築古マンション売却|「古いから売れない」を覆す売れる条件

築古マンション売却|「古いから売れない」を覆す売れる条件

築年数の経ったマンションを手放そうとするとき、古さそのものが値を下げると思われがちです。

売れるかどうかを分けるのは、築年数そのものではありません。建物の管理の状態や耐震の区分などを自分の建物に当てはめれば、売り方を選べます。

あえて築30年を超えた住まいを選ぶ買い手の顔ぶれ、耐震の分かれ目、管理の状態の確かめ方と、5つの軸での自己診断までを説明します。

築古マンションは売れる|「古いから売れない」を覆す買い手の正体

築30年を超えたマンションでも、買い手は現にいます。

首都圏では築20年を超える中古マンションが成約の約6割を占めており、あえて築古を選ぶ理由を持つ買い手は一定数います。売れやすさは築年数だけで決まりません。この章では、自分の物件がどの条件で売れるかを見極める入り口に立ちます。

築古マンションをあえて選ぶのは誰か|リノベ前提の実需・投資家・現金客

築古マンションには、新築や築浅にはない理由で選ぶ買い手がいます。

最も多いのは、中古を買って自分好みに改装したい実需層です。首都圏の中古マンションの成約価格は、2025年に5,200万円まで上がり、13年連続の上昇となりました。新築の価格が届かない層が中古へ向かう流れがあり、築古は価格がこなれている分、改装に予算を回しやすく、この層に選ばれます。

ただし、「リノベーション前提の購入がどれだけ増えたか」を集計した公的統計・業界団体統計は確認できていません。買い手の層としてこうした動きがあることは、市場の説明としては広く語られますが、割合で示せる数字ではない点はお断りしておきます。

出典: 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」

賃貸運用を目的とする投資家も、築古の買い手の一角です。購入価格が下がるほど家賃に対する利回りは高くなりやすく、現金で手早く取得できる築古は投資対象になります。自用の買い手とは違う基準で物件を見るため、実需では敬遠されがちな物件にも需要が生まれます。

住宅ローンを使わない現金客も見過ごせません。築古や旧耐震はローン審査が通りにくい場面があり、その需要を現金客が引き受けています。ローンの制約を受けないため、価格と条件が折り合えば成約までが早いのも特徴です。

実需・投資家・現金客という3つの層が同時に動いているため、「買い手がいない」という前提は市場の実態と合いません。自分の物件がこのうちどの買い手に向いているかを考えると、売り方の方向がつかめます。

価格が下がりきった築古マンションほど、買い手の裾野は広がる

価格がこなれた築古は、予算の合う買い手の母数が増えます。

中古マンションの成約価格は築年数とともに下がり、築古は新築や築浅より手の届く価格帯に収まります。価格が下がるほど予算の上限に届かない買い手が増え、検討できる人の数そのものが多くなります。

首都圏の2025年のデータにも、その傾向が表れています。

築年帯成約価格成約㎡単価成約専有面積
築0〜5年8,666万円143.64万円/㎡60.33㎡
築6〜10年8,201万円131.94万円/㎡62.16㎡
築11〜15年7,335万円114.11万円/㎡64.28㎡
築16〜20年6,709万円99.13万円/㎡67.68㎡
築21〜25年6,075万円86.10万円/㎡70.56㎡
築26〜30年4,286万円64.45万円/㎡66.51㎡
築31〜35年2,638万円44.14万円/㎡59.77㎡
築36〜40年2,761万円40.40万円/㎡58.13㎡
築41年〜2,558万円47.50万円/㎡56.88㎡

気をつけたいのは、これが同じ物件の値下がりを追った表ではないという点です。築0〜5年の成約物件と築41年〜の成約物件は別の物件群で、立地も面積も違います。実際、成約専有面積は築21〜25年の70.56㎡が最も広く、築41年〜では56.88㎡まで小さくなります。価格の差には面積の差が混ざっているため、価格と㎡単価は分けて見てください。

もう一つ、価格は築年数に対してまっすぐには下がりません。築31〜35年(2,638万円)より築36〜40年(2,761万円)のほうが高く、㎡単価も築41年〜(47.50万円/㎡)が築36〜40年(40.40万円/㎡)を上回ります。首都圏の値であり、全国の値ではありません。

出典: 東日本不動産流通機構 REINS TOPIC「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」5ページ 図表6

築古が動いていることは、成約の構成にも表れています。2025年の首都圏の中古マンションでは、成約物件の平均築年数が26.58年、築20年超が成約全体の60.3%を占めました。築41年〜の成約価格は2,558万円で、2,000万円台に収まります。この価格帯は予算の限られた実需や投資家が動きやすく、買い手の数は決して少なくありません。実際、築41年〜の対新規登録成約率(成約件数÷新規登録件数)は、2024年の13.2%から2025年は20.9%へ上がっています。

出典: 東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」

つまり「価格が下がった=売れない」ではなく、「価格が下がったから届く買い手が増える」と捉え直せます。自分の物件がどの価格帯に入るかを知ると、狙える買い手の層が見えてきます。

売れる築古マンションと売れない築古マンションを分けるのは「築年数」ではない

売れる築古と売れない築古を分けるのは、築年数そのものではありません。

同じ築40年でも、すぐ買い手がつく物件と長く売れ残る物件があります。違いを生むのは、耐震性、管理の状態、専有部の傷み具合、立地、そして相続か自用かという条件です。築年数は入り口の目安にすぎません。

この先は、その分かれ目を順に確かめていきます。まず旧耐震か新耐震か、次に管理の良し悪し、最後に5つの軸での自己診断へと進みます。読み進めるほど、自分の物件がどこに当てはまるかが判断しやすくなります。

旧耐震か新耐震かで、築古マンションの売却は大きく変わる

旧耐震でも売れますが、まず自分のマンションがどちらかを確かめることが出発点です。

マンションの旧耐震は、建て替えの問題というより買い手のローン事情として影響します。新耐震との分かれ目を確かめ、自分の物件がどちらかを見極めたうえで、旧耐震なりの売り方まで考えます。

あなたのマンションは旧耐震か|分かれ目は1981年5月31日以前に建築確認を受けたか

「築30年だから旧耐震」という思い込みは、まず外して構いません。

新耐震基準が始まったのは1981年6月1日です。建築確認をこの日以降に受けていれば新耐震、5月31日以前なら旧耐震に分かれます。築年数ではなく建築確認の日で決まるため、1980年代前半に建った物件は必ず確認日を確かめてください。

区分建築確認を受けた日
旧耐震1981年5月31日以前
新耐震1981年6月1日以降

注意したいのは、判断の基準が竣工日ではなく建築確認日という点です。マンションは確認から完成まで1年ほどかかることもあり、登記事項証明書や検査済証で確認日を確かめると確実です。

出典: SUUMO「新耐震基準はいつから?旧耐震との違いと確認方法」

旧耐震の築古マンションは買い手の住宅ローンが組みにくく層が偏る

旧耐震が売却に影響する最大の理由は、買い手のローンが通りにくくなることです。

住宅ローン控除は、中古住宅の場合、昭和57年(1982年)1月1日以後に建築された住宅であれば原則として対象になります。旧耐震はこの日付より前のため、原則として控除の対象から外れ、耐震基準適合証明書などで適合を示す必要があります。ただし旧耐震は証明書が発行されにくく、買い手にとって税の負担が重くなります。

なお、令和8年から令和12年に入居する場合の借入限度額は、中古(既存住宅)でも省エネの区分で変わります。認定長期優良住宅・認定低炭素住宅とZEH水準省エネ住宅は3,500万円、省エネ基準適合住宅は2,000万円で、控除期間はいずれも13年です。区分に当たらない「その他の住宅」は2,000万円・10年になります。

出典: 国税庁 タックスアンサー No.1211-3「中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」/財務省「令和8年度 税制改正の解説」

全期間固定のフラット35も、中古マンションでは適合証明書が必要です。建築確認が1981年6月以降なら審査が通りやすい一方、旧耐震は調査の結果しだいで発行されないこともあります。民間ローンでも担保評価は低めに出やすく、融資の条件は厳しくなりがちです。

出典: フラット35「中古住宅の適合証明(物件検査)を省略できる場合」

こうしたローンの制約から、旧耐震の買い手は現金客や投資家へと偏ります。住宅ローン前提の実需が動きにくいため、価格の付き方や売り方そのものが新耐震とは変わってきます。

マンション売却の全7ステップ|流れ・期間・注意点を時系列で解説 マンション売却の全7ステップ|流れ・期間・注意点を時系列で解説

耐震改修は個人で決められない|区分所有だからこその注意点と売り方の工夫

旧耐震でも、売り方しだいで出口はあります。

マンションの耐震改修は、管理組合の合意がなければ進められません。専有部だけを直しても建物全体の耐震性は変わらず、一人の判断で「新耐震にしてから売る」という選択は取りにくいのが実情です。

そのため現実的なのは、現況のまま価格に織り込んで売る方法です。ローンを使わない現金客や投資家に向けて、相場より控えめな価格で出すと動きやすくなります。売却の期日を優先するなら、買取で確実に現金化する選択肢もあります。

旧耐震は不利な条件には違いありませんが、買い手と売り方を選べば成約に届きます。自分の物件が現況向きか買取向きかは、次に見る管理の状態と合わせて考えると判断しやすくなります。

築古マンションは「管理」を売る|価格を左右する管理状態と修繕積立金

築古ほど、買い手が見るのは建物の古さよりも管理の良し悪しです。

同じ築年数でも、管理が行き届いたマンションは買い手の安心につながり、価格を保ちます。管理組合の状態と修繕積立金を切り口に、自分のマンションの管理が売り物になるかを確かめます。

築古ほど買い手は「建物の古さ」より「管理の良し悪し」を見る

築古の評価は、築年数よりも管理の状態で大きく動きます。

買い手が築古で不安に思うのは、これから先きちんと維持されるかどうかです。管理組合がきちんと運営され、大規模修繕が計画どおり行われてきたマンションは、その不安を和らげ、価格の下支えになります。

反対に、修繕の履歴があいまいで管理がゆるいと、同じ築年数でも買い手は身構えます。「マンションは管理を買え」と言われるのは、築古になるほど管理の差が住み心地と資産価値に表れるからです。

修繕積立金の不足・滞納・値上げが築古マンションの売却価格に響く理由

修繕積立金の状態は、築古マンションの価格を直接動かします。

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、長期修繕計画を定めて積み立てているマンションのうち、「現在の修繕積立金の残高が計画に対して不足している」と答えたのは36.6%でした(回答1,402件)。「不足していない」は39.9%で、残る23.5%は「不明」です。前回(平成30年度)の34.8%から増えています。「不明」が4件に1件近くある点も含めて、買い手は不安を感じます。不足は将来の一時金や値上げにつながるため、買い手は購入後の負担を警戒します。

滞納も見えにくいリスクです。同じ調査で、管理費または修繕積立金の3か月以上の滞納が「ある」と答えた管理組合は30.1%でした(回答1,589件)。「ない」は62.1%です。滞納住戸の割合は「1%以下」が7.2%、「1%超2%以下」が10.1%と、少数にとどまる組合が多い一方、築年数が古いマンションほど滞納がある割合は高くなります。滞納が多いと修繕費が計画どおり集まらず、買い手の不安材料になります。

建設費の上昇を受けて、積立金の値上げを控えている築古も少なくありません。月々の負担が今後増えると分かれば、買い手はその分を値引きの材料として見ます。

出典: 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」(概要編とりまとめ報道発表

こうした積立金の事情は、売り出し前に把握しておくほど価格交渉で受け身になりません。自分のマンションの積立金が足りているか、滞納はないかを早めに確かめておくと安心です。

自分のマンションの管理状態を確認する方法|長期修繕計画・積立金残高・議事録

管理の状態は、売り出し前に自分で確かめられます。

確認するのは、主に次の3点です。

  • 長期修繕計画 直近で見直されているか
  • 修繕積立金の残高 計画額に見合っているか
  • 総会の議事録 修繕や滞納がどう扱われているか

これらは管理組合や管理会社に請求すれば入手できます。揃えた資料は、そのまま買い手に示せる安心材料になります。管理が健全だと数字で示せれば、築古であっても価格の交渉で強い立場に立てます。

あなたの築古マンションは「売れる築古」か|売却前の自己診断チェックリスト

ここまでの見立てを束ねると、自分の築古が売れるかを総合的に判断できます。

耐震と管理に、専有部・立地・相続か自用かを加えた5つの軸で物件を点検します。どこが強みでどこが弱点かを切り分け、補える点と補えない点を見極めて、次の売り方につなげます。

5つの軸で自分の物件をチェックする|耐震・管理・専有部の状態・立地・相続か自用か

売れる築古かどうかは、次の5つの軸を順に当てはめると見えてきます。

売れやすい方向確かめ方
耐震新耐震建築確認日(1981年6月以降か)
管理計画・積立金が健全長期修繕計画・積立金残高
専有部の状態水回りや設備が使える室内の傷み・設備の古さ
立地駅近・需要のある地域最寄り駅からの距離
相続か自用か使える特例が変わる物件を得た経緯

耐震と管理は、これまで見たとおりです。専有部は、買い手がリノベ前提でも最低限の状態を見ます。水回りや設備が使えるか、傷みがどの程度かで、買い手の改装費の見積もりが変わります。

立地は、築年数では補えない軸です。駅から近く需要のある地域なら、築古でも買い手はつきやすく、価格も底堅くなります。

相続か自用かは、使える税の特例や売り急ぎの事情に関わり、出口の選び方を左右します。5つを通して見れば、自分の物件の強みと弱点が見分けられます。

弱点が見つかったら|売り出し前に補えること・補えないこと

弱点は、売り出し前に補えるものと、補えないものに分かれます。

補えるのは、管理資料の開示、専有部の最低限の手入れ、相場に合わせた価格設定です。とくに資料を揃えて買い手の不安を先回りで消すことは、費用をかけずにできます。

一方で、立地と耐震の区分は後から変えられません。補えない弱点は価格と売り方でカバーする前提に切り替え、次は診断結果に合った出口を考えます。

診断結果から考える、築古マンションの売り方と次の一歩

診断ができたら、次の一歩は査定で実際の売却見込みをつかむことです。

物件のタイプごとに向く売り方は変わります。現況での仲介、リノベ済での販売、買取という選択肢を整理し、相続時の税の注意点に触れたうえで、複数社の査定で見込みを比べる段階へ進みます。

物件タイプ別に向く売り方|現況で仲介・リノベ済で売る・買取

診断のパターンによって、向く売り方は分かれます。

物件のタイプ向く売り方
管理良好・新耐震現況のまま仲介
専有部の傷みが目立つリノベ済での販売も選択肢
旧耐震・期日を優先買取

管理が健全で新耐震なら、現況のまま仲介で売るのが基本です。買い手のローンが通りやすく、相場に沿った価格で実需に届きます。

専有部の傷みが目立つ場合は、買主側がリノベを前提に検討します。売主が手を入れすぎる必要はなく、現況のまま売るのとリノベ済で売るのと、どちらが手元に多く残るかで判断します。

旧耐震で期日を優先するなら、買取で確実に現金化する方法があります。価格は仲介より下がりやすい一方、売却の時期を読みやすいのが利点です。

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相続した築古マンションは税に注意|空き家3000万円控除は使えないことが多い

相続した築古マンションは、空き家の3000万円特別控除が原則として使えません。

この特例は対象が一戸建てを念頭に置いており、区分所有登記のあるマンションは要件から外れます。相続した実家マンションを売る際に控除を当て込んでいると見込みが狂うため、早めの確認が欠かせません。なお、自分が住んでいたマンションを売る場合の控除は別の制度で、適用の可否は状況によって変わります。

出典: 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

築古は会社で評価が割れる|複数社の査定で売却の見込みを比較する

築古マンションは、会社によって査定額や買取の見込みが割れやすいのが特徴です。

築古は、現況のまま売るか、買取やリノベ前提で評価するかで、会社ごとの得意分野が分かれます。1社だけの査定では、その会社の方針に引っ張られた金額しか見えません。

複数社に現況査定と買取見込みを並べて出してもらうと、自分の物件の相場感がつかめます。価格だけでなく、売り方の提案や根拠の説明を比べると、任せる相手も見極めやすくなります。

まずは複数社の査定で、自分の築古がどう評価されるかを確かめることから始めましょう。住み替えのトビラの一括査定なら、複数社の見込みをまとめて比較できます。

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まとめ:築古マンションの売れる条件を探るなら、住み替えのトビラ

築古のマンションが売れるかどうかは、建った年ではなく、管理の行き届き方で分かれます。同じ築年数でも、買い手の付き方は変わります。

買い手を引き寄せるには、自分の建物がこれまでどう保たれてきたのかを先に把握します。答えられないまま交渉に入ると、その分を値引きで埋めることになります。

売り出す値を決める前に、自分の建物の強みがどこにあるのかを見つけておきましょう。住み替えのトビラでは、築古のマンションが売れる条件も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。