マンションから住み替え|土地探しと売却の順番と資金

マンションから住み替え|土地探しと売却の順番と資金

マンションを売りながら、気に入った土地を探して注文住宅を建てる。この住み替えでは、売る・買う・建てるの3つがほぼ同時に動き出します。 一番の気がかりは、売却でお金が固まる前に良い土地が出たら押さえられるのか、そしてお金がいつ・いくら・どの順で出ていくのか、という点ではないでしょうか。 この記事では、売却と土地探し・注文住宅を並走させる順番の決め方から、土地をおさえる仕組み、お金が出る流れ、つまずきやすい点までを順に整理します。

マンション売却と土地探し、進める順番の結論

住み替えの順番は、土地探しと売却活動を同時に始めつつ、資金がはっきり固まるのは売却を先に置くのが基本の形です。

その前に一つ整理しておきたいのが、いまのマンションをどうするかです。この記事は、売った代金を土地や建築の資金に充てて建てる人を想定しています。貸して家賃収入を得る、当面は持ち続けるという道もありますが、その場合は売却代金が土地の決済に回らないため、資金の組み立てや順番が別の形になります。

ここでは、売却を先に進める「売り先行」と、土地を先に買う「買い先行」のどちらが自分に向くのか、その判断軸を示します。まずは、いまのマンション売却と、土地探し+注文住宅の性質の違いを見比べてみましょう。

観点いまのマンション売却土地探し+注文住宅
住まい住みながら売れる完成まで仮住まいが必要
価格査定で相場が読める土地代・建築費が読みにくい
時期引渡し時期を調整しやすい土地の決済期限が来る
期間レインズ登録から成約まで平均82.5日(2025年・首都圏の中古マンション)建築に数か月〜1年
資金売却代金が入ってくるつなぎ融資が要ることがある

着手は同時、資金の確定は売却が先が基本

売却を先に置くのが基本になるのは、土地には決済の期限がある一方で、マンションは住みながら売って資金を固められるからです。

土地には売主がいて、買付や契約のあとに決済(代金の支払い)の期限が設定されます。売却の価格が固まらないうちに土地を契約してしまうと、いくらまで建築に回せるのかが読めません。その結果、資金計画が途中で崩れやすくなります。

一方、いま住んでいるマンションは、住みながら売却活動を進められる強みがあります。期間の目安になるのは、首都圏の中古マンションでレインズへの登録から成約まで平均82.5日(2025年・東日本不動産流通機構)という値です。月に直すと約2.75か月です。レインズへの登録日から数えた日数で、売り出しからでも査定からでもありません。土地の決済期限がこれより短いなら、売却代金が間に合わない前提で資金を組んでください。だからこそ、売却の目処と手取りの見込みを固めてから、土地と建築にかける予算を決める「売り先行の並走」が基本の形になります。

もちろん、良い土地は縁のもので、出会えたら押さえたくなるのが自然です。ただ、売却が追いつかないまま土地を押さえてしまうと、いまのマンションのローンと新たな借入が重なり、二重ローンになりかねません。急いで押さえるより、資金を固めてから動く。この選択肢を持っておくと、あとで無理が出にくくなります。

土地を先に買う「買い先行」が向くケース

買い先行が現実的になるのは、手元資金に余裕があるか、つなぎ融資を前提に組める場合です。

次のような条件がそろうと、土地を先に確保する買い先行も無理のない選び方になります。

  • 手元資金や住み替えローン、つなぎ融資で土地の決済をまかなえる
  • 売るマンションの相場に見当がついていて、売却の目処が立っている(マンションは一戸ごとの個別性が戸建てより小さく、同じ建物や近隣の同じような住戸が比べる相手になります。首都圏では2025年〔暦年〕に中古マンションが49,114件成約しており、事例をたどれます)
  • どうしても手放したくない土地で、売り先行では間に合わない

売り先行を基本としつつ、こうした条件に当てはまる人にとっては、買い先行も現実的です。手元資金や借入で土地代を用意できるなら、良い土地を逃さずに進められます。つなぎ融資については、次の章で仕組みと注意点を見ていきます。

売り先行・買い先行はどちら?住み替えで損しない選び方と実践テクニック 売り先行・買い先行はどちら?住み替えで損しない選び方と実践テクニック

資金が確定する前に土地を押さえる仕組み

資金がはっきり固まる前でも、買付証明書・住宅ローン特約・つなぎ融資といった仕組みを使えば、土地を一定期間おさえることはできます。

ここでは、この住み替えの核になる3つの道具を取り上げ、それぞれが何をしてくれて、どこまでが限界なのかを整理します。いつ・どの順で使うのかというお金の段取りは、次の章で扱います。

買付証明書で購入意思を示し一定期間押さえる

買付証明書は、その土地を買いたいという意思を売主に示す書類で、一定の期間そこを優先して検討できます。

土地を気に入ったとき、売主に対して「この条件で買いたい」と正式に伝えるのが買付証明書です。売主はこの書類をもとに、価格や引渡し時期の条件を見て、交渉を進める相手を絞っていきます。

ただし、買付証明書に法的な拘束力は原則として強くありません。提出しても必ず売ってもらえるわけではなく、より良い条件の買主が現れれば、売主がそちらを選ぶこともあります。有効期限の実態を集計した統計はありません。期限は書面に書かれているので、提出する前にその日付を確かめ、その日までに資金の目処を立てられるかで判断してください。

あくまで「押さえる」の第一歩であって、売買契約そのものではありません。買う意思が固まってから出す書類であり、迷いながら安易に出すと、あとで取り下げて信用を損なうことにもなりかねません。

住宅ローン特約でローン不成立時に白紙へ戻す

住宅ローン特約(融資特約)は、ローンの審査が通らなかったときに、売買契約を白紙に戻せる条項です。

買付証明書が「買う意思を示す書類」なのに対して、住宅ローン特約は「売買契約の中に置く条項」であり、性質が異なります。ここを混同すると、どこまで守られているのかを読み違えてしまいます。

この特約を土地の売買契約に付けておくと、マンションの売却や新しいローンが間に合わず融資が下りなかった場合に、契約を白紙へ戻し、支払った手付金を取り戻せます。売却と購入が同時に走るこの住み替えでは、資金が間に合わないリスクへの保険として働きます。

一方で、万能ではありません。特約には期限があり、その期限内に否決の通知を出す必要があります。自己都合でのキャンセルは対象外で、条件を満たさなければ手付金を放棄する形になることもあります。特約の期限や適用の条件は、契約の前に一つずつ確かめておきたいところです。

つなぎ融資・土地先行融資で決済資金を用意する

売却の前や住宅ローンの実行前に土地代金を払うには、つなぎ融資や土地先行融資を使います。

つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでの間、土地代・着工金・中間金を一時的に立て替えてもらう資金です。返済までは利息のみを先に払う形が原則で、金利は住宅ローンより高めになりやすい傾向があります。「住宅ローン」の水準を置いておくと、提示された条件が高めかどうかを自分で判断できます。【フラット35】2026年8月適用の金利は年3.290%です(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き。2026年8月時点)。

金利は毎月変わるため、実際の借入時の金利で確認してください。つなぎ融資・土地先行融資の金利を業者横断で集計・公表しているところはないため、この記事では具体の数字を示しません。土地先行融資はつなぎ融資より金利が低くなる傾向がありますが、どちらを使えるか、条件がどうなるかは金融機関の商品によって大きく変わります。取引を考えている金融機関へ早めに相談してください。

住み替えのつなぎ融資とは?仕組みと費用、売り先行との選び方 住み替えのつなぎ融資とは?仕組みと費用、売り先行との選び方

売却から注文住宅完成まで、お金が出る順番

注文住宅のお金は、土地の決済から引渡しまで建築の進みに沿って何回かに分けて出ていき、その入口はマンション売却の入金が土地の決済に間に合うかどうかです。

ここでは、売却の入金と土地決済の噛み合わせから、建築中に続く支払い、仮住まいの費用、そして毎月の固定費の入れ替わりまで、お金が出ていく順番を時間の流れに沿って追います。

売却代金が土地の決済に間に合うかを確かめる

マンションの売却代金を土地の決済に充てるなら、売却の入金が土地の決済に間に合うかが、すべての起点になります。

売却代金を土地代に回す前提だと、マンションの引渡しで入金があるのは決済日です。その日が土地の決済日より後になると、土地代を先に払う資金が手元にない状態が生まれます。

このズレは、双方の決済日をそろえる(近づける)ことである程度は詰められます。マンションの引渡しを土地決済に間に合う日で設定できれば、売却代金をそのまま土地代へ回せます。どうしてもずれる部分は、手付金や、前の章のつなぎ融資で一時的に埋めます。

大事なのは、売却と土地購入の決済日を別々に決めず、セットで設計する視点です。仲介会社や金融機関に、入金の予定日と支払いの期限を並べて相談すると、どこにいくら足りなくなるのかが見えてきます。

住み替えの同時決済と引渡し猶予とは?仕組みと条件 住み替えの同時決済と引渡し猶予とは?仕組みと条件

土地決済から引渡しまでの支払いの流れ

注文住宅は、土地の決済・着工金・中間金・引渡しと、代金が数回に分けて発生します。

工程このお金が要るタイミング原資
土地の売買契約契約の締結時(手付金)手元現金
土地の決済・引渡し所有権移転登記の日土地先行融資 または つなぎ融資
着工工事請負契約に定める日つなぎ融資
上棟(中間金)同上つなぎ融資
引渡し建物完成後・住宅ローン実行日住宅ローン

支払いの割合(1割・3割などの数字)は工事請負契約で個別に決まるもので、一般的な割合を集計した公的統計・業界団体統計はありません。自分の契約書で確かめてください。

手付金についても同じです。宅地建物取引業法第39条第1項は「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない」と定めていますが、この上限が効くのは業者が自ら売主のときだけです。売主が個人(業者は媒介)の取引にはこの上限が適用されません。実勢の割合を集計した統計もないため、「◯%が普通」という数字は示せません。契約時に用意する現金として、手付金・仲介手数料の半金・印紙税を見込んでおいてください。

マンションの売却代金がいつ入るかは、レインズ登録から成約まで平均82.5日(2025年・首都圏の中古マンション)を出発点に見積もってください。

割合はあくまで会社により変わる目安です。建物のお金は、契約から着工、上棟(中間)、引渡しへと工事の進みに合わせて分割で払うのが一般的です。住宅ローンは建物の引渡し時にまとめて実行されるため、それまでの土地代・着工金・中間金は、売却代金や手元資金、つなぎ融資でまかなうことになります。契約の前に支払いスケジュールを一覧でもらい、いついくら要るのかを確かめておくと安心です。

引渡しと完成の空白を埋める仮住まいの費用

売り先行では、マンションの引渡しから新居の完成までは住む場所がなく、仮住まいと2回の引越しが必要になりやすいです。

売り先行でマンションを先に引き渡すと、新居ができるまでの間は、賃貸などの仮住まいで暮らすことになります。建築には数か月から1年ほどかかるため、その期間の家賃がまるごと上乗せになります。

三大都市圏の民間賃貸の月額家賃は平均83,381円、共益費は平均4,837円です(令和7年度住宅市場動向調査)。この水準で6か月なら、初期費用(家賃の4.1か月分)と家賃・共益費6か月分を足して約87.1万円、12か月ならこれに家賃と共益費の6か月分(約53.0万円)が加わり、合計で約140.1万円になります。ここに引越費用は含まれていません。引越運送料を集計した公的統計・業界団体統計は確認できておらず、目安を示せないためです。引っ越しが2回になる点も見込んでください。

出典: 国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査報告書」6.4.2

加えて、仮住まいの敷金・礼金や、マンションから仮住まい、仮住まいから新居へと2回分の引越し費用も発生します。これらは一時的な出費ですが、まとまった額になりやすいものです。仮住まいの契約期間は、建築の遅れも見込んで少し長めに考えておくと、延長のたびの更新料や再契約の手間を避けやすくなります。

住み替えの仮住まいにかかる費用と期間の目安 住み替えの仮住まいにかかる費用と期間の目安

毎月の固定費はマンション時代とどう変わるか

毎月の固定費は、マンションで払っていた項目が消え、戸建てでは別の項目に入れ替わります。

区分マンション時代(無くなる)戸建て(増える・変わる)
毎月ずっと管理費・修繕積立金・駐車場代自分で積み立てる修繕費・固定資産税
期間限定つなぎ融資の利息・仮住まいの家賃

マンションで毎月引かれていた管理費・修繕積立金・駐車場代は無くなります。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、月/戸あたりの平均が管理費1万1,503円(使用料等からの充当額を除く系統)、修繕積立金1万3,054円で、合計2万4,557円です。この分が毎月浮きます。

代わりに、戸建てでは将来の修繕に備えて自分で積み立てる必要があり、外壁・屋根・給湯器などの費用を計画的に用意しておくことになります。固定資産税は、土地と建物の両方にかかります。戸建ての修繕費を年額で集計した公的統計・業界団体統計は確認できていないため、いくら積むべきかの目安は示せません。ただし「毎月決まって出る」か「自分で積んで、いつか大きくまとめて出る」かという質の違いがあるだけで、備えが要る点は変わりません。

出典: 国土交通省「令和5年度 マンション総合調査結果」

一方、つなぎ融資の利息や仮住まいの家賃は、住み替えの期間だけの一時的な負担です。ずっと続く費用と、期間限定の費用を分けて見ておくと、住み替え直後に家計が一時的に重くなる理由がわかり、あらかじめ身構えやすくなります。

マンションから土地探しでつまずきやすい点

土地探しでのつまずきは、その多くが「売却の資金が固まらない」「土地に家が建てられない」「資金が想定より膨らむ」の3点に集まります。

ここまでは、道具とお金の流れという正常系を見てきました。ここでは、その段取りが崩れる失敗のパターンと、避けるための備えを整理します。

売却が間に合わず土地の契約が流れる

売却が想定した価格や時期でまとまらないと、押さえた土地の契約期限に間に合わず、契約が流れてしまうことがあります。

売却は、内見や価格交渉の進み方によって、想定より時間がかかることがあります。売却が遅れると、土地の決済日や住宅ローン特約の期限に間に合わず、せっかく押さえた土地を手放すことになりかねません。

これを避けるには、期限をぎりぎりで組まないことです。売却にかかる期間を強気に見積もらず、土地の決済日や特約の期限に余裕を持たせます。売れ行きが読みにくいなら、特約の期限を長めに交渉する、決済日を後ろに設定するなど、余裕を最初から織り込んでおくと安心です。

不動産が売れない理由と対処|止まる場所で原因を切り分ける 不動産が売れない理由と対処|止まる場所で原因を切り分ける

家を建てられない土地を選んでしまう

土地には、建てたい家が建てられないものがあり、価格の安さに引かれて選ぶと後悔します。

注文住宅ならではの土地の落とし穴には、次のようなものがあります。

  • 建築条件付き土地(建てる会社が指定される)
  • 古家付き土地の解体費が別にかかる
  • 再建築や接道、地盤の制約で希望の家が建てにくい

マンションを買うときは、建物ができあがった状態で選ぶため、こうした「建てられるかどうか」を気にする場面はほとんどありません。土地はそこが逆で、同じ価格でも建てられる家の条件が土地ごとに違います。気になる土地が出たら、価格の前に、希望の家を建てられる土地かどうかを不動産会社や建築会社に確かめておくと安心です。

つなぎ利息や二重ローンで資金が膨らむ

つなぎ融資の利息や一時的な二重ローン、仮住まいの長期化で、資金は当初の見積もりより膨らみやすくなります。

当初の見積もりに乗りにくい出費がいくつかあります。つなぎ融資を使えば、住宅ローンが実行されるまでの利息が積み上がります。売却と購入が重なる時期には、旧マンションと新居の支払いが一時的に二重になることもあります。

さらに、建築が予定より遅れると、仮住まいの家賃がその分延び、更新料もかかります。こうした費用は、土地代や建築費という本体の金額に気を取られていると、見落としやすいものです。資金計画には、利息・二重の支払い・仮住まいの延長といった余白の費用を、あらかじめ少し多めに見込んでおくと、想定外の負担に慌てずに済みます。

ダブルローンは組むべき?避けるべき?自分の状況で判断する5つの基準 ダブルローンは組むべき?避けるべき?自分の状況で判断する5つの基準

まとめ:順番と資金の段取りで住み替えは決まる

マンションを売りながら土地を探し、注文住宅を建てる住み替えは、土地探しは同時に始めつつ、資金は売却を先に固めるのが基本です。手元資金やつなぎ融資に余裕があれば、土地を先に押さえる買い先行も選べます。

土地は買付証明書・住宅ローン特約・つなぎ融資で一定期間おさえられますが、それぞれに使いどころと限界があります。お金は売却の入金と土地決済の噛み合わせを入口に、着工金・中間金・引渡しと段階的に出ていき、仮住まいの費用も上乗せになります。

つまずきの多くは、売却の遅れ・建てられない土地・資金の膨らみに集まります。期限に余裕を持たせ、仮住まいや利息といった余白の費用まで見込んでおくことが、無理のない住み替えにつながります。住み替えのトビラは、売却と土地探しが同時に動くときのお金の段取りを、これからもわかりやすく整理してお届けします。