事故物件のマンションは売却できる?告知が要る範囲と価格の下がり方・売り方

事故物件のマンションは売却できる?告知が要る範囲と価格の下がり方・売り方

部屋で人が亡くなった。同じ棟で事件があった。そうした事情を抱えたマンションについて、「もう普通には売れない」「買取業者に安く買われるしかない」と不安になる方に向けた記事です。

人が亡くなっただけで、一律に「事故物件だから半額」と決まるわけではありません。国土交通省のガイドラインには、自然死などを原則として告げなくてよいとする扱いと、その例外があります。まず事情を不動産会社へ伝え、告知の範囲と現状での査定を確認しましょう。告知が必要でも仲介を検討できます。

この記事では、告知が要る範囲、売却価格が決まる要因、売り方の5つの選択肢、少しでも高く売るコツを、マンションからの住み替え(買い替え)を考えている方に向けて順に説明します。

告知が要る事故物件マンションと告知が要らない死亡

国土交通省のガイドラインは、主に宅地建物取引業者が人の死をどう調査・告知するかを示すものです。売主の民事上の責任まで一律に決めるものではありません。

事情ガイドライン上の原則と確認点
自然死・日常生活の不慮の事故死原則として告げなくてよい。ただし特殊清掃等や質問への回答などの例外がある
自殺・他殺など上記以外の死亡取引判断への影響を踏まえて告知を検討する
発見の遅れに伴う特殊清掃・大規模リフォーム自然死等でも告知の対象となる
隣接住戸・通常使用しない共用部原則として告げなくてよいが、周知性等が高い事案や質問された場合は別
通常使用する共用部隣接住戸等と同じ扱いにせず、事情を確認する

自然死でも、聞かれたことには事実を答える

老衰・病死、日常生活での転倒や誤嚥などは原則不要の扱いですが、買主から質問された場合は判明している事実を伝える必要があります。「自然死だから何も知らせなくてよい」と自己判断せず、まず不動産会社に事実を共有します。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」について

自殺や他殺と特殊清掃を伴った死亡は告知が要る

告知が要るのは、自殺や他殺のように、買主が知れば契約するかどうかの判断が変わる死亡です。ガイドラインは、自然死と日常生活の不慮の死以外の死について、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は告げなければならない、としています。

自然死や不慮の事故死であっても、発見が遅れて長期間放置され、特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は、同じく告知の対象になります。

「孤独死」という呼び方だけで判断せず、発見までの経緯や特殊清掃・改装の内容を伝えます。不明な点は推測で埋めず、不動産会社の確認事項と回答を記録に残しましょう。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」について

隣室や日常使わない共用部の死亡は原則告知が要らない

マンションでは、自分の部屋以外で人が亡くなるケースがあります。隣室、上下階、そして共用部です。

ガイドラインは、取引の対象となる部屋の隣接住戸や、買主が日常生活において通常使用しない共用部分(屋上、機械室、普段使わない裏の階段など)で起きた死亡について、原則として告げなくてよいとしています。自分の部屋の売却で、隣室の事情まで背負う場面は限られます。

ただし、エントランスやエレベーター、共用の廊下や階段のように、買主が日常的に使う共用部分は、この例外の外にあります。ここで自殺や他殺があった場合は、告知の対象になり得ます。ガイドラインは、事件性や周知性、社会に与えた影響が特に高い事案も例外としているため、隣室で全国的に報道された事件があった場合は、告げておくのが安全です。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」について

売買には「3年経てば一律に告知不要」という基準はない

ガイドラインの概ね3年という扱いは賃貸についてのもので、例外もあります。売買にはそのまま適用できません。いったん賃貸に出したから、売るときの告知が不要になるわけでもありません。

経過年数は判断材料の一つですが、年数だけで告知の要否や価格の回復を決めることはできません。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」について

告知を怠ると契約の解除や損害賠償の対象になる

告知が要る死亡を隠して売ると、契約の後に買主が知ったとき、契約不適合として責任を問われます。民法は、引き渡された目的物が種類・品質・数量について契約の内容に適合しないとき、買主が履行の追完や代金の減額を請求できると定め、あわせて損害賠償の請求と契約の解除も妨げないと定めています。

「不動産会社が言わなかった」は売主の免責になりにくく、売主自身が知っている事情を告げる責任は売主に残ります。

知っている事実を正確に伝え、合意内容を記録することは、認識の違いを減らすために役立ちます。ただし、告知すればあらゆる責任がなくなるわけではありません。

出典: e-Gov法令検索「民法」

事故物件マンションの売却価格が決まる要因

「事故物件なら何割安い」という一律の計算では、自宅の価格は分かりません。死因や経緯に加え、立地・広さ・室内状態、清掃の内容、地域の需要が関わります。

同じ事情を伝えて、査定の根拠を比べる

会社ごとに伝える条件が違うと、価格も比較できません。分かっている事実と清掃記録をそろえ、次を聞きましょう。

査定で聞くこと比べたい内容
どの成約事例を参考にしたか立地・面積・取引時期などの違い
今回の事情をどう価格へ反映したか死亡の場所・経緯・周知性、清掃状況
どの買主を想定しているか居住用か賃貸運用か、紹介できる経路
価格が変わる条件は何か調査未了の点、清掃・撤去の費用

投資家なら必ず値引きが小さいとは限りません。運用を前提にする買主は家賃や空室、修繕費も検討します。告知の期間と、通常の家賃で借り手が付くかは別です。

清掃費をかける前に、現状の価格も聞く

衛生上必要な処置は専門業者と確認します。一方、売値を上げるための改装は、費用を上回る値上がりが見込めるとは限りません。現状で売る場合と、清掃・改装後に売る場合を査定と見積もりで比較しましょう。

当サイトの比較例では、改装後の売却額が現状より100万円高くても、改装費が150万円なら、ほかの条件が同じ場合の差引額は50万円減ります。仮定の計算例であり、工事費や値上がりの相場ではありません。

事故物件マンションを売る方法

仲介・買取を並行して比較できます。待つ場合も、価格が回復する前提だけで決めないようにします。

方法確認すること
仲介告知の方法、成約見込み、買主への紹介経路
事故物件を扱う専門仲介近い取引事例、買主候補、手数料
直接買取現状での提示額、清掃・残置物の負担、決済条件
賃貸して保有想定家賃、空室・修繕・管理費、融資契約
買取保証今回の事情が対象か、保証額・期限・除外条件

仲介と買取の一般的な違いは、別の記事でまとめています。

仲介と買取どっちを選ぶ?不動産の売り方の違いを価格・早さ・確実性で比較 仲介と買取どっちを選ぶ?不動産の売り方の違いを価格・早さ・確実性で比較

順に説明します。

仲介で、事情を伝えたうえで買主を探す

仲介会社には、死亡の事情と物件の長所をどう説明するか聞きます。価格を下げれば必ず売れるとは限りません。査定額の根拠と買主候補、売出後の見直し方を確認しましょう。

不動産売却の一括査定サイトおすすめ7選|選び方と組み合わせ方 不動産一括査定サイトのおすすめを「元・査定サイトの中の人」が徹底比較してみた

事故物件専門の仲介に買い手探しを任せる

事故物件の取引を扱う会社には、近い事例と買主への紹介方法を聞きます。「専門」と書かれているだけで高く早く売れるとは決まりません。一般の仲介会社の提案とも比べ、説明と条件で選びましょう。

買取業者に現況のまま売る

買取では、現状のままの価格を提示してもらえます。清掃・残置物撤去を誰が負担するか、追加費用があるか、いつ決済できるかを確認します。対応範囲は会社と契約によって違います。

賃貸に出すなら、家賃と保有費を計算する

賃貸にして待つ方法もありますが、3年で通常家賃に戻る保証はありません。想定家賃から管理費・修繕積立金・税金・管理委託料・空室中の負担などを引いて判断します。

住宅ローンがあるなら、貸す前に金融機関へ相談します。将来売る際の告知や、賃借人がいる状態での売却条件も確認が必要です。

買取保証で仲介の後に買取へ切り替える

仲介で一定期間売り出し、売れなければあらかじめ決めた価格で不動産会社が買い取る「買取保証」という仕組みがあります。上の価格を狙いながら、売れなかったときの出口を先に確保できます。

事故物件を保証対象にしない会社や、追加条件を設ける会社もあります。今回の事情をすべて伝えたうえで、保証の適用、価格、期限、不成立になる条件を確認します。

買取保証とは?メリット・デメリットと損しない使い方 買取保証とは?メリット・デメリットと損しない使い方

事故物件マンションを高く売るコツ

まず現状の査定を取り、清掃や改装にお金をかけるか、どの売り方を選ぶかを比較します。

必要な処置と、売値を上げる工事を分ける

衛生・臭気などへの必要な対応は、専門業者と範囲を確認します。「床と壁だけで十分」と一律には決められません。改装を提案されたら、現状売却との差と費用を比べましょう。

実施した作業の見積書・報告書・領収書を残すと、何をどこまで処置したか説明できます。見た目がきれいになっても、告知すべき事情が消えるわけではありません。

告知書に時期と場所と概要を正確に書く

売買契約のときに、売主は「物件状況報告書(告知書)」を書きます。事故物件では、ここに死亡の時期・場所・概要を正確に書きます。

ガイドラインも、不動産会社が買主に告げる内容として、事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合は発覚時期)、場所、死因、特殊清掃等が行われた旨の4点を挙げ、売主に照会した内容をそのまま告げるべきだとしています。売主が書く告知書は、その照会に対する答えにあたります。

不動産会社に伝える4項目

  • 発生時期。特殊清掃等がある場合は発覚時期も
  • 場所
  • 分かっている死因
  • 特殊清掃・改装の有無と内容

不明な点は不明とし、個人の名誉・プライバシーにも配慮します。必要以上の個人情報を広めず、会社と告知書の表現を確認して記録を残しましょう。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」について

事故物件の成約実績がある会社に査定を出す

近い取引の経験があるか、今回の事情をどう評価したかを聞きます。守秘義務で詳細を出せないこともあるため、件数を答えられるかだけで経験を決めつけません。

「類似事例と比べ、価格に影響した条件は何ですか」「現状のまま売る場合と清掃後では、費用を引いた額がどう違いますか」と聞くと、提案を比較できます。

マンション買取業者の選び方|失敗しない見極め方と注意点 マンション買取業者の選び方|失敗しない見極め方と注意点

投資家向けの販売経路も並行する

賃貸需要が見込める地域なら、投資用物件を扱う会社への紹介も相談できます。想定家賃や運用費を踏まえた提案か確認し、投資家の方が必ず高く買うとは考えないようにします。

急いで買取一択にしない

「事故物件」という呼び方だけで、売り方も価格も決めないことが大切です。必要な売却期限を伝え、仲介と買取の査定を比べましょう。数か月の仲介を試すことが必須ではありません。

安く手放すと決める前に、今の価格を確認する。 現状の査定が分かれば、清掃にかける費用も、売り方も選びやすくなります。

まとめ:告知の範囲と現状の価格を確認する

自然死などを原則として告げなくてよいとするガイドラインの扱いには、特殊清掃や買主からの質問などの例外があります。自殺・他殺だけに対象を限らず、判明している事実を不動産会社へ伝えましょう。

次の一歩は、告知の要否と現状での査定を相談することです。告知が必要でも仲介を検討できますが、売却額や成約は保証されません。仲介と買取の手取り・条件を比べます。

衛生上必要な対応と、売値を上げる改装は分けて判断します。住み替えのトビラでは、事故物件マンションの告知の範囲と価格の考え方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。