マンションが3ヶ月売れないのは普通?半年・1年で変わる値下げ幅と判断

マンションが3ヶ月売れないのは普通?半年・1年で変わる値下げ幅と判断

売り出して3か月。担当者から「そろそろ更新の時期です」「価格を見直しませんか」と言われ、3か月売れていない自分の状態が普通なのか、まずいのかが分からないまま、返事の期限だけが迫っている。

先に答えを書きます。首都圏の中古マンションで3か月以内に成約するのは半数で、3か月を超えること自体は珍しくない状態です。ただし3か月は「様子を見る」が終わる境目で、そこから半年までの間に値下げ幅は−5%台から−8%台へ広がり、1年では−12%台に届きます。

この記事では、3か月時点の状態を統計で確かめる方法、3か月の時点で決める判断、半年で変えること、1年売れないときの選択肢を、期間の順に見ていきます。

3か月売れないマンションの状態を統計で確かめる

3か月売れていない状態が普通なのか、まずいのか。首都圏の統計に自分の状態を当てると、答えは「半数は3か月を超えるが、ここから値下げ幅が広がり始める」です。

売り出しから成約までの期間累計事例シェア価格乖離率(2025年)価格乖離率(2024年)
1か月以内22.7%−2.32%−2.41%
3か月50.8%−5.48%−4.97%
6か月73.8%−8.24%−4.88%
8か月82.1%−10.81%−3.80%
10か月87.9%−13.72%−4.40%
12か月100.0%−12.72%−4.69%

東京カンテイが2026年7月30日に公表した「中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)」の数値です。価格乖離率は(取引価格−売出価格)÷売出価格×100%で、最初の売り出し価格からどれだけ下がって成約したかを示します。対象は売り出しから成約までが12か月以内の組み合わせだけなので、12か月の累計事例シェア100.0%は「12か月以内に成約した事例の中での100%」を指すもので、売れずに取り下げた物件は最初から対象の外にあります。

3か月以内に成約するのは半数で3か月超えは珍しくない

2025年に成約した事例のうち、売り出しから1か月以内に成約した事例のシェアは22.7%、2か月以内の累計は38.1%、3か月以内の累計は50.8%でした。裏返すと、成約した事例のほぼ半分は3か月を超えています。

東日本不動産流通機構(レインズ)の2025年の集計でも、首都圏の中古マンションが登録されてから成約に至るまでの日数は平均82.5日(前年比−3.3%)です。東京カンテイの売却期間は、2025年上期が4.74か月、下期が4.48か月でした。

つまり「平均3か月」は目安の1つで、3か月を超えた物件は珍しくない状態です。ただし、この統計に入っているのは12か月以内に成約した組み合わせだけで、売れずに取り下げた物件は対象の外にあります。3か月時点で反響がまったくないなら、その平均の外に出ている可能性を考える段階です。

出典: 東京カンテイ 中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏) 出典: 東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2025年)

売れない期間が延びるほど値下げ幅が広がる

同じ調査は、売り出しから成約までの期間ごとの価格乖離率も出しています。

1か月以内に成約した事例は平均−2.32%、2か月−3.84%、3か月−5.48%、4か月−6.37%、5か月−7.47%、6か月−8.24%です。8か月では−10.81%と2桁に入り、10か月では−13.72%まで広がります。1か月以内に成約した事例の49.6%は値下げせずに売れている一方、売却期間が10か月まで長期化した場合は「−20%超」で成約した事例が全体の4分の1以上を占めます。

長く掲載されている物件に買主が「何かあるのでは」と警戒し、値引き交渉が強くなることが背景にあります。値下げしたくないから待つという判断は、統計の上では逆に働きます。値下げ幅を小さく済ませたいなら、動くのは3か月から6か月の間です。

出典: 東京カンテイ 中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)

2025年は長期化の値下げ幅が前年より大きくなった

もう1つ知っておきたいのは、前年との違いです。同じ調査の2024年の値は、1か月以内−2.41%、3か月−4.97%、4か月−6.54%、6か月−4.88%、8か月−3.80%、10か月−4.40%、12か月−4.69%でした。長くかかっても値下げ幅は小さく、待っても大きく下げずに売れた事例が珍しくない年です。

2025年は5か月以降で大きく変わりました。

2024年の調査結果と比べて4ヵ月まではほぼ変わらない数値だったが、5ヵ月~12ヵ月では大幅に拡大しており、8ヵ月以上も長期化した場合の価格乖離率はいずれも10%を超えている。

背景の1つは在庫の増加です。東日本不動産流通機構の月例速報(2026年8月度)では、首都圏の中古マンションの成約件数は3,180件で前年比−10.5%、在庫件数は48,235件で前年比+8.2%でした。買主が比べる物件が増えているため、「去年、知人は1年待って値下げせずに売れた」という話は、今の数字とは前提が違います。

出典: 東京カンテイ 中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏) 出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度

反響と内覧の数で3か月時点の状態を分ける

統計に当てたら、次は自分の物件の数字を見ます。3か月分の業務報告を並べ、問い合わせの数、内覧の数、申込の数を確かめます。

  • 問い合わせも内覧もほぼゼロ → 検索結果で選ばれていない状態。中心の原因は価格
  • 内覧が3件以上あって申込がゼロ → 価格で興味は持たれ、現地で見送られている。原因は見せ方か管理への不安
  • 報告に数字がなく「反響なし」だけ → 売り方そのものが動いているかを確かめる段階

この3つの分け方で、次の章の判断が変わります。原因の細かい切り分けと、対策の全体像は別の記事で扱っています。

不動産が売れない理由と対処|止まる場所で原因を切り分ける 不動産が売れない理由と対処|止まる場所で原因を切り分ける

3か月の時点で決める判断

専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間は、宅地建物取引業法で3か月が上限と決まっています。3か月は統計の区切りであると同時に、契約の区切りでもあります。この時点で売主が決められることを4つに分けます。

  • 更新するなら、どの条件を書き直すか
  • 値下げするなら、いくらの幅で1回下げるか
  • 会社を変えるか、一般媒介に変えるか
  • 出し直すなら、レインズの新規登録をどう使うか

媒介契約の満了で更新の条件を書き直せる

宅地建物取引業法34条の2第3項は、専任媒介契約の有効期間は三月を超えることができないと定め、これより長い期間を定めたときはその期間を三月とするとしています。同条4項は、有効期間は依頼者の申出により更新することができるとし、同条10項がこれらに反する特約を無効としています。売主が申し出なければ、契約は満了で終わります。

標準媒介契約約款の専任媒介契約約款も、第7条で有効期間を3ヶ月を超えない範囲で協議して定めるとし、第15条2項で、更新しようとするときは有効期間の満了に際して甲(売主)から乙(会社)に対し文書等でその旨を申し出るものとしています。同条3項は、更新に当たって契約の内容について別段の合意がなされなかったときは、従前の契約と同一内容の契約が成立したものとみなすとしています。裏返せば、合意すれば内容を変えて更新できます。売り出し価格、掲載する媒体、報告の頻度と項目、担当者。3か月の記録をもとに、変えたい条件を文書で出したうえで、更新するかを決めます。

更新の意思確認と一緒に「200万円の値下げ」を提案された。値下げには応じる代わりに、ポータルサイト2つの追加掲載、写真の撮り直し、2週間ごとの報告に閲覧数と問い合わせ数を書くことを更新の条件として文書で出し、合意のうえで更新した。

担当者から更新の意思確認と値下げの提案が同時に来ることが多いですが、値下げに応じるなら、広告と報告の約束を書き直すことをセットにします。更新の手続きと、更新しないときの伝え方は、別の記事で扱っています。

出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第34条の2第3項・第4項・第10項) 出典: 国土交通省 標準媒介契約約款(専任媒介契約約款第7条・第15条)

値下げは成約事例に届く幅を1回で決める

3か月時点で反響が少なく、価格が原因と見えるなら、値下げの幅を決めます。

東京カンテイの調査では、専属専任媒介契約・専任媒介契約の有効期間である3か月以内での平均は−3.57%でした。これは3か月目に成約した事例の値ではなく、1〜3か月に成約した事例をまとめた平均です。4か月で成約した事例は−6.37%、6か月では−8.24%なので、3か月の時点で成約に届く幅を出せれば、値下げは5%前後で収まります。反対に、1〜2%ずつ小刻みに下げると、閲覧している買主に「まだ下がる」と読まれ、様子見が続きます。

幅を決める根拠は、担当者に頼む直近半年の成約事例です。同じマンションや近隣で、階数・広さ・築年が近い成約価格を3件並べ、自分の価格との差を見ます。その差を1回で埋める幅が目安になります。宅地建物取引業法34条の2第2項は、不動産会社が売買すべき価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています。専任媒介契約約款第5条も、媒介価額が事情の変更によって不適当と認められるに至ったときは、根拠を示して助言するとしています。値下げの提案を受けたら、成約事例の提示を求められます。値下げ幅の決め方とタイミングは、別の記事で扱っています。

不動産売却の値下げタイミングはいつ?幅と下げ方の目安 不動産売却の値下げタイミングはいつ?幅と下げ方の目安

出典: 東京カンテイ 中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏) 出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第34条の2第2項) 出典: 国土交通省 標準媒介契約約款(専任媒介契約約款第5条)

会社を変えるか一般媒介に変えるかを反響の記録で決める

3か月の満了は、会社を変えるかを費用の心配なく決められる時点でもあります。専任媒介契約約款第14条1項が費用の償還を請求できる場面としているのは、有効期間内に売主が自ら発見した相手方と契約を締結したときと、会社の責めに帰すことができない事由によって契約が解除されたときの2つで、期間の満了はこの要件の外にあります。

判断の材料は、3か月分の業務報告です。宅地建物取引業法34条の2第9項は、専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上、業務の処理状況を依頼者に報告する義務を置いています。掲載した媒体、ポータルサイトの閲覧数、問い合わせ数、内覧数、見送りの理由が書かれているか。数字のある報告があり、対策も打たれていたのに売れなかったなら、原因は価格か物件側に寄ります。報告に数字がなく、掲載の追加も写真の差し替えもなかったなら、会社の売り方が原因の可能性があります。

会社を変えるほかに、一般媒介契約に変えて複数の会社に頼む選択肢もあります。専任で1社に任せた3か月の結果が振るわなかったなら、2〜3社の買主層に届ける形へ変える判断ができます。乗り換えの手順、専任で売れないときの確かめ方、一般媒介への変え方は、別の記事で扱っています。

出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第34条の2第9項) 出典: 国土交通省 標準媒介契約約款(専任媒介契約約款第14条)

満了で消えるレインズの登録は再登録で新規扱いになる

3か月の満了で、もう1つ起きることがあります。レインズ(指定流通機構の物件情報システム)の登録の扱いです。

専任媒介契約では、宅地建物取引業法34条の2第5項でレインズへの登録が義務づけられ、期間は施行規則15条の10で専任媒介契約は7日、専属専任媒介契約は5日、休業日数は算入しない扱いと決まっています。登録されると、他の不動産会社もその情報を見て買主に紹介できます。

中部圏不動産流通機構のレインズ利用ガイドラインは、「全物件種別で92 日間(登録日を含まない)物件更新を行わなければ自動削除されます」と定め、媒介契約の更新あるいは登録期間の満了によって登録期間の延長が必要な場合は物件更新を行うよう会員に求めています。機能の一覧では、「物件削除」が媒介(代理)契約の途中解約・期間満了、売却等中止のときの操作、「物件登録」が新規の登録(媒介種類変更時も含む)と説明されています。媒介契約の更新は売主・貸主からの申し出に基づき書面によって行うことも、同じガイドラインに書かれています。

会社を変えて登録し直すと、他社の検索には新規登録として載ります。3か月掲載され続けた物件と、新しく登録された物件とでは、他社の担当者が買主に紹介するときの見え方が変わります。なお、このガイドラインは中部圏不動産流通機構のもので、他の機構の運用は各機構の規程で確かめます。

出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第34条の2第5項) 出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法施行規則(第15条の10) 出典: 中部圏不動産流通機構 レインズ利用ガイドライン

半年売れないときに変えること

半年は、統計では4分の3が成約している時点です。2回目の媒介契約が満了し、値下げも1回は行っている人が多い時期です。半年時点の状態ごとに、変えることを3つに分けます。

半年時点の状態変えること
値下げしたのに反響が戻らない売り止めて価格と見せ方を変えて出し直す
専任で2回満了した一般媒介に変えて複数社に頼む
住み替えの期限がある買取保証で売れる期限を決める

半年で4分の3が成約し残りは値下げ幅が2桁に近づく

東京カンテイの2025年の調査では、6か月以内の累計事例シェアは73.8%で、原文では「売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまで」に全体の約3/4が成約に至っていた、と説明されています。7か月で78.6%、8か月で82.1%と、半年を過ぎると毎月の伸びは5ポイント以下に鈍ります。

乖離率は6か月で−8.24%、7か月で−9.60%、8か月で−10.81%です。6か月で成約した事例の価格乖離率の内訳は、0%(売出価格から値下げせず成約)が6.6%、−5%以内が21.6%、−10%以内が34.0%、−20%以内が30.3%、−20%超が7.5%でした。10%を超えて下げた事例は「−20%以内」と「−20%超」の合計で37.8%にあたり、半年で売れた物件の4割近くを占めます。

半年を超えて売り出しを続けるなら、「もう少し待てば同じ価格で売れる」という前提は統計から外れます。価格か売り方のどちらかを変えるか、出口を決める時点です。

出典: 東京カンテイ 中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)

売り止めて価格と見せ方を変えてから出し直す

半年掲載され続けた物件は、ポータルサイトを見ている買主に「売れ残り」と映ります。同じ価格・同じ写真で掲載を続けるかぎり、見ている人の印象はそのままです。

選択肢の1つが、いったん売り止めて出し直す方法です。媒介契約が満了すればレインズの登録は削除の対象になり、別の会社と契約して登録し直せば新規の登録になります。ポータルサイトの掲載も新着として扱われます。出し直す時期は、例年、年度替わり前は進学や転勤で動く人が増えるので、そこに合わせる考え方があります。自分の地域で月ごとの成約件数がどう動いているかは、担当者にレインズの集計で示してもらいます。

ただし、出し直しに意味があるのは、価格か見せ方を変えたときです。同じ条件で出し直せば、同じ買主に同じ判断をされます。出し直す前に、成約事例で価格を組み直し、1枚目の写真と紹介文を差し替えます。

出典: 中部圏不動産流通機構 レインズ利用ガイドライン

一般媒介に変えて複数の会社に頼む

半年で2回の専任媒介が満了したなら、契約の種類を変える選択肢があります。一般媒介契約なら、複数の会社に同時に頼めます。

専任媒介は1社が責任を持って動く代わりに、その会社の買主層と売り方に結果が左右されます。一般媒介で2〜3社に頼むと、各社が持つ買主に届き、会社ごとの売り方の違いも比べられます。会社にとっては他社に先を越される可能性があるため、専任と比べて会社の動きが変わる可能性はあります。

一般媒介契約は、宅地建物取引業法34条の2第5項のレインズ登録義務と、同条9項の業務処理状況の報告義務の外にあります。ただし、同条8項の「申込みがあったときは遅滞なく報告する」義務は、媒介契約の種類を問わず及びます。標準の一般媒介契約約款は、第8条で有効期間を3ヶ月を超えない範囲とし、第9条でレインズに登録することとした場合の登録義務を置いています。契約書で報告の頻度とレインズ登録を約束してもらえば、専任と同じ情報が手に入ります。専任から一般媒介への変え方は、別の記事で扱っています。

出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第34条の2第5項・第8項・第9項) 出典: 国土交通省 標準媒介契約約款(一般媒介契約約款第8条・第9条)

買取保証で売れる期限を先に決める

住み替えの引き渡しやローンの都合で期限がある人は、半年の時点で出口を決めておくと、値下げ交渉で焦らずに済みます。

買取保証(売却保証)は、一定期間は仲介で売り、売れなければあらかじめ決めた価格で不動産会社が買い取る仕組みです。保証価格は、業界で市場価格の7〜8割程度といわれる買取価格と同程度か低めで、仲介手数料や適用条件が付くことがあります。この7〜8割は公的な統計ではなく業界で語られる目安なので、自分の物件の金額は査定で確かめます。

使うなら、保証価格と条件を書面で先に取ります。保証価格が分かれば、「仲介であといくらまで下げて売るか」の下限が決まります。その下限より上で売れるなら仲介を続け、下限を割るなら保証を使う、という判断の物差しになります。

買取保証とは?メリット・デメリットと損しない使い方 買取保証とは?メリット・デメリットと損しない使い方

1年売れないときの選択肢

1年は、統計の対象(12か月以内に成約した事例)の外に出る時点です。1年売れなかった人が確かめることを、税制、査定、費用、出口の4つに分けます。

  • 税制の特例の期限は、あと何か月か
  • 今の成約事例で組み直した価格はいくらか
  • 1年で出ていった費用の合計はいくらか
  • 買取と賃貸の前提条件を満たすか

税制の特例には住まなくなってから3年目の年末という期限がある

住み替え済みで、今のマンションが空室のまま1年経った人は、税制の期限を先に確かめます。

国税庁のタックスアンサーは、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(No.3302)と、マイホームを売ったときの軽減税率の特例(No.3305)で、対象になる家屋を「以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限ります。)」と書いています。特定のマイホームを買い換えたときの特例(No.3355)も「以前に住んでいた家屋で、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売るもの」としています。買換え特例には、これとは別に「令和9年12月31日までにマイホームを売ること」という期限も置かれています。

たとえば2025年3月に引っ越したなら、3年を経過する日は2028年3月で、その日が属する年の12月31日、つまり2028年12月31日までに売却(引き渡し)する形です。

期限を過ぎると控除の適用の外になり、譲渡所得に税率がそのまま掛かります。仮に譲渡所得が3,000万円、売った年の1月1日時点の所有期間が5年超10年以下だとします(仮の数字)。3,000万円の特別控除が使えれば課税長期譲渡所得金額は0円、期限を過ぎて使えなければ3,000万円がそのまま課税対象です。長期譲渡所得の税額は課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)で、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)を加えると合計20.315%になるので、3,000万円×20.315%=609万4,500円(所得税450万円+復興特別所得税9万4,500円+住民税150万円)です。自分の数字は、譲渡価額−(取得費+譲渡費用)で譲渡所得を出してから同じ式に置き換え、実額は国税庁のページと税務署で確かめます。所有期間が10年を超える場合は、軽減税率の特例で税率が変わります。

1年売れていない人は、残りの期限を数え、そこから逆算して値下げや出口の締切を決めます。

出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例 出典: 国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 出典: 国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例 出典: 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算

マイホーム売却の3000万円特別控除|要件・節税額・住宅ローン控除との比較 マイホーム売却の3000万円特別控除|要件・節税額・住宅ローン控除との比較

最初の査定を捨てて複数社で再査定を取る

1年前の査定は、1年前の市況を前提にしています。首都圏の中古マンションは、2026年8月時点で成約件数が前年比−10.5%、在庫件数が+8.2%と、売りに出る数が増えて成約が減る局面にあります。

1年売れていないなら、最初の査定と売り出し価格をいったん手放し、複数の会社に再査定を頼みます。頼むときは「直近半年の成約事例で、条件が近いものを3件」を根拠として求めます。宅地建物取引業法34条の2第2項が、価額について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければならないと定めているので、根拠の提示は求めてよい範囲です。1年前の成約事例で組んだ価格と、今の成約事例で組んだ価格の差が、売れなかった理由の大きさを表します。

再査定は、会社を変える判断の材料にもなります。今の会社の査定と他社の査定が大きく違うなら、根拠の事例を並べて比べます。査定額の高さより、成約事例の選び方が納得できる会社を選びます。

出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度 出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第34条の2第2項)

待った費用の累計と値下げ幅を並べて決める

1年の間に出ていった費用を合計します。管理費と修繕積立金、固定資産税と都市計画税、住み替え済みなら二重の住居費、空室の光熱費の基本料金です。

待つ費用=毎月出ていく費用×待つ月数。仮に月額10万円なら、1年で10万円×12か月=120万円になります(10万円は仮の数字。自分の明細と納税通知書の額に置き換える)。値下げ額=物件価格×乖離率なので、5,000万円の物件を1年前に5%下げていれば5,000万円×5%=250万円。今の統計の12か月の乖離率(−12.72%)で計算すると5,000万円×12.72%=636万円で、3か月時点で下げた場合との差は386万円です。1年待った費用120万円より、値下げ幅の広がりのほうが大きくなります。

待つ費用は月額で見ると小さく映りますが、値下げ幅の拡大と合わせると差が開きます。あと何か月待てるかを、この2つの合計で決めます。

買取と賃貸は前提条件を確かめてから選ぶ

1年売れなかったときの出口は、買取と賃貸転用が代表です。どちらも先に確かめる前提があります。

買取は、不動産会社が直接買い取る方法で、数週間で現金化できます。業界の目安として市場価格の7〜8割といわれますが、この割合は公的な統計ではなく、しかもここでいう市場価格は成約の見込み価格で、自分の売り出し価格とは別です。2〜3社の買取査定を並べて、仲介で値下げして売る場合との差額を比べます。

賃貸に出す場合は、住宅ローンが残っていれば金融機関の承諾が要ります。住宅金融支援機構は、財形住宅融資の案内で、無断で融資住宅を人に貸したり融資住宅に住まなくなったりすると機構との契約に違反することになり、融資金の全額を一括して返すことになると説明しています。転勤などで家族全員が一時的に住めない場合は、管理人を選任する「留守管理」の承認を受けて返済を続ける道があり、承認される期間は3年以内です。民間金融機関の住宅ローンは、届出や承諾の要否と違反したときの扱いが、それぞれの金銭消費貸借契約の条項によって決まります。まず自分の契約書を読み、借入先に確かめます。

また、入居者がいる間は自分で住む前提の売り方ができず、投資物件として売る形になるため、価格は下がりやすくなります。家賃収入で維持費をまかなえるか、いつ売り直すかを、金融機関への確認と合わせて考えます。

出典: 住宅金融支援機構 (財形住宅融資のみ)転勤などで一時的に住めなくなったとき

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まとめ:3ヶ月売れないのは半数の側で、待つほど値下げ幅が広がる

いちばん重いのは、3か月を超えること自体は半数の側だという点と、そこから先は待つほど値下げ幅が広がるという点です。東京カンテイの2025年の調査では、3か月以内の累計事例シェアは50.8%で、価格乖離率は3か月で−5.48%、6か月で−8.24%、8か月で−10.81%、12か月で−12.72%まで広がりました。2024年は12か月でも−4.69%だったので、「待てば同じ価格で売れた」という前年の経験は、そのままでは当てはまらない局面です。

次の一歩は、3か月の満了が来る前に、更新するか・条件を書き直すか・会社や契約の種類を変えるかを、3か月分の業務報告の数字を見て決めることです。ここを決めずに同じ内容で更新すると、次の3か月も同じ売り方が続き、半年時点では値下げ幅が2桁に近づいた状態で同じ判断を迫られます。

まずは手元の業務報告を3か月分並べ、問い合わせ・内覧・申込の数を数えるところから始めます。住み替えのトビラでは、マンションが3か月売れないときに期間ごとに決める判断も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。