東急リバブルAI査定の1.98%は担当者の査定との差|査定価格の使い方

東急リバブルAI査定の1.98%は担当者の査定との差|査定価格の使い方

東急リバブルのスピードAI査定は、無料の会員登録をすると、自分の部屋の査定価格がその場で表示される仕組みです。大手の名前と「誤差率1.98%」という数字を見て、精度が高いと感じる方は多いと思います。

先に答えを言います。1.98%は、AIが東急リバブルの査定担当者の査定価格をどれだけ再現できるかを示す誤差率の中央値で、成約価格との差とは別です。スピードAI査定の査定価格も、売り出し価格のデータと担当者の査定データから作られるので、「担当者に査定を頼んだらいくらと言われるか」に近い数字になります。この性格が分かれば、査定価格は訪問査定の予測値として、公的な成約事例は予算の下限として、住み替え(買い替え)に使えます。

この記事では、東急リバブルAI査定で確認できる範囲、査定価格がずれる理由、住み替えの判断に使うコツ、訪問査定に進む前の注意点、向かないマンションの代わりの手段を順に説明します。

東急リバブルAI査定で確認できる範囲

東急リバブルは、売買仲介ネットワーク231店舗(2026年6月4日時点)、年間売買仲介取扱件数33,922件(2025年度)の大手仲介会社です。スピードAI査定は、2020年10月に自社サイトへ導入された機能で、営業担当者が関わる前の段階で、自分の部屋の価格を見られます。

使う段階は3つあり、担当者が関わる線がどこにあるかを先に整理します。

段階何が出るか入力営業担当者の関与連絡
会員登録+AI査定住戸単位の査定価格(マンションは賃料の査定も)マンション名・部屋番号・検討状況・氏名(電話番号の欄はなし)なし案内メールのみ
訪問査定担当者が部屋を見て出す査定価格連絡先・部屋の詳細担当者1名担当者から
仲介・売却保証売却活動・期間内に売れなければ買い取り媒介契約担当者担当者から

出典: 東急リバブル「不動産売却」

会員登録で表示される住戸単位の査定価格と想定賃料

スピードAI査定を使うには、東急リバブルの無料会員サービス「Myリバブル」に登録します。公式ページは特徴として「電話番号は不要です」「その場でAI査定結果をチェック」と書いています。

入力欄も現物で確かめられます。マンションの入力画面にあるのは、マンション名・部屋番号・検討状況(売りたい/貸したい/どちらか検討中)・お名前とふりがなの4項目にとどまります。あわせて「ご所有者様限定のサービスです」と添えられていて、査定額は会員ページで確認する形です。登録できる物件は3件までです。

広さや間取りを自分で入力する欄はありませんが、出るのは棟の平均ではなく住戸単位の査定価格です。導入時のリリースは、こう説明しています。

部屋毎の広さや間取り、階数等も考慮した住戸単位での査定価格を算出する「スピードAI査定」機能を導入しました。

貸した場合の賃料の査定にも対応しています。現行ページには「賃貸のAI査定はマンションのみが対象になります」と注記があり、導入時のリリースも、査定結果に加えて賃貸物件として貸し出した場合の想定賃料が表示されると書いています。売るか貸すかを、同じ画面の数字で比べられるということです。

営業担当者からの連絡については、公式ページが「お客様から依頼があるまで、当社から電話やメールでの連絡はございません」と書いています。案内メールは届きますが、担当者からの電話が始まるのは、自分が依頼したあとです。

出典: 東急リバブル「スピードAI査定」

出典: 東急リバブル「スピードAI査定 物件情報入力」

出典: 東急不動産ホールディングス「東急リバブルホームページに『スピードAI査定』機能を導入」

会員登録をしないで相場だけを知る方法は、別の記事にまとめています。

Myページで見られる同じマンションの売り出し事例と購入希望者数

会員のMyページには、査定価格と一緒に売却の判断に使う情報が載ります。現行のスピードAI査定のページは「最新の査定価格、周辺相場、売出事例など充実した情報をMyページでいつでもチェックできます」と書いています。

導入時の2020年のリリースは、この中身を4つに分けて挙げていました。

情報(2020年の導入時の発表)内容
過去の査定額の変動推移AIが算出した査定価格の動き
同じマンション内で過去に売り出された物件情報「価格は売り出し年月時点での売り出し価格であり、成約価格ではありません」と注記
周辺相場の推移対象マンションの周辺エリアの相場
周辺エリアの売り出し中物件数と購入希望者数「当社に依頼いただいているお客様の人数(月1回更新)」と注記

このうち購入希望者数は、現行のスピードAI査定のページでは名前を挙げて説明されていません。ただし同じ数字は、会員登録をしなくても公式サイトで引けます。東急リバブルの売却ページには「購入希望者数検索」が置かれていて、次のように説明されています。

ご売却を希望される物件周辺で東急リバブルにご登録いただいている購入希望者様の数が価格別でご覧いただけます。

大手仲介の手元にある需給のデータが、そのまま表に出ている形です。この人数を売り出し中物件数と並べると、売り時の見当がつきます。

出典: 東急リバブル「スピードAI査定」

出典: 東急不動産ホールディングス「東急リバブルホームページに『スピードAI査定』機能を導入」

出典: 東急リバブル「マンション売却・査定」

訪問査定で関わる営業担当者

AI査定の先に進むと、訪問査定になります。導入時のリリースは、こう書いています。

実際に売却を希望される場合は、営業担当者がご訪問して、より精緻な査定価格を算出いたします。

担当者が部屋を見て、室内の状態や眺望を反映した査定価格を出す段階です。ここから先は、東急リバブルの担当者1名との関係になります。売却を任せる場合は媒介契約を結び、条件が合えば売却保証(販売期間内に売れなければ、あらかじめ決めた保証額で東急リバブルが購入する仕組み)も使えます。

AI査定と会員登録は担当者なし、訪問査定から先は担当者1名との関係。この線引きを覚えておくと、どこまで進むかを自分で決められます。

出典: 東急不動産ホールディングス「東急リバブルホームページに『スピードAI査定』機能を導入」

東急リバブルAI査定の査定価格がずれる理由

スピードAI査定の査定価格と、訪問査定の額や実際の売却価格が違うことは、よくあります。原因は4つあり、どれも公開されている仕組みから説明できます。

  • 売り出し価格データと担当者の査定データから作られる
  • 誤差率1.98%は、担当者の査定との差
  • 室内の状態と部屋の条件が入らない
  • 営業エリア外と事例の少ないマンションで幅が広がる

売り出し価格データと担当者の査定データから作られる仕組み

導入時のリリースは、スピードAI査定の仕組みをこう説明しています。

過去10年間で市場に売り出された物件の売り出し価格データ(※2)に、当社の営業担当者が直近1年間で実際に行った査定データを統合してAIが査定価格を算出する当社独自の「AI査定」です。

材料は2つです。1つは、いくらで売りに出たかの記録である売り出し価格。売り出し価格は、成約価格より高めに設定されるのが通常です。もう1つは、東急リバブルの担当者が直近1年に出した査定価格。担当者の査定は、売れる価格に寄せて出されます。

この2つを統合した査定価格は、「東急リバブルの担当者に査定を頼んだら、いくらと言われるか」に近い数字になります。実際に売れた価格とは別の数字です。この性格を押さえておくと、査定価格は訪問査定の予測値として使い、予算の下限は公的な成約事例で作る、という使い分けが決まります。

出典: 東急不動産ホールディングス「東急リバブルホームページに『スピードAI査定』機能を導入」

誤差率1.98%が担当者の査定との差である前提

東急リバブルのAI査定について、「誤差率(MER値)1.98%」という数字がよく紹介されます。精度の高さの証拠として引かれますが、何と何の差なのかを見ておく必要があります。

1.98%は、2021年に東急リバブルが株式会社Ristと開発した、社内向けの「マンション価格査定AI」の検証結果です。リリースの見出しは「東急リバブルの査定担当者と同等水準(MER値1.98%)の査定価格を算出できる」と書いています。MER値は「Median Error Rate:誤差率の中央値」で、検証は「東急リバブル査定担当者が作製した検証用データ96件による検証結果」、学習には「査定担当者3名による1,000件を超える査定データ」を使っています。

つまり1.98%は、AIが担当者の査定価格をどれだけ再現できるかの数字です。査定価格が成約価格にどれだけ近いかの数字とは別です。1.98%を実際の売却価格との誤差と読むのは、行き過ぎです。

もう1つ、中央値だけを見ないことです。同じリリースは検証結果の分布も出しています。

誤差率(96件の検証)
中央値(MER値)1.98%
平均値2.47%
最大値7.96%
最小値0.02%

中央値が1.98%でも、最大値は7.96%です。仮に4,000万円の部屋に当てはめると、4,000万円×7.96%=318万円で、担当者の査定と300万円以上離れた件もあったことになります。中央値は順番に並べた真ん中の1件の数字であり、自分の部屋がどこに来るかは別の話です。

このAIは2022年初頭に首都圏の売買仲介店舗へ組み込む予定と発表され、2024年2月14日には特許(特許第7437560号)も取得しています。マンション版のMER値1.98%に加えて、土地戸建版は3.88%と公表されています。一方で、この社内向けAIと消費者向けのスピードAI査定がどう関係するかは、どのリリースにも書かれていません。

出典: 東急リバブル「『マンション価格査定AI』を開発(ニュースリリース)」

出典: 東急リバブル「AIによる不動産価格査定に関する技術が特許を取得(プレスリリース)」

成約価格との誤差率を公開しているAI査定の実例は、別の記事で見ています。

室内の状態と部屋の条件が入らない仕組み

スピードAI査定は住戸単位なので、広さ・間取り・階数は査定価格に反映されます。それでも、室内の状態、リフォームの有無、日当たり、眺望、角部屋かどうかは、査定価格の外に残ります。入力画面にあるのは、マンション名・部屋番号・検討状況・氏名の4項目だけで、部屋の状態を伝える欄が置かれているのは訪問査定から先です。

だから導入時のリリースも、訪問査定で「より精緻な査定価格を算出」と書いています。訪問査定は、AIに入らない条件を人が見て補う工程です。

裏を返せば、部屋の強みはAI査定の査定価格の外にあります。訪問査定のときに自分で伝える余地が、ここに残っています。

出典: 東急リバブル「スピードAI査定 物件情報入力」

出典: 東急不動産ホールディングス「東急リバブルホームページに『スピードAI査定』機能を導入」

営業エリア外と事例の少ないマンションで幅が広がる原因

スピードAI査定の対象について、現行ページは「当社営業テリトリー内に限ります」と書き、導入時のリリースも「営業エリア内でも一部の物件は除きます」と添えています。営業エリア外のマンションは、そもそも査定価格が出ません。

営業エリア内でも、売り出し事例や担当者の査定データが少ないマンションでは、AIが参照できる材料が少なく、幅が広がります。社内向けの査定AIには、比較事例が少ない場合や類似性が低い場合に担当者へ知らせる「自信度算出AI」が組み込まれていますが、スピードAI査定の画面にその判定が出るかは公表されていません。

自分のマンションの事例が少ないかどうかは、Myページの同じマンション内の売り出し事例の件数と、公的な成約事例の件数で見当がつきます。

出典: 東急リバブル「スピードAI査定」

出典: 東急リバブル「『マンション価格査定AI』を開発(ニュースリリース)」

AI査定の数字がどこまで当たるのかという考え方は、別の記事で整理しています。

東急リバブルAI査定を住み替えの判断に使うコツ

住み替えでは、売却額が次の家の購入予算、住宅ローンの残債の返済、諸費用の原資になります。スピードAI査定の査定価格とMyページの情報を、この判断に使う手順は5つです。

  1. 査定価格を訪問査定の予測値として使い、成約事例で下限を作る
  2. 同じマンションの売り出し事例を、売り出し価格の上限として読む
  3. 購入希望者数と売り出し中物件数で、売り時を測る
  4. 賃料の査定額で、売るか貸すかを利回りで比べる
  5. 毎週更新の推移で、売り出しの時期を決める

査定価格を訪問査定の予測値として使い成約事例で下限を作る

スピードAI査定の査定価格は、売り出し価格のデータと担当者の査定データから作られるので、「東急リバブルの担当者に頼んだらいくらと言われるか」に近い数字です。だから、この数字は訪問査定の予測値として使います。訪問査定の額がここから大きく離れていたら、その理由を聞く材料になります。

予算を組む材料は、実際に売れた価格です。

材料提供元分かること
不動産情報ライブラリ国土交通省地域・築年・面積帯ごとの取引価格
レインズマーケットインフォメーション不動産流通機構直近1年の成約価格の分布

どちらも無料で、登録なしで見られます。マンション名は伏せられていますが、自分の部屋に近い条件の成約価格が分かります。

査定価格4,200万円・近い条件の成約事例3,900万〜4,300万円・ローン残債3,000万円の場合(金額はすべて仮の値です)

住み替えの予算は、下限の3,900万円で組みます。手元に残る見込みは、下限で3,900万円−3,000万円=900万円、上限で4,300万円−3,000万円=1,300万円。同じ部屋で400万円の差があります。査定価格の4,200万円で組むと手元は1,200万円ですが、成約が下限側だったときに、次の家の頭金が300万円足りなくなります。

自分の数字に置き換えるときは、成約事例の最低額と最高額をこの式に入れ、残債は金融機関から届く残高証明書か返済予定表の残高を使います。仲介手数料などの諸費用と、売却益が出た場合の税金は、この計算の外にあります。

出典: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」

出典: 不動産流通機構「レインズマーケットインフォメーション」

同じマンションの売り出し事例を売り出し価格の上限として読む

Myページの同じマンション内の売り出し事例は、導入時のリリースが「価格は売り出し年月時点での売り出し価格であり、成約価格ではありません」と注記しているとおり、値札の記録です。

これは、自分の部屋を売り出すときの上限の目安になります。同じマンションで同じ広さの部屋が4,500万円で出ていたなら、それより高く出せば売れにくく、低く出せば早く売れます。長く売れ残った事例があれば、その価格では買い手がつかなかったという情報でもあります。

売り出し価格の水準は、会員登録をしなくても公式サイトで引けます。売却ページの「周辺売出相場検索」は、こう説明されています。

ご売却を希望される物件周辺で、東急リバブルが販売している物件を検索し、面積・間取り等から平均価格、価格別の分布表をご覧いただけます。売出価格の大まかな目安としてご利用ください。

売り出し事例は上限、成約事例は下限。この2つで幅を作り、査定価格がその幅のどこにあるかを見ます。

出典: 東急不動産ホールディングス「東急リバブルホームページに『スピードAI査定』機能を導入」

出典: 東急リバブル「マンション売却・査定」

購入希望者数と売り出し中物件数で売り時を測る

購入希望者数は、東急リバブルに「このエリアで買いたい」と依頼している人の数です。導入時のリリースは、Myページに表示される数字を「当社に依頼いただいているお客様の人数(月1回更新)」と注記していました。公式サイトの「購入希望者数検索」を使えば、会員登録をしなくても、沿線と駅を選んで価格別の人数を引けます。

売り出し中物件数と並べると、需給の向きが読めます。

状態読み方売り出し価格の置き方
購入希望者数 > 売り出し中物件数買い手が物件を探している上限寄り
購入希望者数 < 売り出し中物件数買い手が物件を選べる下限寄り、または時期を待つ

この数字は東急リバブル1社の手元データなので、市場全体とは別です。それでも、大手仲介の需給を価格帯ごとに見られる指標は、ほかのAI査定にはない持ち味です。月ごとに控えておくと、売り時の判断材料になります。

出典: 東急不動産ホールディングス「東急リバブルホームページに『スピードAI査定』機能を導入」

出典: 東急リバブル「マンション売却・査定」

賃料の査定額で売るか貸すかを利回りで比べる

スピードAI査定は、マンションなら賃料の査定にも対応しています。住み替えでは「売る」以外に「貸して次の家を買う」という選択肢があり、賃料の査定額があれば数字で比べられます。

使う式は、次のとおりです。

表面利回り(%) = 想定賃料 × 12 ÷ 査定価格 × 100

想定賃料が月14万円、査定価格が4,200万円という仮の値なら、14万円×12=168万円、168万円 ÷ 4,200万円 = 4.0%です。ここから、管理費と修繕積立金、固定資産税、空室の期間、修繕費を引いたものが、実際に手元に残る収益になります。自分の数字に置き換えるときは、画面に出た賃料の査定額と査定価格をそのまま式に入れます。

もう1つ、大事な注意があります。住宅ローンが残っている部屋を貸す場合、住宅ローンは自宅に住む人のための融資なので、借りている金融機関へ相談するか、賃貸用のローンへ借り換えるかの確認が要ります。扱いは金融機関ごとに違うので、次の家のローンと二重になる点も含めて、契約先に確かめてから判断します。

出典: 東急リバブル「スピードAI査定」

毎週更新の推移で売り出しの時期を決める

スピードAI査定のページには「AI査定価格は毎週更新されます」と書かれていて、導入時のリリースも、Myページに「AIが算出した過去の査定額の変動推移」が表示されると説明しています。一度登録しておけば、自分の部屋の査定価格が上がっているのか、横ばいなのか、下がり始めたのかを追えます。

相場が上がっている間は待つ判断もできますが、上昇が鈍った局面は、売り出しを考える1つの合図です。購入希望者数と合わせて見れば、価格の推移と需給の両方から時期を決められます。

売り出しから成約までは時間がかかるので、次の家の引き渡しから逆算して、余裕を持って動きます。

出典: 東急リバブル「スピードAI査定」

出典: 東急不動産ホールディングス「東急リバブルホームページに『スピードAI査定』機能を導入」

東急リバブルの訪問査定に進む前の注意点

AI査定とMyページで幅と時期の見当がついたら、次は訪問査定です。ここから先は、東急リバブルの担当者との直接のやり取りになります。進む前に知っておきたい点は4つです。

  • 会員登録と訪問査定で、営業担当者に渡る情報の線引き
  • 大手1社の査定になる仕組み
  • 売却保証の提案を受けたときの確認点
  • 依頼時に伝えておく条件

会員登録と訪問査定で営業担当者に渡る情報の線引き

会員登録とAI査定の段階では、公式ページが書いているとおり、担当者からの電話やメールが始まるのは自分が依頼したあとです。ページの注記は「最新価格などのご案内メールは除く」なので、それまでに届くのは案内メールだけです。訪問査定を自分で依頼して初めて、担当者に連絡先と部屋の詳細が渡り、連絡が始まります。

相場を調べる段階と、担当者に連絡先を渡す段階は、はっきり分かれています。まだ売ると決めていないなら、会員登録とMyページまでで止めておけば、届くのは案内メールだけで済みます。

出典: 東急リバブル「スピードAI査定」

大手1社の査定になる仕組み

東急リバブルの訪問査定は、東急リバブル1社の担当者が出す査定です。複数の会社に一度に依頼する一括査定とは違い、この時点で並ぶのは東急リバブル1社の額だけです。

大手の強みは、店舗網と購入希望者の登録数です。公式は売買仲介ネットワーク231店舗(2026年6月4日時点)、年間売買仲介取扱件数33,922件(2025年度)を掲げていて、Myページや購入希望者数検索に出る人数は、その強みの一部です。一方で、担当者ごとに経験や得意なエリアは違います。

査定額をもらうときは、「どの事例を根拠にしたか」「AI査定の査定価格との差はどこから来ているか」を聞きます。根拠を説明できる担当者なら、売り出し後の値下げの判断も根拠つきで進めてくれます。

出典: 東急リバブル「不動産売却」

不動産売却の一括査定サイトおすすめ7選|選び方と組み合わせ方 不動産一括査定サイトのおすすめを「元・査定サイトの中の人」が徹底比較してみた

売却保証の提案を受けたときの確認点

東急リバブルには「リバブル売却保証システム」があります。公式ページの説明では、あらかじめ販売期間と保証額を設定し、販売期間内に成約とならなかった場合は、約束した保証額で東急リバブルが購入する仕組みです。買い取ったあとの再販売で利益が出た場合に売主へ還元する利益還元制度も、あわせて説明されています。1983年7月に導入されたサービスです。

売却保証の利用基準(公式ページのマンションの欄)
  • 保証額: 当社査定価格90%以下かつ1億円以下(首都圏エリアのみ1億5,000万円以下)
  • 販売期間: 3ヶ月以上〜6ヶ月未満
  • 築年数: 昭和57年(1982年)1月以降の築年
  • 面積: 専有面積30㎡以上
  • 種別: 個人の居住用(事業用・収益不動産・店舗などは適用不可)
  • 媒介種類: 専属専任・専任
  • エリア: 当社が日常的に営業・販促活動可能なエリア

住み替えでは、この保証額が「最低でもこの金額は入る」という下限になります。次の家の購入を先に進めたい場合に、資金の見通しが立てやすくなる仕組みです。

保証額は査定価格より低いので、保証額で予算を組めば安全側になります。公式ページのよくある質問は、年間120件前後の適用があり、保証額での買い取りに至るのは年に1,2件で「ほとんどの場合、期日より早く、保証額よりも高い金額で成約」としています(いずれも2020年〜2022年の3年間実績)。使うなら、保証額・販売期間・媒介契約の種類を書面で確かめてから決めます。

出典: 東急リバブル「リバブル売却保証システム」

依頼時に伝えておく条件

訪問査定を依頼するときは、自分の状況と希望を先に伝えておくと、やり取りが短く済みます。

依頼時の伝え方の例

「住み替えを検討中で、時期は未定です。まずはメールで、根拠となる事例を添えて机上の査定をお願いします。売却保証を使う場合の保証額と条件も知りたいです。訪問の日程は、机上の査定を見てから決めます」

そのうえで、東急リバブル1社の査定を相場の答えにしないために、別の仲介会社1〜2社にも机上査定を頼んで並べます。比べるのは額の高さより根拠です。

何社に依頼するかの考え方は、別の記事で詳しく書いています。

東急リバブルAI査定が向かないマンションと代わりの選択肢

スピードAI査定は、東急リバブルの営業エリア内の物件を前提にした仕組みです。該当しない場合や、AIの入力に無い条件で価格が決まる部屋は、別の手段で下限を作ります。

  • 営業テリトリー外と対象外の物件
  • 築年数が古いマンションと個別条件の強い部屋
  • ほかのAI査定と公的な成約事例で補う手順

営業テリトリー外と対象外の物件

現行ページは対象を「当社営業テリトリー内に限ります」とし、導入時のリリースは「営業エリア内でも一部の物件は除きます」と書いています。営業エリア外のマンションは、査定価格の対象から外れます。

営業テリトリーの範囲そのものは、一覧の形では公表されていません。見当をつける材料は2つあります。1つは店舗一覧で、自分の地域に店舗があるかを確かめられます。もう1つは売却データの検索ページで、選べるエリアとして首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城)、関西(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山)、北海道、宮城、愛知、福岡が並びます。ここに入っていない地域なら、次の項の代わりの手段に進みます。

出典: 東急リバブル「スピードAI査定」

出典: 東急リバブル「マンション売却・相場情報を調べる(駅)」

出典: 東急不動産ホールディングス「東急リバブルホームページに『スピードAI査定』機能を導入」

築年数が古いマンションと個別条件の強い部屋

築年数が古く、管理状態や修繕の履歴で価格が大きく動くマンションは、AI査定の入力に無い要素で価格が決まります。同じことは、リフォーム済み、角部屋、高層階、眺望が抜けている部屋にも当てはまります。

こうした強みは査定価格に入らないので、表示された額は実際より低めに見えることがあります。この場合は、訪問査定で部屋を見てもらってはじめて、価格に乗ります。AI査定は担当者に頼む前の予測値として使い、価格は訪問査定で確かめる、と役割を分けます。

AI査定と不動産会社の査定で何が変わるかは、別の記事で整理しています。

ほかのAI査定と公的な成約事例で補う

代わりの手段は2系統あります。

系統使い方
ほかのAI査定成約価格との誤差率を公開しているサービス幅の広さを数字で見る
公的な成約事例+机上査定不動産情報ライブラリ・レインズマーケットインフォメーション+2〜3社成約水準で下限を固め、部屋の強みを人の査定で乗せる

不動産情報ライブラリは不動産の取引価格の情報を、レインズマーケットインフォメーションはマンションと戸建て住宅の売買価格の情報を、それぞれ無料で公開しています。どちらも登録なしで見られます。

事例が薄い物件ほど、その地域で実際に売った経験のある会社の机上査定が、AIの数字より実勢に近いことがあります。

出典: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」

出典: 不動産流通機構「レインズマーケットインフォメーション」

AI査定のサービスごとの違いは、別の記事で比べています。

まとめ:1.98%は担当者の査定との差、査定価格は訪問査定の予測値

東急リバブルのスピードAI査定でいちばん大事なのは、1.98%も査定価格も、東急リバブルの査定担当者を基準にした数字だということです。1.98%は、社内向けの査定AIが担当者の査定価格をどれだけ再現できたかの誤差率の中央値であり、成約価格との差ではありません。査定価格も、売り出し価格のデータと担当者の査定データから作られるので、担当者に頼んだときの額の予測値として読むのが実際に合っています。

次の一歩は、国土交通省の不動産情報ライブラリとレインズマーケットインフォメーションで、自分の部屋に近い条件の成約価格を調べ、その最低額で住み替えの予算を組むことです。この確認を飛ばして査定価格のまま予算を組むと、売却が下振れしたときに次の家の頭金が足りなくなります。

そのうえで、売り出し価格の上限は同じマンションの売り出し事例で、売り時は購入希望者数と売り出し中物件数で測り、訪問査定は大手1社の候補として受けて他社と根拠で比べます。住み替えのトビラでは、AI査定の精度の数字の読み方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。