リフォーム補助金2026|マンションで個人が使える制度と探し方

リフォーム補助金2026|使える制度と探し方

設備が古くなってきた、冬の寒さがこたえる、親のために手すりを付けたい。そう考えても、リフォームの工事費は決して安くありません。「国や自治体から補助金が出るなら使いたい」と思う方は多いはずです。

ただ、リフォームの補助金は制度の数が多く、名前も似ています。自分の工事でいったい何が使えるのか、いくらもらえるのかが分かりにくいのが正直なところです。マンションにお住まいの方には、もう一つ大きな分かれ道があります。同じリフォームでも、室内(専有部分)の工事か、外壁や共用廊下など建物全体(共用部分)の工事かで、補助金を自分で申請できるかどうかが変わるのです。

この記事では、いまマンションを持ち住み替えや売却を考えている方に向けて、2026年に使えるリフォーム補助金を整理します。まず「自分(区分所有者)が個人で申請して使える補助はどれか」を専有部分の工事に絞って厚く見たうえで、外壁や屋根など共用部分の話、戸建て向けの制度は「これはマンションから住み替える人には関係ない」と仕分けしながら進めます。

リフォーム補助金の全体像|2026年に使える制度をまず整理する

リフォームの補助金は、工事の目的で大きく4つに分かれます。まず自分の工事がどれに当たるかを見ると、探しやすくなります。

補助金と一口に言っても、省エネ改修に使うもの、介護のための改修に使うもの、地域ごとに市区町村が独自に設けているものなど、性質はさまざまです。ここでは個別の制度に入る前に、全体をどう分けて考えればよいか、マンションで特に大切な「専有部分か共用部分か」の見方、そして補助金と減税の違いを押さえておきます。

補助金は「省エネ・断熱/介護・バリアフリー/自治体独自/性能向上」で分かれる

自分の工事の目的から見ると、使える制度を絞り込めます。

リフォームの補助金は、おおまかに4つの種類に整理できます。1つ目は国の省エネ改修への補助で、断熱や窓、給湯器の入れ替えが対象です。2つ目は介護保険による住宅改修で、手すりの取り付けや段差の解消などが対象になります。3つ目は市区町村が独自に設ける補助で、目的や条件は地域ごとに大きく変わります。4つ目は大規模な性能向上リフォームへの国の補助です。

工事の目的から、どの制度を見ればよいかを対応づけると次のようになります。

工事の目的見る制度所管
断熱・窓・給湯器などの省エネ改修住宅省エネ2026キャンペーン国(国交省・経産省・環境省)
手すり・段差解消などの介護改修介護保険の住宅改修国(厚生労働省)・市区町村
耐震・三世代同居・地元業者利用など地域独自自治体の補助金市区町村
大規模な性能向上リフォーム長期優良住宅化リフォーム推進事業国(国交省)

4つ目の長期優良住宅化リフォーム推進事業は、耐震や省エネの改修に住宅の耐久性を高める工事を組み合わせ、住宅を長く使える状態にする大規模なリフォームを支援するものです。補助率は工事費用の3分の1で、限度額は評価基準型で1住戸あたり80万円、長期優良住宅の認定を取得する認定長期優良住宅型で1住戸あたり160万円です。三世代同居に対応する改修、若者・子育て世帯による改修、既存住宅を購入しての改修のいずれかに当てはまる場合は、50万円を上限に加算されます。

この補助率と限度額は令和7年度の内容です。記事のほかの制度(2026年7月時点)とは基準時点が1年ずれています。令和8年度の内容は国土交通省の公募案内で確かめてください。予算上限に達し次第終了します。

マンションの方は、この4つを「自分で申請して使いやすいもの」と「そうでないもの」に分けて見ると整理しやすくなります。省エネ改修や介護改修は室内(専有部分)の工事で使えることが多い一方、大規模な性能向上リフォームは建物全体(共用部分)に関わり、個人ではなく管理組合が動かす話になりやすいためです。この専有部分と共用部分の分かれ目を、次に見ておきます。

出典: 国土交通省 令和7年度も長期優良住宅化リフォームを支援します

マンションは「専有部分か共用部分か」で使える補助が変わる

マンションのリフォーム補助金は、工事の場所が専有部分か共用部分かで、誰が申請するかが変わります。ここを最初に押さえると、以降の制度がぐっと読みやすくなります。

マンションは、区分所有法や標準管理規約のうえで、区分所有者が自分で管理する専有部分と、管理組合が管理する共用部分に分かれます。おおまかには、室内の内装や専有部分の設備が専有部分、外壁・屋根・共用廊下・玄関の扉・窓のサッシ本体・建物全体の構造などが共用部分です。

補助金を申請する主体も、この区分に沿って分かれます。専有部分の工事は区分所有者個人が申請できます。一方、共用部分の工事は管理組合が長期修繕計画と総会の決議にもとづいて進め、補助金も管理組合が主体となって申請するのが基本です。工事の目的から見た主な分かれ方は次のとおりです。

区分主な工事の例補助金を申請する人
専有部分(室内)内窓の設置、室内側の断熱、室内のバリアフリー内装、専有部分の給湯器などの設備区分所有者個人
共用部分(建物全体)外壁・屋根、共用廊下、玄関の扉、窓のサッシ本体、建物全体の断熱・耐震、大規模修繕管理組合

この記事では、まず区分所有者個人が申請して使える専有部分の補助を整理します。共用部分の工事や戸建て向けの制度は、後半で「これはマンションから住み替える人には関係ない」と仕分けしていきます。なお、どこまでが専有部分でどこからが共用部分かは、マンションごとの管理規約によって細かな違いがあります。実際に工事を進める前には、管理規約と管理組合への確認が欠かせません。

補助金と減税(税額控除)は別物|両方使える場合もある

補助金は工事費の一部が給付される仕組み、減税は納めた税金が控除される仕組みで、この2つは別のものです。

補助金は、原則として工事の前に申請します。国の省エネ補助のように登録された事業者を通して申請するものが多く、決められた予算枠の範囲で給付されます。予算が上限に達すると、その時点で受付が終わります。

一方、減税は工事のあとに手続きします。確定申告や市区町村への申告を通して、納めた所得税や固定資産税から一定額が差し引かれる形です。お金が入ってくるのではなく、税の負担が軽くなると考えると分かりやすいでしょう。

同じ工事で、補助金と減税の両方を使える場合もあります。ただしその際は、減税の対象となる工事費から補助金でまかなわれた分を差し引いて計算するなどの調整が入ります。減税制度そのものの中身は、記事の後半であらためて整理します。

制度は年度で改廃される|2026年の現行制度を前提に確認する

リフォームの補助金は年度ごとに名称や上限、期限が変わるため、必ずその年の制度で確認する必要があります。

2026年の国の省エネ改修への補助は「住宅省エネ2026キャンペーン」としてまとまっています。前の年までにあった「こどもエコすまい支援事業」「子育てエコホーム支援事業」「子育てグリーン住宅支援事業」などは過年度の制度で、対象や金額が今の制度とは異なります。古い制度名で調べた情報をそのまま今年の内容と思い込まないよう気をつけてください。

上限額そのものも年度で変わります。例えば窓の断熱改修への補助は、2025年には住宅1戸あたり200万円が上限でしたが、2026年は100万円に変わっています。過去の金額を見て多く見積もると、あてが外れることになります。

補助金は予算の枠が決まっており、申請が上限に達すると年度の途中でも受付が終わります。使うつもりがあるなら、早めに現行の制度を確認して動くことが欠かせません。

【工事別】マンション専有部で個人が使える国の補助金|住宅省エネ2026キャンペーン

国の主力は、3つの省庁が連携する「住宅省エネ2026キャンペーン」です。断熱・窓・給湯器の工事に対し、定額または上限つきで補助が受けられます。

このキャンペーンは代表的な3つの事業からなります。ここではマンションの専有部分で区分所有者個人が使いやすい順に、窓の断熱、給湯器の入れ替え、断熱・設備の総合枠を見ていきます。あわせて、3事業に共通する申請のルールも押さえます。

先進的窓リノベ2026事業|内窓の設置がマンション専有部の主役(住宅上限100万円/戸)

窓の断熱改修に特化した補助で、住宅は1戸あたり100万円が上限です。マンションの専有部分リフォームで、区分所有者個人が最も使いやすい制度の一つです。

対象となるのは、ガラス交換、内窓の設置、外窓の交換、そしてドアの交換です。補助額は、使う製品の断熱性能とサイズ、建物の建て方などの組み合わせで決まる定額方式です。窓のグレードが高く、面積が大きいほど補助額も大きくなります。

マンションで中心になるのは、内窓の設置です。マンションの窓のサッシ本体は、管理規約のうえでは共用部分として扱われるのが原則で、サッシそのものを勝手に交換することはできません。ただ、既存のサッシの内側にもう一枚の窓を追加する内窓(二重サッシ)の工事は、専有部分の側で行えることが多く、区分所有者個人でも取り組みやすい工事です。工事も短時間で、室内側で完結しやすいのが利点です。

一方で、対象に含まれる外窓の交換やドアの交換は、マンションではサッシ本体や玄関の扉に手を入れることになり、共用部分の工事に当たりやすいものです。この場合は区分所有者個人ではなく管理組合の案件になりやすく、扱いが変わります。共用部分の工事の考え方は、後半の章であらためて整理します。内窓の設置を検討する際も、念のため管理規約と管理組合に確認しておくと安心です。

対象になるには、2つの条件を両方満たす必要があります。ひとつは、工事の着手が2025年11月28日以降であること(それより前に着手した工事は対象外)。もうひとつは、工事請負契約を結んだ後に着手すること(契約前に着手した工事は対象外)です。

つまり並べると「工事請負契約 → 着手(2025年11月28日以降)」という順番になります。着手日の下限だけを見て、契約より先に工事を始めてしまうと対象外になります。

申請の主体にも注意してください。この事業に申請するのは事業者登録をした「窓リノベ事業者」であり、住んでいる人が自分で申請する仕組みではありません。使いたい場合は、登録事業者かどうかを工事の依頼先に確かめるところから始めます。

金額の面では、年度による違いに注意が必要です。2026年の上限は住宅1戸あたり100万円(1棟で複数戸を改修する場合は戸数分)で、古い情報にある200万円という金額を今年の上限と思い込まないようにしてください。ここでの金額・要件は2026年(令和8年)7月時点のもので、予算上限に達し次第終了します。

出典: 環境省 先進的窓リノベ2026事業 対象要件の詳細

給湯省エネ2026事業|高効率給湯器の入れ替え(機器ごとの定額補助)

エコキュートなどの高効率給湯器の導入に対し、機器ごとの定額が補助されます。給湯器は専有部分の設備なので、こちらも区分所有者個人が申請できる工事です。

対象となる機器は3種類です。

  • ヒートポンプ給湯機(エコキュート)
  • ハイブリッド給湯機
  • 家庭用燃料電池(エネファーム)

1台あたりの基本額は、エコキュートが7万円、ハイブリッド給湯機が10万円、エネファームが17万円です。エコキュートとハイブリッド給湯機は、一定の性能を満たすと基本額に定額が上乗せされます。

マンションで気をつけたいのは、設置できる機種が限られる場合がある点です。エコキュートなどはタンクの設置スペースや搬入経路、重量、パイプスペースの位置といった条件に左右され、住戸によっては設置が難しいことがあります。検討の際は、対応可能な機種を工事業者に確認し、必要に応じて管理規約もあわせて確かめておくとよいでしょう。

なお、賃貸集合住宅の給湯器を入れ替える場合は、オーナー向けの「賃貸集合給湯省エネ2026事業」という別の枠になります。自分が住む持ち家のマンションをリフォームする方は、通常この給湯省エネ2026事業の対象です。これらの金額・要件は2026年(令和8年)7月時点のもので、予算上限に達し次第終了します。

出典: 経済産業省 給湯省エネ2026事業 対象要件の詳細(購入・工事タイプ)

みらいエコ住宅2026事業|断熱・設備の総合枠(上限40〜100万円/戸)

断熱改修や省エネ設備をまとめて行う場合の総合的な補助で、上限は住宅の築年と工事の基準で決まります。

補助の上限額は、住宅がいつ建てられたか、そしてどこまでの省エネ基準を満たす工事かで、次のように分かれます。

住宅の新築時期義務基準相当の工事次世代省エネ基準相当の工事
〜平成3年100万円/戸50万円/戸
平成4年〜平成28年80万円/戸40万円/戸

築年が古い住宅ほど、上限が高く設定されています。断熱性能を大きく引き上げる余地が大きいためです。

対象となる工事は幅広く、窓や壁などの断熱改修に加え、高効率給湯器や高効率エアコンの設置、子育て対応改修、防災性を高める改修、バリアフリー改修なども含まれます。マンションの専有部分では、このうち室内側の断熱(内窓など)や室内のバリアフリー改修、高効率設備の入れ替えが、区分所有者個人で対象にしやすい部分です。

一方で、外壁や屋根といった外側の断熱、建物全体に関わる工事は、マンションでは共用部分の扱いで、区分所有者個人では申請しません。こうした工事は管理組合の案件になります。また、この事業には新築住宅の枠もありますが、それは戸建てや土地を持つ人が家を新しく建てる場合の話で、マンションから住み替える人には基本的に関係ありません。

1回の申請で受けられる補助額には下限があり、原則5万円以上(キャンペーン内の他の事業と併用する場合は2万円以上)が必要です。これらの金額・要件は2026年(令和8年)7月時点のもので、予算上限に達し次第終了します。

出典: 国土交通省 みらいエコ住宅2026事業(公式・リフォーム)

3事業に共通する申請のルール|登録事業者が代行・期限・下限額

これら3つの補助は、読者本人が直接申請することはできず、登録された「住宅省エネ2026支援事業者」が工事とセットで申請を代行します。

つまり、補助金を使うには、この制度に登録している事業者に工事を依頼することが実質の条件になります。工事を頼む相手が未登録だと、補助そのものが使えません。見積もりを取る段階で、その事業者が登録事業者かどうかを確かめておくと安心です。

申請の手続きは、先に予約をしてから本申請へ進む流れが基本です。時期の目安としては、交付申請の予約が遅くとも2026年11月16日まで、本申請が遅くとも2026年12月31日までとされています。ただし、予算が上限に達した時点で受付は終わります。

3つの事業は、工事の内容を分ければ組み合わせて申請することもできます。例えば内窓は窓リノベ、給湯器は給湯省エネ、というように別々の工事に対して使う形です。1つの窓口でまとめて手続きできる仕組みが用意されており、複数の工事を一度に行う場合に手間を減らせます。組み合わせて使う際の可否のルールは、記事の後半であらためて整理します。これらの期限は2026年(令和8年)7月時点のもので、予算上限に達し次第終了します。

出典: 住宅省エネ2026キャンペーン リフォームの概要(公式)

介護・バリアフリー改修で使える補助|介護保険の住宅改修(上限20万円)

要支援・要介護の認定を受けている方であれば、手すりの取り付けや段差の解消などの改修に、介護保険から補助が受けられます。これも室内で完結する小規模な工事が中心で、マンションの専有部分について区分所有者個人が申請できる補助です。

この補助は、省エネ改修への補助とは所管も仕組みも別の枠組みです。対象になる人、対象になる工事、そして申請の流れには独自のルールがあります。順に見ていきます。

対象になる人と金額|要介護・要支援認定と20万円の支給限度

介護保険の住宅改修は、要支援または要介護の認定を受けていることが前提で、支給限度基準額は20万円です。

この20万円のうち、保険から給付されるのは原則9割にあたる18万円までです。残りが自己負担になります。給付が8割(上限16万円)や7割(上限14万円)に下がるのは、65歳以上の第1号被保険者のうち一定以上の所得がある人です。40〜64歳の第2号被保険者はこの区分に入りません。

なお市町村は条例で支給限度基準額を20万円より高く定めることができるため、自分の市区町村の額を確かめてください。

支給の枠は、原則として一人につき生涯20万円までです。ただし、例外として枠が再び使える場合があります。1つは、最初に改修したときと比べて介護の必要の程度が3段階以上重くなったときで、この場合は改めて20万円まで使えます(利用は1回限り)。もう1つは、引っ越して住まいが変わったときで、転居後の住まいで改めて20万円の枠を使えます。

認定を受けていない場合、この制度は使えません。その場合は、断熱改修と一緒に手すりなどを付ける形で省エネ改修への補助を検討したり、市区町村独自の補助を探したりする方法があります。これらの金額・要件は2026年(令和8年)7月時点のもので、制度改正で変わる場合は最新の情報を確認してください。

出典: 厚生労働省 福祉用具・住宅改修

対象になる工事|手すり・段差解消など小規模改修が中心

対象になるのは、手すりの取り付けや段差の解消など、日常の安全に直結する小規模な改修が中心です。

具体的には、次の工事とこれらに付帯して必要になる工事が対象です。

  • 手すりの取り付け
  • 段差の解消
  • 滑り防止・移動のための床材や通路面の変更
  • 引き戸などへの扉の取り替え
  • 洋式便器などへの便器の取り替え

マンションでは、これらは室内(専有部分)で完結する工事が中心になります。一方、共用廊下やエントランスなど共用部分に手すりを付けるような工事は、区分所有者個人ではなく管理組合が扱う話になりやすい点は覚えておくとよいでしょう。

また、部屋を広げるような大規模な間取り変更や、新品の設備をより高機能なものに替えるといった工事は、この制度の対象になりにくい線引きです。あくまで安全に暮らすための改修が想定されています。

前半で触れた省エネ改修(みらいエコ住宅2026)にもバリアフリー改修のメニューがありますが、こちらは介護保険とは別の制度です。目的も、対象になる人も、要件も異なります。同じ手すりの取り付けでも、どちらの制度で申請するかで手続きや条件が変わるため、混同しないよう注意してください。

出典: 厚生労働省 福祉用具・住宅改修

申請の流れと注意点|事前申請とケアマネ等への相談

介護保険の住宅改修は工事の前に申請するのが原則で、事前の相談が欠かせません。

まず、工事に着手する前に、担当のケアマネジャーや市区町村の窓口に相談します。改修が必要な理由書などの書類を準備し、事前の申請をしてから工事に入る流れです。

費用の受け取り方は、いったん全額を支払い、あとで保険給付分の払い戻しを受ける償還払いが基本です。市区町村によっては、自己負担分だけを先に払えば済む受領委任払いを選べる場合もあります。どちらになるかは住まいの自治体で確認してください。

とくに気をつけたいのが、事前申請の前に工事を始めてしまうと対象外になりやすい点です。良かれと思って先に着工すると補助が受けられなくなるため、必ず相談と申請を済ませてから工事を始めてください。個別の可否は、市区町村の窓口や地域包括支援センターに確認しておくと安心です。

マンションの共用部リフォームは管理組合の案件|個人では申請しない

ここまでは、区分所有者個人が申請して使える専有部分の補助を見てきました。一方、マンションで工事費が大きくなりやすい外壁や屋根、窓のサッシ本体、玄関の扉、建物全体の断熱や耐震、大規模修繕は共用部分の工事で、区分所有者個人では補助金を申請しません。

「マンションの外壁塗装にも補助金が使えるのでは」と考える方もいますが、それは個人で申請する話ではありません。ここでは共用部分の考え方と、戸建て向けで自分には関係のない制度の見分け方を整理します。

共用部の工事は総会決議と長期修繕計画で動く|補助金も管理組合が申請

外壁・屋根・共用廊下・玄関の扉・窓のサッシ本体・建物全体の断熱や耐震・大規模修繕といった共用部分の工事は、区分所有者が一人で決めて進められるものではありません。

共用部分の工事は、管理組合が長期修繕計画にもとづいて計画し、総会の決議を経て実施するのが基本です。補助金を使う場合も、区分所有者個人ではなく管理組合が主体となって申請します。全体像の章で触れた長期優良住宅化リフォーム推進事業のような大規模な性能向上の工事も、マンションでは耐震や建物全体に関わることが多く、実務上はこの共用部分・管理組合の側に寄りやすいものです。

もし共用部分の工事に補助金を使いたいと考えるなら、まずは管理組合の理事会や管理会社に相談するのが出発点です。どんな補助が使えるか、いつ工事を計画しているかは、マンションごとの管理規約や管理組合の方針によって変わります。自分一人で申請先を探すのではなく、管理組合の動きの中で検討する話だと理解しておくとよいでしょう。

戸建て向けの補助はマンション住み替え層には関係ない|耐震改修・建て替え・新築枠

リフォーム補助金を調べていると、戸建てや土地を持つ人に向けた制度も数多く出てきます。これらはマンションから住み替える人には基本的に関係がないので、読み飛ばして構いません。

例えば、自治体が設ける戸建て住宅向けの耐震改修補助や、老朽化した家の建て替え・除却への補助があります。また、みらいエコ住宅2026事業などには新築住宅の枠もありますが、これは家を新しく建てる場合の制度です。いずれも土地や一戸建てを前提にした話で、マンションの一室をリフォームする場面とは結びつきません。

マンションから住み替えを考える方は、こうした戸建て向けの制度に時間をかける必要はありません。自分が個人で使える専有部分の補助と、管理組合が動かす共用部分の話の2つに絞って考えると、迷いが減ります。

自治体独自の補助金と併用のルール|自分の地域の制度を探す

国の制度に加え、多くの市区町村が独自のリフォーム補助を設けています。公式の検索サイトを使えば、自分の地域の制度を探せます。

ここでは、地域の補助をどう探すかという動線と、国・自治体・複数の制度を組み合わせて使えるかという併用のルールを見ていきます。あとで「知らずに損をした」とならないための注意点でもあります。

自治体の補助金の探し方|公式の支援制度検索サイトで調べる

お住まいの自治体の補助は、「地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイト」で市区町村ごとに調べられます。

このサイトは、一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会が運営しています。都道府県を選び、そこから市区町村へと絞り込むことで、その地域で使える支援制度を一覧で確認できます。耐震化、バリアフリー化、省エネルギー化、防災対策、同居対応といった目的別に絞り込むこともできます。まずはここで「自分の住む市区町村に、どんな補助があるか」を把握するのが近道です。

マンションの方は、見つけた制度がマンションの専有部分のリフォームを対象にしているかどうかもあわせて確認してください。自治体の補助には戸建てを念頭に置いたものや、共用部分(管理組合)向けのものも混じっています。自分が個人で申請できる制度かを見極めることが大切です。

自治体の補助は、地域によって中身が大きく変わります。省エネ改修を手厚く支援する自治体もあれば、耐震改修や三世代同居、地元業者を使った工事に補助を出す自治体もあります。国の制度のように全国一律ではないため、隣の市では使えても自分の市にはない、ということが普通に起こります。

申請の前に知っておきたいのが、受付期間です。自治体の補助は予算の枠が決まっており、枠に達すると年度の途中でも受付が終わります。ただし、どの時期に締め切られたかを全国で集計した統計はなく、「年度の前半で終わる」といった時期の目安は示せません。受付期間は自治体ごと・年度ごとに変わるため、使う可能性があるなら、早い段階で自治体の住宅課や公式サイトで受付状況を確認してください。

出典: 住宅リフォーム推進協議会 地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイト

補助金は併用できる?|国費同士は不可・目的や財源が違えば可

補助金の併用は、「同じ国費同士は不可、目的や工事や財源が異なれば併用できる場合がある」が基本の考え方です。

国の住宅省エネ2026キャンペーンの3つの事業は、工事の内容を分ければ組み合わせて申請できます。窓の断熱は窓リノベ、給湯器は給湯省エネ、というように別々の工事に対して使う形です。ただし、同じ1つの工事に対して複数の補助を重ねて受けることはできません。

国の補助と自治体の補助は、財源が別であれば併用できることがあります。国のお金と市区町村のお金は出どころが違うためです。ここで落とし穴になるのが、自治体の窓口で申し込む補助でも、その財源が国のお金だった場合です。そのときは国の他の制度と併用できないことがあります。「自治体の制度だから国の制度と別枠だろう」と思い込まず、財源がどこかを確認する必要があります。

補助金と減税は、別の枠組みなので併用できる場合があります。ただし、減税の対象になる工事費から補助金でまかなわれた分を差し引いて計算する調整が入ります。いずれの併用も、最終的な可否は各制度の要綱や自治体の窓口で確認してください。これらの取り扱いは2026年(令和8年)7月時点のもので、予算上限に達し次第、各事業の受付は終わります。

補助金と併せて使えるリフォーム減税|所得税・固定資産税の控除

補助金とは別に、一定のリフォームでは所得税や固定資産税が軽くなる減税制度があります。

対象になる工事のメニューと控除の目安、そして補助金との使い分けを見ていきます。ここで扱うのは、リフォーム工事そのものに対する減税です。住宅ローン全体に関わる減税や、家を売買したときの税の特例には立ち入りません。

リフォーム促進税制|耐震・省エネ・バリアフリー等で所得税を控除

耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化、子育て対応の6つのメニューの工事で、所得税額の控除が受けられます。

仕組みは、国が定める標準的な工事費用相当額をもとに算出された額の10%等を、その年の所得税から差し引くというものです。工事のメニューごとに対象工事限度額と最大控除額が決まっています。

対象工事対象工事限度額最大控除額
耐震250万円25万円
バリアフリー200万円20万円
省エネ250万円(350万円)25万円(35万円)
三世代同居250万円25万円
長期優良住宅化(耐震+省エネ+耐久性)500万円(600万円)50万円(60万円)
長期優良住宅化(耐震または省エネ+耐久性)250万円(350万円)25万円(35万円)
子育て250万円25万円

カッコ内の金額は、太陽光発電設備を設置する場合の値です。対象工事の限度額を超えた分やその他の増改築等工事にも、一定の範囲まで5%の税額控除があります。住宅ローンを使ったかどうかを問わず利用できるのが特徴です。

マンションの専有部分のリフォームでは、省エネやバリアフリーの工事がこの控除の対象になりうる部分です。一方、耐震の工事は建物全体に関わり、マンションでは共用部分として管理組合が扱う話になりやすいため、個人の所得税控除には結びつきにくい点に注意してください。

この制度は、所定の期限までに自ら居住した場合が対象です。令和8年度税制改正で3年延長され、令和8年1月1日〜令和10年(2028年)12月31日に居住する方が対象になりました。固定資産税の減額は5年延長され、令和8年4月1日〜令和13年(2031年)3月31日に工事をした場合が対象です。あわせて、対象となる住宅の床面積要件の下限が50㎡から40㎡に緩和されています。適用には確定申告が必要で、控除額や要件は工事の種類によって細かく分かれます。

出典: 国土交通省「令和8年度税制改正概要」(令和7年12月)

減税がいくらになるかは、工事の内容や納めている税額によって変わります。自分のケースでいくら控除されるかの見積もりや、複数のメニューにまたがる工事の扱いは、税理士に相談すると安心です。これらの内容は2026年(令和8年)7月時点のもので、税制改正で変わる場合があるため、最新の情報を確認してください。

出典: 国土交通省 リフォームに関する減税制度

固定資産税の減額|耐震・省エネ・バリアフリー改修で翌年度分を軽減

一定の耐震・省エネ・バリアフリー改修を行うと、翌年度の家屋の固定資産税が一定割合減額されます。

減額されるのは、改修工事を行った翌年度の1年分が基本です。改修の種類によって、翌年度の税額が次のようになります。

対象工事翌年度の税額
耐震2分の1
バリアフリー3分の2
省エネ3分の2
長期優良住宅化3分の1

耐震改修なら税額が半分に、バリアフリー・省エネなら3分の1減って3分の2に、長期優良住宅化なら3分の2減って3分の1になる、という読み方です。所得税の控除とは別の税目なので、両方の要件を満たせば重ねて使えます。

注意したいのは、この減額を受けるには工事後の申告が必要な点です。改修が終わったあと、決められた期間内に市区町村へ申告しないと減額が適用されません。減額の割合や対象になる工事の細かい要件、申告の期限は市区町村によって運用が異なるため、お住まいの自治体で確認してください。これらの内容は2026年(令和8年)7月時点のものです。

出典: 国土交通省 リフォームに関する減税制度

まとめ:リフォーム補助金を調べるなら、住み替えのトビラ

マンションのリフォーム補助金は、「専有部分か共用部分か」で見ると整理できます。自分(区分所有者)が個人で申請して使えるのは、内窓の設置なら先進的窓リノベ2026、給湯器の入れ替えなら給湯省エネ2026、室内側の断熱やバリアフリーならみらいエコ住宅2026、手すりや段差解消なら介護保険の住宅改修、といった専有部分の工事です。

一方、外壁・屋根・共用廊下・サッシ本体・建物全体に関わる共用部分の工事は、区分所有者個人では申請しません。管理組合が長期修繕計画と総会決議で進め、補助金も管理組合が主体で申請します。自治体の戸建て向け補助や新築の枠も、マンションから住み替える人には基本的に関係ありません。使いたい補助が専有部分の話か共用部分の話かを見分けることが、最初の一手になります。

これらの補助金に加え、所得税や固定資産税の減税も組み合わせれば、工事の負担をより軽くできます。国の制度、自治体の制度、減税は、財源や目的が違えば重ねて使える場合があります。

ただし、補助金は年度ごとに名称も上限も変わり、予算の枠に達すると年度の途中でも受付が終わります。使うつもりがあるなら、その年の制度と自治体の窓口で最新の内容をあなた自身が確かめることが、取りこぼしを防ぐ近道になります。資金計画はファイナンシャルプランナー、税の扱いは税理士、地域の補助は自治体の窓口、共用部分の工事は管理組合と、迷ったら早めに相談先を分けて動くことをおすすめします。

住み替えを取り巻く状況は変わり続けます。住み替えのトビラは、そのときの最新の情報を正確に、わかりやすくお届けし続けます。

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