「マンション価格が下落」というニュースを見て、自分の物件はどうなるのかを確かめに来た方が多いはずです。
調べると「二極化」「大きくは下がらない」といった幅のある説明が並び、いつから・どこで・どれだけ下がったのかという一次データにはたどり着きにくいままです。
この記事では、2026年5月から8月までの首都圏の月次データで下落の実態を追い、過去3つの下落局面と比べてどのタイプかを置き、下がりやすい物件の条件と年内に控える日程までを順に見ていきます。
2026年のマンション価格の下落の実態
「本当に下がっているのか、どこまで下がるのか」に答えるには、月ごとの一次データを並べるのが早道です。
首都圏の中古マンションについて、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の月例速報から、2026年5月から8月までを置きます。
| 2026年(首都圏・中古マンション) | 成約㎡単価 | 前年同月比 | 前月比 | 成約件数(前年比) | 在庫件数(前年比) |
|---|---|---|---|---|---|
| 5月 | 80.78万円 | −3.9% | −6.0% | 3,709件(−3.4%) | 45,804件(+3.4%) |
| 6月 | 82.64万円 | −0.8% | +2.3% | 4,241件(−1.3%) | 45,995件(+3.5%) |
| 7月 | 84.17万円 | −1.5% | +1.9% | 3,638件(−8.6%) | 47,151件(+5.5%) |
| 8月 | 81.60万円 | −3.8% | −3.1% | 3,180件(−10.5%) | 48,235件(+8.2%) |
首都圏の成約単価は2026年5月に73か月ぶりに下がった
東日本レインズの月例速報では、首都圏の中古マンションの成約㎡単価は、2026年4月まで「20年5月から72ヶ月連続で上昇」と書かれていました。2026年4月の85.93万円は、90年9月(85.50万円/㎡)の水準を引き続き上回る値です。
2026年5月度で、この流れが止まりました。成約㎡単価は80.78万円で、速報の逐語は「前年比マイナス3.9%と20年4月以来73ヶ月ぶりに下落。前月比も6.0%下落し、90年11月(80.14万円/㎡)の水準まで低下した」です。成約価格も5,067万円で、「前年比マイナス4.6%と24年10月以来19ヶ月ぶりに下落」しました。成約件数は3,709件で前年比マイナス3.4%、在庫件数は45,804件で前年比プラス3.4%です。
「下落」のニュースの出どころは、この5月度の速報です。1か月で6.0%下がったことが、大きく報じられました。
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年5月度
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年4月度
8月まで4か月続き1990年10月の水準を下回った
5月の下落は、そのあとも続きました。
6月度は82.64万円で前年比マイナス0.8%、7月度は84.17万円でマイナス1.5%と、前月比では戻しながらも前年を下回る月が続きます。7月度の速報は「90年10月(83.50万円/㎡)の水準を上回った」としていました。8月度は81.60万円で前年比マイナス3.8%、前月比マイナス3.1%と再び下がり、「90年10月(83.50万円/㎡)の水準を下回った」と書かれています。成約価格も8月度は5,129万円で前年比マイナス2.8%、4ヶ月連続の下落です。
成約件数は8月度が3,180件で前年比マイナス10.5%、5ヶ月連続の減少でした。在庫件数は48,235件で前年比プラス8.2%、6ヶ月連続の増加です。速報が「増加率は拡大傾向に」と書いたのは7月度からで、8月度でも同じ表現が続いています。
4か月続いた下落の幅は、首都圏平均で前年比3〜4%です。「暴落」と呼ぶには小さい幅にとどまる一方で、13年の上昇が止まったことははっきりしています。
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年7月度
都心は件数が2割減り郊外の単価はまだ上がっている
首都圏平均の裏で、地域ごとの動きは分かれています。東日本レインズの8月度の地域別を、速報の区分のまま並べます。
| 地域(2026年8月度) | 成約件数の前年比 | 成約㎡単価の前年比 |
|---|---|---|
| 東京都区部 | −20.6%(1,265件) | −0.3%(132.69万円) |
| 東京都多摩 | −9.5%(297件) | +9.1%(59.90万円) |
| 横浜・川崎市 | −2.2%(581件) | −0.5%(65.95万円) |
| 神奈川県他 | −9.2%(227件) | +9.0%(45.07万円) |
| 埼玉県 | +5.4%(412件) | +2.0%(44.35万円) |
| 千葉県 | +0.3%(398件) | +5.1%(41.68万円) |
都区部は、件数が2割減っているのに単価はほぼ横ばいです。速報は区部の㎡単価について「前年比マイナス0.3%とほぼ横ばいながら20年4月以来76ヶ月ぶりに下落」としています。5月度の区部は件数マイナス17.9%・㎡単価プラス2.0%でしたから、都心では買い手が減る動きが先に出て、単価はあとから止まった順番になります。
一方で多摩、神奈川県他、埼玉、千葉は、単価がまだ上がっています。首都圏平均の下落は、単価の高い都区部の成約が減って平均が下がった面と、都区部の単価そのものが伸びなくなった面の両方でできています。
郊外の単価がまだ上がっている地域でも、都心の動きを毎月見ておくと、同じ動きが自分の地域に届いたかを早く確かめられます。
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年5月度
下がっているのは成約価格で売り出し価格は上がり続けている
もうひとつ、2026年の下落の性質を決める事実があります。下がっているのは成約価格で、売り出し価格は上がり続けている点です。
8月度の新規登録㎡単価は116.81万円で、速報の逐語は「前年比プラス21.5%と24年5月から28ヶ月連続で上昇」です。在庫の㎡単価は119.36万円で、「前年比プラス28.4%と24年8月から25ヶ月連続で上昇」しています。成約の81.60万円との差は、月を追うごとに開いています。
売り手の希望価格は高いままで、買い手が実際に払う価格だけが下がっています。この差の中に入った物件が在庫として残り、在庫の増加率が広がっています。
2026年の下落の性質
2026年の下落は、売り手が値下げを始めた結果というより、値下げをしないまま買い手が付かなくなった結果として起きています。値下げが広がる局面は、この後に来ます。売り手の側から見ると、いまは「まだ下げていない売り手」が大半で、在庫の山の中で順番を待っている状態です。月次の数字の読み方は、マンションの売り時を市況・築年数・税金で見極めるハブ記事にまとめています。
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度
2026年の下落が過去の下落局面とどう違うか
「下落」と聞くと、バブル崩壊のような半減を思い浮かべる方がいます。首都圏の中古マンションには、この30年で性質の違う下落局面が3つありました。2026年がどのタイプに近いかを、同じ調査の数字で比べます。
| 局面 | きっかけ | 成約件数 | 成約価格・㎡単価の幅 | 期間 |
|---|---|---|---|---|
| 1990〜2002年 | 公定歩合の引き上げ・土地関連融資の総量規制・その後の景気後退 | — | 成約価格が4,807万円から59.2%下落 | 12年 |
| 2009年 | リーマン・ショック | 31,183件(+8.5%) | ㎡単価が5.3%下落 | 1年(翌年に単価が反転) |
| 2020年4〜5月 | 新型コロナ | 1,692件(−38.5%・5月) | ㎡単価はプラス0.4%で横ばい | 2か月 |
| 2026年5月〜 | 金利上昇・在庫増 | 3,180件(−10.5%・8月) | ㎡単価が3.8%下落(8月) | 進行中 |
バブル崩壊では首都圏の成約価格が12年で6割下がった
いちばん大きな下落は、1990年のバブル崩壊から始まった局面です。
東日本レインズの2007年の年報には、首都圏の中古マンションの成約価格について「1990年(4,807万円)から59.2%下落した後に反転し、この5年で26.3%上昇した」と書かれています。底にあたる2002年の成約価格は1,963万円で、下がり切るまでに12年かかりました。
この局面で何が重なったのかは、日本銀行金融研究所の論文に整理があります。「1989年5月の公定歩合引上げ、1990年3月の土地関連融資の総量規制、そして1991年5月の地価税法公布」という順番です。総量規制は大蔵省(当時)による土地融資の量の規制で、金利の引き上げと融資の絞り込みが続けて起き、その後に景気後退が重なりました。半減という幅になったのは、この重なりの後です。
出典: 東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2007年)
出典: 東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2008年)
出典: 日本銀行金融研究所 金融研究 バブル期の金融政策とその反省(2000年12月)
リーマン後の下落は1年で5%前後にとどまり翌年に反転した
2つ目は、2008年秋のリーマン・ショックのあとの局面です。
東日本レインズの2010年の年報では、首都圏の中古マンションの成約㎡単価は2009年に37.77万円で前年比マイナス5.3%、翌2010年は39.21万円で前年比プラス3.8%と、2年ぶりの上昇に転じています。成約件数は2009年が31,183件で前年比プラス8.5%と、むしろ増えました。
価格が下がったことで買い手が戻り、1年で下げ止まった局面です。景気の急変が起きても、金利の引き上げと融資の絞り込みが重ならなければ、この程度の幅で収まる例になります。
出典: 東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2010年)
コロナの局面は件数だけが落ちて価格は横ばいだった
3つ目は、2020年の新型コロナの局面です。
東日本レインズの2020年5月度の速報には、「成約件数は前年比マイナス38.5%と、新型コロナウイルスの感染拡大により4月に続いて大幅減となったが、減少率は縮小した。成約㎡単価は前年比プラス0.4%、成約価格は前年比マイナス0.9%と、双方ともほぼ横ばいであった」と書かれています。地域別も「成約件数はすべての地域が前年比で3割を超える大幅な減少」でした。件数は1,692件、成約㎡単価は52.03万円です。
取引が止まっただけで、価格は横ばいのままでした。そしてこの2020年5月が、その後72か月続いた上昇の起点になります。件数だけが落ちる局面は、価格の下落とは別のものとして数えます。
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2020年5月度
2026年は件数と単価が同時に下がり売り出しは強気のまま
2026年の局面を、3つと比べます。
件数は8月度で前年比マイナス10.5%、㎡単価はマイナス3.8%です。件数と単価が同時に下がっている点で、価格が横ばいだった2020年とは違います。幅は2009年に近い一方で、2009年は件数が増えていたので、買い手の動きは逆向きです。売り出し価格にあたる新規登録㎡単価が28ヶ月連続で上がり続けている点は、3つのどれとも違います。
きっかけの側を見ると、動いているのは金利です。1990年の局面で重なった3つのうち、融資の量の規制と景気後退は、いまのところ公表資料の外にあります。
いまの時点で言えるのは、2026年の下落が「半減のタイプ」ではなく「数%の調整のタイプ」で始まっている、ということです。金利がさらに上がり、在庫の増加率が広がり続ければ、性質が変わる可能性はあります。予想としてではなく、毎月の速報で確かめる材料として置いておきます。
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度
2026年に下落しやすい物件と下落しにくい物件の条件
2026年の下落は、全物件に同じ幅で来るものとは別です。先に来る物件と、支えのある物件があります。
| 下落しやすい | 下落しにくい |
|---|---|
| 都心の高額帯(投資の買い手の引きが先に出る) | 郊外の実需帯で新築の供給が少ない地域 |
| 売り出し価格が成約帯から外れている物件 | 成約帯で値付けされた物件 |
| 築古で買い手のローン条件が狭い物件 | 新築との価格差が小さい築浅 |
| 投資用・賃貸に出されている割合が高い棟 | 実需のファミリー向け |
都心の高額帯は件数減が先に来て単価が後から下がる
2026年の下落が先に出ているのは、都心です。
東日本レインズの8月度で、東京都区部は成約件数が前年比マイナス20.6%、成約㎡単価が132.69万円でマイナス0.3%でした。民間の調査会社である東京カンテイの「中古マンション70㎡価格」(売り出し価格をもとにした指標)でも、2026年7月分の東京23区は前月比マイナス0.1%の12,724万円で、資料には「都心部に隣接し価格水準も高い行政区にも調整の動きが波及し始めている」と書かれています。都心6区は前月比マイナス1.7%の18,195万円で3ヵ月連続のマイナス、同じ資料は「新規流通戸数は前年同月に比べて増加、さらに反響の鈍さから継続分も積み上がり続けており、流通戸数全体のボリュームが増大してきている」としています。
都心の高額帯は、住むためではなく投資として買う人が価格を押し上げてきた帯です。金利の上昇と、国土交通省が8月に要望した投機的取引の抑制の検討で、この買い手が慎重になります。件数が先に落ち、単価は遅れて落ちる順番で、その順番が区部の数字に出ています。
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度
出典: 東京カンテイ 三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移(2026年7月)
売り出し価格が成約帯から外れた物件は在庫に残り最後に値下げになる
物件の立地や築年数と関係なく、下落を大きく受ける条件があります。売り出し価格が成約帯から外れていることです。
8月度の首都圏では、新規登録の㎡単価が116.81万円、成約の㎡単価が81.60万円でした。近所の売り出し価格を参考に値付けした物件は、この116万円の側に並びます。買い手が払う81万円の側とは、大きな差があります。
この差の中にある物件は、在庫として残ります。在庫が増える局面では、残った物件は最後に大きく値下げして売ることになります。売り出し価格を成約帯で置いた物件のほうが、下落局面でも先に売れていきます。
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度
築古は買い手のローン条件が狭く下げ幅が大きくなりやすい
築年数が古い物件は、下落局面で下げ幅が大きくなりやすい条件を持っています。
国土交通省の住宅ローン減税のQ&A(令和8年度税制改正後)では、既存住宅の築年数に関する条件について「1981(昭和56)年12月31日以前に建築された住宅を取得する場合は、耐震基準を満たしていることを証明する書類の提出が必要です」とされています。証明の方法は、耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し(耐震等級1・2・3のもの)、既存住宅売買瑕疵保険付保証明書のいずれかで、いずれも家屋の取得の日前2年以内のものに限られます。築古の物件は、この書類の手当てが要るぶん、買い手の側の条件が狭くなります。
条件が狭い物件に、金利の上昇でローンで買える層が減る変化が重なります。買い手が少ない物件で買い手を増やす手は、売り手が価格を下げることに寄ります。同じ下落局面でも、築古は築浅より下げ幅が大きくなりやすい構造です。
出典: 国土交通省 住宅ローン減税(令和8年度税制改正後)Q&A
郊外の実需帯と築浅は新築価格と供給不足に支えられている
一方で、支えのある物件もあります。
民間の調査機関である不動産経済研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ」では、2025年の首都圏の新築マンションの戸当り平均価格は9,182万円、1㎡当り単価は139.2万円で、いずれも最高値でした。発売戸数は2万1,962戸で、前年比4.5%減、1973年以降の最少を更新しています。新築が高く少ない間は、中古の比較対象が下がりにくく、新築を諦めた買い手が中古に流れます。
新築との価格差が小さい築浅は、この新築の価格に支えられます。郊外の実需帯は、東日本レインズの8月度でも多摩がプラス9.1%、千葉県がプラス5.1%、神奈川県他がプラス9.0%と㎡単価が上がっていて、都心から流れてきた買い手が支えています。
ただし、支えがあることと、下がらないことは別です。支えのある物件でも、自分の棟の在庫件数と直近の成約は毎月確かめておきます。
出典: 不動産経済研究所 首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度
2026年後半のマンション価格を左右する日程
2026年の残りには、買い手の予算か投資の買い手の向きを変える日程が控えています。日付が公表されているものだけを並べます。
| 日程 | 何が決まるか | 価格への向き |
|---|---|---|
| 9月17日・18日 | 日本銀行の金融政策決定会合 | 追加の利上げなら買い手の予算が減る |
| 10月29日・30日 | 日本銀行の金融政策決定会合 | 同上 |
| 12月17日・18日 | 日本銀行の金融政策決定会合 | 同上 |
| 12月(例年) | 与党税制改正大綱 | 投機的取引の抑制策の方向が決まる |
| 毎月10日前後 | 東日本レインズ 月例速報 | 在庫の増加率と価格差を確かめる |
9月の日銀会合と10月の変動金利の改定で買い手の予算が変わる
日本銀行は2026年6月16日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促すことを決定しました。補完貸付制度の基準貸付利率は1.25%です。公表されている2026年の会合日程では、次は9月17日・18日、その後は10月29日・30日、12月17日・18日と続きます。
金利が買い手に届くのは、銀行ごとの基準金利の改定を経てからです。改定の時期と幅は銀行で違うので、買い手が使う銀行の公式の発表で確かめることになります。届いたときの効き方は、式で見ておくと分かります。毎月13万円・35年・元利均等というモデルケースの仮定では、金利0.5%で約5,008万円、1.25%で約4,420万円と、借りられる金額は約588万円小さくなります。毎月返済額・返済期間・返済方法・金利は、いずれも仮定値です。式は、借りられる金額=毎月返済額×{1−(1+月利)^(−返済回数)}÷月利(月利=年利÷12、返済回数=年数×12)で、毎月返済額を自分の予算に置き換えれば同じ式で確かめられます。実額は、借り換えや新規借入の相談先の銀行で確かめます。
買い手の予算が減ると、成約できる価格帯の上限が下がります。金利そのものの推移は、住宅ローン金利の推移と今後の見通しにまとめています。
出典: 日本銀行 金融市場調節方針の変更について(2026年6月16日)
出典: 日本銀行 金融政策決定会合の運営
年末の税制改正大綱で投資マネーの方向が決まる
国土交通省は2026年8月28日に公表した「令和9年度国土交通省税制改正要望事項」で、「新築マンションの価格高騰への対応に係る所要の措置」として、「都心の大規模マンションを中心とした近年の新築マンション価格の高騰に対応するため、実需に基づかない投機的取引を抑制するための方策について、必要な検討を行い、所要の措置を講じる」としました。
背景資料には、新築マンションの短期売買(保存登記から1年以内に移転登記がなされたもの)の割合が示されています。都心6区は2024年1〜6月で12.2%、2023年で7.1%、2018〜2022年の最大値は2021年の4.6%です。23区では2024年1〜6月が9.3%でした。税目や税率はこれから決まるもので、方向が決まるのは年末の与党税制改正大綱です。
対象は新築の短期売買ですが、都心の高額帯を買ってきた投資の買い手が慎重になれば、都心の中古の買い手の層も変わります。2026年の下落が先に出ている都心の高額帯にとって、12月は大きな日程になります。
毎月のレインズ月例で在庫の増加率と価格差を追う
日程の合間に、読者が自分で確かめられる指標があります。東日本レインズの月例速報は、毎月10日前後に前月分が公表されます。
見る項目は2つです。在庫件数の前年比が、前月より広がっているか縮まっているか。新規登録の㎡単価と成約の㎡単価の差が、開いているか縮まっているか。8月度は、在庫がプラス8.2%で「増加率は拡大傾向に」、差は116.81万円と81.60万円で開いた側でした。
在庫の増加率が縮まり、価格差が縮まり始めたら、売り手が価格を下げて買い手に近づいた、という意味になります。下落局面の底は、この2つの指標が反転してから見えてきます。自分の棟の在庫件数と直近の成約を、同じ月にあわせて確かめておくと、首都圏平均ではなく自分の物件の位置が分かります。売るか待つかの判定と、売ると決めたときの進め方は、マンションの売り時を市況・築年数・税金で見極めるハブ記事にまとめています。
出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度
まとめ:2026年の下落は成約価格で都心から数%の幅で始まった
いちばん重い答えは、2026年の下落が「暴落」の形ではなく「数%の調整」の形で始まっている、ということです。首都圏の中古マンションの成約㎡単価は2026年5月に73か月ぶりに下がり、8月まで4か月続いて前年比マイナス3.8%、1990年10月の水準を下回りました。同じ月に成約件数は前年比マイナス10.5%、在庫件数はプラス8.2%です。一方で売り出し価格にあたる新規登録㎡単価は116.81万円で28ヶ月連続の上昇でした。下がっているのは買い手が払う価格の側で、売り手の希望価格は高いままです。
次の一歩は、自分の物件が先に下がる側か支えのある側かを、条件で見分けることです。都心の高額帯・売り出し価格が成約帯から外れている物件・築古は先に来る側、郊外の実需帯と新築との価格差が小さい築浅は支えのある側になります。この見分けを飛ばして首都圏平均の数字だけで判断すると、平均が3〜4%だからと構えているうちに、自分の物件が2割の件数減の側にいたと後から気づくことになります。
そのうえで、東日本レインズの月例速報を毎月10日前後に開き、在庫件数の増加率と、新規登録㎡単価と成約㎡単価の差を記録しておきましょう。日本銀行の会合の日と年末の税制改正大綱の時期も、手元のカレンダーに入れておくと動きが読めます。住み替えのトビラでは、2026年の下落の実態と過去の下落局面との違い、下がりやすい物件の条件も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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