売り出して2か月。反響が少なく、担当者から「200万円下げましょう」と提案された。応じるべきか、応じるなら200万円が妥当なのか、下げすぎて住み替えの資金が足りなくならないか。判断の材料がないまま、返事の期限だけが迫っている。
先に答えを書きます。値下げ幅は「5〜10%」のような%で決めるものではなく、「今の価格と成約事例との差」で決まり、%は結果として出てくる数字です。その差を、検索の価格帯の境目に合わせて置き、残債と諸費用と住み替えの頭金から出した下限を割らない範囲で1回で下げる。担当者の提案は、成約事例の根拠を求めて確かめます。
この記事では、幅を決める4つの物差し、成約事例から幅を出す手順、境目と端数の置き方、そして下げすぎを防ぐ下限の決め方を順に見ていきます。
値下げ幅を決める4つの物差し
「値下げは5〜10%が目安」と多くの記事に書いてあります。ただ、4,000万円の物件なら200〜400万円と、幅が2倍あります。どちらを取るかで、手取りは200万円変わります。
| 物差し | 決まること |
|---|---|
| 成約事例との差 | 幅の中心(いくら下げるか) |
| 検索の価格帯の境目 | 幅の置き場所(どこに置くか) |
| 手取りの下限 | 下げてよい限界(どこまでか) |
| 統計上の幅 | 相場観(周りはどれだけ下げているか) |
この章では、%の目安ではなく、自分の物件の数字で幅を決める4つの物差しを整理します。
5〜10%は物差しではなく成約事例との差の結果
「5〜10%」という数字は、売り出し価格と成約価格の差が、結果としてその範囲に収まることが多い、という観察から来ています。相場観としては役に立ちますが、公的な統計が「5〜10%下げなさい」と定めた数字とは別のものです。
値下げ幅を決める物差しは、%ではなく「今の価格と、同じ条件の成約事例との差」です。自分の物件が成約事例より300万円高ければ、幅は300万円です。100万円しか高くなければ、幅は100万円で足ります。
反対に、成約事例より500万円高いのに「5%だから200万円」で止めると、まだ相場の上にいるままで、反響は少ないままです。%を先に決めるのではなく、成約事例との差を出してから、それが何%かを確かめる順番にします。
統計では3か月以内の成約の半数が値下げ5%以内に収まる
東京カンテイが2026年7月に公表した首都圏の中古マンションの調査には、売り出しから成約までの期間ごとに、最初の売り出し価格からどれだけ下がって成約したか(価格乖離率)の分布が示されています。
| 売り出しから成約までの期間 | 値下げなし | −5%以内 | −10%以内 | −10%超 |
|---|---|---|---|---|
| 1か月以内 | 49.6% | 31.4% | 11.1% | 7.9% |
| 3か月 | 17.1% | 37.1% | 26.9% | 18.9% |
| 6か月 | 6.6% | 21.6% | 34.0% | 37.8% |
2025年の首都圏の数値です。公表されている区分は「価格乖離率0%」「−5%以内」「−10%以内」「−20%以内」「−20%超」の5つで、この表の「−10%超」は「−20%以内」と「−20%超」を合計した値です(1か月以内は5.6+2.3=7.9、3か月は14.3+4.6=18.9、6か月は30.3+7.5=37.8)。
1か月以内に成約した事例は、値下げなしと−5%以内を合わせて49.6+31.4=81.0%と、8割が5%以内の値下げで成約しています。3か月で成約した事例でも、17.1+37.1=54.2%で半数を超え、−10%を超える値下げは2割弱です。
一方、6か月かかった事例では、−10%を超える値下げが約4割に増えます。反響が少ないからといって最初から10%下げる必要は薄く、3か月以内なら成約事例に届く小さな幅で足りる、というのが統計の示す相場観です。売り出しから3か月が過ぎたときの期間ごとの判断は、別の記事で扱っています。
出典: 東京カンテイ 中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)
売り出し価格の値下げと申込後の値引きは分けて考える
値下げ幅を考えるとき、混ざりやすいのが「値下げ」と「値引き」です。値下げは売り出し価格そのものを下げること、値引きは購入申込が入ったあとに買主の交渉に応じて下げることです。
両方を見込んで幅を取ると、下げすぎになります。売り出し価格を成約事例の水準まで下げたうえで、さらに申込後に100万円の値引きに応じると、成約事例より100万円安く売ることになります。
売り出し価格を成約事例に届く水準まで下げたら、その価格は「交渉前の相場」ではなく「相場そのもの」です。申込後の値引き交渉には「成約事例に合わせた価格です」と断る材料になります。値引きの余地を残したいなら、売り出し価格は成約事例より少し上に置き、その代わり値下げ幅は小さくします。どちらか一方に決めます。
値下げの効果は2週間の閲覧数と問い合わせ数で測る
値下げの幅が適切だったかは、下げたあとの反応で分かります。担当者は、ポータルサイトの業者向け管理画面で、物件ごとの閲覧数と問い合わせ数を見られます。どの項目がどう出るかはサイトごとに違うので、自分の物件がどのサイトに載っているかも含めて担当者に聞きます。
値下げの前後2週間の閲覧数、お気に入り登録数、問い合わせ数を並べて報告してもらいます。
- 閲覧数が増えて問い合わせも増えた → 幅は届いている
- 閲覧数は増えたのに問い合わせが横ばい → 価格は検索結果に入ったが、写真や条件で選ばれていない状態
- 閲覧数が横ばい → まだ検索の境目の上にいる状態
この数字を見ずに「反応が薄いからもう一段」と下げると、幅の根拠がないまま手取りが減ります。値下げの前に、比較する数字を担当者に出してもらっておきます。内覧の申込が入らないときの原因の切り分けは、別の記事で扱っています。
成約事例から値下げ幅を出す手順
値下げ幅の中心になる物差しは、成約事例との差です。この章では、成約事例をそろえ、自分の物件の価格に直し、差を出すまでの手順を4つに分けます。
- 直近半年の成約事例を3件そろえる
- ㎡単価に直して自分の広さに掛け直す
- 売り出し中の価格は物差しに使わない
- 成約事例との差がそのまま値下げ幅になる
直近半年の成約事例を3件そろえる
成約事例は、担当者に頼んで出してもらいます。宅地建物取引業法は、不動産会社が媒介契約書に書く価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない、と定めています(第34条の2第2項)。値下げの提案があったときは、この根拠として成約事例を求められます。
条件は4つです。直近半年以内の成約であること、同じマンションか近隣の似た条件のマンションであること、階数・広さ・築年が近いこと、そして「成約」であって「売り出し中」ではないことです。3件そろえば、価格のばらつきも見えます。
同じマンション内の成約事例は、いちばん近い条件の根拠になります。近隣で探すなら、駅からの距離、築年、総戸数が近い物件を選びます。担当者が「該当なし」と言うなら、条件を少し広げ、それでも出てこないなら、その会社が成約事例にもとづかない価格を提案している可能性を考えます。
㎡単価に直して自分の広さに掛け直す
成約事例は広さが違うため、価格そのものではなく㎡単価で比べます。成約価格を専有面積で割ると㎡単価が出ます。3件の㎡単価を並べ、階数や向きの違いを見て、自分の物件に近い値を選びます。
成約事例の㎡単価が75万円、自分の物件が65㎡だとします(仮の数字)。75万円×65㎡=4,875万円。今の売り出し価格が5,180万円なら、5,180万円−4,875万円=305万円が差です。㎡単価は担当者に出してもらう成約事例と査定書の数字に、専有面積は登記簿や売買契約書の数字に、今の価格は自分の売り出し価格に置き換えて計算します。
査定書にも比較事例と㎡単価が載っています。査定時の事例と今の成約事例を並べると、売り出してからの相場の動きも分かります。国土交通省の不動産情報ライブラリでは「不動産価格(取引価格・成約価格)情報」を自分でも検索できます。このうち不動産取引価格情報は、取引をした当事者へのアンケートの回答をもとに整えられたもので、担当者が見る指定流通機構の成約事例とは別のデータです。近い条件の取引が並ぶかを見て、担当者の事例と照らし合わせる使い方にします。
出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ
売り出し中の価格は物差しに使わない
ポータルサイトに並んでいる近隣の物件の価格を見て「うちと同じくらいだから下げなくてよい」と考えるのは、物差しの取り違えです。売り出し中の価格は、まだ売れていない価格です。
東日本不動産流通機構の2026年8月度の月例速報では、首都圏の中古マンションの成約㎡単価は81.60万円、売り出し中(在庫)の㎡単価は119.36万円でした。成約価格は5,129万円、在庫価格は6,939万円です。在庫には広い物件や高額物件が多く含まれるため単純な比較は避けますが、売り出し中の価格が成約価格より高い水準で並んでいることは読み取れます。
売り出し中の物件の価格に合わせると、その物件と一緒に売れ残ります。物差しは成約事例だけにします。担当者が比較に売り出し中の物件を出してきたら、成約事例に置き換えてもらいます。
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度
成約事例との差がそのまま値下げ幅になる
成約事例から出した価格と、今の売り出し価格の差が、値下げ幅の中心です。この差を1回で埋める幅を下げると、価格は成約事例の水準に届きます。
差が300万円なら300万円で、5,180万円の物件なら300÷5,180=5.79…で約5.8%です。差が100万円なら100万円で、100÷5,180=1.93…で約1.9%になります。いずれも仮の数字ですが、%は差と今の価格から出てくる結果で、先に決める数字とは別物です。
差を半分だけ埋めて様子を見る方法もありますが、その場合は「まだ相場の上」の状態が続き、閲覧している買主に「もう一段下がる」と読まれやすくなります。1回で埋めるほうが、値下げ後の反応で幅の当否がはっきり分かります。差が大きすぎて1回で埋められない(下限を割る)場合は、下限の章に進みます。
検索の境目と端数で幅を決める
成約事例との差で幅の中心が決まったら、次はその幅を「どこに置くか」です。買主はポータルサイトの価格帯で検索するため、同じ幅でも置き場所で見られる人の数が変わります。
- 検索の価格帯の境目を1つ越える幅にする
- 端数は境目のすぐ下に置く
- 小刻みな値下げは履歴が買主側に見える
- 成約事例の額と境目の額が離れるときは近い境目の下を選ぶ
検索の価格帯の境目を1つ越える幅にする
買主はポータルサイトで「5,000万円以下」「4,500万円以下」のように価格の上限を決めて検索します。この境目のすぐ上にある物件は、条件が良くても表示の外に置かれます。
5,180万円の物件を5,080万円に下げても、「5,000万円以下」で探す人の画面には出ないままです。見る人は「5,500万円以下」で探している同じ集団で、その中で順位が少し上がるだけです。4,980万円まで下げると、「5,000万円以下」で探す人に初めて届き、見る人の集団が入れ替わります。
価格帯の刻みはサイトごとに違うので、自分の物件が載っているサイトの検索画面を開き、どこに境目があるかを自分の目で確かめます。値下げ幅を決めるときは、成約事例との差で出した価格が、どの境目の下に入るかを見ます。境目を1つ越えない幅は、見る人の数が変わりにくい幅です。
端数は境目のすぐ下に置く
境目を越えるとき、置く価格は境目のすぐ下にします。5,000万円の境目なら4,980万円や4,990万円、4,500万円なら4,480万円です。
境目のすぐ下に置くと、「5,000万円以下」で探す人の一覧では上限付近に表示され、「条件のわりに手が届く」と見えやすくなります。5,000万円ちょうども「以下」の検索には入りますが、買主の目には5,000万円台と映ります。
端数の付け方は売主が決められます。目安としては、4,999万円のような細かすぎる端数は値引き前提と読まれることがあるため、80万円や90万円で止める置き方が多く使われています。
小刻みな値下げは履歴が買主側に見える
50万円ずつ何度も下げる方法は、幅の合計が同じでも結果が変わります。価格を変えた記録が残るからです。
指定流通機構(レインズ)の登録内容には「最新変更年月日」の欄があり、価格を変えると日付が入り、価格の欄も新しい額に書き換わります。他社の担当者はこの画面を見て買主に案内します。ポータルサイトでも、価格を変えた物件は表示が変わります。何度も下げた物件は、買主側に「下げてもまだ売れていない物件」と伝わり、「もう1回待てば下がる」と読まれやすくなります。
成約事例との差を1回で埋めるほうが、記録は1回で済み、値下げ後の価格が「相場に合わせた価格」として見られます。小刻みに下げる理由が「一気に下げるのが惜しい」であれば、合計の幅は同じで、記録だけが増えます。レインズの登録内容を売主が自分で確かめる手順は、別の記事で扱っています。
成約事例の額と境目の額が離れるときは近い境目の下を選ぶ
成約事例から出した価格と、検索の境目の価格がずれることがあります。成約事例が4,900万円で、境目が5,000万円のときです。
この場合、4,980万円(境目のすぐ下)に置くと、成約事例より80万円高いままです。境目には入りますが、同じ価格帯の成約事例と比べられたときに、まだ高い側にいます。優先するのは成約事例のほうで、4,900万円前後に置きます。
反対に、成約事例が5,050万円で境目が5,000万円のときは、成約事例に合わせた5,050万円では「5,000万円以下」の集団の外に置かれます。この場合は、成約事例より70万円下げて4,980万円に置くと、見る人が増えた分で70万円を取り戻せることが多くなります。成約事例に届く額を先に決め、境目はその近くで選びます。
下げすぎを防ぐ下限の決め方
値下げ幅には、下げてよい限界があります。手取りが住み替えの資金に足りなくなる価格です。この章では、下限の出し方と、担当者の提案を検証する方法、下限を割るときの別の手を整理します。
- 残債と諸費用と住み替えの頭金から下限を出す
- 値下げ提案には成約事例の根拠を求める
- 申込後の値引き分を値下げ幅に含めない
- 下限を割るなら値下げ以外の手を並べる
残債と諸費用と住み替えの頭金から下限を出す
下限は、売却の手取りが「これより少ないと困る額」です。式は、住宅ローンの残債、売却の諸費用、住み替えに必要な頭金の合計です。
諸費用は、仲介手数料、売買契約書の印紙税、抵当権抹消の登録免許税と司法書士報酬、住宅ローンの繰上返済手数料です。仲介手数料の上限は国土交通大臣の告示が定めていて、代金を区分して200万円以下の金額に5.5%、200万円を超え400万円以下の金額に4.4%、400万円を超える金額に3.3%(いずれも消費税等相当額を含む)を掛けた合計です。5,000万円で売れた場合は、200万円×5.5%+200万円×4.4%+4,600万円×3.3%=11万円+8万8,000円+151万8,000円=171万6,000円になります。印紙税は、軽減措置により契約金額1,000万円超5,000万円以下で1万円です(平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される契約書が対象)。抵当権抹消の登録免許税は登記の抹消として不動産1個につき1,000円で、土地と建物が別々に数えられる場合は2個分になります。司法書士報酬と繰上返済手数料は事務所と金融機関で幅があるため、見積書と返済予定表で自分の額を確かめます。
残債3,500万円、諸費用200万円、住み替えの頭金500万円だとします(仮の数字)。3,500万円+200万円+500万円=4,200万円が下限です。今の価格が5,180万円なら、5,180万円−4,200万円=980万円が下げられる幅の上限になります。ただし成約事例との差が300万円なら、下げる額は300万円で足ります。残債は返済予定表、諸費用は担当者の概算書と上の制度の額、頭金は住み替え先の資金計画の数字に置き換えて計算します。
下限は「ここまで下げてよい」ではなく「これを割ったら別の手に切り替える」線です。
出典: 国土交通省 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号) 出典: 国税庁 No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置 出典: e-Gov法令検索 登録免許税法 別表第一
値下げ提案には成約事例の根拠を求める
担当者からの「200万円下げましょう」という提案は、早く売るための提案として理にかなっていることが多いです。ただし、幅が妥当かは売主が確かめます。
確かめる材料は、成約事例です。不動産会社は価額または評価額について意見を述べるときに根拠を明らかにする義務があり(宅地建物取引業法34条の2第2項)、国土交通省が定める標準媒介契約約款の専任媒介契約約款第5条も「媒介価額が地価や物価の変動その他事情の変更によって不適当と認められるに至ったときは、乙は、甲に対して、媒介価額の変更について根拠を示して助言します」と書いています。「どの成約事例と比べて、いくら高いのか」を聞けば、200万円が成約事例との差から出た数字か、きりのよい数字かが分かります。
もう1つ、知っておきたいのは会社の側の損得です。仲介手数料の上限は、400万円を超える部分について価格の3.3%(税込)です。5,000万円を4,800万円にする200万円の値下げなら、減る部分はすべてこの区分に入るので、200万円×3.3%=6万6,000円が会社の報酬の減少額です。売主の200万円とは重みが違います。早く売れることは売主にも会社にも利益がある一方で、幅が妥当かを確かめる動機は売主の側に強くあります。
出典: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法 第34条の2 出典: 国土交通省 標準媒介契約約款
申込後の値引き分を値下げ幅に含めない
値下げ幅を決めるとき、「買主から値引きを言われるだろうから、その分は残しておく」と考えて、幅を小さくする人がいます。反対に、「値引きされる分も先に下げておく」と考えて、幅を大きくする人もいます。どちらも、値下げと値引きを足して考えています。
売り出し価格を成約事例の水準まで下げたら、その価格は相場そのものです。申込後に値引きを求められても、「成約事例に合わせた価格です」と根拠を示して断れます。買主側の担当者も近隣の成約事例を見られる立場なので、根拠のある価格には強い交渉をしにくくなると考えられます。
値引きの余地を残したいなら、売り出し価格を成約事例より少し上に置き、その代わり値下げ幅を小さくします。値引き分を残すのか、値下げで相場に合わせるのか、どちらか一方に決めます。両方を見込むと、成約事例より安く売ることになります。
下限を割るなら値下げ以外の手を並べる
成約事例との差が下限を割るとき、つまり相場に合わせると住み替えの資金が足りなくなるときは、値下げ以外の手を並べます。
値下げと近い効果を買主に渡す方法があります。
- 諸費用の一部負担
- エアコンや照明などの設備の残置や交換
- 引き渡し時期を買主の希望に合わせる
- ハウスクリーニングを売主負担で行う
買主にとっての価値は値下げと近い一方で、売り出し価格は変わらないため、検索結果に出る範囲はそのままです。検索の境目を越える効果を持つのは値下げのほうなので、この2つは別の手として使い分けます。
差が大きく、これらでも埋まらないなら、買取保証で期限を決めて仲介を続ける、住み替えローンで残債を新しいローンにまとめる、会社を変えて成約事例の読み方を変える、という選択肢があります。値下げのタイミングと、売れない状態が続くときの対策の全体像は、別の記事で扱っています。
まとめ:値下げ幅は%ではなく、今の価格と成約事例との差で決まる
いちばん重いのは、幅を%で決めないという点です。「5〜10%」は、売り出し価格と成約価格の差が結果としてその範囲に収まることが多い、という観察から来た目安で、自分の物件にいくら当てはめるかを決める物差しとは別のものです。物差しは、今の価格と、直近半年・同じ棟か近隣・階数と広さと築年が近い成約事例との差です。差が300万円なら300万円、100万円なら100万円で足ります。
次の一歩は、担当者に成約事例を3件出してもらい、㎡単価に直して自分の広さに掛け直すことです。不動産会社には価額について意見を述べるときに根拠を明らかにする義務があるので、値下げの提案を受けたときに頼めます。ここを飛ばして「200万円」という提案額をそのまま受けると、成約事例より下に置いてしまったり、相場の上に残って反響が戻らなかったりと、どちらの向きにも外れます。
差が出たら、残債と諸費用と住み替えの頭金を足した下限を確かめ、その内側で、検索の価格帯の境目を1つ越える額に置きます。住み替えのトビラでは、マンション売却の値下げ幅を成約事例と下限から決める手順も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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