2,000万円以下の部屋でも本気で扱ってもらえる?住み替えなら上客になれる

2,000万円以下の部屋でも本気で扱ってもらえる?住み替えなら上客になれる

「うちの部屋は安いから、不動産会社に後回しにされるのでは」と心配する人もいるでしょう。

たしかに2,000万円の部屋の仲介手数料は、首都圏の平均的な部屋の約4割です。それでも住み替えなら、売りと買いを合わせて平均以上の手数料を払うお客さんになれます。

2,000万円以下のマンションを売って住み替える人に向けて、本気で売ってもらうための準備と、安く売らされないための確かめ方を紹介します。

2,000万円の部屋の仲介手数料は平均的な部屋の約4割。「後回し」が起きる理由

2,000万円以下の部屋は、売れても不動産会社の収入が少ないので、後回しにされるという不安には理由があります。

ただ、こうした部屋は今も首都圏で年1万件以上売れています。担当者が部屋をどう扱うかは、価格のほかに、売れるまでの速さや手間でも変わります。

この記事の金額は、次の仮の例で計算しています。自分の部屋の数字に置き換えて読むと、手元のお金の目安がわかります。

この記事で使う例(仮の数字)
  • 売る部屋は、築38年・52㎡の中古マンション(1,600万円で売れる見込み)
  • 次の家は、4,000万円の物件を買う予定
  • 売ることと買うことを、同じ時期に進めたい

2,000万円と5,300万円の部屋では、仲介手数料に約2.5倍の差がある

首都圏の平均的な5,300万円の部屋を売ると、仲介手数料は2,000万円の部屋を売ったときの約2.5倍になります。

不動産会社の収入は、売買が成立したときに受け取る仲介手数料です。部屋が売れるまでは、担当者がどれだけ働いても会社の収入は0円です。

仲介手数料の上限は、法律にもとづく国の告示で決まっています。400万円を超える部屋の上限を計算しやすい形にすると、「売れた価格×3%+6万円」に消費税を足した額になります。

実際の手数料も、この上限の額になるのが一般的です。売れた価格ごとに上限を計算すると、次の表のとおりです。

売れた価格仲介手数料の上限(税込)
1,000万円39.6万円
1,600万円(この記事の例)59.4万円
2,000万円72.6万円
5,300万円(首都圏の平均)181.5万円

5,300万円は、2025年度に首都圏で売れた中古マンションの平均価格(5,322万円)を丸めた値です。消費税は10%で計算しています。

自分の部屋で計算する式

仲介手数料の上限(税込)=(売れた価格×3%+6万円)×1.1

例えば1,600万円で売れたら、(48万円+6万円)×1.1=59.4万円です。

実際の手数料の額は、不動産会社と結ぶ媒介契約書で確かめられます。

なお、800万円以下の部屋には特例があります。2024年7月1日からは、媒介契約(不動産会社に売却を任せる契約)を結ぶ前に説明を受けて合意すると、仲介手数料の上限が税込33万円になる場合があります。この特例は、以前は400万円以下の物件が対象で、上限は税込19.8万円でした。

一方で、部屋を売るためにかかる担当者の手間は、価格が安くても高くてもほぼ同じです。

例えば担当者は、写真を撮って広告を出し、問い合わせに答えて、内見に立ち会います。条件の話し合いや契約の書類づくりにも、価格に関係なく同じ手間がかかります。

つまり不動産会社から見ると、安い部屋は同じ手間をかけても入るお金が少ないのです。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第46条(報酬)

出典: 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(令和6年7月1日施行)

出典: 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」新旧対照表

出典: 東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ 2025年度」表1-① 中古マンションの基本指標[首都圏]

2,000万円以下の部屋も年1万件以上売れるが、売り出し件数に対して売れるのは2割強

首都圏で2,000万円以下の中古マンションは、2025年度も11,070件売れています。

2,000万円以下の部屋が売れた件数と割合を、10年前と比べると次のとおりです。数字は、不動産会社どうしが物件の情報を共有する「レインズ」の統計です。

首都圏の中古マンション2015年度2025年度
2,000万円以下で売れた件数13,361件11,070件
売れた部屋全体に占める割合38.1%22.4%

10年で割合は大きく下がりましたが、売れた件数の減り方は2割弱にとどまります。割合が下がったのは、高い部屋の取引が大きく増えたためです。

2,000万円以下で売れた部屋について、平均の築年数と広さを見ると次のとおりです。

売れた価格平均の築年数平均の広さ
1,000万円以下44.5年48.8㎡
1,000万円超〜2,000万円以下39.1年55.9㎡

どちらの価格帯も、平均で築40年前後の古い部屋です。こうした部屋の買い手には、初めて家を買う人や人に貸すために買う人、リフォームして売り直す業者などが考えられます。

ただし、売れ残りやすさには価格による差があります。2025年度に売れた件数を、新しく売りに出された件数で割ると、価格帯ごとの割合は次のとおりです。

価格帯売りに出された件数に対する売れた件数の割合
2,000万円以下22.5%
2,000万円超〜3,000万円以下20.9%
3,000万円超〜4,000万円以下26.5%
4,000万円超〜5,000万円以下32.0%
5,000万円超〜7,000万円以下37.4%
7,000万円超〜1億円以下38.1%
1億円超〜2億円以下28.3%
2億円超11.2%

3,000万円以下の価格帯では売れた件数の割合が2割強で、5,000万円超〜1億円以下の4割近くより低くなっています。

表の割合は、売れた件数を売りに出された件数で割った目安なので、1つの部屋が売れる確率とは違います。安い部屋には古い部屋が多いので、売れにくさには古さも関わっていると考えられます。

なお、これは首都圏の数字です。2,000万円以下の取引が中心になる地方では、事情が違うこともあります。また、東日本不動産流通機構は、2025年1月以降のシステムの改修が成約件数に影響している可能性があるとしています。

2,000万円以下の部屋を売るなら、売れるまでに時間がかかることも見込んで、住み替えの日程を組んでおくと安心です。

出典: 東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ 2025年度」表7-① 中古マンションの価格帯別状況[首都圏]

出典: 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年度)」

担当者は価格のほかに、売れるまでの速さと手間も見ている

安い部屋でも、早く売れて手間が少なければ、担当者にとって割に合う仕事になります。

担当者は部屋を任されたとき、次の3つの点を見ています。

担当者が見る点担当者が考えること
価格売れたときに、いくら手数料が入るか
速さどのくらいの期間で売れそうか
手間売れるまでに、どれだけ苦労しそうか

早く売れて手間が少ない部屋とは、例えば駅に近くて買い手が多い部屋や、管理がしっかりしたマンションの部屋です。

反対に、売れるまでに時間も手間もかかりそうな部屋は、後回しにされやすくなります。例えば次のような部屋です。

  • 売主の希望価格が相場より高すぎる
  • 修繕積立金が足りず、値上げが心配なマンションにある
  • 売るのに必要な書類が欠けている
  • 売主と連絡が取りにくい

こうした部屋を任されると、担当者は苦労のわりに売れる見込みが立ちにくいと考えがちです。

部屋の価格は売主が変えにくくても、売れるまでの速さと手間は、売主の準備や動き方で変えられます。

後回しより怖いのは、相場より安く早く売らされること

安い部屋ほど、不動産会社は自社の収入を増やすために、他社の買い手を断ったり、買取をすすめたりすることがあります。

どちらも、売主が相場より安く売ることにつながります。

囲い込みは、両手取引にしたい会社が他社の買い手を断ることで起きる

囲い込みは、不動産会社が「両手取引」にしたいあまり、他社が連れてきた買い手を断ることで起きます。

両手取引とは、同じ会社が売主と買主の両方を担当し、両方から手数料を受け取ることです。両手取引そのものは、法律で認められています。

2,000万円の部屋なら、売主からの手数料は72.6万円ですが、両手なら合わせて145.2万円になります。安い部屋は片方からの手数料が少ないので、会社が「どうせなら両手で」と考えることがあります。

囲い込みでは、例えば次のようなことが起きます。

  • 他社から紹介の連絡が来ても、「もう商談中です」とうそをつく
  • 自社で買い手を見つけるまで、物件の情報を止めておく

囲い込みをされると、売主は他社が見つけた買い手と出会う機会を失います。問い合わせが少ないまま値下げを迫られれば、相場より安く売ることにもつながります。

買取は仲介より安い。相場の7〜8割なら、1,600万円の部屋で300万円以上下がる

不動産会社や買取業者に部屋を直接買ってもらう「買取」では、売値が仲介で売る相場より低くなります。

買取業者は、買った部屋をリフォームして売り直し、その差で利益を出します。そのため買取の価格は、リフォームの費用や業者の利益を差し引いた額になります。

買取の価格は業者や部屋によって違います。ここでは仮に相場の7〜8割として、この記事の例で仲介と比べると次のとおりです。

仲介で売る買取で売る(相場の7〜8割と仮定)
売れる価格1,600万円1,120万〜1,280万円
仲介手数料59.4万円0円
手元に入る額約1,541万円1,120万〜1,280万円
仲介との差―約260万〜420万円少ない

※ローンの返済や税金、登記の費用などを引く前の金額です。

自分の部屋で比べる式

仲介で手元に入る額=相場-仲介手数料

買取で手元に入る額=買取業者の見積もり額

2つの差=仲介で手元に入る額-買取で手元に入る額

買取の割合は仮の値です。実際の額は、買取業者から受け取る見積もりで確かめられます。

買取は早く売れるので、住み替えの期限が迫っているときには助けになります。ただ、買取にすると、仲介会社も広告や内見の手間が省けて、早く仕事を終えられます。

2,000万円以下の部屋には、買取業者が安く買ってリフォームし、売り直しやすい築40年前後の部屋が多くあります。

つまり、売主には損な買取でも、仲介会社と買取業者には得になることがあります。

売り出してすぐに値下げや買取をすすめられたら、次の3つを担当者に聞いておくと安心です。

値下げや買取をすすめられたときに聞くこと
  • 売り出して日が浅いのに、今すすめる理由
  • すすめる根拠の数字(問い合わせや内見の件数、近くの似た部屋の売れ行き)
  • ほかの買取業者の見積もり(買取をすすめられたとき)

担当者の答えがあいまいなら、売主の得より担当者の都合で話が進んでいることも考えられます。

囲い込みされていないか、レインズの売主用の画面で確かめる

売主は、レインズの売主用の確認画面で、自分の部屋を他社が紹介できる状態になっているかを確かめられます。

レインズは、不動産会社どうしが物件の情報を共有する仕組みです。売主が1社だけに売却を任せる契約を結ぶと、その会社には部屋の情報をレインズに登録する義務があります。

この契約を、専任媒介や専属専任媒介といいます。不動産会社はレインズに登録したあと、売主に「登録証明書」を渡します。登録証明書の受け取りがまだなら、担当者に早めに出してもらうと安心です。

2025年1月からは、不動産会社が部屋の取引状況も登録することになりました。取引状況は、次の3つのどれかで表示されます。

  • 公開中
  • 書面による購入申込みあり
  • 売主都合で一時紹介停止中

登録証明書には、売主用の確認画面に入るためのQRコードやID・パスワードが書かれています。この画面で、自分の部屋の取引状況を見ておきましょう。

確認画面の対象は、専任媒介と専属専任媒介の部屋です。登録した取引状況が画面に出るまでに、2日ほどかかることがあります。

確認画面に次のような表示が出ていたら、囲い込みが疑われます。

  • 購入の申し込みがないのに「書面による購入申込みあり」
  • 頼んでいないのに「売主都合で一時紹介停止中」

国土交通省は、取引状況を事実と違う内容で登録した会社は指示処分(宅地建物取引業法にもとづく行政処分)の対象になるとしています。こうした表示を見つけたら、担当者に理由を聞き、答えをメールで残しておくとよいでしょう。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第34条の2(媒介契約)

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」第15条の11(指定流通機構への登録事項)

出典: 国土交通省「レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました!」(令和6年12月24日)

出典: 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(第34条の2関係)

出典: 東日本不動産流通機構「売却依頼主様向け説明ページ」

住み替えの売主は、不動産会社にとって上客になれる

住み替えをする人は、今の部屋を売るのに加えて次の家も買うので、不動産会社にとって手数料の大きいお客さんになれます。

この立場を生かすには、書類の準備と、売りの査定をほかの会社と比べることも大切です。

売りと買いを合わせた手数料は198万円で、5,300万円の部屋を売る人より多い

この記事の例で売りと買いを同じ会社に頼むと、会社に入る仲介手数料は合わせて198万円になります。

家を買うときも、仲介した会社に手数料を払うためです。この手数料を、5,300万円の部屋を売るだけの人と比べると次のとおりです。

価格仲介手数料(税込)
今の部屋を売る1,600万円59.4万円
次の家を買う4,000万円138.6万円
合計―198万円
5,300万円の部屋を売るだけの人(比べる相手)5,300万円181.5万円

手数料は上限の額(売れた価格×3%+6万円に消費税10%)で計算しています。自分の場合は、売る部屋と買う家の価格をそれぞれこの式に入れて足すと、合計の目安がわかります。

会社から見れば、住み替えの売主は、首都圏の平均的な部屋を売る人より多くの手数料を払うお客さんです。

ただし、担当者がこの手数料を見込めるのは、売主が次の家も買うと知ってからです。そこで査定を頼むときに、住み替えで次の家を探していることと、おおよその予算を伝えておきましょう。

例えば「住み替えで、次の家も探しています。予算は4,000万円くらいです」と話しておくと、担当者は買いの仕事も任される見込みがあるとわかります。

出典: 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(令和6年7月1日施行)

書類と条件を先に用意して、手間の少ない客になる

査定を頼む前に書類と売る条件を用意しておけば、担当者にとって手間の少ない売主になれます。

担当者は部屋の価格に加えて、売れるまでにかかる手間も見ているためです。売り出す前に担当者が調べることの多くは、売主の手元の書類でわかります。

査定の前に用意しておきたい書類は、次のとおりです。

査定の前に用意しておきたい書類
  • 買ったときの売買契約書と重要事項説明書
  • 登記識別情報(古い場合は登記済証=権利証)
  • 管理規約・使用細則
  • 長期修繕計画と、最近の総会の議事録
  • 管理費・修繕積立金の額がわかる書類
  • 固定資産税の納税通知書
  • 住宅ローンの返済予定表(残りの額がわかるもの)
  • 部屋の中でリフォームした場所と時期のメモ

書類が手元にあれば、担当者が調べる時間は短くなります。後から「修繕積立金が上がる予定だった」といった話が出て、買い手との契約がこじれる心配も小さくなります。

一方で、売る前のリフォームは基本的に不要です。2,000万円以下の部屋の買い手は、自分でリフォームするつもりで買うことが多いからです。リフォームにかけた費用を、売値に上乗せして取り戻すのも難しいといえます。

書類に加えて、売る条件も先に決めておくとよいでしょう。

  • 売却の期限
  • 値下げしてもよい最低の価格
  • ローンを返し切るのに必要な額

この3つが決まっていれば、担当者は値下げの相談や買い手との条件の話し合いをすぐに進められます。

売りと買いを1社にまとめる前に、売りの査定は複数の会社で比べる

売りの査定は3社ほどに頼み、査定額の根拠を見比べてから、売りと買いを任せる会社を決めるとよいでしょう。

売りと買いを最初から1社にまとめると、売主が困ることが2つあるためです。

1つ目は、相場より安い売り出し価格をすすめられても気づきにくいことです。会社にとっては、売りを早く終わらせて買いの契約に進むほうが得なので、安めの価格で早く売ろうとすることがあります。

ほかの会社の査定があれば、その価格が安すぎることに気づけます。

2つ目は、買う家の選択肢が狭まるおそれがあることです。担当者が、自分の会社で売却を任されている物件ばかりをすすめてくることもあります。

買う家を探すときは、住宅情報サイトでほかの会社が扱う物件も見ておきましょう。すすめられた物件の値段や条件が相場より高いときに、自分で気づけます。

売りと買いを同じ会社にまとめるかは、査定を比べたあとで考えれば十分です。

本気の会社と担当者は、査定のときの質問と契約の中身で見抜く

本気で売ってくれる会社は、売った実績や売り方の計画を聞かれると、具体的な数字で答えられます。

会社ごとの答えを比べ、契約で約束した販売活動を書面に残しておけば、後回しや囲い込みの心配を小さくできます。

「この地域、この価格帯で、最近何件売りましたか」

最初に、自分の部屋がある地域で同じ価格帯の部屋を最近何件売ったかを聞くと、その会社が安い部屋を売り慣れているかがわかります。

その地域で2,000万円以下の部屋を日ごろから売っている会社にとって、こうした部屋は大事な商品です。売り慣れている会社なら、具体的な数字と事例で答えられます。

会社の答えがあいまいなら、その価格帯で売った経験が少ないと考えられます。良い答えと気をつけたい答えの例は、次のとおりです。

答えの例
良い答え「この1年で、近くのマンションを3件売りました。1,500万〜1,900万円で、売り出しから2〜3か月で決まっています」
気をつけたい答え「たくさん扱っています」「この辺りならすぐ売れますよ」

あわせて、「そのうち、他社が見つけた買い手で決まったのは何件ですか」とも聞いておきたいところです。

いつも自社で買い手を見つけている会社は、売主と買主の両方から手数料を受け取る「両手取引」を好むとも考えられます。他社の買い手とよく取引している会社なら、「囲い込み」(他社の買い手を断ること)の心配は小さいといえます。

この件数を聞いておくと、その会社が自社の都合を優先しがちかを、ある程度判断できます。

査定額より「誰に、いくらで、何か月で売るか」を聞く

複数の会社の査定を比べるときは、査定額の高さより、誰にいくらで何か月で売るかという計画を見比べるとよいでしょう。

査定額は「この値段で売り出しましょう」という会社の提案で、売れる価格の約束とは違うためです。中には、契約を取りたくて高めの査定額を出し、売り出してから値下げを求める会社もあります。

3つの質問ごとに、良い答えと気をつけたい答えを並べると次のとおりです。

聞くこと良い答え気をつけたい答え
誰に売るか「初めて家を買う単身の人や、リフォーム前提の家族を狙います」「幅広く募集します」
いくらで売るか「近くの似た部屋は1,550万円で売れています。1,680万円で売り出し、1,600万円前後で決まる見込みです」「1,900万円で売れます」(根拠の説明が抜けている)
何か月で売るか「3か月が目安です。1か月半たって内見が少なければ、価格を見直しましょう」「売れるまで頑張ります」

表の答えの金額は、この記事の例に合わせた仮の数字です。

近くで実際に売れた部屋の値段を根拠に示す会社は、売れる値段を現実的に考えています。査定額が少し低くても、こうした会社を選ぶほうが、値下げを重ねて時間を失う心配は小さくなります。

会社ごとに3つの答えをメモして並べると、どの会社が自分の部屋の売り方を具体的に考えてくれたかがわかります。

契約の期間は3か月にし、販売活動の約束は書面に残す

買い手が多い部屋を除けば、1社に売却を任せる「専任媒介」を、3か月の期間で結ぶのがおすすめです。

専任媒介を含む「媒介契約」は、不動産会社に売却を任せる契約です。3つの種類の主な違いは、次の表のとおりです。

一般媒介専任媒介専属専任媒介
頼める会社の数何社でも1社だけ1社だけ
自分で見つけた買い手との契約直接契約できる直接契約できる会社を通して契約する
レインズへの登録任意7日以内(休業日を除く)5日以内(休業日を除く)
売主への報告任意2週間に1回以上1週間に1回以上
契約期間法律では自由(国の標準媒介契約約款では3か月以内)3か月以内3か月以内

一般媒介なら、複数の会社を競わせられます。ただ、各社は他社に先に売られると手数料が0円になるので、力の入れ方が弱くなることがあります。

駅に近いなど買い手が多い部屋なら、一般媒介でも買い手は見つかりやすいでしょう。それ以外の部屋なら、任された1社が手数料を見込める専任媒介のほうが、会社も力を入れやすくなります。

専任媒介にしたら、会社から受け取るレインズの登録証明書を使って、部屋の取引状況もときどき確かめておくと安心です。

どの契約でも、会社が約束した販売活動の中身は、書面やメールで残しておきたいところです。

書面に残しておきたい約束
  • 物件を載せる住宅情報サイトの名前
  • 写真の枚数と間取り図の用意
  • 価格を見直す時期と、その条件
  • 報告に書く中身(サイトでの閲覧数・問い合わせ数・内見数・内見した人の感想)

こうした約束を書面にしておけば、報告の中身が足りないときに、担当者へ具体的に改善を頼めます。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第34条の2(媒介契約)

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」第15条の10(指定流通機構への登録)

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(令和6年4月1日施行)

3か月たっても問い合わせが少ないなら、担当の交代か会社の乗り換えを

問い合わせや内見が3か月たっても少ないときは、担当者を替えてもらうか、別の会社に移るとよいでしょう。

問い合わせが何件なら少ないかは、部屋や地域によって違います。そこで住宅情報サイトで、同じマンションや近くの似た部屋がどのくらいの期間で売れているかを見ておきましょう。

似た部屋が次々に売れているのに、自分の部屋だけ問い合わせが少ないなら、売り方か担当者に問題があると考えられます。その場合は、次の順番で手を打つのがおすすめです。

  1. 担当者に原因と改善策を聞く
  2. 答えがあいまいなら、店長などに担当の交代を頼む
  3. 契約期間が終わったら、別の会社に移る
  4. 住み替えの期限が迫ったときだけ、買取を考える

別の会社に移るのは、契約期間が終わってからが基本です。会社の責任ではない理由で専任媒介を途中でやめると、それまでにかかった費用を請求されることがあります。請求できる額は、約束した仲介手数料の額が上限です。

一方、会社が契約で約束した報告などを守らないときは、期限を決めて守るよう求めることができます。それでも守られなければ、途中でも契約を解除できます。

買取は仲介より手元に入る額が大きく減ります。選ぶときは、複数の買取業者から見積もりを取って比べておくと安心です。

安い部屋でも、売主が手数料や売れ行きの数字を知り、会社との約束を書面にしておけば、後回しにされる心配はぐっと減ります。

出典: 国土交通省「標準媒介契約約款」(令和6年4月1日施行)

まとめ:2,000万円以下の部屋でも、住み替えの売主なら本気で扱ってもらえる

2,000万円以下の部屋は手数料が少ないぶん、後回しの心配があります。それでも住み替えの売主は、売りと買いを合わせて平均以上の手数料を払う上客になれます。本当に気をつけたいのは、後回しより、囲い込みや早すぎる買取で相場より安く売らされることです。

まずは売りの査定を3社ほどに頼み、住み替えで次の家も探していると伝えたうえで、誰にいくらで何か月で売るかを聞いておきましょう。1社の査定だけで決めると、相場より安い売り出し価格をすすめられても比べる相手がいないまま売ることになります。

専任媒介を結んだら、登録証明書を使ってレインズで自分の部屋の取引状況を確かめておくと安心です。住み替えのトビラでは、2,000万円以下のマンションを本気で売ってもらう方法も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。