今のマンションを売って中古マンションへ移るときは、売る側の費用と買う側の費用が同じ時期にまとめて出ます。
買う側の費用が物件価格の何割かという目安だけでは足りず、両側の実額のうち現金で先に払う分だけを数えます。
決済の日に現金がいくら要るのかを、費用が動く理由まで含めて説明します。
マンションから中古マンションへの住み替え(買い替え)でかかる諸費用の全体像
マンションから中古マンションへの住み替えでは、売る側の諸費用と買う側の諸費用が同じ時期に重なって出るため、買う側だけの「物件価格の◯%」では足りず、両方の合計と手元に要る現金で考える必要があります。
はじめに、この記事でいちばん大事な断り書きです。売る側と買う側の諸費用は、数えている費目が違います。単純に率を足し算すると、実態と合いません。まずは、何が売る側・買う側それぞれで発生するのかを下の早見表で押さえておきましょう。
| 売る側(いま住むマンション) | 買う側(次の中古マンション) |
|---|---|
| 仲介手数料 | 仲介手数料 |
| 抵当権抹消の登記費用 | 登記費用(所有権移転・抵当権設定) |
| 一括返済(繰上返済)の手数料 | 住宅ローンの事務手数料 |
| 印紙税 | 不動産取得税 |
| 譲渡益が出れば譲渡所得税 | 印紙税 |
| — | ※修繕積立基金は中古では通常なし |
売る側で額が確定する費目は、媒介報酬・印紙税・抵当権抹消の登録免許税と司法書士報酬です。買う側にはこれに加えて、所有権移転と抵当権設定の登録免許税、不動産取得税、住宅ローンの事務手数料が乗ります。買う側の率が高いのは、費目そのものが多いからです。同じ費目でも売る側と買う側の両方にかかるものがある点が、住み替えならではの負担になります。
いま住むマンションを「売る側」の諸費用の合計目安
売る側については、額が法令・実費で確定する費目だけを積むと、売却価格ごとに次のようになります。
| 売却価格 | 諸費用の実額 | 対売却価格比率 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 42.05万円 | 4.21% |
| 2,000万円 | 75.55万円 | 3.78% |
| 3,000万円 | 108.55万円 | 3.62% |
| 4,000万円 | 141.55万円 | 3.54% |
| 5,000万円 | 174.55万円 | 3.49% |
内訳は、媒介報酬の上限(区分計算・消費税等相当額を含む)+印紙税(軽減後)+抵当権抹消の登録免許税(不動産2個=2,000円)+抵当権抹消の司法書士報酬(17,470円)です。価格が上がるほど比率が下がります。媒介報酬に実質+6.6万円の定額部分があり、印紙税が階段状の定額であるためです。「一律4%前後」ではありません。
なお、売却諸費用の対売却価格比率そのものを集計した公的統計・業界団体統計は存在しません。上の比率は法定・実費の費目だけを積んだ計算です。引越費用・ハウスクリーニング・譲渡所得税等・住宅ローン一括返済手数料は含んでいません。
この目安が上下する一番の要因は、いま住むマンションに住宅ローンが残っているかどうかです。残債があると、ローンを完済して抵当権を外すための登記と、残っている元金を一括で返す際の手当てが加わります。逆にローンを完済済みなら、この部分の費用はかかりません。
もう一つの分かれ目が、売って利益(譲渡益)が出るかどうかです。買ったときより高く売れて利益が出ると税がかかる一方、値下がりして利益が出なければ、売る側の税負担は生じません。長く住んだマイホームには後で触れる控除もあります。ここでは上の表の規模感をおさえ、費目ごとの金額はあとで確認します。
次の中古マンションを「買う側」の諸費用の合計目安
買う側の諸費用は、売る側とは数え方が変わります。売買価格から額が確定する費目と、固定資産税評価額から決まる費目の2つに分かれるためです。
まず、売買価格から額が確定するのは次の4つです。媒介報酬の上限、印紙税、所有権移転登記の司法書士報酬、抵当権設定登記の司法書士報酬。これだけを積み上げると次のようになります。
| 売買価格 | 4費目の合計 | 売買価格に占める割合 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 50.04万円 | 5.00% |
| 2,000万円 | 83.54万円 | 4.18% |
| 3,000万円 | 116.54万円 | 3.88% |
| 4,000万円 | 149.54万円 | 3.74% |
| 5,000万円 | 182.54万円 | 3.65% |
割合は価格が上がるほど下がります。1,000万円で5.00%、5,000万円で3.65%と、1.35ポイント動きます。4つのうち価格に比例するのは媒介報酬の3.3%分だけで、印紙税は階段状の定額、司法書士報酬は定額だからです。「諸費用は物件価格の◯%」という1つの数字で言えないのは、この構造によります。
なお司法書士報酬の2つの金額(所有権移転56,678円・抵当権設定42,699円)は、日本司法書士会連合会のアンケートの全国平均で、固定資産評価額の合計1,000万円・債権額1,000万円という設例に対する額です。売買価格に比例するものではありません。報酬の基準は平成15年に撤廃されているため、実際の額は依頼する司法書士によって変わります。
4費目のうち最も大きいのが媒介報酬(仲介手数料)です。中古マンションは売主と買主の間に仲介会社が入るため、宅地建物取引業法にもとづく上限額までかかります。告示は代金を3つに区切って上限を定めており、200万円以下の部分に5.5%、200万円超400万円以下の部分に4.4%、400万円を超える部分に3.3%を掛けて合計します(いずれも消費税等相当額を含む割合)。代金が400万円以上であれば、この合計は「売買価格×3.3%+6.6万円」という速算式と一致します。代金が400万円未満のときは速算式のほうが過大になるため使えません。
| 代金 | 媒介報酬の上限(税込) |
|---|---|
| 1,000万円 | 39.6万円 |
| 2,000万円 | 72.6万円 |
| 3,000万円 | 105.6万円 |
| 4,000万円 | 138.6万円 |
| 5,000万円 | 171.6万円 |
告示が定めるのは上限額であって定価ではありません。ただし実務では上限いっぱいで請求されるのが通例です。新築の分譲は売主から直接買う形が多く仲介手数料がかからないことがあり、その分、中古のほうが諸費用の率は上がりやすくなります。
次に、固定資産税評価額から決まる費目です。これらは売買価格からは確定しません。
| 費目 | 計算のしかた | 軽減の期限 |
|---|---|---|
| 登録免許税(土地・所有権移転) | 土地の評価額 × 1.5%(本則2.0%) | 令和11年3月31日まで |
| 登録免許税(建物・所有権移転) | 建物の評価額 × 0.3%(本則2.0%) | 令和9年3月31日まで |
| 登録免許税(抵当権設定) | 借入額 × 0.1%(本則0.4%) | 令和9年3月31日まで |
| 不動産取得税(建物) | (建物の評価額 − 控除額)× 3% | 税率の特例は令和9年3月31日まで |
| 不動産取得税(土地) | 土地の評価額 × 1/2 × 3% − 住宅用地の減額 | 同上 |
自分の物件の固定資産税評価額は、次の3つのどれかで確かめられます。①売主に固定資産税の課税明細書を見せてもらう(毎年4〜6月に市区町村から届く納税通知書に同封されています)、②市区町村の窓口で固定資産評価証明書を取る、③仲介する不動産会社に聞く(登記費用の見積りに必要なため、会社側が把握しています)。
固定資産税評価額が売買価格の何割になるかを集計・公表している統計は、確認できていません。「評価額はだいたい売買価格の◯割」といった目安を当てると、額がずれます。よく見かける「地価公示価格のおおむね7割」という目安は、宅地の評価についてのもので、地価公示価格に対する目安です。自分が買う物件の売買価格に対する比率ではありません。建物(マンションの専有部分)はさらに事情が違い、同じ建物を建て直すのにいくらかかるかという考え方(再建築価格)で評価するため、取引価格とは対応していません。
評価額は市区町村が個別に決め、3年ごとに評価替えが行われます。登記費用や不動産取得税の額を知りたいときは、推定せずに、上に挙げた3つの方法で実際の評価額を確かめてください。
このほか、住宅ローンの事務手数料・保証料、火災保険料、引越費用、リフォーム費用は、金融機関・保険会社・物件ごとに額が違うため、上の積み上げには入っていません。
出典: 国土交通省告示第1552号 第二(最終改正 令和6年6月21日国土交通省告示第949号・令和6年7月1日施行)/国土交通省 不動産流通(宅地建物取引業者が受けることができる報酬の額)
一方で、中古には軽くなる部分もあります。新築マンションの購入時に求められることの多い修繕積立基金(購入時にまとめて払う一時金)は、中古では通常かかりません。すでにある修繕積立金を毎月引き継ぐ形になるため、購入時の一時金という形では出ていかないのです。仲介手数料で増える分と、修繕積立基金がない分を合わせて、買う側の総額をつかんでおきましょう。
両方を合わせて手元にいくら現金を用意すればよいか
用意しておきたいのは「両側の諸費用+頭金+当面の予備費」で、諸費用の多くは物件代金とは別に現金で先に出ていきます。
売却で受け取る現金は、次の購入の頭金や諸費用に回せます。ただし諸費用は売買の代金決済とは切り離して、契約や決済のたびに現金で支払う場面が多くなります。売却代金が入る前に買う側の費用を求められることもあり、「売れたお金でぜんぶまかなえる」とは限りません。
現金の当たりを付けるなら、売る側の価格帯別の実額と、買う側の4費目の実額を、それぞれの表で自分の価格帯に当てて足してください。率どうしの足し算はしません。
たとえば3,000万円で売って3,000万円で買う場合、売る側の確定費目は108.55万円です。買う側はこれに登録免許税・不動産取得税・ローンの事務手数料が加わるため、費目ごとに自分の物件で計算してください。売る側と買う側で数えている費目が違うので、「率を足して◯%」とはしません。
現金の準備という観点では、売る側の108.55万円は決済のときにまとまって出ることと、買う側の手付金は購入契約のときに先に出ることの2点を押さえておけば、時期の山は外しません。
この現金が思うように用意できないときは、購入価格帯を一段下げて諸費用そのものを圧縮する、という選び方もあります。無理に予算いっぱいの物件へ手を伸ばすより、諸費用と予備費まで含めて収まる価格帯を選ぶほうが、住み替え後の家計は落ち着きます。手元資金から逆算して購入価格を決める、という順番も現実的な選択肢です。
自分のケースで中古マンション住み替えの諸費用がいくらになるかの判断軸
諸費用の総額は、売買価格の大きさ、ローンの組み方や残債、譲渡益が出るかどうかの3つで大きく動くため、自分がどれに当てはまるかで見積もります。
この章では総額を動かす要因だけを扱い、費目ごとの金額と支払う時期は次の章で確認します。自分のケースがどの要因で膨らむのかを見当づけておくと、あとの見積もりがぐっと楽になります。
売る価格・買う価格の大きさで動く費用
仲介手数料・登記費用・不動産取得税は価格に連動するため、売買価格が大きいほど総額も比例して増えます。
これらは物件の価格や評価額に一定の率を掛けて決まる費用で、価格が上がればそのまま金額も上がります。住み替えで見落としやすいのは、この価格連動の費用が売る側と買う側の両方で二重にかかる点です。たとえば仲介手数料は、いま住むマンションを売るときと、次の中古マンションを買うときの、両方で発生します。
だからこそ、売る価格・買う価格のどちらも大きい住み替えほど、諸費用の総額は膨らみます。それぞれの費目の税率や具体的な金額はあとの内訳で確認するとして、ここでは「価格が大きいほど、しかも売り買いの両方で増える」という増え方の仕組みをつかんでおけば十分です。
住宅ローンの組み方・残債で動く費用
ローンをいくら・どう組むかで、住宅ローンの事務手数料や抵当権設定の登記費用、そして売る側の一括返済の手数料が動きます。
買う側で新たにローンを組むと、金融機関に払う事務手数料がかかります。この手数料には、借入額に一定率を掛ける定率型と、金額が決まっている定額型があり、どちらを選ぶかで金額が変わります。率も額も金融機関ごとに違い、水準を集計した統計もないため、借りる金融機関の公表条件で確かめてください。借入額が大きいほど、定率型では手数料も大きくなります。
売る側では、いまのローン残債が多いほど、一括返済にまつわる手当てが必要になります。残債を完済して抵当権を外さないと物件を引き渡せないため、返済の手数料や抵当権抹消の登記が発生します。残債ごとの具体的な手数料額はあとの内訳で確認しますが、ここでは「残債が多いほど、売る側の負担も増える」という向きを押さえておきましょう。
譲渡益が出るかどうか(3000万円特別控除の要否)
売却で譲渡益が出るかどうかで、譲渡所得税がかかるか、それとも3,000万円の特別控除で非課税に収まるかが分かれます。
マイホームを売って得た利益(譲渡益)には、本来は譲渡所得税がかかります。ただし自分が住んでいたマイホームの売却では、譲渡益から最高3,000万円を差し引ける「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」があります。譲渡益が3,000万円を超える売却がどれくらいあるかを示した統計は公表されていません。したがって「多くない」とも「多い」とも言えません。自分の譲渡益は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で計算できるので、まずその額を出し、3,000万円と比べてください。
ただし、この控除にはいくつかの要件があります。親子や夫婦など特別の関係にある人へ売った場合は使えません。また、前年・前々年に同じ特例やマイホームの買換え特例などを受けていないことも求められます。すでに住まなくなった家の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることも条件です。3年ちょうどではなく、その日が属する年の年末までという2段構えです。
出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
自分の売却で譲渡益が出そうか、控除の要件を満たすかは、購入時期や売却の相手によって変わります。利益が大きくなりそうなケースや、要件を満たすか迷うケースでは、早めに税理士へ相談しておくと見積もりの精度が上がります。
中古マンション住み替えでかかる諸費用の内訳と支払う時期
諸費用は費目ごとに支払う時期がバラけ、売る側と買う側の支払いが契約から決済にかけて重なるため、時期ごとの資金の山をつかんでおくことが大切です。
ここからは費目ごとの金額と支払う時期を見ていきます。総額を動かす要因は前の章で整理したので、この章では「何に・いくら・いつ」を具体的な数字で確認します。
「売る側」(いま住むマンション)でかかる諸費用の内訳
売る側は仲介手数料・抵当権抹消の登記費用・一括返済の手数料・印紙税が中心で、譲渡益が出れば譲渡所得税が加わります。
金額の目安は次のとおりです。
- 仲介手数料:売買価格に応じた上限額(買う側と同じ料率)
- 抵当権抹消の登記費用:不動産1個あたり1,000円(登記事項証明書に載る不動産の個数×1,000円)+司法書士報酬(全国平均17,470円)
- 一括返済(繰上返済)の手数料:無料〜3万円台
- 印紙税:契約金額の帯に応じた額
このうち登記費用は法律で額が決まっています。ローンを完済して抵当権を外す抹消登記は不動産1個あたり1,000円です。手続きを司法書士に頼めば、これに報酬が加わります。日本司法書士会連合会のアンケート(令和6年3月実施・有効回答1,090)では、抵当権抹消登記の報酬は全国平均17,470円でした。この報酬は法定ではありません(報酬基準は平成15年に撤廃されています)。アンケートの平均値であることを踏まえて、依頼先に見積もりを取ってください。
なお不動産の個数は、登記記録によって変わります。専有部分1個+敷地1個で2個になることが多いものの、敷地が複数の筆に分かれていれば個数はその分増えます。「マンションなら必ず2個」とは限らないため、登記事項証明書で数えてください。
出典: 登録免許税法 別表第一 一(十五)(e-Gov法令検索)/日本司法書士会連合会 報酬に関するアンケート結果(令和6年3月実施)
印紙税は、売買契約書に記載された契約金額の帯で税額が決まり、軽減措置が設けられています。たとえば契約金額が1,000万円超5,000万円以下なら、軽減後の税額は1万円です(令和9年3月31日まで)。
出典: 国税庁 No.7108 不動産の譲渡等に関する契約書の印紙税
仲介手数料は買う側と同じ料率で、売買価格が大きいほど上限額も上がります。一括返済の手数料は、金融機関やローンの種類によって無料のこともあれば、3万円台かかることもあります。譲渡益が出た場合の譲渡所得税は、前の章で見た3,000万円の特別控除で収まるかどうかがポイントになります。
「買う側」(次の中古マンション)でかかる諸費用の内訳
買う側は仲介手数料・登記費用(所有権移転と抵当権設定)・住宅ローンの事務手数料・不動産取得税・印紙税が中心です。
買う側で金額が読みにくいのが登記費用です。登記の種類ごとに税率が決まっていて、自分が住む住宅では税率が下がる軽減措置があります。
| 登記の種類 | 本則税率 | 軽減後の税率 |
|---|---|---|
| 所有権移転(建物) | 2.0% | 0.3% |
| 所有権移転(土地・敷地権) | 2.0% | 1.5% |
| 抵当権設定 | 0.4% | 0.1% |
建物の所有権移転は本則2.0%ですが、自分が住む中古マンションで床面積50㎡以上・取得後1年以内などの要件を満たせば、住宅用家屋の軽減で0.3%まで下がります。ローンを借りて設定する抵当権も、同じ軽減で0.1%です。この2つの軽減の期限は令和9年3月31日までです。
土地(敷地権)の移転だけ、期限が違います。本則2.0%に対する軽減1.5%の適用期限は令和11年3月31日までで、令和8年度の税制改正で3年延長されました(国土交通省の改正概要では「3年間(令和8年4月1日〜令和11年3月31日)延長する」と期間で明記されています)。同じ登録免許税でも期限が2本立てになっているのは、延長された条文と延長されなかった条文が分かれているためです。建物の0.3%と抵当権の0.1%は令和9年3月31日までなので、購入のタイミングによっては使えなくなる点に注意してください。
なお、国税庁タックスアンサーNo.7191 と e-Gov の措法72条本文は 2026年8月時点で改正前の「令和8年3月31日」表示のままです。中古の場合は建築年数や耐震性の要件もあるため、軽減を受けられるかは購入前に確かめておきましょう。税額は、固定資産税評価額や借入額に上の税率を掛けて計算します。
出典: 財務省 令和8年度 税制改正の解説(登録免許税関係)/国土交通省 令和8年度税制改正概要/国税庁 No.7191 登録免許税の税額表(期限は改正前の表示)
買った後に届くのが不動産取得税です。都道府県が課す税で、ここで最初に押さえたいのは、課税標準が売買価格ではなく固定資産税評価額だという点です。「物件価格の3%」と考えると額が合いません。
税率は本則4%ですが、住宅と土地は令和9年3月31日まで特例で3%です。中古のマンションを買う場合、建物と土地(敷地権)で計算が分かれます。建物は「(建物の評価額 − 控除額)× 3%」、土地は「土地の評価額 × 1/2 × 3%」から住宅用地の減額を引いた額です。土地の課税標準が2分の1になるのは、住宅用地・商業地等に対する特例によるものです。
建物の控除額は、住宅の新築時期によって変わります。最高で1,200万円が控除されますが、区分ごとの額は各都道府県が公表しているため、自分の物件の新築年月に当たる控除額を確かめてください。住宅用地の減額は、150万円か、床面積の2倍(200㎡が上限)に相当する土地の価格か、大きいほうに税率を掛けた額です。
なお、取得した不動産の評価額が一定の額に満たなければ課税されません(免税点)。土地は16万円、既存住宅の売買など建築以外による家屋の取得は1戸につき34万円、建築による家屋の取得は1戸につき66万円です。これは評価額に対する線であり、売買価格ではありません。軽減を受けるための申告の要否や期限は都道府県ごとに定めがあるため、取得後は自分の都道府県のページを確かめてください。
出典: 東京都主税局 不動産取得税
住宅ローンの事務手数料は、前の章で触れたとおり定率型か定額型かで金額が変わります。印紙税は、買う側では売買契約書に加えて、ローンを借りる金銭消費貸借契約書にもかかります。なお、新築で必要になる修繕積立基金は、中古の購入では通常かかりません。
諸費用はいつ・どの順で出ていくか(二重に出る時期の重なり)
諸費用は「購入の契約時 → 売却・購入の決済時 → 取得後」の順で出ていき、売り買いの時期が近いほど決済の前後に資金が集中します。
まず、どの時期に何が出ていくのかを整理すると、次のようになります。
| 時期 | 売る側 | 買う側 |
|---|---|---|
| 購入の契約時 | — | 手付金・印紙税 |
| 売却・購入の決済時 | 仲介手数料・抵当権抹消・一括返済 | 仲介手数料・登記費用・ローン事務手数料 |
| 取得後(数ヶ月後) | 譲渡益があれば翌年の申告で納税 | 不動産取得税の納付書 |
最初に出ていくのは、次の中古マンションの購入契約を結ぶときの手付金と印紙税です。手付金は売買代金の一部を先に払うもので、あとで代金に充てられますが、契約の時点ではまとまった現金が必要です。
手付金の割合について、法律が上限を定めているのは宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約の場合だけです。宅地建物取引業法第39条第1項は「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない」と定めています。中古マンションの多くを占める「個人が売主・不動産会社は媒介」という取引には、この上限は適用されません。
実勢の割合(物件価格の何%か)を集計した公的統計・業界団体統計は見当たりません。業界では5〜10%と言われますが、これは法令由来の数字ではありません。実際の額は売主との交渉で決まりますので、契約前に不動産会社へ確認し、その時期に用意できる現金と突き合わせてください。
続いて資金が集中するのが決済のタイミングです。売却と購入の決済が近いと、いま住むマンションの抵当権抹消や一括返済と、次の物件の登記費用やローン事務手数料が、ほぼ同じ時期に重なります。売る側の仲介手数料と買う側の仲介手数料も、この前後に支払います。ここが住み替えでもっとも現金が要る山場です。
そして忘れた頃に来るのが不動産取得税です。物件を取得してから数ヶ月後に納付書が届くため、住み替えが一段落したあとで請求が来る形になります。売って利益が出た場合の譲渡所得税も、売った翌年の確定申告で納めます。決済で現金を使い切らず、あとから来る税のぶんを残しておくことが、住み替えの資金繰りでは大切です。
中古マンション住み替えの諸費用でつまずきやすい点
住み替えでつまずきやすいのは諸費用そのものより、現金がいつ要るか・売り買いの順番・戻ってくるお金の時間差です。
ここでは、住み替え中の人が実際に引っかかりやすい4つの点を取り上げます。どれも金額そのものより、お金の「タイミング」に関わるものです。
諸費用の多くは現金で用意する(ローンに乗せにくい)
諸費用の多くは、物件価格を借りる住宅ローンとは別に、現金で先に払う必要があります。
諸費用を借り入れでまかなう「諸費用ローン」もありますが、住宅ローンより金利が高めで、審査も別に受けることになりがちです。頼りすぎると毎月の返済が重くなるため、諸費用は現金でまかなうつもりで構えておくほうが安全です。
前の章で見た売る側・買う側それぞれの価格帯別の実額を、自分の売却価格・購入価格に当てて足し、現金で用意する目安として持っておきましょう。売却代金が入るのは決済のときですが、それより前に買う側の費用を求められる場面もあります。手元の預貯金でどこまでまかなえるかを早い段階で見ておくと、慌てずにすみます。
売り先行か買い先行かで手元資金の要り方が変わる
いまの家を売ってから買う「売り先行」か、買ってから売る「買い先行」かで、必要な手元資金の重さが変わります。
売り先行では、先に売却代金を受け取れるため、それを次の購入の頭金や諸費用に充てやすくなります。手元資金の負担は軽い一方、新居が決まる前に今の家を引き渡すと、一時的な仮住まいが必要になることもあります。
買い先行では、先に次の物件を買うため、売却代金が入る前に購入資金を用意しなければなりません。いまの家のローンが残っていると、一時的に二つのローンを抱えたり、つなぎの資金を借りたりする場面が出てきます。手元資金に余裕がない場合は、売却を条件にできる契約の使い方など、二重の負担を抑える工夫を検討しておくと安心です。
税の控除・還付は「出た後に戻る」時間差がある
住宅ローン控除や3,000万円の特別控除は、あとから戻る・減る仕組みのため、支払いの時点では手元の現金が要ります。
住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%が所得税などから戻る仕組みですが、戻るのは払ったあと、確定申告や年末調整を経てからです。3,000万円の特別控除も、売った年の翌年に申告して初めて税負担が抑えられます。控除があるからと手元資金を薄くしておくと、支払いの山に対応できなくなります。
もう一つ気をつけたいのが、3,000万円の特別控除と住宅ローン控除の併用制限です。国税庁の要件の逐語では「居住年およびその前2年、その後3年の計6年間」に譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないこと、とされています。起点は売った年ではなく、新居に入居した年です。入居年を真ん中に置いて、前に2年・後ろに3年の計6年間が対象になります。住み替えでは売却と購入の年が近いため、ほぼ確実にこの範囲に入ります。
出典: 国税庁タックスアンサーNo.1211-1 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
どちらを選ぶかで手元に戻る額が変わるため、両方を使えると思い込まず、購入年の制度で要件を確かめておきましょう。損得の判断が難しいときは、税理士に相談すると見通しが立てやすくなります。
中古マンションならではの確認点(取得税の軽減・修繕積立金の引き継ぎ)
中古では、不動産取得税や登記費用の軽減の要件を満たすか、そして購入後に引き継ぐ管理費・修繕積立金を、購入前に確認しておくことが大切です。
登記費用や不動産取得税の軽減には、床面積・築年数・耐震性などの要件があります。これらを満たさないと軽減が受けられず、税額が本則のまま高くなります。中古マンションは築年数によって要件を満たすかどうかが分かれるため、購入を決める前に、その物件で軽減が使えるかを確認しておきましょう。
もう一つ、いまのマンションと同じく、次の中古マンションでも管理費・修繕積立金は毎月かかり続けます。これらは住み替えで無くなるお金ではなく、新しい物件のものを引き継ぐ形になります。とくに修繕積立金は、値上げが予定されていたり、大規模修繕の一時金を求められたりすることもあります。購入前に管理規約や長期修繕計画に目を通し、毎月の負担と将来の出費を見ておくと安心です。
まとめ:諸費用を先に出る現金で押さえるなら、住み替えのトビラ
中古マンションへ移るときの諸費用は、両側の実額のうち現金で先に払う分から数えます。後から戻ってくる分と混ぜて数えると、決済の日に手元の現金が足りません。
数えるときは、売る側の費用が同じ時期に重なることを忘れずに足します。買う側の目安だけを当てにすると、売る側の分がまるごと抜け落ちます。
見積もりを受け取る前に、決済の日に現金がいくら要るのかを出しておきましょう。住み替えのトビラでは、売る側と買う側の費用が重なる時期も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
住み替えのトビラ 
