マンション売却は1週間で可能か|条件と5日間の段取り、届かないときの到達点

マンション売却は1週間で可能か|条件と5日間の段取り、届かないときの到達点

転勤の辞令、住み替え先の契約、支払いの期限。「マンションを1週間で売れるか」と検索する人には、日付が決まっている事情があります。知りたいのは、本当に1週間で終わるのか、どこまで終わるのか、どうすれば収まるのか、届かないならどこまで縮むのか、です。

先に答えを書きます。買取なら、売買契約までを1週間で終えることは現実的です。決済(現金が入り鍵を渡す日)まで1週間で終えるには、買主の資金・抵当権・書類・名義・営業日の条件が揃う必要があります。仲介で1週間に終わるのは購入申込みまでです。そして1週間は、営業日で数えると5日です。

この記事では、段階別の可否、1週間で終えるための7つの条件、月曜から金曜の日割りの段取り、届かないときの到達点、そして1週間で売るときの代償を順に見ていきます。

マンション売却は1週間で可能か

「1週間で売れるか」への答えは、「売却」のどの段階を指すかで変わります。売却には、購入申込み、売買契約、決済(現金が入り鍵を渡す日)の3つの段階があります。段階ごとに、買取と仲介で可否を分けると次のとおりです。

段階買取(業者が買主)仲介(一般の買主)
購入申込み段階そのものがない(金額提示が申込みに当たる)1週間以内はあり得る
売買契約1週間で現実的稀(内覧と交渉を経るため)
決済・引渡し条件が揃えば1週間で可能契約から1か月前後(買主の融資)
この記事の数値の読み分け

銀行の休日(銀行法15条1項・銀行法施行令5条1項)、法務局の業務取扱時間と閉庁日(東京法務局)、登記・供託オンライン申請システムの利用時間(法務省)、共有物の変更に共有者全員の同意が要ること(民法251条)、相続登記の3年以内の申請義務(法務省)、クーリングオフの対象(宅地建物取引業法37条の2)、売却期間が1か月以内の事例シェア22.7%(東京カンテイ2025年・首都圏)、銀行の完済予約の期限の幅(各行の公式案内)は、一次情報で確かめた事実値・制度値です。一方、住宅ローン本審査の2〜3週間、現金買主の契約から決済までの2〜3週間、仲介の申込みまで1〜2か月と決済まで2〜3か月、引渡し猶予の2週間〜1か月、違約金の1〜2割、登記識別情報を失った場合の日数と費用、相続登記にかかる期間、買取価格の業者ごとの差、決済を午前に組むこと、月末の窓口の混み方は、公的な統計で確かめられた数値とは別の目安です。買取価格、ローン残高、引っ越しの日程は、読者が自分の数字を入れる値として書いています。

買取なら契約まで1週間は現実的で決済は条件付き

不動産会社が自ら買主になる買取なら、査定依頼から売買契約までを1週間で終えることは現実的です。買主を探す期間がなく、業者の現地確認と金額の合意が済めば契約できるからです。契約の日には手付金が入ります。

決済(残代金の振込と鍵の引渡し)まで1週間で終えるには、条件が揃う必要があります。買主の資金が手元にあること、マンションに抵当権がないこと、登記の書類が揃っていること、そして5日間が平日であることです。次の章で1つずつ確かめます。

たとえば、転勤の辞令が出て「1週間で売りたい」と買取業者に相談した人が、火曜に3社の現地確認、木曜に契約まで進んだ。ただし住宅ローンが残っていて銀行の完済予約が10営業日後だったため、決済は2週間後。手付金200万円を木曜に受け取り、引っ越しは決済後2週間の引渡し猶予で乗り切った(例示)。

「最短2日で現金化」という広告は、空室で抵当権がなく書類が揃った物件で、契約と決済を同じ日にした場合の話です。自分の物件で再現できるかどうかは、この条件を満たすかで決まります。「1週間で売れます」と言われたら、それが契約までなのか、現金が入るまでなのかを、最初に聞きます。

仲介で1週間に終わるのは購入申込みまで

仲介で一般の買主に売る場合、1週間で終わる可能性があるのは購入申込みまでです。掲載初日に登録客へ案内が届き、週末の内覧で申込みが入る形はあります。価格が成約事例より低めで、駅近や築浅など買主の多い物件なら、この動きは実際に起きています。

ただし、申込みから契約までは、条件交渉と契約書の準備で数日から1週間、契約から決済までは買主の住宅ローンの本審査で1か月前後かかります(日数は目安です)。仲介で1週間以内に決済まで終えるのは、買主が現金で買う場合に限られ、それでも契約から決済に2〜3週間は見ます。

売り出しから成約までの期間の統計も、1週間より粗い区分で公表されています。東京カンテイが2025年の首都圏について集計した結果では、売却期間が1か月以内の事例シェアが22.7%(2024年は20.6%)、3か月以内の累計が50.8%でした。区分の最短が「1か月以内」で、1週間単位の集計は公表資料の外にあります。仲介で「1週間」を目標にするなら、目標は申込みまでと割り切ります。

出典: 東京カンテイ「中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)」2025年

1週間は営業日で数えると5日しかない

「1週間」を7日で数えると計画が崩れます。残代金の振込は銀行の営業日に、所有権移転と抵当権抹消の登記申請は法務局の開庁日に行います。銀行法15条1項は「銀行の休日は、日曜日その他政令で定める日に限る」と定め、その政令である銀行法施行令5条1項が、国民の祝日に関する法律に規定する休日、12月31日から翌年1月3日までの日、土曜日を挙げています。つまり、振込が動くのは平日に限られます。

法務局も同じです。東京法務局は業務取扱時間を平日の午前8時30分から午後5時15分までとし、閉庁日を次のように案内しています。

土曜日、日曜日、国民の祝日等の休日、年末年始期間(12月29日から1月3日)は、業務の取扱いをしておりません。

登記・供託オンライン申請システムそのものは、平日は8時30分から23時00分まで、休日は8時30分から18時00分まで(年末年始を除く)動きます。ただし、法務局が業務を取り扱うのは平日なので、休日に送った申請の処理は開庁日に回ります。

月曜に始めて金曜に決済する場合、使えるのは5日です。途中に祝日があれば4日になります。さらに、決済は午前中に組むのが通常です。振込の処理、着金の確認、登記申請をその日のうちに終えるためで、金曜の午後に決済を組むと、着金や登記が翌週に回るおそれがあります。

したがって、1週間で決済まで終えるなら、月曜始まりで金曜の午前に決済、その前の4日で査定・現地確認・比較・契約を終える、という組み方になります。月末や連休の前は銀行の窓口が混むので避けます。営業日の数え方を最初に押さえておくことが、1週間の計画の土台です。

出典: e-Gov法令検索「銀行法」(第15条) 出典: e-Gov法令検索「銀行法施行令」(第5条) 出典: 東京法務局「業務取扱時間・開庁日のお知らせ」 出典: 法務省 登記・供託オンライン申請システム

1週間で売却できる条件

1週間で決済まで終えるには、7つの条件がそろう必要があります。1つ欠けるごとに、決済の日は数日から数週間後ろに動きます。

条件満たせないときに延びる日数の目安
買主が自己資金の買取業者融資を使う業者や一般の買主なら2週間〜1か月
抵当権がない、または完済予約が済んでいる銀行の完済予約の期限まで(10営業日〜1か月)
権利証・印鑑証明・住所のつながりが揃っている紛失なら数日〜数週間、住所変更なら書類の取り寄せ分
名義が自分1人か共有者全員が署名できる相続登記なら数週間〜数か月、共有者の不同意なら停止
平日5日を丸ごと使える祝日1日につき1日、連休なら翌週
現地確認を初日か2日目に受けられる受けられる日まで
引っ越しが間に合う、または引渡し猶予の特約がある退去できる日まで

買主が自己資金で買う買取業者である

1週間で決済するには、買主の側に融資の審査がない状態が要ります。一般の買主は住宅ローンの本審査に2〜3週間かかります(目安)。買取業者でも、物件ごとに金融機関の融資を使って買う会社は、決済に2週間以上かかることがあります。

最初の問い合わせで、「決済の資金はいつ用意できますか」「自己資金での決済ですか」と聞きます。自己資金で買う業者なら、契約の翌日でも決済できます。「融資の確認後」と答える業者は、1週間の計画から外します。

買取業者は複数社に同時に当たります。資金の用意の速さと、金額の両方で比べます。金額が高くても決済が3週間後の業者と、金額がやや低くても今週中に決済できる業者では、1週間を優先するなら後者です。この判断を初日に済ませることが、7日間の段取りの前提になります。

抵当権がないか銀行の完済予約が済んでいる

住宅ローンが残っているマンションには抵当権が付いています。決済の日に売却代金でローンを完済し、抵当権を消してから所有権を移すので、銀行に事前の完済予約が要ります。予約の期限は銀行によって違い、完済日の10営業日前から1か月前までの幅があります。ソニー銀行は売却による一括繰上返済について「完済日の10営業日前まで」、SBIアルヒの全額繰上返済は「繰上返済ご希望日の1ヶ月前まで」と案内していて、他の金融機関はまた別の期限を置いています。

つまり、ローンが残っていて完済予約がまだなら、今日から数えて1週間後の決済は期限の外に出ます。1週間で決済まで終えられるのは、ローンを完済済みの人か、すでに完済予約を済ませて決済日が銀行の期限内に入る人です。

ローンが残っている人は、査定を頼む初日に銀行へ連絡し、完済予約の期限と必要書類を確かめます。そのうえで、1週間で「契約」まで済ませ、決済は完済予約の日に置く形にします。この形なら、1週間で売却は決まり、現金は2〜4週間後に入ります。

出典: ソニー銀行「一括繰上返済(ご完済)お手続の流れ(ご売却)」 出典: SBIアルヒ「全額繰上返済」

権利証と印鑑証明と住所のつながりが揃っている

決済で司法書士が必ず確かめる書類が3つあります。登記識別情報(以前の権利証)、発行から3か月以内の印鑑証明書、そして登記上の住所と現住所のつながりを示す書類です。

登記識別情報が見当たらない場合、司法書士が本人確認情報を作る手続きが必要で、数日から数週間の遅れと数万円の費用が生じます(日数と費用は目安です)。登記上の住所が引っ越し前のままなら、住所変更の登記が同時に必要で、住民票か戸籍の附票で住所のつながりを証明します。転居を重ねていると、書類の取り寄せに時間がかかります。

たとえば、木曜の契約で「金曜に決済」と決めていたのに、登記上の住所が2回前の引っ越し先のままで、住所のつながりを示す戸籍の附票の取り寄せに4日かかり、決済が翌週の水曜にずれた(例示)。

これらは、業者に連絡する前に自分で確かめられます。権利証の所在、印鑑証明の取得、登記上の住所の確認(登記事項証明書で分かります)の3つを初日に済ませます。書類が理由で決済が延びるのは、1週間の計画で最も多い失敗です。

名義が自分1人か共有者全員が署名できる

登記の名義が自分1人なら、契約と決済の署名は自分だけで済みます。名義が夫婦や親子の共有なら、共有者全員の署名と印鑑証明が要ります。民法251条が、共有物に変更を加えるには他の共有者の同意を得る形を定めていて、売却のような処分もこの同意が要る扱いです。1人でも連絡が取れない、同意していない、印鑑証明が用意できない状態では、決済は止まります。

相続したマンションで、名義が亡くなった人のままの場合は、相続登記を先に済ませる必要があります。相続登記には戸籍の収集と遺産分割協議書が要り、数週間から数か月かかります(日数は目安です)。相続登記そのものは、2024年(令和6年)4月1日から義務になりました。法務省のQ&Aは次のように書いています。

相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になりました。

1週間で売るなら、名義の状態を初日に確かめます。共有者がいるなら、初日に全員の同意と印鑑証明の準備を頼みます。相続登記が未了なら、1週間の枠の外にあるので、司法書士への依頼から始めます。

出典: e-Gov法令検索「民法」(第251条) 出典: 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」

平日5日を丸ごと使える

1週間で決済まで終えるには、査定依頼から決済までを平日5日に収めます。祝日が挟まれば4日になり、現地確認か比較のどこかを削ることになります。連休の前後は業者も銀行も混み、司法書士の予定も埋まりやすいので避けます。

月末も避けます。月末は銀行の窓口が混み、決済の振込に時間がかかることがあります。また、固定資産税や管理費の日割り精算が月をまたぐと、計算がやや複雑になります。

理想は、祝日のない週の月曜に始め、金曜の午前に決済する組み方です。週の途中から始めると、5営業日が翌週にまたがり、「1週間」が実質10日になります。始める曜日を選べるなら、月曜を待つ方が結果として早く終わります。

引っ越しが間に合わなければ引渡し猶予の特約で吸収する

見落とされやすいのが、退去です。決済の日は引渡しの日でもあり、鍵を渡した後は住まいとして使えなくなります。1週間で決済するなら、1週間で引っ越しを終える必要があります。荷物の整理、引っ越し業者の手配、新居の準備を5日で終えるのは、多くの人にとって無理のある計画です。

この壁を越える方法が、引渡し猶予の特約です。決済で所有権と代金を先に動かし、実際の退去を決済後の一定期間(2週間〜1か月などが目安)まで待ってもらう取り決めです。買主が買取業者なら、リフォームの着手までに余裕があることが多く、応じやすい条件です。

猶予の期間、猶予中の使用料の有無、退去時の状態、残置物の扱いを契約書に書きます。残置物をそのまま引き取る条件も、買取業者なら相談できます。「1週間で売る」と「1週間で引っ越す」を分けて考えることで、1週間の売却が現実の計画になります。

1週間で売却する段取り

条件が揃う人が、月曜から金曜の5日で決済まで終える段取りです。要点は、初日にすべてを同時に始めること、現地確認を同じ日にまとめること、金額の回答期限を切ること、契約書を前日に読むことの4つです。

日やること相手
1日目(月)買取業者3社に査定依頼・現地確認を翌日に予約・銀行に完済予約の確認・書類集め・管理会社に書類依頼業者・銀行・管理会社
2日目(火)3社の現地確認を連続枠で・金額の回答期限を翌日正午に・契約書のひな形を依頼業者
3日目(水)金額と条件を横並びで比較・1社に決める・契約書を受け取り当日中に読む業者・司法書士
4日目(木)売買契約・手付金・決済の段取り確認業者・司法書士
5日目(金)午前に決済・着金確認・鍵と書類の引渡し業者・司法書士・銀行

1日目に査定依頼と銀行への確認と書類集めを同時に始める

初日にやることは4つあり、すべて同時に始めます。1つ目は、買取業者3社への査定依頼です。依頼のときに「木曜に契約、金曜に決済が目標」と日程を先に伝え、現地確認を火曜にまとめて予約します。日程を先に切ると、業者の動き方が変わります。

2つ目は、銀行への確認です。ローンが残っているなら、完済予約の期限、必要書類、抵当権抹消書類の受け渡し方を聞きます。完済済みなら、抵当権抹消の登記が済んでいるかを登記事項証明書で確かめます。

3つ目は、書類集めです。登記識別情報の所在確認、印鑑証明書の取得、住民票(登記上の住所と違う場合)、固定資産税の納税通知書、鍵の本数の確認を初日に済ませます。4つ目は、管理会社への依頼です。管理規約、長期修繕計画、直近の総会議事録の発行を頼みます。発行に数日かかるので、初日に頼んで初めて金曜に間に合います。

2日目に複数社の現地確認を同じ日にまとめる

2日目は、3社の現地確認を連続した枠にまとめます。10時にA社、11時にB社、13時にC社という形です。立会いは1日で済み、各社は同じ状態の室内を見るので、金額を横並びで比べられます。

現地確認の場で、各社に3つのことを伝えます。1つ目は、知っている不具合(雨漏り、設備の故障、過去の水漏れなど)です。隠さず伝えた方が、確認後の金額が下がる余地が減ります。2つ目は、希望する条件です。引渡し猶予の期間、残置物の扱い、契約不適合責任の免責を、この段階で聞いておきます。3つ目は、金額の回答期限です。「明日の正午までに、確認後の金額と条件を書面で」と切ります。

期限を切らないと、回答が翌週にずれ、1週間の計画が崩れます。また、契約書のひな形をこの日に依頼し、翌日には受け取れるようにします。

3日目に金額を横並びで比べて契約書を受け取る

3日目の正午に3社の回答が揃ったら、金額と条件を横並びで比べます。比べるのは、金額に加えて条件です。決済の資金の用意(自己資金か融資か)、決済できる最短日、引渡し猶予の可否、残置物の扱い、契約不適合責任の免責の有無です。

金額が最も高い業者と、条件が最も良い業者は、別のことがあります。1週間を優先するなら、「今週中に決済できる」ことを条件の筆頭に置き、そのうえで金額と条件を比べます。決めたら、その日のうちに業者へ連絡し、契約書と、物件状況等報告書、付帯設備表の様式を受け取ります。

契約書は、受け取った当日中に読みます。確かめるのは、売買代金、手付金の額と支払日、残代金の支払日、引渡しの日、引渡し猶予の条件、残置物の扱い、契約不適合責任の免責、違約金の額です。分からない点は翌日の契約の前に聞きます。契約の場で初めて契約書を見る形を避けることが、1週間の計画で自分を守る手順です。

4日目に売買契約と手付金

4日目は売買契約です。前日に読んだ契約書の内容を、当日の説明で確かめながら署名と押印をします。契約の場では、手付金を受け取ります。金額は契約で決めたとおりで、現金か振込かを事前に確かめておきます。

契約の場で、翌日の決済の段取りを確認します。決済の場所と時間、立ち会う司法書士、残代金の振込先口座、当日に持参する書類(登記識別情報、印鑑証明書、実印、本人確認書類、鍵)、抵当権があれば銀行の担当者の同席か書類の持参です。

ローンが残っている人で、完済予約の日が翌日より後なら、決済の日は完済予約の日に置き換えます。この場合、4日目までで「1週間で売却が決まる」形は完成し、現金は完済予約の日に入ります。契約の日に受け取る手付金が、決済までの当座の資金になります。

5日目に決済と引渡し

5日目は決済です。午前中に、買主の振込を行う銀行の応接室か、不動産会社の事務所に集まります。決済当日の順番は、東京都住宅政策本部の「不動産取引の手引き」が次のように示しています。

司法書士により所有権の移転・抵当権等の抹消等に必要な書類・情報が確認された後に残代金を支払います。書類が不足していたり情報が確認できないような場合は、決済を延期します。

司法書士が売主と買主の本人確認をし、登記に必要な書類を確かめ、確認が済んでから買主が残代金を振り込みます。売主は自分の口座で着金を確かめてから、鍵と書類(管理規約、設備の説明書など)を渡します。固定資産税と管理費の日割り精算もこの場で行います。司法書士はその日のうちに、所有権移転(と抵当権抹消)の登記を法務局に申請します。

引渡し猶予の特約がある場合は、鍵の一部を渡し、残りは退去のときに渡す形にします。決済が終われば、法律上の売却は完了です。売却した年の翌年に、譲渡所得の確定申告が要ります。ここまでが、月曜から金曜の5日で終える段取りです。

出典: 東京都住宅政策本部「不動産取引の手引き」9 残金支払(決済)と引渡し

1週間で売却できないときの到達点

条件が1つでも欠けると、決済は1週間の先に動きます。届かない理由ごとに、次の到達点が決まります。

届かない理由次の到達点目安
住宅ローンが残っている契約は1週間、決済は完済予約の日2週間〜1か月
残債が買取価格を上回る自己資金で補う、住み替えローン、任意売却1週間の枠の外
買取価格に納得できない仲介で現金買主なら1か月、住宅ローン買主なら2〜3か月1〜3か月
期限だけ担保したい買取保証で3か月後の出口を決める3か月+買取の日数

住宅ローンが残っていれば契約は1週間で決済は完済予約の日に

ローンが残っている人の現実的な最短は、1週間で契約を済ませ、決済を銀行の完済予約の日に置く形です。契約の日に手付金が入り、売却は決まります。残代金は完済予約の日に入ります。

この形の利点は、「売却が決まった」状態を1週間で作れることです。住み替え先の契約、引っ越しの手配、転勤の手続きは、売買契約が済んでいれば進められます。現金が入る日が2〜4週間後でも、困らない人が多いはずです。

注意点は、契約から決済までの期間が長いほど、買主の事情で決済が延びるおそれがあることです。決済日は契約書に確定日で書き、幅を持たせた書き方を避けます。銀行の完済予約は、契約の前に済ませておきます。

残債が買取価格を上回るなら1週間の枠から外れる

住宅ローンの残高が買取価格を上回る場合、売却代金だけではローンの完済に足りず、抵当権が残ります。この状態では、決済そのものが成立しないので、1週間どころか売却自体が止まります。

対処は3つです。差額を自己資金で補って完済する、住み替え先の住宅ローンに差額を上乗せする住み替えローンを使う、金融機関の同意を得て残債より低い価格で売る任意売却を進める、のいずれかです。どれも金融機関との相談が要り、1週間の枠の外にあります。

買取価格は仲介より低いため、仲介なら残債に届く物件でも、買取では届かないことがあります。1週間を急ぐ前に、銀行から残高証明を取り、買取の提示額と比べます。届かないと分かった時点で、1週間の計画から、残債の処理の計画に切り替えます。オーバーローンの売却の進め方は別の記事で扱っています。

オーバーローンでも売却はできる|差額の埋め方と方法4つ オーバーローンでも売却はできる|差額の埋め方と方法4つ

買取価格に納得できなければ仲介で1か月から3か月

買取の提示額を見て、「この額なら急ぐのをやめる」と考え直す人もいます。その場合の到達点は、仲介です。現金で買う買主(投資家や法人)を含めて募集すれば、契約から決済まで2〜3週間で済み、申込みまでの期間を含めて1か月程度を見込めます。住宅ローンを使う一般の買主なら、申込みまで1〜2か月、決済まで2〜3か月です(いずれも目安です)。

仲介で期間を縮めるには、最初の売り出し価格を成約事例に合わせることが最も重要です。価格が合っていれば、掲載直後に申込みが入ります。東京カンテイの2025年の集計でも、売却期間が1か月以内で成約した事例の約半数は、売出価格から値下げをせずに決まっていました。売却期間の平均と日程の立て方、売却の流れは別の記事で扱っています。

出典: 東京カンテイ「中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)」2025年

マンション売却の期間は平均82.5日|レインズ登録から成約までと前後の流れ マンション売却期間はどのくらい?平均と日程の立て方 マンション売却の全7ステップ|流れ・期間・注意点を時系列で解説 マンション売却の全7ステップ|流れ・期間・注意点を時系列で解説

1週間を諦めて仲介に切り替えるときは、「いつまでに現金が要るか」を改めて決めます。その日から逆算して、仲介で間に合う見込みがあるか、買取保証を付けるかを選びます。

期限だけ担保したいなら買取保証で3か月後の出口を決める

「1週間は無理でも、決めた日までに必ず売れていてほしい」という事情なら、買取保証があります。一定期間(3か月が多い)は仲介で売り出し、期限までに売れなければ、あらかじめ決めた価格で不動産会社が買い取る仕組みです。

利点は、期限の担保です。仲介で相場に近い価格を狙いながら、最悪でも期限に現金化できます。住み替え先の決済日が3か月以上先に決まっている人には合う方法です。

注意点は、保証価格が仲介の査定額より低いことと、保証を付けられる会社と物件に条件があることです。また、仲介期間中の売り出し価格が高すぎると、期限まで売れず保証価格での買取に落ちやすくなります。買取保証の仕組みと注意点は別の記事で扱っています。

買取保証とは?メリット・デメリットと損しない使い方 買取保証とは?メリット・デメリットと損しない使い方

1週間で売却するときの代償

1週間で売ることの代償は、価格を比べる時間、契約書を確かめる時間、退去の時間の3つが短くなることです。3つとも、段取りで小さくできます。

  • 価格の比較は同じ日の複数社で最低限を確保する
  • 契約書は前日に受け取って支払時期と引渡し日を確かめる
  • 引渡し猶予と残置物の条件を契約書に書く
  • 契約した後の撤回は違約金の対象になる

価格の比較は同じ日の複数社で最低限を確保する

1週間の計画では、じっくり複数社を回る時間が取れないままです。代わりに、初日に3社へ同時に依頼し、2日目に現地確認をまとめ、3日目に横並びで比べる形で、最低限の比較を確保します。1社の提示額だけで決めるのが、1週間の売却で最も損をする選び方です。

買取価格は業者によって数百万円の差が出ることがあります(差の幅は目安です)。リフォームの得意分野、再販の販路、抱えている在庫の量が違うためです。同じ日に同じ状態を見てもらい、同じ期限で回答をもらえば、その差が見えます。

仲介で売った場合の査定額も、可能なら1社取っておきます。机上査定なら室内を見せずに出せます。買取の提示額との差を知ったうえで、1週間の早さにその差を払う価値があるかを判断します。買取の仕組みと価格が下がる理由は別の記事で扱っています。

不動産の即時買取とは?価格が安くなる理由と向き不向き マンションの即時買取とは?価格が安くなる理由と、仲介・買取保証との使い分け

契約書は前日に受け取って支払時期と引渡し日を確かめる

1週間の計画では、契約の場で契約書を初めて見る形になりがちです。これを避けるため、契約書は前日に受け取り、当日中に読みます。確かめる項目は決まっています。

  • 売買代金と手付金の額、手付金の支払日
  • 残代金の支払日(確定日で書かれているか)
  • 引渡しの日と、引渡し猶予の条件
  • 残置物の扱い
  • 契約不適合責任の免責の有無
  • 違約金の額と、解除の条件

とくに、残代金の支払日が空欄、または「別途協議」の契約書は避けます。支払日が決まっていない契約は、いつ現金が入るかを業者が決められる契約です。手付金は契約の日に受け取ることを確かめます。分からない項目は、契約の前に質問し、納得してから署名します。急いでいるときほど、この1日が自分を守ります。

引渡し猶予と残置物の条件を契約書に書く

1週間で決済するなら、退去が最大の壁です。引っ越しが間に合わない場合は、引渡し猶予の特約を契約書に書きます。書く内容は、猶予の期間(決済後の何日までか)、猶予中の使用料の有無、退去時の状態(清掃の程度)、鍵の引渡しの方法です。

残置物も同じです。家具や家電を置いていく場合は、「残置物はすべて買主が処分し、費用は買取価格に含む」のように書きます。口頭の「置いていっていいですよ」は、決済後に「処分費用を請求します」に変わることがあります。

買取業者は、リフォームして再販するまでに時間があるので、猶予と残置物には応じやすい相手です。ただし、応じるかどうかと、その条件は業者ごとに違います。2日目の現地確認で条件を聞き、3日目の比較の項目に入れ、契約書に書く。この順番で進めれば、1週間で売っても、引っ越しは自分の都合で進められます。

契約した後の撤回は違約金の対象になる

1週間で契約まで進めたあとに、「やはりやめたい」となった場合、撤回には代償が伴います。宅地建物取引業法のクーリングオフは、条文の入口が次のように書かれています。

宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、…事務所等…以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主…は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除…を行うことができる。

制度が守っているのは、不動産会社が売主で、その相手方となる買主です。個人が売主で、不動産会社が買主になる買取は、この制度の対象の外にあります。

契約を解除するには、手付金が解約手付なら、受け取った手付金の倍額を買主に返します。相手が契約の履行に着手した後は、その解除の道も閉じ、違約金の対象になります。違約金の額は契約書で決まり、売買代金の1〜2割が多いですが(割合は目安です)、契約ごとに違います。

したがって、1週間で契約するなら、契約の前に「本当にこの条件で売るか」を決めきります。迷いがあるなら、契約を翌週に延ばす方が、違約金を払うより損は小さいです。1週間の計画は、条件と段取りを整えたうえで進めるもので、迷いが残るなら翌週に回します。買取の流れと注意点は別の記事で扱っています。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第37条の2)

マンションの買取とは?仲介との違いと向き不向き マンションの買取とは?仲介との違いと向き不向き

まとめ:1週間で終わるのは買取の契約までで、決済まで届くかは資金と抵当権と書類と営業日で決まる

いちばん重いのは、「1週間で売る」が指す到達点を、購入申込み、売買契約、決済の3つに分けて決めることです。買取なら売買契約までを1週間で終えるのは現実的で、決済まで1週間で届くのは、買主が自己資金で買い、抵当権がなく、登記の書類が揃い、5日が平日である場合に限られます。そしてその5日は、暦の7日とは別の数え方になります。銀行法は銀行の休日を日曜日と政令で定める日(土曜日・祝日・12月31日から1月3日)に限り、法務局は平日の午前8時30分から午後5時15分までを業務取扱時間として、土日祝日と年末年始は業務の取扱いの外に置いています。

次の一歩は、査定を頼む初日に、銀行へ完済予約の期限と必要書類を聞き、権利証と3か月以内の印鑑証明と登記上の住所を自分で確かめることです。ここを飛ばすと、業者がどれだけ早く動いても、完済予約の期限(完済日の10営業日前から1か月前までの幅があります)と書類の取り寄せが先に立ちはだかり、決済日を組み直すことになります。名義が共有なら共有者全員の同意が要り、相続登記が未了なら、1週間の枠の前に司法書士への依頼が入ります。

そのうえで確かめたいのは、自分が本当に必要としているのが「1週間で売却が決まること」なのか、「1週間で現金が手元にあること」なのかという点です。前者なら、1週間で契約を済ませ、決済を完済予約の日に置く形で足ります。後者で条件が揃わないなら、仲介で1か月から3か月、または買取保証で期限を担保する道と、1週間で売ることの代償(比較の時間、契約書を読む時間、退去の時間)を並べて比べます。住み替えのトビラでは、マンション売却が1週間で可能かの判断と、月曜から金曜の日割りの段取りも含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。