マンションを即金で売却する方法|即日買取の中身と現金が入る日を早める条件

マンションを即金で売却する方法|即日買取の中身と現金が入る日を早める条件

支払いの期限が迫っている、住み替え先の手付金が要る、事業の資金を今すぐ用意したい。理由はさまざまでも、「マンションを即金で売りたい」と検索する人が知りたいのは、本当に当日に現金が入るのか、どの方法が最短か、何を準備すれば早まるか、急ぐと何を失うか、です。

先に答えを書きます。売主が現金を受け取るのは、契約日の手付金と、決済日の残代金の2回です。「即日」で終わるのは査定と契約までで、残代金は司法書士が書類を確かめてから支払われます。住宅ローンが残っていれば、決済日は銀行の完済予約の期限で決まり、業者の速さより自分の準備で日数が動きます。

この記事では、現金が動くまでの流れ、即金で売る4つの方法、日数を早める条件、急ぐときの落とし穴、そして売らずに現金を作る道を順に見ていきます。

マンションの即金売却で現金が動くまでの流れ

「即金」「即日買取」と書かれていても、現金が動くタイミングは決まっています。契約日の手付金と、決済日の残代金の2回です。決済日は、司法書士の確認と、住宅ローンが残っていれば銀行の完済手続きで決まります。

段階起きること現金の動き目安
査定依頼図面と築年数から概算なし当日〜数日
現地確認業者が室内を確認なし30分〜1時間
金額提示確認後の買取価格なし当日〜数日
売買契約契約書に署名・手付金手付金を受け取る1日
完済予約(ローンありの場合)銀行に全額繰上返済を申し込むなし銀行の期限による
決済・引渡し残代金・抵当権抹消・所有権移転・鍵残代金を受け取る契約から数日〜数週間
この記事の数値の読み分け

譲渡所得の税率と所有期間の判定日(国税庁)、3,000万円特別控除が所有期間の長短に関係なく使える点(国税庁)、相続登記の3年以内の申請義務(法務省)、手付による解除の効果(民法557条)、クーリングオフの対象(宅地建物取引業法37条の2)、銀行3行の完済予約の期限と抵当権抹消書類の受け渡し方(各行の公式案内)は、一次情報で確かめた事実値・制度値です。一方、買取の契約から決済までの1〜2週間と全体の2週間〜1か月、現金買主の2〜3週間、住宅ローン本審査の2〜3週間、手付金の5〜10%、不動産担保ローンの金利と審査日数、つなぎ融資の利息と手数料、登記識別情報を失った場合の費用と日数、相続登記にかかる期間は、公的な統計で確かめられた数値とは別の目安です。買取価格、ローン残高、家賃は、読者が自分の数字を入れる値として書いています。

現金が動くのは契約日の手付金と決済日の残代金

マンションの売買で売主が現金を受け取る場面は2つです。1つは売買契約の日に受け取る手付金、もう1つは決済の日に受け取る残代金です。手付金は売買代金の一部を契約の証として先に受け取るもので、金額は契約で決めます。残代金は売買代金から手付金を引いた残りで、決済の日に支払われます。東京都住宅政策本部の「不動産取引の手引き」も、この2段階を次のように書いています。

一般的な売買契約では、契約締結時に手付金を授受し、数週間から数ヵ月後に残代金の決済と物件の引渡しを行います。

つまり「即金」と言われる取引でも、契約の日に受け取れるのは手付金までです。売買代金の大半を占める残代金は、決済の日に初めて動きます。

決済の日の順番も、同じ手引きが定めています。

司法書士により所有権の移転・抵当権等の抹消等に必要な書類・情報が確認された後に残代金を支払います。書類が不足していたり情報が確認できないような場合は、決済を延期します。

司法書士が売主と買主の本人確認をし、所有権移転と抵当権抹消に必要な書類を確かめ、確認が済んでから残代金が支払われます。売主は着金を確かめてから、鍵と書類を渡します。手引きは残代金の準備について「必要な金額や金種(現金なのか預金小切手なのか)を媒介業者等に確認して準備します」と案内しているので、売主の側も、受け取り方が振込か預金小切手かを決済の前に媒介業者へ確かめておきます。

出典: 東京都住宅政策本部「不動産取引の手引き」9 残金支払(決済)と引渡し

即日で決まるのは契約までで残代金は決済日に動く

「即日買取」という言葉が指しているのは、多くの場合、即日の査定回答、即日の金額提示、早ければ即日の契約です。ここまでは業者の判断だけで進むので、当日に終えることができます。

残代金の支払いは別です。支払いは銀行の営業日の営業時間内に行い、司法書士が登記書類を確かめた後に初めて動きます。業者が現金を用意していても、書類が揃っていなければ司法書士は確認を終えられず、決済は延びます。前に引いた手引きのとおり、書類が不足している場合は決済そのものを延期する扱いです。

契約と決済を同じ日にすることは可能です。ただし条件があります。マンションに抵当権が付いていない、必要書類がすべて揃っている、業者が資金を用意している、その日が銀行の営業日である、の4つです。この4つが揃う人は限られます。「即日」を見たら、何が即日で、残代金はいつ支払われるのかを、契約の前に文書で確かめます。

出典: 東京都住宅政策本部「不動産取引の手引き」9 残金支払(決済)と引渡し

住宅ローンが残っていれば決済日は銀行の完済予約で決まる

住宅ローンが残っているマンションには、金融機関の抵当権が付いています。売るには、決済の日に売却代金でローンを完済し、抵当権を消す必要があります。この完済は、銀行に事前に申し込む予約制です。

予約の期限は銀行によって違います。ソニー銀行は、売却による一括繰上返済について「完済日の10営業日前まで」に完済予約を申し込む案内です。SBIアルヒの全額繰上返済は「繰上返済ご希望日の1ヶ月前まで」に依頼する形です。三菱UFJ銀行の期限前完済は、インターネット申込の場合、担保抹消書類を完済日以降に店頭で受け取るなら完済日の10営業日前、郵送で受け取るなら完済日の4営業日前が申込みの期限です。いずれも各行が公式に示している期限で、他の金融機関はまた別の期限を置いています。

たとえば、「最短3日で現金化」の広告を見て買取業者に査定を頼み、翌日に金額の合意まで進んだ。ところが銀行に完済を申し込むと「申込みから10営業日後以降」と言われ、決済は結局2週間半後になった。業者の速さと銀行の期限は別物だった(例示)。

ここが、ローンが残っている人の「即金」の最短を決める線です。業者がどれだけ早く動いても、決済は銀行の完済予約の期限より後になります。自分の銀行の期限を知らずに「最短3日で現金化」の宣伝だけを見ると、決済日で食い違いが起きます。査定を頼むのと同時に、銀行へ完済予約の期限と必要書類を聞くことが、即金への近道です。

出典: ソニー銀行「一括繰上返済(ご完済)お手続の流れ(ご売却)」 出典: SBIアルヒ「全額繰上返済」 出典: 三菱UFJ銀行「住宅ローンの期限前完済」

マンションを即金で売却する方法

現金を早く受け取る方法は4つあります。どれが自分に合うかは、価格をどこまで下げられるか、引っ越せるか、期日が決まっているかで決まります。

方法現金が入るまでの目安価格の傾向向く事情
買取業者に売る契約から1〜2週間、全体で2週間〜1か月仲介より低い期日が決まっている
仲介で現金の買主に売る契約から2〜3週間相場に近いが買主が限られる少し待てる
リースバック買取と同程度買取より低い傾向、家賃が発生引っ越せない
買取保証付き仲介仲介の期限(3か月が多い)+買取の日数期限内は相場、期限後は保証価格期日を担保したい

表の日数はいずれも目安で、業者や物件の事情で前後します。

買取業者に売って決済日に残代金を受け取る

最も早いのは、不動産会社が自ら買主になる買取です。業者は自己資金か会社の融資枠で買うので、買主の住宅ローン審査を飛ばせます。現地確認と金額の合意が済めば契約でき、契約から決済までは1〜2週間が目安です。

買取の利点は、買主を探す期間がないことと、決済の日を業者と相談して決められることです。「この日に現金が要る」という事情に合わせやすい方法です。

代わりに、価格は仲介で売る場合より低くなります。業者はリフォーム費用と再販の利益を引いて金額を出すためです。買取の仕組みと、価格が下がる理由、向く人と向かない人は、別の記事で詳しく扱っています。本記事では、現金が入る日を早める観点に絞ります。

不動産の即時買取とは?価格が安くなる理由と向き不向き マンションの即時買取とは?価格が安くなる理由と、仲介・買取保証との使い分け

仲介で現金の買主を探して融資審査の日数を省く

仲介で売る場合でも、買主が現金で買うなら、住宅ローンの本審査(2〜3週間が目安)がなく、契約から決済までを2〜3週間まで縮められます。現金で買うのは、投資家、法人、そして仲介を通して買う買取業者です。

この方法の利点は、価格が買取より相場に近づく可能性があることです。複数の現金買主が競えば、買取業者の直接の提示額より高い申込みが入ることがあります。仲介手数料は必要です。

進め方は、媒介契約のときに「現金の買主を優先する」「融資特約なしの申込みを歓迎する」と会社に伝えることです。募集の図面にその旨を書いてもらえば、現金買主からの問い合わせが集まります。売り出しから申込みまでの期間は読みにくいので、期日が決まっている人には買取の方が向きます。

住み続けながら現金化するならリースバックを使う

売却で現金を作りたいが、引っ越せない事情がある場合は、リースバックがあります。マンションを不動産会社に売り、その会社と賃貸借契約を結んで、家賃を払いながら住み続ける方法です。現金が入る日数は買取と同じ程度です。

利点は、引っ越しの費用と手間がなく、周囲に売却を知られにくいことです。事業資金や一時的な支払いのために現金が要るが、住まいは変えたくない人が使います。

注意点は、売却価格が買取よりさらに低くなる傾向があることと、毎月の家賃が発生することです。家賃の水準、契約の種類(定期借家か普通借家か)、買い戻しの条件は会社によって違い、後からのトラブルも多い分野です。リースバックの仕組みと注意点は、別の記事で詳しく扱っています。

リースバックとは?仕組み・メリット・デメリットを解説 リースバックとは?仕組み・メリット・デメリットを解説

契約時の手付金を厚くして決済前に現金を受け取る

決済の日を待たずに現金を受け取る手段が、手付金です。手付金は契約の日に買主から受け取るお金で、金額は当事者の合意で決まります。売買代金の5〜10%が目安として語られますが、買主が買取業者なら、1〜2割の手付金を求める交渉ができます。

たとえば買取価格2,000万円で手付金を20%にすれば、契約の日に400万円が入り、残りの1,600万円が決済の日に入ります(金額は例示)。決済まで2週間待てないが、数百万円が今すぐ要るという事情なら、この形で解決することがあります。

注意点は、手付金の性質です。民法は、手付を交付した後の解除について次のように定めています。

買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。

つまり、厚い手付金を受け取った売主が自分の側から契約を解除するには、受け取った額の倍を現実に用意する必要があります。同じ条文のただし書きにより、相手方が契約の履行に着手した後は、この解除ができなくなります。受け取った手付金を先に使ってしまうと解除の道が閉じるので、契約を守る前提で受け取ります。

出典: e-Gov法令検索「民法」(第557条)

即金売却を早める条件

即金の日数を決めるのは、業者の速さより、売主側の準備です。書類、銀行の完済予約、決済日の組み方の3つで、決済までの日数が大きく変わります。

  • 登記識別情報(権利証)
  • 印鑑証明書(発行から3か月以内)と実印
  • 本人確認書類
  • 固定資産税の納税通知書または評価証明書
  • 管理規約、使用細則、長期修繕計画
  • 住民票(登記上の住所と現住所が違うとき)
  • 住宅ローンの残高証明
  • 鍵(全本数)

登記識別情報と印鑑証明を先に揃える

決済で司法書士が必ず確かめるのが、登記識別情報(以前の権利証)と、発行から3か月以内の印鑑証明書です。登記識別情報が見当たらない場合、司法書士による本人確認情報の作成や事前通知の手続きが必要になり、数日から数週間の遅れと数万円の費用が生じます(日数と費用は目安です)。

登記上の住所と現在の住所が違う場合は、住所変更の登記も同時に必要で、住民票や戸籍の附票が要ります。転居を重ねている人は、つながりを証明する書類の取り寄せに時間がかかります。

これらは、査定を頼む前に自分で確かめられます。権利証の所在、印鑑証明の取得、住所のつながりの3つを先に済ませておけば、業者が決めた決済日に書類の理由で遅れる事態を避けられます。書類が不足していれば決済は延期になる、というのが東京都の手引きの扱いです。

出典: 東京都住宅政策本部「不動産取引の手引き」9 残金支払(決済)と引渡し

住宅ローンが残っているなら銀行の完済予約の期限を先に聞く

住宅ローンが残っている人は、査定を頼むのと同じ日に、銀行へ次の4点を聞きます。全額繰上返済(完済)の申込み期限、申込みに必要な書類、抵当権抹消書類の受け渡し方、完済にかかる手数料です。

申込み期限は銀行ごとに違い、前の章で見たとおり、完済日の4営業日前から1か月前までの幅があります。抵当権抹消書類の渡し方も銀行ごとに違います。三菱UFJ銀行は「完済日の約10営業日後、郵送でお届出住所にてお受け取り」と、店頭での受け取りを選べる形を案内しています。auじぶん銀行は、約定返済や自己資金による完済について「住宅ローンご完済以降、約2週間程度で、お客さまの登録住所宛に簡易書留で抵当権の解除書類を送付」と案内し、売却や借り換えによる完済では抵当権抹消手続きが済んでいるため手続きが要らない形にしています。SBIアルヒは完済後に登録住所へ郵送する扱いで、売却の場合は住宅ローンショップで当日受け取ることもできると案内しています。ソニー銀行は、指定の司法書士が完済日当日に抵当権抹消登記を申請します。

この4点を先に知っておけば、業者との決済日の相談で「銀行の都合でこの日以降」と自分から示せます。逆に知らないままだと、業者が決めた決済日に銀行が間に合わず、日程を組み直すことになります。

出典: 三菱UFJ銀行「住宅ローンの期限前完済」 出典: auじぶん銀行「住宅ローン 完済後のお手続き」 出典: SBIアルヒ「全額繰上返済」 出典: ソニー銀行「一括繰上返済(ご完済)お手続の流れ(ご売却)」

決済日は銀行営業日の午前に組む

決済の日は、平日の午前中に組みます。理由は、残代金の支払い、着金の確認、抵当権抹消と所有権移転の登記申請を、すべてその日のうちに終えるためです。午後遅くに始めると、振込が翌営業日扱いになったり、法務局の受付時間に間に合わなかったりします。

金曜の午後、連休の前日、月末は避けます。銀行の窓口が混み、振込の処理に時間がかかることがあるためです。ソニー銀行も、大型連休を挟む場合は通常より手続に時間がかかる場合があると案内しています。

決済の場所は、買主が振込を行う銀行の応接室か、不動産会社の事務所が一般的です。売主が用意するのは、前の章の書類一式と、残代金を受け取る口座の通帳かキャッシュカード、印鑑です。当日の流れは司法書士が仕切るので、売主は指示に従って署名と押印をし、着金を自分の口座で確かめてから鍵を渡します。

出典: ソニー銀行「一括繰上返済(ご完済)お手続の流れ(ご売却)」

相続したマンションは相続登記を先に済ませる

相続したマンションを即金で売りたい場合、最初の壁は登記の名義です。登記の名義が亡くなった人のままだと、売買契約は結べても、所有権移転の登記で止まります。決済の前に、相続登記で名義を相続人に変える必要があります。

相続登記には、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、法務局への申請が要り、書類が揃っていても2〜4週間、戸籍の取り寄せから始めると1〜2か月かかることがあります(日数は目安です)。相続登記そのものは、2024年(令和6年)4月1日から義務になりました。法務省のQ&Aは次のように書いています。

相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になりました。

正当な理由がないのに相続登記をしない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があるとも案内されています。2024年4月1日より前に相続したことを知った不動産も、相続登記が済んでいなければ義務の対象です。

即金で売りたいなら、業者に査定を頼む前に、司法書士に相続登記を依頼します。買取業者の中には、相続登記と売却を同時に進める段取りに慣れた会社もあるので、相続物件であることを最初に伝えます。

出典: 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」

抵当権がなければ契約と決済を同日にできる

住宅ローンを完済していて抵当権が付いていない、書類が揃っている、買主が買取業者で資金を用意している。この3つが揃えば、売買契約と決済を同じ日に行うことができます。契約の日に手付金と残代金をまとめて受け取り、鍵を渡して終わります。

この形が、本当の意味での「即日」の売却です。査定の翌日に契約と決済を同日で行えば、査定から2日で現金が入ります。

ただし、同日決済は売主にとっても確認の時間が極端に短くなります。契約書の内容(価格、引渡しの条件、契約不適合責任の免責、残置物の扱い)を、当日ではなく前日までに文書で受け取って読んでおきます。急ぐときほど、契約書を先に受け取ることが自分を守る手順です。

即金売却の落とし穴

急いで売るときに起きる失敗は、税の思い込み、言い値、契約書の空欄、撤回できないこと、書類の先渡し、残債の超過の6つです。

  • 所有5年以下の税率は高いが3,000万円控除で税がゼロになる場合も多い
  • 買取の提示額には根拠の内訳を求める
  • 契約書の代金支払時期と手付金の性質を確かめる
  • 個人が業者に売る契約にクーリングオフはない
  • 決済前に鍵と権利証の原本を渡さない
  • 残債が買取価格を上回ると決済ができない

所有5年以下の税率は高いが3,000万円控除で税がゼロになる場合も多い

「買ってから5年以内に売ると税金が高い」という話は事実です。国税庁は、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下のものを短期譲渡所得、5年を超えるものを長期譲渡所得として区分しています。税額の計算は、短期が「課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)」、長期が「課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)」です。これに加えて、復興特別所得税を基準所得税額の2.1%として所得税と併せて申告・納付します。よく見る39.63%・20.315%という数値は、この内訳から計算した合計です。

ただし、この税率がかかるのは「利益」に対してです。売却価格から取得費と売却費用を引いた額が利益で、値下がりしていれば利益はゼロで、税もゼロです。さらに、自分が住んでいたマンションなら、居住用財産の3,000万円特別控除が使えます。国税庁はこの特例を「マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例」と説明していて、利益が3,000万円以下なら短期でも税はゼロになります。

「短期は39%だから売るのは損」と考えて売却を止める人がいますが、多くの居住用マンションでは控除で税が消えます。確定申告は必要です。計算の手順は別の記事で扱っています。

出典: 国税庁 タックスアンサー No.3202 譲渡所得の計算のしかた(総合譲渡・分離譲渡) 出典: 国税庁 タックスアンサー No.3211 短期譲渡所得の税額の計算 出典: 国税庁 タックスアンサー No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 出典: 国税庁 タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例

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買取の提示額には根拠の内訳を求める

買取業者の提示額は、業者の判断で決まる「言い値」になりやすい金額です。急いでいる売主ほど、最初の提示額をそのまま受け入れがちです。

提示額を受け取ったら、内訳を聞きます。再販するときの想定価格はいくらか、その根拠となる成約事例はどれか、リフォーム費用をいくら見ているか、業者の利益はどれくらいか。この4つを答えられる業者は、金額に根拠があります。答えが曖昧な業者の提示額は、比較の材料が要ります。

比較の方法は、複数の業者に現地確認まで受けてもらい、確認後の金額で比べることです。同じ日にまとめれば、立会いは1日で済みます。急いでいるときこそ、1社の提示額で決めると、数百万円の差をそのまま失います。業者の選び方は別の記事で扱っています。

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契約書の代金支払時期と手付金の性質を確かめる

「即日現金」を強調する業者と契約するときほど、契約書の4か所を確かめます。代金の支払時期(手付金の額と支払日、残代金の支払日)、手付金の性質、違約金の額、引渡しの日です。

とくに、残代金の支払日が空欄、または「別途協議」となっている契約書は避けます。支払日が決まっていない契約は、いつ現金が入るかを業者が決められる契約です。「即金」を求めて契約したのに、決済が先延ばしにされる形になります。

手付金は、契約の日に受け取ることを確かめます。「手付金は決済時にまとめて」という契約は、契約の日に現金が動かない契約です。違約金については、宅地建物取引業法が、宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約について、債務不履行による解除に伴う損害賠償の予定と違約金の合算が代金の2割を超える定めを禁じています(38条)。個人が売主で業者が買主となる買取は、この制限の対象の外にあります。業者が売主のときの法定上限を目安に、自分の契約の違約金がいくらかを確かめます。契約書は当日に初めて見るのではなく、前日までに受け取って読みます。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第38条)

個人が業者に売る契約にクーリングオフはない

不動産の売買にクーリングオフの制度があると聞いたことがある人は多いはずです。ただし、宅地建物取引業法のクーリングオフは、条文の入口が次のように書かれています。

宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、…事務所等…以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主…は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除…を行うことができる。

制度が守っているのは、不動産会社が売主で、その相手方となる買主です。個人が売主で、不動産会社が買主になる買取は、この制度の対象の外にあります。

つまり、買取の契約を結んだあとに「やはりやめたい」と思っても、撤回には代償が伴います。解除するには、手付による解除なら受け取った手付金の倍額を現実に提供する、それ以外なら違約金を払う形になります。急いでいるときの契約は、この点を知ったうえで結びます。契約の前に、価格、決済日、引渡しの条件、残置物の扱いを文書で確かめ、納得してから署名します。「とりあえず契約して、あとで考える」は、買取では使えない進め方です。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第37条の2)

決済前に鍵と権利証の原本を渡さない

決済の前に、業者から「手続きを早めるために」と、鍵や登記識別情報の原本、印鑑証明書の原本を預かりたいと言われることがあります。これらは決済の場で、司法書士の確認のもとで渡すものです。事前に渡す理由は売主側にはひとつも見当たらず、渡すのは決済の場だけです。

たとえば、「決済を早めるので先に預かります」と言われ、権利証と印鑑証明の原本を業者に渡した。決済日が2度延び、そのあいだ書類は業者の手元。結局は決済されたが、代金を受け取る前に名義を移せる状態を自分から作っていた(例示)。

登記識別情報と印鑑証明書と実印が揃えば、所有権を移す登記ができてしまいます。残代金を受け取る前にこれらを渡すと、代金が支払われないまま名義が移るおそれが残ります。

鍵についても同じです。決済前に鍵を渡すと、引渡しが済んだと扱われ、その後の室内の状態について責任の所在が曖昧になります。東京都の手引きも、引渡しを「売主は売買代金受領と引換えに、買主へ物件を引き渡し」と定義しています。急いでいても、書類と鍵は決済の日に、残代金の着金を確かめてから渡します。この順番を守ることが、即金売却で自分を守る最後の線です。

出典: 東京都住宅政策本部「不動産取引の手引き」9 残金支払(決済)と引渡し

残債が買取価格を上回ると決済ができない

住宅ローンの残高が買取価格を上回る状態(オーバーローン)では、売却代金だけではローンの完済に足りず、抵当権が残ります。東京都の手引きは、売買契約書が「売主は、…、買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を消除する」と定めていること、つまり抵当権を除去して登記を抹消したうえで引き渡すのが売主の責任と負担であることを説明しています。抵当権が残ったままでは買主への所有権の移転が止まり、決済そのものが止まります。

買取価格は仲介より低いため、仲介なら残債を上回る物件でも、買取では下回ることがあります。即金を急いで買取を選んだ結果、決済の段階で足りない額が判明し、自己資金で補うか、売却をやめるかの選択になる例があります。

これを避けるには、査定を頼む前に、銀行から残高証明を取り、買取の提示額と比べます。足りない場合は、自己資金で埋められるか、住み替えローンや任意売却などの別の道があるかを先に検討します。オーバーローンの売却の進め方は別の記事で扱っています。

出典: 東京都住宅政策本部「不動産取引の手引き」9 残金支払(決済)と引渡し

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売らずに現金を作る方法

「即金で売却」を調べている人の中には、本当のニーズが「今すぐお金が要る」である人がいます。売却で数百万円を失う前に、借りて時間を買う道を確かめます。

  • 不動産担保ローンで売らずに借りる
  • 住み替えの資金ならつなぎ融資で売却を急がずに済む
  • 返済が厳しいなら先に金融機関へ条件変更を相談する

不動産担保ローンで売らずに借りる

マンションを担保に入れて借りる不動産担保ローンは、売らずに現金を作る方法です。使い道が限定されないものが多く、事業資金や一時的な支払いに使えます。審査から融資まで1〜2週間が目安で、買取と同程度の速さです(日数は目安です)。

金利は住宅ローンより高く、年数%が目安として語られます。住宅ローンが残っている場合は、後順位の抵当権になるので、借りられる額は「担保評価額−ローン残高」の範囲に限られます。担保評価額とローン残高は、読者が自分の数字を入れる値です。

利点は、マンションを手放さずに済むことと、資金の目的が一時的なら、返済後に元の状態に戻ることです。買取で相場の2〜3割を失うのと、数年分の利息を払うのと、どちらが小さいかを比べて選びます。返済の見込みが立たない借入は、売却の先延ばしにしかならないので、返済計画が立つ場合に限ります。

住み替えの資金ならつなぎ融資で売却を急がずに済む

即金を急ぐ理由が「住み替え先の手付金や残代金の支払い」なら、売却を急ぐより、つなぎ融資を使う方が損が小さい場合があります。つなぎ融資は、今のマンションの売却代金が入るまでの期間、新居の支払いに充てるお金を一時的に借りる仕組みです。

売却を急いで買取に出せば、数百万円を失います。つなぎ融資なら、利息と手数料が数十万円で済むことが多いと言われ、そのあいだに仲介で相場に近い価格で売る時間を作れます。どちらの金額も目安なので、自分の物件では、買取の提示額と仲介の査定額の差、つなぎ融資の利息と手数料の見積りを並べて比べます。

つなぎ融資は取り扱う金融機関が限られ、住み替え先の融資と組み合わせて使うのが一般的です。住み替え先の契約を結ぶ前に、金融機関に相談します。つなぎ融資の仕組みと注意点は別の記事で扱っています。

住み替えのつなぎ融資とは?仕組みと費用、売り先行との選び方 住み替え(買い替え)のつなぎ融資とは?仕組みと費用、売り先行との選び方

返済が厳しいなら先に金融機関へ条件変更を相談する

即金を急ぐ理由が「住宅ローンの返済が苦しい」なら、売却の前に、借りている金融機関へ返済条件の変更を相談する道があります。返済期間の延長、一定期間の返済額の減額、ボーナス返済の見直しなどが選択肢です。

金融機関は、延滞が始まる前の相談には応じやすい傾向があります。相談の窓口は、借りている金融機関のローン窓口やコールセンターです。売却を検討している段階であることも、あわせて伝えます。

条件変更で毎月の負担が下がれば、売却を急ぐ必要が消えるか、少なくとも買取で急ぐ理由がなくなります。それでも返済の見込みが立たない場合は、任意売却を含めて、売却の道に戻ります。どの道でも、延滞が始まる前に動くことが、選択肢を残す条件です。

まとめ:即金で動くのは契約日の手付金と決済日の残代金で、最短を決めるのは銀行の完済予約と書類

いちばん重いのは、「即金」で当日に受け取れるのは手付金までで、売買代金の大半を占める残代金は決済の日に動くという点です。東京都の手引きも、契約締結時に手付金を授受し、数週間から数ヵ月後に残代金の決済と引渡しを行うのが一般的な売買契約だと書いています。決済の日には司法書士が所有権移転と抵当権抹消の書類を確かめ、確認が済んでから残代金が支払われ、書類が足りなければ決済は延期されます。即日で終わるのは査定、金額提示、契約までで、その先は書類と銀行の日程が決めます。

次の一歩は、査定を頼むのと同じ日に、借りている銀行へ完済予約の期限と必要書類、抵当権抹消書類の受け渡し方、完済手数料の4点を聞くことです。あわせて、登記識別情報と3か月以内の印鑑証明を手元に揃えます。ここを飛ばすと、業者が「最短3日」と言っても、完済予約の期限が完済日の4営業日前から1か月前までの幅で先に立ちはだかり、決済日を組み直すことになります。相続したマンションなら、相続登記が済むまで所有権移転の登記が止まるので、査定より前に司法書士へ依頼します。

そのうえで確かめたいのは、自分が本当に必要としているのが「売って現金を作ること」なのか、「今すぐ使えるお金」なのかという点です。後者なら、不動産担保ローンやつなぎ融資で時間を買う道と、買取で失う金額を並べて比べます。売ると決めたら、契約書の代金支払時期、手付金の額と支払日、違約金、引渡しの日を前日までに文書で受け取って読みます。住み替えのトビラでは、マンションを即金で売る方法と、現金が手元に入る日を早める条件も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。