二拠点生活とは?費用の目安と続けるコツを解説

二拠点生活とは?費用の目安と続けるコツを解説

今のマンションを残したまま、2つの住まいを行き来しながら暮らすのが二拠点生活です。

費用は今の負担にそのまま上乗せされるので、2つ目の住居費や行き来の交通費などを年単位で見積もると、続けられるかどうかを判断できます。

二拠点生活と別荘や移住との違い、3つの層に分けた費用の見積もり方、そして小さく試す入口まで説明します。

二拠点生活とは?二地域居住・別荘・移住との違い

二拠点生活とは、都市と地方など2つの場所に生活の拠点を置き、行き来しながら暮らす方法です。

似た言葉に「二地域居住」「別荘」「完全移住」がありますが、意味する範囲は少しずつ違います。まず言葉の中身と近い言葉との違いを押さえると、自分が求めている暮らしの形が見えてきます。とくに今マンションを持っている人にとっては、この暮らし方が「今の家を残したまま成り立つのか、それとも手放す前提なのか」が分かれ目になります。

都市と地方に生活の拠点を2つ持つ暮らし方

二拠点生活は、生活の一部を2つ目の場所に持ち、日常として両方を使い分ける暮らし方です。

たとえば、平日は仕事や通院の都合がある都市のマンションで過ごし、週末や季節ごとに地方の拠点へ移る。こうした行き来を「たまの旅行」ではなく生活の一部として繰り返すのが二拠点生活の質感です。何日以上どちらに住めば二拠点、といった日数の決まりがあるわけではありません。生活の重心をどちらか一方に置きながら、もう一方にも暮らしの場を残す。そのゆるやかさが特徴です。

こうした暮らし方は、いまや個人の趣味にとどまらず、国が後押しする政策のテーマにもなっています。二地域居住を後押しする制度も動き出しています。正式には「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」で、令和6年(2024年)11月1日から施行されています。国土交通省は改正の目的を「地方への人の流れの創出・拡大を通じて地域の活性化を図る」ことに置き、二地域居住者向けの住まい・なりわい・地域住民との交流のための環境整備等を対象としています。柱は2つで、①市町村が二地域居住の促進のための計画を作る制度、②地域と二地域居住者の橋渡しを担う中間支援組織として特定居住支援法人(二地域居住等支援法人)を指定する制度です。支援の中身は市町村ごとに違うため、自分が候補にしている自治体がこの計画を作っているかを確かめてください。

出典: 国土交通省「地方振興:二地域居住の推進」

「二地域居住」「別荘」「完全移住」との違い

二拠点生活は、生活基盤を2つとも残す点で、別荘や完全移住とは立ち位置が異なります。

言葉が近いだけに混同しやすいので、生活の基盤をどこに置くか、そして今の家をどうするかという2つの軸で整理します。

暮らし方生活の基盤の置き方今の家
別荘非日常・保養が主。生活の基盤ではない残す(別荘は生活外の場所)
完全移住移った先が生活の基盤になる手放して移る
二拠点生活2つとも生活の基盤として使う残したまま2つ目を持つ

別荘は、あくまで休みのための非日常の場所で、日々の暮らしそのものは元の家で完結しています。完全移住は、今の家や生活圏を手放して新しい土地へ移る選択で、退路を断つ覚悟がいります。二拠点生活は、その中間にあたります。今の暮らしを残しながら、もう一つの生活の場を加えるイメージです。「移住まで踏み切る気持ちはないけれど、別荘というほど贅沢な話でもない」という感覚の方に近いのが、この二拠点生活です。

今マンションを持っている人にとって大事なのは、二拠点生活が「今のマンションを売らずに残したまま2つ目を持つ」暮らし方だという点です。逆に言えば、マンションを売って資金化してしまうと、主拠点がなくなり二拠点は成り立ちません。二拠点生活は、持ち家を持ったまま両立できる行き先の代表格だと考えておくと、あとの費用や管理の話が理解しやすくなります。

なお、今の家を手放して地方へ移る完全移住については、退路を断つ選択ならではの検討点があります。

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二拠点生活のメリット・デメリットを判断軸で整理

二拠点生活は、良い面と負担が表裏一体で、同じ要素が人によって魅力にも重荷にもなります。

良い点と悪い点をただ並べるだけでは判断しづらいため、「何が2つになるのか」という軸で捉えると、自分にとってどちらに傾くかが見えてきます。ここでは得られるものと負担になりやすいこと、そして続く人と続きにくい人の分かれ目を順に整理します。

得られるもの(時間・環境・働き方の選択肢)

二拠点生活で得られるのは、暮らしの豊かさ・時間の使い方の自由・暮らしのリスク分散という3つの束です。

一つ目は、暮らしそのものの豊かさです。都市の便利さを保ちながら、地方の自然や穏やかな気候、地域の人とのつながりを日常として味わえます。定年前後で時間の自由度が上がった世代にとって、「休みに旅行で行く」のではなく「暮らしとして季節を過ごす」体験は、これまでの生活では得にくかった充実感につながります。

二つ目は、時間と働き方の切り替えです。リモートワークが広がったことで、場所に縛られずに働ける人も増えました。平日は都市で仕事、気分を変えたいときは地方の拠点で、といった切り替えが現実味を帯びています。仕事を続けている世代にも、完全に引退した世代にも、生活のリズムに変化をつける手段になります。

三つ目は、暮らしのリスクを分散できる点です。災害や体調の変化など、生活の拠点が一つだけだと不安に感じる場面でも、行き来できる場所がもう一つあると心のゆとりが生まれます。都市の利便性と地方の落ち着き、その両方に足場を持てることが、マンションを長く構えてきた世代には価値になります。

負担になりやすいこと(費用・移動・管理の二重化)

二拠点生活の負担は、「暮らしが二重になる」という一点に集約されます。

生活にかかるお金も、移動の手間も、家の維持管理も、すべてが2軒分になります。しかも、それぞれが別々の時期にではなく、同時に押し寄せてくるのが二拠点特有の重さです。片方の家の光熱費を払いながら、もう片方の家の様子も気にかける。移動の疲れが残るなかで、両方の暮らしを回していく。こうした「同じ手間と出費が2つ分、同時にのしかかる」感覚が、続けるうえでの体力を静かに削っていきます。

憧れの段階では、地方の暮らしの良い面ばかりが目に入り、この二重化の重さは見えにくいものです。二拠点生活が数年で終わってしまう背景には、多くの場合この二重の負担への見積もりの甘さがあります。具体的にどの費目がいくらかかるのか、留守がちな家の管理に何が要るのかは、このあと費用と管理の章でそれぞれ詳しく見ていきます。ここで押さえておきたいのは、「良い面と同じ数だけ、負担も2つずつ増える構造がある」という一点です。

「二拠点が向く人・続きにくい人」の分かれ目

二拠点生活が続くかどうかは、始める前の準備と目的のはっきりしているかどうかで大きく分かれます。

二拠点生活が続くかどうかの分かれ目は、性格の問題ではなく、始め方の違いにあります。続く人と続きにくい人の傾向を対比で整理すると、次のようになります。

続きやすい人続きにくい人
目的何のための二拠点かがはっきりしている憧れが先行し目的が曖昧
費用二重の出費を見積もり、余白がある費用を細かく見積もっていない
移動行き来そのものを楽しめる移動が負担に感じられる
始め方賃貸などで小さく試してから広げた最初から両方をフル装備しようとした

続きやすい人は、二拠点で何をしたいのかが自分のなかではっきりしています。目的があるから、多少の手間や出費も納得して受け止められます。費用にも移動にも余白があり、無理なく回せる範囲で始めているのが共通点です。

一方で、続きにくい人は、地方の暮らしへの憧れが先に立ち、二重の負担を数字で見ないまま2軒目を構えてしまう傾向があります。移動そのものが億劫になったり、最初から家具も設備も両方に揃えて費用がふくらんだりして、続けるための体力が持たなくなります。始める前に目的とお金を見積もり、小さく試すという順番を踏めるかどうかが、続くかどうかの分かれ目になります。

二拠点生活にかかる費用の目安(二重の生活コスト)

二拠点生活の費用は、「2つ目の住居費」「移動費」「二重の生活コスト」という3層で考えると、全体像がつかめます。

いずれも地域・行き来の頻度・住まいの持ち方によって大きく動くため、固定の金額ではなく物差しとして捉えてください。以下の金額はあくまで目安で、地域や条件により幅があります。ここで忘れてはいけないのが、二拠点生活は今のマンションを残す前提だという点です。マンションにかかっている管理費・修繕積立金・固定資産税、住宅ローンが残っていればその返済は、二拠点にしても止まりません。これらはそのまま続き、そこに2つ目の拠点の費用が乗る「上乗せ」の形になります。まず3つの層を分けて見たあと、費用が想定より膨らみやすい理由まで踏み込みます。

2つ目の拠点の住居費(賃貸/購入それぞれの目安)

2つ目の拠点の住居費は、賃貸で持つか購入で持つかによって、負担のかかり方が変わります。

賃貸で持つ場合は、契約時に初期費用がかかり、そのあとは毎月の家賃が続きます。初期費用の内訳は敷金・礼金・仲介手数料・前家賃などですが、敷金も礼金も全員にかかるわけではありません。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査(三大都市圏)では、敷金や保証金があった世帯は51.9%、礼金があった世帯は43.1%で、あった場合はいずれも「1ヶ月ちょうど」が最も多くなっています。仲介手数料は、居住用建物の貸借では依頼者の一方から受けられるのが借賃1か月分の0.55倍以内(承諾がある場合は双方合計で1.1倍以内)と告示で決まっています。敷金1か月+礼金1か月+仲介手数料1.1か月+前家賃1か月なら4.1か月分、敷金も礼金もなければ1.55〜2.1か月分です。毎月の家賃は地域と広さで大きく変わり、二拠点の候補地に絞った家賃相場の公的統計はありません。候補地の募集情報で確かめてください。購入で持つ場合は、物件価格に加えて、登記費用や不動産取得税などの取得時費用、その後の固定資産税や修繕費といった保有コストが継続します。

大切なのは、この住居費が今のマンションの費用に「上乗せ」される点です。二拠点生活は今の自宅を残す前提なので、マンションの住居費はそのまま続きます。具体的には、管理費と修繕積立金は住んでいる日数に関係なく毎月かかり続け、固定資産税も毎年かかります。住宅ローンが残っていれば、その返済も従来どおりです。これらを払いながら、そこに2つ目の家賃や保有コストが加わります。すでにかかっている費用に足し算される構造だと理解しておくと、後で「思ったより出ていく」と慌てずに済みます。

移動にかかる交通費

移動にかかる交通費は、距離と行き来の頻度で大きく変わる変動費です。

車で移動するならガソリン代と高速料金、鉄道なら運賃、遠方なら航空運賃と、手段によって単価が変わります。さらに、この費用は行き来の回数に比例して積み上がります。月に1回の往復と、週末ごとの往復では、年間の交通費はまったく違う金額になります。二拠点間の交通費を集計・公表した統計はないので、金額の目安は示せません。自分の想定する往復ルートで「1回あたりいくら」を出し、それに年間の行き来回数を掛けてください。往復1回の額が小さくても、週末ごとなら年50回を超えます。この掛け算こそが、二拠点の費用で最も見誤りやすい部分です。

二重にかかる生活・維持コスト

生活・維持コストは、その家を使っていなくても発生する固定的な費用が、2軒分になる点が負担になります。

光熱費の基本料金、通信費、火災保険といった費用は、滞在日数が少ない拠点でも基本部分は止まりません。電気やガス、水道は、ほとんど使わない月でも基本料金がかかります。ネット回線を引けば通信費が、家を持てば火災保険が、それぞれ2軒分発生します。今のマンションの側では、これに管理費と修繕積立金が加わります。管理費と修繕積立金は、住んでいてもいなくても毎月かかる固定費で、二拠点にして滞在が減っても金額は変わりません。「使っていないのだから安いはず」と考えていると、実際の請求額とのずれに驚くことになります。ここで見ておきたいのはあくまでお金としての固定費の二重化で、掃除や防犯といった手間の話は次の管理の章で扱います。

費用が想定より膨らみやすい理由

二拠点生活の費用は、当初の見積もりを上回りやすい構造があります。

理由は、見積もりの段階で抜け落ちやすい費目があるからです。二拠点生活を検討する多くの人が、家賃と交通費くらいまでは計算します。ところが、実際に暮らし始めると、そこに入っていなかった出費が次々と積み上がっていきます。どれだけふくらむかを集計・公表した統計はないので倍率では示しませんが、抜けやすい費目は具体的に挙げられます。ふくらむ理由を、費目ごとに分けて見てみます。

一つ目は、交通費の頻度の読み違いです。始める前は「月に1回くらい」と思っていても、実際に拠点ができると行きたくなり、行き来が増えます。回数が増えれば、そのぶん交通費はまっすぐ積み上がります。当初の頻度で計算した交通費が、いつのまにか倍近くになっているケースは珍しくありません。

二つ目は、生活用品や食費の重複です。調味料も日用品も、両方の家に置いておく必要があります。片方で使い切ったからと、もう片方でまた買う。移動のたびに外食が増える。こうした「2軒分の暮らしを回す」ための細かな出費が、月単位で積もると相応の金額になります。

三つ目は、突発的な出費です。急な用事で予定外の帰省が入れば、その往復の交通費がかかります。留守がちな家では、設備の不具合や水回りのトラブルが起きやすく、その修繕費も見込んでおく必要があります。こうした臨時の出費は、計画時にはほぼ計上されません。だからこそ、実際の総額は見積もりを上回りやすいのです。

今のマンションの管理費・修繕積立金・固定資産税に、2つ目の拠点の家賃や交通費、そしてこうした重複や臨時の費目まで含めて年間で見積もっておくと、始めてからの「こんなはずでは」を防げます。

持ち家マンションを残したまま二拠点にするときのお金と管理

今のマンションを売らずに2つ目の拠点を持つ場合、資金の借り方と2軒の管理という、完全移住にはない論点が出てきます。

売却を前提にしない選択肢として、押さえておきたいお金と管理のポイントを整理します。今のマンションを残すこと自体は、無理に手放す必要のない、十分に現実的な選び方です。とくにマンションは、留守にしても建物の管理を管理組合や管理会社が担うため、留守がちにする拠点としては戸建てより向いている面があります。この章では、その強みと注意点を具体的に見ていきます。

2軒目の住宅ローンは「自宅用」とは別扱いになる

2軒目の住まいを買う場合、通常の住宅ローンは使えず、セカンドハウスローンなど別枠の借り入れになるのが原則です。

住宅ローンは、本人が主に住む家のための融資という前提があります。そのため、生活の重心を今のマンションに残したまま2軒目を持つ場合は、対象外になるのが一般的です。代わりに用意されているのがセカンドハウスローンで、原則として金利は住宅ローンより高めに設定され、審査も厳しめになる傾向があります。住宅ローン控除の対象にもならないのが通常の扱いです。これらは金融機関によって条件が異なるため、実際に借りる前に個別の確認が欠かせません。

なお、住宅金融支援機構のフラット35は、条件を満たせばセカンドハウスにも利用できる場合があります。ただし利用条件は商品や時期で変わるため、具体的な借入計画は金融機関やファイナンシャルプランナーに相談して確かめることをおすすめします。

留守がちになる家の管理|マンションは戸建てより留守管理が軽い

二拠点生活では、どちらかの家が留守がちになります。その管理の重さは、どちらを空けるか、そして空ける家がマンションか戸建てかで大きく変わります。

まず、「どちらを空けるか」で2つの場合に分けて考えます。今マンションを持っている人の場合、次のどちらになるかで留守管理の姿がまったく違ってきます。

  • マンションを主拠点として残し、2つ目の拠点を空ける(普段はマンション暮らしで、2つ目の拠点にときどき滞在する)
  • マンションを空けて、2つ目の拠点に長く滞在する(生活の重心を2つ目に置き、マンションを留守がちにする)

このうち、マンションを空ける場合は、戸建てを空ける場合にくらべて留守管理が軽くなりやすいのが特徴です。マンションは、エントランスや共用廊下の清掃、共用部の設備管理、建物まわりの防犯といった日常の維持を、管理組合や管理会社が担っています。所有者が留守にしていても、建物そのものは管理の手が入り続けます。オートロックや宅配ボックス、防犯カメラが備わっている物件なら、留守中の防犯面の不安も戸建てより小さくなりやすいでしょう。長く家を空ける拠点としては、こうした共用部の維持が外注されているマンションのほうが手がかからない、という相対的な強みがあります。

ただし、これは「留守管理がゼロになる」という意味ではありません。管理組合や管理会社が見るのはあくまで共用部です。専有部、つまり自分の部屋のなかは自分で管理する必要があります。窓を閉め切ったままだと湿気がこもってカビが出やすいため、ときどき戻って通風することは欠かせません。郵便受けにたまるチラシや郵便物の整理、宅配ボックスに荷物を残したままにしない配慮、しばらく使わない水回りの通水も、専有部の管理として残ります。共用部が軽くなるぶん、専有部の手入れに絞って段取りしておくと安心です。

ここで、今のマンションを残す人に向けて、一つ仕分けをしておきます。二拠点生活の留守管理でよく挙げられる「庭の雑草が伸びる」「敷地内の防犯」「植栽の手入れ」といった負担は、基本的に戸建て、または2つ目の拠点が戸建てや土地付きの家である場合の話です。都市部のマンションを残す人には、庭も敷地も基本的にないため、これらは当てはまりません。留守管理の記事や一般的な解説を読むときは、それが戸建てを前提にした話なのか、マンションにも関わる話なのかを見分けると、自分に必要な備えだけに集中できます。

逆に、2つ目の拠点が地方の戸建てや古民家である場合は、この庭・敷地・防犯の管理がそのまま自分の課題になります。人が長く住んでいない戸建ては傷みやすく、数週間空けるだけで雑草が伸び、放っておくと近隣とのトラブルにつながることもあります。郵便物がたまれば留守が外から分かり、防犯上の不安も生じます。2つ目の拠点を戸建てで持つなら、こうした手入れを誰がいつ行うかを決めておく必要があります。対処の方向としては、次のような方法があります。

  • 一定の間隔で自分が行き、通風・掃除・郵便の確認や庭の手入れをまとめて行う
  • 空き家管理サービスに、見回りや通風、庭の手入れを依頼する
  • 近隣の人に一声かけ、異変があれば連絡してもらえる関係をつくる

空き家管理サービスや近隣との関係づくりは、こうした2つ目の拠点が地方の戸建てで、行き来に時間がかかるほど重みを増します。どこまで自分で手をかけ、どこから外部に任せるかは、拠点の距離や滞在の頻度によります。留守中の家をどう守るかを、始める前から具体的に決めておくと、二拠点の暮らしが安定します。

なお、費用の面では一つ注意があります。マンションは、たとえ空けていても、あるいは人に貸したとしても、管理費と修繕積立金の負担はオーナーである自分に続きます。留守にすれば管理の手間は軽くても、この固定費までゼロになるわけではありません。留守管理の軽さと固定費の継続は別の話として、分けて見ておくとよいでしょう。

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2軒目にかかる税金・維持費の考え方

2軒目にも、固定資産税や都市計画税、光熱費の基本料金、火災保険といった維持費が継続してかかります。

家を持てば、住んでいる日数にかかわらず固定資産税や都市計画税が毎年かかります。二拠点生活で使う2軒目のように、日常生活を送る実態のある家は、税務上「セカンドハウス」として扱われ、別荘のような娯楽用の家とは区分が異なる考え方があります。ただし、どう扱われて税額がいくらになるかは、自治体や個々の条件によって異なります。ここで具体的な税額を断定することはできません。2軒目の税金や維持費が実際にどうなるかは、対象の自治体や税理士に確認しておくと安心です。

もう一つ、資金の工面として「今のマンションを人に貸し、その家賃収入を二拠点の原資にあてる」ことを考える人もいます。これも選択肢の一つですが、注意しておきたい前提の変化があります。自宅として住宅ローンを組んでいるマンションを賃貸に出すと、住宅ローンは自宅居住が前提のため、契約上の扱いが変わる場合があります。また、将来そのマンションを売るとき、居住用財産の3,000万円特別控除など、自宅であることを前提にした税制上の取り扱いの前提も変わり得ます。これらは条件や時期によって結論が変わるため、断定はできません。貸すことを検討するなら、事前に金融機関やファイナンシャルプランナー、税理士に確認しておくことをおすすめします。

二拠点生活の現実的な始め方(小さく試して見極める)

二拠点生活は、いきなり2軒目を買うのではなく、小さく試して自分に合うか見極めてから広げるのが現実的です。

目的をはっきりさせる、短期のお試しで検証する、本格的に構える、という順番で進めると、大きな失敗を避けられます。まず何から決めればよいのかを順に見ていきます。

まず目的と「どちらを主拠点にするか」を決める

始める前に、二拠点で何をしたいのかという目的と、どちらを生活の主軸に置くかを決めることが、費用や場所選びの土台になります。

目的は、費用のかけ方や拠点を選ぶ基準を左右します。自然のなかで趣味の時間を持ちたいのか、家族や親の近くに拠点が欲しいのか、都会の喧騒から離れる場所が欲しいのか。目的によって、選ぶ地域も、必要な設備も、かけてよい予算も変わってきます。

あわせて決めておきたいのが、どちらを主拠点にするかです。今マンションを持っている人の多くは、通院や買い物などの利便がある今のマンションを主拠点に据え、地方の拠点に季節ごとに滞在する形が出発点になりやすいでしょう。生活の重心を今のマンションに置くのか、地方の拠点に多めに滞在するのか。この配分が決まると、2つ目の家をどう借りる・買うか、移動の頻度をどのくらいに設計するかが具体的に見えてきます。目的と主拠点という2つの土台を先に固めることが、そのあとの選択をぶれさせないコツです。

短期のお試し滞在で暮らしを検証する

本格的に住居を借りたり買ったりする前に、短期のお試し滞在で暮らしを体で確かめておくと安心です。

マンスリーマンションや民泊、自治体のお試し住宅などを使えば、家を構えずに数週間から数カ月、その地域で暮らしてみることができます。実際に滞在すると、想像だけでは分からなかったことが見えてきます。往復の移動が思ったより負担ではないか、地域の雰囲気や人との距離感は合いそうか、買い物や病院といった生活の利便はどうか。こうした点は、暮らしてみて初めて判断できます。

賃貸や短期滞在から小さく始めるのは、退路を残す発想でもあります。合わなければやめられる状態で試してから、本当に続けられそうだと分かってから本格的に構える。この順番なら、大きな買い物をしてから後悔する事態を避けられます。今のマンションを主拠点として残したまま試せるので、持ち家を持っている世代にとって、無理のない現実的な入口になります。

自治体の移住・二地域居住支援は「地域により異なる」前提で調べる

自治体によっては移住や二地域居住の支援がありますが、内容や有無は地域で大きく異なるため、個別に確認するのが前提です。

支援の中身は、空き家情報の提供、体験住宅、補助金など地域によってさまざまです。手厚い自治体もあれば、そうした制度がない地域もあります。金額や条件も地域ごとに違うため、気になる地域があれば、その自治体の公式サイトで最新の内容を確かめておくと安心です。

国も、二地域居住を進めるために動いています。全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームを通じて、自治体や企業、支援団体をつなぐ取り組みが始まっています。こうした受け皿が広がりつつあるとはいえ、実際に使える支援は地域ごとに違います。特定の自治体名や金額を思い込みで判断せず、候補の地域それぞれの公式情報にあたることをおすすめします。

出典: 国土交通省「地方振興:二地域居住の推進」

まとめ:二拠点生活の上乗せを見積もるなら、住み替えのトビラ

二拠点生活が続くかどうかは、上乗せされる費用を払い切れるかで分かれます。売ってしまうと成り立たない暮らし方なので、今の住まいは持ったままになります。

続けられるかを見るには、今のマンションを持ち続けたときに毎年出ていく額をつかみます。ここを数えずに2つ目を構えると、行き来を減らしても負担だけが残ります。

本格的に構える前に、その額を短い滞在で得た実感と重ねておきましょう。住み替えのトビラでは、持ち家を残したまま2つ目を持つ暮らしも含めて、住み替え(買い替え)で悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。