低層マンションへの住み替え|タワマンから移る前に知りたい費用と資産性

低層マンションへの住み替え|タワマンから移る前に知りたい費用と資産性

タワマンの暮らしにも慣れたけれど、朝のエレベーター待ちや高い管理費が気になってきた。静かな住宅地の低層マンションに移りたいものの、管理費は本当に下がるのか、将来売るときに困らないかが気になる。そんな人に向けた記事です。

先に答えを書きます。低層マンションへ移ると、静かな環境と出入りのしやすさは手に入りやすくなります。一方で、管理費と修繕積立金は戸数が少ない分、面積あたりではタワマンと同じくらいかかることがあり、国の調査と目安もその傾向を示しています。

この記事では、低層マンションに移るメリット、管理費と修繕積立金の仕組み、資産性の見極め方、選ぶときの注意点、進め方を、国の資料の数字と確かめ方と一緒に見ていきます。

タワマンから低層マンションに住み替えるメリット

低層マンションには、法律で決まった定義はなく、一般には3〜5階建てくらいのマンションを指します。この記事で扱うのは、タワマンの低い階ではなく、建物そのものが低いマンションです。

タワマンから移ると暮らしの何が変わるのかを、4つの点から見ていきます。

周りの環境と日当たりが変わりにくい

低層マンションには、「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「田園住居地域」という、低い住宅のための地域に建つ物件も多くあります。

この3つの地域では、建築基準法で建物の高さが原則10mまたは12m(どちらにするかは地域ごとの都市計画で決まる)までに制限されています。そのため、周りに高いビルやマンションが建ちにくく、日当たりや風通し、静かな環境が長く保たれやすくなります。

タワマンが建つ駅前や湾岸のエリアは、再開発が続き、景色や人の流れが変わりやすい場所です。低層の住宅地は規制で街並みが守られるので、10年後、20年後の環境も今に近い形で見通しやすくなります。

用途地域は、自治体の都市計画図で調べられます。物件の場所と周りの土地の用途地域をあわせて見ておくと、隣に高い建物が建つ余地があるかも分かります。

出典: e-Gov法令検索 建築基準法(第55条) 出典: 国土交通省 みんなで進めるまちづくりの話(用途地域)

エレベーター待ちがなく出入りしやすい

タワマンから低層マンションに移ると、まず変わるのが出入りのしやすさです。

タワマンでは、朝の通勤時間にエレベーターが混み、地上に出るまで数分かかることもあります。忘れ物を取りに戻るのも、ちょっとした外出も、エレベーター待ちが前提です。

低層マンションなら、エレベーターがあっても待つ人は少なく、階段でも上り下りできます。子ども連れの外出も、ゴミ出しも、宅配の受け取りも気軽になります。

出かけるのがおっくうでなくなると、散歩や近所の買い物が増え、暮らしのテンポが変わります。毎日のことなので、住み比べると差を感じやすい点です。

住民の顔が分かる規模で暮らせる

低層マンションは、総戸数が数十戸ほどの小さな規模の物件が多く見られます。

戸数が少ないと、住民どうしが顔を覚えやすくなります。エントランスであいさつができ、知らない人が出入りすれば気づきやすくなります。子育て中の家庭や、一人暮らしの高齢者には安心材料になります。

管理組合の運営でも、規模の小ささは利点です。1戸の議決権が同じ重さだとすると、30戸のマンションでは1戸の票が全体の30分の1、300戸なら300分の1です。数十戸なら一人ひとりの意見が議決に届きやすく、修繕や規約の見直しにも関わりやすくなります。

その分、住民どうしの距離が近く、付き合いの濃さを負担に感じる人もいます。自分に合う距離感かを考えておきます。

揺れや停電に備えやすい

災害への備えでも、低層マンションには利点があります。

気象庁は、建物には揺れやすい周期(固有周期)があり、高層ビルの固有周期は低い建物より長いため、大きな地震で生じる周期の長い揺れ「長周期地震動」と共振しやすいと説明しています。共振すると高層ビルは長い時間大きく揺れ、高い階ほど揺れが大きくなる傾向があります。低層マンションは気象庁の説明でいう「低い建物」の側で、この共振の影響を受けにくい建物です。

また、停電するとタワマンではエレベーターが止まり、高い階の住民は階段で上り下りすることになります。水や食料を運ぶのも一苦労です。低層マンションなら、停電中も階段で外に出られ、買い物や避難もしやすくなります。

建物の安全性は、階数のほかに、耐震基準や地盤、浸水の恐れでも変わります。国土交通省のハザードマップポータルサイトで、土地の災害の恐れもあわせて確かめておきます。

出典: 気象庁 長周期地震動とは? 出典: 国土交通省 ハザードマップポータルサイト

低層マンションの管理費と修繕積立金が決まる仕組み

タワマンから低層マンションに移ると、管理費や修繕積立金が安くなると思われがちです。

正直に言うと、安くなる部分と、高くなりやすい部分の両方があります。管理費と修繕積立金がどう決まるかを知ると、その両方が見えてきます。

戸数が少ないと1戸あたりの負担が上がりやすい

管理費と修繕積立金は、マンション全体でかかる費用を、各住戸の持分(多くは専有面積の割合)に応じて分けて決まります。

ここで影響するのが戸数です。管理員の人件費、清掃、エレベーターや消防設備の点検などの費用は、戸数が少なくても一定額かかります。その費用を少ない戸数で分けるので、1戸あたりの負担は重くなりやすくなります。

国土交通省の令和5年度マンション総合調査でも、この傾向が数字に出ています。駐車場などの使用料からの充当を除いた管理費の平均を、総戸数の規模別に抜き出すと次のとおりです。

総戸数1㎡あたり月額の平均1戸あたり月額の平均
20戸以下176.2円14,282円
21〜30戸178.7円13,948円
501戸以上164.7円12,929円
全体158.6円11,503円

30戸以下のマンションは、面積あたりで全体の平均を1割ほど上回り、501戸以上の大規模マンションよりも高い水準です。国土交通省も、使用料からの充当を含む1戸あたりの管理費は、総戸数の規模が大きくなるほど低くなる傾向にあるとまとめています。途中の規模では上がり下がりがあり、戸数のほかに設備や管理の形でも額は変わります。

比べるときは、月額に加えて、専有面積1㎡あたりの額で今のタワマンと比べると分かりやすくなります。

面積あたりの管理費の出し方

面積あたりの管理費(円/㎡)=管理費の月額÷専有面積

出典: 国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果(管理組合向け調査の集計・分析結果)(表27⑥・27⑦) 出典: 国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果〔概要編〕

タワマン特有の設備の費用がなくなる

一方で、低層マンションでは、タワマンだけにかかる費用がなくなります。

タワマンには、次のような設備やサービスがあり、その費用が管理費や修繕積立金に乗っています。

  • 高速エレベーターの保守と交換
  • 外壁の修繕に使うゴンドラ
  • 非常用の発電機や給水ポンプ
  • ラウンジ、ジム、ゲストルームなどの共用施設
  • コンシェルジュなどのサービス

国土交通省の修繕積立金のガイドラインも、地上20階以上の超高層マンションは外壁などの修繕に特殊な足場が要り、共用部分の割合も高いため、修繕工事費が増える傾向があると説明しています。低層マンションでは、これらの多くが省かれるか、規模が小さくなります。外壁の修繕も、足場を組んで行えるので、タワマンほど特殊な工事にはなりにくくなります。

ただし、機械式駐車場がある低層マンションは、その修繕や入れ替えに大きな費用がかかります。同じガイドラインでは、機械式駐車場の修繕工事費を1台あたり月4,645〜7,210円(機種による)とし、修繕積立金の目安に別に足す考え方を示しています。駐車場の形式と台数も確かめておきます。

出典: 国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)

修繕積立金の目安はタワマンと同じ水準

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、地上の階数と建築延床面積ごとに、修繕積立金の目安が示されています。目安は、長期修繕計画の計画期間全体で積み立てる額の平均を、専有面積1㎡あたりの月額にしたものです(機械式駐車場の分は除く)。

区分平均値(円/㎡・月)事例の3分の2が収まる幅(円/㎡・月)
20階未満・延床面積5,000㎡未満335円235〜430円
20階未満・5,000㎡以上10,000㎡未満252円170〜320円
20階未満・10,000㎡以上20,000㎡未満271円200〜330円
20階未満・20,000㎡以上255円190〜325円
20階以上338円240〜410円

延床面積5,000㎡未満の小さなマンションの平均は335円で、20階以上のタワマンの338円とほぼ同じです。中くらいの規模の252円と比べると、約3割高い水準です。「低層だから積立金が安い」という思い込みは、この表で崩れます。小さなマンションは修繕にかかる費用を少ない戸数で負担するため、面積あたりではタワマンと同じくらいの積立金が必要になります。

建物の延床面積は、物件の資料や登記事項証明書(一棟の建物の床面積)で確かめられます。

モデルケース(仮定): 20階未満・延床面積5,000㎡未満のマンションで、専有面積70㎡の住戸

  • 平均値で計算: 70㎡×335円=月23,450円
  • 3分の2が収まる幅で計算: 70㎡×235円=16,450円〜70㎡×430円=30,100円
  • あなたの物件では「専有面積×その区分の単価」に置き換えて計算します

目安と比べるのは、今の月額ではなく、長期修繕計画の計画期間全体の平均です。ガイドラインでは、計画期間の初めの積立金の残高、計画期間に集める積立金の総額、使用料などからの繰入額の総額を足し、マンション全体の専有面積と計画期間の月数で割って出します。当初の額を抑えて段階的に値上げする「段階増額積立方式」の物件は、今の月額が低く見えるので、この計算で比べ直します。

今の積立金が目安を大きく下回る物件は、将来の値上げを見込んで予算を立てます。

出典: 国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)

長期修繕計画と積立金の残高を確かめる

小さなマンションは、積立金の総額も小さくなります。大規模修繕の費用が足りないと、1戸あたりの一時金や値上げの額が大きくなりがちです。

買う前に確かめたいのは、次の5つです。

  • 長期修繕計画があり、見直されているか
  • 今、積立金がいくら貯まっているか
  • 管理組合に借入金があるか
  • 管理費や積立金の滞納があるか
  • 次の大規模修繕はいつで、費用をまかなえるか

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、計画期間を30年以上で大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とし、5年程度ごとに見直すことを前提にしています。計画の作成年月が古い物件は、積立金の額も古い前提のまま据え置かれていることがあります。

5つとも、管理会社が出す書面でおおむね確かめられます。国土交通省のマンション標準管理委託契約書では、売却の仲介を頼まれた不動産会社が求めたとき、管理会社が管理組合に代わって、管理費・修繕積立金の額と滞納額、借入金の残高、長期修繕計画の有無、修繕の実施状況などを開示する形になっています。この書面は、マンション管理業協会のガイドラインで「重要事項調査報告書」と呼ばれており、買う側は仲介会社を通じて見せてもらえます。

売買の契約前に受ける重要事項の説明でも、修繕積立金の規約の内容とすでに積み立てられている額、通常の管理費の額が説明される決まりです。

数十戸のマンションでは、数戸の滞納でも管理組合のお金に響きます。滞納の有無は、小さなマンションほど大事な確認点です。

出典: 国土交通省 長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定) 出典: 国土交通省 マンション標準管理委託契約書の改正(令和7年12月12日)(第15条・別表第5) 出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法施行規則(第16条の2)

低層マンションの資産性を見極めるポイント

低層マンションは住み心地の良さが魅力ですが、将来売るときのことも考えておきます。

低層マンションならではの弱点を先に知っておくと、売りやすい物件を選べます。ここでは、資産性を見極めるポイントを3つ紹介します。

駅からの距離と生活の便利さ

低層住居専用地域では、建てられる建物の種類も建築基準法で制限されています。店舗について見ると、次のとおりです。

  • 第一種低層住居専用地域: 店舗は、住まいを兼ねた小さな店(延べ面積の半分以上が住まいで、店の部分が50㎡以下)に限られます
  • 第二種低層住居専用地域: 上に加えて、日用品の店や喫茶店などで、店の部分が150㎡以内のもの(店の部分は2階以下)が建てられます

どちらの地域でも、大きなスーパーや大型の飲食店は建ちにくくなっています。静かな環境の裏返しとして、買い物や外食が不便になることがあります。また、低層の住宅地は、駅から離れた場所に広がっていることも多くあります。

将来売るとき、買い手が重視するのは駅からの距離と生活の便利さです。駅から遠い、坂が多い、スーパーまで遠いといった条件は、売るときの価格や売れるまでの期間に響きます。

選ぶときは、駅までの距離に加えて、最寄りのスーパーや病院までの道のりを、実際に歩いて確かめます。

出典: e-Gov法令検索 建築基準法(第48条・別表第二) 出典: e-Gov法令検索 建築基準法施行令(第130条の3・第130条の5の2) 出典: 国土交通省 みんなで進めるまちづくりの話(用途地域)

土地の持分と建て替えの制限

マンションを買うと、住戸と一緒に、敷地の土地の持分も手に入ります。

低層住居専用地域のように容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)の上限が低い地域では、同じ広さの土地に建てられる床面積が少ないため、1戸あたりの土地の持分は大きくなりやすくなります。建物は古くなると価値が下がりますが、土地は価値が残りやすいので、土地の持分の大きさは資産性の支えになります。

土地の持分は、登記事項証明書の表題部にある「敷地権の表示」の敷地権の割合で確かめられます。登記事項証明書は、法務局の窓口のほか、オンラインで請求して郵送で受け取ることもできます。

一方で、気をつけたい点もあります。建築基準法では、規制ができる前から建っていて今の規制に合わない建物も、そのまま使い続けられます(いわゆる既存不適格)。ただし、建て替えでは今の容積率や高さの制限に合わせる必要があるため、今の規制より大きく建っている古いマンションは、建て替えると今より小さな建物になることがあります。

建て替えそのものにも、区分所有者と議決権の各5分の4以上の賛成による建替え決議が要ります。2026年4月1日施行の改正で、耐震性の不足など一定の場合は4分の3以上で決められるようになりました。また、耐震性の不足などで「要除却等認定」を受けたマンションの建て替えでは、敷地が一定の広さ以上で特定行政庁が許可した場合に、容積率や高さの上限を超えて建てられる特例があります。

気になる物件は、延床面積を敷地面積で割った値と、今の指定容積率を比べると見当がつきます。共同住宅の共用の廊下や階段は容積率の計算から除く決まりがあるので、比べた結果は目安と考え、仲介会社や自治体の建築の窓口で確かめます。

出典: e-Gov法令検索 建築基準法(第3条・第52条) 出典: e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(第62条) 出典: e-Gov法令検索 マンションの再生等の円滑化に関する法律(第163条の59) 出典: e-Gov法令検索 不動産登記法(第44条) 出典: 法務局 登記事項証明書(土地・建物)、地図・図面証明書を取得したい方

成約事例が少なく相場をつかみにくい

低層マンションは戸数が少ないため、同じマンションで売り出される住戸も、過去に売れた事例も限られます。

タワマンなら、同じ棟の成約事例を見れば、おおよその相場が分かります。低層マンションは比べる事例が少ないため、不動産会社によって査定額が大きく分かれることがあります。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、2種類の価格を無料で見られます。

  • 取引価格情報: 国土交通省が取引の当事者に行うアンケート調査の結果を、物件が特定できないよう加工したもの
  • 成約価格情報: 指定流通機構(レインズ)が持つ成約の情報を、国土交通省が加工したもの

どちらも所在地は町名までの表示で、マンション名は伏せられています。その代わり、取引価格情報には用途地域の欄があり、「1低住専」(第一種低層住居専用地域)などで絞ると、近くの低層住宅地の中古マンションの取引を拾えます。

相場をつかむ方法は、次の3つです。

  • 近くの似た規模・築年数のマンションの成約事例を見る
  • 不動産情報ライブラリで、用途地域と築年数が近い取引価格と成約価格を調べる
  • 複数の不動産会社に査定を頼み、根拠の事例を比べる

買うときも同じで、売り出し価格が相場に合っているかを判断しにくくなります。複数の資料で幅を確かめてから判断します。

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の制度や用語の説明」

低層マンションを選ぶときの注意点

低層マンションには、タワマンにはなかった注意点もあります。

住んでから気づくと困るものを、確かめ方と一緒に4つ見ていきます。

エレベーターの有無と老後の上り下り

3階建てくらいの低層マンションには、エレベーターが付いていない物件もあります。建築基準法で設置が義務づけられているのは、高さ31mを超える建物の非常用エレベーターで、3〜5階建ての低層マンションはこの高さより低い建物です。

今は階段が苦にならなくても、年を重ねると負担になります。買い物の荷物を持って3階まで上がる、足をけがしたときに外出する、といった場面を想像してみます。老後の住まいとして選ぶなら、エレベーターの有無は大事な確認点です。

エレベーターを後から付けるのは、区分所有法の「共用部分の変更」にあたり、集会の決議が要ります。2026年4月1日施行の改正で、決議は出席した区分所有者と議決権の各4分の3以上(改正前は全体の各4分の3以上)となり、高齢者などの移動の負担を軽くするための変更は各3分の2以上で決められるようになりました。それでも、工事の費用と置き場所の確保で、住民の合意には時間がかかります。

エレベーターなしマンションの階段がつらい|住み替えの見極め方 エレベーターなしマンションの階段がつらい|住み替え(買い替え)の見極め方

長く住むつもりなら、エレベーターがある物件か、1階や2階の住戸を選ぶと安心です。

出典: e-Gov法令検索 建築基準法(第34条) 出典: e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律(第17条)

1階住戸の専用庭と湿気・防犯

低層マンションの1階住戸には、専用庭が付いていることがあります。

専用庭は、自分の住戸だけが使える庭です。ただ、庭を所有しているのではなく、敷地や共用部分の一部を特定の区分所有者だけが使える権利(専用使用権)を持っている形です。国土交通省のマンション標準管理規約では、1階に面する庭について専用使用権を持つ人は、管理組合に専用使用料を納めると定めています。物を置く、木を植えるといった使い方の決まりは、物件ごとの使用細則で決められます。

1階住戸では、次の点にも気をつけます。

  • 地面に近く、湿気がこもりやすい
  • 虫が入りやすい
  • 外から部屋の中が見えやすい
  • 窓からの侵入への備えが要る

見学のときは、晴れの日に加えて雨の日の様子や、押し入れのカビ、窓の防犯設備を確かめます。

出典: 国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(令和7年10月17日改正)(第14条・別表第4)

理事の順番と管理の形

小さなマンションでは、管理組合の理事の順番が早く回ってきます。令和5年度マンション総合調査では、役員を順番で選ぶ管理組合が78.3%(複数回答)で、任期は1年が57.1%、2年が38.1%でした。

順番が回ってくる間隔は、戸数と、1年に交代する役員の人数で見当がつきます。

回ってくる間隔(年)≒総戸数÷1年に交代する役員の人数

  • 例(仮定): 30戸・役員5人・任期1年で毎年全員交代→30÷5=6年に1回
  • 例(仮定): 300戸・役員15人・任期1年で毎年全員交代→300÷15=20年に1回
  • 全戸が同じ順番で回る前提の計算です。役員を免除される住戸があれば、間隔はもっと短くなります

理事になると、総会の準備や修繕の検討で、時間を取られることもあります。役員の人数と選び方(輪番制かどうか)は、標準管理委託契約書で管理会社が開示する事項にも入っているので、買う前に仲介会社を通じて確かめられます。

あわせて、管理の形も確かめておきます。同じ調査では、管理事務の全てを管理会社に任せている管理組合が72.9%、一部を任せているのが9.8%、全てを管理組合が自分たちで行っているのが5.2%でした。

  • 管理会社に全部任せているか、一部だけか
  • 管理員は常駐か、決まった日に来る巡回か
  • 住民が自分たちで管理しているか

住民が自分たちで管理している場合は、理事の負担が大きく、管理の質にもばらつきが出やすくなります。

出典: 国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果(管理組合向け調査の集計・分析結果)(表10⑥・10⑧・43①) 出典: 国土交通省 マンション標準管理委託契約書の改正(令和7年12月12日)(別表第5)

壁式構造で間取りを変えにくい

5階建て以下のマンションには、「壁式構造」で建てられた物件があります。壁式鉄筋コンクリート造は、国の告示で地上の階数が5以下、軒の高さが20m以下と決められており、低層の建物で使われる作りです。

壁式構造は、柱や梁ではなく、壁で建物を支える作りです。部屋に柱の出っ張りが少なく、すっきりした空間になるのが利点です。その代わり、建物を支える壁は取り壊せないため、リフォームで間取りを大きく変えることが難しくなります。

柱と梁で建物を支える作りのマンションなら、室内の壁を取り払って広いリビングにするリフォームがしやすい場合があります。低層マンションに移ってからリフォームを考えている人は、ここが分かれ目になります。

購入前に図面で構造を確かめ、リフォームの希望がかなうかを、不動産会社やリフォーム会社に聞いておきます。

出典: 国土交通省 平成13年国土交通省告示第1026号(壁式鉄筋コンクリート造の構造方法の基準)

タワマンから低層マンションへの住み替えの進め方

タワマンから低層マンションへの住み替えは、売る物件と買う物件の性質が大きく違います。

まずタワマンの売却額から予算を決め、そのうえで売り出しの少ない低層マンションを探します。

タワマンの売却額から予算を決める

住み替えの予算は、今のタワマンがいくらで売れるかで決まります。

タワマンは同じ棟で売買される住戸が多く、成約事例を集めやすい物件です。複数の不動産会社に査定を頼み、同じ棟の事例を根拠に、売却額の幅を確かめます。

タワマン売却で高く売る方法|違いと売り時 タワマン売却で高く売る方法|違いと売り時

売却額が分かったら、手元に残るお金を計算します。

手取りの計算式

手取り=売却額−住宅ローンの残り−仲介手数料−税金−諸費用

この手取りに自己資金と借入を足したものが、次の住まいの予算です。タワマンが買ったときより高く売れた場合は、売却益(譲渡所得)に税金がかかることがあります。マイホームを売ったときは、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があるので、使えるかを先に確かめておきます。

マイホーム売却の3000万円特別控除|要件・節税額・住宅ローン控除との比較 マイホーム売却の3000万円特別控除|要件・節税額・住宅ローン控除との比較

出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例

売り出しが少ない物件の探し方

低層マンションは戸数が少ないため、希望のエリアで売り出される住戸も限られます。

探すときは、次の順で進めます。

  1. 住みたいエリアと、駅からの距離などの条件を決める
  2. 不動産ポータルサイトで新着の通知を設定する
  3. 仲介会社に希望の条件を伝え、売り出しがあれば知らせてもらう
  4. 住宅ローンを使うなら、金融機関の事前審査を早めに受けておく

条件に合う物件が出たら、すぐに見学して判断できるよう準備しておきます。

あわせて、今のタワマンを先に売るか、次の家を先に買うかも決めておきます。買い先行は、気に入った物件が出たときに動きやすい一方、今の住まいが売れるまで支払いが重なることがあります。資金に余裕が少なければ、売り先行で進めます。

売り先行・買い先行はどちら?住み替えで損しない選び方と実践テクニック 売り先行・買い先行はどちら?住み替え(買い替え)で損しない選び方と実践テクニック

まとめ:低層マンションは環境と費用・資産性の両方で選ぶ

低層マンションに移ると、静かな環境と出入りのしやすさは手に入りやすくなります。一方で、管理費と修繕積立金は戸数が少ない分、面積あたりではタワマンと同じくらいかかることがあり、国の修繕積立金の目安も延床面積5,000㎡未満で335円、20階以上で338円とほぼ同じ水準です。

次の一歩は、気になる物件が出たら、仲介会社を通じて重要事項調査報告書と長期修繕計画を取り寄せ、積立金の残高、滞納、借入金を確かめることです。ここを飛ばすと、買った後の値上げや一時金で、住み替えの予算が崩れることがあります。

あわせて、物件の用途地域、延床面積、敷地権の割合も確かめてみましょう。住み替えのトビラでは、低層マンションの費用の仕組みや資産性の見極め方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。