タワマンからタワマンへの住み替え|資産形成の条件と修繕積立金の将来

タワマンからタワマンへの住み替え|資産形成の条件と修繕積立金の将来

今のタワマンが買ったときより高く売れそうで、この機会にもっと立地のよいタワマンや広い住戸へ移りたい。住み替えるたびに資産が増えるという話も耳にします。一方で、移る先の修繕積立金がこの先どこまで上がるのか、売却益に大きな税金がかからないかも気になるところです。

先に答えを書きます。タワマンからタワマンへの住み替えで資産が増える道は、売却益を特例で税金をかけずに確定させる、手取りを頭金に回して借入を減らす、値下がりしにくい物件へ移る、の3つに絞られます。そのうえで、移る先の修繕積立金は今の月額ではなく、長期修繕計画にある将来の月額で見ます。

この記事では、資産形成が成り立つ条件、修繕積立金の将来の確かめ方、物件の選び方、税金の特例の選び方、進め方を、国税庁や国土交通省の資料をもとに順に見ていきます。

タワマンからタワマンへの住み替えで資産形成が成り立つ条件

タワマンを売って次のタワマンへ移ると資産が増える、とよく言われます。

ただ、売って同じくらいの物件に買い直すだけなら、資産はほぼ横ばいです。資産が増えるのは、次の3つのどれかが起きたときです。

  • 売却益を特例で、税金をかけずに確定させる
  • 売った手取りで、借入の総額を減らす
  • 今の家より値下がりしにくい物件へ移る

ここでは、その前提になる条件を3つに分けて見ていきます。

含み益は買い替え先の価格に吸収される

最初に押さえたいのは、高く売れる相場のときは、買う物件も高いという点です。

7,000万円で買ったタワマンが、1億円で売れたとします。3,000万円の値上がりです(仮の例)。

ところが、同じエリアの同じくらいのタワマンも、同じように値上がりしています。次の物件も1億円前後なら、手元に残る資産はほぼ同じままです。

値上がりした分は、次の物件の価格にそのまま吸収されます。資産が増えたように見えるのは、売ってお金を手にした一瞬だけです。

だからこそ、移る先は「今の家より値下がりしにくいか」で選びます。駅に近い、再開発で街の便利さが上がる、同じ棟の競合が限られる。こうした条件がそろう物件へ移ると、次に売るときの手取りに差が出ます。選び方は3つ目の章で詳しく見ます。

もう1つ、ここ数年の値上がりがこの先も続くかは、金利や景気しだいです。国土交通省の不動産価格指数では、全国のマンション(区分所有)は2010年平均を100として、2025年12月分で225.1です(2026年3月31日公表の季節調整値。2026年1月分以降は公表が延期されています)。長く上がってきましたが、相場は金利や景気で上下します。計画は、相場が横ばいでも成り立つ形で立てておくと安心です。

出典: 国土交通省 不動産価格指数 出典: 国土交通省 不動産価格指数(令和7年12月・第4四半期分)

売却の手取りを次の頭金にして残債を減らす

資産を増やす2つ目の道は、売って手元に残るお金を、次の物件の頭金に回すことです。

手元に残るお金(手取り)は、次の式で考えます。

手取りの計算式

手取り=売却額−住宅ローンの残り−仲介手数料−税金−諸費用

売買の仲介手数料には、国の告示で上限があります。売買価格(税抜)のうち、200万円以下の部分は5.5%、200万円超400万円以下の部分は4.4%、400万円を超える部分は3.3%(いずれも消費税込み)をかけて足した額が、売主・買主それぞれから受け取れる上限です。

1億円で売った場合の上限(告示の計算)

200万円×5.5%+200万円×4.4%+9,600万円×3.3%=336万6,000円(約337万円)

よく聞く「売買価格×3%+6万円(税抜)」は、400万円を超える取引でこの合計を一度に出す速算の式です。(1億円×3%+6万円)×1.1でも、同じ336万6,000円になります。

上限は上限なので、実際の額は媒介契約を結ぶ前に不動産会社と話し合って決めます。

この手取りを次の物件の頭金に入れると、借入額が減り、毎月の返済も利息の総額も下がります。反対に、手取りを別の使い道に回して次の物件をほぼ全額借入で買うと、借入の総額はかえって増えます。

住み替えを決める前に、査定額から手取りを計算し、次の物件の頭金にいくら入れるかを決めておきます。

出典: 国土交通省 <消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ(仲介手数料の上限額)

金利と管理費等の上昇に耐えられる返済にする

3つ目の条件は、次のタワマンの返済を、金利や管理費等が上がっても続けられることです。

借入額が大きいほど、少しの金利の差で返済額は大きく変わります。

仮の条件: 借入8,000万円・35年・元利均等返済・ボーナス返済なし

金利が年0.8%なら、毎月の返済は約21万8,000円

金利が年1.3%(+0.5%)なら、約23万7,000円(約1万9,000円増)

金利が年1.8%(+1.0%)なら、約25万7,000円(約3万8,000円増)

自分の数字で試すときは、毎月の返済=借入額×月利×(1+月利)^回数÷{(1+月利)^回数−1}に入れます(月利=年利÷12、回数=年数×12)。金融機関の返済シミュレーションでも同じ計算ができます。

変動金利は、日本銀行の政策金利の動きを受けて、銀行が基準になる金利を見直すことで上下します。日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促す方針を決めました。

住宅金融支援機構の説明では、変動金利型は金利を半年ごとに見直し、毎月の返済額は5年ごとに見直します。見直し後の返済額は前の1.25倍までとするケースが一般的です。その上限を超えた分の利息は未払利息として繰り延べられ、あとで払う必要があります。見直しの決まりは銀行ごとに違うので、借りる前に商品の説明書で確かめます。

さらに、タワマンの修繕積立金は年数とともに上がる計画になっていることがあります(次の章で確かめ方を見ます)。返済額に管理費と修繕積立金を足した毎月の住居費で、家計が回るかを確かめます。

目安として、金利が1%上がり、修繕積立金が長期修繕計画の最高額まで上がっても払えるかを試算しておきます。ここまで見ておくと、資産形成のつもりが家計の重荷に変わる事態を防げます。

出典: 日本銀行 金融市場調節方針の変更について(2026年9月18日) 出典: 住宅金融支援機構 金利のタイプとは?(【フラット35】)

住み替え先のタワマンで修繕積立金の将来を確かめる方法

タワマンの修繕積立金は、今の月額で選ぶと、数年後の値上げで慌てることがあります。新しいマンションほど、新築時は低く設定し、段階的に上げていく計画が多いためです。

修繕積立金の将来は、買う側でも書類で確かめられます。ここでは、その方法を4つ紹介します。

長期修繕計画で将来の積立金の上がり方を見る

修繕積立金の将来は、マンションの長期修繕計画に書かれています。

長期修繕計画は、外壁や屋上の防水、エレベーター、給排水管などを、いつ、いくらかけて直すかをまとめた計画です。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、計画期間を30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とし、5年程度ごとに見直すことにしています。その工事費をまかなうために、積立金をいつ、いくらに上げるかも載っています。

見るのは次の3つです。

  • 積立の方式(段階的に上げるか、最初から一定額か)
  • 5年後、10年後、15年後の月額
  • 計画期間の終わりに積立金が足りているか

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、段階的に上げる段階増額積立方式のマンションは全体の47.1%で、2015年以降に完成したマンションでは81.2%です。新しいマンションほど、販売時の積立金を低めにして、あとから上げていく計画が多いと分かります。

住居費は、今の月額ではなく、計画にある将来の月額で計算します。

今のタワマンの積立金が段階的に上がる予定で、売る時期を考えている場合は、次の記事で詳しく扱っています。

段階増額の修繕積立金と売却|2024年改定の目安で測り売る時期を決める 段階増額の修繕積立金と売却|2024年改定の目安で測り売る時期を決める

出典: 国土交通省 長期修繕計画標準様式・長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定) 出典: 国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状

ガイドラインの目安額と比べる

長期修繕計画の積立金が足りているかは、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の目安と比べると分かります。

このガイドラインは、地上20階以上のマンションを延床面積で分けずに1つの区分とし、計画期間全体の修繕積立金の平均額の目安を、専有面積1㎡あたり月338円としています。事例の3分の2が収まる幅は、月240円〜410円です。機械式駐車場の修繕費はこの目安に含めず、別に加算します。

80㎡の住戸に当てはめた場合(目安×専有面積)

平均: 338円×80㎡=月2万7,040円

幅: 240円×80㎡=月1万9,200円 〜 410円×80㎡=月3万2,800円

自分の住戸では、338円・240円・410円にそれぞれ専有面積をかけて比べます。

計画と比べる手順は次の3段階です。

  1. 計画期間全体で集める積立金の総額を出す
  2. その総額を、マンション全体の専有面積の合計と、計画期間の月数で割る(1㎡あたりの月額の平均)
  3. ガイドラインの幅と比べる

目安を大きく下回る計画は、将来の値上げや一時金の徴収が起きやすい計画と考えられます。ガイドラインも、修繕積立金の額はマンションごとに様々な要因で変わるとしているので、建物の仕様や設備の違いも合わせて見ます。

ガイドラインは令和6年6月の改定で、段階増額積立方式の引上げの考え方が加わりました。均等に積み立てた場合の月額を基準額として、計画の最初の額は基準額の0.6倍以上、最後の額は1.1倍以内とする考え方です。この考え方に沿うと、計画の最高額は最低額の約1.8倍(1.1÷0.6)までに収まります。購入時の月額から計画の最高額まで3倍に上がるような計画は、この考え方から外れる計画です。

出典: 国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)

重要事項調査報告書と総会の議事録で値上げの予定を確かめる

中古のタワマンなら、管理組合のお金の状態を書類で確かめられます。

1つ目は「重要事項調査報告書」です。法律で決まった様式の名前ではなく、管理会社が仲介会社の求めに応じて作る書類の呼び名です。国土交通省のマンション標準管理委託契約書では、宅地建物取引業者の求めに応じて管理会社が開示する事項として、次のような項目を挙げています。

  • 修繕積立金会計の収入・支出・繰越額などの収支
  • 管理費と修繕積立金の滞納の額、管理組合の借入金の残高
  • 修繕積立金の変更予定(長期修繕計画上の変更予定時期と変更予定額)と積立の方式
  • 長期修繕計画の有無、修繕の実施状況、大規模修繕工事の予定
  • 管理計画認定の有無

このうち、修繕積立金に関する規約の内容と既に積み立てられている額、通常の管理費用の額などは、売買のときに仲介会社が買主に説明する重要事項として、宅地建物取引業法の施行規則で定められています。報告書を早めに取り寄せてもらうと、契約前にその中身を落ち着いて読めます。標準管理委託契約書では管理会社が作成の費用を受け取れることになっているので、費用がかかることがあります。

2つ目は、過去の総会の議事録です。積立金の値上げは総会で決まるので、議事録を読むと、値上げが話し合われているか、反対が多く見送られたかが分かります。区分所有法で議事録の閲覧を請求できるのは「利害関係人」で、購入を検討している段階の人がこれに当たるかはケースによります。仲介会社を通じて、売主や管理組合の了解を得て見せてもらえることがあります。

決まる前の値上げの議論は、報告書より議事録に表れます。議事録まで読むと、数年後の値上げを先回りして知ることができます。

出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法施行規則(第16条の2) 出典: 国土交通省 マンション標準管理委託契約書の改正(令和7年12月12日)(第15条・別表第5) 出典: e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(第33条・第42条)

管理計画認定を受けているかを見る

管理の良し悪しを見分ける目印に、「管理計画認定」があります。

管理計画認定は、2022年度(令和4年度)に始まった制度です。管理組合の運営、管理規約、経理、長期修繕計画などが国の基準を満たしたマンションの管理計画を、自治体が認定します。長期修繕計画と修繕積立金に関わる基準には、次のようなものがあります。

  • 計画期間が30年以上で、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれている
  • 計画が7年以内に作成または見直しされている
  • 将来の一時金の徴収を予定していない
  • 計画期間全体の修繕積立金の平均額が著しく低額でない
  • 計画期間の最終年度に借入金の残高が残らない計画になっている

認定を受けたマンションには、次のような利点があります。

  • 修繕積立金の計画が国の基準を満たしていると分かる
  • フラット35の「維持保全型」で、当初5年間、金利が年0.25%引き下げられる(予算の範囲で受け付け)
  • 将来売るときに、管理の良さを買い手に示しやすい

新築の段階では、マンション管理センターの「予備認定」を受けた物件があり、こちらもフラット35維持保全型の対象です。2027年4月からは、分譲事業者が分譲時に管理計画認定を申請できる仕組みも始まります。

認定の有無は、マンション管理センターの「管理計画認定マンション一覧」で調べられます。認定がある物件とない物件で迷ったときは、認定を判断材料の1つに加えると比べやすくなります。

出典: 国土交通省 マンション管理計画認定制度 出典: 国土交通省 マンションの管理計画認定の基準 出典: 住宅金融支援機構 【フラット35】維持保全型 出典: マンション管理センター 管理計画認定マンション一覧

住み替え先のタワマンの選び方

次のタワマンは、住みやすさに加えて、将来売るときに選ばれるかで選びます。

売るときは、同じ棟の別の住戸や、近くのタワマンと比べられます。その比較で選ばれる物件かどうかを、4つの点から見ていきます。

立地と再開発の予定

タワマンの価値を最も左右するのは、立地です。

駅からの距離、通勤先までの時間、周りの商業施設は、売るときに買い手が真っ先に見る点です。駅直結や駅から数分の物件は、相場が下がる局面でも買い手がつきやすいとされます。

もう1つ見ておきたいのが、周辺の再開発の予定です。駅前の再開発や新駅の計画があると、街の便利さが上がり、相場が支えられることがあります。

一方で、再開発で近くにタワマンが何棟も建つと、売る時期に似た物件が増えて比べられやすくなります。再開発は、街が便利になる面と、競合が増える面の両方で見ます。

再開発の予定は、自治体の都市計画のページや、再開発組合の公表資料で確かめられます。広告に加えて公的な資料で、時期と規模を見ておくと安心です。

階数と眺望の変わりやすさ

タワマンは、同じ棟でも階が上がるほど価格が高くなります。高い階は、眺望の良さが価格に含まれているためです。

ここで気をつけたいのが、眺望は変わることがある点です。目の前の土地に新しいビルやタワマンが建つと、眺望が遮られ、売るときの価格にも響きます。

確かめ方は次のとおりです。

  • 窓の向きにある土地の用途地域と容積率を、自治体の都市計画図で見る
  • 周辺の再開発や建設の予定を調べる
  • 前に公園や川、広い道路など、建物が建ちにくい場所があるかを見る

前が公園や川なら、眺望は長く保たれやすいと考えられます。前が駐車場や低い建物で、容積率が高い土地なら、将来高い建物が建つ余地があります。

高い階の価格を払うなら、その眺望が続くかまで見ておきます。

同じ棟の売り出し件数と賃貸の割合

タワマンは住戸数が多いため、同じ棟で何戸も売り出されていることがあります。

売るときに同じ棟で売り出しが重なると、買い手は階数や向き、価格を見比べます。その結果、値下げ競争になりやすくなります。今の時点で同じ棟の売り出しが多い物件は、将来も同じ状況になりやすいと考えられます。

もう1つ見ておきたいのが、賃貸に出ている住戸の割合です。投資目的で買われた住戸が多い棟は、そこに住んでいる所有者が少なくなります。積立金の値上げなどを総会で決めるとき、合意が取りにくくなることがあるとされます。

確かめ方は次の2つです。

  • 不動産ポータルサイトで、その棟の売り出し件数と賃貸の募集件数を見る
  • 総会の議事録で、出席や議決権の行使の状況を見る

共用施設と管理費の重さ

タワマンには、ラウンジ、ゲストルーム、ジム、プール、コンシェルジュなどの共用施設やサービスが付いていることがあります。

これらの費用は、使うかどうかに関係なく、管理費として住戸ごとに払います。共用施設が多いほど、管理費は高くなりやすくなります。施設は年数がたつと修繕や入れ替えが必要になり、その費用は修繕積立金から出ます。

選ぶときは、次の3つを見ます。

  • 管理費の専有面積1㎡あたりの額(月額÷専有面積)
  • 使う予定のない共用施設がどれくらいあるか
  • 機械式駐車場の有無(入れ替えに大きな費用がかかる)

機械式駐車場については、国土交通省の修繕積立金のガイドラインも、修繕工事に多額の費用がかかるとして、積立金の目安とは別に加算する扱いにしています。

将来売るときも、管理費と修繕積立金の合計は、買い手の毎月の負担として見られます。共用施設の豪華さより、住居費全体の重さで比べます。

出典: 国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)

タワマンの住み替えで使える税金の特例と選び方

タワマンは値上がりしていることが多く、売ると大きな売却益が出ることがあります。

その売却益にかかる税金は、使う特例によって数百万円変わります。ここでは、住み替えで使う代表的な特例と、その選び方を見ていきます。

3,000万円の特別控除と所有期間で変わる税率

自分が住んでいた家を売ったときは、売却益(譲渡所得)から最高3,000万円を差し引ける特例があります。

国税庁の説明では、この特例は所有期間の長短に関係なく使えます。買ってから数年で売った場合も対象です。夫婦で共有している場合は、使えるかどうかを共有者ごとに判定し、要件を満たす共有者1人につき最高3,000万円です。2人とも住んでいて要件を満たせば、持分に応じた売却益から、それぞれ最高3,000万円、合わせて最高6,000万円を差し引けます。売った年の前年・前々年にこの特例を使っている場合や、親子・夫婦など特別の関係がある人へ売る場合は対象外です。

3,000万円を差し引いた後の売却益には、所有期間に応じた税率がかかります。

売った年の1月1日時点の所有期間税率(所得税・復興特別所得税・住民税)
5年以下39.63%(30%+0.63%+9%)
5年超20.315%(15%+0.315%+5%)
10年超で軽減税率の特例を使う場合6,000万円以下の部分は14.21%(10%+0.21%+4%)、超える部分は20.315%

軽減税率の特例は、3,000万円の特別控除と重ねて使えます。6,000万円の線は控除を差し引いた後の金額で引くので、1人で使う場合、売却益が9,000万円までなら、控除後の部分すべてに14.21%がかかる計算です。

所有期間は、売った日ではなく、売った年の1月1日時点で数えます。

仮の例: 2021年3月10日に取得した住戸

2026年中に売ると、2026年1月1日時点の所有期間は4年9か月余りで「5年以下」(39.63%)

2027年1月1日以降に売ると、2027年1月1日時点で5年9か月余りとなり「5年超」(20.315%)

2026年12月31日に売った場合も、判定は2026年1月1日時点なので「5年以下」です。

売却益が3,000万円を超えそうなら、売る年を1年ずらすだけで税率が下がる場合があります。売り出す前に、登記事項証明書や売買契約書で取得日を確かめておきます。

マイホーム売却の3000万円特別控除|要件・節税額・住宅ローン控除との比較 マイホーム売却の3000万円特別控除|要件・節税額・住宅ローン控除との比較

出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例 出典: 国税庁 No.3308 共有のマイホームを売ったとき 出典: 国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算 出典: 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 出典: 国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 出典: e-Gov法令検索 地方税法(附則第34条の3)

譲渡価額1億円を超えると使えない買換え特例

住み替えでは、「特定の居住用財産の買換え特例」も使えます。売却益にかかる税金を、次の家を売るときまで繰り延べる特例です。

主な要件は次のとおりです(令和9年12月31日までの売却が対象)。

  • 売った年の1月1日時点で所有期間が10年を超え、居住期間が10年以上
  • 売却代金(譲渡価額)が1億円以下
  • 売った年の前年から翌年までの3年の間に買い換え、決まった期限までに住む
  • 買い換える住戸の床面積が50㎡以上
  • 中古のマンション(耐火建築物)を買うなら、取得の日以前25年以内の建築か、一定の耐震基準を満たす
  • 新築を買って令和6年以降に住むなら、一定の省エネ基準を満たす住宅である

タワマンの住み替えで壁になるのが、1億円以下という要件です。都心のタワマンは売却額が1億円を超えることもあり、その場合はこの特例の対象外です。

また、この特例は税金が消えるのではなく、繰り延べられる仕組みです。国税庁の例では、1,000万円で買った家を5,000万円で売り、7,000万円の家に買い換えたあと、その家を8,000万円で売ると、実際の値上がり1,000万円に、繰り延べた4,000万円を足した5,000万円が売却益として課税されます。

3,000万円の特別控除と買換え特例は、どちらか一方を選ぶ関係です。考える順番は、売却益が3,000万円以内なら3,000万円の特別控除。超える場合で、所有と居住が10年を超え、売却代金が1億円以下なら、買換え特例と比べます。

出典: 国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例

新居の住宅ローン控除と併用できない組み合わせ

もう1つ気をつけたいのが、新居の住宅ローン控除との関係です。

新居に住み始めた年(居住年)と、その前2年・後3年の計6年間に、3,000万円の特別控除、軽減税率の特例、買換え特例などを受けると、新居は住宅ローン控除の対象から外れます。この6年間の決まりは令和2年4月1日以後の譲渡からで、それより前の譲渡は居住年と前後2年の計5年間でした。

どちらを選ぶかは、次の2つの額を比べて決めます。

  • 特例を使ったときに減る、売却益の税金
  • 住宅ローン控除で戻ってくる税金の合計

仮の例: 2026年に新築のZEH水準省エネ住宅へ入居する場合

住宅ローン控除の上限は年末残高等×0.7%で年24.5万円、13年間で最大318万5,000円(所得税などの額が足りる場合の上限)

売却益3,000万円(所有5年超)に3,000万円の特別控除を使うと、減る税金は約609万円(3,000万円×20.315%)

売却益500万円(所有5年超)なら、減る税金は約102万円(500万円×20.315%)

自分の場合は、売却益×税率と、住宅ローン控除の見込み額の合計を並べて比べます。

売却益が大きいタワマンでは、特例で減る税金のほうが大きくなりやすい計算です。売却益が小さい場合は、住宅ローン控除を選んだほうが手元に残るお金が増えることもあります。控除の上限は、住宅の省エネ性能や入居年、新築か中古かで変わります。

売る前に、両方の額を試算しておきます。税務署や税理士に相談すると、自分の場合にどちらが有利かを確かめられます。

出典: 国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除) 出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例

タワマン同士の住み替えの進め方

タワマン同士の住み替えは、新築を買うか、中古を買うかで進め方が変わります。

まず今のタワマンがいくらで売れるかを確かめ、そのうえで売る時期と順番を決めます。

今のタワマンの売却額を同じ棟の成約事例で確かめる

住み替えの計画は、今のタワマンがいくらで売れるかから始まります。

タワマンは住戸数が多いため、同じ棟の過去の成約事例がたくさんあります。普通のマンションより売却額の見通しを立てやすい点は、タワマンの強みです。

成約事例は、次の4つをそろえて比べます。

  • 階数(高い階ほど高い)
  • 向き(眺望や日当たり)
  • 専有面積
  • 成約した時期

不動産会社に査定を頼むときは、査定額の根拠になった同じ棟の事例を聞きます。複数の会社に頼み、事例の選び方を比べると、売却額の幅がつかめます。周辺の成約価格は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」でも調べられます。

同じ棟で売り出しが重なっている時期は、比べられて値下げを求められやすくなります。売り出し中の住戸の数を見て、売り出す時期を決めます。

タワマンを高く売るための進め方は、次の記事で詳しく扱っています。

タワマン売却で高く売る方法|違いと売り時 タワマン売却で高く売る方法|違いと売り時

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ

新築タワマンは引渡しまでの期間から売る時期を決める

新築のタワマンを買う場合、契約から引渡しまで1年以上、長いと数年かかることがあります。建物が完成する前に販売が始まるためです。

この場合、今の家を売る時期がかなめになります。

  • 早く売りすぎると、引渡しまで仮住まいが必要になる
  • 遅すぎると、今の家と新居のローンが重なる

そこで、引渡しの時期から逆算して、今の家の売り出しを始めます。売却には数か月かかることが多いので、引渡しの半年ほど前から準備を始めるのが目安です。

もう1つ気をつけたいのが金利です。住宅ローンの金利は、契約したときではなく、引渡しでお金を借りるとき(融資の実行時)の金利が使われるのが基本です。住宅金融支援機構は、フラット35とほとんどの民間ローンは実行時の金利が適用されると説明しています。契約から引渡しまでに金利が上がると、返済額も増えます。少し上がっても払える資金計画にしておきます。

契約時に払う手付金は、価格の1割前後とする例が多いとされます。どの資金から出すかも決めておきます。

完成前の物件を売主の不動産会社から買う場合、手付金などが代金の5%を超えるか1,000万円を超えるときは、売主は銀行などの保証や保険で返還を守る措置を講じたうえで受け取る決まりです(宅地建物取引業法41条)。措置が講じられていなければ、買主は手付金などの支払いを拒めます。1億円の新築で1割の1,000万円を払うなら、この保全の対象です。契約のときに、保証書などの書面を受け取ったかを確かめます。

出典: 住宅金融支援機構 金利の決定時期は?(【フラット35】) 出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(第41条) 出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法施行令(第3条の5)

中古タワマンは資金に合わせて売り先行か買い先行かを選ぶ

中古のタワマンを買う場合は、今の家を先に売る「売り先行」か、先に買う「買い先行」かを選びます。

売り先行は、売却額が決まってから次の家を買うので、資金計画が立てやすい方法です。その代わり、次の家が見つかる前に売れると、仮住まいが必要になります。

買い先行は、気に入った住戸をすぐに押さえられる方法です。タワマンは同じ棟でも条件のよい住戸が限られるので、出たときに動けるのは大きな利点です。その代わり、今の家が売れるまでローンが重なることがあります。住み替えローンやつなぎ融資を使う方法もあり、審査や金利の条件を先に確かめておきます。

選ぶ基準は資金です。

状況向いている順番
二重の支払いに耐える手持ち資金が少ない売り先行
資金に余裕があり、欲しい住戸が決まっている買い先行

今の家の売却額の見通しと、自己資金の額から、どちらにするかを決めます。

売り先行・買い先行はどちら?住み替えで損しない選び方と実践テクニック 売り先行・買い先行はどちら?住み替え(買い替え)で損しない選び方と実践テクニック

まとめ:タワマン住み替えは手取りと積立金の将来で選ぶ

タワマンからタワマンへの住み替えで資産が増えるのは、売却益を特例で確定させる、手取りで借入を減らす、値下がりしにくい物件へ移る、の3つのどれかが起きたときです。同じ相場の中で売って同じくらいの物件を買うと、値上がり分は次の物件の価格に吸収されます。

次の一歩は、移る先の候補が決まったら、長期修繕計画と重要事項調査報告書を取り寄せ、修繕積立金の将来の月額で住居費を計算することです。ここを飛ばして今の月額だけで返済計画を立てると、数年後の値上げで毎月の支払いが計画を上回り、資産形成のつもりの住み替えが家計の重荷に変わります。

あわせて、今の家の取得日と売却益の見込みを確かめ、3,000万円の特別控除・買換え特例・住宅ローン控除のどれを使うかを、売り出す前に決めておきましょう。住み替えのトビラでは、タワマン同士の住み替えで資産を増やす条件や修繕積立金の将来の確かめ方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。