仲介と買取どっちを選ぶ?不動産の売り方の違いを価格・早さ・確実性で比較

仲介と買取どっちを選ぶ?不動産の売り方の違いを価格・早さ・確実性で比較

マンションを手放す先には、買って住む個人と、買い取って売り直す不動産会社の両方がいます。

どちらで売るかは、値段を取るのか、いつ売れるかがはっきりしているほうを取るのかで選べます。

5つの点での違い、買い取りの値が下がる理由、それが現実になる場面と、両方を組み合わせる形までを説明します。

マンションは仲介が基本|仲介と買取の違いは「誰に売るか」

仲介と買取のいちばんの違いは、マンションを「誰に売るか」という点にあります。

どちらも不動産会社が関わる点は同じで、分かれるのは買主が個人か会社かという一点です。この違いから、価格やスピードの差が生まれます。そしてマンションの場合、この二択はまず仲介を軸に考えるのが基本になります。理由もあわせて、比較表で全体像をつかんでいきましょう。

仲介は個人へ、買取は不動産会社へ売る

仲介は市場で個人の買主を探す方法、買取は不動産会社が直接買い取る方法です。

仲介では、不動産会社が広告や情報サイトにマンションを掲載し、購入を希望する個人を探します。会社は売主と買主をつなぐ役割を担い、実際にその部屋を買うのは個人の買主です。

買取では、不動産会社そのものが買主になり、売主から直接マンションを買い取ります。市場で個人の買主を探す段階がないため、会社と条件が折り合えば、そのまま売買が成立します。

マンションは仲介で相場どおり売れやすい

分譲マンションは、戸建てや土地に比べて、仲介で相場どおり売れやすい物件です。

理由は2つあります。1つは、一戸ごとの個別性が戸建てより小さいことです。同じ棟の別の部屋や、近隣の似た条件のマンションが、そのまま価格の物差しになります。土地の形や日当たり、建物の造りが一戸ずつ違う戸建てと比べて、比べる相手を見つけやすい住まいです。

もう1つは、取引事例そのものが多いことです。東日本レインズによれば、首都圏の中古マンションの成約件数は2025年の1年間で49,114件でした。マンションの査定や値付けの土台になる取引事例比較法(似た条件の成約事例から価格を出す方法)は、比べる事例が多いほど根拠がはっきりします。ただし、各社の査定額が実際にどれだけ近い値に収まるかを物件種別ごとに集計した公的・業界団体の統計はありません。査定額を集計する主体が存在しないためです。

買い手から見ても価格の見当がつきやすいため、売り出してから買主が見つかりやすい住まいだといえます。

出典:東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」

だからこそマンションでは、「価格差を捨てて買取を急ぐ」前に、まず仲介でいくらで売れそうかという相場を掴むのが基本の順番です。買取が向く場面もありますが、それは相場を知ったうえで選ぶもので、最初から買取ありきで考える必要はありません。

5つの違いがひと目で分かる比較表

仲介と買取の違いは、価格・期間・確実性・手間・契約不適合責任の5つに表れます。

比較項目仲介買取
価格相場どおりを狙える仲介の相場より安くなる(おおむね6〜8割とされるが、業者横断で集計・公表した統計はない)
売れるまでの期間レインズ登録から成約まで平均82.5日(首都圏・中古マンション・2025年)売却活動を行わないため、会社と条件が折り合えば売買が成立する(日数を集計した統計はない)
いつ売れるかの確実性買主次第で読みにくい売却時期が確定しやすい
内覧などの手間内覧対応が必要内覧はほぼ不要
契約不適合責任売主が負うのが原則免責とする特約が一般的

表を見ると、価格では仲介に分があり、期間や手間では買取に分があると分かります。どちらが優れているかは項目ごとに入れ替わるため、一律の正解はありません。

大切なのは、自分がどの項目を優先するかです。マンションは仲介で相場どおり売れやすいぶん、時間に余裕があれば価格を取りやすい立場にいます。そのうえで、早さや確実性をどうしても優先したい事情があるかどうかで、選ぶべき方法が変わってきます。

買取価格が仲介より安くなる理由

買取価格が仲介の相場より安くなるのは、不動産会社が再販を前提にマンションを買い取るためです。

はじめにお断りしておきます。買取価格を業者横断で集計・公表している公的機関や業界団体はありません。国土交通省の不動産系統計(不動産価格指数・不動産情報ライブラリ・住宅市場動向調査)にも、レインズの公表統計(年報・季報・月例・REINS TOPIC)にも、買取価格の区分はないためです。取引価格情報は成約価格であって、買主が業者か個人かの別で集計されていません。

そのうえで業界で言われる目安は、仲介で売れる相場のおおむね6〜8割です。出典を示せる数字ではないため、「◯割です」と受け取らず、幅のある見当として使ってください。安さには再販を見込んだ理由があり、金額に置き換えれば、自分のマンションでの差も具体的に見えてきます。

買取が安くなるのは転売が前提だから

買取価格は、不動産会社が再販で得る利益と、必要な経費を見込んで決まります。

買取をする不動産会社は、買い取った部屋にリフォームや修繕を施し、価値を高めてから別の買主へ売り直します。この再販で利益を出すため、あらかじめリフォーム費用と自社の利益を差し引いた金額を提示します。

差し引かれるのは、その2つだけではありません。会社は買い取った部屋を再販するまで保有し、その間の税金や登記費用、売れ残るリスクも負います。これらの経費とリスクを織り込むぶん、買取価格は仲介の相場より低くなります。

買取の安さは、損とだけ捉えるものではありません。売れるまでのリスクと手間を会社へ預ける対価と考えると、金額の意味が違って見えてきます。

3,000万円の物件で価格差を置いてみる

仲介で3,000万円が見込めるマンションを例に、業界で言われる目安を当ててみます。

売り方受け取れる金額
仲介(相場どおり)3,000万円
仲介の手取り(媒介報酬105.6万円を引く)約2,894万円
買取(業界の一般論・相場の6〜8割)1,800万〜2,400万円

仲介の媒介報酬は告示の上限で計算しました(代金400万円以上なら「売買価格×3.3%+6.6万円」で、3,000万円なら105.6万円)。この額を引いても、業界の目安どおりに買取価格が付くのであれば、仲介の手取りのほうが多く残ります。

ただし6〜8割という割合そのものに出典はありません。実際にいくらになるかは、買取を扱う会社に見積もりを出してもらって確かめてください。

出典:国土交通省告示第1552号 第二(令和6年7月1日施行)

価格以外の違いは買取が有利になりやすい

価格では仲介に分がありますが、それ以外の項目は、おおむね買取に分があります。

売れるまでの期間や売却の確実性、内覧の手間や売却後の責任は、いずれも買取のほうが負担が軽くなります。判断は、価格差を取るか、早さと手軽さを取るかに絞られてきます。

売却期間と「いつ売れるか」の確実性

仲介で公表されている日数は、レインズへの登録から成約までの区間です。東日本レインズによれば、首都圏の中古マンションは2025年で平均82.5日でした。前年の2024年は85.3日、その前は80.1日です。

この82.5日はレインズへの登録日から数えた日数で、売り出しからでも査定からでもありません。他社の記事で「売り出しから◯か月」と書かれているときは、その起点がどこかを確かめてください。また年平均であり、何日以内に何%が成約したかという分布は公表されていません。一般媒介で売り出した物件は集計の母集団に入りません。

買取の所要日数を集計した統計はありません。会社が直接買主になるため、市場で買主を探す段階がないぶん短くなりますが、何日で終わるかは会社と物件によります。

加えて仲介には、買主の住宅ローン審査が通らず、契約が白紙に戻るリスクもあります。マンションは相場どおり売れやすいとはいえ、いつ売れるかまでは買主次第です。住み替えの引き渡し日など、確実な時期に売りたい事情があるなら、価格より早さと確実性を優先する買取が合ってきます。

マンション売却の期間は平均82.5日|レインズ登録から成約までと前後の流れ マンション売却の期間は平均82.5日|レインズ登録から成約までと前後の流れ

内覧の手間と契約不適合責任の違い

仲介は内覧対応や売却後の責任が売主に残りますが、買取はそのどちらもほとんど負担がありません。

仲介では、購入を検討する人が実際に部屋を見に来るため、室内を片付けて立ち会う内覧対応が欠かせません。住みながら売り出す場合は、内覧のたびに片付けや日程調整が必要になります。買取は会社が買主になるので、こうした手間はほぼかかりません。

もう一つの違いが、2020年4月の民法改正で定められた契約不適合責任です。仲介で個人へ売ると、契約の内容と異なる欠陥が後から見つかった場合、売主が修補や賠償の責任を負うのが原則です。マンションでは、給排水管の水漏れや設備の不具合などが引き渡し後に判明すると、思わぬ負担が生じることもあります。

買取では、買主である不動産会社がその責任を免除する特約を結ぶのが一般的で、売却後のトラブルを避けやすくなります。築年数が古い部屋や、設備の状態に不安が残る部屋ほど、この安心感は大きくなります。ただし免責の範囲は契約により異なるため、内容は事前に確認しておくと安心です。

出典:民法 第562条〜第564条(契約不適合責任)|e-Gov法令検索

マンションで買取が現実的になる場面

マンションは仲介が基本ですが、それでも買取が現実的な選択になる場面があります。

共通するのは、価格よりも「決まった時期に、確実に売り切ること」を優先せざるを得ない事情があるかどうかです。代表的な3つの場面を、マンションを持つ立場から整理します。

住み替えや離婚・相続で早く現金化したいとき

引き渡しの期限が決まっている住み替えや、早期の現金化が必要な事情があるときは、買取が現実的になります。

住み替えでは、新居の購入と今のマンションの売却のタイミングを合わせる必要があります。新居を先に買う「買い先行」で、二つの住宅ローンが重なる期間を短くしたい場合や、売却代金を購入資金に充てる期限が決まっている場合は、いつ売れるか読みにくい仲介より、時期が確定する買取が資金繰りに合うことがあります。

離婚にともなう財産分与や、相続したマンションの分割でも、早く現金化して分けたいという事情が生じやすくなります。こうした場面では、価格の高さより、決まった時期に確実に売り切れることの価値が大きくなります。ただし相続税の納付など期限がからむ判断は個別性が高いため、税理士や司法書士など専門家に確認しながら進めるのが安全です。

離婚で家を売る方法|名義確認から代金分配まで手順を解説 離婚で家を売る方法|名義確認から代金分配まで手順を解説

管理費・修繕積立金の滞納で買い手が敬遠するとき

管理費や修繕積立金の滞納があるマンションは、仲介では買い手が敬遠しやすく、買取が選択肢になります。

マンションの管理費や修繕積立金の滞納は、部屋を買った人が引き継ぐのが原則です(区分所有法第8条により、特定承継人にも請求できます)。買主から見れば、買った直後に前の所有者の滞納分を払うことになるため、価格の引き下げを求める理由になります。滞納がある部屋がどれだけ値引きされるかを集計した統計はありませんが、引き継ぐ金額そのものは管理組合に確認すれば分かります。売り出す前に滞納額を確かめ、精算するか価格に織り込むかを決めておいてください。

出典:e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」第7条・第8条

買取をする不動産会社は、こうした事情を織り込んだうえで買い取れるため、仲介では売りにくい部屋でも話が進みやすくなります。滞納の解消や管理組合との調整が必要な場合もありますが、まずは仲介の会社にも相談し、仲介で売れる見込みと買取の条件を比べてから決めるとよいでしょう。

戸建て・土地の「訳あり」で買取が選ばれる事情は別

「築古・訳あり・再建築不可だから買取」という話の多くは、戸建てや土地の事情です。

再建築ができない、広さがありすぎて買い手が限られる、接道や境界に問題があるといった理由で個人の買主が付きにくい物件は、買取が選ばれやすくなります。ただし、これらは主に戸建てや土地で起こる事情で、都市部の分譲マンションから住み替える人には基本的に当てはまりません。

マンションで買取を検討するのは、前の2つで見たような、期限や滞納といった売り方の事情がある場合です。物件そのものが売れないから買取、という発想は、まずマンションには当てはまらないと考えて差し支えありません。だからこそ、マンションではまず仲介の相場を確かめる価値があります。

迷うなら、仲介と買取のあいだを取る選択肢

早く確実に売りたいけれど、安くは手放したくないという方には、二択のあいだを取る方法があります。

仲介と買取の中間には、一定期間は仲介で高値を狙い、売れなければ買い取ってもらう選択肢があります。買い叩かれるのが不安なら、先に仲介の相場を知ってから買取と比べる進め方も役立ちます。

売れ残れば買い取る「買取保証」と即時買取

買取保証は、一定期間は仲介で売り出し、売れなければ、事前に決めた価格で会社が買い取る仕組みです。

まず通常の仲介で買主を探し、期限までに売れなければ、あらかじめ合意した価格での買取に切り替わります。高値を狙いながらも、売れ残る不安をなくせる点が、買取保証の魅力です。相場が読みやすいマンションでは、まず仲介で売れる可能性が高いため、買取保証は万一のときの備えとして使いやすい方法です。

すぐに現金化したい場合は、売却活動を行わず最初から買い取る「即時買取」という方法もあります。住み替えの資金繰りや相続税の納付など、期限が決まっている事情があるほど、こうした仕組みが選択肢になります。ただし取り扱いや条件は会社によって異なるため、複数の会社に確認して比べるのが安全です。

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仲介の査定相場を知ってから買取と比べる

提示された買取額が妥当かどうかは、仲介で売れる相場を知らなければ判断できません。

買取では1社が価格を提示することが多く、その金額が高いのか安いのか、比べる基準がないままだと分かりません。基準になるのは、同じ部屋を仲介で売った場合の相場です。

マンションは、この相場を自分でも確かめやすい物件です。同じ棟の別の部屋や近隣の似たマンションの成約事例が、価格の物差しになるためです。まず複数の会社へ仲介での査定を依頼し、各社が示す成約事例を照らし合わせれば、買取の提示額が相場からどれだけ低いかを自分で判断できます。

この順番なら、相場を知らないまま安い金額で手放す事態を防げます。買い叩かれる不安があるほど、まず相場を確かめておく価値があります。

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仲介と買取どっちが合う?タイプ別診断

ここまでの違いを踏まえると、マンションを売る自分に合う方法は、4つのタイプに整理できます。

重視するのが早さか価格か、また売り方に特別な事情があるかで、向いている方法は変わります。4つのタイプに当てはめれば、自分の進む方向が定まります。

4タイプで分かる向いている売却方法

重視する条件ごとに、向いている売り方は次の4タイプに分かれます。

あなたの優先順位向いている方法
価格を重視し、時間に余裕がある仲介
住み替えの期限など、早さ・確実性を重視買取
早さと価格の両方を狙う買取保証
滞納など、買い手が敬遠する事情がある買取(相場の確認を前提に)

マンションは相場どおり売れやすいため、時間に余裕があれば価格を優先できる仲介が基本の選択です。一方、住み替えの引き渡し期限や、離婚・相続で早く現金化したい事情があるなら、時期が確定する買取が合っています。早さと高値の両方を諦めたくないなら、仲介と買取を組み合わせる買取保証が現実的です。管理費・修繕積立金の滞納などで買い手が敬遠しやすい部屋は買取も選択肢になりますが、その場合も、まず仲介の相場を確かめてから比べるのが安全です。

自分が4つのどれに近いかが見えれば、候補は絞られます。あとは、その方法が本当に自分に合うかを、相場で確かめる段階に進みます。

複数社の査定で自分の相場を知る

どの方法を選ぶ場合でも、まず複数の会社に査定を依頼して相場を知ることが出発点になります。

1社だけの査定では、その金額が妥当かを確かめられません。複数の会社を比べることで、自分のマンションの相場と、各社の対応や提案の違いも見えてきます。各社の査定額がどれだけばらつくかを示した統計はないので、金額そのものより、その額をどの成約事例から出したかを説明させてください。事例が示せない査定額は、根拠のない数字です。

一括査定を使えば、一度の入力で複数社へまとめて依頼できます。査定は無料で、その後に売るかは自由に決められ、営業連絡が気になる場合は断ることもできます。

まとめ:仲介か買取かを値段と早さで割り切るなら、住み替えのトビラ

マンションを相場どおりの値で売りたいなら、買って住む個人を相手にする形が近道です。会社へ直に売る形は、早さと引き換えに受け取る額が下がります。

どちらを取るかは、いつまでに現金が必要なのかを先に決めます。期限を置かずに待つと、値下げを重ねた末に結局は早く売る道へ回ることになります。

値段の交渉に入る前に、どこまで下げてもよいのかを決めておきましょう。住み替えのトビラでは、仲介と買取の使い分けも含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。