タワマンを売るとき、一般のマンションと同じ売り方でよいのかに迷いが出ます。
タワマンは同じ棟の中で売り出しが重なるので、棟の動きと築年数を確かめてから売る月を選ぶと、値を下げずに済みます。
一般のマンションと違う3つの前提と、売る時期の見きわめ方、任せる会社の選び方を説明します。
タワマン売却は難しい?一般のマンションと違う3つの前提
タワマンは売れないのではなく、価格の決まり方・維持費・競合の起き方が一般マンションと違うだけです。
まず押さえたいのは3つの前提です。同じ棟でも部屋によって価格が大きく変わること、管理費や修繕積立金が高めで買い手の負担になりやすいこと、そして同じ棟の中で売り出しが重なりやすいこと。この3点を先に知っておくと、後の判断がぶれにくくなります。
同じ棟でも部屋によって価格が大きく変わる
同じタワマンでも、階数や向き、眺望によって価格差は大きくなります。
価格を左右する主な要因は次のとおりです。
- 階数(高層ほど価格が上がりやすい)
- 向き(南向き・角部屋などの条件)
- 眺望(開けているか、抜けているか)
- 立地(駅からの距離、周辺環境)
- ブランド(分譲会社やシリーズの知名度)
- 築年数
一般のマンションでもこれらの要因は効いてきますが、タワマンでは差がより大きく出やすくなります。理由の一つは、階数のレンジが広いことです。低層階から40階、50階といった高層まで幅があると、その分だけ価格の開きも生まれます。
もう一つは眺望プレミアムです。高層階からの見晴らしそのものに価値がつくため、同じ間取り・同じ広さでも上の階と下の階で評価が変わります。階数が上がるごとにいくら高くなるか、といった目安はよく語られますが、上がり方は物件や立地によって差が大きく、一律には決まりません。自分の部屋がどの条件に当てはまるかを、まず整理しておくと考えやすくなります。
管理費・修繕積立金が高く買い手の負担になりやすい
タワマンは維持費が高めで、買い手は購入価格に月々の負担を合わせて判断します。
高くなりやすいのは、共用施設や設備が充実しているためです。ラウンジやゲストルーム、フィットネス、コンシェルジュサービスなど、暮らしの快適さを支える設備が多いほど、その維持にお金がかかります。高層階へ運ぶエレベーターや、防災・セキュリティの設備も維持費を押し上げる要因です。
買い手の目線に立つと、毎月の管理費と修繕積立金は住宅ローンの返済に上乗せされる固定的な支出です。水準を見ておくと、自分の物件が高めかどうかを判断できます。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、管理費の月/戸あたり平均が1万1,503円(使用料等からの充当額を除く系統)ですが、20階建以上のマンションに限ると1万4,415円で、全体より約2,900円高くなります。修繕積立金は全体平均で月/戸あたり1万3,054円です。国土交通省のガイドラインが示す修繕積立金の目安も、20階未満(延床面積5,000平方メートル未満)が1平方メートルあたり月335円なのに対し、20階以上は338円で、事例の3分の2がおさまる幅は240〜410円と上側に広がります。
修繕積立金は、あとから引き上げられる方式をとる物件が少なくありません。ただし、完成年次が古いほど高いわけではありません。同じ調査では、平成7〜16年完成が1万4,317円で最も高く、平成27年以降が1万1,405円で最も低くなっています。新しい物件ほど、はじめ低く設定してあとから上げる段階増額積立方式を採っているためです。実際の金額は物件によって幅が大きいため、自分の物件の管理費・修繕積立金がいくらかを、資料で確認しておくと安心です。
管理費・修繕積立金は、買う側の借入可能額にも効いてきます。毎月の返済に回せる額が同じでも、管理費が高ければその分だけローンに回せる額が減るからです。前提にする金利は、【フラット35】2026年8月適用の年3.290%(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)です。
| 返済期間 | 年3.290%のときの借入可能額 | 年4.290%のときの借入可能額 |
|---|---|---|
| 35年 | 2,492.4万円 | 2,172.3万円 |
| 25年 | 2,043.2万円 | 1,838.3万円 |
毎月返済額を10万円に固定して元利均等で計算した場合の額です。金利が1.0ポイント上がるだけで、35年ではおよそ320万円下がります。管理費・修繕積立金が月1万円高い物件は、返済に回せる額が月1万円減るのと同じことなので、この表の1割ぶん借入可能額が下がる計算になります。金利は毎月変わるため、実際の借入時の金利で確認してください。
同じ棟の中で売り出しが重なると競合が起きやすい
タワマンは戸数が多く、条件の似た住戸が並ぶため、同じ棟の中で競合が起きやすくなります。
一般のマンションと比べて起きやすいのには、はっきりした理由があります。戸数が多ければ、それだけ同じ時期に売却を考える人が出てくる確率も高まります。タワーマンション1棟あたりの平均戸数を集計した統計は確認できていないため、何戸が標準かは示せません。自分の棟の総戸数は管理規約や登記で確かめられるので、まずそこを見てください。総戸数が多いほど、同じ時期に売り出しが重なる可能性は高くなります。
加えて、同じ棟の中には間取りや仕様がよく似た住戸がいくつもあります。買い手から見ると、比べる相手が同じ建物の中に並んでいる状態です。似た条件の部屋が複数出ていると、そのなかで相対的に見劣りする部屋は選ばれにくくなります。こうした競合が起きやすいことは、タワマンならではの構造として先に理解しておくと、後の判断に役立ちます。
タワマン売却で価格を左右するタイミングの見極め方
売り時は、自分でコントロールできる要因、つまり築年数・大規模修繕・棟内の売り出し状況・税の区切りで判断していきます。
市況や金利も動きますが、相場を先読みして待ちすぎると、かえって築年数が進んで不利になることもあります。動かせる要因を軸にして、無理のないタイミングを選ぶのが現実的です。
築浅ほど有利で築年数が進むと価格は下がりやすい
一般に、築年数が浅いほど売却では有利で、築年数が進むと価格は下がりやすくなります。
新しさそのものに価値があるため、築浅の段階では買い手の関心を集めやすく、価格も保たれやすい傾向があります。首都圏の中古マンションの成約㎡単価(2025年・東日本不動産流通機構)を見ると、築0〜5年の143.64万円から築11〜15年で114.11万円、築21〜25年で86.10万円、築31〜35年で44.14万円と下がり、築36〜40年の40.40万円で底になります。「築20年前後で下がりやすい」という区切りは、この数字には現れません。下落は築浅から連続して起きていて、下落幅が最も大きいのは築21〜25年から築31〜35年にかけての区間です。なお、これはタワーマンションに限った集計ではなく、首都圏の中古マンション全体の値で、同じ物件を追いかけた数字でもありません。
相場全体がどう動いているかは、公的な指標で確認できます。国土交通省は全国の取引価格をもとにした不動産価格指数を毎月公表しており、マンションの価格が全体としてどう推移してきたかを見られます。ただし、これは過去から現在までの動きを示すもので、これから上がるか下がるかを言い当てるものではありません。将来の相場を読んで待つより、自分の物件の築年数という動かせる条件を見て判断するほうが確かです。
出典: 国土交通省 不動産価格指数
大規模修繕の前後で売りやすさが変わる
大規模修繕を控えているか、終えたばかりかによって、買い手からの見え方は変わります。
大規模修繕は、外壁や防水、共用設備をまとめて手入れする大がかりな工事です。実施の周期を集計した統計は本記事では示せませんが、周期は長期修繕計画に書かれています。自分の物件の計画書を管理組合から取り寄せて、次の大規模修繕がいつで、そのとき修繕積立金がどうなる見込みかを確かめてください。買い手が最も気にするのはこの2点です。
修繕の前は、買い手が「これから大きな工事があり、費用の負担が発生するのでは」と身構えやすい時期です。反対に、修繕を終えた直後は、建物がきれいに保たれ、当面は大きな工事の心配が少ないという安心感につながります。同じ物件でも、このタイミングの違いで印象は変わります。
売り手としては、自分の物件が今どの段階にあるかを確認したうえで、修繕後の安心感を活かして売るのか、修繕前に動くのかを考える材料になります。なお、大規模修繕を境に修繕積立金が引き上げられることもあり、これも買い手が月々の負担を見積もるうえで気にする点です。時期を選ぶときは、工事の予定とあわせて積立金の見通しも押さえておくと判断しやすくなります。
同じ棟の売り出し状況を確認してから時期を決める
棟内でどれくらいの部屋が売りに出ているかを確認し、競合が重なる時期は出し方を工夫すると、選択肢が広がります。
確認は、不動産ポータルサイトで自分のマンション名を検索する方法が手軽です。同じ棟から今いくつの部屋が売りに出ているか、どんな階数・価格帯で並んでいるかが見えてきます。管理組合や仲介会社を通じて、棟内の売却動向を尋ねる方法もあります。
似た条件の部屋がいくつも並んでいる時期は、無理に今すぐ出す必要はありません。急いで売り出しても、比べられて選ばれにくくなることがあります。売り出しが落ち着くのを待つ、あるいは自分の部屋ならではの条件を伝える工夫を考えるなど、状況に応じた選び方ができます。
競合が重なっているからといって、横並びで安易に値下げして決めようとするのも一つの手ではありますが、それだけが答えではありません。棟内の状況を見たうえで、下げるかどうか、いつ出すかを落ち着いて判断することが、結果として納得のいく売却につながります。
タワマンを高く売るための進め方
高く売るには、タワマン固有の事情が分かる会社を選ぶことと、タワマンの強みが伝わる見せ方をすることが要になります。
同じマンションでも、値付けの根拠や買い手への伝え方で結果は変わります。ここでは会社選びの見極め方と、内覧や写真での見せ方という2つの実践的な観点を見ていきます。
タワマン・そのエリアの売買実績がある会社を選ぶ
タワマン特有の値付けや売り方を理解している会社ほど、価格の付け方と買い手集めで差が出ます。
実績が役立つのには理由があります。同じ棟や近隣タワマンでの成約を扱った経験があれば、そのエリアの相場感を具体的につかんでいます。加えて、タワマンを探している買い手層とのつながりを持っていれば、自室の魅力を届けやすくなります。
会社を見極めるときは、次の観点で複数社を比べると違いが見えてきます。
- 対象エリアや同じ棟での取引実績があるか
- タワマンを探す買い手の見込み客を持っているか
- 査定額の根拠を具体的に説明できるか
一社だけの話を聞いて決めるのではなく、何社かに査定を依頼し、金額とあわせてその根拠の説明を比べることが大切です。似た金額でも、なぜその価格になるのかを近隣の成約事例まで示して説明できる会社は、売り出し後の動きも任せやすくなります。
眺望・共用部などタワマンの強みが伝わる見せ方にする
タワマンの魅力である眺望や共用施設が伝わる内覧・写真の演出は、価格と成約までのスピードに影響します。
高層階の眺望は、タワマンならではの大きな価値です。写真では、空が明るく街並みが見える時間帯を選び、夜景がきれいな部屋なら夜の景色も添えると、開放感が伝わります。内覧のときも、天気やカーテンの開け方に気を配り、窓の外の景色が一番よく見える状態で迎えると印象が変わります。
ラウンジやゲストルーム、フィットネスといった共用施設も、暮らしの豊かさを伝える材料です。部屋そのものだけでなく、建物全体でどんな生活ができるかが想像できると、買い手の関心は高まります。エントランスから住戸までの動線や、共用部の使い勝手も、実際の暮らしをイメージしてもらう手がかりになります。
同じ棟に似た住戸が売りに出ているときこそ、この見せ方が効いてきます。買い手が比べる相手は同じ建物の中にいるため、自室ならではの眺望や向き、階数、共用部の魅力をきちんと伝えられるかが分かれ目になります。間取りが似ていても、窓からの景色や日当たり、収納の使いやすさといった細部で印象は変わります。自分の部屋の強みを具体的に言葉と写真にして、選ばれる理由を用意しておくことが、納得のいく価格につながります。
タワマン売却でかかる税金の基本
売却して利益が出ると譲渡所得税がかかり、税率は所有期間で変わります。マイホームとして住んでいたなら、要件を満たせば大きな控除を使える場合があります。
ここでは税金の全体像を押さえます。実際の税額は取得費や譲渡費用の計算によって変わるため、正確な金額は取引の内容に応じて確認が必要です。
所有期間で税率が変わる(長期・短期)
売却益にかかる税率は、所有期間が5年を超えるか(長期)、5年以下か(短期)で分かれます。
判定の基準は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかです。実際に売買した日ではなく、その年の1月1日で数える点に注意が必要です。税率は長期と短期で次のように変わります。
| 区分 | 所有期間 | 税率(合計) |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
内訳は、長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間5年超)が所得税15%・復興特別所得税は基準所得税額の2.1%・住民税5%、短期譲渡所得(同5年以下)が所得税30%・復興特別所得税2.1%・住民税9%です。マイホームで所有期間10年超なら軽減税率の特例があり、課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分は所得税10%・住民税4%になります。復興特別所得税は、2013年から2037年まで所得税額に2.1%を上乗せするものです。
表の「20.315%」「39.63%」という合計は、この内訳から計算した数字です。法令や国税庁がその数字をそのまま掲げているわけではないので、合計だけを覚えず内訳と一緒に見てください。「およそ20%」「およそ39%」と丸めると、復興特別所得税の分(0.315ポイント・0.63ポイント)が落ちます。
所有期間が5年を超えるかどうかで税率は倍近く変わるため、売却の時期を考えるうえで大きな判断材料になります。ただし所有期間は譲渡した年の1月1日現在で判定します。取得日から譲渡日までの実日数ではないので、年末に売るか年明けに売るかで区分が変わることがあります。なお、3,000万円の特別控除で課税譲渡所得が0になる方も多くいます。税率の話に入る前に、控除で0になるかどうかを先に確かめてください。
出典: 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算/国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算
マイホームなら3000万円の特別控除が使える場合がある
住んでいたタワマンを売る場合、要件を満たせば譲渡所得から最高3000万円を差し引ける特例があります。
この特例を使えると、売却益が3000万円までなら譲渡所得税がかからない計算になります。所有期間の長短を問わず使える点も特徴です。主な要件は次のとおりです。
- 自分が住んでいた家であること
- 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 親子や夫婦など特別の関係がある人への売却でないこと
ここに挙げたのは主な要件で、実際にはほかにも条件があります。買い替えで別の特例と組み合わせる場合や、過去に似た特例を使っている場合など、適用できるかどうかは個別の事情で変わります。使えるかどうかの最終的な判断や申告の手続きは、税理士に相談すると確実です。
出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
まとめ:タワマンの売り時を棟の動きで読むなら、住み替えのトビラ
タワマンが売れにくいのではなく、同じ棟の中で売り出しが重なることが値段を押し下げます。階数や眺望が近い部屋が並ぶと、買い手は値段だけで比べます。
値段以外で見てもらうには、タワマンの取引を扱っている会社に任せます。一般の住まいと同じ売り方をされると、眺望や階数の違いが値段に反映されません。
売り出す日を決める前に、同じ棟でいくつ売りに出ているかを確かめておきましょう。住み替えのトビラでは、タワマンの売り時と棟の動きも含めて、住み替え(買い替え)で悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
住み替えのトビラ 
