築20年のマンションは「そろそろ売れなくなる」と語られがちな築年数です。
東日本レインズの2026年4〜6月の首都圏集計では、築16〜20年帯の成約件数は築11〜15年帯より約21%多くなっています。
この集計から分かるのは、築20年前後でも取引があることです。買い手の属性が変わったことまでは分かりません。相場、住宅ローンの条件、そして増えた選択肢の選び方を、公式の数字で確かめられる形にまとめました。
築20年でも、実際に売買されている
築20年という理由だけで、売却を諦める必要はありません。まず首都圏の取引実績を確認し、そのうえで自宅の状態に合う売り方を考えます。
成約価格と件数を確認する
東日本不動産流通機構による2026年4〜6月期の集計です。「〜築20年」は築16〜20年、「〜築25年」は築21〜25年の帯です。
| 築年帯 | 成約価格 | ㎡単価 | 専有面積 |
|---|---|---|---|
| 〜築15年 | 7,916万円 | 124.4万円 | 63.6㎡ |
| 〜築20年 | 6,536万円 | 97.7万円 | 66.9㎡ |
| 〜築25年 | 6,512万円 | 93.1万円 | 69.9㎡ |
| 築年帯 | 成約件数 |
|---|---|
| 〜築10年 | 1,197件 |
| 〜築15年 | 994件 |
| 〜築20年 | 1,202件 |
| 〜築25年 | 1,407件 |
出典:東日本不動産流通機構「地域別・築年帯別成約状況(2026年4〜6月)」
築16〜20年帯は1,202件の成約があり、築11〜15年帯の994件を上回っています。ただし、件数は市場にある物件数などにも左右されます。「築年が進むほど買い手が増える」「売れやすくなる」とまでは言えません。
築年帯の価格差は、自宅の値下がり率ではない
表は同じ時期に売れた別々の住戸の平均です。立地や広さなども違うため、築15年帯と20年帯の価格差を、同じ部屋が5年間で下がる率としては使えません。「築20年なら大きな下落を通過して安定する」とも判断できません。
購入時の価格と比べたいなら、今の自宅の査定が必要です。築20年だから安いはず、と決めつけず、今の価格を確かめましょう。
買主の住宅ローンは、築20年だけで利用不可にならない
住宅金融支援機構のフラット35では、古い住宅でも技術基準等を満たせば利用できる場合があります。築20年という数字だけで、買主がローンを組めないわけではありません。
通常の借入期間の上限は、35年と「80歳−申込時の年齢」の短い方です。年齢は1年未満を切り上げるため、たとえば50歳ちょうどなら30年、50歳6か月なら29年という計算になります。収入合算や親子リレー返済では基準とする人も確認が必要です。
これは借入期間の計算で、借りられることの保証ではありません。返済負担率、住宅の床面積・技術基準、金融機関の審査等もあります。民間ローンも商品によって扱いが違います。
住宅ローン控除も、現在は古い「築25年以内」という要件だけで判断する制度ではありません。耐震性・床面積・入居年・所得等の要件を確認します。25年になる前に売らなければ買主が控除を使えない、と急ぐ必要はありません。
築20年の査定で伝えたい、室内と管理の状態
同じ築年でも、設備の更新や修繕の履歴は異なります。修理した箇所を記録とともに伝えると、築年だけでは分からない状態を説明できます。
| 確認するもの | 伝える内容 |
|---|---|
| キッチン・浴室・給湯器など | 交換年、工事内容、現在の不具合 |
| 修繕積立金 | 現在の月額、決定済みの増額、計画との対応 |
| 大規模修繕 | 実施履歴、次の予定、資金の見通し |
| 住戸の条件 | 階数・向き・眺望・騒音など、比較事例との違い |
設備を替えていなくても、すぐ売却前リフォームを決める必要はありません。買ってから好みに合わせて直したい人に向けた販売方法も考えられます。工事費がそのまま価格差になるとは限らないため、現状での査定を先に受けます。
大規模修繕は「2回目が決まる前なら有利」とは限りません。計画と資金が明確なことが安心材料になる場合もあります。既知の工事・増額予定は隠さず伝え、検討中と決定済みを分けて説明します。
売り方は、費用を引いた金額と日程で比べる
仲介・リフォーム後の仲介・買取を比べると、希望に合う方法を選びやすくなります。売却しない選択として賃貸もありますが、住宅ローンが残る場合は借入先への相談が先です。
| 選択肢 | 良い点 | 比較に必要なこと |
|---|---|---|
| 現状のまま仲介 | 大きな工事を先にせず販売できる | 売却見込み額、費用、内見対応、販売期間 |
| リフォームして仲介 | 状態を整えて売り出せる | 工事費以上の効果が見込めるか、工期 |
| 不動産会社の買取 | 会社と直接、条件や日程を交渉できる | 具体的な買取価格、期限、引渡し条件、諸費用 |
| 賃貸して保有 | 家賃収入を得る可能性がある | 借入先の承諾、空室・修繕・管理費、税金 |
工事は、現状での査定と比べてから決める
リフォーム済みの住戸の価格から工事費を引いても、自宅の適正価格にはなりません。部屋の条件も、工事の内容も違うためです。
不動産会社には「現状で売る場合」と「この工事をして売る場合」の見込みを聞き、工事費と販売にかかる時間も含めて比較します。清掃など小さな準備で足りるなら、全面改装をする必要はありません。
現状のままでも仲介手数料・登記・ローン返済などの費用はかかります。「工事をしない=売主の持ち出しゼロ」ではありません。
買取は、査定額ではなく具体的な条件まで聞く
買取は、再販費用や利益等を織り込んだ価格提示になり、仲介の見込み額より低い場合があります。一方で、日程や内見負担を重視する場合の比較先になります。
ただし買取の査定額は、いつでもその額で買う保証ではありません。現地確認後の変更、申込期限、残置物の扱い、引渡し後の責任などを確認します。
当サイトの比較例として、仲介の売却代金が5,900万円、費用が200万円なら、ローン返済・税金を引く前の額は5,700万円です。買取の具体的な提示が5,800万円、費用が50万円なら同じ段階で5,750万円です。数字はすべて仮定で、実際の費用水準を示す例ではありません。提示価格だけでなく、引かれる費用をそろえて比べるための例です。
仲介でいくら狙えるか、買取ならどんな条件か。両方を知れば、値下げ以外の選択肢も比較できます。
貸す場合は、ローンと維持費を確認する
居住用の住宅ローンは、自由に投資用へ転用できるものではありません。転勤等の事情も含め、貸す前に金融機関へ相談します。家賃からは管理費・修繕費等が出ていき、空室期間もあるため、家賃全額が利益になるわけではありません。
内見前は、不具合と更新履歴を分かる形にする
分かっている不具合は、写真や告知書・付帯設備表で正しく伝えます。更新済みの設備も、工事時期と内容が分かれば説明しやすくなります。開示すれば高く売れるという保証ではありませんが、状態の認識違いや後の争いを減らすために大切です。
査定で強みと課題を確認してから、清掃・片づけなど優先する準備を決めましょう。大きな工事をしなくても販売を始められるか、まず確かめる価値があります。
まとめ:築20年も価格と条件を確かめて売り方を選ぶ
築20年でも売買は行われています。2026年4〜6月の首都圏では築11〜15年帯が994件、築16〜20年帯が1,202件でした。ただし成約のしやすさを直接比べる数字ではありません。【フラット35】は申込人の年齢などで期間が制限され、住宅にも面積や技術基準などの要件があります。
次の一歩は、仲介の査定と一緒に買取の査定も取ることです。買取額は条件と有効期限を確認し、仲介の見込み額から費用を引いた手取りと比べます。査定の段階では、買取額も将来の下限として保証された金額ではありません。
比較材料がそろったら、次は同じ棟の売り出し状況と、2回目の大規模修繕の予定を確かめてみてください。住み替えのトビラでは、築年数ごとの売却相場や売り方の選び方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
住み替えのトビラ 
