マンションのAI査定の比較|5つの軸と型ごとの特徴・段階別の選び方

マンションのAI査定の比較|5つの軸と型ごとの特徴・段階別の選び方

マンションのAI査定を調べると、サービスが山ほど出てきて、どれを使えばいいのか決めきれなくなります。1つ試したら額が出たけれど、別のサービスでは違う額が出た、という経験をした方も多いはずです。

先に答えを書きます。AI査定に「一番いいサービス」はありません。連絡先の要否・元データ・入力の細かさ・見られる情報・対象の広さという5つの軸で比べ、住み替え(買い替え)の段階に合う型を2〜3個組み合わせるのが答えです。

この記事では、マンションのAI査定を比較する軸、型ごとの主なサービスの特徴、住み替えの段階別に合うサービスの選び方、複数のサービスを組み合わせて使う方法を、マンションからの住み替えを考えている方に向けて順に説明します。

マンションのAI査定を比較する軸

ランキングを探す前に、この5つの軸を持っておきます。軸さえ持っていれば、サービスの数が多くても、自分に要るものだけを選び取れます。

見るところ
連絡先の登録が要るか不要/メール/氏名と物件/一括査定へ
元データが成約価格か売り出し価格か公式ページの説明文
面積や階数や向きまで入力できるか棟の平均で止まるか、自分の部屋に寄せられるか
賃料や推移や事例まで見られるか売るか貸すか・売る時期・棟の癖を読めるか
対象エリアと棟数の広さ全国型か首都圏限定か、自分の棟が載るか

次の順に、1つずつ見ていきます。

  • 連絡先の登録が要るか
  • 元データが成約価格か売り出し価格か
  • 面積や階数や向きまで入力できるか
  • 賃料や推移や事例まで見られるか
  • 対象エリアと棟数の広さ

連絡先の登録が要るか

一番大きな分かれ目は、結果を見るまでに何を出す必要があるかです。段階は4つあります。

  1. 何も出さずに見られる
  2. メールアドレスだけで結果や更新通知を受け取る
  3. 氏名と所有物件を不動産会社に登録する
  4. 結果画面の先で名前と電話番号を入れると、一括査定の申し込みになる

同じ「無料・匿名」と書いてあっても、結果画面の先に何があるかはサービスで違います。申し込み画面を最後まで見て、どこで連絡先を求められるかを確かめてから使うのが、この軸の見方です。

元データが成約価格か売り出し価格か

額の性格を決めるのが、この軸です。実際に売れた「成約価格」を元にしているサービスと、売主の希望である「売り出し価格」を元にしているサービスがあります。売り出し価格は成約より数%高いのが普通なので、売り出しベースのサービスは高めに出やすくなります。

見分け方は、公式ページの説明文です。

「成約事例をもとに」「取引事例をもとに」→ 成約寄り

「売出事例」「販売履歴」→ 売り出し寄り

不動産会社が運営するAI査定は、自社の成約データを持っているので成約寄りになりやすく、ポータルサイトのAI査定は掲載データが主なので売り出し寄りになりやすい、という傾向があります。

正直に言うと、元データの種類をはっきり書いていないサービスも多くあります。書いていないなら売り出しベースと考えて、幅を広めに見ておくのが安全です。

元データと精度の関係は、別の記事で条件を挙げて説明しています。

面積や階数や向きまで入力できるか

マンション名だけで出る額は「棟の平均」です。専有面積・階数・向きまで入力できるサービスなら、自分の部屋の額に寄せられます。

サービスによって、次の3段階があります。

  • 名前だけで棟の価格帯を出す型
  • 面積と階数を必須にする型
  • 向きや角部屋まで選べる型

名前だけの型は手軽ですが、額は棟の代表値で止まります。自分の部屋が棟の中で標準的な条件なら名前だけでも大きくは外れませんが、上層階や角部屋など条件が特殊なら、階数と向きを入れられるサービスを1つは含めておきます。

賃料や推移や事例まで見られるか

出てくるのが売却価格だけか、それ以外の情報もあるかで、使える場面が変わります。

見られる情報使える場面
賃料の目安売るか貸すかを比べる
価格の推移売る時期を考える
同じ棟の過去の売り出し事例階数や向きで額がどう変わるかを読む
新築時からの騰落率自分の棟が資産として強いかを見る

住み替えでは、売却価格そのものより、この周辺の情報が判断を左右することが多くあります。1つのサービスで全部揃える必要はなく、組み合わせで揃えれば足ります。

対象エリアと棟数の広さ

最後の軸は、自分の棟がそもそも載っているかです。全国の棟を対象にするサービスと、首都圏に限定して深く扱うサービスがあります。

全国型は地方の棟も出やすい一方、棟ごとの事例は薄くなりがちです。首都圏限定型は対象が狭い代わりに、部屋ごとの価格まで出せるほど深いデータを持っています。

地方や小規模の棟は、全国型でも出てこないことがあります。この軸で先に「自分の棟が対象か」を確かめておけば、使えないサービスに時間を取られずに済みます。

マンション名で棟が出てこないときの対処は、別の記事で手順をまとめています。

型ごとの主なAI査定サービスの特徴

型が違えば、得られるものと引き換えに出すものが違います。同じ型の中でのサービスの差は小さく、型の間の差が大きくなります。ここでは連絡先の要否で分けた4つの型ごとに、主なサービスの特徴を公式ページの記載に沿って整理します。順位は付けず、公式ページに書かれている事実だけを並べます。

出すもの得られるもの向いている段階
登録なしでマンション名から調べる型なし棟の価格帯・推移検討を始めたばかり
メールアドレスの登録で推移を追う型メールアドレス毎週の価格更新・賃料・部屋ごとの価格推移を追いたい
不動産会社に所有者として登録する型氏名・物件成約寄りの額・毎週更新・相談先次の家の候補が見えた
一括査定サイトに併設された型結果画面までは不要参考価格(先へ進むと一括査定)売る時期が決まった

次の順に説明します。

  • 登録なしでマンション名から調べる型
  • メールアドレスの登録で推移を追う型
  • 不動産会社に所有者として登録する型
  • 一括査定サイトに併設された型

連絡先の要否でAI査定が4つの型に分かれる理由と、無料で使える仕組みは、別の記事でまとめています。

登録なしでマンション名から調べる型

何も出さずに使える型です。住み替えを考え始めたばかりの段階で、最初に使います。

  • マンションナビ: 全国14万棟を対象に、マンション名かエリアで検索すると売却相場が出ます。個人情報の登録は不要で、過去の売り出し事例などに基づいて算出しているとしています。専有面積・階数・方位を変えて見る機能は、無料の会員登録で使えます
  • LIFULL HOME’Sのプライスマップ: 地図やマンション名・駅名・住所から探せて、参考価格・坪単価・賃料・価格推移が見られます。会員登録は不要で、対象は620万戸とされています
  • マンションレビュー: マンション名で検索すると現在と将来の売却価格、新築時からの騰落率が出ます。元データは販売履歴とされていて、詳しい機能は無料の会員登録で使えます

この型は、棟の価格帯と推移を掴むのに向いています。元データは売り出し寄りのものが多いので、額は少し高めと考えて受け取ります。

メールアドレスの登録で推移を追う型

メールアドレスを登録すると、結果や更新の通知が届く型です。価格の推移を追い続けたい段階で使います。

  • HowMa: マンション名などを入力すると売却価格の目安が出て、毎週メールで最新の額が届きます。賃料相場や、売却時の手残りを計算する機能もあります。元データは約3.1億件の取引事例や公示地価とされています
  • IESHIL: 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に限定して、部屋ごとの価格を出すサービスです。約9,000万件の賃貸情報や売買履歴、販売価格の履歴をもとにしているとしていて、値下げ履歴も見られます

この型は、電話は来ない代わりに、メールでの市況レポートや案内が続きます。普段使いのアドレスとは別のアドレスを使う方もいます。

不動産会社に所有者として登録する型

大手の不動産会社が自社で運営するAI査定です。氏名と所有物件の登録が要り、その会社と関係ができる前提で使います。

  • 三井のリハウスのAI査定: 成約した事例を学習したAIが、立地・グレード・階数・向きなどに応じた価格を即時に出すとしています
  • 東急リバブルのスピードAI査定: 電話番号は不要で、所有者として物件を登録すると、その場でAI査定の結果が出て、以後は毎週更新されるとしています。対象は営業テリトリー内の物件に限られます

この型の強みは、会社が自社の成約データを持っているため、元データが成約寄りになる点。

弱みは、登録した時点でその会社の見込み客になる点。

次の家の候補が見えて、会社と関係ができても困らない段階で使います。

一括査定サイトに併設された型

一括査定サイトが、申し込みの入口として置いているAI査定です。結果画面までは連絡先なしで使えますが、その先で名前と電話番号を入れると、一括査定の申し込みになります。

  • すまいステップのマンションAI査定: マンション名と部屋の広さ・間取り・階数・方角などを入れると、10秒で参考価格が出るとしています。元データは中古売買約5,000万件、新築分譲約200万件、賃貸約5,000万件とされ、結果画面の下には不動産会社への査定依頼の導線があります。同じ形のサービスは他にもあります

この型は、AI査定の結果だけ見るなら結果画面で止めて構いません。売る時期が決まって複数社に査定を頼む段階なら、そのまま進む選択もあります。境目を知らないまま進むと、翌日から複数社の電話が始まります。

一括査定へ進む場合に電話を減らす頼み方は、別の記事でまとめています。

一括査定は電話なしにできない|マンション売却で電話を減らす方法 一括査定は電話なしにできない|マンション売却で電話を減らす方法 不動産売却の一括査定サイトおすすめ7選|選び方と組み合わせ方 不動産一括査定サイトのおすすめを「元・査定サイトの中の人」が徹底比較してみた

住み替えの段階別に合うAI査定の選び方

段階が決まれば型が決まり、型が決まればサービスは2〜3に絞れます。原則は、段階が進むほど出す情報を増やすことです。順番を逆にすると、まだ何も決まっていないうちから営業が始まります。

段階・状況合う型
まだ誰にも知られたくない登録なしの型
価格の推移を追いたいメール登録型か所有者登録型
売るか貸すかを迷う賃料の目安が出る型
首都圏で部屋ごとの額を見たい部屋単位の型
地方や小規模の棟全国型と公開データの組み合わせ

次の順に説明します。

  • まだ誰にも知られたくない段階は登録なしの型
  • 価格の推移を追いたい段階はメール登録型か所有者登録型
  • 売るか貸すかを迷う段階は賃料の目安が出る型
  • 首都圏で部屋ごとの額を見たいときは部屋単位の型
  • 地方や小規模の棟は全国型と公開データを組み合わせる

まだ誰にも知られたくない段階は登録なしの型

住み替えを考え始めたばかりで、まだ家族にも会社にも知られたくない段階なら、登録なしの型だけを使います。マンションナビ、プライスマップ、マンションレビューのような、名前もメールも要らないサービスを2〜3使い、棟の価格帯を掴みます。

この段階で得たいのは、正確な額ではなく「うちの棟はこのくらいの値段の棟だ」という感覚と、幅です。この段階は、連絡先を1つも出さないまま終えられます。

登録なしの型で出た額を並べ、下限と上限を書き留めておきます。これが以後の判断の土台になります。

価格の推移を追いたい段階はメール登録型か所有者登録型

次の家を探し始めて、「今売るべきか、少し待つべきか」を考え始めた段階では、価格の推移を追いたくなります。この段階で、メール登録型か所有者登録型を1つ加えます。

メールでの通知で足りるなら、HowMaのように毎週価格が届くサービスを使います。売却の相談先を1つ持っておきたいなら、所有者登録型で1〜2社に登録します。登録する会社は、自分のマンションのある地域で売却の実績が多い会社を選ぶのが目安です。

何社にも登録すると、それぞれから案内が来て、比べる手間ばかり増えます。推移を追う目的なら、1つのサービスで足ります。

売るか貸すかを迷う段階は賃料の目安が出る型

住み替えで「今のマンションを売る」以外に「貸して次の家を買う」という選択肢を考えているなら、賃料の目安が出るサービスを含めます。プライスマップやHowMaは、売却価格と一緒に賃料の目安を出します。

賃料の目安と住宅ローンの返済額を比べれば、貸した場合に収支が合うかを大まかに見られます。売却価格と賃料を並べて見られるのは、AI査定の段階ならではの利点です。

会社に相談すると、会社は売却の方向に話を進めがちです。先に自分で両方の数字を見ておけば、判断を自分の手に残せます。

首都圏で部屋ごとの額を見たいときは部屋単位の型

東京・神奈川・埼玉・千葉のマンションで、棟の平均ではなく自分の部屋の額まで見たいなら、部屋ごとの価格を出すIESHILのような首都圏限定型を使います。

首都圏限定型は、対象を絞っている分、部屋単位の価格や値下げ履歴まで持っています。上層階や角部屋など、棟の中で条件が特殊な部屋ほど、部屋単位で見る意味があります。

首都圏以外の方は、階数と向きを入力できる全国型で自分の部屋に寄せます。

地方や小規模の棟は全国型と公開データを組み合わせる

地方のマンションや、総戸数の少ない棟は、AI査定サービスに載っていないか、載っていても事例がほとんどないことがあります。この場合は、まずマンションナビやプライスマップのような全国型で出るかを試します。

出てこない、または出ても事例が薄いなら、AI査定だけで粘らず、公開データと組み合わせます。

  • 国土交通省の不動産情報ライブラリ
  • 不動産流通機構のレインズマーケットインフォメーション

どちらも棟名ではなく地区・築年・面積帯で成約価格を絞り込めるので、棟が載っていなくても使えます。

公開データを含めた相場の調べ方は、別の記事で手順をまとめています。

マンション相場の調べ方|無料で成約価格を自分で調べる手順 マンション相場の調べ方|無料で成約価格を自分で調べる手順

出典: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」

複数のAI査定を組み合わせて使う方法

比較の目的は、1つを選ぶことよりも、幅を作ることにあります。幅の下限が、住み替えの判断に使える額になります。

  1. 型と元データの違う2〜3サービスを選ぶ
  2. 同じ条件を入力して幅を作る
  3. 成約価格の公開データで幅を補正する
  4. 幅の下限で住み替えの資金計画を立てる
  5. 結果画面の先で止まる場所を先に決めておく

順に説明します。

型と元データの違う2〜3サービスを選ぶ

同じ型のサービスを3つ使っても、似た元データと似た計算なので、幅は狭く見えるだけです。組み合わせるなら、型と元データが違うものを選びます。

組み合わせの例

登録なし型で売り出しベースのもの 1つ

+ 成約寄りの型 1つ

+ 賃料が出る型 1つ

この3つなら、額の性格が違うので、並べたときに本当の幅が見えます。どれが成約寄りかは、前の章の軸で確かめます。書いていないものは、売り出しベースと考えて構いません。

同じ条件を入力して幅を作る

選んだサービスに、同じ条件を入力します。棟名、専有面積(壁芯の値)、階数、向き。サービスによって入力できる項目が違うので、入れられる範囲で揃えます。

出てきた額を並べ、一番低い値を下限、一番高い値を上限として、「下限〇〇万円〜上限〇〇万円」の幅で持ちます。

幅の様子読み方
狭い棟の事例が厚い
広い事例が薄いか、部屋ごとの差が大きい棟

この時点の成果は、幅そのものです。どの額が正しいかは、後の段階で決まります。

成約価格の公開データで幅を補正する

サービスの額の多くは売り出し価格をもとにしているので、実際の成約より高めに出ています。この分を、成約価格の公開データで補正します。

不動産情報ライブラリとレインズマーケットインフォメーションで、自分の棟と同じ地区・築年帯・面積帯の直近1〜2年の成約価格を並べます。サービスの幅がそれより高めに出ていれば、その分を割り引いて受け取ります。成約価格の範囲に幅が収まっていれば、そのまま使えます。

この突き合わせで、幅の「下限」が実勢に近い額に落ち着きます。

幅の下限で住み替えの資金計画を立てる

補正した幅の下限から、仲介手数料などの売却の費用を引いた手取りを出し、住宅ローンの残債と比べます。

下限の手取りと残債状態読み方
手取り>残債アンダーローン住み替えは動かしやすい
手取り<残債オーバーローン不足分の手当てを先に考える

下限で計画を立てておけば、後で会社の査定が下振れしても計画が崩れずに済みます。上限で計画すると、次の家の予算を削る羽目になります。

手取りの計算方法と、アンダーローン・オーバーローンの判定は、匿名で相場を調べる記事で計算例つきで説明しています。

結果画面の先で止まる場所を先に決めておく

最後に、それぞれのサービスで「どこまで進むか」を先に決めておきます。

止まる場所の目安

登録なし型 → 結果画面まで

メール登録型 → メールアドレスまで

所有者登録型 → 次の家の候補が見えてから

一括査定併設型 → 結果画面で止め、連絡先は空のままにする

この線を引いておけば、「AI査定を使っただけのつもりが、一括査定に申し込んでいた」という事故を避けられます。営業が始まるのは、連絡先を入れた瞬間からです。

サービスごとに出た額は、メモに残しておきます。あとで不動産会社の査定額を受け取ったとき、「高すぎないか、安すぎないか」を確かめる物差しになります。複数のAI査定を比較する本当の価値は、この物差しを誰にも知られずに手に入れられる点にあります。

まとめ:AI査定に一番いいサービスはなく、5つの軸で比べて段階に合う型を2〜3組み合わせる

マンションのAI査定に「一番いいサービス」はありません。連絡先の要否・元データが成約か売り出しか・面積や階数や向きまで入力できるか・賃料や推移や事例まで見られるか・対象エリアと棟数の広さという5つの軸で比べれば、ランキングを探さなくても自分に合うサービスを選べます。同じ型の中でのサービスの差は小さく、型の間の差が大きいので、選ぶ対象は個別のサービス名ではなく型です。

次の一歩は、型と元データの違う2〜3のサービスに同じ条件を入れて、額の下限と上限の幅を作ることです。1つのサービスの額だけで住み替えの計画を立てると、その額が売り出しベースで高めに出ていた場合に、次の家の予算を組み直すところからやり直しになります。幅の下限で成り立つかを先に見ておけば、この手戻りを避けられます。

幅を作ったら、次に確かめるのは、それぞれのサービスで結果画面の先のどこまで進むかを、型ごとに決めてあるかどうかです。住み替えのトビラでは、AI査定サービスを比較する軸と住み替えの段階別の選び方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。