金利上昇でマンション価格はどう動く|3つの経路と出やすい物件

金利上昇でマンション価格はどう動く|3つの経路と出やすい物件

金利が上がるというニュースを見るたびに、自分のマンションの価格がこれからどうなるのかが気になっているはずです。

調べると「金利が上がれば価格は下がる」という説明と、「建築費が高いから下がらない」という説明の両方が出てきます。どちらも本当で、価格へ届く経路が違うだけです。

この記事では、金利がマンション価格へ届く3つの経路と、下がる理由・下がりにくい理由、影響が出やすい物件と出にくい物件の違いを、国土交通省・住宅金融支援機構・不動産経済研究所の資料で順に見ていきます。

金利上昇とマンション価格の関係の全体像

金利は、マンション価格へ3つの経路で届きます。届く速さも、強く届く物件も、経路ごとに違います。

経路何が変わるか届く速さ強く届く物件
①買い手の予算同じ返済額で借りられる金額が減り、買える価格帯が下がる基準金利の改定ごと(半年)ローンに頼る実需向け
②建築費と供給新築の価格が下がらず、中古の比較対象も高いまま残る年単位新築との価格差が小さい築浅
③投資の利回り賃料÷利回りで決まる価格が、求める利回りの上昇で下がる早い(投資家は金利に素早く反応する)投資用・ワンルーム

現在地を1つだけ置きます。国土交通省の不動産価格指数(住宅)の令和7年12月分(季節調整値)は、全国のマンション(区分所有)が225.1で、前月比1.0%の上昇でした。2010年の平均を100とした指数なので、2.25倍です。同じ時点の住宅総合は148.0、戸建住宅は121.9、住宅地は119.8で、マンションだけが突出して上がっています。

この令和7年12月・第4四半期分(令和8年3月31日公表)が、いま公表されている最新の回です。令和8年1月分以降は、国土交通省が令和8年8月27日に出したお知らせのとおり、算出時のプログラムの不具合を理由に公表が延期されています。

出典: 国土交通省 不動産価格指数

買い手の予算を通る経路は半年ごとに届く

いちばん分かりやすいのが、買い手の予算を通る経路です。

買い手の多くは毎月の返済額を先に決め、そこから借りられる金額を逆算します。金利が上がれば、同じ返済額で借りられる金額は減ります。

この経路が価格へ届くのは、住宅ローンの基準金利が改定されるときです。多くの銀行は4月と10月に見直すと言われており、そうであれば半年ごとに買い手の予算が一段ずつ下がります。改定の時期と幅は銀行ごとに違うので、買い手が使う銀行の公式の発表で確かめます。

価格に出るまでには、さらに時間がかかります。買い手の予算が下がると、まず成約件数が減り、売り出しから成約までの日数が延び、在庫が積み上がります。売り手が価格を下げるのは、その後です。

建築費と供給を通る経路は年単位で届く

金利は、建築費とは別の場所で動きます。新築マンションの価格は、建築費と用地の取得費で決まります。建築費が高止まりしている間は、新築の価格は下がりにくく、中古の比較対象も高いまま残ります。

この経路は、金利が上がっても価格を支える側に働きます。届く速さは年単位です。建築費や供給戸数は、年に一度の統計で動きが分かる程度の速さで変わります。

つまり、経路①が価格を下げる方向に半年ごとに届き、経路②が価格を支える方向に年単位で届きます。2つの力の差が、実際の価格の動きになります。

投資の利回りを通る経路がいちばん早く届く

投資用のマンションの価格は、実需とは別の式で決まります。年間の賃料を、投資家が求める利回りで割った額が価格の目安です。金利が上がると、投資家が求める利回りも上がり、同じ賃料でも価格は下がります。

投資家は金利の動きへ素早く反応します。この経路は、3つの中でいちばん早く価格に出ます。

実需のファミリー向けマンションでも、投資家が買っていた分が引けば、買い手の層が薄くなります。国土交通省は令和9年度の税制改正要望に「新築マンションの価格高騰への対応に係る所要の措置」を挙げ、「都心の大規模マンションを中心とした近年の新築マンション価格の高騰に対応するため、実需に基づかない投機的取引を抑制するための方策について、必要な検討を行い、所要の措置を講じる」としています。都心の高額帯に実需以外の買い手が入っていることが、行政の側からも扱われている状態です。

出典: 国土交通省 令和9年度国土交通省税制改正要望事項

金利上昇でマンション価格が下がる理由

金利上昇がマンション価格を下げる理由は、経路①と経路③にあります。

次の4つに分けて、それぞれ何が起きるかを見ます。

  • 買い手が同じ返済額で借りられる金額が減る
  • 買い手の4人に3人が変動型で家計に直接届く
  • 投資用の価格は賃料と利回りの関係で先に下がる
  • 返済が増えた所有者の売り出しで在庫が増える

買い手が同じ返済額で借りられる金額が減る

買い手が毎月13万円を35年間、元利均等で返す仮定で計算します。毎月返済額・返済期間・返済方法・金利は、いずれもモデルケースの仮定値です。

変動金利(仮定値)借りられる金額(概算)
0.5%約5,008万円
1.0%約4,605万円
1.5%約4,246万円
2.0%約3,924万円

金利が0.5%から1.5%へ上がると、同じ返済額で借りられる金額は約762万円小さくなります。2.0%なら約1,084万円小さくなります。

式は、借りられる金額=毎月返済額×{1−(1+月利)^(−返済回数)}÷月利(月利=年利÷12、返済回数=年数×12)です。毎月返済額を自分の物件の価格帯に置き換えれば、同じ式で確かめられます。

買い手の予算が下がると、その価格帯にいた物件の買い手が減ります。売り手が価格を据え置いても、届く申し込みの金額が下がる形で、価格への圧力になります。

買い手の4人に3人が変動型で家計に直接届く

この経路が強く届く理由は、買い手の大半が変動金利で借りているからです。

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」では、利用した金利タイプは変動型が75.0%で最も多く、固定期間選択型は14.9%、全期間固定型は10.1%でした。今後1年間の住宅ローン金利について「現状よりも上昇する」と答えた人は73.7%で、2025年4月調査より8.0ポイント増えています。

買い手の4人に3人は、基準金利が上がるとそのまま返済額の見直しに向き合う立場にいます。しかも7割超が上がると見ています。利上げのニュースが出るたびに、この層が購入を先送りにしたり、予算を下げたりします。固定で借りる買い手には届きにくい変化ですが、買い手の大半には届きます。金利そのものの動きは、住宅ローン金利の推移と今後の見通しにまとめています。

出典: 住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)

投資用の価格は賃料と利回りの関係で先に下がる

投資用マンションの価格は、賃料と利回りで決まります。年間の賃料と利回りを仮定して計算します。

年間の賃料が120万円で、投資家が求める利回りが4%なら、価格の目安は120万円÷4%=3,000万円です。金利が上がって求める利回りが5%になると、同じ賃料でも120万円÷5%=2,400万円になります。賃料も利回りも、ここでは仮定値です。

利回りが1ポイント上がっただけで、価格の目安は2割下がります。賃料はすぐには上げられないので、金利の上昇はそのまま価格に出ます。自分の物件では、同じ棟の賃料の実額と、売り出し中の投資用住戸の表面利回りを当てはめて計算します。

投資用のワンルームや、投資家が多く買っていた都心の高額帯は、この経路で実需向けより先に価格が動きます。実需向けのファミリータイプでも、買い手の中に投資家がいた物件は、その分の買い手が先に引きます。

返済が増えた所有者の売り出しで在庫が増える

もうひとつ、供給側からも価格を下げる力が出ます。

変動金利で借りている所有者の返済が増え、持ち続けるより売る側へ回る人が増えると、売り出しが増えます。全国銀行協会の説明では、変動金利住宅ローンの金利は通常半年ごとに見直され、元利均等返済の返済額の見直しは通常5年ごとです。5年ごとの返済額見直し時には「125%ルール」といわれる上限があり、返済額の増加はそれまでの返済額の25%アップが上限となります。この見直しが近い所有者や、投資用で持ち出しが増えた所有者が売りに出ると、在庫が増えます。

在庫が増えると、買い手は比べる相手が増え、売り手は選ばれる側になります。東日本不動産流通機構の2026年8月度の月例速報では、首都圏の中古マンションの在庫件数は48,235件で前年比プラス8.2%、6か月連続の増加でした。市況の月ごとの数字と読み方は、マンションの売り時を市況・築年数・税金で見極めるハブ記事にまとめています。

出典: 全国銀行協会 変動金利住宅ローンの未払利息とは?

出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度

金利上昇でもマンション価格が下がりにくい理由

一方で、金利が上がってもマンション価格が下がりにくい理由もあります。

こちらは経路②、供給側の話です。次の3つを順に見ます。

  • 新築の価格が建築費と用地で決まり比較対象が下がらない
  • 新築の供給が最少で買い手が中古に流れている
  • 新築も売れにくくなっており価格が下がらないまま在庫が残る

新築の価格が建築費と用地で決まり比較対象が下がらない

中古マンションの価格は、同じ地域の新築の価格を上限の目安にして決まります。新築が高ければ、中古も「新築よりこれだけ安い」という形で価格が決まります。

民間の調査機関である不動産経済研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ」では、2025年の首都圏の新築マンションの戸当り平均価格は9,182万円、㎡単価は139.2万円で、いずれも最高値でした。前年比で平均価格は1,362万円(17.4%)のアップ、㎡単価は21.5万円(18.3%)のアップです。東京23区は1億3,613万円・210.9万円で、こちらも21.8%アップ・23.3%アップでした。

2025年 新築分譲マンション平均価格㎡単価
首都圏9,182万円(+17.4%)139.2万円(+18.3%)
東京23区1億3,613万円(+21.8%)210.9万円(+23.3%)
全国6,556万円(+7.8%)104.5万円(+10.8%・㎡単価は13年連続の上昇)

新築の価格は、建築費と用地の取得費で決まります。金利が上がっても建築費は別に動くので、新築の価格は高いまま残ります。中古の比較対象が高い限り、中古の価格も下がりにくい状態が続きます。

出典: 不動産経済研究所 首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ

出典: 不動産経済研究所 全国 新築分譲マンション市場動向 2025年

新築の供給が最少で買い手が中古に流れている

新築の供給戸数も、中古の価格を支えています。

同じ調査で、2025年の首都圏の新築マンションの発売戸数は2万1,962戸で、前年比4.5%減でした。減少は4年連続で、1973年の調査開始以来の最少です。2026年の首都圏の供給見込みは2万3,000戸(2025年比4.7%増)とされています。全国の発売戸数は5万9,940戸で前年比0.8%増と4年ぶりに増えましたが、過去最多だった1994年の18万8,343戸と比べると3分の1以下の水準です。

新築が少なく高ければ、買い手は中古へ流れます。中古の買い手が増えるほど、中古の価格は下がりにくくなります。金利上昇で買い手の予算が下がっても、新築をあきらめた買い手が中古に来る分が、価格を支えます。

出典: 不動産経済研究所 首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ

出典: 不動産経済研究所 全国 新築分譲マンション市場動向 2025年

新築も売れにくくなっており価格が下がらないまま在庫が残る

ただし、「価格が下がらない」と「売れる」は別です。

同じ調査で、2025年の首都圏の新築マンションの初月契約率は63.9%で、前年の66.9%から3.0ポイント下がり、2年連続で70%を割りました。2025年12月末の販売在庫は6,976戸で、2024年12月末の6,814戸より162戸増えています。

新築は、建築費の都合で価格を下げにくく、売れない間も価格を維持したまま在庫を抱えます。中古の売り手も同じ動きをしがちです。価格を下げずに売り出したまま、在庫が積み上がります。東日本不動産流通機構の2026年8月度の月例速報では、首都圏の中古マンションの新規登録㎡単価が116.81万円で前年比プラス21.5%と28か月連続の上昇である一方、成約㎡単価は81.60万円で前年比マイナス3.8%と4か月連続の下落でした。売り出す側の値付けと、実際に売れた値段が、逆の向きに動いています。

「下がりにくい」の本当の意味

「下がりにくい」は、売り手にとって安心材料というより、「下げなければ売れない期間が長くなる」という意味でもあります。新築が高いまま在庫を抱えているのと同じことが、中古の売り出しでも起きます。価格が下がらないことと、自分の物件が売れることは、別々に考えます。

出典: 不動産経済研究所 首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ

出典: 東日本不動産流通機構 月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年8月度

金利上昇の影響が出やすい物件と出にくい物件の違い

3つの経路のどれが強く届くかは、物件によって違います。

自分の物件がどちら側にいるかを、4つの軸で見ます。

影響が出やすい影響が出にくい
買い手がローンに頼る価格帯(頭金1〜2割・変動型)現金や自己資金の厚い買い手が多い高額帯
投資用・ワンルーム実需のファミリー向け
築古で買い手のローン条件が狭い築浅で減税や融資の条件が広い
新築との価格差が大きい郊外・築古新築との価格差が小さい築浅

買い手がローンに頼る価格帯ほど影響が早く出る

経路①がいちばん強く届くのは、買い手がローンに頼る価格帯です。頭金1〜2割で残りを変動型で借りる買い手が中心の、4,000万〜6,000万円台のファミリー向けは、基準金利の改定のたびに買い手の予算が下がります。

逆に、都心の1億円を超える帯は、自己資金の厚い買い手や法人・海外の買い手が多く、ローンの金利が予算を決める割合が小さくなります。この帯は経路③(投資マネー)の影響を受けますが、経路①の影響は小さめです。

自分の物件の買い手像を決めるのが先です。同じ棟の直近の成約で、買い手がどんな層だったかを仲介会社に聞くと、どの経路に乗っているかが見えてきます。

投資用は実需用より先に利回りで価格が動く

投資用として買われる物件は、経路③で実需より先に価格が動きます。ワンルームや、賃貸に出されている割合が高い棟が当てはまります。

賃料が同じなら、求める利回りが上がった分だけ価格は下がります。投資家は金利の動きへ素早く反応するので、利上げから数か月で売り出し価格が変わることがあります。

実需で住んでいる物件でも、同じ棟に投資用の住戸が多いと、その売り出しが増えて比較対象になります。自分の棟の賃貸の割合を、管理組合の資料や賃貸ポータルで確かめておくと、影響の出方が読めます。

築古は買い手のローン条件が狭まり影響が重なる

築年数が古い物件は、金利上昇の前から、買い手のローン条件で不利になっています。

国土交通省の住宅ローン減税のQ&A(令和8年度税制改正後・2026年7月更新)では、既存住宅を取得する場合、1981(昭和56)年12月31日以前に建築された住宅は、耐震基準を満たしていることを証明する書類の提出が必要とされています。証明の方法は、耐震基準適合証明書や建設住宅性能評価書の写しなどです。

借入限度額と控除期間も、既存住宅では住宅の性能で分かれます。認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)とZEH水準省エネ住宅は3,500万円・13年、省エネ基準適合住宅は2,000万円・13年、これらに当てはまらないその他住宅は2,000万円・10年で、控除率は一律0.7%です。築古の物件は、この区分でも借入限度額の小さい側に入りやすくなります。

買い手がローンを組みにくい物件は、もともと買い手が現金に近い層に限られています。そこに金利上昇が重なると、ローンで買える層はさらに狭まります。築古の物件では、経路①の影響が「もともと狭い買い手」の中でさらに強く届き、価格より先に成約までの期間が延びます。

出典: 国土交通省 住宅ローン減税(令和8年度税制改正後)Q&A

新築との価格差が小さい築浅は新築価格に支えられる

築浅の物件は、経路②の支えを強く受けます。新築との価格差が小さいほど、新築の価格が高いままである限り、中古の価格も引っ張られます。

首都圏の新築の戸当り平均が9,182万円なら、築5年の同じ地域の中古は、その価格からどれだけ安いかで値付けされます。新築が下がらない間は、築浅の下限も下がりにくい状態です。

逆に、新築との差が大きい郊外や築古は、新築価格の支えが弱く、経路①の買い手の予算で価格が決まります。自分の物件と同じ地域の新築の価格を1つ調べておくと、支えがあるかどうかが分かります。売り方や売り時の判断は、マンションの売り時を市況・築年数・税金で見極めるハブ記事にまとめています。

出典: 不動産経済研究所 首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ

まとめ:金利上昇は3つの経路で違う速さでマンション価格に届く

いちばん重い答えは、「下がる」と「下がりにくい」は対立していないということです。金利は、買い手の予算(半年ごと)、建築費と供給(年単位)、投資の利回り(すぐ)という3つの経路で、違う速さでマンション価格に届きます。首都圏の新築が2025年に平均9,182万円まで上がり、発売戸数が2万1,962戸と1973年以来の最少になった一方で、中古の成約㎡単価は2026年8月に前年比マイナス3.8%と4か月連続で下落しました。支える力と下げる力が同時に働いている状態です。

次の一歩は、自分の物件の買い手がどれだけローンに頼っているかを決めることです。同じ棟の直近の成約でどんな層が買ったかを仲介会社に聞き、同じ地域の新築価格を1つ調べれば、自分の物件がどの経路に乗っているかが見えます。この一歩を飛ばして市場全体の「上がる・下がる」だけで判断すると、自分の物件には届かない経路の話に合わせて値付けし、売り出しから成約までの期間だけが延びます。

そのうえで、買い手が主に使う銀行の基準金利の改定日と、自分のローンの次の返済額見直し日を確かめておきましょう。住み替えの時期は、この2つの日付から逆算して決められます。住み替えのトビラでは、金利がマンション価格へ届く3つの経路と、影響が出やすい物件の見分け方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。