専任から一般媒介への変更|違約金なしで乗り換える時期と手続き・失う仕組み

専任から一般媒介への変更|違約金なしで乗り換える時期と手続き・失う仕組み

専任媒介で売り出して2か月。反応が薄く、複数の会社に頼める一般媒介に変えたくなった。今の契約の途中で変えられるのか、違約金はかかるのか、同じ会社で変えるのか別の会社に乗り換えるのか。ここで手が止まる人は多いはずです。

先に答えを書きます。摩擦が最も小さいのは3か月の満了で更新せずに一般媒介で結び直す形で、違約金も費用償還も付かずに終えられます。違約金の条項は「期間中に他社へ重ねて頼み、その会社の仲介で成約したとき」に限られ、同じ会社と合意して変える行為とは別物です。ただし一般に変えると登録証明書・売主専用画面・定期報告の義務は消え、前の会社の紹介で知った買主との直接取引の条項は2年間残ります。

この記事では、変更できるタイミングとお金の扱い、同じ会社で切り替える・他社を足す・別の会社に乗り換えるの3経路の手続き、変更で失う仕組みと残る条項、そして変更が向く条件と向かない条件を順に見ていきます。

専任媒介から一般媒介に変更できるタイミング

専任媒介から一般媒介への変更は、いつでもできるわけではなく、時期によってお金の扱いと手続きが変わります。先に一覧にします。

時期と形お金の扱い手続き
3か月の満了で更新しない違約金なし・費用償還なし一般媒介の契約書を新たに結ぶ
更新の時に契約の種類を変える同上更新時の「別段の合意」で一般に
期間の途中で会社と合意して変える合意の内容次第(通常は請求なし)専任を合意で終え、一般で結び直す
期間の途中で売主都合で解除する費用償還の対象になりうる(上限は約定報酬額)解除の申し入れ
期間中に黙って他社へ頼み、他社の仲介で成約違約金(約定報酬額に相当する額)―

3種類の媒介契約の違いは、別の記事で扱っています。

媒介契約の違いは5つ|一般・専任・専属専任を比較し自分で選ぶ 媒介契約の違いは5つ|一般・専任・専属専任を比較し自分で選ぶ

3か月の満了で更新せずに一般媒介で結び直す

最も摩擦の小さい時期は、専任媒介の有効期間が満了するときです。宅地建物取引業法34条の2第3項は専任媒介契約の有効期間を「三月を超えることができない」と定め、同条4項は「前項の有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる」としています。更新の起点は売主の側にあり、申し出のないまま満了日が来れば、契約はそこで終わります。

満了で終えることは「解除」と別の形なので、違約金も費用償還も付かずに終えられます。標準媒介契約約款の専任媒介版で売主に金銭の請求が生じるのは3つの場面です。有効期間内に他の会社に媒介や代理を依頼して契約を成立させたとき(違約金・第12条)、有効期間内に自ら発見した相手方と契約を締結したとき(費用償還・第14条1項)、そして「乙の責めに帰すことができない事由によって専任媒介契約が解除されたとき」(費用償還・第14条1項)。期間満了はこの3つのどれとも別の場面です。

満了日は契約書の有効期間欄で確かめます。法34条の2第1項5号が「媒介契約の有効期間及び解除に関する事項」を書面の記載事項としているため、手元の契約書に必ず書かれています。満了の1〜2週間前に「更新せず、一般媒介で結び直したい」と会社に伝え、満了日の翌日から一般媒介の契約を始める形にすると、売却活動の空白を避けられます。3か月の仕組みと更新しない伝え方は、別の記事で扱います。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第34条の2第1項第5号・第3項・第4項) 出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約約款第12条・第14条)

更新の時に契約の種類を変える

満了時に同じ会社と続ける場合でも、専任のまま更新する以外の道があります。標準約款の専任媒介版第15条3項は、更新のときの内容についてこう定めています。

前2項の規定による有効期間の更新に当たり、甲乙間で専任媒介契約の内容について別段の合意がなされなかったときは、従前の契約と同一内容の契約が成立したものとみなします。

甲は売主、乙は会社です。裏返すと、更新の時に「別段の合意」をすれば内容を変えられます。契約の種類を専任から一般に変えるのは、この別段の合意にあたります。実際の手続きとしては、専任媒介の契約書を更新するのではなく、一般媒介の契約書を新たに結ぶ形になります。

契約の種類を選ぶ主体は売主の側です。国土交通省の解釈・運用の考え方は、第34条の2関係の冒頭で「宅地建物取引業者は、媒介契約を締結する際には、依頼者に専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の相違点を十分に説明し、依頼者の意思を十分確認した上で、媒介契約を締結するものとする」とし、依頼者への周知の1(2)で「標準媒介契約約款には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の三種類の類型があり、その選択は依頼者に委ねられていること」と書いています。

会社側は専任の更新を望む立場ですが、一般に変えたい意思を伝えれば、会社は応じるか、応じずに契約を終えるかを選びます。同じ解釈・運用の考え方6(3)⑧は「なお、依頼者の申出はあっても、宅地建物取引業者が更新に同意しないときは契約は更新されない」としています。どちらに転んでも、売主への請求が生じずに済む場面です。

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約約款第15条) 出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第34条の2関係 1(2)・6(3)⑧)

期間の途中で変えるには会社との合意が要る

3か月を待たずに一般媒介にしたい場合、専任媒介契約を途中で終える必要があります。会社に義務違反があれば解除できる条項が約款に置かれていて、第16条は相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときの解除、第17条は誠実に遂行する義務への違反など背信行為があったときの解除を定めています。ただ、「一般に変えたい」という売主の事情は、この2つの条項が想定する場面とは別物です。

この場合の道は2つです。一つは、会社と合意して専任媒介を終え、同じ会社と一般媒介で結び直す形です。会社が応じれば、違約金の話とは無縁のまま切り替えられます。合意の内容として、それまでの広告費を求められることはありえますが、通常の販売活動の費用は会社の負担が原則です。解釈・運用の考え方6(3)⑤は「指定流通機構への情報登録はもちろんのこと、通常の広告、物件の調査等のための費用は、宅地建物取引業者の負担となる」としています。売主が特別に依頼した広告の料金や遠隔地への出張旅費は売主の負担になりますが(約款第10条)、これは通常の販売活動とは別枠の話です。

もう一つは、売主の都合で解除する形です。この場合、約款第14条1項の後半「乙の責めに帰すことができない事由によって専任媒介契約が解除されたとき」に当たり、会社はそれまでに使った費用の償還を請求できます。その額は約定報酬額を超えられません(同条2項)。請求の仕方も決まっていて、解釈・運用の考え方6(3)⑦は、現地調査の交通費や写真代、権利関係等の調査の謄本代、広告費、通信費などを項目ごとに挙げたうえで「明細書を作成し、領収書等で金額を立証して請求するものとする」としています。途中解約の手続きと費用の範囲は、別の記事で扱います。

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約約款第10条・第14条・第16条・第17条) 出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第34条の2関係 6(3)⑤・⑦)

期間中に黙って他社へ頼むと違約金の対象になる

「一般媒介に変えると違約金がかかる」という説明を見かけますが、条文の書きぶりは違います。標準約款の専任媒介版第12条は、違約金の場面をこう定めています。

甲は、専任媒介契約の有効期間内に、乙以外の宅地建物取引業者に目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を依頼することはできません。甲がこれに違反し、売買又は交換の契約を成立させたときは、乙は、甲に対して、約定報酬額に相当する金額(この媒介に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を除きます。)の違約金の支払を請求することができます。

つまり違約金の要件は2つです。専任媒介の期間中に他社へ重ねて依頼したこと、かつ、それによって売買または交換の契約を成立させたこと。同じ会社と合意のうえで専任を終えて一般に変える行為は、この要件の外にあります。額についても、解釈・運用の考え方6(3)⑥が「違約金は、成約した場合に当該依頼者に請求し得る約定報酬額に相当する額であり、他の顧客からも報酬を受領できる見込みがあったとしても、その分を含めて請求することはできない」として、額の上限を約定報酬額に相当する額に置いています。

違約金の対象になるのは、専任の期間が残っているのに、黙って別の会社にも頼み、その会社の仲介で売れた場合です。この場面の扱いは契約書にも書かれていて、宅地建物取引業法施行規則15条の9第1号は、専任媒介契約について「依頼者が他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によつて売買又は交換の契約を成立させたときの措置」を媒介契約書の記載事項としています。乗り換えるなら、前の専任契約を満了か合意で終えてから、次の会社と契約します。期間が重なる形は避けます。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(第15条の9第1号) 出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約約款第12条) 出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第34条の2関係 6(3)⑥)

専任媒介から一般媒介に変更する手続き

変更の形は3つあります。同じ会社で一般媒介に切り替える、専任の会社を残して他社を足す、別の会社に乗り換える。どの形でも共通する手順と、形ごとに違う手順を順に見ます。

  • 同じ会社で一般媒介に切り替える: 意思を伝える→一般媒介の契約書を結び直す
  • 専任の会社を残して他社を足す: 一般に切り替える→新しい会社と契約→各社に依頼先を明示
  • 別の会社に乗り換える: 前の契約を満了か合意で終える→次の会社と契約

前の会社に変更の意思を文書で伝える

最初に、今の会社に変更の意思を文書で伝えます。メールなら送信日時と内容が残ります。

件名: 媒介契約の切り替えについて

(会社名)(担当者名)様

6月30日付の専任媒介契約は、9月30日の有効期間満了をもって更新せず、10月1日から一般媒介契約で継続をお願いしたく存じます。他社への依頼も検討しており、決まり次第お知らせします。

日付は例示なので、自分の契約書の締結日と満了日に置き換えます。伝える内容は3点です。専任媒介を終える時期(満了日か合意日)。その後に一般媒介で続けるか、終えるか。続けるなら、他社にも依頼する予定の有無。

文書で残す形には根拠があります。標準約款の専任媒介版第15条2項は、更新の申出を「有効期間の満了に際して甲から乙に対し文書等でその旨を申し出るものとします」としていて、解釈・運用の考え方6(3)⑧も「この申出は後日の紛争を避けるため文書によって確認することが望ましい」としています。更新しない意思と切り替えの希望も、同じ形で残しておくと後の食い違いを避けられます。

理由を書く義務は売主の側に課されておらず、書くかどうかは自由です。書くなら事実(反応が薄い、複数社の顧客に当たりたい)だけにし、会社の評価は避けます。会社との関係を保ったまま一般で続けるなら、なおさら事実だけで足ります。

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約約款第15条) 出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第34条の2関係 6(3)⑧)

同じ会社と一般媒介の契約書を結び直す

同じ会社で一般媒介に切り替える場合、専任媒介の契約書を書き換えるのではなく、一般媒介の契約書を新たに結びます。標準の一般媒介契約書には、専任の契約書にはない欄が並びます。

一つは「1 依頼する乙以外の宅地建物取引業者」の欄で、商号または名称と主たる事務所の所在地を書きます(解釈・運用の考え方はこの欄を「依頼する当社以外の宅地建物取引業者」と呼んでいて、呼び名が2通りあります)。標準の一般媒介は明示型が基本で、契約書の頭にも「依頼者は、重ねて依頼する宅地建物取引業者を明示する義務を負います」と刷られています。他社がまだ決まっていなければ空欄で結び、あとで追加するときに通知する流れになります。

もう一つは「6 指定流通機構への登録の有無(有・無)」の欄です。一般媒介契約約款第9条は「乙は、この媒介契約において目的物件を指定流通機構に登録することとした場合にあっては、当該目的物件を一般媒介契約書に記載する指定流通機構に登録しなければなりません」としていて、登録するかどうかは契約書で決める建て付けです。専任のときと同じく買主を広く探すなら「有」にし、登録先の機構の名称も記入してもらいます。

有効期間の欄(「7 有効期間 この媒介契約締結後 ヶ月( 年 月 日まで)」)も確かめます。一般媒介契約約款第8条は「3ヶ月を超えない範囲で、甲乙協議の上、定めます」としていますが、これは法律の制限とは別で、解釈・運用の考え方6(3)④が「一般媒介契約については、法律上の規制はないが、実情にかんがみ、専任媒介契約等と同じく3月以内で定めている」と説明しているとおり、標準約款の側の定めです。報告についても、一般媒介契約書の「3 成約に向けての乙の義務」には申込みがあったときの報告だけが書かれています。専任のときと同じ頻度で報告してほしいなら、契約書の特約欄か別紙に書いてもらいます。解釈・運用の考え方2(2)②ロは、業務処理状況の報告・連絡等に関する条項の追加を、標準媒介契約約款に基づく契約の範囲として認めていて、追加した条項はアンダーライン等で明示する決まりです。

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(一般媒介契約書・一般媒介契約約款第8条・第9条) 出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第34条の2関係 2(2)②ロ・6(3)④)

他社を足すときは各社に依頼先を明示する

専任の会社を残したまま他社を足す形は、専任を一般(明示型)に変えたうえで、新しい会社と一般媒介契約を結ぶ手順になります。ここで2つの通知が要ります。

一つは、前の会社への通知です。一般媒介契約約款第4条2項は、契約時とその後で分けて定めています。

一般媒介契約の締結時においてすでに依頼をしている宅地建物取引業者の商号又は名称及び主たる事務所の所在地は、一般媒介契約書に記載するものとし、その後において更に他の宅地建物取引業者に依頼をしようとするときは、甲は、その旨を乙に通知するものとします。

もう一つは、新しい会社との契約書への記載です。「1 依頼する乙以外の宅地建物取引業者」の欄に、前の会社の商号と所在地を書きます。公益社団法人全日本不動産協会の法律FAQも、明示型について「依頼者には、宅建業者に対して、ほかにどの宅建業者に仲介を依頼しているのかを通知する義務があります」と説明しています。非明示型を選ぶ道もありますが、そのときは特約が要ります。同FAQは「非明示の方法を採用するならば、特約によって非明示とする旨の条項を、定める必要があります」とし、解釈・運用の考え方6(3)⑩も、約款第4条と第14条を適用しない旨を「10 特約事項」の欄に記載し、「1」の欄と「2 甲の通知義務」の第1号を斜線で抹消する方法を示しています。

通知を怠ったときの扱いも契約書に書かれています。一般媒介契約書の「2 甲の通知義務」は、一号で他社を足すときの通知、二号で自己発見成約や他社の仲介で成約したときの遅滞ない通知を課し、三号で「一及び二の通知を怠った場合には、乙は、一般媒介契約約款の定めにより、甲に対して、費用の償還を請求することができます」としています。宅地建物取引業法施行規則15条の9第3号も、明示型の媒介契約について「依頼者が明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によつて売買又は交換の契約を成立させたときの措置」を媒介契約書の記載事項としています。他社を足す形は、社数分の通知と、価格や写真の統一が売主の仕事になります。何社に頼むかの判断は、別の記事で扱います。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(第15条の9第3号) 出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(一般媒介契約書 2 甲の通知義務・一般媒介契約約款第4条) 出典: 公益社団法人全日本不動産協会「一般媒介契約について」(法律FAQ)

別の会社に乗り換えるときは前の契約を終えてから結ぶ

今の会社との契約を終え、別の会社と契約し直す形です。乗り換え先と結ぶ契約は、一般媒介でも専任媒介でも選べます。

前の会社の専任媒介が9月30日まで残っているのに、9月20日に次の会社と一般媒介を結び、次の会社の仲介で9月28日に売買契約が決まった。前の会社から、約定報酬額に相当する違約金の請求が届く。

日付は例示ですが、順番の重さはこのとおりです。前の専任媒介の期間が残っているうちに次の会社と契約すると、専任約款第12条が禁じる「乙以外の宅地建物取引業者に……媒介又は代理を依頼する」状態になります。その状態で次の会社の仲介で売れると、違約金の2つの要件が揃います。前の契約を満了か合意解除で終えた日の翌日以降に、次の契約を結びます。

乗り換え先の会社には、前の会社で内見した買主がいるかどうかを伝えておきます。専任約款第11条は、有効期間内または有効期間の満了後2年以内に、売主が会社の紹介によって知った相手方と会社を排除して契約を締結したときの報酬請求を定めていて、乗り換えたあとも2年間は生きています。乗り換え先の仲介で同じ買主と契約する場合は、前の会社に事情を伝えてから進めると、この条項をめぐる争いを避けられます。

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約約款第11条・第12条)

レインズとポータルサイトの掲載は登録し直しになる

契約の種類を変えると、レインズの登録はどうなるのか。ここでは中部圏不動産流通機構のレインズ利用ガイドライン(令和7年1月1日改正版)で確かめます。同ガイドラインは、会員である不動産会社にこう求めています。

会員は、媒介契約の内容の変更や解除があったときは、速やかに物件情報の変更・削除を行わなければなりません。

そのうえで機能の一覧が、「物件登録」を「新規の登録〔*媒介種類変更時も含む〕」、「物件変更」を「物件情報の変更・追加・修正(価格・賃料、図面等)」で「期間延長されない・物件番号は変わらず」と書き分けています。専任から一般への切り替えは媒介種類の変更にあたるため、価格の修正のような物件変更ではなく、新規の登録の側に入ります。専任として登録された物件はいったん削除され、一般媒介の物件として登録し直される形です。物件番号が変わり、他社から見た登録日は登録し直した日からになります。

一般媒介の登録は契約書で決める建て付けなので(一般媒介契約約款第9条)、登録の欄を「有」にしていない会社は登録せずに進めます。同ガイドラインは、レインズ利用規程第5条第2項を挙げて、売却の一般媒介契約や売主・代理物件、賃貸物件等についても積極的にレインズへ物件登録するよう会員に求めています。複数の会社に頼んで各社が登録した場合の後始末も決まっていて、一般媒介契約の委託を受けた複数の会員から登録されている物件の取引が成立した場合は、取引を仲介した会員のみが成約報告をし、他の会員は物件削除を行う扱いです。なお、この規程は中部圏不動産流通機構のもので、他の機構の運用は各機構の規程で確かめます。ポータルサイトの掲載も、会社が契約に合わせて出し直す流れになります。掲載が続いているか、売主自身が検索して確かめます。

出典: 中部圏不動産流通機構「レインズ利用ガイドライン(令和7年1月1日改正版)」 出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(一般媒介契約約款第9条)

変更で失うものと残るもの

専任から一般に変えると、専任の仕組みで得ていたものの一部を失い、一方で契約が終わっても残る条項があります。表で整理します。

失うもの残るもの
レインズ登録の義務(一般は契約書で決める)前の会社の紹介で知った買主との直接取引の条項(満了後2年)
登録証明書と売主専用画面(専任系の仕組み)費用償還の条項(一般では未明示・通知漏れの場面)
2週間に1回の業務報告の義務購入の申込みがあったときの報告義務
売却保証など専任限定のサービス(会社による)仲介手数料の上限と協議の余地

なお、専任約款第12条にあたる違約金の条項は、一般媒介契約約款の側では姿を消します。一般で違約金が出てくるのは、反社会的勢力の排除の確約に反した場合(第19条3項)だけです。一般に変えた後の売主のリスクは、違約金から費用償還の側へ移る、という形になります。

レインズ登録と登録証明書と売主専用画面は専任の仕組みなので使えなくなる

専任媒介では、レインズへの登録と登録証明書の交付が法律の義務です。宅地建物取引業法34条の2第5項が登録を、6項が「第五十条の六に規定する登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない」を定め、施行規則15条の10が期間を専任媒介契約は7日、専属専任媒介契約は5日(休業日数は算入しない)としています。国土交通省のチラシも、3種類の媒介契約のうち「①及び②を締結した際は、宅地建物取引業法により、宅建業者に、売り出し物件のレインズへの登録、売主への登録証明書の交付や定期的な業務状況の報告等が義務付けられています」と説明しています。売主専用画面では、「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類のステータスを確認でき、令和7年1月からは登録証明書の二次元コードから入れます(確認用のIDとパスワードが要ります)。

一般媒介では、この一式が仕組みごと外れます。登録するかどうかは契約書の「6 指定流通機構への登録の有無」の欄で決め(一般媒介契約約款第9条)、登録証明書と売主専用画面は専属専任媒介・専任媒介を結んだ売主向けに用意された機能だからです。東日本不動産流通機構のQ&Aは、一般媒介について「機構事務局に問い合わせをいただき、本人確認を実施させていただいた上で、登録状況等をご回答することが可能です」としています。画面で自分から確かめる形から、事務局に確認を求める形に変わる、と捉えると分かりやすいところです。

囲い込みを画面で監視する手段は手放すことになりますが、複数の会社に頼む構造そのものが代わりの歯止めになります。1社が紹介を止めても、買主は別の会社から申し込めるためです。一般に変えて結局1社だけに頼む形にすると、この代わりの歯止めも消えます。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第34条の2第5項・第6項) 出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(第15条の10) 出典: 国土交通省「宅地や建物の(専属)専任媒介契約を締結したら レインズの「ステータス管理機能」を活用しましょう!」 出典: 東日本不動産流通機構「よくあるご質問」

2週間に1回の報告義務がなくなる

専任媒介では、業務の処理状況の報告が法律の義務です。宅地建物取引業法34条の2第9項が「二週間に一回以上」(専属専任媒介契約は一週間に一回以上)と定めています。この義務は条文の主語が「専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者」なので、一般媒介に変えると外れます。売主が各社に進捗を聞く形に変わります。

一方、購入の申込みがあったときの報告は、媒介契約の種類を問わず課されます。同条8項は「媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあつたときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない」としていて、一般媒介契約書の「3 成約に向けての乙の義務」二にも同じ内容が書かれています。解釈・運用の考え方6(3)①ロは、依頼者の希望条件を満たさない申込みの場合等であっても、その都度報告する必要があるとしています。一般に変えても、申込みが入ったのに黙っている状態は法律に反します。

定期報告を続けてほしいなら、一般媒介の契約書の特約欄か別紙に「2週間に1回、メールで問い合わせ数・内見数・反応を報告する」と書いてもらいます。解釈・運用の考え方2(2)②ロが、業務処理状況の報告・連絡等に関する条項の追加を標準媒介契約約款に基づく契約の範囲として認めているためです。同じ会社で一般に切り替える場合は、専任のときの報告の形をそのまま特約に写すと、手間が少なく済みます。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第34条の2第8項・第9項) 出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(一般媒介契約書 3 成約に向けての乙の義務) 出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第34条の2関係 2(2)②ロ・6(3)①ロ)

売却保証など専任限定のサービスは外れることがある

大手の仲介会社が用意する売却保証(一定期間で売れなければ会社が買い取る)、設備や建物の保証、ハウスクリーニングなどの付帯サービスには、適用条件に媒介契約の種類を入れている会社があります。

たとえば東急リバブルの「リバブル売却保証システム」は、適用基準の「媒介契約」の欄を「専属専任・専任」としていて、適用の可否と保証額は同社の査定によると注記しています。専任から一般に変えると、この条件から外れます。一方、三井のリハウスの「360°サポート」は、公式サイトで「媒介の種別は問いません。ただし、対象者・対象物件等の適用条件があります。」としていて、一般媒介でも対象に入ります。

今の契約で使っている付帯サービスがあるなら、一般に変えたときに何が外れるかを、変更の前に会社に確かめます。売却保証の買取価格を出口として当てにしていた場合は、外れると住み替えの資金計画そのものが変わります。

出典: 東急リバブル「リバブル売却保証システム」 出典: 三井のリハウス「360°サポート」

前の会社の紹介で知った買主との直接取引は2年間残る

専任媒介を終えても、契約の外へ持ち越される条項があります。標準約款の専任媒介版第11条です。

専任媒介契約の有効期間内又は有効期間の満了後2年以内に、甲が乙の紹介によって知った相手方と乙を排除して目的物件の売買又は交換の契約を締結したときは、乙は、甲に対して、契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬を請求することができます。

専任のときに内見に来た買主が、変更後に別の経路で申込みをしてきた場合、この条項に当たるかどうかが論点になります。要件は「乙を排除して」契約したかどうかなので、前の会社に事情を伝えて進めれば、争いになりにくい形です。解釈・運用の考え方6(3)③も「媒介契約の有効期間終了後2年以内に、依頼者が宅地建物取引業者の紹介によって知った相手方と直接取引をした場合には、宅地建物取引業者は契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬請求権が認められる」と説明しています。

この条項は一般媒介契約約款にも第13条として同じ形で置かれています。専任だけの縛りではなく、どの類型でも「紹介された買主は紹介した会社を通す」という決まりです。

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約約款第11条・一般媒介契約約款第13条) 出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第34条の2関係 6(3)③)

費用償還の条項は一般媒介にも形を変えて残る

専任媒介の費用償還は、約款第14条1項の2つの要件で動きます。有効期間内に売主が自ら発見した相手方と契約を締結したとき、または乙の責めに帰すことができない事由によって専任媒介契約が解除されたときです。一般媒介にも費用償還の条項はありますが、要件が入れ替わります。

一般媒介契約の有効期間内に甲が乙に明示していない宅地建物取引業者に目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を依頼し、これによって売買又は交換の契約を成立させたときは、乙は、甲に対して、一般媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求することができます。

これが一般媒介契約約款第14条1項で、明示型の通知漏れの場面です。もう一つは第15条で、自己発見成約や他社の仲介での成約を売主が通知せず、会社が「売買又は交換の契約の成立後善意で」費用を使い続けたときに、その費用の償還を請求できるとしています。どちらの費用も約定報酬額を超えられない点は専任と同じです(第14条2項)。

裏返すと、一般媒介では「誰に頼んでいるか」と「売れたこと」を全社に伝えておけば、費用償還の場面から外れます。自分で見つけた買主と契約する場合も、専任と違って費用償還の要件には当たらず、通知だけで済みます。親族や知人に売る可能性がある人にとっては、一般に変える利点の一つです。

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約約款第14条・一般媒介契約約款第14条・第15条)

変更が向く条件と向かない条件

専任から一般への変更が、売れ行きの改善につながるかどうかは、売れない原因がどこにあるかで決まります。

  • 会社の義務は果たされているのに反応が薄いなら向く
  • 会社側に原因があるなら別の会社と専任の方が早い
  • 問い合わせが読めない物件は一般にすると各社が様子見になる
  • 一般媒介で3か月比べて動きの良い1社と専任に戻す

会社の義務は果たされているのに反応が薄いなら向く

今の会社が、期限内に登録証明書を渡し(34条の2第6項)、2週間に1回の報告に行った措置と引き合いの状況を書き(同条9項・解釈・運用の考え方6(3)①イ)、約束した広告を出し、売主専用画面のステータスが「公開中」だった。それでも問い合わせが少ないなら、原因は会社の動きよりも、価格か物件か市況の側にあります。

この場合、一般に変えて複数の会社の自社顧客に当たる形は、買主に届く経路を増やします。とくに駅近・築浅・人気エリアのように反応が読める物件では、各社が成約の見込みを立てやすく、動きが出やすくなります。価格の見直しを同時に行えば、変更の効果が出やすい場面です。

会社の義務が果たされていたかを確かめる手順は、別の記事で扱います。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第34条の2第6項・第9項) 出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第34条の2関係 6(3)①イ)

会社側に原因があるなら別の会社と専任の方が早い

登録証明書が未着、報告が途絶えている、掲載が確認できず。こうした会社側の原因で売れていない場合、同じ会社を残したまま一般に変える形は、その会社の動きを変えにくいままです。一般に変えると法律上の登録義務と定期報告の義務が外れるため、義務の面ではむしろ緩みます。

この場合は、今の会社との契約を満了か解除で終え、別の会社と専任媒介を結ぶ方が、販売の質が上がります。専任なら新しい会社に34条の2第5項の登録義務、6項の登録証明書の交付、9項の2週間に1回の報告が課され、売主専用画面も使えます。

「専任で失敗したから一般に」ではなく、「会社で失敗したから会社を替える」が判断の軸です。会社に義務違反があれば、満了を待たずに解除できる条項もあります。約款第16条は催告のうえでの解除、第17条は誠実に遂行する義務への違反などがあったときの解除を定めています。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第34条の2第5項・第6項・第9項) 出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(専任媒介契約約款第16条・第17条)

問い合わせが読めない物件は一般にすると各社が様子見になる

駅から遠い、築年数が古い、周辺に同じ間取りの売り物件が多い。こうした問い合わせが読めない物件を一般媒介にすると、各社が広告を抑えて様子見に入りやすくなります。理由は報酬と費用の仕組みにあります。

一般媒介契約約款第10条1項は「乙の媒介によって目的物件の売買又は交換の契約が成立したときは、乙は、甲に対して、報酬を請求することができます」としていて、報酬を受け取れるのは成約させた1社だけです。一方で、解釈・運用の考え方6(3)⑤のとおり、レインズへの登録も通常の広告も物件の調査も、費用は会社の負担です。3社に頼めば各社の成約の見込みはおおむね3分の1になり、費用をかけて先に動く理由が薄くなる、という構図です。

この場合は、一般に変えるより、価格の見直しと販売資料の作り直しを今の会社と行うか、別の会社と専任を結び直す方が向いています。一般媒介で起きる注意点と社数の考え方は、別の記事で扱います。

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(一般媒介契約約款第10条) 出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第34条の2関係 6(3)⑤)

一般媒介で3か月比べて動きの良い1社と専任に戻す

一般に変える場合の進め方として、「会社を選ぶ期間」と割り切る形があります。一般媒介で2〜3社に頼み、3か月の間に各社の報告の質、内見後のフィードバック、価格への助言を比べます。

一般媒介の有効期間も、標準約款第8条で「3ヶ月を超えない範囲で、甲乙協議の上、定めます」とされています。満了時に、動きの良かった1社と専任媒介で結び直します。専任に戻せば、レインズ登録と登録証明書の交付、2週間に1回の報告が法律の義務として戻り、売主専用画面も使えます。

この二段構えには、手続きの重さという代償が付きます。専任→一般→専任と契約が2回変わるため、中部圏不動産流通機構のガイドラインが「新規の登録〔*媒介種類変更時も含む〕」としているとおり、そのたびにレインズは新規の登録になり、物件番号が変わって登録日が新しくなります。売り急がない住み替えなら、会社選びの失敗を減らす手として使えます。急ぐなら、最初から義務の履行状況で会社を評価し、別の会社と専任を結ぶ方が早く進みます。

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(一般媒介契約約款第8条) 出典: 中部圏不動産流通機構「レインズ利用ガイドライン(令和7年1月1日改正版)」

まとめ:専任から一般媒介への変更は、満了で結び直せば違約金の場面から外れる

いちばん重いのは、違約金の要件が「期間中に他社へ重ねて依頼し、それによって契約を成立させたとき」の2つに限られているという点です。標準媒介契約約款の専任媒介版第12条がそう書いていて、額も約定報酬額に相当する額までです。同じ会社と合意して専任を終え、一般で結び直す形は、この要件の外にあります。3か月の満了で更新せずに切り替えれば、費用償還の要件(自己発見成約と、会社の責めによらない解除)からも外れます。「一般に変えると違約金」という説明は、期間を重ねた場合の話と混ざったものです。

次の一歩は、契約書の有効期間の欄を開いて満了日を確かめ、その1〜2週間前を返事の期限に決めることです。そのうえで、同じ会社で切り替えるのか、他社を足すのか、別の会社に乗り換えるのかを先に決めます。ここを飛ばして先に次の会社と契約してしまうと、専任の期間と重なった状態で成約した場合に、前の会社から約定報酬額に相当する違約金を請求される要件が揃ってしまいます。

そのうえで、変更したあとも残るものを確かめておきます。前の会社の紹介で知った買主との直接取引は満了後2年以内が報酬請求の対象で、一般媒介にも未明示や通知漏れの場面の費用償還が置かれています。使っている売却保証の適用条件に媒介契約の種類が入っていないかも、切り替える前の確認事項です。住み替えのトビラでは、専任媒介から一般媒介への変更の時期と手続きも含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。