2022年1月に4,000万円を変動金利で借りた人は、2027年1月から返済額が月約1万5,000円上がる計算です。
多くの銀行には返済額を5年間据え置く「5年ルール」がありますが、その間に上がった利息は、いずれ借りた人が払うことになります。
この記事では、自分の新しい返済額の出し方と、返済額が変わる前に打てる手を、住み替えへの影響まで含めて解説します。
2027年、返済額はいくら上がる?借入年・借入額別の早見表
2027年に5年ごとの見直しを迎える人の返済額は、2026年までに上がった金利で計算し直されます。
住宅ローンの変動金利は、日銀の利上げから少し遅れて上がります。日銀は2026年9月18日に、政策金利を1.25%程度へ引き上げました。
これを受けて、三菱UFJ銀行は短期プライムレート(変動金利のもとになる金利)を、2026年11月2日にも引き上げる予定です。同行は2026年2月と8月にも、この金利を上げています。
住宅ローンを借りている人の多くが、今回の利上げの影響を受けます。住宅金融支援機構の2026年1月の調査では、2025年4〜9月に住宅ローンを借りた人の75.0%が変動金利を選んでいました。
出典: 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
出典: 三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2026年9月18日)
2022年1月に4,000万円を借りた人の返済額は、月約1万5,000円・年約18万円増える
2022年1月に4,000万円を借りた人の毎月の返済額は、2027年1月から月11万7,195円に上がります。
この記事の金額は、すべて次のモデルで計算しています。
見直しの前後の返済額と増える額は、次の表のとおりです。
| モデルの条件と結果 | 金額 |
|---|---|
| これまでの返済額(2022年2月〜2026年12月) | 月10万2,076円 |
| 2027年1月からの返済額(適用金利1.3%で計算) | 月11万7,195円 |
| 増える額(月) | 約1万5,100円 |
| 増える額(年) | 約18万1,000円 |
| 増える額(次の見直しまでの5年間) | 約90万7,000円 |
※モデルの借りたときの金利(0.4%)は仮定です。その後、三菱UFJ銀行の短期プライムレートと同じ幅(合計0.90%)で金利が上がったとして計算しています。
内閣府は、借りている金利が1%上がると、住宅ローンのある30代の世帯の負担は平均で年24万円程度増えると試算しています。
モデルの人の金利の上がり幅は0.9%なので、年約18万円の負担増は、この試算に近い水準といえます。
借入年・借入額別の早見表で、自分の増加額を探す
同じ金額を借りていても、借りてからの年数が短い人ほど、2027年の返済額は大きく上がります。
2022年1月と2017年1月に借りた人の返済額を借入額別に並べると、次のようになります。
| 借りた時期 | 借入額 | これまでの返済額 | 2027年1月からの返済額 | 増える額(月) | 増える額(年) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年1月(1回目の見直し) | 3,000万円 | 7万6,557円 | 8万7,896円 | 約1万1,300円 | 約13万6,000円 |
| 2022年1月(1回目の見直し) | 4,000万円 | 10万2,076円 | 11万7,195円 | 約1万5,100円 | 約18万1,000円 |
| 2022年1月(1回目の見直し) | 5,000万円 | 12万7,595円 | 14万6,494円 | 約1万8,900円 | 約22万7,000円 |
| 2017年1月(2回目の見直し) | 3,000万円 | 7万9,544円 | 8万9,360円 | 約9,800円 | 約11万8,000円 |
| 2017年1月(2回目の見直し) | 4,000万円 | 10万6,059円 | 11万9,147円 | 約1万3,100円 | 約15万7,000円 |
| 2017年1月(2回目の見直し) | 5,000万円 | 13万2,574円 | 14万8,934円 | 約1万6,400円 | 約19万6,000円 |
※35年・元利均等返済・ボーナス返済なしで計算。借りたときの金利(2022年は0.4%、2017年は0.625%)は仮定です。どちらもその後、三菱UFJ銀行の短期プライムレートと同じ幅で金利が上がったとしています。
例えば4,000万円を借りた場合、月に増える額は、2022年に借りた人で約1万5,100円です。2017年に借りた人は約1万3,100円で、2,000円ほど小さくなります。
2017年に借りた人は返済が10年分進み、上がった金利がかかる残高が少なくなっています。
表にない借入額の人も、増える額は借入額に比例するので、近い行から計算できます。
例えば2022年1月に3,500万円を借りた人なら、月に増える額は約1万3,200円です。4,000万円の行の約1万5,100円に、0.875(3,500万円÷4,000万円)を掛けた額です。
借りた銀行や時期が早見表と違う人は、2つの手順で自分の返済額を出せる
自分の返済額は、今の金利と今の残高の2つがわかれば計算できます。
早見表は、三菱UFJ銀行と同じ幅で金利が上がった場合の数字です。借りた銀行が違う人は、自分の銀行の金利で計算し直すと、より正確な返済額がわかります。
手順1 今の金利を確かめる
変動金利は、多くの銀行で短期プライムレートに合わせて動きます。三菱UFJ銀行が短期プライムレートを上げた時期と、すでに借りている人の金利が上がる時期は、次のとおりです。
| 短期プライムレートを上げた日 | 上げた後の水準 | 上げた幅 | すでに借りている人の金利が上がる時期(年2回見直す契約) |
|---|---|---|---|
| 2024年9月2日 | 1.625% | +0.15% | 2025年1月の返済から |
| 2025年3月3日 | 1.875% | +0.25% | 2025年7月の返済から |
| 2026年2月2日 | 2.125% | +0.25% | 2026年7月の返済から |
| 2026年8月3日 | 2.375% | +0.25% | 2027年1月の返済から |
| 2026年11月2日(予定) | 2.625% | +0.25% | 2027年7月の返済から(見込み) |
| 合計 | — | +1.15% | — |
※金利が上がる時期は、三菱UFJ銀行の案内にある見直しの仕組み(年2回見直す契約は4月1日と10月1日が基準日)に当てはめた時期です。上げた時期や幅は銀行ごとに違います。
三菱UFJ銀行で2024年8月までに借りた人の金利は、2027年1月の返済の時点で、借りたときより0.90%上がっています。借りたときの金利に0.90%を足すと、今の金利の目安がわかります。
銀行から「金利変更のお知らせ」が届いている人は、そこに書かれた金利を使うとより正確です。ほかの銀行で借りた人も、このお知らせやネットバンキングの画面で今の金利を確かめられます。
手順2 残高と下の表から、新しい返済額を計算する
今の残高は、銀行から毎年届く返済予定表に載っています。残高1,000万円あたりの毎月の返済額は、適用金利と残りの年数によって次のように変わります。
| 適用金利 | 残り20年 | 残り25年 | 残り30年 |
|---|---|---|---|
| 0.8% | 45,103円 | 36,789円 | 31,254円 |
| 0.9% | 45,545円 | 37,236円 | 31,707円 |
| 1.0% | 45,989円 | 37,687円 | 32,164円 |
| 1.1% | 46,437円 | 38,142円 | 32,625円 |
| 1.2% | 46,887円 | 38,599円 | 33,091円 |
| 1.3% | 47,340円 | 39,061円 | 33,560円 |
| 1.4% | 47,796円 | 39,525円 | 34,034円 |
| 1.5% | 48,255円 | 39,994円 | 34,512円 |
| 1.6% | 48,716円 | 40,465円 | 34,994円 |
| 1.7% | 49,180円 | 40,940円 | 35,480円 |
| 1.8% | 49,647円 | 41,419円 | 35,970円 |
| 1.9% | 50,116円 | 41,900円 | 36,464円 |
| 2.0% | 50,588円 | 42,385円 | 36,962円 |
※元利均等返済で計算
新しい返済額は、「残高÷1,000万円×表の金額」で計算できます。例えばモデルの人は、残高が約3,500万円、金利が1.3%、残りが約30年です。
表の「1.3%・残り30年」の33,560円に3.5を掛けると、約11万7,500円です。早見表の月11万7,195円とほぼ同じ額になります。
見直しの前に金利がもう一度0.25%上がる人は、残り30年なら、計算した額に残高1,000万円につき月約1,200円を足すと目安になります。
出典: 三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2024年7月31日)
出典: 三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2025年1月24日)
出典: 三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2025年12月19日)
出典: 三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2026年6月16日)
出典: 三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2026年9月18日)
出典: 三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」
「4万円増」という試算もある。数字が違うのは前提が違うから
「4万円増」の試算は、見直しのときの金利を、この記事のモデルより高い2.5%と置いて計算しています。
この試算は、ニュースサイトのFRIDAYで紹介されました(Yahoo!ニュース)。FRIDAYの試算とこの記事のモデルでは、前提が次のように違います。
| 前提 | FRIDAYの試算 | この記事のモデル |
|---|---|---|
| 借入額 | 5,000万円 | 4,000万円 |
| 借りたときの金利 | 0.5% | 0.4% |
| 見直しのときの金利 | 2.5% | 1.3% |
| これまでの返済額 | 月13万円 | 月10万2,076円 |
| 見直し後の返済額 | 月17万1,000円 | 月11万7,195円 |
FRIDAYの試算は、金利がこの先2.5%まで上がる場合を想定しています。一方、この記事のモデルは、すでに決まった利上げだけを反映した1.3%で計算しています。
FRIDAYと同じ5,000万円・0.5%の条件でも、すでに決まった利上げだけなら、見直しのときの金利は1.4%です。この場合、返済額は月14万7,645円になります。月に増える額は約1万8,000円で、4万円の半分以下です。
見直しのときの金利を何%と置くかで、増える額には2倍以上の差が出ます。ニュースの金額をそのまま自分に当てはめず、自分の残高と今の金利で計算しておくと、家計への影響を正しく見積もれます。
返済額が変わるのは2027年のいつからか(5年ルールのない契約は動き方が違う)
多くの銀行では、2021年10月〜2022年9月ごろに借りた人の返済額が、2027年1月の返済から変わります。
返済額を見直す基準日は、多くの銀行で毎年10月1日です。三菱UFJ銀行の場合、借りたあとの5回目の10月1日の金利で返済額を見直し、翌年1月以降の返済から変えます。
同じ数え方で、2016年10月〜2017年9月ごろに借りた人は、2027年1月に2回目の見直しを迎えます。基準日の決め方は銀行によって違うため、自分の見直しの時期は、契約書や返済予定表で確かめておくと安心です。
モデルの人の返済額が変わるまでの流れは、次のとおりです。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 2026年10月1日 | 新しい金利と返済額が決まる基準日 |
| 2026年11月ごろ | 新しい返済額を知らせる通知が届く |
| 2027年1月の返済 | 新しい返済額の引き落としが始まる |
| 2027年7月の返済 | 金利だけが上がり、返済額はそのまま |
モデルの人の場合、2026年10月1日の金利で、2031年12月までの返済額が決まります。銀行から届く通知を見れば、2027年1月から引き落とされる金額がわかります。
ただし、次のような契約で借りている人は、返済額の動き方が違います。
| 契約 | 返済額の動き方 |
|---|---|
| 元金均等返済(毎月返す元金が一定の返し方)で借りている | 5年ルール・125%ルールがなく、金利が上がるたびに返済額も上がる |
| ソニー銀行の変動金利で借りている | 5年ルール・125%ルールを使わず、金利が変わると返済額も見直される |
| auじぶん銀行で一部繰上返済や金利優遇割を使った(2025年4月10日から) | その時点の金利で返済額が計算し直される |
| 2025年4月以降に三菱UFJ銀行で借りた | 金利を毎月1日に見直す契約になっている |
自分の契約が5年ルールの対象になるかは、契約のときに受け取った「金利変動リスクに関する説明書」で確かめられます。
出典: 三菱UFJ銀行「住宅ローンの5年ルール・125%ルールについて知りたい。」
出典: 三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」
出典: ソニー銀行 よくある質問(変動金利の5年ルール・125%ルール)
出典: auじぶん銀行「「住宅ローン規約」「住宅ローン金利優遇割に関する特約」の一部変更について」
「125%ルールが守ってくれる」は誤解。5年ルールに頼る人が見落とす2つの落とし穴
5年ルールや125%ルールがあっても、借りた人は、金利が上がったぶんの利息をいずれ全額払うことになります。
5年ルールとは、金利が変わっても、返済額を5年間据え置く決まりのことです。125%ルールとは、見直しで返済額が上がっても、それまでの1.25倍までに抑える決まりのことです。
ただし、返済額を抑えている間も、利息は上がった金利でかかり続けます。その分、元金の減り方が遅くなり、最後の返済日に残った残高は原則としてまとめて返すことになります。
誤解1 125%ルールが適用されるのは、金利がもっと上がってから
モデルの人の場合、2027年1月からの返済額には、金利が上がった分がほぼそのまま上乗せされます。
「125%ルールがあるから、増えても大したことはない」と考えている人もいるでしょう。ところが、125%ルールで返済額が抑えられるのは、新しい返済額がそれまでの1.25倍を超えるときです。
モデルの人の返済額と125%ルールの上限を比べると、次のとおりです。
| モデルの人の返済額 | 金額 |
|---|---|
| これまでの返済額 | 月10万2,076円 |
| 125%ルールの上限(1.25倍) | 月12万7,595円 |
| 2027年1月からの返済額 | 月11万7,195円(これまでの約1.15倍) |
モデルの人の返済額が上限に届くのは、見直しのときの金利が約1.91%になった場合です。今の1.3%から、0.25%の利上げがあと3回ほど続いた水準です。
金利が約1.91%を超えると、返済額は上限の月12万7,595円で止まり、そのぶん元金の減り方が遅くなります。さらに金利が上がって利息だけで返済額を超えると、超えた分は「未払利息」として翌月以降に繰り延べられます。
出典: 三菱UFJ銀行「住宅ローンの5年ルール・125%ルールについて知りたい。」
誤解2 返済額が同じだった5年間も、元金の減り方は遅くなっていた
モデルの人は、返済額が月10万2,076円のままだった5年間に、利息を約28万7,000円多く払っていました。
毎月の返済額は、「利息」と「元金(借りたお金そのもの)」に分かれます。金利が上がると利息の割合が増え、そのぶん元金の返済に回るお金が減ります。
金利が0.4%のままだった場合と比べると、モデルの人の5年間には次のような差が出ています。
| モデルの人の5年間(2022年2月〜2026年12月) | 実際(金利が上がった) | 金利が0.4%のままだったら | 差 |
|---|---|---|---|
| 払った利息の合計 | 約102万2,000円 | 約73万6,000円 | 約28万7,000円多い |
| 2026年末の残高 | 約3,500万円 | 約3,471万円 | 約28万7,000円多い |
利息を多く払った分、元金の返済が遅れ、2026年末の残高も約28万7,000円多くなっています。
毎月の引き落とし額は5年間同じだったため、この差は通帳を見ても気づきにくいところです。家を売るときは、増えた残高の分だけ、手元に残るお金が少なくなります。
来年からの返済額は5年間据え置かれる。その間に利上げが続けば、次の見直しでまた上がる
2027年1月からの返済額も、その後の5年間に利上げが続けば、2032年1月の見直しでまた上がります。
返済額が据え置かれている間も、利息は上がった金利で計算されます。例えばモデルの人の金利は、2027年7月に1.55%へ上がる見込みです。
返済額は月11万7,195円のままでも、そのうち約4万5,000円が利息に回ります。利上げが続くほど元金の減り方は遅くなり、5年後の残高が多くなります。
2028年以降の政策金利の水準ごとに、2032年1月からの返済額を試算すると次のとおりです。
| 政策金利(2028年以降) | 2031年末の残高 | 2032年1月からの返済額 |
|---|---|---|
| 1.25%のまま | 約3,047万円 | 月12万2,225円 |
| 1.5%まで上がる | 約3,080万円 | 月12万7,235円 |
| 1.75%まで上がる | 約3,114万円 | 月13万2,405円 |
| 2.0%まで上がる | 約3,148万円 | 月13万7,739円 |
※政策金利の水準は仮定です。2028年1月以降、モデルの人の適用金利が政策金利と同じ幅で上がるとして計算しています。
政策金利の見通しは、専門家の間でも分かれています。例えば三井住友DSアセットマネジメントは、今回の一連の利上げで政策金利が1.75%まで上がると予想しています。
政策金利が1.75%まで上がった場合、モデルの人の返済額は2032年1月に月13万2,405円になります。2027年からの返済額より、さらに月1万5,000円ほど高い額です。
出典: 三井住友DSアセットマネジメント「日銀の利上げと日本企業への影響」(2026年9月28日)
返済額が変わる前に打つ手と、今は見送ってよい手
2027年1月に返済額が上がる人は、銀行の通知が届く11月より前に、打つ手を決めておくと安心です。
この章では、今のマンションに住み続ける人に向けて、打つ手と今は見送ってよい手を比べます。
まずは家計で吸収できるかを、手取りに対する返済の割合で確かめる
年間の返済額が手取り年収の25%以内に収まる人は、増えた分を家計のやりくりで吸収するのも一つの方法です。
住宅ローンの返済は、手取り年収の25%以内なら無理がないとされることが多いためです。
モデルの人の手取り年収を600万円と仮定して、年間の返済額の割合を計算すると次のとおりです。
| モデルの人(手取り年収600万円と仮定) | 年間の返済額 | 手取りに対する割合 |
|---|---|---|
| 2026年まで | 約122万5,000円 | 約20.4% |
| 2027年から | 約140万6,000円 | 約23.4% |
モデルの人の手取りに対する割合は約23.4%に上がりますが、まだ25%以内です。このように25%以内に収まるなら、費用をかけて急いで動くより、家計のやりくりで対応するほうが得になることもあります。
ただし、マンションでは管理費と修繕積立金も毎月かかります。この2つも足すと手取りの25%を大きく超える人は、繰上返済や借り換えなどの手を、効果と費用で比べておくとよいでしょう。
「控除があるから繰上返済しない方が得」は、金利が控除率を超えると崩れる
ローンの金利が住宅ローン控除の控除率を上回ると、繰上返済をせずに借りたままにしておくメリットは消えます。
住宅ローン控除は、年末のローン残高の一定の割合を、税金から差し引く制度です。控除率と、控除の対象になる残高の上限は、入居した年で次のように違います。
| 入居した年 | 控除率 | 控除される期間 | 控除の対象になる残高の上限(主な例) |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 1% | 10年(条件を満たすと13年) | ・4,000万円(消費税がかかる買い方) ・2,000万円(個人から買った中古など) |
| 2022〜2023年(新築) | 0.7% | 13年 | 3,000万円(一般の住宅)〜5,000万円(長期優良住宅など) |
| 2022〜2023年(中古) | 0.7% | 10年 | ・2,000万円(一般の住宅) ・3,000万円(省エネ基準を満たす住宅など) |
※残高の上限は、国税庁が示す年間の控除限度額を控除率で割って求めた額です。
これまでは金利が控除率より低かったため、借りたままにしておくほうが得でした。例えば金利0.4%で控除率0.7%なら、1年に払う利息より、戻ってくる税金のほうが多くなります。
ところが、モデルの人の金利は2027年1月に1.3%になり、控除率の0.7%を上回ります。2021年に0.4%前後で借りた人も、金利が1.3%前後に上がり、控除率の1%を上回っています。
繰上返済を考える人は、控除の対象になる残高の上限も、上の表で確かめておきましょう。モデルの人の残高は約3,500万円で、中古の一般の住宅の上限2,000万円を1,500万円ほど上回っています。
そのため、モデルの人が100万円を繰上返済しても、控除の額はそのままで、払う利息だけが減ります。
出典: 国税庁「No.1212 住宅の新築等をし、令和3年までに居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
出典: 国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
出典: 国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
来年の返済額を下げるなら早めの繰上返済。ただし銀行によっては、かえって返済額が上がる
2027年からの返済額を下げたいなら、見直しの前に「返済額軽減型」で繰上返済しておくとよいでしょう。
繰上返済には、毎月の返済額を下げる「返済額軽減型」と、返済の期間を短くする「期間短縮型」があります。返済額軽減型を選ぶと、減った残高をもとに毎月の返済額が計算し直されます。
モデルの人が2026年12月に100万円を返済額軽減型で繰上返済した場合、2027年1月からの返済額は次のようになります。
| モデルの人 | 2027年1月からの返済額 |
|---|---|
| 繰上返済しない場合 | 月11万7,195円 |
| 100万円を繰上返済した場合 | 月11万3,847円(月約3,300円、年約4万円少ない) |
100万円の繰上返済で、返済額は年約4万円下がります。このうち、払う利息が減る分は1年で約1万4,000円です。
残りの約2万6,000円は、元金を先に返したことで、毎月の元金の返済が減った分です。
繰上返済の注意点は、次の2つです。
- 返済額を最新の金利で計算し直す銀行
- 手元のお金の出しすぎ
1つ目は、繰上返済をすると、その時点の最新の金利で返済額を計算し直す銀行があることです。例えばauじぶん銀行では、一部繰上返済をすると、5年ルールによらず最新の金利で返済額が計算し直されます。
金利が上がった後に少ない額を繰上返済すると、返済額が下がるどころか上がる場合もあります。申し込む前に、繰上返済後の返済額を、銀行の窓口やネットバンキングの試算で確かめておきましょう。
2つ目は、手元のお金を出しすぎることです。病気や転職に備えて、生活費の半年分ほどは手元に残しておくと安心です。
出典: auじぶん銀行「「住宅ローン規約」「住宅ローン金利優遇割に関する特約」の一部変更について」
固定金利への切り替えは割高、借り換えは効果が小さい
今の金利で固定金利に切り替えると、モデルの人の返済額は、変動金利のままより月4万円あまり上がります。
2026年10月に新しく借りる人向けの10年固定金利は、三菱UFJ銀行が3.75%、みずほ銀行が3.60%からです。どちらも、今の変動金利よりかなり高い水準です。
モデルの人がこの3.60〜3.75%で残りを返すと、返済額は月15万9,000〜16万2,000円になります。切り替えて元が取れるのは、変動金利がこの先2%以上上がり、その状態が長く続いた場合です。
借り換えで下げられる金利の幅も、今は小さくなっています。三菱UFJ銀行で2026年10月に借り換える人の変動金利は1.245%で、モデルの人の1.3%とほぼ同じ水準です。
この1.245%で借り換えた場合、返済額は月約900円下がります。金利が変わらなければ、残り30年で約33万円の差です。
一方で、借り換えには銀行の手数料や抵当権(ローンを返せないときに銀行が家を売って回収できる権利)の登記の費用などがかかり、審査もあります。減る返済額から費用を引くと損になる場合もあるため、借り換え先の銀行で費用の見積もりを取ってから決めるとよいでしょう。
出典: 三菱UFJ銀行「住宅ローン金利」
出典: みずほ銀行「住宅ローン」
打つ手・見送ってよい手の比較
返済が手取りの25%を超える人が、今のうちに打っておきたい手は、返済額軽減型の繰上返済です。
固定金利に切り替えると、返済額はかえって上がります。借り換えも、今の金利との差が小さいため、費用を引くと得になる額はわずかです。
4つの手の違いを項目ごとに比べると、次のとおりです。
| 手 | 来年の返済額への効果 | これからの上昇への備え | 住宅ローン控除への影響 | 必要なお金・手間 | 急ぐ必要 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 家計で吸収する | なし | なし | なし | なし | 低い | 返済が手取りの25%以内に収まる人 |
| 繰上返済(返済額軽減型) | 下がる(100万円で月約3,300円) | 残高が減るぶん、影響が小さくなる | 残高が上限を超えていればそのまま | まとまったお金 | 高い(見直しの前にやると効果が早く出る) | ・手元に余裕資金がある人 ・残高が控除の上限を超えている人 |
| 固定金利への切り替え | 大きく上がる(月4万円あまり) | 金利の上昇を止められる | そのまま | 銀行での手続き | 低い | 大きな利上げが長く続くと考える人 |
| 借り換え | 金利差しだい(今は差が小さい) | 借り換え先の金利タイプしだい | 条件を満たせば続く | 手数料・登記の費用と審査 | 低い | 今の金利より大きく低い金利で借りられる人 |
残高が多く、返済の残り期間が長い人ほど、繰上返済を早めにしたときの効果は大きくなります。金利の上昇で増える利息は、残高が多く期間が長いほど多くなるからです。
住み替えを考えているなら、「残債」と「売る順番」で損得が変わる
返済額の見直しは、家を売るときと次の家を買うときの両方で、住み替えのお金に影響します。
家を売るときは、金利の上昇で減り方が遅れたローンの残高を、売ったお金で返すことになります。次の家を買うときは、上がった後の返済額をもとに、次のローンで借りられる額が決まります。
残債は思ったより多い。売却価格で返しきれるかを先に確かめる
売り出す前に、不動産会社の査定額と今のローン残高を比べて、売ったお金でローンを全額返せるかを確かめておくと安心です。
家を引き渡すには、ローンを全額返して、銀行がつけている抵当権を外す必要があります。モデルの人の2026年末の残高は約3,500万円で、金利が上がらなかった場合より約28万7,000円多くなっています。
売ったお金でローンを返しきれるかは、次の順で確かめられます。
- 返済予定表で今の残高を調べる
- 不動産会社の査定で売れそうな価格を知る
- 売れそうな価格から費用を引き、手元に入るお金を出す
- 手元に入るお金と残高を比べる
売るときの費用には、仲介手数料や、抵当権を外す登記の費用などがあります。モデルの人が4,000万円と3,600万円で売れた場合を計算すると、次のとおりです。
| モデルの人(残高約3,500万円) | 4,000万円で売れた場合 | 3,600万円で売れた場合 |
|---|---|---|
| 仲介手数料(上限=価格×3%+6万円+消費税) | 約138万6,000円 | 約125万4,000円 |
| その他の費用(抵当権を外す登記・印紙などの目安) | 約10万円 | 約10万円 |
| 手元に入るお金 | 約3,851万円 | 約3,465万円 |
| 残高との差 | 約351万円残る | 約35万円足りない |
※売れた価格2通りと、その他の費用の約10万円は仮定です。仲介手数料は上限額で計算しています。
手元に入るお金が残高を上回る「アンダーローン」なら、そのまま売れます。
手元に入るお金が残高より少ない状態は、「オーバーローン」と呼ばれます。足りない分は、貯金で埋めるか、次の家のローンに上乗せできる住み替えローンで補うことになります。
3,600万円で売れた例では、足りない約35万円のうち約28万7,000円が、金利の上昇で増えた残高です。売れそうな価格と残高が近い人ほど、増えた数十万円の残高のせいで、オーバーローンになるおそれがあります。
出典: 国土交通省「宅地建物取引業法関係(宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額)」
買い先行の住み替えでは、上がった返済額のまま次のローンの審査を受ける
次の家を先に買う「買い先行」では、上がった後の返済額を抱えたまま、次のローンの審査を受けることになります。
買い先行では、今の家が売れるまで、2つのローンを同時に返す期間があります。銀行は次のローンの審査で、年収に対する返済の割合を、今のローンの返済も含めて計算します。
一方、今の家を先に売る「売り先行」なら、今のローンは売ったお金で返し終えます。そのため、次のローンの審査への影響はごく小さく済みます。
年収700万円の人が買い先行で住み替える場合、借りられる額は次のように減ります。
| 年収700万円の人の例 | 見直し前 | 見直し後 |
|---|---|---|
| 今のローンの返済額 | 月10万2,076円 | 月11万7,195円 |
| 次のローンに回せる返済額 | 月約10万2,000円 | 月約8万7,000円 |
| 次のローンで借りられる額 | 約2,650万円 | 約2,260万円 |
※返済の割合の上限を年収の35%、審査で使う金利を3.0%、返済期間を35年と仮定して計算。上限の割合や審査で使う金利、今のローンの数え方は銀行によって違います。
今のローンの返済額が月約1万5,000円上がるだけで、次のローンで借りられる額は約390万円減ります。買い先行を考えている人は、見直し後の返済額で審査を受ける前提で、予算を組み直しておきましょう。
見直しの前に売るか後に売るかは、3つの材料で判断する
返済額が上がることだけを理由に、見直しの前に売り急ぐ必要は小さいといえます。
確かに早く売れば、上がった返済額を払う期間は短くなります。ただ、モデルの人の場合、上がる返済額は1年で約18万円です。早く売るために価格を100万円下げれば、そのほうが大きな損になります。
売る時期を決めるときは、次の3つを見ておきましょう。
- 残債と、売って手元に入るお金の差
- 売り先行か買い先行か
- 上がった返済額を払う月数
売って手元に入るお金より残債が多くなりそうな人は、足りない分の払い方を、売る前に銀行や不動産会社に相談しておくと安心です。
買い先行を選ぶ人は、見直し後の返済額で、次のローンで借りられる額を銀行に試算してもらうとよいでしょう。
売るまでの月数がわかれば、上がった返済額を払う合計が出せます。この合計が、急いで売るために下げる価格より小さければ、売り急ぐ理由は弱いといえます。
自分の残高と新しい返済額を一度計算しておけば、売る時期を落ち着いて選べます。
まとめ:4,000万円の借入なら、来年からの返済額は月約1万5,000円上がる
5年ルールで返済額が据え置かれていても、上がった金利の利息は消えずに積み上がり、2027年の見直しで返済額の値上がりとして表に出ます。2022年1月に4,000万円を借りた人なら、月約1万5,000円・年約18万円の負担増です。
まずは銀行の通知が届く前に、返済予定表の残高と今の金利から、新しい返済額を計算しておきましょう。この計算を飛ばしたまま住み替えを進めると、売るときの残債や、買い先行で次に借りられる額を多く見積もってしまいます。
あわせて、自分の契約に5年ルールがあるかを、「金利変動リスクに関する説明書」で確かめておくと安心です。住み替えのトビラでは、変動金利の5年ルールによる返済額の見直しと住み替えへの影響も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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