ペット不可のマンションは売って引っ越す?売らずに飼う方法と住み替えの判断基準

ペット不可のマンションは売って引っ越す?売らずに飼う方法と住み替えの判断基準

ペットを飼いたいのに今のマンションがペット不可で、売って引っ越すしかないのかと迷っていませんか。

実は、使用細則の例外や理事会の許可で飼える場合があり、2026年4月からは総会でペットを認める規約にも変えやすくなりました。

売らずに飼う方法の確かめ方から、住み替えるかの判断基準、売却からペットを迎えるまでの流れまで、順に解説します。

売らずに管理規約に沿ってペットを飼う方法

ペット不可のマンションでも、規約の書き方や管理組合の手続きしだいで、売らずにペットを飼える場合があります。

ただし、どの方法も最後に決めるのは管理組合です。売却を決める前に、次の3つを順に確かめておきましょう。

  • 管理規約と使用細則で禁止されている動物
  • 例外を認める条項と、理事会への許可の申請
  • 総会での規約変更の提案

管理規約と使用細則で禁止されている動物を確認する

「ペット不可」と聞いていても、規約と細則の原文を読むと、飼える動物が残っていることがあります。

ペットの決まりは、管理規約の本文より、使用細則に書かれていることが多くあります。使用細則とは、規約をもとに、暮らし方の細かい決まりをまとめた文書です。

規約だけを読んで「全部禁止」と思い込むと、細則にある例外を見落とします。例えば「犬・猫は禁止、小鳥や観賞魚は可」のように、禁止する動物を絞った細則もあります。

細則の写しは、管理会社に頼むともらえることが多いです。

あわせて、過去の総会の議事録も読んでおくと安心です。ペットの扱いを話し合ったことや、否決されたことがあるかが分かり、例外の申請や規約変更の提案を試す価値があるかを判断できます。

例外を認める条項があれば理事会に許可を申請する

規約や細則に「理事会の承認を得た場合を除く」のような例外の条項があれば、理事会に飼育の許可を申請できます。

申請では、次の内容を書面で示すと、理事会が判断しやすくなります。

  • 飼う動物の種類・大きさ・頭数
  • 鳴き声やにおいへの対策
  • 親のペットを引き取るなら、その経緯と引き取る日

気をつけたいのは、規約でよく見かける「一代限り」の許可です。これは、ペットを禁止した時点ですでに飼っていた人が、その動物が亡くなるまで飼い続けられるようにする決まりです。

これから新しく飼う人は対象外とされるのが一般的です。「一代限りの決まりがあるから飼える」と考えるのは避けましょう。

総会でペット飼育を認める規約変更を提案する

規約を変えてペットを飼えるようにするには、総会で、出席した区分所有者(各住戸の持ち主)と議決権の、それぞれ4分の3以上の賛成が必要です。

この要件は、2026年4月1日施行の区分所有法の改正で変わりました。以前は、欠席者も含めた全区分所有者の4分の3以上が必要でした。

今は、区分所有者と議決権のそれぞれ過半数が出席すれば決議でき、書面や代理人による投票も出席に数えます。欠席者の多いマンションでも、規約を変えやすくなりました。

ただ、賛成を集めるには、理事会への相談や住民アンケート、飼育細則の案づくりと段階を踏み、年単位の時間がかかることもあります。

アレルギーのある住民や、ペット不可を条件に買った住民は、反対に回りやすいでしょう。否決された後の気まずさも残るため、時間に余裕がある人が取れる方法です。

出典: e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律 出典: 法務省 老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律について

ペットのために住み替えるかを決める判断基準

今のマンションで飼うのが難しいと分かったら、住み替えにかかるお金、ペットと暮らす年数、家族の予定を並べて比べてみましょう。

比べた結果、今は住み替えを見送るのも一つの答えです。

売却と購入にかかる費用の総額

ペットのための住み替えでは、売却と購入の両方で仲介手数料などがかかります。物件の価格とは別に、まとまった出費を見込んでおきましょう。

主な費用は次のとおりです。

費用かかる場面金額の決まり方
仲介手数料売却と購入・400万円を超える物件は「価格×3.3%+6.6万円」(税込)が上限
・800万円以下の物件は、特例で33万円(税込)まで
登記の費用売却(ローンの抵当権を消す)と購入(名義を移す)登録免許税と司法書士への報酬
印紙税売買契約やローン契約を結ぶとき契約書に書く金額で決まる
ローンの手数料・保証料新居のローンを借りるとき金融機関で変わる
引越し代引越しのとき距離と荷物の量で変わる
仮住まいの費用売却を先にしたとき家賃と敷金・礼金など

いちばん大きいのは仲介手数料です。上限は国が告示で決めていて、実際には上限いっぱいで請求されるのが通例です。

例えば3,000万円で売って3,000万円で買う場合(価格は仮の値です)

売却の仲介手数料の上限は、3,000万円×3.3%+6.6万円で105.6万円です。

購入も同じ計算で105.6万円になり、合わせて211.2万円(税込)です。

自分の場合は「売る価格×3.3%+6.6万円」と「買う価格×3.3%+6.6万円」を足すと、仲介手数料の上限が出ます。実際の額は、不動産会社の見積もりで確かめましょう。

ペット可マンションでは、管理組合によってペットの登録料やペットクラブの会費がかかることもあります。

表の金額は物件や金融機関で変わります。不動産会社に自分の条件で概算を出してもらうと、総額を比べやすくなります。

出典: 国土交通省 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額

売却額で住宅ローンを完済できるか

住み替えを進められるかは、売ったお金で今の住宅ローンを返し切れるかで大きく変わります。

手元に残るお金は、次の式で計算できます。

手元に残るお金の計算

売却額 − 住宅ローンの残高 − 売却にかかる費用

住宅ローンの残高は、金融機関の返済予定表で確かめられます。売却額と売却にかかる費用は、不動産会社の査定と見積もりで確かめましょう。

ローンが残るときは、差額を貯金で埋めるか、新居のローンに上乗せする住み替えローンを使う方法があります。

ペット不可であることが、売却額を大きく下げる理由になることは少ないと考えられます。ペットを飼いたい人は買い手から外れますが、ペット不可を条件に物件を選ぶ人もいるからです。

税金にも気をつけたい点があります。新居に住み始めた年とその前2年・その後3年の計6年間に、今の家の売却で3,000万円特別控除を使うと、新居の住宅ローン控除は対象外になります。3,000万円特別控除は、売却益から最大3,000万円を差し引ける特例です。

どちらを使うと得かは、税務署か税理士に確かめておきましょう。

出典: 国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除) 出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例

ペットの寿命と住み替え先に住み続ける年数

ペットを迎えるなら、住み替え先には、ペットの一生より長く住み続けられることを目安にしましょう。

ペットフード協会の2024年の調査では、犬の平均寿命は14.90歳、猫は15.92歳でした。子犬や子猫から飼うと、15年ほど同じ住まいで暮らす計算です。

途中でまた引っ越すと、ペット可の物件を探し直す手間がかかります。住む環境が変わることは、ペットの負担にもなります。

転勤の可能性や、子どもの独立後に住まいを小さくする予定があるなら、その時期とペットの年齢を重ねて考えておくと安心です。

年齢を重ねてから飼い始める場合は、自分で世話をするのが難しくなったときに、引き取ってくれる家族がいるかも確かめておきたい点です。

出典: 一般社団法人ペットフード協会 2024年 全国犬猫飼育実態調査 主要指標サマリー

子どもの進学や親の介護の予定

住み替えが子どもの進学や親の介護と重なると、手続きと出費が一度に集まり、家族の負担が大きくなります。

子どもがいる場合、学区が変わると転校が必要になります。入学や進級の区切りに合わせて引っ越すと、負担を減らせます。親の介護が近い場合は、親の家に通いやすいことも住み替え先の条件に入れておくと、介護が始まってからも落ち着いて動けます。

親のペットを引き取る期限がある人は、売却にかかる期間も見込んでおきましょう。首都圏の中古マンションは、レインズ(不動産会社が物件情報を共有するしくみ)に登録してから成約するまで、2025年の平均で82.5日でした。

査定や引き渡しにかかる期間は、この日数とは別に加わります。期限が迫っているときは、ペットの預け先を決めておくか、購入を先にする方法も考えておくと安心です。

出典: 東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2025年)

ペットと暮らせる住み替え先の選択肢

ペットと暮らせる住み替え先は、ペット可マンション、戸建て、ペット可の賃貸住宅の3つです。

飼いたいペットの種類・大きさ・頭数によって、選べる住み替え先が変わります。先に違いを比べておきましょう。

住み替え先飼えるペットの決まりお金の面の特徴おすすめの人
ペット可マンション使用細則で種類・頭数・大きさが決まる管理組合によってペットの登録料などがかかる小型犬や猫を飼いたい人
戸建て自分で決められる外壁や屋根の修繕を自分で負担する大型犬や何頭も飼いたい人
ペット可の賃貸住宅貸主との契約で決まる敷金の上乗せなど入居時の費用が増えやすい家を買わずに暮らしたい人

飼育の制限が使用細則で決まるペット可マンション

ペット可マンションを選ぶなら、購入の申し込み前に使用細則を取り寄せ、飼いたいペットを本当に飼えるかを確かめておきましょう。

広告の「ペット可」は大まかな区分で、細かな決まりは使用細則に書かれています。特に確かめておきたいのは、次の5つです。

  • 飼える動物の種類と頭数
  • 体重や体高(足元から肩までの高さ)の上限
  • 共用の廊下やエレベーターでの移動のしかた(抱きかかえる、ケージに入れるなど)
  • 飼い始める前の届け出と、理事会の承認の有無
  • ペットクラブ(飼い主どうしの会)への加入の義務

使用細則は、不動産会社を通じて管理会社に頼むと、重要事項調査報告書(管理の状況をまとめた書類)と一緒に取り寄せられます。

規約は総会で変えられます。議事録でペットをめぐる苦情が議題に上がっているかも見ておくと、決まりが厳しくなりそうかを予想できます。

足洗い場など、設備までペット向けに作ったペット共生型マンションもありますが、物件数は限られます。また、築年数の古いマンションはペット不可のことが多く、中古で探すと候補が絞られます。

管理規約の制限を受けない戸建て

戸建てでは、大型犬を飼うのも、何頭も飼うのも、自分の判断で決められます。マンションのような管理規約の決まりの外にあるからです。

庭があれば、散歩のほかに犬が体を動かせる場所も作れます。

その一方で、住宅地では隣の家との距離が近く、鳴き声やにおいへの苦情はマンションと同じように起こります。購入前に、隣の家との距離や窓の向きを見ておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

室内では、フローリングの滑りやすさが犬の足腰の負担になります。滑りにくい床材に替える費用や、庭からの脱走を防ぐ柵や門扉の工事費も、予算に入れておきましょう。

お金の面で大きく変わるのは建物の修繕です。マンションでは管理組合が修繕積立金を集めて建物を直しますが、戸建てでは外壁や屋根の修繕を自分で計画し、その費用も自分で積み立てます。

売却後に借りるペット可の賃貸住宅

マンションを売った後、次の家を買うかわりに、ペット可の賃貸住宅を借りる選び方もあります。

賃貸なら、ペットとの暮らしが思い描いたものと違ったときや、ペットが亡くなった後に、住まいを替えやすくなります。売却で得たお金を手元に残せるため、老後の資金やペットの医療費にも回せます。

ただし、ペット可の賃貸住宅は物件数が限られ、敷金の上乗せなどで入居時の費用が増えやすい傾向があります。退去するときは、ペットによる傷や汚れの修繕費を請求されることもあります。

年齢が上がると、賃貸住宅の入居審査が厳しくなる場合もあります。長く借り続けるつもりなら、契約の更新の条件も入居前に確かめておきましょう。

ペット不可のマンションを売って住み替えるまでの流れ

売却から引っ越しまでの手順は、ほかの住み替えとほぼ同じです。

違うのは、ペットを迎える日を基準にして、売却と購入の順番を決める点です。

不動産会社に売却査定を依頼する

住み替えの予算は売却額で決まります。まずは不動産会社に、今のマンションの査定を依頼しましょう。

査定は、一括査定サイトのほか、近くの不動産会社へ直接頼むこともできます。会社を選ぶときは、査定額の高さより、次の2つを聞いて比べるのがおすすめです。

  • 同じマンションや近くでの売却実績
  • その査定額になる根拠

高い査定額で契約を取り、売り出した後に値下げを勧める会社もあるためです。

売却と購入を同じ会社に頼むと、引き渡しの日を合わせやすくなります。会社を分けると、それぞれの地域に詳しい会社を選べます。

どちらの場合も、査定のときに「ペット可の住まいへ住み替えたい」と伝えておくと、売却と購入の順番まで相談しやすくなります。

ペットを迎える日から逆算して売却と購入の順番を決める

これからペットを迎える人は、迎えるのを新居の引き渡し後にすれば、売却と購入のどちらを先にしても進められます。

順番よい点気をつけたい点
売却を先にする売れた金額を確かめてから新居を買える仮住まいが必要になることがある
購入を先にする新居へそのまま移れる今のローンと新居のローンを同時に払う期間が出ることがある

売却を先にして仮住まいが必要になっても、ペットを迎える前なら普通の賃貸住宅を借りられます。売却の契約で引き渡しを少し待ってもらう特約を付けられれば、仮住まいなしで移れることもあります。

親のペットを引き取る日が決まっている人は、ペット可の短期の賃貸が少ないことに気をつけましょう。購入を先にするか、親族やペットホテルに一時的に預けるかを早めに決めておくと安心です。

急ぐなら、不動産会社に直接買い取ってもらう方法もあります。ただし売却額は、仲介で売るより低くなるのが一般的です。

親の犬を引き取る日が決まっていたAさん(架空のケース)

Aさんは、母親が施設に入るため、半年後に母親の小型犬を引き取ることになりました。今のマンションはペット不可で、ペット可の短期の賃貸は近くでは見つけにくい状況でした。

そこでAさんは、ペット可マンションの購入を先に決め、引き取る日の前に新居へ移りました。今のマンションは引っ越した後に売り出し、売れるまでの数か月は、2つのローンを貯金から払いました。

新居の引き渡し後にペットを迎える

ペットは、新居の引き渡しを受け、住み替え先での手続きを済ませてから迎えましょう。

迎える前に要る手続きは、住み替え先によって変わります。

住み替え先迎える前の手続き
ペット可マンション使用細則に沿って管理組合へ飼育を届け出る
ペット可の賃貸住宅契約書のとおり貸主の許可を得る

承認が必要なマンションでは、次の理事会まで待つことになります。迎える日は、承認の見通しが立ってから決めると安心です。

犬を迎えたら、住んでいる市区町村へ犬の登録を申請する義務があります。期限は取得した日から30日以内で、生後90日以内の子犬は、生後90日を過ぎてから30日以内です。

親の犬など登録済みの犬を引き取るときは、30日以内に、所有者が変わったことを届け出る必要があります。

保護犬や保護猫の譲渡団体には、住まいがペット可であることを示す管理規約の写しなどを求めるところもあります。迎える前に用意しておきましょう。

出典: e-Gov法令検索 狂犬病予防法

まとめ:売る前に規約を確かめ、それでも難しいときに住み替えを決める

ペット不可のマンションでも、使用細則の例外や理事会の許可、総会での規約変更によって、売らずにペットを飼える場合があります。住み替えには、3,000万円で売って3,000万円で買うだけでも、仲介手数料の上限が合わせて211.2万円かかります。売るのは、この3つを確かめてからにしましょう。

最初の一歩は、管理会社に今のマンションの使用細則と、過去の総会の議事録の写しを頼むことです。規約の本文だけで「全部禁止」と決めて売却に進むと、細則にある例外を見落とし、払わずに済んだ住み替えの費用まで負うおそれがあります。

住み替えると決めたら、不動産会社に査定を頼み、ペットを迎える日から売却と購入の順番を逆算しておきましょう。住み替えのトビラでは、ペット不可のマンションを売ってペットと暮らせる住まいへ移る方法も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。