親子リレーローンとは?仕組み・違い・リスクを解説

親子リレーローンとは?仕組み・違い・リスクを解説

50代でマンションからの住み替えを考えると、まず当たるのが完済時年齢の壁です。国土交通省の令和7年度の調査では、994機関のうち978機関(98.4%)が完済時年齢を審査項目に挙げています。親であるあなた単独では返済期間を長く取りにくく、借入額も伸びにくいためです。そんなとき、収入のある子と組んで次の住まいの借入を確保する手段の一つが、親子リレーローンです。

ただしこの仕組みは、もともと二世帯住宅や実家の建て替えといった戸建て中心の場面で語られることが多く、名前の似た手段や団信・税金で思わぬ損をしやすいのも特徴です。マンションから住み替える立場では、どこが自分に効いて、どこは戸建ての話なのかを見分けるのが難しくなります。

この記事では、住み替えのトビラが、親子リレーローンの基本から似た手段との違い、メリットと長期のリスク、使うべきか別の手段を選ぶべきかまでを、マンションから住み替える読者の目線で仕分けしながら解説します。

親子リレーローンとは?親子2世代で1本の住宅ローンを返す仕組み

親子リレーローンは、親子が1本の住宅ローンを契約し、はじめは親が、のちに子が返済を引き継ぐ住宅ローンです。

親ひとりでは希望の家に手が届かないとき、子の力を借りて借入額や返済期間を確保する手段として使われます。世の中では二世帯化や実家の建て替えといった文脈で語られがちですが、マンションから住み替える人にも使い道があります。ここではまず基本の形を押さえたうえで、その使い道が自分に当てはまるのかを仕分けしていきます。

親から子へ返済を引き継ぐ「リレー」の基本構造

親子リレーローンは、親から子へバトンを渡すように、1本のローンを世代をまたいで返していく仕組みです。

当初は親が返済の中心となり、親が一定の年齢に達したタイミングで、子が返済の主体へと切り替わります。月々の返済を、親子で時系列に分担していくイメージです。引き継ぎの時期をいつに設定するかは金融機関によって扱いが分かれるため、申込前に確認しておくと安心です。

契約そのものは、最初から親子の両方が当事者になります。多くの場合、親が主債務者、子が連帯債務者という形です。フラット35の親子リレー返済でも、後継者となる子は借入当初から連帯債務者として契約に加わります。返済のバトンはあとから渡りますが、借りた責任そのものは、最初から親子の双方が負っています。

出典: フラット35 親子リレー返済国土交通省住宅局「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」p.19・p.32

マンションの住み替えで親子リレーローンが効く場面

マンションから住み替える人にとって、親子リレーローンが効くのは「完済時年齢の壁」を子と組んで越えたいときです。

住宅ローンの返済期間は、一般に完済時の年齢に上限があります。完済時年齢を審査項目とする978機関が挙げた具体的な年齢は、「80歳未満」が716機関で最も多く、「85歳未満」が65機関、「75歳未満」が42機関、「70歳未満」が5機関、「なし」が2機関、「その他」が158機関でした(複数回答)。「その他」が158機関ある以上、80歳という単一の線で決まっているわけではありませんが、多数派の線が80歳未満であることは確かです。50代で新たにローンを組むと、親を基準にした返済期間はこの線までに収まり、借入額も伸びにくくなります。なお、この調査は金融機関が申告した審査項目の集計であり、実際に融資が実行された案件の完済時年齢の分布ではありません。いま住むマンションを売った代金だけでは次の住まいに足りず、追加で借りたいのに期間や額が確保できない。そんな場面で、収入のある子と組んで借入の余力をつくるのが、住み替えでのおもな使い道です。

ここで見落としがちなのが、同居の要否です。親子リレーローンには同居を前提とする商品が多いのですが、フラット35の親子リレー返済は同居を必須としていません。親と子がそれぞれ別のマンションや賃貸に住んだままでも使えるため、親の住み替え資金を子の返済力で支える、という組み方が可能になります。二世帯で一つ屋根の下に暮らすのではなく、次の住まいの借入を確保するために制度を使う、という発想です。

もっとも、これは借入時の入り口の話にすぎません。子が連帯債務者として長期の返済責任を負う点や、団信・相続にからむ後々のリスクは、マンションでもそのまま残ります。使い道があることと、使うべきかは別問題です。その判断材料は、このあとの章で順に整理します。

出典: フラット35 親子リレー返済

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二世帯・実家の建て替え・同居前提は戸建て中心の使い方

親子リレーローンの説明でよく出てくる二世帯住宅や実家の建て替え、同居前提の話は、基本的に戸建て中心の使い方です。

「1つの家を親子で持ち、そのまま同居して返済を引き継ぐ」という典型例は、土地を持つ実家を建て替える、あるいは二世帯住宅を新築するといった場面を想定しています。民間の金融機関の商品に同居を前提とするものが多いのも、この使い方が念頭にあるためです。今のマンションを売って別のマンションへ移る住み替えとは、前提がかなり違います。

ですから、マンションから住み替える人は、二世帯や同居を前提にした解説をそのまま自分ごととして読む必要はありません。あなたに関係するのは、前の見出しで挙げた「完済時年齢の壁を子と組んで越え、次の住まいの借入を確保する」使い方のほうです。どこが自分に効いて、どこは戸建ての話なのかを分けて読むことが、この仕組みを正しく使う出発点になります。

親子リレーローンとペアローン・リレー返済・収入合算の違い

名前が似ていても、契約の本数・団信に入る人・返済の時期という点で、これらの手段は根本から違います。

似た言葉を取り違えたまま契約すると、団信の保障や諸費用で大きく損をすることがあります。この違いは、戸建てでもマンションでも同じように効いてきます。ここで一度、親子リレーローンと紛らわしい手段を並べて整理しておきます。

親子リレーローンと親子ペアローンの違い

親子リレーローンは「1本を時系列で引き継ぐ」、親子ペアローンは「2本を同じ時期に並行して返す」という違いがあります。

ここで比べる親子ペアローンは、親と子がそれぞれ別々に住宅ローンを組む形です。夫婦で組む通常のペアローンとは別物として読んでください。両者の違いを整理すると次のようになります。

比較の軸親子リレーローン親子ペアローン
契約本数1本2本
団信に入る人親子のどちらか一人親と子それぞれ
返済の時期親から子へ時系列で引き継ぐ親子が同時期に並行して返す
諸費用の本数1本ぶん2本ぶん
債務の形主債務者と連帯債務者各自が自分の債務を負う

損得の分かれ目は、費用と団信のトレードオフにあります。親子ペアローンは契約が2本になるぶん、事務手数料や登記費用などの諸費用も2本ぶんかかります。そのかわり親と子がそれぞれ団信に入れるため、どちらかに万一のことがあっても、その人の残債は保険で消えます。一方の親子リレーローンは費用が1本ぶんで済みますが、団信に入れるのは親子のどちらか一人に限られます。この団信の空白が後々のリスクにつながる点は、あとの章で詳しく扱います。

親子リレーローンと「リレー返済(フラット35)」は同じか

フラット35の「親子リレー返済」は、親子リレーローンの代表的な商品名であり、別の制度ではありません。

「リレーローンとリレー返済は違うのか」と迷う方は少なくありませんが、指している仕組みは同じです。民間の金融機関が「親子リレーローン」などの名前で扱う連帯債務型の住宅ローンと、フラット35の「親子リレー返済」は、呼び名が違うだけで基本の構造は共通しています。

ただし、団信に誰が入れるか、後継者の年齢要件をどう定めるか、同居を求めるかどうかといった細部は、商品ごとに異なります。とくにマンションの住み替えで別居のまま使いたいなら、同居を必須としないフラット35が候補になりやすい一方、民間商品は同居前提のものが多い点に注意が必要です。名前が同じだから条件も同じ、とは考えず、フラット35と民間それぞれの商品概要で個別に確認しておくと安心です。

収入合算(連帯保証・連帯債務)との違い

収入合算は、審査で見る年収を親子や夫婦で合わせる方法の総称で、親子リレーローンはそのなかの一つの形にあたります。

収入合算には、大きく連帯保証型と連帯債務型があります。連帯保証型は、合算する側が保証人の立場になり、主たる債務者が返せなくなったときに返済義務を負う形です。連帯債務型は、合算する二人がそろって債務者となり、はじめから同じ債務を負う形です。この違いは、住宅ローン控除を使えるか、団信に入れるかといった扱いにも関わってきます。

親子リレーローンは、このうち連帯債務型に分類され、さらに返済を親から子へ世代で分ける点に特徴があります。収入合算という大きなくくりのなかで、返済のバトンを世代でつなぐ形が親子リレーローンだと整理すると分かりやすいはずです。

親子リレーローンのメリット

親子リレーローンには、借入額・返済期間・住宅ローン控除の3つの面で、親ひとりでは難しい住宅取得を後押しする利点があります。

マンションから住み替える50代にとっては、とくに返済期間の面が効いてきます。いずれの利点も、使い方を誤ると裏目に出る前提で読んでください。ここではまず、どこがプラスに働くのかを整理します。

親子の収入を合算して借入可能額を増やせる

親子の収入を合わせて審査を受けるため、親が単独で借りるより多くの額を借りられます。

親ひとりの年収では希望額に届かない場合でも、子の収入を合算することで審査上の年収が上がり、借入可能額を伸ばせます。マンションの住み替えでは、いま住むマンションを売った代金に自己資金を足しても、駅近や築浅の希望物件に手が届かないことがあります。そこに子の収入を重ねられれば、探せる物件の幅が広がります。

どのくらい増えるかは、金融機関の審査基準や親子それぞれの年収によって変わります。「年収の何倍まで」といった目安は商品ごとに異なるため、増え幅を一律の数字で見込むのは避け、申込先の審査で具体的に確かめるのが安全です。なお、二世帯住宅のように面積の大きな家の予算づくりに使うという説明も見かけますが、それは戸建て中心の話で、マンションの住み替えでは希望物件に届かせるための合算と考えれば十分です。

子の年齢を基準に返済期間を長く取れる

借入期間を親ではなく子(後継者)の年齢を基準に設定できるため、月々の返済額を抑えやすくなります。これがマンションの住み替えで最も効くメリットです。

前に触れたとおり、50代で組むローンは、親を基準にすると完済時年齢の壁で期間が短くなり、そのぶん毎月の返済が重くなります。親子リレーローンなら、後継者である子の年齢をもとに期間を選べるため、期間を長く取って月々の負担をならすことができます。単独では届かなかった返済期間を、子の年齢で確保する、という発想です。

フラット35の親子リレー返済を例にすると、仕組みが具体的につかめます。フラット35では、後継者は申込本人の子や孫などの直系卑属、またはその配偶者で、申込時の年齢が満70歳未満の方とされています。借入期間は「『80歳』マイナス『後継者の申込時の年齢(1年未満切上げ)』」と35年のうち、短いほうが上限になります。たとえば親が60歳、子がちょうど30歳なら「80引く30で50年」、35年のほうが短いので上限は35年です。子が30歳3か月なら1年未満を切り上げて31歳として扱い、「80引く31で49年」となりますが、この場合も35年が上限です。親を基準にすればごく短い期間になるところを、大きく延ばせるわけです。

期間が決まれば、毎月の返済額の見当も付きます。前提として【フラット35】2026年8月適用の金利 年3.290%(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)を置くと、借入1,000万円あたりの毎月返済額は返済期間35年で40,122円、30年で43,740円、25年で48,943円、20年で56,923円です。期間が短くなるほど毎月の負担が重くなるため、親子リレーローンで期間を延ばす意味はここにあります。金利は毎月変わるため、実際の借入時の金利で確認してください。

ただし、この年齢や期間の数字はフラット35の例です。民間の金融機関では後継者の年齢上限や期間の考え方が異なるため、全商品に共通する数字と受け取らず、利用する商品ごとに確認してください。

出典: フラット35 親子リレー返済

親と子がそれぞれ住宅ローン控除を使える可能性

連帯債務型では、親と子がそれぞれの負担割合に応じて、住宅ローン控除の対象になりうる場合があります。

住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高をもとに所得税などが軽くなる制度です。控除額は年末残高に0.7%を掛けた額で、住宅の区分ごとに借入限度額の上限があります。令和8年〜令和12年入居の場合、区分ごとの借入限度額と控除期間は次のとおりです(新築と既存〔中古〕で扱いが変わります)。

住宅の区分新築等(右記以外)新築等(子育て世帯等)既存(右記以外)既存(子育て世帯等)控除期間
認定長期優良住宅/認定低炭素住宅4,500万円5,000万円3,500万円4,500万円13年
ZEH水準省エネ住宅3,500万円4,500万円3,500万円4,500万円13年
省エネ基準適合住宅2,000万円(令和8・9年入居のみ)3,000万円(同)2,000万円3,000万円13年
その他の住宅(認定住宅等以外)支援対象外上乗せなし2,000万円上乗せなし既存のみ10年

新築の「その他の住宅」は、令和8年〜令和12年入居のすべての年で支援の対象外です(借入限度額も控除期間もありません)。「その他の住宅なら2,000万円×10年」と覚えないでください。新築で2,000万円×10年が出てくるのは「省エネ基準適合住宅」の令和10年以降入居のうち2027年末までに建築確認を受けたもの等で、「その他の住宅」の行ではありません。

連帯債務では、二人が負う借入金額を負担割合に応じて分け、それぞれが自分のぶんについて控除の対象になりうると考えられています。親も子も収入があり、それぞれに納めている税があるなら、世帯全体で控除を活かせる余地が広がります。ただし借入限度額はローン1本に対してかかるため、二人で分けても控除の総額が2倍になるわけではありません。

出典: 国税庁 No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等

ここで注意したいのは、控除を活かすには負担割合と登記の持分をそろえておく必要がある点です。出したお金の割合と登記の持分がずれると、控除や税の面で不利になることがあります。持分の設定を誤ったときに生じる贈与税の問題は、次の章であらためて具体的に扱います。

住み替えで住宅ローン控除は使える?2回目の条件と2026年改正を自己判定 住み替えで住宅ローン控除は使える?2回目の条件と2026年改正を自己判定

親子リレーローンのデメリット・見落としやすいリスク

借入時の利点の裏側には、団信の空白・親の死亡・持分と贈与税・相続・子の将来という、長期にわたるリスクが構造として潜んでいます。

これらは「借りられるかどうか」の審査では見えにくく、契約から10年、20年と経ってから表に出てきます。マンションから住み替える場合は、とくに相続で家を分けにくいという事情が重なります。だからこそ、契約を決める前に確認しておくことが大切です。

団信に入れるのは親子のどちらか一人だけ

親子リレーローンは1本のローンであるため、団信に入れるのは原則として親子のどちらか一人で、加入していない側が亡くなっても残債は消えません。

フラット35の親子リレー返済では、連帯債務者になれるのは後継者1名のみで、機構団信に加入できるのも債務者のうち一人です。しかも、いったん決めた加入者を返済の途中で変更することはできません。加入していない側に万一のことがあっても、その人ぶんの残債は保険で弁済されず、そのまま残ります。誰を加入者にするかは、契約時に慎重に決める必要があります。

民間の金融機関では、団信に入る人の扱いがサイトや商品によって分かれます。「後継者である子のみが加入」とする商品もあれば、条件が異なる商品もあります。誰が団信に入り、どこまでが保障の範囲になるのかは、思い込みで判断せず、申込前に商品概要で必ず確認してください。

出典: フラット35 親子リレー返済

返済途中で親が亡くなったときに子へ残る負担

団信に親が入っていない、あるいは保障が及ばない形だと、親の残債がそのまま子の負担になることがあります。

親子リレーローンは、当初の月々の返済を親が担う前提で設計されることが多い仕組みです。ところが、子へ返済を引き継ぐ前に親が亡くなると、親が加入者でなければ残債は消えず、子が想定していなかった額を一手に抱えることになります。まだ親が返しているはずの期間に、子の家計へ一気に負担が移る、という事態です。マンションの住み替えで別居のまま組んでいた場合でも、この負担は同じように子へ移ります。

この負担に備えるには、団信でカバーしきれない部分を別の形で用意しておく考え方があります。親側に生命保険をかけておく、繰上返済で早めに残高を減らしておくといった方向です。どの備えが向くかは家計や年齢によって変わるため、具体的な商品や金額はファイナンシャルプランナーなどに相談しながら決めると安心です。

持分割合を誤ると贈与税がかかる

出したお金の割合(負担割合)と登記の持分割合がずれると、その差額が贈与とみなされ、贈与税の対象になることがあります。

国税庁の考え方では、資金の負担割合に合わせて登記の持分を決めておけば、贈与税の問題は生じないとされています。たとえば総額3,000万円の家で、一方が2,000万円、もう一方が1,000万円を出したなら、持分は3分の2と3分の1にそろえるのが本来の形です。これを2分の1ずつで登記すると、1,000万円しか出していない側の持分が1,500万円ぶんとなり、差額の500万円が贈与とみなされてしまいます。

出典: 国税庁 No.4411 共働きの夫婦が住宅を買ったとき

親子リレーローンで陥りやすいのが、返済は親子で負担しているのに、登記の名義を子だけにしてしまうケースです。親も資金を負担しているのに持分をゼロにすると、その負担ぶんが子への贈与とみなされかねません。マンションのように価格の大きい物件では、ずれた差額もそのぶん大きくなりやすい点に注意が必要です。実際にいくら贈与税がかかるか、どう登記すればよいかは個々の事情で変わるため、契約前に税理士へ相談しておくことをおすすめします。

マンションは分けにくい財産|相続で兄弟間のトラブルになりやすい

親が亡くなると、親の持分や残債は相続財産となり、他に兄弟姉妹がいる場合は分け方をめぐってもめやすくなります。マンションは分けにくい財産であるぶん、この問題が起きやすい面があります。

マンションは1戸をそのまま複数人で使い分けることが難しく、土地のように分筆して分け合うこともできません。そのため、相続人が複数いると「誰がこの家を引き継ぎ、残った債務を誰が負うのか」をはっきりさせる必要が出てきます。生前に家族で話し合いをせずにいると、家を継ぐ子だけが債務を抱える一方で、他の兄弟姉妹が別の財産を求める、といった対立が起きることがあります。

こうしたもめごとを避けるには、誰が家と残債を引き継ぐのかを、親が元気なうちに家族で合意しておくことが欠かせません。相続が実際に起きたあとの相続登記や遺産分割の進め方については、司法書士に相談すると手続きの見通しが立てやすくなります。

子が自分の住宅ローンを組みにくくなる

子は連帯債務を抱えることになるため、将来自分の家を買うとき、新たな住宅ローンの審査が通りにくくなることがあります。

金融機関は住宅ローンの審査で、その人がすでに負っている借入を確認します。親子リレーローンの連帯債務は子自身の債務として扱われるため、後年、子が転勤や独立で自分の家を持とうとしたときに、借入余力が足りず希望どおりに借りられない、という制約が生じかねません。マンションの住み替えのために別居のまま組んだ場合は、子が自分の住まいを別に構える前提のことも多く、この影響は見落とせません。

審査でどこまで影響するかは、金融機関の運用や子の収入・他の借入状況によって変わります。国土交通省の令和7年度の調査では、994機関のうち956機関(96.2%)が借入時年齢も審査項目に挙げており、返済負担率などとあわせて既存の借入が見られます。連帯債務は審査で考慮されるものと考え、子が近い将来に自宅を持つ可能性があるなら、その点も踏まえて判断してください。

親子リレーローンを選ぶべきか|他の選択肢との比較

親子リレーローンを使うかどうかは、借入額を増やせるかに加えて、団信・相続・子の将来まで見わたして決めるのが賢明です。

親子リレーローンが合う親子もいれば、ペアローンや子単独、親単独に資金援助を組み合わせた方がよい親子もいます。何を実現したいのかという目的から逆算して選ぶことが大切です。ここでは、向く場合と別の手段を考えた方がよい場合に分けて整理します。

親子リレーローンが向いている場合

親が高齢で単独では期間も額も足りず、団信の空白に備えられ、相続の合意も取れる親子に向いています。

マンションから住み替える場合は、具体的に次のような条件がそろう親子です。

  • 親の年齢では完済時年齢の壁で返済期間が短く、親単独では希望のマンションに届かない
  • 同居を必須としないフラット35などを軸に、別居のままでも検討できる
  • 団信に一人しか入れないことを理解し、生命保険や繰上返済で備えを用意できる
  • 子に当面、別の住宅ローンを組む予定がない
  • 家と残債を誰が引き継ぐか、兄弟姉妹も含めて合意が取れる

これらは、いずれも前の章で見たリスクの裏返しです。団信の空白や相続、子の将来のローンといった注意点を家族で確認したうえで、それでも条件が合うなら、親子リレーローンは資金計画の有力な選択肢になります。なお、二世帯で長く同居する見込みがある、という戸建て向けの条件は、マンションの住み替えでは必須ではありません。

別の手段を検討した方がよい場合

子が将来別に家を持つ可能性がある、兄弟間で相続の合意が難しい、団信の空白を許容できないといった場合は、別の手段の方が無難です。

代替となる手段は、それぞれ解決する課題が違います。親子ペアローンは、親と子がそれぞれ団信に入れるため、団信の空白が気がかりな場合に向きます。子単独のローンは、子の将来の住宅ローンや相続のからみをすっきりさせたいときの選択肢です。親単独のローンに親から子への資金援助を組み合わせる形なら、贈与税の非課税枠を活かしながら親の持ち家として整理できる場合があります。

どの手段が最も合うかは、親子の年齢・収入・家族構成によって変わります。それぞれの団信や費用、税金の詳しい条件まで踏まえて選ぶには、ファイナンシャルプランナーに家計全体を見てもらいながら比較すると安心です。

まとめ:親子リレーローンなら、住み替えのトビラ

親子リレーローンは、親子が1本の住宅ローンを世代で引き継ぐ仕組みです。マンションから住み替える50代にとっては、完済時年齢の壁で単独では足りない返済期間や借入額を、収入のある子と組んで確保する手段になります。同居を必須としないフラット35を使えば、親子が別々に暮らしたままでも組める点が、二世帯前提の戸建ての使い方との大きな違いです。

一方で、名前の似たペアローンや収入合算とは団信や費用の扱いが異なり、取り違えると損につながります。団信に入れるのは親子のどちらか一人で、親の死亡・持分と贈与税・相続・子の将来のローンといった長期のリスクが構造として潜んでいます。とくにマンションは分けにくい財産であるため、相続の合意は早めに家族で取っておきたいところです。借入時の利点に加えて、これらのリスクとセットで検討することが欠かせません。

使うべきかどうかは、あなたの家族の状況と目的から逆算して判断していきましょう。住宅ローンや資金計画はファイナンシャルプランナー、税金は税理士、相続や登記は司法書士へと、個別の判断は早めに専門家へ相談することをおすすめします。

住み替えのトビラは、不動産仲介を持たない中立の立場です。二世帯や同居前提の戸建ての話と、マンションから住み替えるあなたに効く使い方を仕分けしながら、『今は売らない』という選択肢も含めて、後悔のない判断をお手伝いします。