マンションの一括査定を申し込んだあと、電話の多さに驚いて「やっぱり取り消したい」と思った方へ向けた記事です。先に答えを言うと、査定の段階なら、いつでも無料で取り消せます。ただし連絡先は「今どの段階にいるか」で変わるので、段階ごとの取り消し方、角が立たない断り方、断っても連絡が続くときの止め方、住み替え(買い替え)で次に売るときへの影響までを順に説明します。
マンション一括査定のキャンセルにかかる費用と条件
まず、取り消しにお金がかかるのかどうかをはっきりさせます。答えは今いる段階で変わり、査定までと媒介契約の後では扱いが別物です。この章では次の3点を見ていきます。
- 査定依頼の段階なら違約金も費用もかからない
- 媒介契約を結んだ後は解約条件が変わる
- サイトへの取り消しと不動産会社への断りは別に必要
査定依頼の段階なら違約金も費用もかからない
一括査定を申し込んだだけの段階なら、いつ取り消しても費用は0円です。違約金という仕組みは、媒介契約を結んだ後にはじめて出てくるものです。
理由は、査定が不動産会社にとって「契約前の営業活動」だからです。
不動産会社の報酬は、宅地建物取引業法にもとづく媒介契約を結び、その売買がまとまってはじめて発生するのが原則です。査定はその手前の無料サービスで、申し込んだ側はいつでも自由に引き返せる状態です。
「タダで査定してもらったのに断るのは悪い」と感じる方は多いです。ただ、会社側にとって断られるのは日常です。査定を10件出して1件が契約に結びつけば上出来、という感覚で動いているので、安心して断ってください。
媒介契約を結んだ後は解約条件が変わる
注意が必要なのは、査定のあとに媒介契約まで進んでしまった場合です。
媒介契約とは「この会社に売却活動を任せます」という正式な契約です。ここから先は「キャンセル」ではなく「解約」の扱いに変わり、条件は契約の種類で決まります。
| 契約の種類 | 依頼できる会社 | 有効期間 | 途中解約 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 複数社 | 定めなし(慣例3か月) | 原則いつでも可 |
| 専任媒介契約 | 1社 | 最長3か月 | 条件つき |
| 専属専任媒介契約 | 1社 | 最長3か月 | 条件つき |
一般媒介契約は、複数の会社に同時に頼める緩い契約で、解約も自由です。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社に絞る契約で、有効期間は法律で3か月以内と決まっています。期間の途中で解約する場合、会社側に落ち度がなければ、それまでにかかった広告費などを請求される可能性があります。
つまり「まだ迷っている」段階で媒介契約を結ぶのは危険です。契約書に署名する前に、解約の条件を必ず確認しましょう。
サイトへの取り消しと不動産会社への断りは別に必要
意外と知られていないのが、一括査定サイトに取り消しを伝えても、不動産会社の営業はそのまま続く場合があるという点です。
一括査定サイトの仕組みは、あなたが入力した情報を、提携している複数の不動産会社に同時に送るというものです。送られた時点で、あなたの連絡先は各社の手元にあります。
サイトに「取り消したい」と伝えても、各社への連絡には時間差があります。会社側で処理が漏れる場合もあります。
だから、すでに会社から電話やメールが来ているなら、その会社に直接断るのが近道です。サイトへの連絡で足りるのは「まだどこからも連絡が来ていない段階」だけと考えましょう。次の章で、段階ごとにどこへ連絡すればいいかを整理します。
段階別のキャンセル方法
自分が今どの段階にいるかで、連絡先は次のように変わります。
| 段階 | 連絡先 | ポイント |
|---|---|---|
| 申込直後(会社から連絡なし) | 一括査定サイトの窓口 | 申込完了メールの査定IDを用意 |
| 会社から連絡が来た後 | 連絡してきた各社 | サイト経由では止まらない |
| 訪問査定の予約後 | 担当者 | 早いほど心証がよい |
| 媒介契約後 | 契約した会社 | 契約書の解約条項を確認 |
それぞれ順に説明します。
申込直後はサイトの窓口に取り消しを依頼する
申し込んでから不動産会社の連絡がまだ来ていないなら、一括査定サイトの問い合わせフォームから取り消しを依頼します。
多くのサイトは申込完了メールに「査定ID」や「依頼した会社の一覧」を載せています。そのメールを手元に置いて連絡しましょう。
ここで大事なのは、思い立ったらすぐ動くことです。サイトが不動産会社に情報を送るのは申し込みからほぼ即時で、会社側は早ければ数分から数時間で電話をかけてきます。サイトの窓口が取り消しを処理するのに2〜3営業日かかる場合もあります。その間に会社から連絡が来たら、次に説明する「各社へ直接伝える」に切り替えましょう。
なお、サイトごとの電話番号や窓口はよく変わるので、この記事では省きます。申込完了メールか、サイトの「よくある質問」を見るのが一番早いです。
不動産会社から連絡が来た後は各社に直接伝える
すでに不動産会社から電話やメールが来ているなら、サイトではなく、連絡してきた会社それぞれに断りを入れます。この段階でサイトに連絡しても、会社側の営業はしばらく続きます。
面倒なのは、一括査定では同時に3〜6社に情報が送られる点です。どの会社から連絡が来たかを把握しておくと、取りこぼしを防げます。
申込完了メールの会社一覧を印刷するか、メモアプリに写しておきます。電話やメールが来た会社に印をつけ、断ったらもう一つ印をつける。これだけで「あの会社、断ったっけ?」がなくなります。
まだ連絡が来ていない会社は、そのまま放っておいて大丈夫です。伝える内容は「売却を見送ることにしたので、今後の連絡は不要です」の一言で十分です。具体的な言い方は、あとの「不動産会社への断り方」の章にまとめています。
何社から連絡が来るのが普通なのか、どこからが行き過ぎなのかは、次の記事で本数の目安と見分け方をまとめています。
訪問査定の予約後は担当者へ早めに連絡する
訪問査定(担当者が実際に部屋を見に来る査定)の日程を決めたあとで取り消したい場合は、できるだけ早く担当者に連絡しましょう。
担当者はその日程のために予定を空けていて、他の顧客の訪問を後ろにずらしている場合もあります。前日や当日の取り消しでも費用は0円ですが、直前になるほど会社側の心証は悪くなります。住み替えで「またお願いするかもしれない会社」なら、なおさら早めが得策です。
訪問査定を実際に受けた後で断るのも、もちろん自由です。査定書を受け取っても、それは「この価格で売れそうです」という会社の意見であって、契約とは別物だからです。「査定を受けたのだから契約しなければ」と思い込む方がいますが、契約するかどうかは査定を受けた後に自由に決められます。
媒介契約後は契約の種類ごとに解約条件を確認する
媒介契約を結んだ後は、まず契約書を取り出して「契約の種類」と「解約」の項目を確認します。
一般媒介契約なら、解約したい旨を書面(メールでも可)で会社に伝えれば、原則として費用は0円です。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は有効期間が最長3か月なので、期間満了を待って更新しないのが最も穏やかな方法です。期間の途中で解約する場合、会社に落ち度がなければ、それまでに使った広告費などの実費を請求される可能性があります。
逆に、会社側に落ち度があれば、期間の途中でも費用0円で解約できます。
- 専任媒介契約: 2週間に1回以上の活動報告が義務
- 専属専任媒介契約: 1週間に1回以上の活動報告が義務
この報告が来ていない、あるいは約束した販売活動をしていないなら、それが解約の根拠になります。報告のメールや書面は残しておきましょう。
不動産会社への断り方
断ると決めたら、あとは伝え方だけです。ここでうまく伝わらないと、断ったつもりでも連絡が続きます。この章では次の4点を見ていきます。
- 理由は詳しく説明せず売却の見送りだけ伝える
- 今後の連絡停止まで一度に伝える
- 電話とメールの使い分け
- そのまま使える断りの文例
理由は詳しく説明せず売却の見送りだけ伝える
断るときの理由は、一言で足ります。「売却を見送ることにしました」か「他の会社にお願いすることにしました」のどちらかです。
避けたいのは「査定額が思ったより低かったので」と正直に言うことです。営業担当者はその言葉を「価格次第では売る気がある」と受け取ります。「では上限を見直します」「もう一度査定させてください」と再提案が来て、取り消したいのにかえって連絡が増える結果になります。
「家族と相談してから」「もう少し考えます」といった曖昧な返事も、担当者にとっては「まだ見込みあり」の合図です。断ると決めたなら、迷っている印象を残さずに言い切ることが、結果的にお互いの時間を守ります。
今後の連絡停止まで一度に伝える
「売却を見送ります」だけで終わると、数か月後に「その後いかがですか」と電話が来ます。担当者の顧客リストに「見送り」として残り、定期的に掘り起こしの連絡が入る仕組みだからです。
これを防ぐには、断りの言葉に「今後のご連絡は不要です」を必ずセットで添えます。
「見送る」と「もう連絡しないでほしい」は、会社側にとっては別の情報です。前者だけだと、時間を置いて再アプローチする対象に分類されます。
住み替えで時期が読めない方は、「時期が決まったらこちらから連絡します」と付け加えると、担当者側も納得しやすく、関係を切らずに連絡だけ止められます。この一言があるだけで、その後の電話の量は大きく変わります。
電話とメールの使い分け
連絡手段は、電話とメールで向き不向きがあります。
| 手段 | 向いている場面 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 電話 | 早く止めたい | 1分で終わる。不在なら伝言で可 |
| メール | 記録を残したい・複数社にまとめて送りたい | 読まずに電話してくる担当者もいる |
電話は最も早く伝わります。担当者と直接話すのが気まずいと感じるかもしれませんが、実際は1分もかからずに終わります。相手が不在なら、電話に出た人に「〇〇と申します。査定の件は見送りますので、担当の方にお伝えください」と伝言すれば十分です。
メールは、断った記録が残るのが利点です。後で「聞いていない」と言われたときの証拠になりますし、複数社に同じ文面を送れるので手間も少なくて済みます。メールを送ったあとに電話が来たら「先ほどメールでお伝えしたとおりです」と一言返せば終わります。
最も避けたいのは、電話にもメールにも反応しない「無視」です。会社側は「まだ売却を検討中」と判断し、連絡を続けます。
そのまま使える断りの文例
電話用とメール用に、それぞれ短い文例を用意しました。名前と会社名だけ差し替えて使えます。
どちらも「感謝」「見送り」「連絡停止」の3つが入っていれば十分です。丁寧に書きすぎると長くなり、かえって伝わりにくくなります。短く、はっきり、が一番親切です。
言い回しをもっと知りたい方は、次の記事に電話とメールの文例を多めに載せています。
キャンセル後も連絡が続くときの対処法
断ったのに連絡が続くときは、次の順に手を打てます。
- 一括査定サイトの運営に連絡停止を依頼する
- 不動産会社に個人情報の削除を求める
- 免許行政庁や宅建協会に相談する
軽い順に並んでいます。1で止まる場合がほとんどですが、3まで進める根拠があると知っておくだけで、気持ちの余裕が違います。
一括査定サイトの運営に連絡停止を依頼する
不動産会社に直接断ったのに連絡が続く場合、まず一括査定サイトの運営に相談します。
サイトは提携する不動産会社と契約を結んでおり、「利用者が断った後の勧誘はしない」といったルールを設けているのが一般的です。サイト運営から会社へ注意が入ると、担当者個人に言うより効果があります。
連絡する際は、次の3点を簡潔に書き添えます。
- いつ断ったか
- どの会社に断ったか
- どのように断ったか(電話・メール)
メールで断っていれば、その日付を示すだけで済みます。
あわせて、サイトに登録した自分の情報の削除も依頼しておくと安心です。サイトによっては「キャンセル」「退会」「メルマガ停止」が別の手続きになっているので、3つとも必要なら明示的に伝えましょう。
不動産会社に個人情報の削除を求める
連絡してくる会社に対しては、「個人情報の削除」を求めることができます。
個人情報保護法では、本人が同意した目的の範囲を超えて個人情報が使われている場合、本人は利用の停止や消去を請求できると定められています。「査定のため」に渡した連絡先を、断った後も営業に使い続けるのは、この範囲を超えていると主張できます。
伝え方は簡単です。「査定は取り消しましたので、私の個人情報を削除し、今後一切の連絡をお控えください」と、メールか書面で送ります。「個人情報保護法に基づいて」と一言入れると、会社側の対応が変わります。
会社側は、請求に理由があると分かった場合、遅滞なく対応する義務があります。それでも続くなら、次の行政への相談に進みます。
断った後の勧誘は宅建業法で禁止されている
実は、断った相手に勧誘を続ける行為は、法律ではっきり禁止されています。宅地建物取引業法施行規則第16条の11は、禁止される勧誘行為を具体的に挙げています。
宅地建物取引業者の相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続すること。
(宅地建物取引業法施行規則 第16条の11 第1号ニ)
同じ条文には「迷惑を覚えさせるような時間に電話し、又は訪問すること」も並んでいます。違反すると、不動産会社は業務停止などの行政処分を受ける可能性があります。つまり、断った後もしつこく続く連絡は、マナーの問題にとどまらず、法律違反にあたる可能性があります。
相談先は次の2つです。
- その会社に免許を出した行政庁(免許番号が「〇〇県知事」なら県の宅建業担当課、「国土交通大臣」なら地方整備局)
- 会社が加入している宅建協会または全日本不動産協会の相談窓口
相談の際は、断った日時と方法、その後の連絡の日時を記録しておくと話が早く進みます。会社名と免許番号は、会社のホームページや名刺で確認できます。
キャンセルが今後の住み替えに与える影響
取り消しをためらう理由の多くは「次に売るとき不利になるのでは」という不安です。先に言うと、その心配はほとんどいりません。この章では次の3点を見ていきます。
- 断った不動産会社やサイトに再び依頼しても差し支えない
- 売却時期が未定なら予定を伝えて連絡頻度を調整する
- 受け取った査定額は次の会社選びに活用できる
断った不動産会社やサイトに再び依頼しても差し支えない
「一度断ったら、次に本気で売るときに相手にされないのでは」と心配する方がいます。
正直に言うと、一度断っても次の査定はまっさらな状態から始まります。同じサイトに再度申し込むのも、断った会社にあらためて査定を頼むのも自由です。会社側からすれば、以前見送った人が戻ってきたなら、むしろ「本気度が上がった顧客」です。
ただし、短期間に申し込みと取り消しを繰り返すのは避けたほうが無難です。担当者の記憶に「冷やかし」として残ると、次に依頼したときの対応の優先度が下がります。
住み替えで時期が読めないなら、取り消すより「時期未定」と伝えて連絡頻度を落とす方が、関係を保てます。次で説明します。
売却時期が未定なら予定を伝えて連絡頻度を調整する
住み替えでは、売る時期が「買う物件が見つかるかどうか」で動きます。査定を出した時点では「半年後かもしれないし、2年後かもしれない」という方が大半です。
この場合、完全に取り消すのではなく、こう伝える方法があります。
「購入先が決まってからの売却なので、時期は未定です。決まったらこちらから連絡します」
担当者は「見込みはあるが今ではない」と分類し、頻繁な電話を控えるようになります。関係は残り、電話だけ止まる、という状態を作れます。
その上で、対応が丁寧だった1社だけ関係を残し、他社は連絡停止まで断る、という使い分けも有効です。すべてを一律に切るより、次に動くときの相談先が1つ残っていた方が、住み替えは進めやすくなります。
受け取った査定額は次の会社選びに活用できる
取り消した査定でも、そこで得た情報は次に生きます。各社の査定額、その根拠の説明の仕方、担当者の対応の速さや誠実さは、次に本気で売るときの会社選びの材料になります。
特に見ておきたいのは、査定額そのものより「なぜその価格なのか」の説明です。周辺の成約事例を示して説明できる会社と、根拠を示さず高い価格だけ提示する会社では、実際に売り出したときの結果が違ってきます。
残しておきたいのは次の3つです。
- 各社の査定額
- 価格の根拠(成約事例を示したか)
- 担当者の印象(対応の速さ・説明の分かりやすさ)
数か月後に住み替えが具体化したとき、ゼロから会社を探し直す手間が省けます。同じマンションの相場が時間とともにどう動いたかも分かります。
一括査定そのものの仕組みや使いどころは、次の記事で最初から説明しています。
まとめ:査定の段階なら、一括査定はいつでも無料で取り消せる
いちばん重いのは、査定の段階ならお金が一切かからないという一点です。違約金という言葉が出てくるのは媒介契約を結んだ後だけで、それまでは申し込んだ側がいつでも引き返せます。断りにくさを感じて先延ばしにするより、早く伝えるほど話は軽く済みます。
次の一歩は、自分が今どの段階にいるかを確かめて、連絡先を1つに決めることです。まだどこからも連絡が来ていないならサイトの窓口、すでに電話やメールが来ているなら各社へ直接、訪問の日程を決めた後なら担当者へ伝えます。ここを曖昧にしたままサイトにだけ伝えると、各社の営業は止まりません。断ったつもりの連絡が何週間も続き、断り直す手間がもう一度かかります。
そのうえで確かめてほしいのは、今回やり取りした会社の中に、住み替えの段取りまで一緒に考えてくれた会社があったかどうかです。すべてを一律に切るより、その1社だけ関係を残しておくと、売る時期が決まったときの相談先になります。住み替えのトビラでは、マンション一括査定のキャンセルも含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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