マンション価格の推移の調べ方|地域・駅・自分の周辺を匿名で追う道具と手順

マンション価格の推移の調べ方|地域・駅・自分の周辺を匿名で追う道具と手順

ニュースで見る「マンション価格が上がり続けている」というグラフには、首都圏全体など広い範囲を集計したものがあります。自分の地域、自分の駅、自分のマンションの周辺が過去から今までどう動いてきたかは、そこには出てきません。

先に答えを言います。価格の推移は、名前も連絡先も出さずに、公的なデータと無料で公開されている民間のデータだけで追えます。地域全体は国土交通省の不動産価格指数、首都圏の地域別と築年帯別は東日本レインズの公表資料、駅ごとは東京カンテイ、自分の周辺は不動産情報ライブラリ、という順に狭めていきます。

この記事では、推移を調べられる道具、不動産価格指数の仕組みと読み方、自分の周辺の推移を作る手順、見方で起きやすい見誤り、住み替え(買い替え)の判断への使い方を順に説明します。

マンション価格の推移を調べる道具を選ぶ

地域の相場が上がっていても、自宅が同じだけ上がったとは限りません。 まず地域全体の動きを見て、次に条件の近い中古マンションの取引を調べます。

公的データと民間の公開資料は、調べられる範囲だけでなく、価格の意味も異なります。

道具調べられる範囲価格の意味・使い方
国土交通省の不動産価格指数全国・地域ブロック・都市圏・東京都など物件の条件差を調整した価格変化。広域の動きを見る
東日本レインズの公表資料首都圏の都県・地区・築年帯など中古住宅の成約単価・件数・在庫などを比較
東京カンテイの市況レポート主要都市・都道府県・掲載対象の沿線や駅売り希望価格の集計。成約価格と分けて見る
国土交通省の不動産情報ライブラリ町・大字などの周辺取引個別取引を条件付きで抽出し、年ごとに比較
民間のマンション情報サイトマンション単位など売出履歴・推定価格等。元データと登録条件を確認

前4つの公開資料は、氏名や連絡先を登録せずに読めます。民間サイトは、機能により会員登録が必要です。

広域の動きは国土交通省、地域の成約はレインズ

不動産価格指数では「マンション(区分所有)」の系列を選びます。住宅総合や戸建ての指数と混ぜないことが大切です。資料はExcelで公開されており、同じ地域の過去と現在を比べられます。

東日本レインズの「月例マーケットウォッチ」では、成約価格・成約㎡単価・件数に加え、新規登録や在庫の状況も分かります。築年帯の違いを見たい場合は、四半期の地域別・築年帯別資料を使えます。

首都圏以外では、中部・近畿・西日本の各不動産流通機構が公表する市況資料を探します。集計地域や期間をそろえて読む点は同じです。

出典:国土交通省・不動産価格指数東日本レインズ・不動産市場動向

駅別の資料は、掲載年と平均築年数も見る

東京カンテイには、中古マンションの70㎡換算価格、沿線別・駅別価格、価格天気図などの公開レポートがあります。

売り希望価格の集計なので、実際に売れた価格の統計とは分けます。駅同士を比べる場合も、平均築年数や集計対象が異なれば価格差が出ます。単価が高い駅を、価格上昇率も高い駅だとは判断できません。

出典:東京カンテイ・市況レポート

周辺の取引と、同じマンションの履歴を分ける

不動産情報ライブラリには、取引当事者へのアンケートによる「取引価格情報」と、指定流通機構のデータをもとにした「成約価格情報」があります。取得元が異なるため、自分で集計する際は、どちらを使ったかを記録します。

公開情報は個別物件を特定しにくい形に加工されています。町名・面積・築年が近いだけで、自分のマンションの取引と決め付けることはできません。

同じマンションの売出履歴は民間サイトで補えますが、掲載終了を成約とみなさないようにします。成約したか、どのような条件で売れたかは、不動産会社の査定で確認する項目です。

出典:国土交通省・不動産情報ライブラリ

実際の成約データを3か月分並べると、何が分かるか

東日本レインズの月例資料から、首都圏(1都3県)の中古マンション成約を当サイトで3か月分並べました。確認日は2026年9月10日です。ここでは比較方法を示すため、2026年5〜7月を使います。

成約月成約件数成約㎡単価平均専有面積平均築年数5月の単価を100とした値
2026年5月3,709件80.78万円/㎡62.72㎡28.43年100.0
2026年6月4,241件82.64万円/㎡63.02㎡27.48年102.3
2026年7月3,638件84.17万円/㎡62.57㎡27.70年104.2

出典:東日本レインズ「月例速報 Market Watch サマリーレポート」2026年5月6月7月、各P1。右端のみ当サイトで計算し、小数第1位に丸めています。

同じ系列を使い、倍率と上昇率を分ける

5月から7月への変化は、次の計算です。

  • 倍率:84.17 ÷ 80.78 ≒ 1.042倍
  • 上昇率:(84.17 ÷ 80.78 − 1)×100 ≒ 4.2%
  • 5月を100にそろえた値:84.17 ÷ 80.78 ×100 ≒ 104.2

比較するのは、同じ地域・物件種別・価格の種類です。途中で売出価格に切り替えたり、新築の平均価格を入れたりすると、別のものを比較することになります。

この表は、自宅が4.2%値上がりした証拠ではない

この3か月では成約㎡単価が上がりました。一方、売れた物件の平均築年数や件数も変わっています。同じ住戸を3回売った記録ではなく、毎月別の取引を集計した数字です。

また、7月の単価は前月より高い一方、前年同月比では1.5%低下しています。どの期間を比べるかで見え方が変わるため、2〜3点だけで「上昇が続く」とは判断しません。

この表から査定につなげるなら、「首都圏全体はこう動いていますが、同じマンションや近隣でも同じですか」と聞けます。地域の数字を、自宅について確認するきっかけにします。

不動産価格指数を自宅の価格に直結させない

不動産価格指数は、2010年平均を100として価格の変化を表すものです。通常の平均価格と違い、築年数や広さなどの条件差を統計的に調整しています。

品質調整は、売れた物件の違いをならす処理

ある月は築浅の物件が多く、別の月は築古が多い場合、単純な平均価格は物件の顔ぶれだけでも変わります。指数は、こうした影響を調整して市場の価格変化を推計します。

ただし、個々の物件の条件差を完全に取り除いたり、同じ自宅の価格を追跡したりするものではありません。自宅は経年するほか、管理状態や周辺環境も変わります。指数を上回ることも下回ることもあり、経年分だけ必ず低くなるとは言えません。

出典:国土交通省・不動産価格指数(住宅)の作成方法

同じ種類の指数を、同じ時点の資料で比較する

過去と現在を比較する場合は、地域、マンションの系列、原系列か季節調整値かをそろえます。後日の改訂もあるため、同じ時点で取得した資料から両方の数値を取ると比較しやすくなります。

倍率は「比較する時点の指数 ÷ 基準時点の指数」、上昇率はその倍率から1を引いて100を掛けます。購入月と比較する場合も、結果は地域の指数の変化であり、自宅の売却見込み額ではありません。

公表が遅れている時期は、対象月を必ず見る

2026年9月10日の確認時点では、住宅の最新公表分は2025年12月分です。国土交通省は、算出プログラムの不具合に伴い2026年1月分以降の公表を延期していると案内しています。

ページを今日開いたからといって、今日の相場が分かるわけではありません。直近の成約はレインズの月例などで補い、どの資料も公表日と対象期間を分けて読みます。

出典:国土交通省・不動産価格指数の公表延期のお知らせ

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自分の周辺の価格推移を作る手順

さらに詳しく知りたい場合は、不動産情報ライブラリの個別取引を表にします。これは周辺の取引の集計であり、自宅の査定額ではありません。

地域・築年・面積と、情報の種類を決める

まずは同じ町名や駅周辺、近い築年・面積の中古マンションを探します。「取引価格情報」か「成約価格情報」かもそろえます。両方を無条件に足すと、同じ取引を重ねて数える可能性があります。

表には、次を記録します。

  • 使用した情報の種類と取得日
  • 対象地域と、築年・面積などの抽出条件
  • 対象期間、取引価格、面積、築年
  • 期間ごとの件数と、除外した条件

年ごとの築年数をそろえて地域の動きを見るのか、同じ建築年代の物件を追うのかでも意味が変わります。途中で条件を変えた場合は、過去の期間も同じ条件で集計し直します。

㎡単価と件数を並べ、少ない期間は無理に結論を出さない

個別の取引価格を面積で割ると、㎡単価になります。その値を年ごとに並べ、中央値などを求めます。中央値は、小さい順に並べた中央の値です。

㎡単価は広さの違いを比較しやすくしますが、広い部屋と小さい部屋の価格差まで取り除くものではありません。中央値も、築年や立地の違い、公開価格の丸めを補正する処理ではありません。

件数が少ない年は、数件の取引で値が大きく動きます。「3件あれば安定する」という基準はありません。期間を広げる場合は各期間の長さもそろえ、集まらないところは比較困難と記載します。

地域の指数との差から、値上がりの原因を決めない

自分で集計した中央値は、品質調整された指数とは異なります。両方を基準年100に直しても、この違いは残ります。

線の向きが違えば、「なぜ違うのか」を調べるきっかけになります。ただし、その差をそのまま「この町は強い」「経年の分だけ弱い」と解釈しません。件数や取引された物件の構成も確認します。

調べた推移を、自宅の査定で確かめる

価格の推移が気になったら、次は今の自宅の査定額です。 地域の値上がりだけで期待しすぎることも、古い購入価格を基準に安く見積もることも避けられます。

査定時には、同じ条件の取引と販売見込みを聞く

調べた資料の期間と条件を伝え、次を質問します。

  • 「同じマンションや条件の近い物件は、最近いくらで成約しましたか」
  • 「地域の推移と自宅の評価が違うのは、どの条件が理由ですか」
  • 「今売るなら、どの価格と販売期間を想定しますか」
  • 「高めの価格を目指すなら、どのような売り方になりますか」

上昇・横ばい・下落という区分だけで、売出価格を機械的に決める必要はありません。自宅の条件、競合、希望時期を踏まえた提案を比べます。

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値上がりを待つかは、現在の評価を知ってから考える

過去の推移は将来の保証ではありません。待てば高く売れるかを予想する前に、今売る場合の価格と手取りを知ると、判断の材料が増えます。

住み替えも考える場合は、次の住まいの予算や購入時期を合わせて検討します。売り先行か買い先行かは、価格推移だけで決めず、資金の余裕や引き渡し条件も含めて考えます。

今の価格を知らないまま、売却の機会を見送らない。 調べた推移を持って査定を依頼し、自宅の評価を確かめてみましょう。

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まとめ:推移は地域の指数から周辺の中央値へ、匿名のまま狭めて追う

マンションの価格推移は、不動産会社に連絡しなくても追えます。地域全体は国土交通省の不動産価格指数、首都圏の地域別と築年帯別は東日本レインズの公表資料、駅ごとは東京カンテイ、自分の周辺は不動産情報ライブラリ。どれも名前も連絡先も要りません。ただし指数は築年数などの品質を調整した「同じ品質の住宅」の価格変化なので、自宅が指数と同じだけ上がるとは限りません。経年や管理状態などにより、上回る場合も下回る場合もあります。周辺の取引を年ごとに拾い、㎡単価の中央値にした折れ線も参考になります。ただし自宅の価格を追跡した線ではありません。

次の一歩は、不動産情報ライブラリで条件を決めて、過去5〜10年の取引を年ごとに表計算ソフトへ写すことです。自分で集計するほか、レインズの公表資料も使えます。売り出し価格と成約価格は意味が異なり、違う物件同士の価格差を、そのまま値引き額と読むことはできません。

折れ線を地域の指数と比べる場合は、品質調整や集計対象の違いを踏まえ、差だけで地域の強弱や値上がりの原因を決めないようにしましょう。住み替えのトビラでは、マンションの価格推移を匿名で調べる道具と手順も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。