住み替えの補助金|場面別に使える制度と探し方・注意点

住み替えの補助金|場面別に使える制度と探し方・注意点

マンションを売って住み替えるときは、売却・購入・引っ越し・改修とお金が続くなかで「国や自治体からもらえるお金はないか」を知りたくなる場面です。使える制度は住宅の性能・世帯・移動先で決まり、その多くは自分から探して申請しないと受け取れません。この記事では、住み替えのトビラが、どの場面で・誰が・何を使えるかの見取り図を、順を追って解説します。あわせて、年度で変わる制度の探し方と、つまずきやすい注意点まで一度に整理します。自分の住み替えに関係する制度を絞り込み、当てにしすぎない堅実な計画につなげてください。

この記事の金額はすべて2026年度時点のものです。閲覧は2026年8月。補助金は年度ごとに予算・金額・要件が変わるため、実際に申請するときは各事業と自治体の公式ページで、その年度の内容を必ず確かめてください。以降、各節では基準時点を繰り返しません。

住み替えで使える補助金の全体像|4つの入口で自分の場面を見つける

住み替えの補助金は「住宅の取得・建て替え」「リフォーム・改修」「移住・地域間の移動」「世帯・属性」という4つの入口で捉えると、自分に関係するものを見つけやすくなります。

制度名を先に覚えるより、自分の住み替えがどの入口に当たるかから入るほうが探しやすくなります。各制度の金額や要件は次章から場面別に具体化するので、この章では入口の地図をつかむことに絞ります。

はじめに前提を一つ。住み替えをした世帯が実際にいくつの補助金を受け取ったかを集計した公表統計は見当たりません。ただし、この記事で扱う制度はいずれも住宅の性能・世帯の属性・移動先のいずれかで対象が絞られるもので、引っ越し費用そのものを補助する国の制度はありません。したがって、もらえる前提で計画を立てないという姿勢を、この記事全体で保ちます。

マンションを売って住み替える人の目線で先に見当をつけておくと、次の中古住宅を買って直す場合は「リフォーム・改修」、地方へ移るなら「移住・地域間の移動」が当たりやすい入口です。一方で「住宅の取得・建て替え」の補助は新築や建て替えが中心で、分譲マンションの購入は当てはまりにくい入口になります。理由は場面別の章で仕分けします。

入口の見取り図

入口何で対象が決まるか代表的な制度(例)主な当たり先
住宅の取得・建て替え住宅の省エネ性能みらいエコ住宅2026 など国(所管省庁)
リフォーム・改修工事の中身省エネ・耐震・バリアフリー・介護改修の補助国・自治体
移住・地域間の移動どこへ動くか移住支援金(東京圏から地方へ)国+移住先の自治体
世帯・属性誰か(世帯・年齢・立場)結婚新生活支援 など主に自治体

自分の住み替えがどの行に当たるかを決めれば、次章で確認すべき制度が数個に絞れます。

【場面別】あなたの住み替えで使える補助金・支援制度

自分の住み替えがどの場面かを決めれば、確認すべき制度は数個に絞れます。

前章の4つの入口を、実際の住み替えの動き方に置き換えて具体化します。国の代表的な制度を中心に、誰が対象で・どのくらいの規模で・どこへ確認するのかを整理します。マンションから住み替える人に当たりやすいものと、関係の薄いものも仕分けします。

地方へ移住して住み替える|移住支援金(東京圏から地方へ)

東京23区に住むか通勤していた人が地方へ移り、仕事も条件を満たすと、移住支援金を受けられる場合があります。都心のマンションを売って地方へ移る住み替えでは、当たり先になりやすい制度です。

金額は、国が示す基準で世帯移住100万円以内、単身60万円以内、18歳未満の子1人につき100万円以内の加算です。いずれも「以内」であり、実際の額は移住先の自治体が設定します(単身は都道府県が設定する額です)。とくに子の加算は自治体によって幅があるため、「子が2人だから200万円」と先に見積もらないでください。行き先の自治体のページで、その年度の実際の支給額を確かめる必要があります。

対象になるには要件があります。移住の直前の10年間で通算5年以上、東京23区に在住していたことが基本で、直近1年以上は23区に在住または通勤していることが求められます。移住後は、移住先が指定する企業への就業や、テレワークでの継続就業、起業などが条件になります。対象になる企業や地域は自治体ごとに指定されるため、行き先によって使えるかどうかが変わります。

金額も要件も、実施する自治体と年度で細かく異なります。最新は移住先の自治体や国のポータルで確認してください。

出典: 地方創生「移住支援金」(内閣官房・内閣府)

省エネ性能の高い家に建て替える・買い替える|住宅取得の補助

新築や建て替え、省エネ性能の高い住宅の取得では、国の住宅取得補助を使える場合があります。ただし、この入口は主に戸建ての新築・建て替えが対象で、分譲マンションを買って住み替える人には当てはまりにくい点を先に押さえてください。

2026年度の代表的な制度が、国土交通省の「みらいエコ住宅2026事業」です。GX志向型住宅・ZEH水準住宅・長期優良住宅といった省エネ性能の区分ごとに、対象になるかどうかと補助の枠が変わります。区分によっては子育て世帯や若年夫婦の要件が付くものもあり、着工日などのスケジュール要件もあります。

マンションからの住み替えで注意したいのは、対象の中心が注文住宅や建売の新築戸建てだという点です。分譲マンションの一室を買う場合は、この住宅取得補助の対象になりにくく、多くの人にとっては関係の薄い入口になります。新築分譲でも、住戸の省エネ性能や事業の区分によって扱いが変わるため、気になる場合は必ず公式ページで対象要件を確かめてください。区分ごとの具体的な金額や、性能等級を横断した早見表は、等級の突き合わせを誤ると読者の判断を誤らせるため、この記事では扱いません。詳しくは省エネ住宅の優遇をまとめた記事にゆずり、ここでは「省エネ性能が高いほど枠が大きくなる」「マンション購入は対象外になりやすい」という規模感と当たり外れまでにとどめます。

一点、年度の取り違えに注意してください。過去に実施された「こどもエコすまい支援事業」や「子育てエコホーム支援事業」は、当年度の事業とは別物です。制度名で検索するときは、2026年度の現行事業かどうかを公式ページで確かめてください。

補助金とあわせて、住宅ローン控除などの税の優遇も住み替えでは検討の対象になります。補助金は受け取るお金、税優遇は納める税を減らす仕組みで、原資も手続きも別なので、切り分けて確認すると漏れにくくなります。

出典: 住宅:みらいエコ住宅2026事業について(国土交通省)

住み替えで住宅ローン控除は使える?2回目の条件と2026年改正を自己判定 住み替えで住宅ローン控除は使える?2回目の条件と2026年改正を自己判定

中古マンションや新居をリフォームして住む|改修の補助

住み替えに伴う改修は、工事の中身ごとに補助や減税の入口があります。中古マンションを買って専有部を直してから住む買い替えでは、この入口が当たりやすくなります。

省エネ改修・耐震改修・バリアフリー改修・介護のための改修など、目的の異なる制度がそれぞれ用意されています。中古のマンションを買って自分好みに直す場合や、いま住むマンションに手を入れてから貸す・売る場合でも該当することがあります。マンションでは工事の対象が自分の専有部に限られ、共用部の耐震や配管は管理組合の範囲になる点は、戸建てと違うところです。金額や要件の詳細はリフォーム補助金をまとめた記事にゆずり、ここでは入口の種類を押さえます。

なお、介護のための住宅改修には、補助金とは別の仕組みもあります。介護保険の住宅改修は厚生労働省が所管する制度で、国土交通省が所管する住宅の補助とは窓口も原資も異なります。手すりの取り付けや段差の解消などが対象で、持ち家のマンションでも専有部の工事であれば使える場合があります。

ここで気をつけたいのが20万円という額の意味です。20万円は「支給限度基準額」であって、給付される額の上限ではありません。介護保険法は給付を「現に要した費用の額の百分の九十に相当する額」と定めており、自己負担が1割なら給付の上限は18万円、2割なら16万円、3割なら14万円になります。2割・3割になるのは第1号被保険者(65歳以上)で一定以上の所得がある場合に限られ、40歳から64歳までの第2号被保険者はこの区分に入りません。

なお市町村は条例で支給限度基準額を20万円より高く定めることができます。転居した場合は改めて限度額まで支給を受けられ、要介護状態区分が3段階以上上がった状態で行った改修も改めて20万円まで支給されます(この取扱いは1回に限られます)。

出典: 福祉用具・住宅改修(厚生労働省)

出典: 介護保険法第45条第3項・第49条の2(e-Gov法令検索)厚生労働省「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」(老企第42号)

子育て・若年夫婦世帯で住み替える|結婚新生活支援など

夫婦の年齢と世帯所得の要件を満たす結婚に伴う住み替えでは、家賃や引っ越し、住宅取得費の一部を補助する「結婚新生活支援事業」を使える自治体があります。

国の基準(2026年度)では、夫婦ともに婚姻日時点で29歳以下の世帯は1世帯あたり上限60万円、39歳以下の世帯は上限30万円です。世帯所得が500万円未満であることも要件になります。対象になる経費は、新居の購入費・家賃・敷金礼金・仲介手数料・引っ越し費用などです。

この制度は、こども家庭庁の交付金を原資に各自治体が実施します。上限額や年齢区分、所得の線引きは自治体が設定するため、実際の金額は住む場所で変わります。実施していない自治体もあり、実施している自治体の数を集計した公表値は本記事では確認していません。制度があるかどうかから、住む予定の自治体で確かめてください。あわせて、子育て世帯の住み替えや住宅取得を、自治体が独自に支援している例もあります。

出典: 地域少子化対策重点推進交付金(こども家庭庁)

高齢者や立退きで住み替える|転居費用の助成

高齢者の住み替えや、建物の取り壊しに伴う立退きの転居に対して、費用の一部を助成する自治体制度があります。老朽化したマンションの建て替え・取り壊しに伴う転居でも、いま住む自治体に助成があれば対象になり得ます。

金額の規模は小さめで、実施の有無や助成額は自治体によって差が大きくなります。属性を起点にした制度は、実施している自治体でのみ使えます。

似た支援と混同しやすい点にも触れておきます。離職や収入減で家賃の支払いが難しくなったときの「住居確保給付金」は、住み替えの転居費用とは性質の異なる制度です。困窮時の家賃を一定期間支える仕組みで、住み替えを後押しするものではありません。

補助金の探し方|自治体差が大きく年度で変わる前提で動く

住み替えの補助金は、覚えるより自分の条件で探すもので、探す順番を決めると取りこぼしにくくなります。

制度は自治体ごとに有無・金額・要件が違い、年度で予算や期限も変わります。だからこそ、一覧を暗記するより「どこを・どの順で見るか」という探し方の型を持つほうが役立ちます。この章では、その型を3つの視点で整理します。

「今の家の自治体」と「引っ越し先の自治体」の両方を調べる

補助金は住む場所で決まるため、現住所と引っ越し先の両方の自治体を調べます。

制度によって、窓口になるのが今の家の自治体か、引っ越し先の自治体かが分かれます。移住支援金は移住先の自治体が窓口です。一方で立退きや高齢者の転居助成は、いま住んでいる自治体の制度であることが多くなります。いま持っているマンションのある自治体と、次に移る先の自治体、どちらか片方だけを見ると使える制度を見落とします。

探すときは、各自治体の公式サイトを起点にします。「住まい」「移住・定住」「子育て」といったページから、住宅や転居に関する支援をたどると見つけやすくなります。制度名がわからないときは、自治体名と「住み替え 補助」「移住 支援金」などを組み合わせて検索し、たどり着いた先が公式サイトかどうかを確かめてください。

国の制度と自治体の制度を分けて確認する

国の制度と自治体独自の制度は、原資も窓口も別なので、分けて確認すると漏れにくくなります。

国の制度は、所管する省庁のポータルが情報の入口です。移住支援金は地方創生、住宅取得の補助は国土交通省、結婚新生活支援はこども家庭庁というように、施策ごとに担当が分かれています。まず国の制度で自分が該当しそうなものを押さえ、そのうえで住む自治体の窓口に独自の上乗せや別制度がないかを確認する、という順で見ると整理しやすくなります。

自治体側の窓口は、制度の目的ごとに担当課が分かれます。住まいの支援は住宅関連の課、子育て世帯向けは子育て支援の課、というように分かれるため、総合窓口で目的を伝えて案内してもらうのが近道です。

年度・予算・申請期限をその都度確認する

同じ名前の制度でも、年度によって金額・期限・予算枠が変わり、先着や予算上限で締め切ることがあります。

補助金の多くは年度ごとの予算で動きます。予算上限に達した時点で受付を終える制度があり、過去の事業がいつ締め切られたかを一覧にした公表値は見当たりませんが、締切が年度末とは限らないという点は押さえておいてください。使いたい制度があるなら、その年度の公式ページで受付状況と期限を早めに確認し、予算の消化状況を示すページがあれば併せて見ておくのが確実です(住宅取得の補助事業では、予算の執行状況を公式サイトで公開している例があります)。

タイミングの管理も欠かせません。住宅取得や改修の補助は、契約・着工・引っ越しの時期と申請できる期間が結びついています。動き出す前に申請したのでは対象外、動いたあとでは締め切り済み、というずれが起きやすいところです。マンションの売却と購入の段取りを組むときに、使いたい補助の申請時期も一緒に並べておくと取りこぼしにくくなります。あわせて、過去に終了した事業を現行と取り違えないよう、検索で出てきた情報が当年度のものかを必ず確かめてください。

補助金を使うときの注意点|損しないための3つの落とし穴

補助金はもらえる前提で計画すると危うく、併用の制限・受給後の課税・申請の順序でつまずきやすくなります。

金額をどこまで当てにできるか、他の制度と重ねて使えるかは、早めに詰めておきたいところです。ここでは性質の異なる3つの落とし穴を取り上げます。

制度どうしの併用制限がある

国と自治体、あるいは同じ目的の補助は、併用できないことがあります。

同じ工事や同じ目的に対して二重に補助を受けられないのが原則です。たとえば省エネ改修で国の補助と自治体の補助の両方が用意されていても、どちらか一方しか使えない場合があります。複数の候補があるときは、どれを使うと手取りが多くなるかを事前に見比べる必要があります。

併用できるかどうかは制度と年度で変わるため、ここで可否を言い切ることはできません。候補の制度をそれぞれの公式ページで確認し、併用の可否と、併用できないときにどれが有利かを整理しておくと安全です。

補助金・給付金が課税対象になることがある

受け取った支援金や給付金は、一時所得などとして課税の対象になり、確定申告が必要になる場合があります。

移住支援金のように金額が大きいものほど、受け取ったあとの税の扱いを事前に確認しておく意味があります。想定していた手取りが、税の分だけ目減りすることもあるためです。

課税されるかどうかや申告の要否は、制度の性質や受け取る人の状況によって変わります。ここで一律に判断することはできないので、確定は税務署や税理士に確認してください。個別のお金の計画を含めて相談したい場合は、ファイナンシャルプランナーに整理してもらう方法もあります。

「もらえる前提」で資金計画を立てない

補助金は審査・先着・予算枠で受けられないこともあるため、資金計画は補助金ゼロでも成立する形で組むのが安全です。

要件を満たしていても、予算に達していて受けられない、審査に通らない、申請時期がずれて対象外になる、といったことは起こります。補助金を頭金や必要資金に組み込んでしまうと、受けられなかったときに計画そのものが崩れます。

そこで、補助は「受け取れれば上乗せ」の扱いに置くのが堅実です。マンションの売却で手元に入るお金と自己資金、ローンだけで成立する計画を土台にします。そのうえで補助金が下りれば、返済や手元資金に余裕が生まれる、という順で考えます。費用の全体像から自己資金の目安まで整理したい場合は、費用シミュレーションで見通しを立てると計画を組みやすくなります。

住み替え費用シミュレーション|手取り額を自分で出す5ステップ 住み替え費用シミュレーション|手取り額を自分で出す5ステップ

まとめ:住み替えの補助金を探すなら、住み替えのトビラ

住み替えで使える補助金は、住宅の取得・建て替え、リフォーム・改修、移住、世帯や属性という4つの入口で捉えると、自分に関係するものを絞り込めます。マンションを売って住み替える人なら、中古を買って直すリフォーム改修や、地方へ移る移住支援金が当たりやすく、新築・建て替え中心の住宅取得補助は関係が薄くなりがちです。まず自分の住み替えがどの入口かを決め、場面別に該当しそうな制度を数個まで絞るのが近道です。

制度は自治体ごとに有無や金額が異なり、年度で予算も期限も変わります。今の家と引っ越し先の両方の自治体を調べ、国の制度と自治体の制度を分けて確認し、その年度の受付状況を早めに押さえてください。

補助金は当てにしすぎないことも大切です。併用の制限や受給後の課税、予算切れの可能性を踏まえ、あなたが補助金ゼロでも成立する計画を土台に置いて判断できるようにしておきましょう。そのうえで受け取れれば上乗せ、と考えるほうが、住み替えは安心して進められます。

住み替えを取り巻く状況は変わり続けます。住み替えのトビラは、そのときの最新の情報を正確に、わかりやすくお届けし続けます。