事情があって早く現金にしたいとき、会社に直接買ってもらう売り方が候補に挙がります。
買い取ってもらうか仲介で売るかは、期日が動かせるかどうかで分かれるので、急ぐ事情があるかを先に確かめると選べます。
即時買取の仕組みと現金になるまでの早さ、値段が下がる理由と、仲介や買取保証との使い分けを説明します。
マンションの即時買取とは|仲介との違いと売却の早さ
即時買取とは、不動産会社が自ら買主となってマンションを直接買い取る売り方です。買い手を探す段階がないぶん、仲介より早く現金化できます。
ここでは、会社が直接買い取る仕組み、仲介との違い、現金化までにかかる期間の目安を順に見ていきます。個人の買い手を探す仲介とは、売却の進み方そのものが変わります。
即時買取の仕組み|会社が直接買い取る流れ
即時買取は、不動産会社が転売を前提に、あなたのマンションを直接買い取る仕組みです。
一般的な売却では、不動産会社は売主と買主の間に立って取引をまとめる役割を担います。買い手はあくまで個人などの第三者で、会社は仲立ちをする立場です。
即時買取では、この関係が変わります。買い手になるのは不動産会社そのものです。会社は買い取ったマンションをリフォームなどで手直しし、あらためて次の買い手へ売り直して利益を得ます。つまり会社にとっての仕入れが、売主にとっての売却にあたります。
買い手が最初から決まっているため、内覧の対応も要りません。住みながら売る場合でも、見知らぬ人に生活の様子を見られることや、そのたびの掃除や日程調整といった負担が生じません。この点は、暮らしながら売却を進めるマンションでとくに実感しやすい特徴です。
即時買取と仲介の違い|手数料・期間・内覧を比較
即時買取と仲介は、買主・現金化までの道筋・仲介手数料・内覧の4点で大きく異なります。
| 比較する点 | 即時買取 | 仲介 |
|---|---|---|
| 買主 | 不動産会社 | 個人などの第三者 |
| 現金化までの道筋 | 買い手を探す段階がないため、価格の合意から契約・決済へ直行する | レインズ登録から成約まで平均82.5日(2025年・首都圏中古マンション)、その後に決済・引渡しが続く |
| 仲介手数料 | かからない | かかる |
| 内覧 | 不要 | 必要 |
仲介手数料がかからないのは、会社が仲立ちではなく買い手そのものになるためです。仲立ちに対する報酬という考え方が、そもそも生じません。
内覧が不要なのも同じ理由です。買い手を新たに探す必要がないため、購入希望者を招いて住戸を見てもらう段階がまるごと省けます。
なお、価格が仲介と比べてどうなるか、どちらが得かという損得の話は、次の章でくわしく扱います。
買取はなぜ早いのか|手順の少なさで読む
即時買取が早いのは、手順が少ないためです。査定 → 価格の提示と合意 → 売買契約 → 決済・引渡し、と進み、価格に合意した時点で買い手が確定します。買い手を待つ時間が無いので、次に進む条件がすべて自分と会社の間で完結します。
仲介では、売り出したあとに買い手が現れるまでの時間が読めません。首都圏の中古マンションでレインズへの登録から成約までにかかった日数は、2025年の平均で82.5日でした。これはレインズへの登録日を起点にした平均で、売り出しや査定を起点にした日数ではありません。分布(何日以内に何%が成約したか)は公表されておらず、登録義務のない一般媒介の物件は母集団に入っていません。
なお、買取の契約から決済までに何日かかるかを集計した公的統計・業界団体統計はありません。
転勤の期日が迫っている、決まった時期までにまとまった資金が必要、といった事情がある方にとって、時期を自分で読める点は大きな利点です。
ただし、実際に何日かかるかは、マンションの状態や会社の体制、権利関係の確認にかかる時間によって前後します。すべての物件が同じ日程で進むわけではない点は、あらかじめ知っておくと安心です。
マンションの即時買取は仲介相場の何割か|安くなる理由
即時買取の価格は、仲介で売れる相場のおおむね6〜8割が一つの目安です。安くなるのは買い叩きではなく、会社が買い取ったマンションを再び売り直すまでに負うコストとリスクを織り込むためです。
ここでは、マンションでの価格の目安、下がる理由、そして「安い=損」とは限らない理由を順に整理します。数字だけを見て身構える前に、その背景まで押さえておきたいところです。
買取価格の目安|仲介相場のおおむね6〜8割(集計した統計は無い)
買取価格を業者横断で集計・公表している公的機関・業界団体はありません。国土交通省の不動産系統計にも、レインズの公表統計にも、買取価格の区分は無く、取引価格情報は買主が業者か個人かの別で集計されていません。
そのうえで業界で一般に言われている目安は、仲介で売れる相場のおおむね6〜8割です。出典として示せるものが無いため、「◯割です」と言い切れる数字ではありません。実際の割合は物件や会社によって変わります。
たとえば仲介なら3,000万円で売れそうなマンションに上の目安(6〜8割)を当てると2,100万円から2,700万円になりますが、これは統計から出た数字ではなく、目安を機械的に当てはめた計算にすぎません。同じ物件でも会社によって提示額は動きます。
買取率が築年数や立地で変わることは会社の説明として語られますが、それを条件別に集計した統計はありません。自分のマンションでの実際の数字は、複数の会社に査定を依頼して確かめるのが確実です。
なお、「土地の形がいびつ」「郊外にある」「境界が未確定」といった条件で価格が大きく下がるという説明は、戸建てや土地に固有の値下がり要因です。区分所有のマンションから住み替える方には基本的に当てはまりません。
具体的に売却を考える段階では、複数の会社に査定を依頼し、自分のマンションでの実際の数字を確かめることをおすすめします。
出典: LIFULL HOME’S/マーキュリー不動産ラボ/スター・マイカ
買取価格が下がる理由|マンション特有の再販コストと在庫リスク
買取価格が仲介より下がるのは、買い叩きではなく、会社が買い取った後の再販に負うコストとリスクを価格に織り込むためです。
会社は買い取ったマンションをそのまま寝かせておくわけではありません。次の買い手に売り直すまでの間に、いくつもの費用と不確実さを抱えます。マンションでおもなものは次の通りです。
- リノベーション費(室内の全面的な手直しを前提とすることが多く、工事の範囲によって額が大きく変わります)
- 保有中の管理費・修繕積立金(マンション固有の負担で、売れるまで毎月出続けます)
- 再販時の広告宣伝費(次の買い手を探すための費用)
- 売れ残り在庫リスクと、その間の資金の金利負担
とくにマンションで見落とされやすいのが、二つめの管理費・修繕積立金です。戸建てや土地にはない区分所有ならではの固定費で、会社が保有している間も毎月かかり続けます。売れ残る期間が延びるほど利益を削るため、会社はあらかじめ価格に織り込みます。マンションで買取価格が仲介相場より下がる理由の一つが、この保有中の固定費です。
これらはいずれも、会社が利益を出して事業を続けるために避けられない支出や備えです。買取価格は、次に売れる想定価格から、こうしたコストと利益、そして売れ残ったときの損失に備える分を差し引いて決まります。つまり、下がるのは売主の足元を見ているからではなく、会社が引き受けるコストとリスクの分が前もって反映されているからです。
そもそも買取再販は、闇取引のような特殊な世界ではなく、成立した正規の市場です。新築価格の高止まりを背景に、リノベーション済みで住める割安な中古住宅の受け皿として広がってきた分野で、マンションはその中心に位置しています。会社どうしが競って買い取る市場だからこそ、複数社の提示額を並べる意味があります。
マンションで価格が動く主な要素は、管理状態(管理費の滞納や修繕積立金の積み立て状況)・築年数・立地・リノベの余地です。この構造を知っておくと、提示額を頭ごなしに疑うのではなく、その水準が妥当かどうかを落ち着いて見極めやすくなります。
安くても損とは限らない理由|手間とコストの相殺
価格そのものは下がる一方で、即時買取ではマンションを売るときの仲介手数料や広告・内覧の手間、売れ残る期間の負担がなくなります。そのため安いことが、そのまま損になるとは限りません。
仲介で売る場合、成約価格に応じた仲介手数料がかかります。加えて、買い手が現れるまで内覧に対応し、その間も住みながら家の中を整えておく必要があります。売り出しても数か月売れなければ、その間の管理費や修繕積立金、固定資産税、ローンの返済も続きます。
即時買取では、こうした費用と手間がまとめて消えます。値引きされたように見える金額の一部は、支払わずに済んだ手数料や、負わずに済んだ維持費と相殺される部分があるわけです。
さらに、早く現金化できること自体にも価値があります。売れるかどうか分からないまま待ち続ける不安から解放され、次の住まいの資金計画や手続きを早く進められます。時間を金額に換算しにくいだけで、住み替え(買い替え)の時期が迫っている方にとっては見過ごせない要素です。
もっとも、時間に余裕があり、少しでも高く売りたいのであれば、仲介のほうが手元に残る金額は多くなりやすいのも事実です。どちらが得かは、売り急ぐ事情の強さと、価格をどこまで優先したいかによって変わります。自分の状況に照らして、天秤にかけて選ぶのがよいでしょう。
マンションで即時買取が向くケース・向かないケースと、買取保証という中間策
マンションは仲介で売れやすいことが多く、即時買取が最適な人はむしろ限られます。まず仲介を軸に置き、急ぐ事情があれば買取、その中間に買取保証、という順序で考えると無理のない選び方になります。
ここでは、即時買取が向くケースと向かないケース、仲介と買取の間にある買取保証、そして売却後も同じ住戸に住み続けたい場合の選択肢を順に整理します。自分のマンションがどれに当てはまるかを見極める材料にしてください。
即時買取が向くケース|マンションで買取が現実的な人
即時買取が現実的な選択肢になりやすいのは、仲介では買い手が付きにくいマンションを持つ方や、売却の期日を動かせない事情がある方です。まず、物件そのものの理由で仲介が不利になりやすいのは次のようなケースです。
- 事故物件(心理的瑕疵のある住戸)|仲介では買い手を探しにくく、売却が長引きやすいためです。
- 旧耐震基準や築古で状態の傷んだマンション|一般の買い手が敬遠しやすく、リフォームを前提に仕入れる会社のほうが受け皿になりやすいためです。
- 借地権のマンションや、再建築・活用に制限がある物件|買い手が限られ、仲介では流通しにくいためです。
- 需要の薄い立地にある築古マンション|近隣の成約事例が乏しく相場が読みにくいうえ、売れ残るリスクが高いためです。
次に、物件よりも事情の側で買取が向くのは、期日が固く決まっている場合です。離婚や相続で財産を分ける、住み替えのつなぎ資金が要る、転勤の期日が迫っている、といった場面では、売れる時期が読めない仲介だと決まった期日に間に合わないおそれがあります。売れる時期を自分で見通せる買取のほうが計画を立てやすくなります。
近所や知人に売却を知られたくない、内覧の対応を避けたい、という事情がある方にも向いています。仲介では広告や内覧を通じて売り出していることが周囲に伝わりやすいのに対し、買取は広告を打たずに内覧もなく進められるためです。これらに当てはまるマンションは、仲介にこだわるほど時間と手間の負担が重くなりやすく、確実な期日で現金化できる買取の価値が相対的に大きくなります。
即時買取が向かないケース|都市部・駅近の一般的なマンションはまず仲介
都市部や駅近にある一般的なマンションは、仲介でも比較的短い期間で相場に近い価格で売れやすく、多くの方はまず仲介を軸に考えるのが合理的です。
首都圏の中古マンションの成約件数は2025年(暦年)で49,114件と、前年比31.9%増え、3年連続で前年を超えました。実際に買いたい人が厚く、流通が活発な市場であることがうかがえます。
レインズへの登録から成約までにかかった日数は、2025年の平均で82.5日でした(前年は85.3日)。これはレインズへの登録日を起点とした平均で、売り出しや査定を起点にした日数ではありません。年平均であり、何日以内に何%が成約したかという分布は公表されていません。登録義務のない一般媒介の物件は母集団に入っていない点にも注意が要ります。
他社の記事や統計で日数を見るときは、その日数が何を起点に数えたものかを確かめてください。レインズ登録からなのか、売り出しからなのか、査定からなのかで、同じ「売却期間」でも指しているものが変わります。
出典: 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」
一方で、買取の価格は前の章で見たとおり仲介相場より下がりやすい傾向があります。買取は早く現金化できる代わりに、受け取る金額は目減りしやすい関係にあります。ただし、その差を業者横断で集計した統計はありません。自分の物件で実際にどれだけ違うのかは、仲介の査定額と買取の提示額を同時に取って比べるほかありません。
仲介で普通に売れる見込みのある都市部・駅近のマンションを買取に回すと、この差額を自分から手放すことになりかねません。レインズ登録から成約までの平均が82.5日(2025年・約2.75か月)で、そのあとに決済・引渡しが続きます。この程度の期間を見込めるなら、まずは仲介で売り出し、それでも売れなければ次の手を考える、という順序が無理のない選び方です。実際の価格や期間は物件や会社によって変わります。
たとえば都市部の駅から徒歩数分、築24年ほどの3LDKといった住戸は、近隣に成約事例が多く、仲介でも相場に近い価格で買い手がつきやすい典型です。こうしたマンションは、急ぐ特別な事情がなければ、最初から買取を選ぶ理由は大きくありません。
即時買取と仲介の“間”|買取保証という選択肢
前の項で見たように、都市部・駅近のマンションは仲介で売れる見込みが立ちます。そうした物件ほど力を発揮するのが、仲介と即時買取の中間にある「買取保証」という仕組みです。
買取保証とは、まず一定期間(一般に3か月ほど)を仲介として市場で売り出し、その期間内に条件の合う買い手が現れなかった場合に、あらかじめ合意しておいた金額で不動産会社が買い取る仕組みです。仲介で高値を狙いつつ、売れなければ買取で確実に現金化できる、という二段構えになっています。
買取保証は、そもそも仲介で買い手が付く見込みのある物件を対象にしています。新耐震基準、専有面積40㎡以上、一般的な住宅ローンが使えること、などが目安とされ、都市部や駅近など仲介で売れる見込みが立つマンションほど、仲介期間が意味を持ち、保証が最後の安全網として働きます。
一方で、注意したい点も仕組みと同じだけあります。おもなものは次の通りです。
- 保証価格は仲介で売れた場合より低くなります。買取に移行したときの価格は即時買取と同じ考え方で決まるため、目安も即時買取と同じ(仲介相場のおおむね6〜8割)と見ておくのが実際に近く、仲介で高く売れたときの上振れは得られません。買取保証で価格が確定するのは、仲介期間が終わって買取に移行したときです。
- 媒介契約は専任媒介・専属専任媒介に限られやすく、これらの契約の有効期間は宅地建物取引業法で3か月が上限と定められています(これより長い期間を定めても3か月になります)。この期間は他社へ乗り換えられません。
- 最終的に自社の買取で着地するため、仲介の販売活動に力が入りにくい、という指摘があります。
- 保証価格や期間などの条件は会社ごとに差があり、そもそも買取保証を扱う会社は限られます。
仲介・買取保証・即時買取の3つを、価格とスピードの目安で並べると次のようになります。
| 売り方 | 価格の目安(仲介相場との比較) | 現金化までの道筋 |
|---|---|---|
| 仲介 | 相場どおり | レインズ登録から成約まで平均82.5日(2025年・首都圏中古マンション)。そのあと決済・引渡し |
| 買取保証 | 仲介期間中に売れれば相場どおり。売れずに買取へ移行した場合は即時買取と同じ目安(6〜8割) | 仲介期間を置いてから買取へ移行 |
| 即時買取 | 仲介相場のおおむね6〜8割 | 価格に合意した時点で買い手が確定し、契約・決済へ進む |
表の割合を集計・公表している公的機関・業界団体はありません。実際の価格は物件の状態や会社によって変わります。
ただし、買取保証はあくまで最後の安全網です。本命は保証期間中に仲介で売り切ることに置き、保証価格・期間・販売活動の中身を契約前に確認しておくと安心です。住み替えでは、新居の購入期限までに「売却価格の下限」と「現金化の時期」の両方を固定できる保険として機能します。
売却後も住み続けたい場合の選択肢(リースバック)
売却してまとまった資金を得たあとも、引っ越さずに同じ住戸に住み続けたいという方には、リースバックという選択肢があります。
リースバックは、マンションを不動産会社などに売却して所有権は手放し、その売却先に家賃を払いながら同じ住戸に住み続ける仕組みです。売買契約と賃貸借契約を同時に結び、即時買取にそのまま賃貸を組み合わせた形と整理できます。
ただし留意点もあります。売却価格は市場より低めになりやすく、家賃は周辺の相場より割高になりやすい傾向があります。賃貸借契約が定期借家の場合は、期間満了で退去を求められるおそれがあり、普通借家か定期借家かの確認が要ります。いったん手放した住戸を買い戻すこともできますが、買戻し価格は売却額より高くなりやすい点にも注意が必要です。
出典: SUUMO/住まいのコンシェルジュ
マンションでは、管理費や修繕積立金の負担が所有権の移転にともなって会社側へ移るほか、管理規約に賃貸を禁じる条項があるとリースバック自体が成立しないことがあります。
もっとも、リースバックは同じ住戸に住み続けたい方向けの選択肢です。引っ越して住み替える前提の方には基本的に不要なため、ここでは深追いしません。住み続けたい特別な事情がある場合の別ルート、という位置づけで押さえておけば十分です。
マンション即時買取の流れと契約前に確認したい注意点
即時買取の手順そのものはシンプルですが、契約後は取り消せないため、進める前の確認が重要になります。
ここでは、査定から決済までの流れ、契約前に知っておきたい法的な注意点、そして損をしないための工夫を順に見ていきます。マンションを売る場合に気をつけたい点も、あわせて押さえておきましょう。
即時買取の流れ|査定から決済までの手順
即時買取は、査定から始まり、価格提示、契約、決済・引き渡しの順に進みます。
売主が実際に行うことは多くありません。おおまかな流れは次の通りです。
- 会社に査定を依頼する
- 物件の情報を伝え、必要書類をそろえる
- 提示された価格と条件を確認する
- 内容に納得できれば契約を結ぶ
- 決済を受け、マンションを引き渡す
仲介と比べてシンプルなのは、買い手を探す段階がないためです。査定額に合意すれば、そのまま契約と決済へ進めます。売主の側で内覧の準備や購入希望者とのやり取りを重ねる必要がない分、やるべきことは書類の用意と条件の確認が中心になります。
マンションの場合は、こうした書類に管理関係のものが加わります。管理規約や重要事項調査報告書、長期修繕計画書など、管理費や修繕積立金の状況を示す書類が求められることがあります。何をそろえるかは会社や物件によって変わるため、査定を依頼した段階で必要な書類を確認しておくと、その後の手続きがスムーズです。
契約不適合責任とクーリングオフの誤解しやすい点
会社への買取では、契約不適合責任を売主が負わないと取り決める合意が多く、クーリングオフも基本的には使えません。ここは誤解が生じやすいところです。
契約不適合責任とは、引き渡した物件に契約と違う欠陥があった場合に、売主が修補や代金減額などの責任を負う仕組みです。個人どうしの売買では売主が一定期間この責任を負いますが、会社への買取では、あらかじめ責任を負わないとする免責の合意が結ばれることが多く見られます。会社がマンションの状態を前提に価格を決めて買い取るためです。売主にとっては、引き渡した後に欠陥を理由とした請求を受けにくくなる利点があります。
一方で注意したいのが、クーリングオフの扱いです。クーリングオフは、一度結んだ契約を一定期間内であれば無条件で撤回できる制度として知られています。ただしこれは、宅地建物取引業者が売主となり、一般の消費者が買主となる取引で、買主を保護するために設けられた制度です。
即時買取では、売主はあなた自身で、買主が不動産会社です。買主を守るための制度であるクーリングオフは、個人が売主となるこの取引には基本的に適用されません。「買取でも、契約後に気が変わればクーリングオフで取り消せる」と考えるのは誤りです。会社と交わした売買契約は、いったん結べば原則として取り消せない前提で臨む必要があります。
制度の適用は契約の内容や当事者の立場によって変わります。自分の契約でどうなるのかを正確に知りたい場合は、契約前に宅地建物取引士へ確認することをおすすめします。
損しないための注意点|マンション買取に強い会社を複数社で比較する
買取価格は会社によって差が出るため、1社の提示額だけで即決しないことが大切です。
同じマンションでも、会社ごとに再販の見込みや得意とする物件の種類が異なり、提示される価格に幅が出ます。前の章で触れたように、買取価格は再販にかかるコストと在庫リスクを反映して決まるため、その見立てが会社ごとに違えば金額も変わります。1社だけで決めてしまうと、その金額が妥当なのかを判断する基準がありません。複数の会社に査定を依頼し、価格と条件を並べて比べることで、納得して選びやすくなります。
マンションで頼りになる会社は、規模の大きさそのものよりも、そのエリアやそのタイプのマンションを実際に買い取って売り直してきた実績を持つ会社です。同じような物件の再販を重ねている会社ほど、価格の見立てが具体的になりやすく、買い取ったあとに売り直せる販路も持っています。社名や規模で決めるのではなく、自分のマンションに対する具体的な提示額と、こうした実績や販路を合わせて見比べることが役立ちます。
比較の入り口として一括査定を使う場合は、種類の違いを押さえておくと迷いにくくなります。買取の一括査定は、買取業者が自ら買い取る価格を提示するもので、実際の買取額に近い数字が並びます。一方、仲介の一括査定は、仲介で売った場合の売却予想価格を出すもので、成約を約束する金額ではありません。都市部や駅近の一般的なマンションはまず仲介で相場をつかみ、急ぐ事情があるなら買取の一括査定で複数社の実際の提示額を並べる、という順序が現実的です。
契約は一度結ぶと取り消せません。急いでいるときほど、その場の提示額に飛びつきたくなりますが、少なくとも数社を比べてから判断する時間は確保したいところです。
なお、譲渡所得税は売り方にかかわらず、売却して利益が出れば発生します。買取だからかからない、ということはありません。税額の計算や控除の適用は個別の事情によって変わるため、当てはまるかどうかは個別に確認しておくと安心です。
まとめ:即時買取を最後の手として残すなら、住み替えのトビラ
マンションの即時買取は、どんなときでも選べる売り方ではありません。期日が動かせないときだけ取る手で、それ以外は仲介のほうが手取りが残ります。
どちらを取るかを決めるには、買い取りの話を受ける前に、仲介ならいくらで売れるのかを確かめます。比べる額を持たないまま契約すると、その差額を受け取れないまま終わります。
話を進める前に、仲介では間に合わないのかをもう一度考えておきましょう。住み替えのトビラでは、急ぐときに減る手取りも含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
住み替えのトビラ 
