住み替えをやめたい・疲れたときの判断基準|段階別のやめ方と費用

住み替えをやめたい・疲れたときの判断基準|段階別のやめ方と費用

内覧の片づけ、値下げの相談、決めきれない物件探しが続いて、「住み替えはもうやめたい」と疲れを感じている人に向けた記事です。

先に答えを書くと、やめるか続けるかは疲れの大きさではなく住み替えたい理由が残っているかで決め、やめるなら今の段階しだいで、費用は0円で済むこともあれば手付金の倍額がかかることもあります。

疲れる理由、判断の3つの基準、段階別のやめ方と費用、そして「やめる」の前に試せる「いったん止める」方法まで、順に見ていきます。

住み替えをやめた人・疲れた人の理由

住み替えに疲れる場所は、だいたい4つに分かれます。売る、探す、暮らす、家族です。

住み替えは、売却と購入という大きな取引を同時に進めます。疲れるのは、ごく自然なことです。まずは、自分がどこで疲れているのかを確かめます。

売り出しても売れず値下げが続く

いちばん心が削られるのが、売り出したのに反響が少ない状態です。

東日本レインズの年報によると、2025年に首都圏で成約した中古マンションは、レインズへの登録から成約までに平均82.5日(約2.7か月)かかっています。3か月が近づくころには、不動産会社から値下げの相談が来ることも増えます。値下げのたびに「この家の価値はこんなものか」と感じ、気持ちが沈んでいきます。

売れない期間が長いほど、新居の計画も宙に浮いたままになります。先が見えない状態が続くことが、疲れの正体です。

反響や問い合わせの状況は、担当者から報告を受けられます。宅地建物取引業法では、専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任媒介なら1週間に1回以上、業務の処理状況を依頼者に報告する決まりです。数字が見えないまま待つより、報告の中身を見て次の手を考えるほうが、気持ちは軽くなります。

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出典: 東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2025年) 出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第34条の2第9項)

内覧の対応で生活が回らない

住みながら売る場合、内覧のたびに部屋を片づけ、家族の予定を合わせる必要があります。

内覧は週末に入ることが多く、毎週のように予定がつぶれます。いつ連絡が来てもいいように部屋をきれいに保つのは、思った以上に負担です。小さな子どもがいる家庭では、なおさらです。

しかも、内覧に来た人がそのまま買うのは、ほんの一部です。何組も案内したのに申し込みがゼロだと、片づけた労力が報われないように感じます。

生活と売却の両立がしんどくなると、「もう売らなくていいかも」という気持ちが顔を出します。

希望に合う家が見つからない

買う側でも、疲れはたまります。条件に合う家がなかなか出てこない、出てきてもすぐに売れてしまう、見学するほど迷う。

広さ、駅からの距離、学区、価格。条件を全部満たす家を探すほど、候補は少なくなります。逆に、いくつも見ていると、どれも一長一短に見えて決めきれなくなります。

物件サイトを毎日のように見ていると、それだけで時間と気力を使います。条件のよい家ほど早く申し込みが入りやすく、見つけたその週に決断を迫られることも、気持ちの負担になります。

「いい家がない」と感じる日が続くと、住み替えそのものが面倒になっていきます。

家族の意見がまとまらない

住み替えは家族全員の生活を変えるので、意見が割れやすいものです。

子どもが転校を嫌がる、配偶者の通勤が遠くなる、今より狭くなるのは困る。誰かの希望を通すと、別の誰かが我慢する形になりがちです。話し合いのたびに空気が重くなり、言い出した人が疲れていきます。

最初は乗り気だった家族が、途中で「今のままでいい」と言い出すこともあります。一人で住み替えを背負っている感覚になると、続ける気力がしぼんでいきます。疲れの原因が家族の温度差にあるなら、それは進め方ではなく目的の確認が必要な合図です。

住み替えをやめるか続けるかの判断基準

疲れたときにやめるか続けるかは、疲れの大きさで決めると後から迷いが残ります。

見るのは3つです。住み替えたい理由、期限、疲れの原因です。

住み替えたい理由が今も残っているか

最初に確かめるのは、住み替えを考えた理由が今も残っているかです。

手狭になった、通勤がつらい、老後に向けて駅の近くに移りたい。理由が今も残っているなら、やめても同じ不満がまた戻ってきます。数年後にもう一度始めると、築年数が進んだ家を売ることになり、自分の年齢も上がっています。

反対に、理由そのものが消えたなら、やめてよい判断です。子どもが独立して広さの悩みが消えた、在宅勤務になって通勤の問題がなくなった、といった場合です。

疲れたときほど、最初の理由を紙に書き出してみると、気持ちが整理できます。

期限のある事情があるか

次に、期限のある事情があるかを見ます。

子どもの入学や転校、定年、住宅ローンを組める年齢。なかでも年齢は、待つほど条件が厳しくなる期限です。フラット35の場合、返済期間の上限は「80歳から申込時の年齢(1年未満は切り上げ)を引いた年数」と「35年」の短いほうです。たとえば50歳で申し込むと、返済期間は長くても30年です(80−50=30)。民間の銀行も、完済するときの年齢の上限を金融機関ごとに設けています。

期限があるなら、やめるより「いったん止めて、再開する日を決める」ほうが合っています。止めている間に期限が近づくので、再開の日は期限から逆算して決めます。

期限のない「いつかは」の住み替えなら、今やめても失うものは小さく済みます。

出典: 住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件

疲れの原因が進め方で直せるか

最後に、疲れの原因が進め方にあるのか、住み替えそのものにあるのかを分けます。

内覧が多すぎる、売却と購入が重なっている、担当者との相性が悪い。こうした原因は、進め方を変えれば軽くできます。この記事の最後の章で見る方法で直せるなら、やめる前に試す価値があります。

一方で、目的そのものが変わったなら、やめるのが自然です。住み替え先で暮らすイメージが持てなくなった、家族の誰も望んでいない、といった場合です。

「いったん止める」と「やめる」は、別の選択肢として考えます。

住み替えをやめるときの段階別のやめ方と費用

住み替えをやめるときの費用は、今どの段階にいるかで決まります。契約の前ほど安く、売買契約の後ほど高くなります。

段階やめるときの費用
査定・相談だけ0円
媒介契約を結んだ期間満了で更新しなければ0円・期間中に自分の都合で解除すると費用の償還を求められることがある
売買契約を結んだ手付解除なら手付金の倍額を提供(実質の持ち出しは手付金と同じ額)・手付解除の時期を過ぎると違約金の対象
新居の購入契約を結んだローン特約などに当てはまれば手付金が戻る・それ以外で買主からやめるなら手付金を放棄

自分がどの段階にいるかを確かめてから、次のh3を読み進めます。

査定や相談だけの段階

査定を受けた、不動産会社に相談した、という段階なら、やめても費用は0円です。

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、不動産会社が売り出す価格について意見を述べるときに根拠を示すのは法律上の義務で、そのための査定の費用は依頼者に請求できないとしています。

根拠の明示は、法律上の義務であるので、そのために行った価額の査定等に要した費用は、依頼者に請求できないものであること。

やめるときは、査定を頼んだ会社に「今回は見送ります」と伝えるだけで十分です。一括査定サイトを使った場合は、連絡をくれた会社それぞれに伝えます。

媒介契約を結ぶまでは、依頼者はいつでも自由に断れる立場です。営業の電話が続いても、気持ちが固まっていなければ「家族と相談して決めます」と伝えて、いったん区切って大丈夫です。

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出典: 国土交通省 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(第34条の2関係 8(1)③)

媒介契約を結んだ段階

不動産会社と媒介契約を結んで売り出している段階なら、急がなければ費用ゼロでやめられます。

宅地建物取引業法では、専任媒介と専属専任媒介の有効期間は3か月が上限で、更新は依頼者の申出によって行うものとされています。標準媒介契約約款でも、更新したいときは期間の満了に際して依頼者から文書等で申し出る形です。期間が切れるときに更新を申し出なければ、契約はそこで終わります。依頼者の申出なしに自動で更新する特約は、法律で無効とされています。

期間の途中で、自分の都合で解除することもできます。この場合、標準媒介契約約款では、不動産会社が契約の履行のために使った費用の償還を求められることがあり、その額は約定報酬額が上限です(専任媒介は第14条、専属専任媒介は第13条)。国土交通省の考え方では、この費用は明細書を作り、領収書等で金額を立証して請求するものとされているので、求められたら明細書と領収書で中身を確かめます。

一般媒介の約款では、費用の償還を求められる場面が別に決まっています。知らせていない別の不動産会社を通して成約したときや、成約を知らせる通知を怠ったときです。解除そのものを理由にした費用償還の条文は、一般媒介の約款には置かれていない形です。どの契約でも、手元の契約書と約款で中身を確かめておくと安心です。

媒介契約の解除|違約金が生じる場面と広告費請求の範囲を条文で確かめる 媒介契約の解除|違約金が生じる場面と広告費請求の範囲を条文で確かめる

出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第34条の2第3項・第4項・第10項) 出典: 国土交通省 標準媒介契約約款(専任媒介契約約款第14条・第15条、専属専任媒介契約約款第13条・第14条、一般媒介契約約款第14条〜第16条) 出典: 国土交通省 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(第34条の2関係 6(3)⑦・⑧)

売買契約を結んだ段階

買主と売買契約を結んだ後にやめる場合は、費用が大きくなります。

民法では、買主が手付を渡したとき、売主は手付の倍額を現実に提供して契約を解除できるとされています。これを手付解除といいます。たとえば手付金を100万円受け取っていた場合(仮定の額)、買主に200万円を提供します。うち100万円は預かっていた手付金を返す分なので、実質の持ち出しは手付金と同じ100万円です。自分の契約の手付金の額に置き換えて読みます。

手付解除ができるのは、相手方である買主が契約の履行に着手するまでです。売買契約書で手付解除の期日を決めている場合は、その日までに限られます。その後にやめようとすると、契約を守らなかった側として違約金を求められる立場になります。違約金の額は契約書の定めで決まるので、売買契約書の違約金の条項で金額や割合を確かめておきます。

クーリングオフは、宅地建物取引業者が自ら売主となる契約で、事務所等以外の場所で申し込んだ買主が使える制度です。個人の売主が自分の家の売買契約をやめる場面は、この制度の対象外です。

出典: e-Gov法令検索 民法(第557条) 出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第37条の2)

新居の購入契約を結んだ段階

新居の購入契約を結んだ後にやめたい場合は、契約についている特約がカギになります。

住み替えで知っておきたい2つの特約

・ローン特約: 住宅ローンの融資が認められなかったときに、売買契約を解除できる特約。解除したときは、売主が受け取った手付金などを無利息で買主に返します

・買換え特約: 今の家が期限までに売れなかったときの扱いを決めておく特約。白紙に戻せるかなどの中身は、売主と合意して契約書に書いた内容で決まります

ローン特約について、国土交通省の考え方は、融資が認められないときに解除できる旨と、解除できる期限を設けるならその期限を、重要事項説明で説明するとしています。期限を過ぎると使えなくなるので、契約書で日付を確かめておきます。ローン特約で解除したときは、仲介した不動産会社も受け取った仲介手数料の全額を返す扱いです(標準媒介契約約款)。

特約に当てはまらない理由で買主の側からやめるときは、相手方が履行に着手する前に、払った手付金を放棄して解除します。

買換え特約は売主にとって不利な条件なので、つけられるかは売主との合意次第で、応じてもらえる場合とそうでない場合があります。国土交通省の考え方も、買換えのときに今の家が売れなかった場合の措置を、契約書に明記することが望ましいとしています。購入契約を結ぶ前に、買換え特約をつけられるかを確かめておくと、途中でやめたくなったときの逃げ道になります。

出典: 国土交通省 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(第34条の2関係 6(3)②、第35条第1項第12号関係、第37条第1項関係) 出典: 国土交通省 標準媒介契約約款(専任媒介契約約款第9条第2項) 出典: e-Gov法令検索 民法(第557条)

やめると決めた後の後始末

やめると決めたら、いくつかの後始末をしておきます。

  • 不動産会社に、解除や更新しない旨を書面で伝える
  • ネットの広告やレインズの登録が消えたかを確かめる
  • やめた理由と、再開する条件を書き残す

書面で伝えておくと、いつやめたかの記録が残ります。広告が残ったままだと、問い合わせが来て混乱することがあります。

やめた理由を書き残すのは、次に住み替えを考えたときのためです。「何に疲れたのか」「どうなったら再開するのか」が分かっていれば、同じ所でつまずかずに済みます。

疲れを減らして住み替えを続ける方法

住み替えをやめる前に、試せる方法があります。

止める、順番を変える、人を替える、頻度を決める。この4つです。

売り出しを一時停止して休む

疲れたときは、やめる前に、売り出しをいったん止める方法があります。

専任媒介・専属専任媒介でレインズに登録した物件は、2025年1月から、取引状況の登録が不動産会社の義務になりました。取引状況は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類です。「売主都合で一時紹介停止中」は、売却を頼んだ人の事情で一時的に物件を紹介できない状態を指します。売主が頼み、不動産会社が登録を切り替える形で、媒介契約は残したまま紹介を一時的に止められます。

止めている間は、新しい内覧の連絡も止まります。家族で話し合い、気持ちを整える時間にできます。

止めるときは、再開する日を決めておきます。取引状況の補足欄には、紹介停止の具体的内容・期間や売主の了解を得た日を書くことになっているので、担当者には「何月何日まで止めたい」と日付で頼みます。止めている間も媒介契約の期間は進むので、期限を決めずに止めると、そのまま契約期間が終わってしまうことがあります。

切り替わったかどうかは、登録証明書の二次元コードから入る売主専用画面で確かめられます。一般媒介で売り出している場合は、依頼している会社それぞれに、広告と案内を止めたい期間を伝えます。

出典: 国土交通省 報道発表資料「レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました!」(令和6年12月24日) 出典: 東日本不動産流通機構 売却依頼主物件確認案内書

売却と購入の順番を変える

疲れの原因が、売却と購入を同時に進めていることなら、順番を変えると楽になります。

先に今の家を売る「売り先行」にすると、売れた金額が決まってから新居を探せます。いくらの家を買えるかがはっきりするので、物件探しで迷う時間が短くなります。

売るほうの負担を減らしたいなら、不動産会社が直接買い取る「買取」もあります。価格は仲介より低くなるとされますが、内覧の対応がなく、短い期間で売れることが多い方法です。

売り先行で新居が決まる前に引き渡す場合は、仮住まいの費用も含めて比べます。引渡しの時期を少し遅らせてもらえないか、買主と相談する方法もあります。

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担当者や不動産会社を替える

疲れの原因が担当者との相性なら、人を替える方法があります。

連絡が少ない、提案が値下げばかり、話がずれる。こうした不満があるなら、まず同じ会社の中で担当者の変更を頼めます。店長や窓口の責任者に、理由を添えて伝えると話が早く進みます。

それでも合わないなら、媒介契約の期間が終わるタイミングで、別の会社に替えられます。前の章で見たとおり、期間満了で更新しなければ費用は0円です。

会社を替えると、売り方や広告の出し方が変わり、反響が変わることもあります。

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内覧と物件探しの頻度を決める

最後は、頻度を決めることです。

内覧は、受ける曜日と時間帯をまとめて決めて、担当者に伝えます。「土曜の午後だけ」のように決めておけば、週末を丸ごと空けておく必要がなくなります。

物件探しも、サイトを見る日を週1回などに決めます。新着の通知を外せない条件だけで設定すると、見る件数が減ります。

内覧そのものをなくしたいなら、内覧なしで売る方法もあります。住み替えは長くかかるものなので、続けられるペースを先に決めておくことが、疲れをためないコツです。

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まとめ:住み替えをやめるかは理由で決め、やめ方は段階で選ぶ

住み替えをやめるか続けるかは、疲れの大きさではなく、住み替えたい理由が今も残っているかで決めます。理由が残っているなら、やめるより、売り出しを一時停止して再開の日を決めるほうが、同じ不満を数年後に抱え直さずに済みます。

次の一歩は、手元の媒介契約書で有効期間の満了日を、売買契約や購入契約を結んでいるなら手付解除の期日と特約の欄を確かめることです。ここを飛ばして「やめます」と伝えると、満了を待てば0円で済んだのに途中解除で費用の償還を求められたり、手付解除の期日を過ぎて違約金の対象になったりします。

日付が分かったら、担当者に「いつまで止めるか」「更新するか」を日付で伝えましょう。住み替えのトビラでは、媒介契約の解除や売り先行・買い先行の選び方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。