中古マンション住み替えの諸費用|売却と購入で手元にいくら

中古マンション住み替えの諸費用|売却と購入で手元にいくら

いま住んでいる分譲マンションを売り、次も中古マンションへ移る。このとき見落としやすいのは、売る側の費用と買う側の費用が同じ時期に重なって出ていくことです。 中古マンション購入の諸費用は「物件価格の6〜10%が目安」とよく紹介されますが、住み替えではこれに売却の費用が上乗せされます。片側だけを見ていると、手元の現金が足りずに慌てることになりかねません。 この記事では、売却と購入の諸費用を1つの資金計画としてとらえ、手元にいくら用意すればよいのかを、全体像から自分のケースでの増減、費目と時期、つまずきやすい点の順で整理します。

マンションから中古マンションへの住み替えでかかる諸費用の全体像

マンションから中古マンションへの住み替えでは、売る側の諸費用と買う側の諸費用が同じ時期に重なって出るため、買う側だけの「物件価格の◯%」では足りず、両方の合計と手元に要る現金で考える必要があります。

売却にかかる諸費用は概ね売却価格の4%前後、購入にかかる諸費用は概ね購入価格の6〜10%が目安とされ、この二つがほぼ同じ時期に走ります。まずは、何が売る側・買う側それぞれで発生するのかを下の早見表で押さえておきましょう。

売る側(いま住むマンション)買う側(次の中古マンション)
仲介手数料仲介手数料
抵当権抹消の登記費用登記費用(所有権移転・抵当権設定)
一括返済(繰上返済)の手数料住宅ローンの事務手数料
印紙税不動産取得税
譲渡益が出れば譲渡所得税印紙税
※修繕積立基金は中古では通常なし

金額の目安は、売る側が概ね売却価格の4%前後、買う側が概ね購入価格の6〜10%です(いずれも物件・金融機関・時期により変わる目安)。同じ費目でも売る側と買う側の両方にかかるものがある点が、住み替えならではの負担になります。

いま住むマンションを「売る側」の諸費用の合計目安

売る側の諸費用は、概ね売却価格の4%前後が目安です。

この目安が上下する一番の要因は、いま住むマンションに住宅ローンが残っているかどうかです。残債があると、ローンを完済して抵当権を外すための登記と、残っている元金を一括で返す際の手当てが加わります。逆にローンを完済済みなら、この部分の費用はかかりません。

もう一つの分かれ目が、売って利益(譲渡益)が出るかどうかです。買ったときより高く売れて利益が出ると税がかかる一方、値下がりして利益が出なければ、売る側の税負担は生じない場合が多くなります。長く住んだマイホームは後で触れる控除も使いやすく、税がゼロに収まるケースは少なくありません。ここでは規模感として4%前後をおさえ、費目ごとの金額はあとで確認します。

次の中古マンションを「買う側」の諸費用の合計目安

買う側の諸費用は概ね購入価格の6〜10%が目安で、売る側より率が高くなりがちです。

率が上がる主な理由は、仲介手数料です。中古マンションは売主と買主の間に仲介会社が入るため、宅地建物取引業法にもとづく上限額まで仲介手数料がかかります。売買価格が400万円を超える部分では、上限は「売買価格×3%+6万円+消費税」で計算します。新築の分譲は売主から直接買う形が多く仲介手数料がかからないことがあり、その分、中古のほうが諸費用の率は上がりやすくなります。

出典: 国土交通省 不動産流通(宅地建物取引業者が受けることができる報酬の額)

一方で、中古には軽くなる部分もあります。新築マンションの購入時に求められることの多い修繕積立基金(購入時にまとめて払う一時金)は、中古では通常かかりません。すでにある修繕積立金を毎月引き継ぐ形になるため、購入時の一時金という形では出ていかないのです。仲介手数料で増える分と、修繕積立基金がない分を合わせて、買う側の総額をつかんでおきましょう。

両方を合わせて手元にいくら現金を用意すればよいか

用意しておきたいのは「両側の諸費用+頭金+当面の予備費」で、諸費用の多くは物件代金とは別に現金で先に出ていきます。

売却で受け取る現金は、次の購入の頭金や諸費用に回せます。ただし諸費用は売買の代金決済とは切り離して、契約や決済のたびに現金で支払う場面が多くなります。売却代金が入る前に買う側の費用を求められることもあり、「売れたお金でぜんぶまかなえる」とは限りません。

現金の当たりを付けるなら、「購入価格の6〜10%+売却価格の約4%」をひとつの目安に置いておくと安心です。たとえば3,000万円で売って3,000万円で買うなら、諸費用だけで概ね300万〜420万円ほどの現金を見込んでおく計算になります(あくまで目安で、ローンの組み方や税の有無で増減します)。

この現金が思うように用意できないときは、購入価格帯を一段下げて諸費用そのものを圧縮する、という選び方もあります。無理に予算いっぱいの物件へ手を伸ばすより、諸費用と予備費まで含めて収まる価格帯を選ぶほうが、住み替え後の家計は落ち着きます。手元資金から逆算して購入価格を決める、という順番も現実的な選択肢です。

自分のケースで中古マンション住み替えの諸費用がいくらになるかの判断軸

諸費用の総額は、売買価格の大きさ、ローンの組み方や残債、譲渡益が出るかどうかの3つで大きく動くため、自分がどれに当てはまるかで見積もります。

この章では総額を動かす要因だけを扱い、費目ごとの金額と支払う時期は次の章で確認します。自分のケースがどの要因で膨らむのかを見当づけておくと、あとの見積もりがぐっと楽になります。

売る価格・買う価格の大きさで動く費用

仲介手数料・登記費用・不動産取得税は価格に連動するため、売買価格が大きいほど総額も比例して増えます。

これらは物件の価格や評価額に一定の率を掛けて決まる費用で、価格が上がればそのまま金額も上がります。住み替えで見落としやすいのは、この価格連動の費用が売る側と買う側の両方で二重にかかる点です。たとえば仲介手数料は、いま住むマンションを売るときと、次の中古マンションを買うときの、両方で発生します。

だからこそ、売る価格・買う価格のどちらも大きい住み替えほど、諸費用の総額は膨らみます。それぞれの費目の税率や具体的な金額はあとの内訳で確認するとして、ここでは「価格が大きいほど、しかも売り買いの両方で増える」という増え方の仕組みをつかんでおけば十分です。

住宅ローンの組み方・残債で動く費用

ローンをいくら・どう組むかで、住宅ローンの事務手数料や抵当権設定の登記費用、そして売る側の一括返済の手数料が動きます。

買う側で新たにローンを組むと、金融機関に払う事務手数料がかかります。この手数料には、借入額に一定率を掛ける定率型(借入額の2.2%前後が目安)と、金額が決まっている定額型(3万〜5万円前後が目安)があり、どちらを選ぶかで金額が変わります。借入額が大きいほど、定率型では手数料も大きくなります。

売る側では、いまのローン残債が多いほど、一括返済にまつわる手当てが必要になります。残債を完済して抵当権を外さないと物件を引き渡せないため、返済の手数料や抵当権抹消の登記が発生します。残債ごとの具体的な手数料額はあとの内訳で確認しますが、ここでは「残債が多いほど、売る側の負担も増える」という向きを押さえておきましょう。

譲渡益が出るかどうか(3000万円特別控除の要否)

売却で譲渡益が出るかどうかで、譲渡所得税がかかるか、それとも3,000万円の特別控除で非課税に収まるかが分かれます。

マイホームを売って得た利益(譲渡益)には、本来は譲渡所得税がかかります。ただし自分が住んでいたマイホームの売却では、譲渡益から最高3,000万円を差し引ける「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」があります。長く住んだマンションで利益が3,000万円を超えることは多くないため、この控除の範囲で税がゼロに収まる住み替えは少なくありません。

ただし、この控除にはいくつかの要件があります。親子や夫婦など特別の関係にある人へ売った場合は使えません。また、前年・前々年に同じ特例やマイホームの買換え特例などを受けていないことも求められます。すでに住まなくなった家の場合は、住まなくなった日から3年目の年末までに売ることも条件です。

出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例

自分の売却で譲渡益が出そうか、控除の要件を満たすかは、購入時期や売却の相手によって変わります。利益が大きくなりそうなケースや、要件を満たすか迷うケースでは、早めに税理士へ相談しておくと見積もりの精度が上がります。

中古マンション住み替えでかかる諸費用の内訳と支払う時期

諸費用は費目ごとに支払う時期がバラけ、売る側と買う側の支払いが契約から決済にかけて重なるため、時期ごとの資金の山をつかんでおくことが大切です。

ここからは費目ごとの金額と支払う時期を見ていきます。総額を動かす要因は前の章で整理したので、この章では「何に・いくら・いつ」を具体的な数字で確認します。

「売る側」(いま住むマンション)でかかる諸費用の内訳

売る側は仲介手数料・抵当権抹消の登記費用・一括返済の手数料・印紙税が中心で、譲渡益が出れば譲渡所得税が加わります。

金額の目安は次のとおりです。

  • 仲介手数料:売買価格に応じた上限額(買う側と同じ料率)
  • 抵当権抹消の登記費用:不動産1個あたり1,000円(マンションは土地・建物で通常2,000円)+司法書士報酬1〜2万円前後
  • 一括返済(繰上返済)の手数料:無料〜3万円台
  • 印紙税:契約金額の帯に応じた額

このうち登記費用は法律で額が決まっています。ローンを完済して抵当権を外す抹消登記は不動産1個あたり1,000円で、マンションは敷地(土地)と建物の2個ぶんとなり、通常は2,000円です。手続きを司法書士に頼めば、これに報酬1〜2万円前後が加わります。

出典: 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表

印紙税は、売買契約書に記載された契約金額の帯で税額が決まり、軽減措置が設けられています。たとえば契約金額が1,000万円超5,000万円以下なら、軽減後の税額は1万円です(令和9年3月31日まで)。

出典: 国税庁 No.7108 不動産の譲渡等に関する契約書の印紙税

仲介手数料は買う側と同じ料率で、売買価格が大きいほど上限額も上がります。一括返済の手数料は、金融機関やローンの種類によって無料のこともあれば、3万円台かかることもあります。譲渡益が出た場合の譲渡所得税は、前の章で見た3,000万円の特別控除で収まるかどうかがポイントになります。

「買う側」(次の中古マンション)でかかる諸費用の内訳

買う側は仲介手数料・登記費用(所有権移転と抵当権設定)・住宅ローンの事務手数料・不動産取得税・印紙税が中心です。

買う側で金額が読みにくいのが登記費用です。登記の種類ごとに税率が決まっていて、自分が住む住宅では税率が下がる軽減措置があります。

登記の種類本則税率軽減後の税率
所有権移転(建物)2.0%0.3%
所有権移転(土地・敷地権)2.0%1.5%
抵当権設定0.4%0.1%

建物の所有権移転は本則2.0%ですが、自分が住む中古マンションで床面積50平方メートル以上・取得後1年以内などの要件を満たせば、住宅用家屋の軽減で0.3%まで下がります(令和9年3月31日まで)。ローンを借りて設定する抵当権も、同じ軽減で0.1%です。土地(敷地権)の移転は、令和11年(2029年)3月31日まで1.5%が使えます(令和8年度税制改正で3年延長されました)。中古の場合は建築年数や耐震性の要件もあるため、軽減を受けられるかは購入前に確かめておきましょう。税額は、固定資産税評価額や借入額に上の税率を掛けて計算します。

出典: 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表

買った後に届くのが不動産取得税です。住宅の家屋と土地は、令和9年3月31日まで特例で税率3%(本則は4%)、宅地は課税標準が価格の2分の1になります。中古住宅では、築年数や新耐震基準の要件を満たせば課税標準から一定額が控除され、税額が下がる、あるいはかからない場合もあります。税率と特例は全国共通ですが、中古の控除額や要件は都道府県ごとに扱いが異なるため、購入する物件の都道府県のページで確認してください。

出典: 東京都主税局 不動産取得税

住宅ローンの事務手数料は、前の章で触れたとおり定率型か定額型かで金額が変わります。印紙税は、買う側では売買契約書に加えて、ローンを借りる金銭消費貸借契約書にもかかります。なお、新築で必要になる修繕積立基金は、中古の購入では通常かかりません。

諸費用はいつ・どの順で出ていくか(二重に出る時期の重なり)

諸費用は「購入の契約時 → 売却・購入の決済時 → 取得後」の順で出ていき、売り買いの時期が近いほど決済の前後に資金が集中します。

まず、どの時期に何が出ていくのかを整理すると、次のようになります。

時期売る側買う側
購入の契約時手付金・印紙税
売却・購入の決済時仲介手数料・抵当権抹消・一括返済仲介手数料・登記費用・ローン事務手数料
取得後(数ヶ月後)譲渡益があれば翌年の申告で納税不動産取得税の納付書

最初に出ていくのは、次の中古マンションの購入契約を結ぶときの手付金と印紙税です。手付金は売買代金の一部を先に払うもので、あとで代金に充てられますが、契約の時点ではまとまった現金が必要です。

続いて資金が集中するのが決済のタイミングです。売却と購入の決済が近いと、いま住むマンションの抵当権抹消や一括返済と、次の物件の登記費用やローン事務手数料が、ほぼ同じ時期に重なります。売る側の仲介手数料と買う側の仲介手数料も、この前後に支払います。ここが住み替えでもっとも現金が要る山場です。

そして忘れた頃に来るのが不動産取得税です。物件を取得してから数ヶ月後に納付書が届くため、住み替えが一段落したあとで請求が来る形になります。売って利益が出た場合の譲渡所得税も、売った翌年の確定申告で納めます。決済で現金を使い切らず、あとから来る税のぶんを残しておくことが、住み替えの資金繰りでは大切です。

中古マンション住み替えの諸費用でつまずきやすい点

住み替えでつまずきやすいのは諸費用そのものより、現金がいつ要るか・売り買いの順番・戻ってくるお金の時間差です。

ここでは、住み替え中の人が実際に引っかかりやすい4つの点を取り上げます。どれも金額そのものより、お金の「タイミング」に関わるものです。

諸費用の多くは現金で用意する(ローンに乗せにくい)

諸費用の多くは、物件価格を借りる住宅ローンとは別に、現金で先に払う必要があります。

諸費用を借り入れでまかなう「諸費用ローン」もありますが、住宅ローンより金利が高めで、審査も別に受けることになりがちです。頼りすぎると毎月の返済が重くなるため、諸費用は現金でまかなうつもりで構えておくほうが安全です。

前の章で見た「購入価格の6〜10%+売却価格の約4%」を、現金で用意する目安として持っておきましょう。売却代金が入るのは決済のときですが、それより前に買う側の費用を求められる場面もあります。手元の預貯金でどこまでまかなえるかを早い段階で見ておくと、慌てずにすみます。

売り先行か買い先行かで手元資金の要り方が変わる

いまの家を売ってから買う「売り先行」か、買ってから売る「買い先行」かで、必要な手元資金の重さが変わります。

売り先行では、先に売却代金を受け取れるため、それを次の購入の頭金や諸費用に充てやすくなります。手元資金の負担は軽い一方、新居が決まる前に今の家を引き渡すと、一時的な仮住まいが必要になることもあります。

買い先行では、先に次の物件を買うため、売却代金が入る前に購入資金を用意しなければなりません。いまの家のローンが残っていると、一時的に二つのローンを抱えたり、つなぎの資金を借りたりする場面が出てきます。手元資金に余裕がない場合は、売却を条件にできる契約の使い方など、二重の負担を抑える工夫を検討しておくと安心です。

税の控除・還付は「出た後に戻る」時間差がある

住宅ローン控除や3,000万円の特別控除は、あとから戻る・減る仕組みのため、支払いの時点では手元の現金が要ります。

住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%が所得税などから戻る仕組みですが、戻るのは払ったあと、確定申告や年末調整を経てからです。3,000万円の特別控除も、売った年の翌年に申告して初めて税負担が抑えられます。控除があるからと手元資金を薄くしておくと、支払いの山に対応できなくなります。

もう一つ気をつけたいのが、3,000万円の特別控除と住宅ローン控除は、原則として同じ時期に併用できない点です。売った家で3,000万円控除を使うと、新しく買った家の住宅ローン控除が使えなくなることがあります。どちらを選ぶかで手元に戻る額が変わるため、両方を使えると思い込まず、購入年の制度で要件を確かめておきましょう。損得の判断が難しいときは、税理士に相談すると見通しが立てやすくなります。

中古マンションならではの確認点(取得税の軽減・修繕積立金の引き継ぎ)

中古では、不動産取得税や登記費用の軽減の要件を満たすか、そして購入後に引き継ぐ管理費・修繕積立金を、購入前に確認しておくことが大切です。

登記費用や不動産取得税の軽減には、床面積・築年数・耐震性などの要件があります。これらを満たさないと軽減が受けられず、税額が本則のまま高くなります。中古マンションは築年数によって要件を満たすかどうかが分かれるため、購入を決める前に、その物件で軽減が使えるかを確認しておきましょう。

もう一つ、いまのマンションと同じく、次の中古マンションでも管理費・修繕積立金は毎月かかり続けます。これらは住み替えで無くなるお金ではなく、新しい物件のものを引き継ぐ形になります。とくに修繕積立金は、値上げが予定されていたり、大規模修繕の一時金を求められたりすることもあります。購入前に管理規約や長期修繕計画に目を通し、毎月の負担と将来の出費を見ておくと安心です。

まとめ:中古マンション住み替えの諸費用は「両側の合計」と「現金の時期」で考える

マンションから中古マンションへの住み替えでは、いま住む家を売る費用と、次の家を買う費用が同じ時期に重なって出ていきます。買う側だけの「物件価格の6〜10%」で見るのではなく、売却の約4%を足した両側の合計と、そのうち現金で先に出ていく分をつかむことが出発点です(相場の割合はいずれも目安です)。

総額は、売買価格の大きさ、ローンの組み方や残債、譲渡益が出るかどうかで動きます。登記費用や不動産取得税には居住用の軽減があり、譲渡益は3,000万円の特別控除で非課税に収まることも少なくありません。一方で諸費用の多くは現金で先に払い、控除や還付はあとから戻る時間差があります。

「購入の6〜10%+売却の約4%」を現金の目安に置き、決済に集中する資金の山と、忘れた頃に届く不動産取得税まで見込んでおく。住み替えのトビラは、こうした変わりやすいお金の情報を、売る側と買う側の両方の目線で整理してお届けしていきます。