浴室の出入りや室内のちょっとした段差に「そろそろ危ないかもしれない」と感じ始めると、多くのマンション所有シニアが同じ岐路に立ちます。今の住まいを直して住み続けるのか、それとも住み替えるのか。どちらが正解かは、工事費の安さだけでは決まりません。この記事では、住み替えのトビラが、リフォームの費用と使える補助・減税から、リフォームでは変えられない立地や、マンションならではの「専有部と共用部の壁」までを、順を追って解説します。読み終えるころには、自分はどちらに向いているのかを、感情ではなく事実で判断する材料がそろいます。
バリアフリー化は「リフォームで住み続ける」か「住み替える」かの二択で考える
バリアフリー化の損得は、工事費の安さに加えて、住まいの立地・構造・これから何年住み続けたいかまで含めて考えると、途中で逆転します。
リフォームと住み替えは、「安全に暮らす」という同じゴールへ向かう別のルートです。今の住まいを直して住み続ける道も、住み替えて環境ごと変える道も、それぞれに向く人と向かない人がいます。どちらが正解かは、住まいの状況とこれからの暮らし方によって変わります。この先の章で、まず費用と補助・減税を見て、次にリフォームで変えられない部分を確かめ、最後に自分がどちらに向くかを順番に比べていきます。
とくにマンションでは、室内を直せても玄関から先の共用部やエレベーターは自分だけでは動かせません。この「専有部と共用部の壁」が、住み続けるか住み替えるかを分ける決め手になります。詳しくは後の章で扱います。
バリアフリーリフォームの費用と、補助金・減税でどこまで下げられるか
リフォームの費用は工事の範囲で大きく変わりますが、公的な補助と減税を組み合わせると、実際に払う金額はかなり下げられます。
ここで大切なのは、見積書に並ぶ工事費そのものではなく、補助と減税を効かせたあとの「実負担」で見ることです。この実負担が、あとで住み替えと比べるときの土台になります。この章では、リフォーム側の実負担をどう作るかだけを扱います。住み替えとの損得の比較は、後の判断軸の章でまとめて行います。
工事内容別の費用の目安
バリアフリーリフォームの費用は、手すり1本の取り付けから水回りをまとめて変える工事まで、内容によって数万円から数百万円まで幅があります。
工事の規模ごとの費用感は、次の目安で整理すると全体像がつかめます。
| 工事の規模 | 費用の目安 |
|---|---|
| 手すりの取り付け・小さな段差の解消 | 数万円程度から |
| 浴室・トイレなど水回りの改修 | 数十万円〜百数十万円程度 |
| 間取りの変更を伴う大規模工事 | 数百万円規模 |
これらはあくまで目安で、住宅の状態や工事の範囲、地域によって大きく異なります。マンションの場合、床材の遮音等級や水回りの位置など管理規約の制約で工事の内容が限られることもあります。まずは複数の施工会社から見積もりを取り、どこまで直すと安全に暮らせるのかを、費用と合わせて確かめるとよいでしょう。
介護保険の住宅改修費は上限20万円・自己負担は原則1割
要介護・要支援の認定を受けている人は、介護保険から住宅改修費の給付を受けられます。支給限度基準額は20万円で、そのうち原則9割が保険でまかなわれ、自己負担は1割です。
20万円の工事をした場合、保険給付は18万円、自己負担は2万円が基本です。所得によっては自己負担が2割または3割になります。この20万円は要介護度にかかわらず一律で、複数回に分けて使うこともできます。
対象になる工事は、比較的小規模なものに限られます。主に次の種類が対象です。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑り防止や移動を楽にするための床材の変更
- 引き戸などへの扉の取り替え
- 洋式便器などへの便器の取り替え
- これらに付帯して必要になる工事
これらはマンションの専有部、つまり室内の改修にも使えます。手すりの取り付けや浴室・トイレの段差解消、床材の変更、引き戸への交換は、いずれも専有部で行う工事だからです。一方で、エントランスや共用廊下といった共用部は、個人が行う住宅改修にはあたらないため、この給付の対象にはなりません。
利用するには、着工前の申請が必要です。ケアマネジャー(介護支援専門員)に相談し、工事前に市区町村へ書類を出すことが条件になります。工事が終わってから申請しても給付は受けられないため、順番には気をつけてください。
出典: 厚生労働省 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号)
バリアフリー改修の減税(所得税控除・固定資産税の減額)
介護保険とは別に、バリアフリー改修には所得税の控除と固定資産税の減額という2つの減税があります。要件はそれぞれ細かく定められています。
所得税の控除(住宅特定改修特別税額控除)は、その年の所得税から一定額を差し引ける制度です。主な要件は次のとおりです。
- 対象者:50歳以上の方、要介護・要支援の認定を受けた方、障害者、これらの方と同居する方のいずれか
- 標準的な工事費用が50万円を超えること
- 合計所得金額が2,000万円以下であること
- 控除対象限度額200万円まで、その10%を所得税から控除
- 令和10(2028)年12月31日までに居住した場合が対象
固定資産税の減額は、翌年度分の固定資産税を減らす制度です。新築から10年以上を経過した家屋で、補助金を差し引いた工事費が50万円を超えるバリアフリー改修を行うと、家屋のうち100㎡相当分までについて、翌年度の固定資産税が3分の1減額されます。適用期限は令和13(2031)年3月31日までです。
所得税の控除を受けるには、工事の翌年に確定申告が必要です。固定資産税の減額は、工事完了後に市区町村へ申告します。要件の該当や書類の作り方は個別の事情で変わるため、資金計画も含めてファイナンシャルプランナーや税理士に相談すると安心です。
出典: 国土交通省 住宅:リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について
自治体の独自助成は「上乗せ」で使えることがある
介護保険の住宅改修とは別に、市区町村が独自の住宅改修助成を持っている場合があります。介護保険に上乗せする形で使えることもあります。
助成の有無や金額、対象になる工事は自治体によって大きく異なります。高齢者向けに数十万円を上限とする助成を設けている自治体もあれば、制度がない自治体もあります。まずはお住まいの市区町村の高齢福祉や住宅の窓口で、使える助成があるかを確かめてみてください。介護保険の申請と同じく、多くは工事前の申請が条件になります。
リフォームで変えられない「立地」と、マンション特有の「共用部の壁」
リフォームで直せるのは、あくまで自分の住戸の中の設備です。住まいが建っている場所、そしてマンションの共用部そのものは、個人のリフォームでは変えられません。
この「変えられない部分」こそが、住み替えを考える大きな動機になります。工事費の安さだけでリフォームを選ぶと、数年後に「やっぱり暮らしにくい」と感じて後悔することもあります。この章では、リフォームで直せない事実を淡々と確かめます。その裏返しである住み替えの価値は、次の章で扱います。
手すりや段差は直せても、駅からの距離や坂は変えられない
住戸の中の段差や手すりは直せますが、住まいの外の環境は工事では変えられません。最寄り駅やバス停までの距離、家の前の坂道、冬の路面の凍結は、そのまま残ります。
若いうちは気にならなかった駅まで徒歩15分の道のりも、足腰が弱ると大きな負担になります。坂の多い住宅地では、荷物を持っての上り下りがつらくなります。マンションでも、建物までの道のりの条件は個人のリフォームでは動かせません。
さらに考えておきたいのが、運転をやめたあとの暮らしです。今は車で通院や買い物をこなせても、免許を返納すればその足がなくなります。バス停まで遠い、坂がきついといった立地は、車を手放した瞬間に生活のしにくさとして表面化します。室内をどれだけ安全にしても、この外の条件は動かせません。
マンションで自分の判断で直せるのは「専有部」だけ|共用部は管理組合の合意が要る
マンションのバリアフリー改修には、戸建てにはない線引きがあります。自分の判断で直せるのは専有部(室内)だけで、共用部は個人では手を出せません。
専有部にあたるのは、室内の手すりの取り付け、浴室やトイレの改修、段差の解消、床材の変更、引き戸への交換などです。これらは区分所有者である自分の判断で進められます。ただし、床材の遮音等級や水回りの移動など、管理規約で制限がかかる部分もあるため、大きく変えるときは管理規約の確認が必要です。
一方、エントランスの段差やスロープ、共用廊下、そしてエレベーターの有無や後付けは、すべて共用部の話です。共用部を変えるには管理組合の合意、つまり総会での決議が必要で、費用も原則として修繕積立金から出ます。「自分の家の前の段差だけ直したい」と思っても、個人の一存では動かせません。
ここが住み続けるか住み替えるかの分かれ目になります。戸建てなら、床の段差から玄関前まで自分の裁量で直せます。マンションでは、専有部を完璧にしても、玄関を一歩出た先の共用部がバリアのままなら、外出までの安全は自分だけでは完結しません。この違いを踏まえておくと、リフォームで解決するのか、住み替えが必要なのかを見極めやすくなります。
エレベーターがない・低層階だと、専有部を直しても上下移動は解決しない
共用部の問題のなかでも、上下移動は住み続けられるかどうかを大きく左右します。専有部をどれだけ直しても、自宅の玄関にたどり着くまでの上下移動は残るからです。
エレベーターのない低層マンションでは、階段でしか自分の住戸に上がれません。室内を段差のない造りにしても、毎日の外出で共用階段を上り下りする負担は消えないままです。エレベーターがある場合でも、エントランスからエレベーターまでの段差や、外廊下と住戸のあいだの段差など、共用部側の要因が残ることがあります。
エレベーターの後付けは、技術的には方法があっても、建物の構造や敷地、そして費用の面で実現しないことが少なくありません。実施するかどうかは管理組合の合意と資金の問題であり、住民一人の希望では動かせません。専有部の改修だけでは解決しない要因があるなら、住み替えを含めて考える理由になります。
2階の平屋化・庭や外壁の手入れは戸建ての話|マンションでは事情が違う
リフォームで住み続けるかを考えるとき、戸建て向けの情報も多く出てきます。ただ、その多くはマンションから住み替える人には基本的に関係がありません。
たとえば「2階建てを1階だけで暮らせるように工夫する」「階段に昇降機を付ける」といった話は、戸建ての上下移動の悩みです。マンションでは、上下移動は住戸の中ではなく、共用のエレベーターや共用階段の問題であり、前の見出しで見たとおり性質が違います。同じように、敷地の広さや庭の草むしり、外壁・屋根の点検といった維持の手間も、土地と建物を丸ごと持つ戸建て特有の負担です。マンションではこうした庭や外壁は共用部や管理会社の領分で、個人が毎年手を入れる話ではありません。
こうした戸建て前提の情報は、マンション所有者にとっては読み替えが必要です。マンションで効いてくるのは、あくまで専有部と共用部の壁、そしてエレベーターや立地です。ここを軸に考えると、判断がぶれにくくなります。
住み替えを選ぶ場合の費用とメリット・デメリット
住み替えは初期費用こそかかりますが、立地や構造ごと暮らしを組み替えられる点で、リフォームにはない価値があります。
リフォームと対等に比べるには、住み替え側の損得も同じ物差しで見る必要があります。この章では、住み替えにいくらかかるのかと、その出口である今のマンションの売却で何に気をつけるかを整理します。リフォーム向きか住み替え向きかという人物像への当てはめは、次の判断軸の章で扱います。
住み替えにかかるお金(今のマンションの売却と新居の費用)
住み替えの費用は、今のマンションを売った資金を新居に充てるのが基本の流れです。ただし、売却にも購入にも諸費用がかかり、それらは手元から出ていきます。
住み替えで動くお金は、大きく次のように整理できます。
- 今のマンションの売却で得られる資金(諸費用を差し引いた手取り)
- 売却の諸費用(仲介手数料・印紙代・登記費用など)
- 新居の購入費用と諸費用(物件価格・仲介手数料・登記費用・ローン関連費用など)
- 引っ越し費用
住宅ローンの残債がある場合は、売却代金でその完済ができるかが最初の関門になります。売却額が残債を上回れば、その差額を新居の資金に回せます。下回る場合は、預貯金で補うか、住み替えローンなどの方法を検討することになります。
売却で利益(譲渡益)が出た場合には、税金の話も出てきます。マイホームを売ったときの3,000万円特別控除など、負担を抑える特例がありますが、要件は細かく、本記事では深く立ち入りません。譲渡益が出そうな場合は、税理士や、譲渡所得を扱う費用の記事で確認してください。物件価格や諸費用の水準は地域や物件で大きく変わるため、ここで挙げた項目はあくまで目安として捉えてください。
住み替えの出口は今のマンションの売却|「改修済み」が必ず高く売れるとは限らない
住み替えは、リフォームでは変えられなかった立地や共用部を、暮らしごと入れ替えられます。その出口になるのが、今のマンションの売却です。
ここで中立に押さえておきたいのが、バリアフリー改修済みだからといって、その分だけ高く売れるとは限らないという点です。中古マンションの価格は、立地・築年数・管理状態・専有面積といった要素で大きく決まります。手すりの追加や浴室の改修といった個人の内装は、買主の好みや必要性に左右されるため、かけた費用がそのまま査定額に上乗せされる保証はありません。「改修すれば売るときに回収できる」とは考えないほうが安全です。
得られることと失うことを対等に並べると、次のように整理できます。
| 住み替えで得られること | 住み替えで失うこと |
|---|---|
| エレベーターや段差のない住まいで暮らせる | 住み慣れた住まいと環境 |
| 共用部やエレベーターの不安から解放される | 長年の地域のつながり・近所付き合い |
| 買い物・通院・見守りが近くなる | 引っ越しにかかる心身の負担 |
| 新しい住まいに合わせて暮らしを整えられる | 新しい環境に慣れるまでの時間 |
前の章で見た「変えられない事実」は、住み替えると裏返しの価値になります。駅までの距離や坂は、駅近への住み替えで解消します。エレベーターのない不安や共用部の段差は、バリアフリー設計の住まいへ移れば消えます。これが住み替えの大きな利点です。
ただし、失うものも軽くありません。何十年も暮らした住まいには愛着があり、近所の人との関係も長い時間をかけて築いたものです。引っ越しそのものが高齢になるほど負担になり、新しい環境になじむにも時間がかかります。得だけ、損だけで判断せず、両方を天秤にかけることが大切です。
あなたはどちら向き?リフォームと住み替えの判断軸
どちらが得かは、住まいの立地・構造・資金、そしてこれから何年住み続けたいかで決まります。同じ条件でも、人によって正解は逆転します。
ここまでの費用と限界を踏まえて、自分の状況を当てはめて考える章です。まず二択を同じ物差しで並べたうえで、それぞれに向く人物像を確かめ、迷ったときに事実を確かめる順番を示します。
リフォームと住み替えを、費用の実負担も含めて並べると次のようになります。
| 判断軸 | リフォームで住み続ける | 住み替える |
|---|---|---|
| 費用の実負担 | 工事費が一度に出る。補助・減税で圧縮でき、介護保険で最大18万円軽くなる | 売却代金で新居費用を回収しつつ、売買の諸費用と引っ越し費用が出る |
| 立地 | 駅からの距離・坂は変えられない | 立地ごと選び直せる |
| 専有部(室内) | 手すり・段差・水回りは自分の判断で直せる | バリアフリー設計の住まいを選べる |
| 共用部・エレベーター | 個人では直せない。管理組合の合意が要る | エレベーターや共用部の段差をなくせる |
| 住み続けたい年数 | 数年で環境が合わなくなると割高になりやすい | 長く住むほど住み替えの費用が生きる |
| 家族の見守り | 今の場所で在宅を続けやすい | 子の近くや医療の近くへ寄せやすい |
この表で注目してほしいのが、いちばん上の「費用の実負担」です。リフォームは工事費が一度に出ますが、介護保険で最大18万円、さらに所得税の控除と固定資産税の減額で負担を圧縮できます。住み替えは、今のマンションの売却代金で新居費用の多くをまかなえる一方、売買の諸費用と引っ越し費用が出ていきます。工事費という一時の支出と、売却で回収しながら諸費用が出る住み替えとでは、お金の出方の性質が違います。表示される金額の大小に加えて、この性質の違いを踏まえて比べることが大切です。
【リフォーム向き】立地に満足・専有部で暮らしが成り立つ・住み慣れた家に居たい
今の立地に不満がなく、専有部の改修だけで暮らしが成り立つなら、リフォームで住み続ける道が合っています。
具体的には、次のような人がリフォーム向きです。駅や買い物先までの距離が苦にならず、家の前の坂の心配も少ない。マンションにエレベーターがあり、エントランスから住戸までの共用部に大きな段差がない。あとは室内の手すりや浴室・トイレを直せば、日々の暮らしの安全を確保できる。初期費用はできるだけ抑えたく、何十年も暮らした住まいや近所付き合いを手放したくない。こうした条件がそろうほど、リフォームの利点が生きます。
介護が必要になったときに、その住まいで在宅の暮らしを続けやすいかも判断材料になります。玄関から居室までの動線が確保でき、訪問介護や家族の手が届きやすい環境なら、住み慣れた住まいで暮らし続ける選択に無理がありません。今の暮らしを大きく変えずに、安全だけを足していきたい人に向いた道といえます。
【住み替え向き】共用部やエレベーターがバリア・立地に不満・暮らしごと変えたい
今の立地や共用部の造りに無理があり、専有部を直すだけでは安全が確保できないなら、住み替えて暮らしごと変える道が合っています。
具体的には、次のような人が住み替え向きです。マンションにエレベーターがない、または低層階でも共用階段の上り下りがつらい。エントランスや共用廊下に段差があり、それが共用部のため個人では直せない。駅やバス停が遠く、坂で外出がおっくうになっている。これから先は、買い物や通院、家族の見守りが近い環境で暮らしたい。こうした不満が積み重なっているほど、室内を直すだけでは解決しにくく、住み替えの価値が大きくなります。
将来的に施設への入居や、子どもとの近居まで見据えている場合も、住み替えが選択肢に入ります。足腰が元気なうちに立地の良い住まいへ移っておくと、引っ越しの負担も軽く済み、その後の暮らしの選択肢も広げやすくなります。年齢を重ねてからでは動きにくくなるため、決断の時期も判断材料のひとつです。
迷ったら確かめる順番(専有部と共用部→立地→資金→住み続けたい年数)
どちらとも決めきれないときは、感情ではなく事実から確かめると、判断がぶれにくくなります。確かめる順番を決めておくのがおすすめです。
次の順で自分の状況を書き出してみてください。
1. 専有部と共用部:室内の改修で暮らしが成り立つか、それとも共用部やエレベーターが壁になるか 2. 立地:駅・買い物・通院の便、坂、車を手放したあとの動線 3. 資金:リフォームの実負担と、住み替えたときの手取りや諸費用 4. 住み続けたい年数:あと何年、この住まいで暮らしたいか
「住み慣れているから」という気持ちは大切ですが、それだけで決めると、数年後に暮らしにくさが表面化することもあります。まず事実を並べ、そのうえで気持ちを重ねると納得のいく判断に近づきます。
判断の途中で専門家の力を借りると、迷いが減ります。減税や資金計画はファイナンシャルプランナーや税理士、介護保険の住宅改修はケアマネジャー、共用部の改修は管理組合や管理会社、マンションの売却は宅地建物取引士が、それぞれ相談先の目安です。何を誰に聞くかを決めておくと、動き出しやすくなります。
まとめ:リフォームか住み替えか迷ったら、住み替えのトビラ
リフォームと住み替えは、どちらが優れているかではなく、自分の状況に合うかどうかで選ぶものです。工事費の安さだけを見て決めると、後から立地や共用部の不満が表面化することがあります。
費用は、見積もりの額そのものではなく、補助と減税を効かせたあとの実負担で比べてください。介護保険や所得税の控除、固定資産税の減額を使えば、リフォームの負担はかなり下げられます。住み替えは、売却代金で新居費用を回収しつつ諸費用が出るという、性質の違うお金の動きになります。
最後に大切なのは、マンションでは専有部しか自分では直せず、共用部やエレベーターには手が届かないという事実を直視することです。専有部と共用部・立地・資金・これから住み続けたい年数を順に確かめれば、あなたは自分がどちらに向いているかを見きわめられます。
住み替えのトビラは、不動産仲介を持たない中立の立場です。『今は住み替えない』という選択肢も含めて、あなたにとって後悔のない判断をお手伝いします。
住み替えのトビラ 
