住宅ローン金利の推移と今後の見通し|変動・固定の選び方

住宅ローン金利の推移と今後の見通し|変動・固定の選び方

これから住み替え(買い替え)の借入を決める人にとって、金利が上がったという報せは重く響きます。

先の水準を言い当てることはできませんが、変動と固定が別の指標で動くことを分けて押さえると、過去の推移も先の見通しも落ち着いて読めます。

金利を左右する2つの指標と、これまでの推移、先を読むときの見方、そして住み替えでの織り込み方まで説明します。

住宅ローン金利の推移をつかむ前に知る2つの指標

住宅ローン金利は、変動と固定で連動する指標が別であり、動く理由も別だと押さえておくと、推移も見通しも読みやすくなります。

変動金利は「短期プライムレート」を通じて日銀の政策金利と連動し、固定金利は市場で決まる「長期金利(10年国債利回り)」に連動します。同じ住宅ローン金利でも、この2つは別々のしくみで上下します。ここでは、それぞれの指標と現在の水準を順に確認します。

変動金利は日銀の政策金利と短期プライムレートで動く

変動金利は、日銀の政策金利から短期プライムレートを通じて決まります。

短期プライムレートとは、銀行が信用力の高い企業に1年以内の短い期間で貸すときの、最も優遇された金利のことです。多くの銀行は、この短期プライムレートに一定の幅を上乗せして、変動金利の基準金利を決めています。そのため、日銀が政策金利を動かすと、短期プライムレートが変わり、少し遅れて住宅ローンの変動金利にも及んでいきます。

主要行の短期プライムレート(最頻値)は、2026年2月9日の実施で年2.125%になり、日本銀行が2026年7月16日に更新した公表データ(2026年7月9日現在)でも年2.125%のままです。政策金利が上がると、数か月ほど遅れて借入金利へ反映される流れを、まず現在地として押さえておいてください。

出典: 日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」

固定金利は長期金利とフラット35で動く

固定金利は、市場で決まる長期金利(10年国債利回り)に連動し、その代表的な指標が全期間固定型の「フラット35」です。

長期金利は、これから景気や物価がどうなるかという市場の見方を映して日々動きます。長期金利が上がると、フラット35を含む固定金利も上がるという関係です。最も多い金利は、【フラット35】2026年8月適用の金利 年3.290%(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)です。同じ条件でも金利の幅は年3.290%〜5.570%あり、融資率が9割を超えると最も多い金利は年3.400%になります。2026年8月時点の値です。金利は毎月変わるため、実際の借入時の金利で確認してください。

大事なのは、変動と固定では動く理由がそもそも違うという点です。変動は日銀の政策金利で動き、固定は市場の長期金利で動きます。この2つを混ぜて考えると見通しを読み違えやすいので、別のしくみだと切り分けておいてください。

出典: 住宅金融支援機構【フラット35】最新の金利情報

住宅ローン金利の推移(過去〜現在)

過去は歴史的な低金利が長く続きましたが、2024年の日銀によるマイナス金利政策の解除を境に、金利は上昇局面へと入りました。

ここからは、変動と固定それぞれが実際にどう動いてきたかを、事実として時系列で追います。今後の話は次章にゆずり、まずは過去から現在までの動きを確認します。

変動金利(短期プライムレート)の推移

変動金利の指標である短期プライムレートは、長く横ばいが続いたあと、2024年以降に段階的に上がってきました。

きっかけは、2024年3月19日に日銀がマイナス金利政策の解除を決めたことです。その後、政策金利が段階的に引き上げられるのに合わせて、短期プライムレートも上がってきました。実際の推移は次のとおりです。

  • 2024年9月2日実施:年1.625%
  • 2025年3月3日実施:年1.875%
  • 2026年2月9日実施:年2.125%(2026年7月9日現在も同水準)

いずれも主要行の最頻値で、出典は日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」(2026年7月16日更新)です。政策金利は、2024年3月のマイナス金利解除のあと、日銀の会合ごとに引き上げが検討され、2026年6月17日から無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移させる方針になりました。この水準は2026年7月31日の会合でも維持されています。政策金利の水準や引き上げの時期は日銀の判断で変わるため、最新は日本銀行の公表で確認してください。

出典: 日本銀行「金融政策の枠組みの見直しについて」(2024年3月)同「長・短期プライムレート(主要行)の推移」(2026年7月16日更新)

固定金利(フラット35・長期金利)の推移

固定金利は、市場の長期金利の動きを映しながら上がってきました。

かつては歴史的な低金利のもとで、フラット35も年1%台で借りられた時期がありました。その後、物価の上昇や日銀の政策転換を背景に長期金利が水準を切り上げ、これに沿って固定金利も上がってきています。最も多い金利は、【フラット35】2026年8月適用の金利 年3.290%(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)です。借入期間20年以下のフラット20は年2.970%、36年以上50年以下のフラット50は年3.500%と、期間が長いほど高くなります。

固定金利には、変動とは異なる特徴があります。変動が日銀の利上げを後追いするのに対し、固定のもとになる長期金利は、これからの景気や物価の見方を先取りして動きます。同じ上昇でも、変動より早く動くことがある点を覚えておいてください。

住宅ローン金利の今後の見通し(変動・固定)

今後の金利は「上がる」「下がる」と言い切れるものではなく、金利を左右する要因から、上振れ・下振れの両方のシナリオで捉えるのが現実的です。

ここでは断定を避け、日銀の金融政策・物価・景気といった要因をもとに、変動と固定それぞれがどう動きうるかを整理します。将来の金利や利上げの時期を当てにいくのではなく、要因から自分で読めるようになることを目指します。

金利の見通しを左右する要因

今後の金利は、日銀の金融政策と、その背後にある物価・賃金・景気、そして市場の長期金利の動きによって決まります。

まず、金利が上振れしやすくなる要因は次のようなものです。

  • 物価や賃金の上昇が続く(日銀の追加利上げにつながりやすい)
  • 景気の回復が続く
  • 市場の長期金利が上がる(固定金利を押し上げる)

反対に、金利が下振れ、あるいは横ばいにとどまりやすくなる要因もあります。

  • 景気が減速する
  • 物価の上昇がはっきり鈍化する
  • これらを受けて日銀が利上げを見送る

日銀は、2026年に公表した経済・物価情勢の展望のなかで、経済や物価が想定どおり改善していけば、引き続き政策金利を引き上げて金融緩和の度合いを調整していく考えを示しています(2026年時点の方針。最新は日本銀行の公表でご確認ください)。ただし、これは「いつ・どこまで上げる」という約束ではありません。利上げが続くかどうかは、そのときどきの物価や景気の実際の動き次第で変わります。だからこそ、特定の予測に賭けるのではなく、上振れ・下振れの両方を頭に置いておくことが役立ちます。

出典: 日本銀行「展望レポートのハイライト(2026年4月)」

変動金利の今後の見通し

変動金利は、日銀が追加の利上げを続けるかどうかによって、上下しうる金利です。

政策金利が上がれば、短期プライムレートを通じて変動金利も上がる可能性があります。反対に、日銀が利上げを見送れば、変動金利は据え置かれやすくなります。どちらに進むかは日銀の判断次第であり、時期も幅もあらかじめ決まってはいません。ここでも、方向を決めつけずに要因から読む姿勢が大切です。

変動金利を選ぶ場合に知っておきたいのが、金利が上がってもすぐには返済額が増えない、一般的なしくみです。多くの元利均等返済の変動型では、金利が上がっても毎月の返済額を5年間据え置く「5年ルール」や、見直し後の返済額の上がり幅を前回の1.25倍までに抑える「125%ルール」が設けられていることがあります。返済額の急な増加はやわらぎますが、金利上昇ぶんの利息がなくなるわけではなく、後の返済に回る点には注意が必要です。こうしたルールの有無や内容は金融機関や商品によって異なるため、契約前に必ず確認してください。

退職金で住宅ローンを完済すべきか|損得を分ける4つの判断軸 退職金で住宅ローンを完済すべきか|損得を分ける4つの判断軸

固定金利の今後の見通し

固定金利は、市場の長期金利の動き次第で、その先取りとして上下しうる金利です。

長期金利が上がれば、フラット35を含む固定金利も上がる可能性があります。ただし、その長期金利は将来の景気や物価の見方を映して動くため、変動より早く反応することがあります。将来の水準を言い当てることはできないので、こちらも物価見通しや市場動向といった要因から読むのが現実的です。

固定金利には、借入時に返済終了までの金利が決まるという性質があります。将来の上昇リスクを負わない代わりに、当初の金利は変動より高くなりやすい、という引き換えの関係です。この性質の違いが、次に見る変動と固定の選び方の分かれ目になります。

金利上昇局面で変動・固定をどう選ぶか(住み替えの視点)

金利タイプは「どちらが得か」を予測で当てにいくのではなく、返済期間・年齢・家計の余力と、金利が上がっても返していけるかどうかで選ぶのが現実的です。

ここでは、いまマンションを持ち住み替えを検討する方が、金利上昇の局面で借入をどう考えればよいかを整理します。特定の銀行や商品をすすめるのではなく、自分の条件で選ぶための枠組みをお渡しします。

変動と固定の選び方の判断軸

変動は当初の低い金利と引き換えに上昇リスクを負い、固定は金利が決まる安心と引き換えに当初の金利が高い、という性質の違いで選びます。

まず、両者の特徴を並べて整理します。

比較の軸変動金利固定金利
当初の金利低くなりやすい高くなりやすい
将来の金利変わる(上昇の可能性)借入時に決まる
向きやすい状況家計に余力がある/返済期間が短い返済額を確定させたい/期間が長い

ここで数値を扱うときに、ひとつ気をつけたいことがあります。民間金融機関の変動金利の実勢水準を全国で集計した公表統計はありません。国土交通省の民間住宅ローンの実態に関する調査は金利タイプ別の割合を集計しており、水準そのものは集計していないためです。したがって「変動は年◯%」という値は、出典を示せる形では書けません。実際の適用金利は、必ずご自身が申し込む金融機関の公表で確認してください。

一方、固定側は公表値があります。最も多い金利は、【フラット35】2026年8月適用の金利 年3.290%(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)です。2026年8月時点の値で、金利は毎月変わるため、実際の借入時の金利で確認してください。

なお、どちらが選ばれているかは分かっています。令和6年度に新しく貸し出された住宅ローンのうち、変動金利型は83.5%、固定金利期間選択型は9.5%、証券化ローン(フラット35等)は4.9%でした。貸出残高で見ると変動金利型70.8%・固定金利期間選択型17.9%・全期間固定金利型3.3%です。当初の返済額の軽さと、将来の金利が動かない安心とを引き換えにする選択が、これだけ変動側に寄っているということです。

出典: 国土交通省住宅局「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」住宅金融支援機構【フラット35】金利情報

この違いをふまえると、選ぶときに見るべき点がはっきりしてきます。判断のよりどころになるのは、変動と固定の金利差、返済期間の長さ、家計の余力、そして金利変動をどこまで受け入れられるかという許容度です。金利が上がっても無理なく返していける余力があり、返済期間も比較的短いなら、当初の低さを生かして変動を選ぶ考え方があります。反対に、返済期間が長く、毎月の返済額を確定させて家計の見通しを立てたいなら、固定の安心を優先する考え方があります。

とくに定年が近く、返済期間を長く取りにくい年代では、当初の金利の低さそのものより、金利が動く余地の小ささをどれだけ重く見るかが分かれ目になりやすいです。ただし、「これからどちらが得か」を将来予測で決めつける必要はありません。金利がどう動くかは誰にも言い切れないため、自分の家計と返済計画のなかで、どちらの性質が合うかで選ぶのが堅実です。金利差や返済シミュレーションをふまえた個別の判断は、ファイナンシャルプランナーに相談すると、自分の条件に合った整理がしやすくなります。

金利タイプの前に、住み替えの資金の全体像を固める

住み替えでは、いまの家の残債や売却額と新居の借入がからみ合うため、金利タイプを選ぶ前に、まず資金の全体像を固めることが判断の起点になります。

最初に確かめたいのは、いまの住宅ローンの残債です。正確な残高は、金融機関の残高証明書や返済予定表、各行のWebサイトで確認できます。頭のなかのおおよそではなく、実際の数字で押さえておくと、この後の見当が狂いません。

次に、売却でいくら手元に残るかを見積もります。ここで大切なのは、査定額をそのまま残債と比べないことです。実際に使えるのは、査定額から仲介手数料や抵当権抹消の費用などの諸費用を差し引いた「手取りの見込み額」であり、これと残債を突き合わせて初めて、売却でどこまで返せるかが見えてきます。

マンションは、一戸ごとの個別性が戸建てより小さく、同じマンションや近隣の似た住戸がそのまま比較の対象になります。取引の事例も多く、首都圏の中古マンションの成約件数は2025年(暦年)で49,114件でした(東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」)。実際の成約事例で確かめられるぶん、売却額の前提を置きやすいということです。それでも成約価格は査定より下がることがあるため、売却額は低めに見込んでおくと安全です。

手取りの見込みと残債が分かれば、新居の借入額は「新居の価格−(手取りの見込み−残債)」でおおよそ逆算できます。金利が変動か固定かを迷う前に、この借入額の見当を先につけておくと、どちらを選んでも家計が揺らぎにくくなります。

中古マンション住み替えの諸費用|売却と購入で手元にいくら 中古マンション住み替え(買い替え)の諸費用|売却と購入で手元にいくら 不動産売却の一括査定サイトおすすめ7選|選び方と組み合わせ方 不動産一括査定サイトのおすすめを「元・査定サイトの中の人」が徹底比較してみた

完済時年齢「80歳未満」の壁|返済期間を取りにくい50代の備え

住み替えの借入では、完済時の年齢が返済期間の上限を決めるため、定年が近い年代ほど、金利タイプより先に借入額そのものを考える必要があります。

国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」では、回答した994機関のうち978機関(98.4%)が完済時年齢を審査項目に挙げました。その978機関が挙げた具体的な内容は、80歳未満が716機関と最も多く、以下85歳未満65機関、75歳未満42機関、70歳未満5機関、「なし」2機関、「その他」158機関でした(複数回答)。「80歳まで」ではなく「80歳未満」である点にご注意ください。1年ずれます。また「その他」が158機関あり、単一の線ではありません。

フラット35の場合は、年齢制限ではなく借入期間の定めとして「80歳−申込時の年齢(1年未満切上げ)」と35年のいずれか短い年数が上限になります。この式で計算すると、55歳なら25年、54歳なら26年です。35年をフルに使える若い世代のようには期間を延ばせません。

なおこの調査は、金融機関が申告した審査項目の集計であり、実際に融資が実行された案件の完済時年齢の分布ではありません。

出典: 国土交通省住宅局「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」

返済期間を長く取りにくいということは、同じ金額を借りても毎月の返済額が大きくなりやすいということです。そのため、この年代の基本の備えは、借入額そのものを抑えることと、頭金を厚くして借入を小さくすることの2つになります。売却の手取りをできるだけ残債の返済と新居の頭金に充てられれば、新たな借入を小さくできます。

金利が上昇する局面では、この「借入額を抑える」こと自体が、上昇リスクへの確実な備えになります。借入額が小さければ、金利が多少上がっても返済額の増え方は限られるからです。返済期間を長く取りにくい年代ほど、変動か固定かの損得より、いくら借りるかを先に小さくしておく効果が大きくなりやすいといえます。

60代の住宅ローン|3つの壁と「返せる額」で選ぶ組み方 60代の住宅ローン|3つの壁と「返せる額」で選ぶ組み方

住み替えローン・ダブルローンに金利上昇がどう乗るか

売却の手取りで残債を返しきれない場合には、住み替えローンやダブルローンといった選択肢が関わってきて、そこに金利上昇の影響も乗ってきます。

売却の手取り見込みが残債を下回る状態は、オーバーローンと呼ばれます。この場合、残りの残債を新居の借入に上乗せして1本にまとめる住み替えローンが選択肢になります。ただし、上乗せした残債分は新居の担保で十分に守られないため、住み替えローンの金利は通常の住宅ローンより高めになることがあります。金利が上がる局面では、この高めの金利にさらに上昇分が乗る可能性がある点に注意が必要です。

新居を先に買い、いまの家が売れるまで2本のローンを並行して返す方法はダブルローンと呼ばれ、一時的に返済が二重になります。売却代金が入るまでのつなぎとして短期で借りる、つなぎ融資という手段もあります。いずれも金利上昇局面では負担が増えやすいため、借入をできるだけ小さく保つことが、ここでも効いてきます。

なお、つなぎ融資には、注文住宅を建てるときに完成までの分割払いを立て替える使い方もありますが、これは家を建てる人の話で、中古マンションへ住み替える人には基本関係ありません。マンションの住み替えで関わるのは、売却代金が入るまでの短期の立替の方だと切り分けておくと、情報に振り回されずにすみます。

金利タイプで悩む前に、いくら借りるか・いつまでに返すかという全体像を先に固めておく。この順番を守れば、変動と固定のどちらを選んでも、住み替え後の家計が揺らぎにくくなります。住み替えの資金計画や住み替えローンの具体的な進め方は、専門家に相談しながら組み立てていくと安心です。

住み替えローンは使えるか・使うべきか|売却額と残債で自分で判断する 住み替えローンは使えるか・使うべきか|売却額と残債で自分で判断する ダブルローンは組むべき?避けるべき?自分の状況で判断する5つの基準 ダブルローンは組むべき?避けるべき?自分の状況で判断する5つの基準

まとめ:住宅ローン金利を予測に頼らず借りるなら、住み替えのトビラ

これからの金利が上がるか下がるかは、誰にも言い切れません。予測を当てにいくかわりに、自分の返し方の側を固めるほうが確かです。

返し方を固めるには、残っている額と売ったときの手取り、そして新しく借りる額を先に固めます。この全体像がないまま金利のタイプを比べても、結論は出ません。

借入の相談へ行く前に、その3つの額と、変動と固定が別の理由で動くことを押さえておきましょう。住み替えのトビラでは、金利が動く時期の借入の決め方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。