マンションの収納が足りない|原因の見分け方と住み替えの判断基準

マンションの収納が足りない|原因の見分け方と住み替えの判断基準

片づけの記事を読んでも、収納グッズを買っても、物が居室に出たまま。マンションで「収納が足りない」と感じている人の多くが、その先の「住み替えるべきか」で迷っています。

先に答えを書きます。収納の不足は「面積」「奥行きと高さ」「場所」「物の量」の4つに分かれ、住み替えでしか解けないのは面積の不足だけです。しかも面積の不足でも、数㎡なら造作で埋まります。

この記事では、原因の見分け方、住み替えずに増やす5つの手、住み替えると決める基準、そして住み替え先で収納を図面から数える方法まで、順に見ていきます。

マンションで収納が足りなくなる原因

「収納が足りない」と感じたとき、まず分けたいのは、足りないのが面積なのか、奥行きと高さなのか、場所なのか、物の量なのかです。

4つのうち、住み替えでしか解けないのは面積の不足だけで、残りの3つは今のマンションで手が打てます。

収納率が低く面積そのものが足りない

収納の広さを客観的に見る物差しが「収納率」です。専有面積に対する収納面積の割合で、間取り図のクローゼット、押し入れ、物入れ、納戸の面積を足して、専有面積で割れば出ます。畳で書かれていれば、1畳を1.62㎡として換算します。畳数から面積を出すこの換算は、不動産の表示に関する公正競争規約施行規則が、畳数で広さを表示するときの畳1枚を1.62㎡以上と定めていることによります。

たとえば専有面積70㎡で、収納の合計が4.2㎡なら収納率は6%です。マンションでは8〜10%が目安といわれますが、この数字は業界で使われている慣行値で、国の基準とは別のものです。目安として使い、自分の部屋が何%かを先に出しておきます。

収納率が5〜6%台なら、面積そのものが足りない状態です。この場合、家具や片づけで解ける範囲を超えていることが多く、次章の造作か、住み替えの検討に進みます。8%を超えているのに足りないなら、原因は面積以外にあります。次の3つを疑います。

出典: 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第9条第16号(規約集)

奥行きと高さが合わず収納の中に使えない空間がある

収納率は面積の割合で、奥行きと高さは別の話です。同じ1㎡の収納でも、奥行きが90cmの押し入れ型と、奥行き60cmのクローゼット型では、使いやすさが大きく違います。

奥行き90cmの収納に日用品を入れると、手前の30cmしか使わず、奥は死蔵品の置き場になります。逆に奥行き45cmの収納には、衣装ケースや布団が入りにくくなります。天井までの高さがあるのに、枕棚の上が空いたままの収納もよく見ます。

見分け方は簡単で、扉を開けて「入っていない空間」を探します。奥、上、扉の裏。使えない空間が収納全体の3割を超えていれば、足りないのは面積ではなく形です。可動棚や引き出しケースで奥行きを区切る、突っ張り棚で上を使う、といった手で、面積を変えずに容量が戻ります。

使う場所に収納がなく物が居室に出る

3つ目は場所の問題です。収納の合計面積は足りているのに、リビングに収納がひとつもない、玄関に靴以外の置き場がない、キッチンに食品のストックを置く場所がない、といった間取りでは、使う場所に物が出ます。

マンションの間取りは、収納が寝室のクローゼットに集中していることが多く、家族が長く過ごすリビングに収納がない例が目立ちます。掃除機、書類、子どもの学用品、日用品のストックがリビングに出るのは、リビングに収納がないからだと考えられます。

この原因は、収納率を上げても解けにくい種類です。寝室のクローゼットを広げたところで、リビングに出ている物の行き先は増えたままです。解くには、使う場所に収納を足すか、物の定位置をリビングの近くに移します。次章の「使う場所の壁面と廊下に収納を足す」が、この原因への手です。

家族の増加と成長で物の量が収納を超える

4つ目は、収納が変わらないのに物が増える場合です。子どもが生まれ、成長し、在宅勤務の機材が加わると、物の量は年々増えます。買ったときに十分だった収納が、5年後に足りなくなるのは自然な流れです。

収納への不満は、個人の片づけの問題として片づけられがちですが、住宅全体に共通する不満です。国土交通省の令和5年住生活総合調査(確報集計)では、住宅の個別要素に対する不満率のうち「収納の多さ、使い勝手」は33.1%で、18項目中7番目でした。3世帯に1つが収納に不満を持っている計算です。推移は平成20年44.3%、平成25年40.4%、平成30年35.6%、令和5年33.1%で、下がりながらも3割台が続いています。

リクルート住まいカンパニーが2019年に行った「住まいや暮らしに関する調査」でも、3人に1人が「収納スペース」に不満を感じているという結果でした。企業の調査で、調査時期は2019年7月11〜16日、対象は12都道府県の20〜69歳で持ち家がマンションまたは一戸建ての2,400人です。

物の量が原因なら、処分と外部の収納で一時的に戻せますが、家族の人数が変わらない限り増え続けます。子どもの物は独立とともに減るので、この原因には期限があります。期限が10年先なら住み替えの検討に値し、3年先ならしのぐ選択肢が残ります。

出典: 国土交通省「令和5年 住生活総合調査(確報集計)」図10 住宅の個別要素に対する不満率

出典: リクルート住まいカンパニー『SUUMO』「住まいや暮らしに関する調査」(2019年11月6日発表)

今の家に不満で住み替えを迷うときの整理法 今の家に不満で住み替え(買い替え)を迷うときの整理法

住み替えずにマンションの収納を増やす方法

面積以外の原因なら、今のマンションで収納を増やせます。面積の不足でも、数㎡なら造作で埋まることがあります。

5つの手を、費用が小さく戻しやすい順に並べます。

方法解ける原因費用の性質戻せるか
天井までの造作奥行きと高さ・面積(数㎡)一度きり撤去に費用
壁面と廊下に収納を足す場所一度きり家具なら可
余った居室を納戸に面積ほぼゼロいつでも可
共用のトランクルーム面積・物の量月額(管理組合へ)解約で可
外部のトランクルーム物の量月額(続く)解約で可

順に見ていきます。

天井までの造作で高さを収納に変える

いちばん効果が大きいのは、高さを収納に変えることです。マンションの天井高は2.4m前後、市販の収納家具は高さ1.8m前後という目安で見ると、上に60cmほどの空間が残ります。壁一面を天井まで造り付けにすると、同じ床面積で容量が1.3倍ほどになる計算です。この2.4mと1.8mは仮定の値なので、自分の部屋の天井までの寸法を実測してから見積もりに進みます。

クローゼットの中も同じです。枕棚とハンガーパイプだけの収納に可動棚を足し、奥行き90cmの押し入れを手前と奥で2段に分ける。これだけで、入っていなかった空間が使えるようになります。

造作は専有部分の工事ですが、国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)第17条は、専有部分の修繕、模様替え、建物に定着する物件の取付けまたは取替えのうち、共用部分または他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものについて、あらかじめ理事長へ申請し、書面による承認を受けることを求めています。壁や天井に固定する造作は、この申請の対象になり得ます。工事の前に、自分のマンションの管理規約とリフォーム細則を確かめます。費用は一度きりで、住み替えの諸費用と比べれば小さい金額に収まります。ただし撤去にも費用がかかるので、住み替えの可能性が高いなら家具で済ませる判断もあります。

出典: 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月17日改正)第17条

使う場所の壁面と廊下に収納を足す

場所が原因なら、使う場所に収納を足します。リビングの壁面に奥行き30〜40cmの浅い収納を付ける、廊下の突き当たりに可動棚を入れる、玄関の上部に吊り戸棚を足す。浅い収納は通路をふさがず、日用品と書類の定位置になります。

ポイントは奥行きを浅くすることです。リビングに奥行き60cmの収納を置くと、部屋が狭く感じます。30〜40cmなら、本、書類、掃除道具、子どもの学用品がちょうど収まり、圧迫感が小さくて済みます。

この方法は、収納の合計面積をほとんど増やさず、増やすのは「使う場所の近くにある収納」です。物が居室に出ている家の多くは、この方法で見た目の狭さが解けます。家具で済ませれば、住み替えのときに持って行けます。

余った居室を納戸に変える

家族構成の変化で使っていない居室があるなら、その部屋を丸ごと収納にする手があります。子どもが独立した後の部屋、来客用にしていた和室、使わなくなった書斎が候補です。

居室1つは6畳なら9.72㎡で、専有面積70㎡の部屋なら収納率が約14ポイント上がる計算です。造作も工事も要らず、費用はほぼゼロで、いつでも居室に戻せます。季節の家電、布団、スーツケース、子どもの思い出の品を1室に集めると、他の居室とリビングから物が消えます。

注意点は、納戸にした部屋が「物を放り込む場所」に変わってしまうことです。棚を入れて通路を残し、何がどこにあるか分かる状態を保ちます。もう1つは、その部屋が本当に余っているかです。数年後に子ども部屋として要るなら、この手は使えなくなります。部屋数の話は、子ども部屋の記事で書いています。

共用のトランクルームを専用使用権で借りる

マンションによっては、共用部分にトランクルームがあります。エントランス近くや低層階にまとめて設けられたものと、各住戸の玄関横に付いているものがあります。

国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)は、共用部分の範囲を示した別表第2の3で「管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物」を挙げています。トランクルームは共用部分で、自分の持ち物である専有部分とは別の扱いになります。

一方、専用使用権の対象として第14条が挙げているのは、バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭、屋上テラスの6つで、トランクルームはこの例示の外にあります。誰がどの区画を使い、いくら払うかは、各マンションが規約と使用細則で定める形です。使用料を納める先は管理組合で、標準管理規約第29条は、使用料を管理に要する費用に充てるほか修繕積立金として積み立てると定めています。

自分のマンションにあるかどうかと、使用料の額は、管理規約の別表、使用細則、管理会社への問い合わせで分かります。全戸分ない棟では、契約制で空き待ちになることがあります。同じ建物の中なので出し入れが楽で、住み替えを考える前に、自分の棟にこの設備があるかを確かめる価値があります。

出典: 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月17日改正)第14条・第29条・別表第2

外部のトランクルームは月額と年数で費用を数える

最後が、マンションの外にあるトランクルームです。屋内型で1畳前後の区画を月額で借り、季節物と思い出の品を出します。

費用は「月額×12×借りる年数」で数えます。月額は地域と広さで違うので、事業者の公表料金で確かめます。仮に都内の屋内型1畳を月8,000円とすると、5年で48万円、10年で96万円です。この8,000円は仮定の入力値なので、自分が借りる区画の実額に置き換えて計算します。10年分の金額で、前の造作収納が付けられることもあります。

借りている世帯の割合は、統計で見ると小さい水準にとどまります。国土交通省の令和5年住生活総合調査では、外部の貸し収納スペース(トランクルーム)を利用している世帯の割合は、親と子供から成る世帯で0.9%、単独世帯(64歳以下)で1.1%、夫婦(家計を主に支えるものが65歳未満)で1.2%でした。どの世帯類型でも2%に届かず、住宅・住生活関連サービスの中では利用の少ない部類にあたります。

ある家庭が、子どもの成長で増えた物を外部のトランクルームに出しました。

月額9,000円。季節の飾り、使わなくなったベビー用品、卒業した習い事の道具。出した直後は家が広くなり、満足していました。

2年後、契約更新の通知で気づきました。この2年間、取りに行った回数はゼロ。中身は、手元に戻す理由が薄れていた物ばかりでした。トランクルームは、収納を増やす手であると同時に、処分の判断を教えてくれる場所でもありました。

外部のトランクルームは、物を出しても居室が増えるわけではなく、月額が続く費用です。手狭の記事でも書いたとおり、住み替えまでの数年をしのぐ手として使い、その間に判断を進める形が向いています。

出典: 国土交通省「令和5年 住生活総合調査(確報集計)」図75 家族類型別の住宅・住生活関連サービス利用状況

収納が足りないだけで住み替えると決める判断基準

収納の不足だけを理由に住み替えるかどうかは、3つの条件で決めます。

不足が面積で数㎡以上あるか、造作やトランクルームで埋まらないか、住み替え先で収納率を今より上げられるか。3つがそろったときが、収納を理由にした住み替えの条件です。

  • 足りない収納面積を数えて数㎡以上かを見る
  • 造作とトランクルームの費用を住み替えの費用と並べる
  • 収納率が今より高い部屋を選べないなら同じ不満が続く
  • 子どもの独立で物が減る時期を見込む

足りない収納面積を数えて数㎡以上かを見る

まず、足りない収納を面積で数えます。感覚ではなく、居室や廊下に出ている物を段ボールに詰めたら何箱になるかで数えます。

引っ越し用の大きめの段ボール(3辺の合計が140cm・例 55×45×40cm)1箱は、0.55×0.45×0.40=約0.1㎥です。奥行き60cm、高さ2.3mの収納なら、幅1mあたり0.6×2.3×1.0=1.38㎥、つまり段ボール約14箱分が入ります。出ている物が20箱なら2.0㎥で、2.0÷(0.6×2.3)=約1.45m、床面積では0.6×1.45=約0.9㎡の収納が足りない計算です。箱の寸法と収納の高さは仮定の値なので、自分の家の数字で置き換えます。

この数え方をすると、不足はたいてい1〜3㎡に収まります。1〜3㎡なら、前章の造作か余った居室で埋まる範囲です。5㎡を超えるなら、造作では埋まりにくく、住み替えの検討に値します。住み替えを考える前に、この数字を一度出しておくと、判断がぶれずに済みます。

造作とトランクルームの費用を住み替えの費用と並べる

次に費用です。造作は一度きりの費用、トランクルームは月額が続く費用、住み替えは売却と購入の諸費用に加えて広い部屋の毎月の増分がかかります。

並べ方は3行です。

  • 造作: 見積もり額(一度きり)
  • トランクルーム: 月額×12×年数
  • 住み替え: 売却と購入の諸費用+広くなる分の管理費・修繕積立金・固定資産税・ローン返済の増分

住み替えの費用の中身は、手狭の記事と住み替えの流れの記事で書いています。収納の不足だけなら、住み替えの費用が他の2つを大きく上回るのが普通です。それでも住み替えを選ぶなら、収納以外の理由(部屋数、立地、築年数)が重なっているはずです。収納だけで住み替える判断は、費用を並べた時点で見直されることが多い、という前提で数字を出します。

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収納率が今より高い部屋を選べないなら同じ不満が続く

3つ目は、住み替え先の条件です。物の総量が変わらないなら、収納率が同じ部屋に移っても、同じ不満が続きます。

住み替え先の収納率を今より上げるには、次章の方法で図面から収納率を出し、今の部屋より高い物件だけを候補にします。同じ専有面積で収納率を上げると、居室が狭くなります。70㎡で収納率を8%から12%に上げると、収納は5.6㎡から8.4㎡に増え、居室は2.8㎡(2.8÷1.62=約1.7畳)減ります。この差を受け入れられるかが、住み替えの条件になります。

売る側でも収納の不足は問題になる

物が出ている部屋は内覧で狭く見え、売却で不利に働きます。住み替えを決めたら、売り出す前に物を外部の収納に出して、部屋を広く見せる準備が要ります。

子どもの独立で物が減る時期を見込む

最後に、時間軸です。物の量が原因の収納不足は、多くの場合、子どもの物が増えている期間の問題です。学用品、部活の道具、おもちゃ、思い出の品は、子どもが独立すると大きく減ります。

上の子が独立するまであと3年なら、その3年をトランクルームや造作でしのぐほうが、住み替えより合理的です。10年先なら、10年分の月額と我慢を天秤にかけて、住み替えが選択肢に入ります。

独立後は逆に、部屋と収納が余ります。そのときに「広すぎる」側の住み替えを考える人は多く、別の記事で書いています。収納を理由に広い部屋へ移ると、10年後に今度は持て余す。この往復を避けるには、今の不足が「何年続く不足か」を先に見ておきます。

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住み替え先のマンションで収納を見る方法

住み替えると決めたら、次の部屋で同じ失敗をしないための見方が要ります。

見るのは4つです。図面の収納率、内覧での奥行きと高さ、収納の配置、住戸外のトランクルーム。順に見ます。

図面の収納面積を足して収納率を出す

内覧に行く前に、図面で収納率を出します。図面に載っている収納は、CL(クローゼット)、WIC(ウォークインクローゼット)、SIC(シューズインクローゼット)、物入、納戸、パントリーです。それぞれの面積を足し、専有面積で割ります。

畳で書かれていれば1畳を1.62㎡に換算し、寸法が書かれていれば縦×横で出します。図面に面積のない収納は、間取り図の縮尺から測るか、不動産会社に寸法を聞きます。

この計算で、内覧に行く前に候補を絞れます。今の部屋の収納率が6%なら、9%以上の物件だけを見る、という使い方です。ただし、収納率は面積の割合なので、次に書く奥行きと高さ、その次の配置と合わせて見る前提です。数字だけ高くて使いにくい収納をつかむ失敗は、この3つをそろえて見ることで避けられます。

出典: 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第9条第16号(規約集)

内覧で扉を開けて奥行きと高さを測る

内覧では、すべての収納の扉を開けます。見るのは奥行き、高さ、中の作りの3つです。

奥行きは、45cm、60cm、90cmのどれかで、用途が変わります。

  • 45cm: 本と書類
  • 60cm: 衣類のハンガー掛けと衣装ケース
  • 90cm: 布団と大型の物

今の部屋で入らなかった物の奥行きを覚えておき、それが入る収納があるかを見ます。高さは、枕棚の位置と、天井までの空間を見ます。中の作りは、ハンガーパイプの本数、可動棚の有無、棚板の追加ができる構造かどうかです。メジャーを持って行き、今使っている衣装ケースやスーツケースの寸法と照らします。図面の収納率が同じでも、この3つで使える量は大きく変わります。

各居室とリビングと玄関に収納がある配置を選ぶ

収納の配置は、「各居室に1つ、リビングに1つ、玄関にSIC、キッチンにパントリー」が理想形です。すべてそろう物件は多くないので、今の不満と照らして、欠けてよい場所と欠けては困る場所を決めます。

今の部屋でリビングに物が出ているなら、リビングの収納が欠けている物件は候補から外します。玄関にベビーカーや外遊びの道具があふれているなら、SICのある物件を優先します。今の不満の場所が、次の部屋で見る場所です。

住んでから気づく不足は、先ほどのリクルートの調査にも表れています。同じ調査の「自宅に取り入れておけば良かった間取り」のランキングは、1位がウォークインクローゼット、3位が納戸スペース、4位がシューズインクローゼット、10位がパントリーで、上位に収納が並んでいます。配置は図面で分かるので、内覧前に確かめられます。収納率が高くても、寝室のWICに集中している間取りは、リビングと玄関の物の問題を解きにくい形です。合計面積より、どこにあるかを先に見ます。

出典: リクルート住まいカンパニー『SUUMO』「住まいや暮らしに関する調査」(2019年11月6日発表)

住戸外のトランクルームは専有面積に含まれない収納として数える

最後に、住戸の外にある収納です。玄関横や共用廊下側に、その住戸だけが使うトランクルームが付いているマンションがあります。

標準管理規約が共用部分の範囲にトランクルームを挙げているとおり、これは共用部分にあたる設備で、専有面積には含まれないことが多い収納です。つまり、同じ70㎡の物件でも、住戸外に1㎡のトランクルームがあれば、実質の収納は1㎡多くなります。広告の専有面積と収納率には表れないので、見落とされやすい差です。

確かめ方は、管理規約の別表と使用細則、購入前の重要事項説明書です。加えて、標準管理規約のコメントに添えられた別添4「管理情報提供様式に記載のある項目例」には、管理費等に関する項目のひとつとして「トランクルーム使用料」が挙がっています。管理会社が出すこの様式で、使用料の有無と額、使える範囲を確かめられます。共用部分にまとめて設けられたトランクルームがある場合も、空き状況と使用料を管理会社に聞いておくと、入居後に借りられるかどうかが分かります。

出典: 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」(令和7年10月17日改正)別表第2・コメント別添4

まとめ:収納の不足は面積かどうかで住み替えの要否が決まる

収納が足りないと感じたときに最初に分けるのは、足りないのが面積なのか、奥行きと高さ・場所・物の量なのかです。住み替えでしか解けないのは面積の不足だけで、その面積の不足も、居室に出ている物を段ボールで数えれば1〜3㎡に収まることが多く、造作や余った1室の転用で埋まる範囲に入ります。

次の一歩は、間取り図から今の収納率を出すことです。収納の面積を足して専有面積で割るだけで、5分あれば出ます。この数字を出さずに物件を探し始めると、収納率が同じ部屋に移って同じ不満を繰り返すことになり、売却と購入の諸費用を払った後で気づくことになります。

収納率を出したうえで確かめたいのは、その不足が造作で埋まる範囲かどうかです。造作の見積もり、トランクルームの月額×12×年数、住み替えの売却と購入の諸費用と毎月の増分を3行に並べれば、収納だけを理由に動くかどうかの答えが出ます。住み替えのトビラでは、収納の不足を理由に住み替えを考えるときの判断材料も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。