老後の生活費や自宅のリフォーム資金に不安があるものの、住み慣れた家は手放したくない。そんなときに候補となるのが、自宅を担保にお金を借りるリバースモーゲージです。一方で「やばい」「罠」といった言葉を見て、不安を感じている方も多いはずです。
ただし、いまマンション(分譲)を持っている方には、その前に確かめておきたいことがあります。リバースモーゲージは担保評価が土地中心の仕組みのため、マンションだと対象外になるか、都市部の高く評価される物件に限られるからです。仕組みやメリットを詳しく調べる前に、そもそも自分のマンションが対象になるのかを知っておくと、検討の空振りを防げます。
この記事では、住み替えのトビラが、リバースモーゲージの仕組みとメリット・リスク、3つの種類、そしてリースバックとの違いに加えて、あなたのマンションで使えるのかどうかまでを、公的な情報をもとにわかりやすく解説します。ご自身に合う選択肢かどうかを見分ける材料にしてください。
リバースモーゲージとは?自宅を担保に老後資金を借りる仕組み
リバースモーゲージは、自宅に住み続けたまま、その自宅を担保にお金を借り、契約者が亡くなったときに自宅の売却などで元金をまとめて返す高齢者向けの仕組みです。
毎月コツコツ返して残高を減らしていく通常の住宅ローンとは、お金の流れがちょうど逆になります。生きているあいだの返済負担が軽い代わりに、最終的には自宅が処分される場合がある点が、通常のローンと大きく違うところです。「リバース」は英語で「逆」を意味し、その名のとおり逆方向に働くローンだとイメージすると分かりやすくなります。ここではまず、全体の仕組みを押さえておきましょう。
リバースモーゲージの基本の仕組みと「逆方向の住宅ローン」の意味
リバースモーゲージは、借りるほど残高が増え、最後に自宅でまとめて返す仕組みです。通常の住宅ローンとは、お金の増減が逆向きになります。
通常の住宅ローンは、借り入れた元金を毎月少しずつ返し、残高が右肩下がりに減っていきます。リバースモーゲージはこの逆で、生きているあいだは元金を返さないため、借りた分だけ残高が積み上がっていきます。「リバース(逆)」「モーゲージ(抵当)」という名前は、この逆向きの流れを表しています。
大切なのは、お金を借りても自宅の名義がすぐに移るわけではない点です。所有権は契約者のまま残るため、これまでどおり自宅で暮らし続けられます。自宅を担保に差し出しても、住まいそのものを明け渡すわけではない、という構造になっています。
毎月の支払いと元金の返済タイミング(亡くなったときに自宅で精算)
生きているあいだの支払いは利息のみが基本で、元金は契約者が亡くなったときにまとめて精算します。
元金の精算方法は、大きく2つです。相続人が現金で一括返済するか、担保である自宅を売却してその代金を返済にあてるか、どちらかになります。毎月の負担が軽く感じられるのは、元金を生きているあいだに返さず、最後にまとめて清算する仕組みだからです。
商品のタイプによっては、生きているあいだは利息の支払いすら求められないものもあります。この場合、利息は元金に組み入れられ、亡くなったときに元金と利息をあわせて精算します。どのタイプに当てはまるかは商品によって異なるため、契約前に支払いの条件を確かめておくことが目安になります。
資金の受け取り方(一括・年金型・限度枠内で都度)
借りたお金の受け取り方には、主に3つの型があります。
- 一括で受け取る
- 年金型で毎月一定額を受け取る
- 設定した限度枠のなかで、必要なときに必要な分だけ受け取る
まとまった資金がすぐ必要なら一括、日々の生活費を補いたいなら年金型、というように、使い道に合わせて選べます。どの受け取り方に対応しているかは商品によって差があるため、自分の目的に合う型が用意されているかを確認しておくと安心です。
リバースモーゲージのメリット(自宅を売らずに資金を作れる)
リバースモーゲージのいちばんの利点は、自宅を手放さずに現金化できることです。
売却のように引っ越す必要がなく、住み慣れた家で暮らし続けられます。毎月の支払いも利息だけで済むため、年金収入でも生活を圧迫しにくくなります。さらに商品の選び方によっては、返しきれなかった残りの借金を相続人に負わせずに済む形もあります。ここでは、この3つの利点を順に見ていきます。
自宅に住み続けたまま資金を確保できる
自宅を売らずに済むため、住む場所や生活の基盤を変えずに資金を作れます。
自宅を売ってお金を作る方法や、売ってから借り直して住み続けるリースバックと比べると、この違いは大きく感じられます。売却では新しい住まいを探し、引っ越しの手配をし、荷物をまとめる負担がかかります。年齢を重ねてからの引っ越しは、体力の面でも気持ちの面でも小さくありません。
その点、リバースモーゲージなら通い慣れた病院やスーパー、長年の近所付き合いをそのまま保てます。老後の暮らしを大きく変えずに資金だけを補える点は、住み替えをためらう方にとって現実的な利点になります。
毎月の返済が利息のみで生活を圧迫しにくい
毎月の支払いが利息だけで済むため、年金収入が中心の家計でも負担を抑えられます。
一般的な借り入れでは、毎月元金と利息の両方を返すのが基本です。年金で暮らす世帯にとって、この毎月の返済は重くのしかかります。リバースモーゲージは元金を最後にまとめて精算する仕組みのため、毎月出ていくお金を利息分に抑えられます。
ただし、実際の負担額は商品のタイプや金利によって変わります。利息が元金に組み入れられるタイプもあり、その場合は毎月の支払いこそ発生しないものの、残高は膨らんでいきます。毎月いくら支払う想定なのかは、あくまで目安として契約前に確かめておきましょう。
ノンリコース型なら相続人に残債が及ばない
ノンリコース型を選べば、自宅を売っても返しきれない借金が残った場合でも、相続人にその返済義務が生じません。
リバースモーゲージには「リコース型」と「ノンリコース型」があります。リコース型は、自宅の売却代金で足りなかった分を相続人が返す必要があります。一方のノンリコース型なら、足りなくても相続人が不足分を負担せずに済みます。
住宅金融支援機構の【リ・バース60】では、このノンリコース型を選ぶことができます。2025年度に申請のあった案件のうち、ノンリコース型は99.8%を占めました(2026年1〜3月では100.0%)。将来の地価下落で自宅が値下がりしても、その負担を子世代に回さずに済む安心感が、多くの人に選ばれている理由だと考えられます。民間の商品にもノンリコース型はありますが、どの型が用意されているかは商品ごとに異なるため、契約前の確認が欠かせません。
リバースモーゲージのデメリット・「やばい」と言われる3つのリスク
「やばい」「罠」と言われる正体は、その多くが3つの構造的なリスクに集約されます。長生きによる資金の枯渇、金利の上昇、担保となる不動産価値の下落です。
これらは制度の欠陥ではなく、仕組み上どうしても避けにくい性質です。条件がそろったときに現実のものとなります。加えて、住み続けられても最終的には自宅を手放すことになり、家を財産として残せないという限界もあります。恐怖を煽るためではなく、見極めるための注意点として、ひとつずつ具体的に確かめていきましょう。
長生きリスク:存命中に融資限度額を使い切る
想定より長生きすると、生きているあいだに借入枠の上限に達し、それ以上は借りられなくなります。
このリスクが現実になりやすいのは、年金型で毎月の生活費を借り入れにあてている人です。毎月一定額を受け取り続ければ、当然ながら借入残高は着実に増えていきます。長寿の家系の方や、最初から限度額に近い金額を借りている方も、上限に届くのが早まります。
上限に達したあとは、追加でお金を借りることができません。90歳、95歳と長生きしたときに、その先の生活資金をどう手当てするかを、契約の段階から考えておく必要があります。長生きは本来喜ばしいことですが、この仕組みでは資金計画を狂わせる要因にもなり得ます。
金利上昇リスク:利息が増え借入残高が膨らむ
変動金利型を選んでいる場合、金利が上がると毎月の利息が増え、返済総額が見通しにくくなります。
リバースモーゲージの多くは変動金利型です。将来金利が上昇すれば、毎月支払う利息もそれに応じて増えていきます。利息を元金に組み入れるタイプでは、金利上昇によって借入残高が想定より早いペースで膨らみます。契約時に「これくらいで収まるだろう」と見込んでいた総額が、大きく上振れする可能性があるわけです。
このリスクは、変動金利型を選んだ人や、利息を元金に組み入れるタイプを使う人、そして長期間にわたって利用する人ほど受けやすくなります。契約前には金利のタイプを確かめ、金利が上がった局面で返済額がどう変わるのかを、あらかじめ想定しておくことが役立ちます。
不動産価値下落リスク:担保評価が下がると借入枠が縮む
地価や住宅の価値が下がると、担保としての評価額も下がり、借りられる枠が縮んだり、契約の途中で見直されたりする場合があります。
リバースモーゲージでは、担保となる自宅の評価額を定期的に見直す商品があります。見直しのたびに評価が下がっていれば、当初想定していた金額まで借りられなくなることもあります。場合によっては、すでに借りた分の返済を途中で求められるケースも考えられます。
このリスクを受けやすいのは、郊外や地価が下落傾向にある地域、そして築年数の古い物件を持つ方です。都市部で資産価値が保たれやすい物件と、郊外の築古物件とでは、評価の下がり方に差が出やすいのが実情です。自宅がどちらに近いかは、利用を検討する前におおよそ見当をつけておくとよいでしょう。
自宅を最終的に手放すことになる(相続で家を残せない)
住み続けることはできても、最終的には自宅を売って精算するため、家そのものを相続財産として家族に残すことは原則できません。
先ほどのノンリコース型は、返しきれなかった借金というマイナスを子世代に残さない仕組みでした。ここで問題になるのは逆の面、つまり家というプラスの財産を引き継げないという点です。契約者が亡くなれば自宅は売却されるため、「実家を子どもに残したい」という希望とは相性がよくありません。
こうした事情から、多くの商品では、契約にあたって相続人(推定相続人)の理解や同意を求めています。家族に相談しないまま契約を進めると、後々のトラブルにつながりかねません。なお、自宅を所有し続けるあいだは固定資産税の負担も続きます。家を残したい気持ちが強い方には、正直に言って向かない選択肢です。
マンションでリバースモーゲージは使えるのか(担保評価の下限を超えるかが分かれ目)
ここまで仕組みとリスクを見てきましたが、いまマンションを持っている方には、その前に確かめておきたいことがあります。リバースモーゲージは、そもそもマンションだと対象外になるか、都市部の高く評価される物件に限られるからです。
理由は担保評価の考え方にあります。リバースモーゲージは、担保となる不動産の価値を土地中心に評価する仕組みで、土地の価値がまとまって残る戸建てが有利に働きます。マンションは土地を区分所有者で分け合い、一戸あたりの土地の持分が小さいため、担保としての評価が出にくくなりがちです。
そのため、多くのマンション所有者は、まず自分のマンションが各商品の担保評価の下限を超えるかどうかを確認する必要があります。下限を超えなければ、そもそも土俵に乗らないと考えておくと、検討の空振りを防げます。種類ごとの具体的な可否は、次の章で数字とあわせて確かめます。
担保評価が「土地中心」だからマンションは条件が厳しい
リバースモーゲージは土地の価値を当てにする仕組みのため、土地の持分が小さいマンションは、戸建てに比べて条件が厳しくなりやすいです。
戸建てなら、建物が古くなっても土地の価値は残り、担保として評価しやすくなります。一方マンションは、敷地全体を住戸の数で割った持分しか土地を持たないため、同じ価格帯でも担保評価は控えめに出やすくなります。建物部分の価値も、年数とともに下がっていきます。
「土地の評価が出やすいので有利」といった説明を見かけますが、これは戸建てや土地を持つ人に向けた話です。マンションから住み替えを考える人には、そのまま当てはまらない点に注意してください。
対象外なら選択肢は「リースバック」か「通常売却→住み替え」
もし担保評価の下限を超えず対象外になった場合、自宅を使って資金を作る手立ては、事実上リースバックか、通常どおり売って住み替える方法に絞られます。
リバースモーゲージとリースバックは、どちらも「住み続けながら資金を作る」制度です。逆に言えば、引っ越してもよいのであれば、通常どおり売却して住み替えるほうが、手取りが多く手続きも素直になりやすいです。この2制度は、引っ越したくない、あるいは引っ越せない特別な事情がある場合の選択肢だと考えると整理しやすくなります。
マンションは、戸建てと違って土地に縛られず、住み替え先の選択肢も広いという特徴があります。いまの部屋にどうしても住み続けたい強い理由がなければ、通常売却も含めて比べておくとよいでしょう。リースバックとの詳しい違いは、後の章で整理します。
リバースモーゲージの3つの種類とマンションで使えるか(民間・リ・バース60・社協)
ひとくちにリバースモーゲージと言っても、大きく3つの種類があります。民間金融機関のもの、住宅金融支援機構の【リ・バース60】、そして社会福祉協議会の不動産担保型生活資金です。
この3つは、対象となる人・お金の使い道・条件が大きく異なり、マンションで使えるかどうかも変わります。生活費に使いたいのか、住宅資金に使いたいのか。自分の目的と、年齢や所得、そして自宅がマンションかどうかを照らし合わせて、どれが当てはまるかを見分ける必要があります。まずは全体像を表で比べてみましょう。
| 種類 | 運営・提供 | 対象年齢の目安 | 主な使途 | 融資限度の目安 | マンション適性 |
|---|---|---|---|---|---|
| 民間金融機関 | 銀行など | 概ね60歳以上 | 生活費など比較的自由 | 商品により異なる | 都市部の高評価物件に限られやすい |
| リ・バース60 | 住宅金融支援機構+提携金融機関 | 満60歳以上(満50歳以上も可) | 住宅資金に限定 | 担保評価額の50%又は60%・1億2,000万円以下 | 対象になり得るが借入枠は出にくい |
| 不動産担保型生活資金 | 社会福祉協議会 | 原則65歳以上 | 生活資金 | 土地の評価額の70%程度・月30万円以内 | 土地の評価が中心のため枠が出にくい(要保護世帯向けは集合住宅も対象・評価額の50%) |
表のとおり、同じ「リバースモーゲージ」でも中身はかなり違います。数値がどの種類のものかを取り違えると、自分に合わない商品を選びかねません。ここからは種類ごとに、条件とマンションでの使えるかどうかを確かめていきます。
民間金融機関のリバースモーゲージ(資金使途が自由な生活資金型)
銀行など民間金融機関が扱うリバースモーゲージは、生活費や旅行、医療費など、お金の使い道が比較的自由なタイプが多くなっています。
対象年齢は概ね60歳以上が目安ですが、細かい条件は銀行によって異なります。使い道を住宅資金に限定しない商品が多く、老後の生活全般を支える資金として使いやすいのが特徴です。一方で、契約にあたっては相続人(推定相続人)の同意を求められることが多い点に注意が必要です。
マンションも対象になり得ますが、実際には都市部の高く評価される物件に限られるのが実情です。各行が公表する条件では、担保評価額に下限を設けている例が目立ちます。たとえば東京スター銀行はマンションの担保評価額3,000万円以上、みずほ銀行は対象エリアを首都圏などに限ったうえで総額5,000万円以上、三井住友銀行は自宅の評価額6,000万円以上を目安としています。地方や築年数の古い、評価の出にくいマンションは、対象外になりやすいと考えておきましょう。
出典: 各行公式サイトの商品概要(東京スター銀行/みずほ銀行/三井住友銀行)
リ・バース60(住宅金融支援機構・住宅資金に使う住宅ローン型)
【リ・バース60】は、住宅金融支援機構が保険を付け、提携する金融機関が提供する、使い道を住宅資金に限った住宅ローン型のリバースモーゲージです。
利用できる年齢は満60歳以上が中心で、満50歳以上60歳未満の方も利用できます。融資限度額は、担保評価額(住宅及び土地)の50%又は60%で、かつ1億2,000万円以下・所要資金以内です。範囲ではなく2択である点に注意してください。担保とする住宅が長期優良住宅で年齢が満60歳以上のときは55%又は65%、満50歳以上満60歳未満のときは30%になります。
使い道は、住宅の建設や購入、リフォーム、住宅ローンの借り換え、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金などに限られます。生活資金には使えません。前に触れたノンリコース型を選べる点も特徴で、返しきれない借金を相続人に残さずに済みます。
ただし住宅金融支援機構は、利用できる年齢、資金の使いみち、融資限度額、ノンリコース型・リコース型の取扱い、融資金利、金利タイプ、取扱可能エリア、商品名称その他の商品内容は金融機関ごとに異なる、と案内しています。ここに書いた条件は制度の基本形で、実際の条件は取扱金融機関で確かめてください。
マンションも対象になり得ますが、借入額は上記のとおり担保評価額の50%又は60%(長期優良住宅なら55%又は65%)が上限です。土地の持分で評価されるマンションは、この担保評価そのものが小さく出やすいため、借りられる枠も控えめになりがちです。住宅資金として十分な額を借りられるかは、担保評価しだいになります。
どれくらい使われているかも押さえておきましょう。2025年度は申請1,293戸・実績1,225戸で、実績金額は195.9億円でした(2024年度は申請1,484戸・実績1,298戸)。2025年度に申請のあった案件の平均は、年齢70.1歳・年収404万円で、所要額3,066万円に対して融資額1,561万円、毎月の支払額は4.6万円です。「住宅又は住宅ローンを必要とする理由」で住替えは10.4%でした。2025年度末までの累計申請は10,696戸、取扱金融機関は89機関です。
出典: 住宅金融支援機構「【リ・バース60】の利用実績等について(2026年1月〜3月及び2025年度分)」(令和8年5月29日)
不動産担保型生活資金(社会福祉協議会の公的な低所得高齢者向け)
不動産担保型生活資金は、社会福祉協議会が扱う、低所得の高齢者世帯を対象とした公的な生活資金の貸し付けです。
対象となるのは、低所得の高齢者世帯です。貸付限度額は「土地の評価額の70%程度」かつ「月30万円以内」で、貸付期間は借受人の死亡時まで、または貸付元利金が貸付限度額に達するまでです。貸付利子は年3%または長期プライムレートのいずれか低い利率、据置期間は契約終了後3月以内で、保証人が必要です(推定相続人の中から選任します)。
この制度で押さえておきたいのは、担保が土地の評価額で見られる点です。土地を持分でしか持たないマンションは、この枠組みでは評価が出にくくなります。
なお、生活保護を必要とする状態にある高齢者世帯向けには「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」という別の枠があり、こちらは貸付限度額が「土地及び建物の評価額の70%程度(集合住宅の場合は50%)」かつ「生活扶助額の1.5倍以内」で、集合住宅も対象に含まれます。保証人は不要、据置期間もありません。地域によって運用に差があるため、利用を考える場合はお住まいの社会福祉協議会の窓口で条件を確かめてください。
リバースモーゲージとリースバックの違い(自分に合うのはどっち)
リバースモーゲージは自宅を担保にした「融資」であるのに対し、リースバックは自宅を売って賃貸で住み続ける「売却」です。所有権の扱いが根本から異なり、マンションで使えるかどうかにも差が出ます。
どちらも「自宅に住み続けながらお金を作る」という点では共通するため、混同されがちです。しかし目的が違えば、選ぶべきものも変わります。まずは要点を表で対比してみましょう。
| 比較項目 | リバースモーゲージ | リースバック |
|---|---|---|
| 仕組み | 自宅を担保に借りる | 自宅を売って住み続ける |
| 所有権 | 自分のまま | 買主(運営会社)に移る |
| 資金の性質 | 借入(利息が付く。リ・バース60は使途が住宅関連に限定) | 売却代金(返済不要・使途自由) |
| 毎月の支払い | 利息 | 家賃 |
| 年齢条件 | おおむね60歳以上 | 原則なし(物件審査が中心) |
| 家を残せるか | 原則残せない | 残せない |
| マンション適性 | 対象外か都市部の高評価に限られ厳しい | 分譲マンションでも使いやすい |
「融資」と「売却」の違い:所有権はどうなるか
リバースモーゲージは所有権を残したままお金を借りるのに対し、リースバックは所有権を買主に移し、家賃を払って住み続けます。
リバースモーゲージでは自宅の名義は自分のまま変わりません。借りられる金額には担保評価に応じた上限があり、その枠のなかで少しずつ、あるいは一括で受け取ります。一方のリースバックは、自宅そのものを売る取引です。売却代金がまとまって手元に入る代わりに、名義は買主(運営会社)に移り、その後は家賃を払う借家人という立場になります。
つまり、この2つは「借りる」か「売る」かという根本のところで別の仕組みです。同じ「住み続けられる」という言葉に引きずられて頭のなかで混ぜてしまうと、選択を誤りかねません。まずはこの違いをはっきり分けて捉えておくことが出発点になります。
費用・税金の違い(固定資産税・家賃の有無)
リバースモーゲージは所有を続けるため固定資産税の負担が残り、リースバックは所有権を手放すため固定資産税は不要になる代わりに、毎月の家賃が発生します。
手元から出ていくお金の性質が、ちょうど逆になると考えると分かりやすくなります。リバースモーゲージでは、毎月の利息に加えて、所有者として固定資産税を払い続けます。リースバックでは固定資産税こそなくなりますが、その分、毎月の家賃という新たな支出が生まれます。
とくにマンションでは、管理費と修繕積立金の扱いに注意が必要です。リースバックで所有権を手放すと、固定資産税に加えて、管理費や修繕積立金の名義上の負担もなくなります。ただしこれらは家賃に織り込まれるのが実態で、管理費や修繕積立金が高いマンションほど、家賃が上乗せされて割高になりやすいです。負担が消えたように見えても、住み続けるコストとして家賃に含まれている点は見落とさないようにしましょう。
目的とマンションで使えるかで選ぶ(住宅資金・生活費・家を残したいか)
住宅資金や当面の住み替え費用ならリバースモーゲージ、まとまった生活資金や早めの現金化を求めるならリースバック、と目的で分かれます。ただしマンションの場合は、その前に「どちらが使えるか」で絞られることが多くなります。
前の章で見たとおり、リバースモーゲージはマンションだと対象外か、都市部の高く評価される物件に限られます。一方リースバックは、分譲マンションでも扱う事業者が多く、比較的土俵に乗りやすい制度です。自宅を担保に、あるいは売って資金を作りたいマンション所有者は、まず自分のマンションがリバースモーゲージの担保評価の下限を超えるかを確認し、超えなければ選択肢を事実上リースバックか通常売却に絞る、という順で考えると迷いにくくなります。
ただし、どちらを選んでも自宅を家族に残すことは基本的にできません。実家を子どもに引き継ぎたいという希望が強いなら、両方とも慎重に考える必要があります。判断に迷うときは、家計全体を見渡したうえで、FP(ファイナンシャルプランナー)など専門家に相談すると、自分の状況に合った選び方が見えてきます。
リバースモーゲージが向いている人・注意すべき人
リバースモーゲージは、目的と家族の状況が合えば役立つ一方、合わない人には負担の大きい選択肢になります。マンションの場合は、これに加えて担保評価のハードルが最初の関門になります。
ここまで見てきた仕組み・リスク・種類、そしてマンションで使えるかどうかを踏まえて、自分が向いている側と慎重に考えるべき側の、どちらに当てはまるかを見分けていきましょう。
向いている人(自宅に住み続けたい・住宅資金や当面の資金を補いたい)
自宅に住み続けたい人、住宅の建て替えやリフォーム・住み替えの資金を補いたい人、相続人に家を残す予定がない人には、選択肢になりやすい仕組みです。
長年暮らした家を離れたくないという思いが強く、老後もそこで暮らし続けたい方には、住まいを変えずに資金を作れる点が合っています。まとまった住宅資金が必要で、それを毎月の返済で家計を圧迫せずに用意したい方にも向いています。子どもがすでに持ち家を構えているなど、実家を相続財産として残す必要がない家庭であれば、家を手放す前提とも折り合いをつけやすくなります。
ただしマンションの場合は、これらの条件に当てはまっても、担保評価のハードルで使えないことが少なくありません。向いている条件がそろっていても、まずは自分のマンションが対象になるかの確認が先になります。使い道が住宅資金で、担保評価の条件を満たせるなら、公的な保険が付いた【リ・バース60】が有力な候補になります。
慎重に検討すべき人・マンションで使えない人(長生き・生活費全般・家を残したい・担保評価が届かない)
生活費全般を長期にわたって頼りたい人、想定以上に長生きする可能性がある人、自宅を家族に残したい人は、慎重な検討が求められます。そしてマンションから住み替えを考える人は、そもそも担保評価の条件を満たせず、使えないことが多い点も押さえておく必要があります。
日々の生活費のほとんどをこの仕組みでまかなおうとすると、長生きするほど借入枠を早く使い切ってしまいます。長寿の家系の方は、上限に達したあとの生活資金まで見通しておく必要があります。また、実家を子どもに残したいと考えている方にとっては、最終的に自宅を手放す前提そのものが希望と食い違います。マンションでは、仮に使えたとしても土地の持分が小さく、借入枠が小さくなりがちな点にも留意が必要です。
こうした方が検討を進めるなら、いくつか押さえておきたい点があります。
- まず自分のマンションが担保評価の下限を超えるか確認する
- 相続人となる家族と、事前に合意しておく
- 変動金利型かどうかなど、金利のタイプを確かめる
- リースバックや、売却して住み替える方法など、他の選択肢と比べる
これらを一人で判断するのは簡単ではありません。FP(ファイナンシャルプランナー)や宅地建物取引士といった専門家に相談しながら、自分と家族にとって無理のない方法を選んでいきましょう。
まとめ:リバースモーゲージの仕組みなら、住み替えのトビラ
リバースモーゲージは、自宅に住み続けたまま担保にお金を借り、亡くなったときに自宅で精算する高齢者向けの仕組みです。毎月の負担が利息だけで済む一方、最後には自宅を手放すことになります。
「やばい」と言われる背景には、長生き・金利上昇・担保価値の下落という3つのリスクがあります。これらに加えて、家を財産として残せない限界も、条件がそろえば現実のものになります。ご自身がそのリスクを受けやすい側かどうかを、冷静に見極めることが大切です。
そして、いまマンションを持っている方にとって最も大きいのは、そもそも自分のマンションで使えるのかという壁です。担保評価が土地中心の仕組みのため、マンションは対象外になるか、都市部の高く評価される物件に限られます。種類は民間型・リ・バース60・社協の3つがあり、社協は基本的に戸建て向けで、民間とリ・バース60も担保評価の下限が関門になります。まずは自分のマンションが担保評価の下限を超えるかを確認し、超えないなら、リースバックや通常売却からの住み替えと比べて選ぶのが現実的です。
住み替えを取り巻く状況は変わり続けます。住み替えのトビラは、そのときの最新の情報を正確に、わかりやすくお届けし続けます。
住み替えのトビラ 
