住宅ローンの借り換えとは?仕組み・費用・住み替えとの違いを解説

住宅ローンの借り換えとは?仕組み・費用・住み替えとの違いを解説

住宅ローンの返済負担を軽くする方法として、借り換えを検討する方は少なくありません。ただ、仕組みや費用を知らないまま動くと、かえって損をすることもあります。

この記事では、住み替えのトビラが借り換えの基本の仕組みから、得しやすい条件の目安、かかる費用と手続き、住み替えとの違いまでを、順を追って解説します。とくに、いまマンションを持っていて、近く家を売ったり買い替えたりする予定がある方が気をつけたい点まで押さえられます。

住宅ローンの借り換えとは?仕組みを基本から整理

住宅ローンの借り換えとは、別の金融機関で新たにローンを組み、いまの残債を一括返済して借入先を乗り換える手続きです。

返済額を下げる目的で使われることが多い方法ですが、費用や審査を伴うため、誰にとっても得になるとは限りません。まずは仕組みと、見直せる内容、注意したい前提を順に見ていきます。

いまのローンを別のローンで返済し直す仕組み

借り換えは、いまのローンを新しいローンで返し直し、借入先を変えることです。

具体的な流れはこうです。新しい金融機関から、いまの残債と同じ額を借ります。そのお金でいまのローンを完済し、以後は新しいローンだけを返していきます。金利の低いローンに乗り換えられれば、毎月の返済や利息の総額を減らせます。

ここで押さえておきたいのは、住んでいる家はそのままだという点です。同じ家に住み続けたまま、返済する相手(借入先)だけが入れ替わります。担保になっている家が動くわけではありません。売ったり買い替えたりせずに、返済条件だけを組み直すのが借り換えの基本です。

借り換えで見直せること(返済額・金利タイプ・団信)

借り換えで見直せる主なものは、次の3つです。

  • 金利を下げて、毎月返済と利息の総額を減らす
  • 変動金利と固定金利など、金利タイプを組み替える
  • 新しい団体信用生命保険に入り直し、保障内容を見直す

1つ目は、より低い金利のローンへ乗り換えることで、毎月の返済額や支払う利息の総額を抑える見直しです。借り換えの中心になる目的といえます。

2つ目は、金利タイプの組み替えです。たとえば変動金利から固定金利へ替えれば、将来金利が上がっても返済額が変わらず、家計の見通しを立てやすくなります。逆に固定から変動へ替える場合もあります。

3つ目は、団体信用生命保険(団信)の入り直しです。借り換えでは新しいローンに合わせて団信へ加入し直すため、がんや三大疾病などの保障を今の生活に合わせて選び直せます。ただし加入には健康状態の審査があり、状況によっては入れないこともあります。

住宅ローンの変動と固定はどう選ぶ?住み替えの視点 住宅ローンの変動と固定はどう選ぶ?住み替えの視点

借り換えで得しづらい人・注意したい前提

借り換えは費用と審査を伴うため、条件によっては効果が小さく、かえって損になることもあります。

まず、借り換えには諸費用がかかります。事務手数料や登記費用などを合わせると、数十万円規模になることが多い出費です。この費用を上回るだけ返済が軽くならなければ、借り換えの意味は薄くなります。

次に、改めて審査がある点です。借り換えは新しいローンを組み直す手続きなので、収入や勤続年数、健康状態、完済時の年齢などが審査されます。審査の基準は金融機関によって異なり、状況によっては通らないこともあります。団信への加入可否も、健康状態によって左右されます。こうした取り扱いは金融機関ごとに違うため、あくまで一般的な傾向として理解しておくとよいでしょう。

審査では、返済する人の収入や年齢だけでなく、担保となる家の価値(担保評価)も見られます。この担保評価の考え方は、戸建てとマンションで異なります。戸建ては土地の評価が大きな比重を占めますが、マンションは建物(区分所有部分)の立地や築年数、管理状態といった売れやすさが評価の中心になります。

そのため、土地の境界や接道、再建築ができるかどうかといった、戸建て・土地に特有の論点は、マンションから住み替えを考える方には基本的に関係ありません。担保評価で気にすべき点は戸建てとは違う、と分けて理解しておくと、余計な心配を抱えずにすみます。

さらに、残っている借入額や返済期間が少ない場合は、金利を下げても軽くなる幅が小さく、費用に見合わないことがあります。どのくらいの条件で得しやすいのか、その目安は次に整理します。

借り換えで効果が出やすい条件の目安

借り換えで得しやすいかどうかは、残高・残りの期間・金利差の3つで、おおよその見当がつきます。

ただし、この目安はあくまで入口の当たりです。実際に得かどうかは、諸費用を差し引いた試算で判断します。

「残高・残期間・金利差」の3つの目安

一般に、住宅ローン残高がおおむね1,000万円以上、返済期間の残りが10年以上、金利差が1%以上あると、返済額や利息を減らせる効果が出やすいと、広く目安とされています。

なぜこの3つで効果が変わるのでしょうか。残高が大きく、返済期間が長いほど、金利差によって減らせる利息の額が大きくなります。反対に、残高が少なかったり、残りの期間が短かったりすると、金利を下げても減る利息はわずかです。その少ない効果が数十万円の諸費用に埋もれてしまい、得になりにくくなります。

3つの条件のうち、返済額への影響がとくに大きいのは金利差です。同じ残高でも、金利差が0.2%と1%では、返済に与える影響がまったく違うからです。ただし、これらはあくまで大まかな目安であり、この数字を満たせば必ず得になるわけではありません。

目安を鵜呑みにせず費用込みで試算する

3つの目安を満たしても、費用を回収できて初めて得になります。

借り換えには数十万円規模の諸費用がかかります。借り換えで軽くなるのは毎月の返済額ですが、その軽くなった分が積み重なって諸費用を上回るまでには、一定の期間がかかります。この、費用を取り戻すまでにかかる期間を意識するのが、損得を見極める基本の考え方です。費用を取り戻す前の段階では、まだ得にはなっていません。

ここで一点、先に触れておきたいことがあります。近いうちに家を売ったり住み替えたりする予定がある方は、とくに注意が必要です。費用を取り戻す前に家を手放すと、その費用が持ち出しになりかねないからです。この点は、住み替えとの違いを扱う場面で詳しく整理します。

なお、金利の水準は時期によって動くため、実際に試算するときは、いまの金利と借り換え後の金利を最新の情報で確認したうえで比べることをおすすめします。

マンションは管理費・修繕積立金の負担も合わせて考える

マンションの毎月の支払いは、住宅ローンだけではありません。管理費と修繕積立金という固定費が、ローンとは別にかかります。借り換えで軽くできるのはローンの部分だけで、この2つは借り換えても変わりません。

そのため、毎月の支払いを全体で見ると、借り換えで下がる割合は、住宅ローンだけの戸建てより小さく感じられることがあります。返済が少し軽くなっても、管理費・修繕積立金を合わせた支払い全体の中では目立ちにくい、という見え方です。

とくに気をつけたいのが、修繕積立金は将来的に上がることがある点です。大規模修繕が近づいている、積立金の値上げが予定されている、といった場合は、借り換えで返済を少し軽くしても、固定費の増加で相殺されることも考えられます。こうした事情があるなら、借り換えで住み続ける前提をいったん置いて、住み替えと比べ直す価値があります。

借り換えにかかる費用と手続きの流れ

借り換えには諸費用がかかり、申し込みから完了まで、数週間から1ヶ月ほどの手続きを踏みます。

ここでは、費用の内訳と手続きの段取りを順に整理します。

借り換えでかかる主な費用の内訳

借り換えでかかる主な費用は、次のとおりです。

費用の種類内容
事務手数料新しい金融機関に払う手数料
保証料保証会社を使う場合に必要
団信保険料保障内容により有料の場合あり
印紙税ローン契約書に必要
登記費用抵当権の抹消と設定にかかる登録免許税
司法書士報酬登記手続きを依頼する報酬

これらを合計すると、数十万円規模になることが多くなります。ただし、金額は金融機関や借入額、返済年数によって幅があるため、一律には決まりません。とくに事務手数料や保証料の有無・金額は金融機関で違いが大きく、保証料が不要なローンもあります。保証料の払い方も、借入時に一括で払う方式(外枠)と、金利に上乗せする方式(内枠)があり、金融機関によって扱いが分かれます。

このうち、登記にかかる登録免許税は、公的に定められています。借り換えでは、いまのローンの抵当権を抹消し、新しいローンの抵当権を設定するため、この2つの登記が必要です。抵当権の抹消にかかる登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。土地と建物があれば2個分となり、2,000円かかります。新しく抵当権を設定するときの登録免許税は、原則として借入額(債権金額)の0.4%です。

出典: 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表

なお、住宅を買うときの抵当権設定には0.1%への軽減がありますが、これは住宅の取得資金の借入れが対象です。借り換えのための抵当権設定には使えない点に注意してください。これらに加えて、登記を司法書士に依頼する場合は、その報酬も別途かかります。

ちなみに、この「土地と建物で2個」という数え方は、戸建てを念頭に置いた説明です。マンションは、多くの場合、土地の権利(敷地権)が建物と一体で登記されているため、抵当権抹消の登記費用の数え方が戸建てとは異なることがあります。正確な費用は物件の登記の状況によって変わるので、司法書士や借り換え先の金融機関に確認すると確実です。

申し込みから完了までの手続きの流れ

手続きは、事前審査、本審査、契約、旧ローンの完済と登記の順で進みます。

大まかな流れは、次のようになります。

  • 金融機関を選び、事前審査(仮審査)を受ける
  • 必要書類を提出し、本審査を受ける
  • 審査を通過したら、新しいローンを契約する
  • 旧ローンを一括返済し、抵当権を新しいローンに付け替える

まず、借り換え先の金融機関を選び、事前審査に申し込みます。ここで大まかな借入可否や条件を確認します。事前審査を通ると本審査に進み、収入資料や本人確認書類、いまのローンの残高がわかる書類などを提出します。

本審査を通過すると、新しいローンの契約を結びます。その後、新しいローンで借りたお金でいまのローンを一括返済し、古い抵当権を抹消して新しい抵当権を設定します。全体では、申し込みから完了まで数週間から1ヶ月ほどが目安です。必要な書類は金融機関によって異なるため、申し込み先で早めに確認しておくと手続きがスムーズです。

借り換えと住み替えはどう違う?混同しやすいポイントを整理

借り換えは同じ家に住み続けて借入先を変えること、住み替えは家を替えることで、この2つを混同すると判断を誤ります。

とくに名前の似た「住み替えローン」との違いと、住み替えを予定している方が借り換えで気をつける点は、分けて理解しておく必要があります。ここを整理します。

借り換えと住み替えローンの違い

借り換えと住み替えローンは、目的も仕組みも別のものです。

借り換えは、いまの家に住み続けたまま、借入先を金利の低いローンへ乗り換えて返済を軽くするものです。一方、住み替えローンは、いまの家を売って新しい家に買い替えるとき、売却しても返しきれなかった残債を、新居の購入資金に上乗せして借りるものです。両者は次のように整理できます。

比べる点借り換え住み替えローン
目的返済を軽くする買い替え時の残債を処理する
家はどうなるか住み続ける売って新しい家へ替わる
借りる対象いまの残債と同額新居の購入資金+残った残債

大きな違いは、家が動くかどうかです。借り換えでは家は動かず、返済する相手だけが替わります。住み替えローンでは家そのものが替わり、売却で残った借金を新しい家のローンに引き継ぎます。名前が似ているため混同されやすいのですが、片方は家がそのまま、もう片方は家が替わる、まったく別の場面の話です。

住み替え予定があるなら借り換えは損益分岐に注意

数年以内に住み替えや売却を考えているなら、借り換えは費用を回収できず、損になりやすいといえます。

借り換えの諸費用は数十万円規模で、これは軽くなった毎月の返済額が積み重なって、少しずつ取り戻していくものです。取り戻すには、ふつう数年単位の時間がかかります。ところが、その途中で家を売ってしまうと、まだ回収できていない費用がまるごと持ち出しになります。売却してローンを完済すれば、その後の返済はもう発生しないため、下がった返済額で費用を取り戻す機会そのものが消えてしまうのです。

たとえば、借り換えで諸費用に30万円かかり、毎月の返済が5,000円下がったとします。この費用を取り戻すには、単純計算で5年ほどかかります。もし借り換えの2年後に住み替えで家を売れば、取り戻せたのは一部だけで、残りは戻ってきません。この場合、借り換えをしなかったほうが手元にお金が残っていた、ということになりかねません。

だからこそ、住み替えを考えているなら、借り換えを急ぐ前に、住み替えの計画を先に固めたほうがよい場合があります。近く売る見込みがあるなら、借り換えで数十万円をかける判断は慎重にしたいところです。もちろん、住み替えの時期がはっきりせず当面は住み続ける見込みなら、借り換えで返済を軽くする意味は十分あります。自分がどちらに近いかを見極めることが、損を避ける分かれ目になります。

借り換え・住み替えローン・住み続ける、の考え方

借り換え、住み替えローン、現状維持のどれを選ぶかは、いまの住まいを今後どうしたいかで決まります。

考え方の軸は、手段そのものではなく、住まいの方針です。次のように整理できます。

  • 今の家に住み続けたい、返済を軽くしたい → 借り換え
  • 家を替えたいが、売却で残債が残りそう → 住み替えローン
  • まだ決めきれない、当面は動かない → 住み続けて情報収集

大切なのは、借り換えか住み替えローンかを先に選ぶのではなく、いまの家に住み続けるのか、それとも替えるのかという方針を先に決めることです。方針が決まれば、それに合った手段は自然と絞られます。住み替えローンや、売り先行・買い先行といった住み替えの段取りは、それぞれに検討すべき点が多いため、方針が固まってから個別に確認していくとよいでしょう。

ここで、マンションならではの判断材料があります。マンションは戸建てと違い、特定の土地に縛られていません。売って住み替える場合も、次の住まいを立地や広さから幅広く選びやすく、売却の際も間取りや相場が比べやすい傾向があります。

この選択肢の広さは、「住み続けて借り換える」ことだけが唯一の現実的な道ではない、という意味を持ちます。借り換えで今の家に住み続けるか、売って住み替えるかを、費用の損得だけでなく、これからどこでどう暮らしたいかも含めて比べられます。まず住まいの方針を決め、そのうえで借り換えを位置づけると、判断のぶれが小さくなります。

借り換えを検討するタイミング

借り換えは、金利が動く局面や固定期間の終了時など、見直しの節目に検討するとよい方法です。

一般的な検討の節目と、住み替えを予定している方ならではのタイミングの考え方を、順に見ていきます。

借り換えを考えやすい主な場面

借り換えを考えやすい代表的な場面は、次のとおりです。

  • 固定金利の期間が終わり、金利が上がる前
  • 変動金利が上昇していく局面
  • より低い金利や手厚い団信のローンが出てきたとき

固定金利期間が終わると、その後の金利が上がることがあります。上がりきる前に見直しを考えるのは、一つのタイミングです。また、変動金利で借りている場合、金利が上がっていく局面では、固定への借り換えで返済額を安定させる選択も出てきます。近年は変動金利が上昇する動きも見られますが、金利の水準は時期によって変わるため、検討する際はそのときの最新の金利を確認することが欠かせません。

このほか、より条件のよいローンが登場したときも、見直しを考えるきっかけになります。ただし、いずれの場面でも、借り換えの費用を上回る効果があるかどうかを試算したうえで判断することが基本です。

住み替え計画とあわせてタイミングを決める

住み替えを考えているなら、借り換えより先に、住み替えの時期を見極めます。

近いうちに家を売る予定があるなら、借り換えの費用は取り戻しにくくなります。そこで、まずは住み替えの計画を固めるのが先です。いつ動くのか、売り先行で進めるのか買い先行で進めるのか、といった段取りをはっきりさせます。そのうえで、当面は住み替えないと決まった段階で、あらためて借り換えを検討します。

順序でいえば、先に住み替えの時期を決め、動かないと固まってから借り換えを考える、という流れです。この順番を逆にすると、借り換えの費用をかけた直後に住み替えることになりかねません。動く順番を整理しておくことが、余計な出費を防ぐことにつながります。

まとめ:住宅ローンの借り換えを考えるなら、住み替えのトビラ

住宅ローンの借り換えは、いまのローンを新しいローンで返し直し、借入先を替えて返済を軽くする方法です。残高・残りの期間・金利差の3つが大きいほど効果が出やすい目安ですが、数十万円の諸費用を軽くなった返済額で取り戻せて初めて、得になります。マンションの場合は、ローンとは別に管理費・修繕積立金がかかるため、借り換えで軽くできるのはあくまでローン部分だけだという点も押さえておきたいところです。

とくに気をつけたいのが、借り換えと住み替えは別のものだという点です。借り換えは家に住み続けて返済を軽くする手続きで、家を売って買い替える住み替えとは、そもそも場面が違います。

近く住み替えや売却を考えているなら、あなたがまず住み替えの計画を固め、当面動かないと決まってから借り換えを検討できるよう、順序を整理しておくと安心です。個別の資金計画や税金の扱いに迷うときは、ファイナンシャルプランナーや税理士など専門家に相談すると、自分に合った判断がしやすくなります。

住み替えを取り巻く状況は変わり続けます。住み替えのトビラは、そのときの最新の情報を正確に、わかりやすくお届けし続けます。