認も必要です。「この金額以上で売れた」とは判断できません。
価格を知る目的なら、まず成約事例の確認を優先しましょう。登記の詳しい取得手順まで調べる必要はありません。
同じマンションでも、価格差が出る条件
同じ建物だからこそ、自分の部屋の強みを具体的に比べられます。次の表は、査定の説明を受ける際の確認項目として編集部が整理したものです。
| 比較する項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 成約時期・取引条件 | いつ売れたか。買取など売り方の違いや特別な事情はあるか |
| 面積・間取り | 面積の測り方が同じか。広さや使いやすさに差があるか |
| 階・向き・眺望 | 日当たり、前の建物、音などを含めてどう評価したか |
| 室内の状態 | 改装の内容・時期、設備の状態が反映されているか |
| 毎月の負担・権利 | 管理費・修繕積立金、駐車場などの条件に差があるか |
| 引き渡し条件 | 買主の希望時期に対応できるか、居住中か空室か |
管理費や修繕積立金は、同じマンションでも住戸の面積等で異なることがあります。「高層階だから一律に何%高い」とは置かず、比較事例と評価理由を確認します。リフォーム代も、そのまま売却価格に上乗せできるとは限りません。
事例を自分の部屋に当てはめるときの手順
価格を面積で割り、比較の条件をそろえる
㎡単価は「その部屋の価格÷その部屋の専有面積」で計算します。たとえば5,800万円・75㎡なら、約77.3万円/㎡です。これは計算方法を示す仮定の例で、実際の成約事例ではありません。
広告の壁芯面積と登記の内法面積は異なるため、面積の種類をそろえます。公開データは価格・面積が丸められている場合があり、細かな単価差に意味を持たせすぎないことも大切です。他の部屋の価格を、自分の部屋の面積で割ってはいけません。
評価の違いは、勝手に金額に置き換えない
不動産流通推進センターの売却価格提案書のサンプルでは、事例単価に条件を評価した点数の比率と面積を掛けて査定します。掲載例は、62.5万円/㎡×114.1÷96.2×60㎡で、約4,448万円です。これは同センターの説明用サンプルで、当サイトの売却実績ではありません。
この例から分かるのは、単価を掛けるだけでなく、条件差の評価が入ることです。自分で「南向きだから数百万円追加」と決めたり、地域の上昇率をそのまま掛けたりすると、根拠のない査定額になります。
出典:不動産流通推進センター「売却価格提案書・マンション版サンプル」
査定額と事例が違う理由を聞く
- 比較した事例は、いつ・どの条件で売れたものか。
- 自分の部屋のどこを高く、どこを低く評価したか。
- 想定する販売期間と、その価格を目指す売り方は何か。
中央値や事例の最安値は、売れる価格の保証ではありません。高い査定にも、自分が気づかなかった評価理由があるかもしれません。金額だけで除外せず、根拠と提案を比べましょう。
同じマンションに売り出し中の部屋があるとき
競合より安く出すと決める前に、買主から見た違いを確認します。面積や階だけでなく、室内写真、設備、引き渡し時期も比較材料です。
| 状況 | 不動産会社に確認すること |
|---|---|
| 競合より高い価格を目指す | 価格差に見合う強みを、どう広告・内見で伝えるか |
| 競合が値下げした | 自宅の問い合わせ状況や条件差から、変更が必要か |
| 競合の掲載が消えた | 成約か取り下げか。価格を確認できるか |
| 同じ会社が両方を扱う | 自宅の特徴をどう紹介し、反響をどう報告するか |
競合の動きだけで値下げせず、自分の期限と反響を合わせて判断します。待てば必ず有利になるわけでもありません。具体的な値付けは、売り出し価格の決め方の記事で整理しています。
同じマンションの価格で終わらせず、自分の部屋はいくらを狙えるか。査定で確かめましょう。
まとめ:同じマンションの売却価格は、条件と時期をそろえて比べる
同じマンションの売却価格でいちばん重いのは、同じ棟の事例は、立地や築年などをそろえて比較しやすい点です。ただし、部屋の条件や管理費の負担、取引時期・事情の違いも確認します。件数だけで比較の良し悪しは決まりません。
次の一歩は、不動産会社に「号室は伏せた形で、階数と向きと成約時期の分かる同じマンションの成約事例」を出してもらい、価格を専有面積で割って㎡単価の列を作り、条件の違いと価格の関係を確認することです。中央値や事例の上下限は、自宅の成約価格を保証するものではありません。
そのうえで、同じ棟に売り出し中の部屋があるときは、相手の値下げではなく自分の期限と成約事例の幅で価格を決めます。住み替えのトビラでは、同じマンションの売却価格の調べ方と自分の部屋への当てはめ方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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