住み替え(買い替え)のタイミングはいつ?年齢・築年数・税金で見極める

住み替えのタイミングはいつ?年齢・築年数・税金で見極める

今の住まいに合わないところが増えても、動く時期を自分で決めるのは簡単ではありません。

動く時期は、暮らしの変化やお金の条件などが同じ方を指したときに定まるので、まず自分の状況を1つずつ当てはめます。

4つの物差しで何が分かるのかと、待つという判断をどう扱うのかまで説明します。

住み替え(買い替え)のタイミングを決める4つの物差し

住み替えの時期は、家族の暮らし・お金・家の状態・自分の年齢という、性質の異なる4つの物差しが重なって決まります。

どれか一つだけを見て決めると、他の大事な条件を見落としがちです。たとえば税金の区切りだけを見て急いで売っても、家族の暮らしがまだ今の住まいに合っているなら、動く必要はなかったかもしれません。逆に、暮らしにくさを感じていても、お金や年齢の条件を確かめないまま動くと、資金計画で無理が出ることもあります。

この記事では、この4つの物差しを順番に見ていきます。それぞれが何を教えてくれるのかを、まず一覧で確認しておきましょう。

物差し何を見るか
家族の暮らし部屋の使い方
お金売り時・税
家の状態築年数・傷み
年齢動ける期限

4つはどれか一つで決めるものではなく、複数が同じ方向を指したときが動きやすい時期です。以下では、暮らしの変化から順に、それぞれの物差しを詳しく見ていきます。

暮らしの変化がきっかけになるタイミング

住み替えを考え始める最初のきっかけは、多くの場合、日々の暮らしが今の住まいと合わなくなる変化です。

子どもが巣立って部屋が余る、管理費や修繕積立金の負担が重くなる、間取りや設備が今の生活に合わない。こうした暮らしの側の違和感は、お金や年齢の計算よりも先に、体と気持ちで感じ取るものです。ここでは、マンションで暮らす人が住み替えを考え始めるきっかけを、3つの角度から取り上げます。

子どもが独立して家が広すぎると感じたとき

子どもが独立して夫婦だけの暮らしになると、それまでちょうど良かった住まいが、急に広すぎると感じられるようになります。

子ども部屋だった空間は、使われないまま物置のようになりがちです。3LDKや4LDKのマンションでも、夫婦2人で日常的に使うのはリビングと寝室、水回りくらいという家庭は少なくありません。使わない部屋にも固定資産税はかかり、冷暖房や掃除の手間も住まいの広さに応じて増えていきます。

マンションの場合、広さは毎月の固定費にも直結します。管理費と修繕積立金は専有面積に応じて決まる物件が多く、広い住戸ほど毎月の負担が大きくなります。子育て中は必要だった広さでも、夫婦2人になると「この面積に毎月これだけ払い続けるのか」という問いに変わっていきます。

立地への感じ方も、暮らし方が変わると違ってきます。駅から離れたマンションは、車での送り迎えや買い物が多い時期には不便を感じにくいものです。けれど夫婦2人になり、いずれ運転をやめることを考え始めると、駅まで歩く距離やバスの本数が気になり始めます。なお、庭の草むしりや植木の剪定、木造の広い家の管理といった負担は戸建てを持つ人の話で、マンションから住み替える人には基本的に関係ありません。

こうした「持て余し」の感覚は、住み替えを考える最初のサインになりやすいものです。部屋数・毎月の固定費・立地のどれが一番気になるかを整理すると、次の住まいに何を求めるかが見えてきます。

老後の暮らしやすさが気になってきたとき

年齢を重ねるにつれ、今の住まいがこの先も暮らしやすいかどうかが気になり始めます。

マンションは基本的にワンフロアで生活が完結するため、戸建てのような階段の上り下りの負担は少なく済みます。そのぶん、老後の暮らしやすさで気になるのは別のところです。まず、上の階に住んでいれば移動はエレベーター頼みになります。点検や停電で止まったときや、災害時に階段を使わざるを得ない場面を考えると、階数と足腰の状態は住み替えを考える材料になります。

駅やスーパー、病院までの距離も、暮らしやすさを大きく左右します。車を運転しているうちは気にならなくても、運転をやめたあとは、日常の買い物や通院を歩きとバスでこなすことになります。駅から遠いマンションでは、この距離がいっそう重くのしかかります。

築年数の経った物件では、住まいそのものの使いにくさも見過ごせません。古い浴室は洗い場が寒く、またぎの高い浴槽は出入りがしづらいものです。室内に段差が残る間取りや、機械式駐車場で車の出し入れに時間がかかる物件もあります。こうした点が積み重なると、暮らしやすさを求める住み替えの動機になります。戸建ての2階への階段や玄関の上がりかまち、坂の多い住宅地といった負担は戸建てを持つ人の話で、マンションから住み替える人には当てはまりません。

これらを解消する方向として、駅に近い立地、設備の新しいマンション、段差の少ない住戸などが候補に挙がります。移動の負担の軽さ、水回りの新しさ、駅までの距離を基準に、今の住まいと次の住まいを比べてみると、住み替えで何が変わるのかがはっきりします。

老後の住み替えはいつ・どこへ?動けるうちに決める後悔しないガイド 老後の住み替え(買い替え)はいつ・どこへ?動けるうちに決める後悔しないガイド

間取りや設備が今の暮らしに合わなくなったとき

子どもの独立とは別に、間取りや設備そのものが今の暮らしに合わなくなり、住み替えを考えることもあります。

買った当時は標準だった間取りも、時間がたつと使いにくく感じられます。細かく仕切られた和室が続く間取りは、家具が置きにくく、風通しや採光の面でも今の好みと合わないことがあります。リビングが狭い、収納が少なく物があふれてしまうといった不満も、築年数の経ったマンションではよく聞かれます。

設備の古さも、住み替えを考える理由になります。食洗機や浴室乾燥、宅配ボックス、電気自動車の充電設備など、新しいマンションで当たり前になっている設備が、古い物件にはないことがあります。毎日使うキッチンや洗面まわりの動線が悪い、コンセントの位置が今の使い方に合わないといった不便も、日々の小さなストレスとして積み重なります。

家で過ごす時間が増えたことも、間取りへの不満につながります。在宅で仕事や趣味の時間を持つようになると、集中できる個室や作業スペースがほしくなります。今の住まいにその余地がなければ、住み替えで解決する道が見えてきます。リフォームで直すか、それとも住み替えるか。かかる費用と得られる暮らしやすさを見比べて、どちらが自分たちに合うかを考える時期に来ていると言えます。

損をしないための売り時とお金のタイミング

売って損をしないためには、家の価値の下がり方・市況・税・制度の節目という、お金に関わる複数の時点を重ねて見る必要があります。

暮らしの都合で「そろそろ」と思っても、お金の面で不利な時期に売れば、手元に残る額は変わってきます。ここでは、築年数から見る売り時、相場や市況の波、所有期間5年で変わる税金、住宅ローン控除と修繕費の節目という4つを順に見ていきます。

築年数と資産価値の下がり方から見る売り時

売り時を考えるうえで、まず押さえておきたいのが、マンションの価値が築年数とともにどう下がっていくかという一般的な傾向です。

築年数の節目は、何の節目かによって答えが変わります。物差しが3つあり、それぞれ違う年数を指すためです。

住み替えを考える方にとって一番効くのは、自分の物件の損益がいつ反転するかです。不動産流通経営協会が首都圏1都3県の買い換え世帯を調べた結果では、売却価格から購入価格を引いた平均売却差額は、築20年超〜25年以内の売却で+157.1万円だったのに対し、築25年超では▲474.1万円とマイナスに転じ、マイナスが出た世帯の割合も56.2%にのぼりました。損益という物差しで見た節目は築25年です。

売却時の築年数平均売却差額
築5年以内+1,182.6万円
築5年超〜10年以内+2,098.7万円
築10年超〜15年以内+2,187.8万円
築15年超〜20年以内+880.2万円
築20年超〜25年以内+157.1万円
築25年超▲474.1万円

ただし各区分の対象は20〜73件と少なく、単一の節目として断定できる精度ではありません。また首都圏1都3県の買い換え世帯の集計です。

相場の水準という物差しで見ると、節目は別の年数になります。首都圏の中古マンションの成約㎡単価を築0〜5年を100として比べると、築21〜25年59.9%、築26〜30年44.9%、築31〜35年30.7%と落ちていき、築36〜40年の28.1%で底を打ち、築41年〜は33.1%へ戻ります。つまり「下げ止まる」と言えるのは築36〜40年で、築21〜25年から築26〜30年にかけてはむしろ下落が加速する区間です。なお、これらは同じ物件を追いかけた数字ではなく、別々の物件が同じ年に成約した結果を並べたものです。同一の物件が新築時の何割になったかを示す統計は存在しません。

他社の記事や統計で築年数の節目を見るときは、それが何の節目か(同一物件の損益なのか、横断面の㎡単価なのか、売れやすさなのか)を必ず確かめてください。

立地の良い物件は年数がたっても需要が保たれやすいという傾向はありますが、同じ築年数でも、駅からの距離、周辺の人気、管理状態によって価値は大きく変わります。

耐震の基準も、中古マンションの売りやすさに関わります。建築確認が1981年6月1日以降のものは新耐震基準にあたり、それより前の旧耐震のマンションは、買い手が住宅ローンや耐震性を気にすることがあります。自分のマンションがどちらにあたるかは、売り時を考えるうえで知っておきたい区切りです。なお、木造の戸建てが築20年ほどで建物にほとんど値がつかなくなり土地の価値が中心になる、という下がり方は戸建て特有のもので、マンションには当てはまりません。

ただし、こうした下がり方はあくまで相場観の目安です。マンションは、一戸ごとの個別性が戸建てより小さく、同じ建物や近隣の類似物件がそのまま比較の対象になります。取引の事例も多く、首都圏の中古マンションの成約件数は2025年(暦年)で49,114件でした。自分の住戸がどのくらいの位置にあるかは、複数の不動産会社の査定と過去の成約事例で確かめるのが確かな方法です。築年数の一般傾向を頭に入れたうえで、実際の査定額と照らし合わせて売り時を判断していきましょう。

相場や市況の波から見る売り時

築年数によるマンションそのものの価値とは別に、売買の相場や市況という外部の要因も、売り時を左右します。

同じ住戸でも、中古マンションの取引が活発な時期と、買い手が慎重になっている時期とでは、売れ行きや価格が変わってきます。成約の動きが活発なときは買い手が見つかりやすく、希望に近い条件で売りやすくなります。住宅ローンの金利環境も、買い手がマンションを買いやすいかどうかに関わるため、間接的に売り手側の状況にも影響します。

大切なのは、この市況をマンションそのものの価値とは切り離して見ることです。自分の住戸の状態や築年数は変わらなくても、外の相場が動けば売れやすさは変わります。だからこそ市況は、数ある物差しの一つとして頭に入れておくものと考えるのがよいでしょう。今の相場は、不動産会社への相談や、同じマンション・近隣の直近の成約事例を確かめることでつかめます。

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所有期間5年で変わる譲渡所得税のタイミング

マンションを売って利益が出たときにかかる譲渡所得税は、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わります。

ここで注意したいのが、所有期間の数え方です。所有期間は、実際に売った日ではなく「譲渡した年の1月1日時点」で数えます。この起算のズレを知らずにいると、5年を超えたつもりで売ったのに、税率の高い区分に入ってしまうことがあります。

具体例で見てみましょう。2020年3月に取得したマンションを2025年中に売った場合、実際には5年以上持っているように見えます。しかし2025年1月1日時点では所有期間が5年以下となり、税率の高い短期譲渡所得の扱いになります。長期の扱いになるのは、2026年1月1日を過ぎてから、つまり2026年中に売却した場合です。

区分判定所得税の税率
短期譲渡所得売った年の1月1日時点で所有5年以下30%
長期譲渡所得売った年の1月1日時点で所有5年超15%

税率は、短期譲渡所得が所得税30%、長期譲渡所得が所得税15%です。いずれも、これとは別に住民税と復興特別所得税がかかります。同じマンションでも、売る年が1年違うだけで税率が倍近く変わることになるため、取得した時期と売る時期の関係は早めに確かめておきたいところです。

出典: 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算

なお、長く住んだ自宅を売る場合は、利益から一定額を差し引ける特例があります。代表的なのがマイホームを売ったときの3,000万円の特別控除で、所有期間の長さに関わらず、譲渡所得から最高3,000万円まで差し引ける制度です。長く住んだ自宅ほど利益が出やすいため、この控除が効きやすくなります。実際にいくらの税金がかかるかは、こうした特例が使えるかどうかで大きく変わります。要件や併用の可否は年度によって変わるため、最新の内容は国税庁で確認し、金額が大きく迷うなら確定申告の前に税理士に確認しておくと安心です。

出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例

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住宅ローン控除と維持費・修繕の節目

住み替えの時期は、住宅ローン控除の残り期間や、マンションの維持費がかさむ節目とも関わってきます。

住宅ローン控除を受けている途中でマンションを売ると、その後は控除が受けられなくなります。控除は住み続けていることが前提の制度のため、売却して住まなくなれば、残っていた控除の恩恵は打ち切られます。控除の適用年数や要件は年度によって変わるため、残りの控除額と売却で得られる利益を、あらかじめ比べておくとよいでしょう。

維持費の節目も、住み替えを後押しする一因になります。

マンションでは、修繕積立金を当初は低めに設定し、段階的に値上げしていく段階増額積立方式をとる物件があります。実際、令和5年度マンション総合調査の月/戸あたりの修繕積立金は、完成年次が平成7〜平成16年の物件で14,317円と最も高く、平成27年以降の物件では11,405円と最も低いという結果でした。新しい物件ほど低く始まり、年数とともに上がっていく形です。「築古ほど高い」と単純には言えないため、自分の物件の長期修繕計画で今後の値上げ予定を確かめてください。

国土交通省のガイドライン(令和6年6月改定)は、計画期間全体における修繕積立金の平均額の目安を、地上階数と建築延床面積で5つに分けて示しています(機械式駐車場分を除く)。

地上階数/建築延床面積事例の3分の2が含まれる幅平均値
【20階未満】5,000㎡未満235〜430円/㎡・月335円/㎡・月
【20階未満】5,000㎡以上〜10,000㎡未満170〜320円/㎡・月252円/㎡・月
【20階未満】10,000㎡以上〜20,000㎡未満200〜330円/㎡・月271円/㎡・月
【20階未満】20,000㎡以上190〜325円/㎡・月255円/㎡・月
【20階以上】240〜410円/㎡・月338円/㎡・月

機械式駐車場がある場合は、これに加算があります(加算額=1台あたり月額の修繕工事費 × 台数 ÷ 総専有床面積)。ガイドライン自身が「修繕積立金の額が、この幅に収まっていないからといって、直ちに不適切であると判断されることになるわけではありません」と書いている点も、あわせて押さえておいてください。

大規模修繕も、費用負担の節目になります。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインは、外壁の塗装や屋上防水などを行う大規模修繕工事の周期を「一般的に12〜15年程度」としています。長期修繕計画そのものも「30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」で作ることになっており、5年程度ごとに見直すのが原則です。大規模修繕の前後は修繕積立金の値上げが検討されやすい時期で、積立金が不足している物件では一時金の徴収や借入で費用をまかなうこともあります。まとまった負担を前にした時期は、その費用をかけて住み続けるか、それとも住み替えるかを考える一つの区切りになります。

自分のマンションで次の大規模修繕がいつかは、長期修繕計画書で確かめられます。周期は部材や工事の仕様によって変わるため、一般論の12〜15年ではなく、計画書に書かれた年を見てください。

出典:国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」(令和6年6月7日改定)

なお、屋根や外壁の塗り替えを10年から15年ほどの周期で自分で手配する、という維持の話は戸建てのもので、マンションでは共用部の修繕として管理組合が計画的に進めます。

維持費の見通しは、長期修繕計画書や総会の資料で確かめられます。これから修繕積立金の値上げや大規模修繕が控えているなら、その負担と住み替えのどちらが自分たちに合うかを比べてみましょう。

出典: 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)

年齢から見た住み替えのタイミング

自分の年齢は、住宅ローンを組めるか、老後の資金をどう配分するかという形で、動ける時期に現実的な期限を与える物差しです。

暮らしにくさやお金の条件がそろっていても、年齢によって選べる手段は変わってきます。ローンを組める年齢には上限がありますし、収入が下がる定年後は返済の負担も重くなります。ここでは、動ける時期を年齢の面から見ていきます。

住宅ローンを組める年齢・完済年齢の目安

住み替えで新たに住宅ローンを組むなら、申し込みできる年齢と完済する年齢に、それぞれ目安があることを知っておく必要があります。

多くの金融機関では、完済時の年齢を審査項目にしています。国土交通省が令和7年度に民間の住宅ローン取扱機関を調べた結果では、回答した994機関のうち978機関(98.4%)が完済時年齢を審査項目に挙げました。その978機関が挙げた具体的な内容は次のとおりです(複数回答)。

完済時年齢の基準機関数
85歳未満65
80歳未満716
75歳未満42
70歳未満5
なし2
その他158

最も多いのは「80歳未満」の716機関です。「80歳まで」ではなく「80歳未満」である点にご注意ください。1年ずれます。同時に、「その他」が158機関あることも押さえておいてください。単一の線ではないということです。

フラット35の場合は、年齢制限そのものではなく借入期間の定めとして「80歳−申込時の年齢(1年未満切上げ)」と35年のいずれか短い年数が上限になります(申込は満70歳未満。親子リレー返済を使う場合は満70歳以上も可)。この式で逆算すると、54歳なら26年、55歳なら25年が上限です。たとえば55歳で35年ローンを組もうとすれば完済は90歳となり、多くの機関の基準を超えます。返済期間を短くするか、借入額を抑えて対応することになります。

なおこの調査は、金融機関が申告した審査項目の集計であり、実際に融資が実行された案件の完済時年齢の分布ではありません。

返済期間が短くなると、毎月の返済額はその分だけ重くなります。同じ金額を借りても、30年で返すのと20年で返すのとでは、月々の負担がかなり変わります。年齢が上がるほど、借りられる年数の制約から、月々の返済額か借入額のどちらかで調整を迫られやすくなります。

年齢が上がってからのローンでは、団体信用生命保険への加入も一つの関門になります。この保険は、返済中に契約者が亡くなったり高い障害状態になったりした場合に、残りのローンを肩代わりするものです。多くの住宅ローンで加入が条件になっており、健康状態によっては加入できず、ローン自体を組みにくくなることもあります。年齢を重ねるほど、健康面が借入れの可否に関わってくると考えておくとよいでしょう。

ここで挙げた基準は、機関ごとに違います。同じ年齢でも借りられる条件は変わるため、上の分布の「その他」158機関のなかに自分に合う条件があることも珍しくありません。自分の場合にどのくらい借りられるかは、複数の金融機関に事前審査を申し込んで確かめるのが確かな方法です。年齢という制約を早めに把握しておくと、資金計画に無理が出にくくなります。

定年・老後資金から逆算する動ける時期

動ける時期は、定年の前後で大きく変わり、老後資金との兼ね合いから逆算して考える必要があります。

定年を迎えて収入が下がると、住宅ローンの審査は通りにくくなり、通ったとしても返済の負担は現役時代より重く感じられます。年金が主な収入になれば、毎月の返済に回せる金額はどうしても限られます。だからこそ、住み替えでローンを使う予定があるなら、収入が安定している現役のうちほど選択肢が広いと言えます。

もう一つ気をつけたいのが、退職金の使い方です。退職金は老後の暮らしを支える大切な資金であると同時に、住み替えの費用にも充てられます。このお金を老後の生活費と住み替えの頭金で取り合ってしまうと、どちらかが手薄になりかねません。住み替えにいくらまで使えるかを、老後に必要な生活費を確保したうえで逆算しておくことが欠かせません。

老後資金と住み替え費用の配分は、ひとりで見通しを立てるのが難しい部分です。年金の受け取り見込みや退職金の額、これからの支出を踏まえた資金計画は、ファイナンシャルプランナーに相談すると全体像がつかみやすくなります。数字を並べて確かめておけば、動ける時期の判断に迷いが減ります。

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早く動く場合と待つ場合それぞれの考え方

年齢を物差しにするとき、早く動くほど良いと一概には言えません。家族や資金の状況しだいで、待つという判断も同じように理にかなっています。

早く動くことには、選べる幅が広いという利点があります。年齢が若いうちはローンの年数を長く取れ、体力にも余裕があるため、引っ越しや新生活への適応もしやすくなります。マンションの傷みや設備の古さが進む前に売れば、条件の良いうちに手放せる可能性もあります。時期を早めに定められるなら、こうした余裕を生かせます。

一方で、待つことが理にかなう場面もあります。子どもがまだ完全には独立しておらず帰ってくることがある、親の介護の見通しが立っていない、退職金や年金の額が確定していないといった状況では、無理に急ぐと判断を誤りかねません。条件が固まるのを待ってから動く方が、腰を据えて選べることもあります。

大切なのは、早いか遅いかを一般論で決めず、自分の家族と資金の状況に照らして選ぶことです。周りが動いているからと焦る必要はありませんし、逆に、動ける条件がそろっているのに漠然と先延ばしにするのも、あとで選択肢を狭めます。自分の状況がどちらに当てはまるかを見極めて、納得のいく時期を選びましょう。

住み替えの時期を見極めるときの注意点

どの物差しも単独では判断を誤らせるため、複数の重なりを見て、待ちすぎず、決めたら早めに動くことが大切です。

一つの条件だけを見て決めたり、逆に完璧な時期を待ち続けたりすると、かえって不利になることがあります。ここでは、時期を見極めるうえで陥りやすい落とし穴を3つ取り上げます。

複数の物差しが重なる時期を優先する

住み替えの時期は、一つの物差しだけで決めず、複数が重なる時期を選ぶのが安全です。

税金の区切りだけを見て急いだり、相場の良さだけで動いたりすると、家族の事情や自分の年齢という別の条件を見落としがちです。たとえば税率の区分が変わる年に合わせて売っても、その時期に新居の資金計画がまだ固まっていなければ、住み替え全体が慌ただしくなります。一つの物差しが有利でも、他が整っていなければ動きにくいものです。

避けたいのは、一つの軸に引っ張られて他を見落とす失敗です。お金・暮らし・家の状態・年齢のうち、どれか一つが「今だ」と言っていても、残りの物差しがどう出ているかを必ず確かめましょう。複数が同じ方向を指したときこそ、無理のない住み替えができる時期です。

相場や金利の”底”を待ちすぎない

売買の相場や金利がもっとも有利になる時点を待ち続けるのは、避けたほうがよい考え方です。

いつが一番の底なのかは、その時点では誰にもわかりません。もう少し下がるかもしれないと待っているうちに相場が反転することもあれば、待っている間に自分の年齢が上がり、マンションの築年数も進んでいきます。相場が多少有利になっても、その間にローンを組める年数が短くなったり、修繕積立金が値上がりしたりすれば、待った分の利点は打ち消されかねません。

だからこそ、底を当てにいくよりも、自分の条件がそろった時期を基準に決めるほうが現実的です。今すぐ動くべきだと急ぐ必要もなければ、もっと待てば得をするはずだと粘る必要もありません。相場は動くものと受け止めたうえで、暮らし・お金・家・年齢の物差しがそろったかどうかで判断すると、後悔の少ない選び方になります。

資金計画と売買の順序を早めに固める

動く時期の見当がついたら、資金計画と、売り買いの順序を早めに決めておくと安心です。

住み替えには、今のマンションをいくらで売り、次の住まいにいくらかけ、その差をどう埋めるかという資金の見通しが欠かせません。この計画があいまいなまま話を進めると、売却額が思ったより低かったときに新居の予算が狂ってしまいます。まずは今のマンションの査定を受け、相場と手元に残る額をつかむことが出発点になります。時期が見えた段階で、手元資金・ローン・売却見込み額を並べて確かめておきましょう。

今の住まいを売ってから次を買うのか、先に買ってから売るのかという順序も、早めに方針を固めておく必要があります。売り先行は、先に売って売却額が確定するため資金計画が固まりやすい一方、新居が決まるまでの仮住まいや、引っ越しが2回になる手間がかかります。買い先行は、次の住まいをじっくり探せて仮住まいも要らない一方、売却前に新居のローンを抱えるとダブルローンになり、売り急いで安値になるおそれがあります。

この順序は好みだけで決まるものではなく、住宅ローンの残債と自己資金の余力から現実的な形が見えてきます。残債が多く自己資金に余裕が少ないなら、売却額を確定させてから動く売り先行が基本になります。残債が少なく自己資金に余裕があるなら、買い先行も選びやすくなります。売却では残債を完済して抵当権を抹消することが前提になるため、査定額が残債を上回るか下回るかも分かれ目です。査定額が残債を上回れば通常の住宅ローンで次を買いやすく、下回る場合は住み替えローンなどの検討が必要になります。住み替えローンの金利や審査、利用できるかどうかは金融機関や条件によって変わるため、早めに相談して確かめておきましょう。

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まとめ:住み替えの時期を年齢と税で測るなら、住み替えのトビラ

住み替えの時期は、1つの事情だけでは決められません。暮らしの不便もお金の条件も年齢の面も同じ方を指したときが、動きやすいころです。

そのころを見きわめるには、今の住まいがいくらで売れて、手元にいくら残るのかを先に調べます。金額が分からないと、どの物差しも当てはめようがありません。

決めるのを先延ばしにする前に、今の住まいの値段を確かめておきましょう。住み替えのトビラでは、住み替えに踏み切るころ合いも含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。