新築マンションへ買い替えるときは、前に買ったときには無かった項目が諸費用に増えます。
増える分は入居のときだけ払う一時金で、物件の価格とは別に数えるため、資金の計画へ先に組み入れておきます。
前回の購入と何が変わるのかを、費目ごとに払う時期まで含めて説明します。
新築マンションへの住み替え(買い替え)でかかる諸費用と、前回の購入との違い
新築マンション購入の諸費用が物件価格の何%になるかを集計した公的な統計は見当たりません。前回の購入との一番の違いは、修繕積立基金のような新築で新しくかかる一時金が上乗せされる点です。
総額がどの水準か、前回の購入と比べて何が増えるのか、そしていまのマンションを売る費用も同時に走ることを、この章でまず押さえます。
新築マンション購入の諸費用はいくらが目安か
はじめに断っておきます。新築マンション購入の諸費用が物件価格の何%になるかを集計した公的統計・業界団体統計は見当たりません。「3〜6%」のような率は、費目を積み上げた結果として出るもので、先に率があるわけではありません。この記事では費目ごとの中身と支払う時期を示しますので、自分の物件の見積書と突き合わせてください。
前回の購入との一番の違いは、修繕積立基金のような新築で新しくかかる一時金が上乗せされる点です。一方で、新築マンションは販売会社(分譲主)から直接買う形が多く、仲介手数料がかからないことがよくあります。減るもの(仲介手数料)と増えるもの(修繕積立基金・管理準備金)を分けて見てください。
参考までに、仲介手数料の大きさは告示で定まっています。代金が400万円以上なら「売買価格×3.3%+6.6万円」が上限で、5,000万円なら171.6万円、7,000万円なら237.6万円です。この額が新築では通常かからず、代わりに修繕積立基金(1戸あたり概算15〜24万円)と管理準備金が加わる、という置き換えになります。
買う側の諸費用のうち、売買価格から額が確定するのは4つです。媒介報酬の上限、印紙税、所有権移転登記の司法書士報酬、抵当権設定登記の司法書士報酬。これだけを積み上げると次のようになります。
| 売買価格 | 4費目の合計 | 売買価格に占める割合 |
|---|---|---|
| 3,000万円 | 116.54万円 | 3.88% |
| 4,000万円 | 149.54万円 | 3.74% |
| 5,000万円 | 182.54万円 | 3.65% |
割合は価格が上がるほど下がります。4つのうち価格に比例するのは媒介報酬の3.3%分だけで、印紙税は階段状の定額、司法書士報酬は定額だからです。「価格が上がるほど%で見た諸費用率は下がる」というのは、この構造から言えることです。
ただし新築マンションを分譲会社から直接買う場合は、媒介報酬がかかりません。その分だけ上の表より下がります。
これとは別に、登録免許税と不動産取得税がかかります。この2つは売買価格ではなく固定資産税評価額を課税標準とするため、売買価格からは確定しません。さらに新築マンションでは修繕積立基金と管理準備金が加わります。
出典: 国土交通省告示第1552号 第二(令和6年7月1日施行)/国税庁タックスアンサーNo.7108/日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート」(令和6年3月実施)
前回マンションを買った時と何が変わるか
前回の購入と一番違うのは、新築で新しく発生する一時金があることです。
| 項目 | いまのマンション | 新築マンションへの買い替え |
|---|---|---|
| 前回の購入で払った諸費用 | 仲介手数料・登記費用など | 仲介手数料はかからないことが多い |
| 毎月払っている費用 | 管理費・修繕積立金・駐車場代 | 新居でも引き続きかかる |
| 新たに加わる一時金 | なし | 修繕積立基金・管理準備金(物件により水道負担金) |
表のとおり、いま毎月払っている管理費・修繕積立金・駐車場代は、買い替えても無くなるわけではありません。新居のマンションでも同じように毎月かかります。金額は物件ごとに変わりますが、マンションからマンションへ移る以上、この継続費用は引き継ぐものと考えておきます。
変わるのは一時金の部分です。前回が中古マンションだった人は、そのとき払った仲介手数料が新築では消える一方、修繕積立基金と管理準備金という一時金が新しく加わります。前回が新築だった人は、これらの一時金の存在を経験しているはずで、今回もう一度かかると考えれば見当がつきます。
修繕積立基金と管理準備金は、物件価格とは別に「一時金」としてかかるお金です。毎月の管理費や修繕積立金とは別物で、購入時に一度だけまとまって払います。前回の購入との差はここに集まるため、いくら増えるのかを早めに見込んでおくと安心です。
買う費用と売る費用は同時に出る
住み替えでは、買う費用と売る費用が同時に出ていくため、手元に残る現金で考えます。
新築マンションの購入費用に目が向きがちですが、住み替えでは同時に、いま住むマンションを売る側の費用も出ていきます。
売る側で額が確定する費目を積むと、売却価格3,000万円で108.55万円(対売却価格3.62%)、5,000万円で174.55万円(同3.49%)です。内訳は媒介報酬の上限+印紙税(軽減後)+抵当権抹消の登録免許税(不動産2個=2,000円)+抵当権抹消の司法書士報酬(17,470円)です。売って利益が出れば、譲渡に伴う税金が別に関わります。
ここで注意していただきたいのは、売る側と買う側では数えている費目が違うことです。 買う側には所有権の保存登記・敷地権の移転登記・抵当権設定の登録免許税、不動産取得税、住宅ローンの事務手数料、修繕積立基金・管理準備金が加わります。率どうしを足し算するのではなく、それぞれ別に積み上げてください。
出典: 国土交通省告示第1552号 第二/国税庁タックスアンサーNo.7108/登録免許税法 別表第一 一(十五)/日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート」
この同時進行を1つの物差しで見るなら、次のように整理できます。
売却の手取り - 住宅ローンの残債 - 売買双方の諸費用 = 手元に残る現金
この「手元に残る現金」で、新居の頭金や購入諸費用をまかなえるかどうかが、住み替えの資金繰りの土台になります。買う費用は単独では決まらず、売却の手取りとの差し引きで見る。この見方を持っておくと、後の見積もりで数字に振り回されずに済みます。
自分の住み替えで諸費用がどれくらいかかるかを見極める軸
諸費用は誰でも同じ額ではなく、物件の価格・規模、借入の額、売買の順番の3つでほぼ決まります。
同じ費目をそろえても、自分の物件や借入、売り買いの順番によって金額は上下します。自分がどのケースにあたるかを知ると、見積もりの精度が上がります。
価格・規模に連動する費用と定額の費用
諸費用のうち、物件の価格や専有面積に連動して増減するものと、価格に関係なく定額のものがあります。
諸費用の総額を「物件価格の何%」でつかむのは入口として便利ですが、中身は性質の違う2種類が混ざっています。1つは、物件の価格や専有面積が大きいほど増える費用です。税金や一時金の一部がこれにあたり、高い物件・広い住戸ほど金額が上がります。
もう1つは、物件価格の大小にあまり関係なく、ほぼ定額でかかる費用です。契約や登記の手続きにともなう事務・書類系の費用がこれにあたります。1,000万円台の住戸でも1億円近い住戸でも、この部分は大きくは変わりません。
この2種類が混ざっているため、諸費用は「価格が2倍なら諸費用も2倍」とはなりません。価格が上がるほど、定額部分が総額に占める割合は小さくなり、%で見た諸費用率は下がります。
先に見た買う側の4費目でも、売買価格3,000万円で3.88%、5,000万円で3.65%と、価格が上がるほど比率が下がりました。媒介報酬に実質+6.6万円の定額部分があり、印紙税が階段状の定額であるためです。売る側の費用にも同じ構造があります。
借入額の大小で変わる費用の重さ
住宅ローンを組むかどうか、いくら借りるかで、上乗せされる費用の重さがまるごと変わります。
諸費用の重さを左右する2つ目の軸が、住宅ローンをどれだけ借りるかです。ローンに関わる費用は借入額に連動するものが多く、借りる額が大きいほど、この部分がまとめて重くなります。
ここは前回の購入からの年数で状況が分かれます。前回のローンをほぼ完済し、いまのマンションの売却代金も入る人なら、新居で新たに借りる額は小さく抑えられます。すると、ローンに付随する費用も軽くなります。逆に、残債がまだ多く、新居でもフルローンに近い借り方をする人ほど、ローン関連の諸費用は重くのしかかります。
自分がどちらに近いかは、いまのマンションの売却でローンを完済できるか、新居でいくら借りる見込みかで見当がつきます。まず借入の規模を大づかみしておくと、諸費用のうちローン関連がどれくらいの比重になるかが読めてきます。
売却先行か購入先行かで変わる費用
いまのマンションを売ってから買うか、買ってから売るかで、仮住まいやつなぎの費用がかかるかどうかが変わります。
3つ目の軸が、売り買いの順番です。住み替えには、いまのマンションを先に売る「売却先行」と、新居を先に買う「購入先行」の2つの進め方があり、どちらを選ぶかで発生する費用が変わります。
売却先行では、売った後に新居へ移るまでの間、住む場所が必要になります。仮住まいの賃料や、その分の引っ越しがもう一度発生することもあります。一方で、売却代金が先に手元に入るため、資金の見通しは立てやすくなります。
購入先行では、先に新居を買うため、いまのマンションが売れる前にローンが二重になる期間が生じたり、つなぎ融資を使ったりすることがあります。その分の利息や費用が上乗せされます。住み替えの段取りそのものが費用と切り離せないため、自分がどちらの順番になりそうかで、見込んでおく費用が変わってきます。
新築マンション購入でかかる諸費用の内訳と支払う時期
新築の諸費用は、契約時・引渡し時・入居後の3つのタイミングに分かれて出ていきます。
いつ・いくら・どの順で払うのかをまず一覧でつかみ、そのうえで一時金・税金・ローン費用・入居準備の中身を分けて見ていきます。
| 支払いのタイミング | 主に出ていく費用 |
|---|---|
| 契約時 | 手付金、売買契約書の印紙税 |
| 引渡し(決済)時 | 残代金、登記費用、ローン関連費用、修繕積立基金・管理準備金 |
| 入居後(数か月) | 不動産取得税、引っ越し・入居準備費 |
売る側の諸費用も、この引渡しのタイミングにあわせて同時に出ていく点は忘れないようにします。
新築で新たに発生する一時金(修繕積立基金・管理準備金)
新築特有の一時金が、前回の購入では無かった上乗せになります。
まず修繕積立基金です。マンションは十数年ごとに大規模修繕を行い、その費用は毎月の修繕積立金を全員で積み立ててまかないます。ただ新築の時点では積立がゼロから始まるため、当初の備えとして購入時に一括で払うのが修繕積立基金です。
金額について、公的な統計がないわけではありません。 令和5年度のマンション総合調査に修繕積立基金の項目があり、新築時の修繕積立基金の総額は管理組合1組合あたり平均1,901万円でした(N=1,522)。ただし公表されているのは管理組合単位の総額であり、1戸あたりの額は公表されていません。
1戸あたりに換算するには、階級ごとの総額平均を階級の中央値戸数で割ることになります。その概算では、おおむね15〜24万円/戸です。
| 総戸数階級 | 総額平均 | 置いた戸数 | 1戸あたり概算 |
|---|---|---|---|
| 21〜30戸 | 391万円 | 25戸 | 15.6万円 |
| 31〜50戸 | 846万円 | 40戸 | 21.2万円 |
| 51〜75戸 | 1,482万円 | 63戸 | 23.5万円 |
| 76〜100戸 | 1,665万円 | 88戸 | 18.9万円 |
| 101〜150戸 | 2,185万円 | 125戸 | 17.5万円 |
| 201〜300戸 | 4,973万円 | 250戸 | 19.9万円 |
この換算には3つの注意があります。①総額平均は「0円」と回答した管理組合20.8%を含む全体平均であり、基金を実際に徴収したマンションに限れば1戸あたりの水準は上振れします。上の概算は下限側の推計です。 ②調査対象は既存マンションの管理組合(完成年次が古い物件を多く含む)で、あなたがこれから払う新築分譲時の額とは母集団が違います。完成年次が新しいほど総額は大きく、令和2年以降完成では5,686万円です。③戸数は階級の中央値を置いた概算にすぎません。
実際の額は物件ごとに販売資料の資金計画表に書かれています。上の水準は「桁を外していないか」の確認に使ってください。
出典: 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」データ編 管理組合向け 28④
次に管理準備金です。新築マンションでは、入居とともに管理組合が立ち上がり運営が始まります。その立ち上げや当初の運営資金として、購入時に一度だけ払うのが管理準備金です。金額は概ね数万〜十数万円が目安です(物件により異なります)。
このほか、物件や地域によっては水道の給水負担金といった一時金がかかることもあります。あるものと無いものがあり、額も物件によります。いずれも物件価格とは別に、購入時にまとまって出ていくお金です。前回の購入では意識しなかった費目のため、資金計画に入れ忘れないよう早めに見込んでおきます。
税金(登録免許税・不動産取得税・印紙税)
新築は税の軽減が手厚く、前回が中古だった人ほど負担感の違いを感じます。
購入して自分の名義にするには登記が必要で、そこに登録免許税がかかります。新築マンションでは、建物の所有権を最初に登録する保存登記の税率が、本則0.4%から軽減で0.15%に下がります。住宅ローンを組む場合は、抵当権の設定登記も本則0.4%から0.1%に軽減されます。いずれも床面積など一定の要件を満たす住宅を、取得後1年以内に登記する場合が対象で、軽減の適用期限は令和9年(2027年)3月31日までです。
出典: 国土交通省「住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置」
あわせて注意したいのが土地の分です。マンションは建物と、その敷地を使う権利(敷地権)がセットになっており、新築を買うと建物の保存登記に加えて、敷地権の移転登記にも登録免許税がかかります。この土地分の税率や軽減の扱いは建物とは別の体系で決まるため、建物の登記費用とは別に、土地の登記費用も生じると見ておきます。
不動産を取得すると、入居後しばらくして不動産取得税がかかります。これは都道府県が課す税で、課税のもとになるのは固定資産税評価額であり、売買価格ではありません。「物件価格の3%」と考えると額が合いません。
税率は本則4%ですが、住宅と土地は令和9年3月31日まで特例で3%です。新築住宅は課税標準から1,200万円が控除され、認定長期優良住宅なら1,300万円です(この特例の適用期限は令和13年3月31日まで)。土地は課税標準が評価額の2分の1に圧縮され、さらに住宅用地の減額(150万円か、床面積の2倍〈200㎡が上限〉に相当する土地の価格か、大きいほうに税率を掛けた額)を引きます。
評価額が一定額に満たなければ課税されません。土地は16万円、建築による家屋の取得は1戸につき66万円です。これは評価額に対する線であり、売買価格ではありません。
軽減を受けるための申告の要否や期限は都道府県ごとに定めがあるため、取得後は自分の都道府県のページを確かめてください。
登録免許税と不動産取得税の額を知るには、自分の物件の固定資産税評価額が要ります。評価額が売買価格の何割になるかを集計・公表した統計は確認できていないため、価格から逆算はできません。よく見かける「地価公示価格のおおむね7割」という目安は宅地の評価についてのもので、地価公示価格に対する目安です。建物(マンションの専有部分)は、同じ建物を建て直すのにいくらかかるかという考え方(再建築価格)で評価するため、取引価格とは対応していません。
新築マンションを買う前の段階では自分に課税明細書がないため、仲介または分譲する会社に評価額を確認してください(登記費用の見積りに必要なため、会社側が把握しています)。入居後は毎年4〜6月に届く納税通知書に同封される課税明細書で確認できます。評価額は市区町村が個別に決め、3年ごとに評価替えが行われます。
売買契約書やローンの金銭消費貸借契約書には印紙税もかかります。契約金額に応じた額で、住宅の売買では軽減措置が設けられています。金額は契約書に記す価格の区分で変わるため、契約前に不動産会社へたずねておくと見込みが立ちます。
これらの登記は司法書士に依頼するのが一般的で、税とは別に司法書士報酬もかかります。税の軽減は要件と期限が細かく、改正で変わることもあります。適用の可否は物件の要件で分かれるため、最新の要件は不動産会社や司法書士にたずねておくと安心です。
住宅ローンを組むときにかかる費用
ローンを使うと、物件価格とは別に諸費用がまとまって乗ります。
住宅ローンを組むと、借入に付随して次のような費用がかかります。
- 融資事務手数料(借入額に応じる、または定額)
- 保証料(保証会社を使う場合)
- 団体信用生命保険料(金利に含まれることが多い)
- 火災保険料・地震保険料
- 抵当権設定登記の費用(登録免許税と司法書士報酬)
これらは金融機関やローンの種類によって組み合わせや金額が変わります。事務手数料を借入額の何%とする代わりに保証料を無しにするタイプもあれば、その逆もあります。前回の購入でローンを組んだ経験があっても、金融機関を変えれば費用の構成は違ってくるため、複数の金融機関で見比べておくと総額の見当がつきます。
なお、修繕積立基金などの一時金や諸費用を、物件価格と合わせてローンに含められる金融機関もあります。含められる範囲は金融機関により異なるため、利用できるかどうかは借入先ごとに調べておきます。
借りたあとは、住宅ローン控除も関わります。控除率は0.7%で、控除期間は認定住宅等なら13年、既存(中古)の「その他の住宅」は10年です。対象は令和8年(2026年)から令和12年(2030年)までに入居する場合で、令和8年度の税制改正で入居期限が延長されました。
借入限度額は住宅の性能区分と世帯で分かれます。新築の認定住宅(長期優良・低炭素)は4,500万円(子育て世帯等は5,000万円)、ZEH水準省エネ住宅は3,500万円(同4,500万円)、省エネ基準適合住宅は2,000万円(同3,000万円)です。ただし新築の省エネ基準適合住宅の2,000万円は令和8年・令和9年入居に限られ、令和10年以降に入居する新築の省エネ基準適合住宅は原則として適用対象外です(2027年末までに建築確認を受けたもの等は、2,000万円・控除期間10年が残ります)。そして新築で認定住宅等のいずれにも当たらない「その他の住宅」は、令和8年から令和12年入居のすべての年で支援の対象外です。借入限度額も控除期間もありません。「その他の住宅なら2,000万円・10年」は既存(中古)住宅の話で、新築には当てはまりません。
なお国税庁のタックスアンサーは 2026年8月時点で「令和7年4月1日現在法令等」の表示のままで、この改正が反映されていません。国税庁のページをそのまま引くと改正前の値になります。
出典: 財務省「令和8年度 税制改正の解説」租税特別措置法等(所得税関係)の改正/国土交通省「令和8年度税制改正概要」
引越し・入居準備でかかる費用
住み始めるための費用は、物件価格に含まれず別に見ておきます。
忘れやすいのが、住み始めるためのお金です。引っ越し代のほか、売却先行で仮住まいをはさむなら、その間の賃料や2回分の引っ越し費用がかかります。新居ではカーテンや照明、エアコンなど、入居時にそろえるものの費用も見込んでおきます。金額は世帯の荷物量や移動距離、そろえる範囲で幅がありますが、数十万円規模になることも珍しくありません。物件価格や諸費用とは別枠で、まとまった現金を用意しておくと入居後に慌てずに済みます。
新築マンションへの住み替えで諸費用につまずきやすい点
新築の諸費用は、「今の額」ばかりを見ていると足をすくわれる論点が多くあります。
当初の安さ、費用の紛れ込み、売る側の抜け、借入の膨らみ。住み替えでつまずきやすい4つの点を、避け方とあわせて見ていきます。
修繕積立金・管理費が数年後に上がる
新築は管理費や修繕積立金が当初低く設定され、数年ごとに段階的に上がっていくことが多くあります。
新築マンションの販売時には、毎月の管理費や修繕積立金が低めに設定されていることがよくあります。売り出しの時点で月々の負担が軽く見えるほうが、買い手にとって魅力的に映るためです。ただこの金額は、ずっと同じではありません。
特に修繕積立金は、長期修繕計画にもとづいて数年ごとに段階的に引き上げられていくのが一般的です。当初の安い金額のまま10年後、20年後の家計を見積もると、気づけば負担が膨らんでいて計画が狂うことになります。
上がった後の水準を測る物差しになるのが、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」です。計画期間全体における修繕積立金の平均額の目安が、規模別に示されています(機械式駐車場分を除く)。
| 地上階数/建築延床面積 | 事例の3分の2が包含される幅 | 平均値 |
|---|---|---|
| 【20階未満】5,000㎡未満 | 235〜430円/㎡・月 | 335円/㎡・月 |
| 【20階未満】5,000㎡以上〜10,000㎡未満 | 170〜320円/㎡・月 | 252円/㎡・月 |
| 【20階未満】10,000㎡以上〜20,000㎡未満 | 200〜330円/㎡・月 | 271円/㎡・月 |
| 【20階未満】20,000㎡以上 | 190〜325円/㎡・月 | 255円/㎡・月 |
| 【20階以上】 | 240〜410円/㎡・月 | 338円/㎡・月 |
自分の住戸の専有面積を掛ければ、月額の目安が出ます。70㎡で「20階未満・5,000㎡未満」なら、335円×70=月23,450円です。この額は計画期間全体の平均であって、入居直後の額ではありません。段階増額方式なら、当初はこれより低く、後半はこれより高くなります。
機械式駐車場がある場合は加算が要ります。加算額は「機械式駐車場1台あたり月額の修繕工事費 × 台数 ÷ マンションの総専有床面積(㎡)」で、1台あたりの修繕工事費は2段(ピット1段)昇降式6,450円、3段(ピット2段)昇降式5,840円、3段(ピット1段)昇降横行式7,210円、4段(ピット2段)昇降横行式6,235円、エレベーター方式4,645円、その他5,235円です。
ガイドラインは「傾向にはばらつきが大きいため、『平均値』とともに、事例の大部分が含まれるような範囲を示すという観点から、『事例の3分の2が含まれる幅』をあわせて示しています」「修繕積立金の額が、この幅に収まっていないからといって、直ちに不適切であると判断されることになるわけではありません」としています。幅から外れていること自体を問題視せず、長期修繕計画の中身とあわせて見てください。
出典: 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成23年4月/令和6年6月改定)
だからこそ、購入時の月々の負担額をそのまま将来にあてはめず、数年後・十数年後に修繕積立金がいくらまで上がる想定かを、長期修繕計画で調べておきます。販売時の見え方に流されず、上がった後の金額でも家計が回るかを見ておくことが、入居後の安心につながります。
修繕積立基金が資金計画から抜け落ちる
修繕積立基金は物件価格と別に「諸費用欄」へ書かれ、資金計画から抜け落ちやすいお金です。
修繕積立基金は、物件価格の中ではなく、見積書や資金計画表の「諸費用」の欄にまとめて記載されます。金額も数十万円と小さくないため、見落とすと引渡しの直前になって現金が足りないと気づくことになりかねません。
前回の購入が中古だった人は、そもそも修繕積立基金という費目を経験していないため、特に抜けやすいところです。資金計画を立てるときは、物件価格とローンの額のみで考えず、物件価格に諸費用と一時金を足した総額で、いくら必要になるかを組み立てます。見積書を受け取ったら、諸費用欄に修繕積立基金や管理準備金が入っているかをまず見ておくと、抜けを防げます。
売る側の諸費用を見落として手元資金が足りなくなる
買う費用ばかりを見て売る費用を忘れると、引渡し時に手元資金が足りなくなります。
住み替えでつまずきやすいのが、新居の購入費用に気を取られ、いまのマンションを売る側の費用を見落とすケースです。売却にも仲介手数料がかかり、住宅ローンが残っていれば抵当権の抹消費用も出ます。購入費用のみを前提に資金を組むと、売買が重なる引渡しのタイミングで現金がショートしかねません。
これを避けるには、いまのマンションの売却で手元に残る現金が、新居の頭金と購入諸費用をまかなえるかを先に見ておきます。売る側の費用も差し引いたうえで足りるとわかってから購入を進めれば、引渡しのタイミングで現金が不足する事態を防げます。
順番としては、売却でいくら手元に残るかの見通しを先につかみ、そのうえで新居に回せる現金を決めます。売却の査定や条件がある程度固まる前に購入の契約を急ぐと、あてにしていた売却代金が想定より少なく、資金計画が崩れることもあります。
一時金や諸費用をローンに含めると借入が膨らむ
一時金や諸費用をローンに含めると当座は楽ですが、総返済額と月々の負担は増えます。
修繕積立基金や諸費用は、金融機関によっては物件価格と合わせてローンに含められます。手元の現金を温存できるため、入居時の持ち出しを抑えたい人には便利な仕組みです。ただ、含めた分は借りたお金であり、利息をつけて返していくことに変わりはありません。
例えば諸費用や一時金で300万円を上乗せして借りれば、その300万円にも返済期間を通じて利息がかかります。当座の現金は楽になっても、総返済額は増え、毎月の返済額も上がります。含められる範囲も金融機関によって差があります。
含めるかどうかは、手元にどれだけ現金を残したいかとのバランスで決めます。現金を厚く残しておきたいなら含める選択もありますが、返済総額を抑えたいなら、諸費用や一時金は手元資金でまかなうほうが軽く済みます。当座の楽さのみで決めず、返済総額まで含めて見比べておくことが、つまずきを防ぎます。
まとめ:一時金まで入れた新築の資金計画なら、住み替えのトビラ
新築マンションへ買い替えるときは、入居のときだけ払う一時金まで入れて資金を組みます。物件の価格と別に数える分、資金の計画に入れ忘れます。
組むときは、引き渡しの日に現金でいくら要るのかを先に出しておきます。物件の価格だけを見て組むと、決済の場で足りない分が出ます。
契約の場に臨む前に、価格の外に置かれた分まで数えておきましょう。住み替えのトビラでは、前に買ったときとの違いも含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
住み替えのトビラ 
