二拠点生活とは?マンションを残したときの費用の目安と注意点

二拠点生活とは?費用の目安と続けるコツを解説

今のマンションを残したまま地方にもう一つの住まいを持ちたくても、毎年の費用を払い続けられるか心配な人は多いでしょう。

費用が思ったより重くなるのは、留守にしても今のマンションの費用が減らず、そこへ2つ目の住まいの家賃や交通費が加わるからです。

この記事を読めば、二拠点生活を続けられる金額かを、自分の家計で判断できます。

二拠点生活とは?別荘・移住との違い

二拠点生活は別荘や移住と似ていますが、2つ目の住まいをふだんの生活に使うことと、今の家を残すことに特徴があります。

今の家を残したまま、もう一つの住まいを持つ暮らし方

二拠点生活とは、都市と地方など2つの場所に住まいを持ち、ふだんから両方で暮らす生活のことです。

たとえば、平日は病院や買い物に便利な都市のマンションで過ごし、週末や季節ごとに地方の住まいへ出かけます。

何日住めば二拠点生活と呼べるかの決まりはなく、どちらか一方を暮らしの中心にして、もう一方へ通う形が一般的です。

国も「二地域居住」という名前で、この暮らし方を後押ししています。2024年11月1日に改正法(広域的地域活性化基盤整備法)が施行され、市町村が二地域居住を広める計画を作れるようになりました。

あわせて市町村は、二地域居住する人と地域をつなぐ団体を「特定居住支援法人」に指定できます。

どんな支援があるかは市町村ごとに違うため、候補地の公式サイトで計画や支援の内容を確かめておきましょう。

出典: 国土交通省「地方振興:二地域居住の推進」

別荘・移住との違いは、2つ目の住まいの使い方と今の家の扱い

二拠点生活は、別荘とは2つ目の住まいの使い方が違い、移住とは今の家を残すかが違います。

暮らし方2つ目の住まいの使い方今の家
別荘休みの日や保養のときに使う残す
二拠点生活ふだんの生活の場として、定期的に通う残す
移住持たない(移った先の1か所だけで暮らす)売るか貸すなどして、住まなくなる

今のマンションを売ってしまうと、帰る家がなくなり、二拠点生活ではなく移住になります。

また、2つ目の住まいを買う場合は、別荘として扱われるか、ふだん住む家として扱われるかで、かかる税金も変わってきます。

二拠点生活の費用は年いくら増えるか

二拠点生活で毎年増える費用は、2つ目の住まいの家賃・固定費と、行き来の交通費の3つです。

増える費用は「家賃・固定費・交通費」の3つで計算する

1年で増える費用は、次の計算式に自分の金額を入れると出せます。

1年で増える費用 =(家賃 + 固定費)× 12か月 + 1往復の交通費 × 1年の往復回数

固定費とは、電気・ガス・水道の基本料金やネット代、火災保険など、留守の月にもかかる費用です。

地方で部屋を借り、月に2回行き来する場合で計算すると、次のようになります(金額は仮の例です)。

費用仮の金額1年の額
家賃月5万円60万円
固定費月1万円12万円
交通費1往復2万円×月2回48万円
毎年増える費用の合計―120万円

1年目だけは、これとは別に約50万円かかります。内訳は、敷金・礼金など部屋を借りるときの費用が約20万円(家賃の約4か月分)、家具・家電をそろえる費用が約30万円です。

家賃の月5万円は、総務省の令和5年住宅・土地統計調査をもとにした金額です。民間の木造の賃貸住宅の家賃は全国平均で月54,409円なので、地方の部屋として少し低めに見積もっています。

自分の候補地の家賃と、実際の運賃に入れ替えて計算してみてください。

往復の回数によって、金額は大きく変わります。1往復2万円のまま、月2回から毎週末(年52回)に増やすと、交通費は年48万円から104万円へと2倍以上にふくらみます。

このほか、今のマンションの管理費・修繕積立金・固定資産税と、ローンが残っていればその返済は、留守の間もこれまでどおりかかります。

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、管理費と修繕積立金は1戸あたり月平均で合わせて約2万5千円です(管理費11,503円、修繕積立金13,054円。駐車場代などで補う分を除く)。

今払っているこれらの費用に、毎年増える費用を足した合計で考えると、無理なく続けられる金額かを判断できます。

出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果の概要」

出典: 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」

計算から漏れやすい4つの費用

計算から漏れやすい費用は、増えがちな交通費、2軒分の日用品と食費、地方での車、留守中の修理の4つです。

  • 住まいができると出かける回数が増え、交通費が予定より多くなる
  • 調理器具・寝具・日用品を2軒分そろえ、移動の日は外食で食費も増える
  • 地方は車がないと不便な地域が多く、車を持つと保険・税金・駐車場代がかかる
  • 留守が多いと水回りの故障に気づくのが遅れ、修理代が高くなりやすい

計算式で出した金額に、これらの分を多めに足しておけば、始めてから「思ったより高い」と慌てずに済みます。

とくに車は、都市に住んで車を手放した人ほど忘れがちな費用です。

2つ目の住まいは、借りて試してから決める

2つ目の住まいは、まず借りて試し、続けると決めてから買うかを考えると、お金の負担も、やめるときの負担も小さくできます。

借りるか買うかは、滞在日数と続ける年数で選ぶ

2つ目の住まいの選び方は、月に何日いるかと、何年続けるつもりかで変わります。

住まい方合う使い方お金のかかり方やめるとき当サイトの判定
ホテルやマンスリーマンションをその都度使う月に数日の滞在や、試している段階泊まった日の分だけかかる予約をやめれば終わる最初に選ぶ
賃貸の部屋を借りる月に1週間を超えて、定期的に通う家賃と固定費が毎月かかる解約を申し出れば終わる続けると決めたら選ぶ
買う何年も続け、場所も決めている購入代金に加え、税金と管理費が毎年かかる売れるまで税金と管理費がかかる条件を確かめてから選ぶ

表のマンスリーマンションは、家具付きの部屋を月単位で借りられる住まいです。

滞在が月に数日なら、泊まった日だけ払うほうが、留守の日まで家賃を払うより安く済みます。滞在が増えると、ある日数を境に、賃貸の部屋のほうが割安になります。

1か月の宿泊費の合計が、家賃と固定費の合計を上回ったら借りどきです。たとえば1泊8,000円なら、月8泊で6万4千円となり、家賃5万円と固定費1万円の合計6万円を超えます。

賃貸は1か月前に申し出れば解約できる契約が多く、合わなければやめやすい住まい方です。

2つ目の住まいを買うなら、ローン・税金・売りやすさを確かめる

2つ目の住まいを買うときは、使えるローン、税金の扱い、売りやすさの3つを先に確かめておきましょう。

ふつうの住宅ローンは、自分が主に住む家を買うためのローンです。今のマンションに住んだまま2つ目の家を買うときは、セカンドハウス向けのローンを使うのが一般的です。

セカンドハウス向けのローンは、金利がふつうの住宅ローンより高めです。金融機関は、今のマンションのローンが残っていれば、その返済も含めて審査します。

例外として、金利がずっと変わらない住宅ローン「フラット35」は、週末などに自分で住む家にも使えます。扱っていない金融機関もあるため、借りる先の取り扱いを先に確かめておくと、申し込み直す手間を省けます。

なお、ローン残高に応じて所得税などが安くなる住宅ローン控除は、主に住む家に限られるため、2つ目の住まいは対象外です。

家が建つ土地の固定資産税は、住宅の土地なら安くなる特例があり、別荘の土地は対象外です。税金の決まりでは、毎月1日以上住む家は、別荘ではなく住宅として扱われます。

つまり、毎月通って住むセカンドハウスなら、土地の固定資産税が安くなります(地方税法施行令52条の11、同施行規則7条の2の16)。

市町村によっては、毎月住んでいることを示す届け出(申立書)の提出を求めています。買ったあとに足が遠のき、毎月は住まなくなると、別荘として扱われて土地の税金が上がります。

家や土地を買ったときに1回だけかかる不動産取得税も、同じ考え方です。住宅向けの軽減は別荘には使えず、週末などに住むセカンドハウスなら対象になります(地方税法施行令36条)。

中古の家は、建てられた時期などで軽減の条件が変わります。買う前に、物件がある都道府県の税事務所へ問い合わせると、軽減の対象になるかが分かります。

地方のリゾートマンションには、数十万〜数百万円で買える部屋もあります。ただ、管理費と修繕積立金が月2万〜3万円ほどかかる物件が多く、買う値段のわりに毎月の支払いが重くなります。

使わなくなって売りに出しても買い手が見つかりにくく、管理費と固定資産税を払い続ける例もあります。

買う前に、毎月の管理費・修繕積立金の額と、同じ建物で売れ残っている部屋が多くないかを見ておけば、手放したいときに売れずに困る事態を避けやすくなります。

出典: 住宅金融支援機構「【フラット35】セカンドハウス」

出典: 北杜市「住宅用地に対する課税標準の特例」

出典: 愛知県「不動産取得税Q&A 14」

今のマンションを残して留守にするときの注意

今のマンションを留守にする前に決めておきたいのは、部屋の手入れの仕方と、住民票をどちらに置くかです。

留守中の部屋の手入れと、管理規約で確かめること

留守中に自分ですることは、部屋の中の手入れと、管理会社への連絡の2つです。

廊下やエントランスの清掃、建物の点検は、住む人が留守の間も管理会社が行います。そのためマンションは、庭の草刈りや見回りが必要な戸建てより、長く家を空けやすいといえます。

反対に、2つ目の住まいを地方の戸建てにするなら、草刈りや見回りを空き家管理サービスに頼むかも考えておくとよいでしょう。

部屋の中で困りやすいのは、排水口からのにおいと、湿気によるカビです。

排水口の奥には、下水のにおいや虫を防ぐふたの役目をする水がたまっていて、長く留守にするとこの水が乾いてしまいます。閉め切った部屋には湿気もこもります。

戻ったら、すべての蛇口とトイレの水を流して排水口に水をため直し、窓を開けて風を通すと、においやカビを防げます。

長く空けるときは、管理会社に留守の期間と連絡先を伝えておきましょう。部屋から水が漏れたときなどに管理会社がすぐ連絡でき、被害が広がる前に対応してもらえます。

では、留守の間に部屋を民泊などで貸し、費用の足しにすることはできるのでしょうか。マンションでは、ルールを定めた管理規約で民泊を禁止しているところが多くあります。

国が作った管理規約のひな形(マンション標準管理規約)にも、民泊を認めるか禁止するかを決めておく条文があります。貸す前に、自分のマンションの管理規約を確かめておくことが大切です。

二拠点生活のほかにどんな住まい方があるかは、老後のマンション住み替えの選択肢で比べています。

出典: 国土交通省「マンション標準管理規約」

住民票も暮らしの中心も、今のマンションに置いたままにする

住民票を今のマンションに置き、そこを暮らしの中心にしておけば、住宅ローン控除や、売るときの税金の特例を今までどおり使えます。

税金の制度では、住民票の場所に加えて、実際にどちらに住んでいるかで判断されます。

住宅ローン控除は、その年の12月31日に住んでいることが条件です(租税特別措置法41条)。地方での暮らしが中心になって住まなくなると、その年から控除を受けられなくなります。

マンションを売って出た利益から最大3,000万円を差し引ける特例(租税特別措置法35条)にも、期限があります。住まなくなった日から3年が過ぎる日を含む年の、12月31日までに売ることが条件です。

たとえば2026年6月に住まなくなったら、2029年12月31日までに売れば特例を使えます。

住民税は住民票を置いた市町村に納め、国民健康保険や介護保険の窓口もその市町村になります。

通院や介護の手続きを考えると、老後の二拠点生活は、都市のマンションを暮らしの中心にしたまま地方へ通う形が暮らしやすいでしょう。

いずれ地方へ移るときは、特例の期限と、売って手元に残るお金を先に計算しておくと、売るか貸すかを落ち着いて比べられます。

特例の条件と計算の仕方は、3,000万円特別控除の使い方で説明しています。

出典: 国税庁「No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等」

出典: 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

二拠点生活が続く人・続かない人と、小さな始め方

二拠点生活を続けられる人は、始める前に目的やお金、家族の考えを確かめ、借りて試してから本格的に始めています。

続く人と続かない人の分かれ目

続く人と続かない人の分かれ目は、目的・お金・移動・家族・始め方の5つを、始める前に考えておいたかにあります。

二拠点生活なら、都市の便利さを保ったまま地方の自然や季節をふだんの暮らしで楽しめ、災害のときの居場所にもなります。その代わり、家のお金と手入れは2軒分になり、行き来の手間もかかります。

項目続く人続かない人
目的何のために通うかが決まっているあこがれが先で、目的がぼんやりしている
お金1年で増える費用を計算し、家計に余裕がある家賃と交通費だけで考えている
移動無理なく通える距離の場所を選んでいる遠い場所を選び、通うのが面倒になっている
家族配偶者や家族と、どちらに何日いるかまで話し合っている一人で決め、家族と考えが合っていない
始め方借りて試してから、本格的に始めている最初から家を買い、家具もそろえている

年を重ねると、長い移動は体の負担になります。老後に始めるなら、車の運転をやめたあとも電車やバスで通えるかを調べておきましょう。いつまで続けるかの目安も決めておくと、やめる時期を自分で選べます。

今のマンションを残したまま、短い滞在で試してみる

試すときは、今のマンションで暮らしながら、候補地のホテルやマンスリーマンション、自治体のお試し住宅に数週間ほど泊まってみるのがおすすめです。

お試し住宅は、移住や二地域居住を考える人が短い期間だけ住める、自治体が用意した住まいです。どこにあるか、何日使えるかは地域ごとに違うので、候補地の公式サイトで探してみてください。

気に入った季節に加えて、雪や寒さ、暑さが厳しい季節にも一度泊まってみると、1年を通して暮らせるかが分かります。行き来にかかる時間や、病院・スーパーへの行きやすさも、実際に暮らすと実感できます。

移住も考えているなら、地方へ移った人がどんな点で困ったかを先に知っておくと、決めるときに迷いにくくなります。

移った人がつまずきやすい点は、地方移住の現実にまとめています。

まとめ:二拠点生活は1年で増える費用を出し、借りて試してから始める

二拠点生活を続けるうえでいちばん大切なのは、今のマンションの費用に2つ目の住まいの費用と交通費を足しても、無理なく払い続けられることです。

まずは計算式に自分の金額を入れて、1年で増える費用を出しておきましょう。計算しないまま2つ目の住まいを買うと、通わなくなったあとも税金や管理費の支払いが残ります。

金額が分かったら、短い滞在で試して、その金額で続けたいかを確かめてみてください。住み替えのトビラでは、今のマンションを残したまま2つ目の住まいを持つ暮らし方も含めて、住み替え(買い替え)で悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。