子どもの入学や受験の前に住み替えるなら、いつ引っ越すのがよいのでしょうか。
時期を誤ると、子どもの転校が2回になったり、受験の直前に勉強の時間が削られたりします。
この記事では、マンションからの住み替えを考えている子育て世帯に向けて、学年ごとのおすすめの時期と、入学前年の秋から始める家の売り買いの日程を解説します。
住み替えは「入学」に合わせ、「受験」の年は避ける
子どものために住み替えるなら、引っ越しは入学の時期に合わせ、受験の年は避けましょう。
入学の直前に引っ越せば、子どもは転校をせずに、新しい学校へ入学式から通えます。
一方で受験の直前に引っ越すと、子どもは荷造りや手続き、新しい通学路に慣れることに時間を取られます。そのぶん、受験勉強の時間が減ってしまいます。
子どもの学年ごとの住み替えの向き・不向きは、次の表のとおりです。
| 子どもの学年 | 住み替えの時期 | 理由 |
|---|---|---|
| 年長(小学校入学前) | ◎ 入学に合わせる | ・入学式から新しい学校に通える<br>・クラス全員が新しい友達づくりから始める |
| 小1〜小3 | ○ 春休みなら引っ越せる | クラス替えと同じ時期に、新しいクラスに入れる |
| 小4 | △ 公立中に進むなら引っ越せる | 中学受験の塾は、小3の2月に新しい学年が始まっている |
| 小5・小6 | × 中学受験をするなら避ける | ・入試に向けて塾の勉強が一番忙しくなる<br>・公立中に進む場合も、卒業を待って中学入学に合わせるのが基本 |
| 中学入学(公立) | ◎ 入学に合わせる | 小学校の卒業で区切りがつき、入学式から新しい学校に通える |
| 中1・中2 | ○ 春休みなら引っ越せる | 中2の成績を内申点に使う都道府県もある |
| 中3 | × 避ける | 内申点と高校の出願に直接ひびく |
子どもの今の学年から次の◎の時期まで何年あるかを数えると、住み替えの準備をいつ始めればよいかがわかります。
小学校入学と公立中への進学の前に引っ越すと、転校をせずに済む
小学校や公立中学に入る前の3月までに引っ越すと、子どもは入学式の日から、引っ越し先の学区の学校に通えます。
入学と同時に新しい学校に通い始めるので、転校の手続きや、できあがったクラスに途中から入る苦労がなくなります。
小学校にはいくつかの幼稚園や保育園から、公立中学にはいくつかの小学校から子どもが集まります。そのため引っ越してきた子も、まわりの子と同じように新しい友達づくりから始められます。
入学前の3月に引っ越しを終えるには、前の年の秋には今の家を売り出しておきたいところです。家を売り出してから売れるまでに、数か月かかるためです。
小学校の途中で引っ越すなら春休みに。避けたいのは転校の「回数」
小学校の途中で転校するなら、学期の途中より春休みを選びましょう。
春休みはクラス替えの時期と重なるので、まわりの子も新しいクラスに慣れるところから始めます。
春休みに転校すると、教科書のずれも小さくなります。教科書は地域ごとに選ばれているため、学年の途中で転校すると、習う順番が変わって習いそびれる単元が出ることがあります。
「転校はかわいそう」と心配になる方もいるでしょう。ただ、1回の転校の影響は長く残りにくいことが、アメリカの研究でわかっています。この研究では、約1万9千人の子どもを、日本の幼稚園の年長にあたる学年から中学2年生まで調べ続けました。
アメリカの子どもを調べた研究ですが、転校で気をつけたいのは、1回の転校より転校を何度も重ねることだと考えられます。
出典: How Housing Matters「Is Moving During Childhood Harmful?」(Policy Research Brief・MacArthur Foundation)
受験の学年(小5・小6、中3)の引っ越しは避ける
中学受験をするなら小5と小6、高校受験をするなら中3の引っ越しは避けましょう。
例えば日能研の首都圏の教室では、新しい学年の授業が2月に始まります。早稲田アカデミーの小6のコースでは、1学期に入試に必要な内容全体を復習し、夏期講習からは入試に向けた演習に入ります。
小5と小6は、こうして入試に向けた勉強が一番忙しくなる時期です。
高校受験で中3を避けたいのは、公立高校の入試で、中学校の成績(内申点)が合否に使われるためです。
どの学年の成績を使うかは、都道府県によって違います。例えば東京都の都立高校の入試では、中3の成績を使っています。神奈川県の公立高校の入試では、中2の成績の合計に、中3の成績の合計を2倍して足した数を使います。
ただし、国立大学の附属中学や公立の中高一貫校は、どこに住んでいるかが出願の条件になります。こうした学校を目指すなら、受験の学年より前に、条件に合う場所へ引っ越しておくと安心です。
出典: 早稲田アカデミー「小学6年生対象Sコース(中学受験)」
出典: 東京都教育委員会「都内公立中学校第3学年及び義務教育学校第9学年(令和6年12月31日現在)の評定状況の調査結果について」
「子どものため」の住み替えが正解になる家庭、後悔する家庭
「子どものため」の住み替えが正解になるかは、子どもの学年よりも、部屋・通学・資金の3つで分かれます。
例えば、次の3つの家庭で考えてみましょう。
住み替えるべきかの答えは、3つの家庭でそれぞれ違ってきます。
正解になるのは「部屋・通学・資金」の3つがそろう家庭
子ども部屋や通学に困っていて、家を売ればお金の面でも無理なく買い替えられる家庭なら、住み替えでその困りごとを解決できます。
| 条件 | 当てはまる状態 |
|---|---|
| 部屋 | 子ども部屋や勉強する場所が不足し、今の家の工夫では限界がある |
| 通学 | 今の家からだと、学校や塾まで時間がかかりすぎる |
| 資金 | 今の家を売ったお金でローンを返し切れ、新しいローンも無理なく返せる |
子どもが大きくなると、自分の部屋や勉強する場所が必要になり、塾へ通う日も増えていきます。3つの家庭の例では、Aさんが部屋、Bさんが通学の条件に当てはまります。
資金については、次の2つの点を確かめておきましょう。
1つ目は、今の家を売った金額から費用を引いても、今のローンを返し切れることです。
家を売るときにかかる費用のうち大きいのは、不動産会社に払う仲介手数料です。仲介手数料の上限は国の告示で決まっていて、売った金額が400万円を超えるときは、次の式で上限を計算できます。
仲介手数料の上限の計算(仮に5,000万円で売った場合)
上限の式=(売った金額×3%+6万円)×1.1(消費税10%)
5,000万円×3%=150万円
150万円+6万円=156万円
156万円×1.1=171万6,000円
告示では、売った金額(消費税を除く)のうち200万円以下の部分に5.5%、200万円を超え400万円以下の部分に4.4%、400万円を超える部分に3.3%(いずれも消費税込み)をかけて合計します。上の式は、この合計と同じ額になる計算のしかたです。
5,000万円は計算のための仮の金額です。自分の家の場合は、査定額を式の「売った金額」に入れると計算できます。実際に払う額は、不動産会社と結ぶ媒介契約書で確かめられます。
このほかに、引っ越し代や、ローンを返し終えたことを登記する費用も必要です。
売れそうな金額は、不動産会社に査定を頼むとわかります。ローンの残りは、銀行の返済予定表で確かめられます。
2つ目は、子どもの教育費が増えても、新しいローンを返していけることです。銀行が貸してくれる金額は、無理なく返せる金額より多くなることがあります。
新しいローンの額は、銀行が貸してくれる額ではなく、これから増える塾代や学費を払いながら毎月返せる額から決めるとよいでしょう。
出典: 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
後悔しやすいのは「区切りだけが理由」「子どもが強く嫌がる」「売ってもローンが残る」家庭
次の3つに当てはまる家庭は、住み替えたあとに後悔しやすくなります。
- 入学の区切りだけが住み替えの理由
- 子どもが住み替えを強く嫌がっている
- 今の家を売ってもローンが残る
1つ目は、部屋も通学も今のままで足りているのに、「引っ越すなら入学前に」と焦って決める家庭です。
住み替えでは売る費用と買う費用の両方がかかり、合わせて数百万円になることもあります。今の家のままで暮らせるなら、そのお金を教育費として手元に残すほうが、子どものためになるでしょう。
2つ目は、子どもが住み替えを強く嫌がっている家庭です。小学校の高学年や中学生になると、友達との関係が生活の中心になります。無理に引っ越すと、子どもが新しい学校になじむまでに時間がかかります。
それでも引っ越すと決めたら、その理由を子どもにきちんと話し、新しい学校や街を一緒に見に行くとよいでしょう。本人が「ここなら行ってもいい」と思えれば、引っ越したあとも新しい生活になじみやすくなります。
3つ目は、今の家を売ってもローンが残る家庭です。ローンを返し切るのに足りない分は、貯金で払うか、新しいローンに上乗せして借りることになります。新しいローンに上乗せすると、借金がふくらんだまま、教育費が増える時期を迎えることになります。
売ってもローンが残るかは、今の家の査定額とローンの残りを比べれば、住み替えを決める前にわかります。
見送るなら「次の区切りまで待つ」か「今の家で部屋を増やす」
住み替えを見送るときは、次の入学の時期まで待つ方法と、今の家の中で子ども部屋をつくる方法があります。
1つ目は、次の入学の時期まで待つ方法です。子どもの学校が変わる区切りは、小学校・中学・高校の入学の3回あります。
例えばCさんの子は中2なので、もうすぐ中3になります。急いで中3の途中に引っ越すより、高校が決まってから住み替えるほうが、内申点や受験勉強への影響を避けられます。
同じ都道府県の中で住み替えるなら、高校が決まったあとに、通いやすい場所を選べます。
待つあいだに、今の家の査定を受けて、売れそうな金額を知っておくとよいでしょう。住み替えたい街も下見しておくと、実際に住み替えるときに落ち着いて進められます。
2つ目は、今の家の中で子ども部屋をつくる方法です。足りないのが部屋だけなら、家具や動かせる間仕切りを使い、工事をせずに1部屋を2つに分けられます。
壁を足すリフォームで部屋を分ける方法もあります。ただしマンションでは、管理規約で工事のルールが決まっています。
管理組合への届け出が必要なことも多いため、リフォーム会社に頼む前に、管理会社に工事の決まりを確かめておくと安心です。
受験に合わせて住み替えるなら「出願前に引っ越す」か「合格後に引っ越す」か
住所が受験の条件になる学校を目指すなら出願前に、どこからでも受験できる私立中なら合格後に引っ越しましょう。
目指す学校ごとの住所の条件と引っ越しの時期は、次の表のとおりです。
| 目指す学校 | 住所の条件 | 引っ越しの時期 |
|---|---|---|
| 国立大学の附属中学 | 決められた通学区域に住む | 出願より前 |
| 公立の中高一貫校 | 学校のある自治体に住む | 出願より前 |
| 私立の中学 | どこからでも受験できる | 合格後 |
| 公立高校 | その都道府県に住む | ・都道府県をまたぐなら出願前<br>・同じ都道府県の中なら合格後 |
引っ越しの期限が一番早くなるのは、国立大学の附属中学や公立の中高一貫校を目指す場合です。私立の中学や、同じ都道府県の中の公立高校なら、合格してから住む場所を選べます。
住所が出願の条件になる国立・公立の中高一貫校は、塾通いが忙しくなる前に引っ越す
国立大学の附属中学や公立の中高一貫校を目指すなら、塾の新学年が始まる小3の2月より前に、条件に合う場所への引っ越しを済ませておきましょう。
こうした学校では、出願する小6の冬の時点で、決められた区域に住んでいることが条件です。とはいえ小5・小6は受験勉強が一番忙しい時期で、引っ越しの準備に時間を取られると勉強にひびきます。
例えば筑波大学附属駒場中学校は、出願の時点で、父か母と一緒に通学区域の中に住み、そこから小学校に通っていることを条件にしています。住民票でそのことを確かめられることも条件です。
入学したあとに通学区域の外へ引っ越した場合は、在籍を認めないことも募集要項に書かれています。そのため在学中に住み替えるときも、引っ越し先は区域の中から選ぶことになります。
都立の中高一貫校も、保護者と一緒に都内に住み、入学後も都内から通えることを応募の条件にしています。
目指す学校が決まったら、学校のホームページにある募集要項で、住所の条件と通学区域を早めに確かめておくとよいでしょう。
出典: 東京都教育委員会「令和9年度東京都立中等教育学校及び東京都立中学校入学者決定に関する実施要綱・同細目について」
私立中は合格後に引っ越せるが、合格から入学までの2か月で家の売り買いを終えるのは難しい
私立の中学を目指すなら、合格して学校が決まってから、通いやすい場所へ住み替えられます。
私立の中学には学区がないので、入学後に引っ越しても同じ学校に通い続けられます。そのため、引っ越しの時期は入学したあとでも選べます。
ただし、例えば東京都の私立中学校の入試は、2月1日以降に行われます。2月上旬に合格が決まると、そこから4月の入学までは2か月ほどです。
一方、首都圏の中古マンションは、売り出しの登録から成約まで平均82.5日かかっています(2025年)。売れたあとには引き渡しや次の家の契約も続くため、合格から入学までの2か月で売り買いを終えるのは難しいといえます。
そこでおすすめなのが、入学後しばらくは今の家から通う方法です。朝の満員電車や部活のあとの帰り道を子どもが実際に経験してから住み替えると、場所選びで失敗しにくくなります。
合格前から準備を進めておく方法もあります。受験する学校が集まる沿線に候補をしぼり、今の家の査定や物件の下見を済ませておけば、合格後すぐに売り出しや物件探しを始められます。
出典: 東京都「令和9年度 都内私立中学校 入学者選抜実施要項」
出典: 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」
高校受験に合わせるなら、都道府県をまたぐ引っ越しは出願前、同じ都道府県の中なら合格後
高校受験に合わせて住み替えるなら、都道府県をまたぐ場合は出願前に、同じ都道府県の中なら合格後に引っ越しましょう。
公立高校の多くは、保護者と一緒にその都道府県に住んでいることを、応募の条件にしています。
例えば東京都では、都の外に住んでいても、入学日までに都内へ引っ越すことが決まっている子は、応募資格の審査を受けて都立高校に応募できます。審査は出願のときに志願する学校の校長が行い、転居に関する申立書や、家の売買契約書・賃貸借契約書の写しなどを出します。
ただ、出願前といっても、中3での引っ越しは内申点の面で避けたいところです。都道府県をまたぐなら、中3になる前の春休みまでに引っ越しておくと安心です。
同じ都道府県の中での住み替えなら、合格して高校が決まってから引っ越せます。いったん入学すれば、同じ都道府県の中で引っ越しても、同じ高校に通い続けられます。
例えば中2の子がいて家が手狭になった家庭なら、高校が決まるのを待って、新しい高校に通いやすい場所を選ぶとよいでしょう。
出典: 東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校応募資格審査取扱要項」
学区で家を選ぶ前に知っておきたいこと:人気校ではクラスの2〜3割が引っ越してきた子という例も
人気の公立小学校の学区には住みたい家族が集まるため、その学区の家は値段が高くなりやすいといわれます。
子どもを人気の公立小学校に通わせるために学区へ引っ越してくる家族を、東洋経済オンラインの2018年の記事は「公立小移民」と呼びました。同じ記事では、不動産情報サイトの代表が、多い学校ではクラスの2〜3割がそうした子だと話しています。
高い値段を払って学区で家を選ぶ前に、学区が変わることや、中学受験をすると子どもの通う先が変わることを知っておくと安心です。
出典: 東洋経済オンライン「東京の「公立小選別」が映す格差拡大のリアル」(2018年)
公立に進むなら家は学区で選ぶ。ただし学区は変わることがある
公立の小中学校に通わせるなら、家は学区で選ぶことになります。
公立の小中学校では、住んでいる住所によって通う学校が決まるためです。学区は、市区町村のホームページにある「通学区域」の一覧や地図で、番地まで確かめられます。
家を探すときに気をつけたいのは、物件の広告にある「〇〇小学校まで徒歩5分」という書き方です。この書き方は学校までの近さを表していて、その家がどの学区に入るかとは別の話です。
学区の境目では、道1本向こうに住む子が、別の学校に通うこともあります。
学区は、この先変わることもあります。例えば大きなマンションが建って子どもが急に増えると、学校が新しくできたり、学区の線が引き直されたりします。
なお、住民票だけを学区の中に移し、実際には別の場所に住むやり方は法律に違反します。例えば札幌市の教育委員会は、住んでいない住所を届け出ると住民基本台帳法の違反になると案内しています。
学区で家を選ぶときは、次の3つを確かめておきましょう。
人気の学区ほど子どもが多く、学童に入りにくいこともあります。学童の定員や空きの状況は、市区町村の窓口に問い合わせると確かめられます。
中学受験をするなら、合格前は「塾」、合格後は「学校」に通いやすい場所を選ぶ
中学受験をする家庭は、合格するまでは塾に、合格したあとは学校に通いやすい場所を選ぶとよいでしょう。
受験塾の授業は、高学年になると日数が増え、終わるのも夜になります。そのため、塾のある駅まで乗り換えなしで行けると安心です。
駅から家までの夜道も、塾の帰りと同じ時間に歩いてみると、明るさや人通りがわかります。
合格したあとは、家から学校までの通学時間が大切になります。中学受験をした子どもを調べた2026年の日本の研究では、中学の通学時間が10分のびると、算数・数学の成績が0.12標準偏差下がっていました。
0.12標準偏差は、偏差値に直すと約1.2にあたります。研究では、通学に時間を取られるぶん勉強の時間が減ることが、原因の一つと見られています。通学時間がのびると、体の健康にもよくない影響が出ていました。
地図アプリで調べた通学時間は、目安と考えておきましょう。朝の通学時間帯に子どもと一緒に電車に乗ってみると、混み具合や乗り換えにかかる時間がわかります。
出典: 佐藤大晃・杉田壮一朗・大鹿桃子・中室牧子「中学校受験と通学時間、学業成績、子どものQOLに関する日本のパネルデータを使った実証分析」(2026年)
中学受験をするか迷っている家庭は、小学校の学区と中学への通いやすさの両方で場所を選ぶ
中学受験をするか迷っている家庭は、公立と私立のどちらに進んでも通いやすい場所を選んでおくと、進路が決まったあとも同じ家に住み続けられます。
家を選ぶときに確かめたい条件は、次の3つです。
- 通わせたい公立小学校の学区の中にある
- 私立中学や受験塾が多い駅へ、乗り換えなしで行ける
- 学区の公立中学にも、安心して通わせられる
私立中学や受験塾が多い駅は、大手塾のホームページにある校舎の一覧から探せます。校舎が多く集まる駅と、そこへ乗り換えなしで行ける沿線を書き出し、その沿線の中で学区を確かめていくと、候補を早く絞れます。
中学受験をしても、結果によっては学区の公立中学に通うことになります。そのため学区の公立中学の様子も、説明会や学校公開で見ておくとよいでしょう。
国立の附属中学も考えているなら、候補の家がその学校の通学区域に入っていることも確かめておきたい点です。通学区域に入る市区町村の一覧は、学校の募集要項にのっています。
新学期前は子育て世帯が一斉に家を探す:売るには有利、買うには不利
新学期の前は子育て世帯が一斉に家を探すため、売る側は買い手を見つけやすく、買う側はよい物件を取り合うことになります。
「3月までに引っ越したいから、多少安くてもいいので早く売りたい」。入学に合わせた住み替えでは、こうした焦りから値下げに応じてしまう人もいます。
期限があることは、売る側の弱みになります。ただし2〜3月の買い手も同じ期限を抱えているので、その時期に合わせて売り出せば、売る側も買い手の多さを生かせます。
2〜3月は買い手が一番多く、ファミリー向けの物件の取り合いも一番激しい
首都圏の中古マンションは、1年のうち3月に一番多く売れています。
2026年3月の成約件数は5,001件で、2025年4月から2026年2月までのどの月(3,343〜4,475件)よりも多くなりました。2025年も3月の成約件数(4,991件)が一番多く、4月の新年度に間に合わせたい人が3月までに契約を済ませていると考えられます。
この時期の買い手には、あなたと同じように4月の入学に間に合わせたい子育て世帯もいます。
ところが買う側に回ると、話は逆になります。同じ時期に子育て世帯が一斉に探すので、ファミリー向けの物件は取り合いになりやすく、春に探し始めたときには、よい物件がもう売れてしまっていることもあります。
そのため住み替えでは、次の家は前の年の秋から探し始め、今の家は買い手の多い春の前に売り出しておくのが基本です。
出典: 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2026年3月度」
今の家が人気の学区にあるなら、それが売却の武器になる
今の家が人気の学区にあるなら、その学区を売り出しの広告で前面に出すと、2〜3月の買い手の目にとまりやすくなります。
2〜3月の買い手が気にするのは、あなたが住み替え先で気にしていることと同じです。買い手は、通える学校や、駅や塾までの近さ、子ども部屋が取れる間取りなどを見ています。
そのため、今の家の学区や子育てのしやすさは、そのまま売り文句になります。売り出しを頼む不動産会社には、広告に「〇〇小学校の学区内」と学校名まで書いてもらいましょう。学区は変わることもあるので、いつ時点の情報かも書いてもらうと安心です。
通学路の様子や、近所に同じ年ごろの子が多いことなど、住んでいる人だからこそ知っている話もあります。こうした話を見学に来た人に直接伝えると、買い手はそこでの暮らしを思い浮かべやすくなります。
もう一つの武器は、引き渡しの時期です。4月に間に合わせたい買い手にとって、3月中に引き渡せる家は魅力があります。
ただし3月中に引き渡すには、自分たちの次の家も決まっている必要があります。そこで大切になるのが、売ると買うのどちらを先にするかです。
売り先行は高く売れても、仮住まいで転校が2回になることがある
売り先行で進めると、今の家を納得できる値段で売りやすい一方、仮住まいをはさむと子どもの転校が2回になることがあります。
売り先行とは、今の家を先に売ってから、次の家を買う進め方です。売れる金額が先に決まるので、次の家にいくら出せるかの計画を立てやすくなります。売り出しの時期も自分で決められるため、値下げを急ぐ場面も少なくなります。
売り先行の弱点は、次の家が決まる前に引き渡しの日が来ると、仮住まいが必要になることです。賃貸を借りる初期費用がかかり、引っ越しも2回になります。
仮住まいが別の学区になると、子どもは「今の学校→仮住まいの学校→新しい家の学校」と、2回転校することになります。アメリカの研究では、引っ越しの回数が増えるほど、子どもの友達づきあいの力が少しずつ下がっていました。
2回目の転校を防ぐ方法は、次の3つです。
| 方法 | やること | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 引き渡しを遅らせてもらう | 売るときに、引き渡しを1〜2か月先にする約束を買い手と結ぶ | 4月に入居したい買い手には嫌がられやすい |
| 仮住まいを今の学区で探す | 同じ学区の賃貸を借りる | 2〜3月は家族向けの賃貸も埋まりやすい |
| 今の学校に通い続ける | 仮住まいから今の学校に通う | 認められる条件と期間は自治体ごとに違う |
3つのうち、自分たちだけで進められるのは、仮住まいを今の学区で探す方法です。同じ学区の賃貸なら、子どもは今の学校に通い続けられます。家族向けの賃貸も2〜3月は埋まりやすいので、売り出しと同時に探し始めると安心です。
仮住まいから今の学校に通い続けたいときは、今の学校がある市区町村の教育委員会に問い合わせておきましょう。
出典: How Housing Matters「Is Moving During Childhood Harmful?」(Policy Research Brief・MacArthur Foundation)
買い先行は転校が1回で済むが、今の家が売れるまで二重ローンになることがある
買い先行なら子どもの転校は1回で済みますが、今の家が売れるまで2つのローンを払うことがあります。
買い先行とは、次の家を先に決めてから、今の家を売る進め方です。新しい家に直接引っ越せるので、引っ越しも1回で済みます。
買い先行の弱点はお金です。今の家が売れるまで、2つのローンを同時に払うことがあります。今のローンが残っていると、新しいローンで借りられる金額が減ることもあります。
今の家が売れるまでの期間が長びくと、焦って値下げに応じやすくなります。入学という期限がある住み替えでは、特にこの焦りに気をつけたいところです。
買い先行は、今のローンの残りが少ない家庭や、貯金に余裕がある家庭におすすめです。2つのローンの毎月の返済額を足して、数か月払い続けても家計が回るかを先に計算しておきましょう。
期限と値段のどちらも守りたいときの3つの方法と、選び方の早見表
売り先行と買い先行のよいところを取る方法として、同時進行・買い替え特約・買取保証の3つがあります。
| 方法 | しくみ | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 同時進行 | 売る家と買う家の引き渡しを同じ日にする | 日程を合わせるのが難しい |
| 買い替え特約 | 期限までに今の家が売れなければ、次の家の契約をなかったことにできる条件をつける | 売り主に嫌がられやすく、人気の物件では受け入れてもらいにくい |
| 買取保証 | 期限までに売れなければ、不動産会社が前もって決めた価格で買い取る | 買い取りの価格は相場より低めになる |
どの方法も、不動産会社に相談すれば使えます。
同時進行なら、仮住まいも二重ローンも避けられます。売り買いを同じ不動産会社に任せると、引き渡しの日程も合わせやすくなります。
買取保証を使うと、売値が相場より下がる代わりに、引っ越しの期限を守れます。
どの売り方を選ぶかは、引っ越しまでの時間と、今のローンの残りで決まります。2つの組み合わせごとに、おすすめの進め方を表にすると次のようになります。
| 引っ越しまでの時間 | ローンの残りが少ない・貯金に余裕がある | ローンの残りが多い |
|---|---|---|
| 1年以上ある | 売り先行(時間をかけて高く売る) | 売り先行(時間をかけて高く売る) |
| 半年ほど | 買い先行(転校を1回で済ませる) | 同時進行+買取保証(期限を守る) |
引っ越しまで1年以上あれば、売り先行でも次の家を探す時間を十分に取れます。この場合に買取保証を使うと、相場より安く売ることになります。
引っ越しまで半年ほどで貯金に余裕があるなら、買い先行で次の家を先に決めると、転校を1回で済ませられます。
引っ越しまで半年ほどでローンの残りが多いときは、期限を守ることを優先するとよいでしょう。買取保証で売値が少し下がっても、仮住まいと2回の転校を避けられれば、子どもの負担は小さくなります。
まずは、引っ越しまでに何か月あるかを数えるところから始めましょう。
4月の入学から逆算すると、家の売り出しを始める期限は「入学前年の秋」
4月の入学に合わせて3月までに引っ越すなら、入学の前の年の秋には、今の家の売り出しと次の家探しを始めておきたいところです。
秋から3月までの半年ほどのあいだに、家の売り買いと学校の手続きを進めることになります。
小学校入学に合わせる場合の流れは、次の表のとおりです。
| 時期 | 学校・学童 | 住まい |
|---|---|---|
| 前年の春〜夏 | 学区や学童の情報を集める | 査定を受け、住み替え先の地域を絞る |
| 前年の10月1日 | この日の住所で、入学する子の名簿(学齢簿)がつくられる | 売り出し・物件探しを本格的に始める |
| 前年の11月30日まで(原則) | 就学時健診 | 売り出し・物件探しを続ける |
| 前年の12月〜1月 | 学童の申込(一次受付) | 次の家の契約を済ませる |
| 1月31日まで | 入学する学校の通知が届く | 今の家の売買契約を結ぶ |
| 2月 | ― | 売る家と買う家の引き渡しの日を3月中に決める |
| 3月 | 転入届を出し、新しい学校の手続きをする | 引き渡し・引っ越し |
売り先行なら売り出しを、買い先行なら物件探しを、表の時期より少し早めに始めるとよいでしょう。中学入学や春休みの転校でも、この日程を目安にできます。ただし就学時健診は、小学校に入る子が対象です。
入学前年の春〜夏:査定を受け、住み替え先の地域を絞る
入学の前の年の春から夏には、今の家の査定を受けて売れそうな金額を知り、住み替え先の地域を絞り込んでおきましょう。
春から準備を始めるのは、家を売るのに時間がかかるためです。首都圏の中古マンションは、売り出しの登録から成約まで平均82.5日、3か月近くかかっています(2025年)。売れたあとの引き渡しまでの期間も考えると、3月に引き渡すなら、遅くとも秋には売り出しておきたいところです。
不動産会社に査定を頼むと、売れそうな金額の目安がわかります。1社の査定額だけでは、高すぎるのか低すぎるのかを判断しにくいので、2〜3社に頼んで比べるとよいでしょう。
売れそうな金額とローンの残りを比べると、今のローンを返し切れるかがわかります。次の家に出せる予算も、この金額をもとに決められます。
住み替え先の地域は、市区町村のホームページにある「通学区域」の地図で、学区を番地まで確かめながら絞り込むと安心です。
出典: 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」
入学前年の秋:売り出しと就学時健診
入学の前の年の秋には、家の売り出しと同じころに、学校の手続きも始まります。
学校の手続きでは、まず10月1日の時点で住んでいる市区町村が、翌年入学する子の名簿(学齢簿)をつくります。そのあと原則として11月30日までに、就学時健診(入学前の健康診断)があります。1月31日までには、入学する学校の通知が届きます。
引っ越しが3月になるなら、健診は今住んでいる市区町村の案内で受けるのが基本です。引っ越し先が決まったら、今住んでいる市区町村と引っ越し先の両方の教育委員会に伝えておくと、手続きを進めやすくなります。
家の売り出しと物件探しも、この時期から本格的に始めましょう。
12月〜1月:学童の申込は、引っ越し前に締め切られることがある
共働きの家庭は、新1年生の学童の申込が、3月の引っ越しより前の冬に締め切られることに気をつけたいところです。
2026年4月から利用する新1年生の受付期間は、広島市と東京都港区では次のとおりでした。
| 自治体 | 受付期間 |
|---|---|
| 広島市(一次受付) | 2025年12月5日〜18日 |
| 東京都港区(郵送・電子申請) | 2026年1月5日〜26日(必着) |
3月に引っ越す日程だと、申込の時点ではまだ今の家に住んでいることになります。例えば東京都中央区では、一斉の募集のあとも申請を随時受け付けていますが、利用できるかの審査は空きが出てからになります。
引っ越し先の市区町村の窓口に、転入前でも申し込めるかと、そのときに要る書類を早めに聞いておくとよいでしょう。転入の予定を書類で示せるよう、次の家の契約は年内に済ませておくと安心です。
出典: 広島市「令和8年度放課後児童クラブ通年利用申込状況(一次受付分)」
出典: 港区「広報みなと」2025年12月1日号(学童クラブの申込)
1月〜2月:売買契約を結び、引き渡しの日を3月中に決める
年が明けたら売る家と買う家の契約を結び、2つの引き渡しの日を3月中に決めておきましょう。
引き渡しの日には、残りの代金の受け取りやローンの返済などを、銀行で一度に済ませます。売る家と買う家の引き渡しの日が離れていると、そのあいだの仮住まいや、2つのローンを払う負担がかかります。
2つの引き渡しは、できれば同じ日か、近い日にするとよいでしょう。
3月の後半は、引っ越しが1年で一番混む時期です。料金が上がり、予約も取りにくくなります。引き渡しの日が決まった時点で、引っ越し業者にも予約を入れておくと安心です。
住宅ローンの手続きにも時間がかかります。買う家の契約を結んだら、銀行の本審査とローンの契約も、引き渡しの日から逆算して早めに進めておきたいところです。本審査は、銀行がお金を貸すかを最終的に決める審査です。
3月:引っ越しと転校・入学の手続き
3月に引っ越したら、14日以内に新しい住所の役所へ転入届を出しましょう。
新1年生は、転入届を出すときに、引っ越し先の学校に入るための入学通知を受け取ります。
在校生が転校する場合は、手続きの順番に気をつけたいところです。転校の手続きは、次の順に進みます。
- 今の学校に、転校することを伝える
- 最後の登校日に、在学証明書と、教科書を受け取ったことを示す証明書をもらう
- 新しい住所の役所に転入届を出し、通知を受け取る
- 役所の通知と今の学校の証明書を、新しい学校に持っていく
例えば浜松市では、転校する1〜2週間前に、今の学校へ「退去届」を出すよう案内しています。
例えば横浜市戸塚区の案内では、最後の登校日に、今の学校から在学証明書と教科用図書給与証明書を受け取ります。
出典: 浜松市「引越しする場合の手続き(お子さんが日本国籍の場合)」
出典: 横浜市戸塚区「住所が変わり学校(学区)が変わるとき(国立・私立の小・中学校に通う場合を除く)」
引っ越しが新学期に間に合わないときに使える学校の制度
引っ越しが新学期に間に合わないときも、自治体の制度を使えば、転校の時期を引っ越しの日とずらせる場合があります。
代表的な制度は、次の2つです。
| 制度 | 使いやすい人 |
|---|---|
| 引っ越す前から、新しい学区の学校に通う | 新1年生 |
| 引っ越したあとも、今の学校に通い続ける | 在校生 |
例えば広島市では、入学後おおむね半年以内に引っ越す予定なら、先に引っ越し先の学校へ入学できます。このときは、住宅の売買契約書や賃貸借契約書などの写しを出します。
東京都杉並区でも、入居まで1年以内なら、先に新しい学区の学校へ通う申し込み(区域外就学の申請)ができます。ただし、徒歩か電車・バスでの通学時間が、小学校なら40分以内、中学校なら60分以内であることが条件です。
今の学校に通い続ける方法には期限があります。例えば浜松市では、市の外へ引っ越したあとも今の学校に通い続けられるのは、原則として引っ越した学期の終わりまでです。小6と中3は、学年の終わりまで通えます。
どちらの制度も、条件や期限は自治体によって違います。日程が決まった時点で、今の市区町村と引っ越し先の両方の教育委員会に問い合わせておきましょう。
出典: 広島市「転居に伴う学校の手続き(転校等)について知りたい。」
出典: 浜松市「引越しする場合の手続き(お子さんが日本国籍の場合)」
まとめ:住み替えは入学の直前に済ませ、受験の年は避ける
子どものために住み替えるなら、一番大切なのは、引っ越しを入学の直前に済ませて受験の年を避けることです。入学に合わせれば子どもは転校をせずに新しい学校へ通え、受験の年を外せば勉強の時間を守れます。
次の一歩は、子どもの入学まで何か月あるかを数え、今の家の査定を受けることです。この2つを後回しにすると、秋の売り出しに間に合わず、仮住まいで転校が2回になったり、焦って値下げに応じたりすることがあります。
目指す学校の募集要項や、引っ越し先の市区町村の学区と学童の案内も、早めに確かめておきましょう。住み替えのトビラでは、子どもの入学や受験に合わせた住み替えの時期と家の売り方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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